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経営理念を浸透させる!工務店の組織力強化

公開日: : 最終更新日:2025/09/27 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様でございます。地域密着型のビジネスとして、お客様からの信頼、従業員の育成、そして品質の維持向上は、常に皆様の頭を悩ませるテーマではないでしょうか。加えて、原材料の高騰、人手不足、多様化する顧客ニーズといった外部環境の変化は、これまで以上に柔軟かつ強力な経営戦略の構築を求めています。

このような時代において、単なる売上目標やコスト削減だけでは、持続的な成長は見込めません。組織が目指すべき方向性を明確にし、社員一人ひとりが自律的に行動できる強い組織を築くことが不可欠です。そこで鍵となるのが、「経営理念」の存在です。しかし、「理念は掲げているものの、なかなか社員に浸透しない」「お題目になっていて、具体的な行動に結びつかない」といったお悩みをお持ちの経営者様も少なくないでしょう。

本記事では、工務店の組織力を根本から強化するための「経営理念」の浸透術に焦点を当てます。理念を単なる文字の羅列ではなく、日々の業務に落とし込み、社員の行動指針となる実践的な経営戦略として機能させるための具体的なステップとノウハウを、余すことなくご紹介いたします。この記事を読むことで、貴社の経営理念が絵に描いた餅ではなくなり、社員が共通の目標に向かって一丸となり、顧客満足度向上、ひいては企業価値の向上へと繋がる道筋が明確になることをお約束します。

経営理念の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

経営理念は、企業の存在意義や目指すべき方向性を示す羅針盤です。工務店においても、この羅針盤が明確でなければ、社員それぞれの行動がバラバラになり、組織としての力を最大化することはできません。ここでは、経営理念を単なるスローガンで終わらせず、具体的な経営戦略の核として機能させるための基本的な考え方と導入ステップを解説します。

1. 経営理念の「本質」を理解する:なぜ工務店に不可欠なのか

多くの工務店では「お客様第一」や「高品質な住まい作り」といった理念が掲げられています。これらは素晴らしい言葉ですが、その「本質」まで深く理解し、社員が自分事として捉えているでしょうか。経営理念の本質とは、企業が社会に提供する「価値」と、その価値を提供する上で守るべき「行動原則」を明文化することです。

工務店にとって、経営理念は以下の点で不可欠です。

  • 社員の行動指針となる:現場での判断、顧客対応、同僚との協力など、日々の業務における意思決定基準となります。
  • 採用・人材育成の軸となる:理念に共感する人材を採用し、理念に基づいた教育を行うことで、組織文化を強化できます。
  • 顧客への訴求力を高める:「なぜこの工務店を選ぶべきか」という問いに対し、理念を通じて明確な答えを提供し、信頼関係を築きます。
  • 経営戦略の一貫性を保つ:事業展開、サービス開発、マーケティングなど、あらゆる経営戦略が理念に基づいていることで、ブレない経営を実現します。

特に地域密着型の工務店においては、お客様との長期的な関係構築が重要です。理念が深く浸透していれば、社員一人ひとりがお客様の「想い」を理解し、期待を超えるサービスを提供しようと努めます。これは、単なる技術力では測れない、お客様にとっての「価値」となるのです。

2. 理念を「共同で」策定・再定義する:全員参加型プロセスで「自分事」に

せっかく掲げた経営理念が形骸化してしまう最大の要因は、経営者が一方的に作った「お題目」になってしまうことです。社員が「自分たちの理念」だと感じられなければ、行動への落とし込みは困難です。そこで、理念の策定や再定義には、社員を巻き込む共同プロセスが不可欠です。

具体的な共同策定・再定義のステップ

  1. 現状の課題と理想の姿を共有するワークショップ開催

    経営者だけでなく、現場の職人、営業担当、設計士、事務スタッフなど、様々な部署の代表者が参加するワークショップを開催します。「私たちは何のために存在するのか?」「お客様にどんな感動を提供したいのか?」「私たち工務店の誇りとは何か?」といった問いを投げかけ、意見を出し合います。特に、具体的なお客様の成功事例や、反対に課題となった事例などを共有することで、よりリアリティを持って議論を進められます。

  2. キーワードとコンセプトの抽出

    ワークショップで出た意見の中から、工務店の「らしさ」を表すキーワードやコンセプトを抽出します。例えば、「地域に根差した」「手仕事の温もり」「安心・安全」「生涯のパートナー」「夢を叶える」など、工務店ならではの言葉に焦点を当てます。

  3. 理念構成要素の具体化(ミッション・ビジョン・バリュー)

