地名で検索一位になっても、選ばれるとは限らない

「◯◯市 工務店」で検索したときに、自社のホームページを一番上に表示させたい。SEO対策に取り組んでいる工務店の多くが、まずそこを目標にしているのではないでしょうか。検索の上位に出れば、問い合わせが増える。その考え方は、決して間違いではありません。

けれど私は、地名で一位を取ることそのものを目標にしてしまうと、肝心なことを見落とすと考えています。検索してきた人が本当に知りたいことに、正直に答えているかどうか。順位よりも先に、そこを問い直すべきではないかと思っています。

展示場で一番多かった質問は、「結局いくらかかるのか」

前職の住宅メーカーで、住宅展示場に勤務していた頃のことです。来場されたお客様から一番多く聞かれたのは、性能のことでも、デザインのことでもありませんでした。「結局、全部でいくらかかるんですか」。この質問です。

ところが当時の私は、その質問に正面から答えるのが苦手でした。土地の条件や仕様によって金額が変わるのは事実ですし、最初に高い数字を伝えて、お客様が逃げてしまうのが怖かったのです。「プランによって変わりますので」と言葉を濁し、話を間取りやデザインの方へ移してしまう。そんな対応を、何度も繰り返していました。

先輩の中には、来場されたお客様に、その場で概算の総額を紙に書いて渡している人もいました。「この広さなら、だいたいこのくらいです。土地の条件によって上下します」。その先輩のお客様ほど、二度目の来場につながっていたのを覚えています。正直に答えることが、お客様の安心につながっていたのだと思います。

今思えば、お客様が一番知りたいことに答えずに、こちらが話したいことばかり話していたのだと思います。お客様は、その日のうちに答えを得られなかったことを、きっと覚えていたはずです。次の展示場で、その質問にきちんと答えてくれる会社に出会えば、そちらに気持ちが向いていくのは自然なことでした。

検索する人は、展示場のお客様と同じ問いを抱えている

ある住宅専門のWeb支援会社のコラムでは、工務店のSEOで狙うべき地域キーワードの例として、「◯◯市 工務店」と並んで、「◯◯市 注文住宅 費用」が挙げられていました。私は、この「費用」という言葉にこそ注目してほしいと思っています。

検索窓に言葉を打ち込む人は、展示場に来たお客様と同じ問いを抱えています。「この地域で家を建てたら、いくらかかるのか」「自分たちの予算で、どんな家が建てられるのか」。その問いに対して、施工事例の写真と会社の理念だけが並んだページが表示されても、知りたいことの答えにはなりません。

同じコラムでは、SEOの効果が出るまでには一般的に3〜6か月ほどかかり、記事は月に2〜4本ほど更新するのが理想だとされていました。また、リスティング広告は即効性があるものの、費用を止めれば集客も止まると指摘されています。時間をかけて積み上げるSEOだからこそ、何を書くかが大切になるのだと思います。

ただ、費用について書くことに、ためらいを感じる経営者の気持ちも分かります。金額を出せば、他社と比べられる。高いと思われれば、問い合わせが減るかもしれない。それでも私は、価格を隠すことの方が、長い目で見れば信頼を損なうと考えています。

例えば、「この地域で、延べ床30坪ほどの家を建てた方の総額は、おおよそこのくらいの幅でした」と、実例をもとに正直に書く。土地代や外構、諸費用まで含めて、何にいくらかかったのかを示す。それだけで、検索してきた人にとっては、他のどのページよりも役に立つ情報になるはずです。

あなたのホームページは、検索した人の問いに答えていますか

一度、自社のホームページを、お客様の目で読み返してみてください。「◯◯市 注文住宅 費用」と検索した人が、あなたの会社のページにたどり着いたとき、その人の問いに答えられているでしょうか。

もし答えられていないなら、検索の順位を上げる前に、ページの中身を見直す方が先だと思います。順位が上がっても、知りたいことが書かれていなければ、その人はすぐに別のページへ移ってしまいます。一位を取ったのに問い合わせが増えない、という悩みの多くは、ここに原因があるのではないでしょうか。

逆に言えば、お客様の問いに正直に答えるページは、たとえ順位が少し下でも、読んだ人の記憶に残ります。「この会社は、聞きにくいことにもきちんと答えてくれる」。その印象こそが、問い合わせの一歩手前で迷っている人の背中を押すのだと思います。

費用の他にも、お客様が聞きにくいと感じている問いはたくさんあります。工期はどのくらいかかるのか、打ち合わせは何回あるのか、契約の後に金額が変わることはあるのか。一つひとつの問いに答える記事を積み重ねていくことが、結果として検索の評価にもつながっていくのではないでしょうか。

展示場で言葉を濁していたあの頃の自分に、今なら言えることがあります。お客様が一番知りたいことから、逃げてはいけないと。検索の順位を追いかける前に、その問いに向き合う工務店が増えてくれたらと願っています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

1996年
東日本ハウス株式会社に入社

2009年
ジーレックスジャパン株式会社設立に加わる
住環境サイト『ハウジングバザール』運営担当

2016年
一般社団法人コミュニティビルダー協会理事就任
国産材利用とSDGsを応援 内閣府BEYOND2020認定団体 外務省SDGsマーク使用許可団体

講演履歴
住宅FC様研修・環境情報センター
工務店支援EXPO(於:東京ビックサイト)
鹿児島県庁「緑の工務店研修会」
ほか多数

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
SDGsに取り組もう 建築業界編