    抽出したキーワードを基に、以下の3つの要素で理念を構成することを推奨します。

    • ミッション(使命):私たちは何のために存在するのか?(例:地域社会に永く愛される住まいと感動を提供し続ける)
    • ビジョン(未来像):私たちはどのような工務店を目指すのか?(例:お客様の「人生の物語」を紡ぐ、地域で最も信頼される住まいのパートナーとなる)
    • バリュー(行動指針):ミッション・ビジョンを達成するために、私たちはどのように行動すべきか?(例:「お客様の期待を超える一歩」「プロとしての誇りと責任」「チームワークで最高の品質を」「常に安全第一」など、具体的な行動に紐づく言葉)

    このプロセスを通じて、社員が自分たちの言葉で理念を語れるようになることが目標です。理念が明確になることで、今後の経営戦略における意思決定の軸も定まります。

3. 「言語化」と「視覚化」で理念を明確に:どこでも見れる、誰でも理解できる状態へ

せっかく素晴らしい理念を策定しても、それが社員の意識の中に定着しなければ意味がありません。理念を日々の業務に落とし込むためには、簡潔に「言語化」し、効果的に「視覚化」することが重要です。

具体的な言語化・視覚化のステップ

  1. 簡潔で記憶に残りやすい言語表現

    経営理念は、長文である必要はありません。キャッチーで、かつ深い意味を持つ言葉を選び、社員が覚えやすく、語りやすい形にまとめましょう。例えば、「一文字入魂、お客様の笑顔のために。」「家を建てるのではなく、幸せを創る。」のように、工務店の特性を捉えた明快な表現が有効です。

  2. 多様な媒体での視覚化
    • 社内の目立つ場所への掲示:休憩室、現場事務所、会議室など、社員の目に触れやすい場所にポスターやパネルを掲示します。
    • 社内資料への組み込み:会社案内、名刺、社内報、業務マニュアルの冒頭など、あらゆる社内資料に理念を記載します。
    • ウェブサイトやSNSでの発信:会社の公式サイトの「私たちの想い」などのページで、理念を公開し、顧客や採用候補者にも伝わるようにします。理念に基づいた施工事例やお客様の声を発信することで、より具体性が増します。
    • 統一ロゴ・デザイン:理念を象徴するロゴやデザインを作成し、社内外のコミュニケーションツールで一貫して使用することで、視覚的な印象を強化します。

Q&A:潜在的な疑問に答える

  • Q: 既存の理念が形骸化している場合、どこから手をつければ良いですか?
    A: まずは、現状の理念に対する社員の認識度や共感度をアンケートや対話で把握することから始めましょう。その上で、ステップ2の「共同で再定義する」プロセスに進み、社員を巻き込みながら「自分事」として捉え直す機会を設けることが重要です。経営者が率先して理念を語り、その重要性を再認識させる場も必要です。
  • Q: 小規模な工務店でも、正式な経営理念は必要ですか?
    A: はい、規模に関わらず経営理念は非常に重要です。小規模だからこそ、オーナーである経営者様の想いや価値観が直接的に組織文化に影響を与えます。それを明文化することで、数少ない社員とも共通の目標意識を持つことができ、採用においても「どんな仲間が欲しいか」の基準が明確になります。外部の協力業者との連携においても、理念を共有できるパートナーを選ぶことが、品質と信頼に繋がる経営戦略となります。

経営戦略×経営理念:成果を最大化する具体的な取り組み

経営理念は、ただ美しく飾っておくものではありません。工務店の組織力を強化し、具体的な成果に結びつけるためには、経営戦略と連携させ、日々の業務に深く浸透させる具体的な取り組みが不可欠です。ここでは、理念を「行動」へと変換するための実践的なアクションプランをご紹介します。

4. 日常業務への「浸透」を仕組み化する:理念を「使われるツール」へ

理念を全社員の行動指針とするためには、それを意識せざるを得ない仕組みを日常業務の中に組み込む必要があります。特別なイベントだけでなく、日々のルーティンの中に織り交ぜることで、理念は「使われるツール」となり、組織文化として定着していきます。

具体的な浸透の仕組み化ステップ

  1. 朝礼・会議での理念共有とディスカッション

    毎朝の朝礼や定例会議の冒頭で、経営理念を読み合わせ、その日の業務目標とどのように関連するかをディスカッションする時間を設けます。例えば「今日の現場での作業で『お客様の期待を超える一歩』をどう実践するか?」といった具体的な問いかけを行うことで、社員が理念を自分事として捉え、具体的な行動をイメージできるよう促します。

  2. 入社時研修・定期研修への組み込み

    新入社員研修では、会社の歴史や事業内容だけでなく、経営理念とその背景、生まれた経緯、具体的な事例を丁寧に時間をかけて説明します。既存社員向けの定期研修でも、理念をテーマにしたグループワークやロールプレイングを行い、理解を深めます。特に、職人さんの技能研修においても、技術と同時に理念に基づいた行動(例えば「安全第一」や「丁寧な養生」などが「お客様への配慮」に繋がること)を指導することで、意識レベルの向上を図ります。

  3. 評価制度と理念の連携

    人事評価制度に、経営理念に基づいた行動項目を盛り込みます。例えば、「お客様の声を真摯に受け止め、改善提案を行ったか」「困難な状況でもチームワークを発揮し、目標達成に貢献したか」など、バリュー(行動指針)に沿った行動を具体的な評価項目とします。これにより、社員は理念を意識した行動が自身の評価に直結することを理解し、自律的な行動を促します。

  4. 理念を体現する社員の表彰制度

    定期的に、経営理念を最も体現している社員やチームを表彰する制度を設けます。例えば「〇〇(理念の一文)賞」のような賞を設け、その具体的な行動事例を共有することで、他の社員の良い刺激となり、理念浸透が加速します。これは、社員のモチベーション向上だけでなく、理念が具体的な行動として「目に見えるもの」になる非常に有効な経営戦略の一つです。

5. 顧客・地域社会への「発信」と「実践」:理念の「外向き」の価値を高める

経営理念は社内向けだけでなく、顧客や地域社会に対する企業の約束でもあります。理念を外部に発信し、日々の業務の中で実践することで、企業のブランド力や信頼性を高め、良好な関係を構築できます。

具体的な発信・実践のステップ

  1. 顧客対応における理念の実践

    契約前の打ち合わせから、設計、施工、引き渡し、アフターサービスに至るまで、すべての顧客接点において理念に基づいた対応を徹底します。例えば、「お客様の期待を超える一歩」というバリューがあれば、打ち合わせで提案書の+αの工夫をしたり、施工中に現場の清掃を徹底したり、引き渡し後も定期的に訪問したりと、具体的な行動で示します。

  2. 地域貢献活動と理念の連携

    工務店は地域社会に密着しています。理念の中に「地域への貢献」があれば、具体的なアクションとして、地域のイベントへの参加、小学校の職場体験受け入れ、地域の美化活動、空き家対策への協力などを積極的に行います。これらの活動は、地域住民からの信頼を得るだけでなく、社員が会社の社会貢献性を実感し、誇りを持つきっかけにもなります。

  3. 広報活動を通じた理念の発信

    ウェブサイトの企業情報ページだけでなく、施工事例の紹介記事の中でも「この家作りは、私たちの〇〇という理念に基づいて行われました」といった文脈で理念に触れることで、顧客に企業の思想を伝えます。SNSやブログでも、理念と結びついた日々の取り組みや社員の声を積極的に発信し、共感を呼び起こすような経営戦略を展開します。

6. 理念を「行動に変える」ための具体策:現場での実践力を高める

理念をただ知っているだけでなく、常に意識し、自らの行動に反映させるためには、さらに具体的な工夫が必要です。

具体的な行動変革策

  1. バリュー(行動指針)の具体的な「事例化」

    策定したバリュー(行動指針)について、「〇〇とは、具体的にどんな行動を指すのか?」を社員全員で具体例を出し合い、共有します。例えば、「プロとしての誇りと責任」とは、「設計図上の問題点に気づけば積極的に設計士と議論する」ことや、「次工程の作業者がスムーズに進められるよう、丁寧に整理整頓して引き継ぐ」こと、などです。具体的な行動事例集を作成し、新入社員の教育にも活用します。

  2. ロールプレイングとフィードバック

    顧客対応や社内コミュニケーションにおいて、理念に基づいた行動を実践するためのロールプレイングを定期的に実施します。ロールプレイング後には、参加者同士でフィードバックし合い、改善点を見つけます。特に顧客対応においては、クレーム対応など難しい場面での「理念に基づく対応」を練習することで、社員の自信とスキルを高めます。

  3. 現場での「理念チェックリスト」導入

    各現場や部署で、日々の業務において理念に基づいた行動がなされているかを確認するためのシンプルなチェックリストを導入します。例えば、現場管理者であれば「今日の作業で『安全第一』の原則を徹底したか」「『チームワーク』に基づき、協力業者との連携は円滑だったか」といった項目を自己チェックする習慣をつけさせます。これは、社員が自律的に理念を意識し、行動を振り返るための有力な経営戦略の一つです。

Q&A:潜在的な疑問に答える

  • Q: 社員が理念に共感してくれない(響かない)場合はどうすれば良いですか?
    A: まずは、共同策定のプロセスが十分だったか見直しましょう。一方的な押し付けになっていないか。次に、経営者やリーダー陣が率先して理念を体現し、その行動と言葉が一致しているかを示してください。理念が具体的行動に繋がるメリット(顧客からの感謝、評価、チームの一体感など)を明確に伝え、成功事例を共有することが重要です。社員一人ひとりと対話し、彼らの意見や悩みに耳を傾ける姿勢も不可欠です。
  • Q: 理念が「理想論」に聞こえ、業務の「足かせ」になることはありませんか?
    A: 適切な経営戦略と連動していれば、理念は足かせにはなりません。むしろ、判断基準が明確になることで、業務効率が向上する側面もあります。もし足かせと感じられるなら、それは理念の表現が抽象的すぎるか、具体的な行動指針が明確でない可能性があります。あるいは、現場の現実と乖離している内容になっているかもしれません。そうした場合は、再度共同で現実的な内容に「再定義」するプロセスに戻ることも検討すべきです。理念は常に進化していくものです。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

経営理念の浸透は、一度行ったら終わりではありません。市場環境の変化、組織の成長、新たな課題の出現に応じて、常にその有効性を検証し、改善を繰り返していく必要があります。ここでは、理念を経営戦略の柱として盤石なものにするための、継続的な取り組みについて解説します。

7. 理念の「効果測定」と「PDCAサイクル」:理念を「生きる羅針盤」に

経営理念が本当に浸透し、組織に良い影響を与えているのかどうかは、客観的なデータに基づいて測定し、改善のサイクルを回すことが重要です。理念を「生きる羅針盤」として機能させるための経営戦略です。

具体的な効果測定とPDCAサイクルのステップ

  1. 理念浸透度アンケートの実施

    年に1回程度の頻度で、社員を対象に理念浸透度に関するアンケートを実施します。「当社の経営理念を理解しているか」「日々の業務で理念を意識しているか」「理念によって行動が変わった事例はあるか」などの設問を用意し、定性・定量の両面から社員の意識を把握します。また、「理念にもっとも共感する部分」「理念を実践する上での課題」といった自由記述欄も設け、具体的な改善意見を吸い上げます。

  2. 社員エンゲージメント・顧客満足度の追跡

    理念浸透は、社員のエンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)向上に繋がります。定期的な社員エンゲージメント調査を行い、理念浸透度との相関関係を分析します。また、顧客満足度調査においても、「当社の対応は理念に沿っていると感じるか」といった項目を加え、理念が提供価値にどう影響しているかを測ります。これらのデータは、経営戦略における理念の位置づけを強化するための重要な根拠となります。

  3. 定期的な理念の見直し会議

    アンケート結果や各種データを基に、年に一度(または必要に応じて)経営層と社員代表による「理念見直し会議」を開催します。理念の内容が時代や事業環境に合っているか、より効果的な浸透方法はないか、改善すべき点はどこかなどを議論します。この会議を通じて、理念が常に最新の状態に保たれ、新たな経営戦略の方向性を示す羅針盤としての機能を維持します。

  4. 改善点の洗い出しと次期施策への反映

    効果測定で得られた課題や改善点を具体的に洗い出し、次期の理念浸透施策や、より広範な経営戦略に反映させます。例えば、「理念の実践事例が少ない」という課題があれば、事例共有会の開催頻度を増やす、「理念が抽象的すぎる」という意見があれば、バリューの具体的な行動指針を再定義する、といった形で、PDCAサイクルを着実に回していきます。

8. リーダーシップによる「模範」と「対話」:経営者・管理職が「顔」となる

経営理念を継続的に浸透させる上で、最も重要なのが経営者や管理職のリーダーシップです。理念の「顔」となる彼らの行動が、社員の意識に最も大きな影響を与えます。

具体的なリーダーシップのステップ

  1. 経営者自身が理念を体現する

    経営者自身が、誰よりも深く経営理念を理解し、日々の意思決定や行動のあらゆる場面でそれを体現することが不可欠です。例えば、困難な局面での判断、社員へのフィードバック、新規事業への挑戦など、常に「私たちの理念に照らして、この選択は正しいか」を自問自答し、社員にその姿勢を示すことで、理念の説得力は何倍にも増します。経営者の行動は、最も強力な理念浸透経営戦略と言えるでしょう。

  2. 管理職層への理念浸透教育と権限委譲

    中間管理職は、経営層と現場を繋ぐ重要なブリッジです。彼らが理念を深く理解し、自身の部下を指導する立場として理念に基づいた行動を実践できるよう、定期的な教育とコーチングを行います。また、理念に基づいた判断であれば、積極的に権限を委譲することで、管理職の主体性を引き出し、組織全体の自律性を高めます。

  3. 社員とのオープンな対話とフィードバック

    経営者や管理職は、社員と積極的に対話し、理念に対する彼らの考えや感じていることを傾聴する機会を設けます。一方的な指示ではなく、「この行動は私たちの理念にどう繋がると思うか?」といった問いかけを通じて、社員自身に考えさせるコーチングを意識します。建設的なフィードバックを通じて、理念の実践を促し、社員の成長を支援します。

9. 「次世代への継承」と「企業の成長」:持続可能な工務店経営へ

経営理念は、現在の組織だけでなく、未来の組織を形作る基盤でもあります。次世代への継承と企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略として、理念を位置づけましょう。

具体的な継承・成長へのステップ

  1. 採用活動における理念の説明と共感度重視

    新たな仲間を迎える採用活動において、募集要項や面接の場で経営理念を丁寧に説明し、候補者がそれに共感できるかを重視します。理念に共感する人材は、入社後の定着率が高く、自律的に会社の成長に貢献してくれる可能性が高いです。具体的な理念に基づいた質問(例:「当社の『〇〇』という理念について、あなたの経験から具体的に話してください」)を取り入れることも有効です。

  2. 後継者育成プログラムへの理念教育の組み込み

    将来の経営を担う後継者の育成プログラムには、経営知識やスキルだけでなく、経営理念の深い理解と実践を核として組み込みます。理念が持つ背景、創業者や先代の想い、そしてそれが現在の会社を形作っている経緯を伝えることで、経営者としての軸を確立させます。

  3. 経営戦略全体における理念の判断基準化

    新規事業の立ち上げ、M&A、事業拡大など、重要な経営戦略を検討する際には常に「この戦略は私たちの経営理念に合致しているか」を判断基準とします。理念から逸脱した戦略は、一時的に成功しても、長期的には組織のブレや顧客からの信頼失墜に繋がりかねません。理念を起点とした意思決定は、持続可能な工務店経営の要となります。

Q&A:潜在的な疑問に答える

  • Q: 理念は一度作ったら変えてはいけないのですか?
    A: いいえ、決してそうではありません。経営理念は企業の核ですが、時代や社会環境、事業のフェーズ、顧客ニーズの変化に合わせて、柔軟に見直す必要があります。特に工務店業界は技術革新や環境意識の変化が大きい分野です。大切なのは、見直しのプロセスを透明にし、社員を巻き込みながら行うことです。不変の核と、時代に適応する柔軟性のバランスが重要です。
  • Q: 他社の理念を参考にしても良いですか?
    A: 大いに参考にしてください。優れた企業の理念には、学ぶべき点がたくさんあります。しかし、安易に模倣するのではなく、「なぜその理念が素晴らしいのか」「自社にどう応用できるのか」「自社ならではの核となる価値観は何か」を深く掘り下げることが重要です。最終的には、貴社独自の歴史、強み、お客様への想いを反映した、オリジナリティのある理念を追求することが、社員の共感を呼び、差別化された経営戦略を築く上で最も効果的です。

まとめ

本記事では、工務店の組織力を劇的に強化するための「経営理念」浸透術について、具体的な9つのステップに分けて解説してまいりました。経営理念は単なるスローガンではなく、貴社の持続的な成長を支える最も重要な経営戦略の一つです。

工務店が直面する人材不足、顧客ニーズの多様化、激化する競争といった課題は、経営理念が組織の隅々まで浸透し、社員一人ひとりが共通の目的に向かって自律的に行動できる「強い組織」を求める時代になったことを示しています。理念を共同で策定し、日々の業務に落とし込み、定期的にその効果を測定し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことで、貴社の工務店は、「ただ家を建てる」企業から、「お客様の人生を豊かにし、地域社会に貢献する」企業へと進化できるでしょう。

今日から、まずは「経営理念を社員と共有する時間」を少しだけ増やしてみませんか? 朝礼で理念を読み合わせ、その日の業務との繋がりを問いかけるだけでも、社員の意識は確実に変わっていきます。経営者である貴方自身が理念の最も熱心な実践者となり、社員との対話を重ねることで、理念は「絵に描いた餅」ではなく「未来を拓く羅針盤」として、貴社の組織を力強く牽引してくれるはずです。

この実践的な経営戦略を通じて、貴社の組織力が強化され、社員が喜び、お客様が感動し、地域社会から愛される「オンリーワンの工務店」を築き上げられることを心より応援しております。さあ、今日から実践への第一歩を踏み出しましょう!

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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