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従業員エンゲージメントを向上させる!工務店の組織改革

公開日: : 工務店 経営

多くの工務店が「伸び悩み」や「人材定着率の低下」といった課題に直面しています。競合が増え、顧客のニーズが多様化する中で、従業員のやる気や一体感が失われると、工務店経営の停滞やイノベーションの遅れにつながりかねません。そのような現状で注目すべきが「経営改善」と「従業員エンゲージメント」の向上です。組織の体質を本質から変えるこれらのアプローチは、工務店の業績だけでなく、働く人の満足度や採用力をも押し上げる非常に有効な手段です。この記事では、従業員エンゲージメントを高めて経営改善を実現するための、工務店向け具体策を豊富な手順とともにご紹介します。「思い切った組織改革、何から始めるべき?」「現場のスタッフの本音が分からない」「変化を定着させられる自信がない」――といった疑問に寄り添い、明日から行動できる実践ガイドをお届けします。

従業員エンゲージメントの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

まず、組織改革の第一歩は、従業員エンゲージメントの全体像を理解し、自社の「現状把握」からはじまります。経営改善を志す工務店経営者が確実に成果を上げるためには、戦略的かつ段階的なアプローチが求められます。従業員エンゲージメントを高めながら経営改善に至るための実践的な導入手順は、以下の通りです。

ステップ1:自社の現状を定量的・定性的に把握する

  • 効果的な経営改善のためには、今の「課題」と「強み」を具体的に知ることが先決です。従業員アンケートや1on1ミーティング、顧客満足度調査などを通じて、現場の声と経営層の認識ギャップを洗い出してください。「何となく不満がある」「うまくいっている気がする」だけではなく、データや定性ヒアリングを使って現状の“見える化”を進めます。

ステップ2:エンゲージメントと経営課題の因果関係を明確にする

  • 次に、従業員エンゲージメントが業績や業務品質・離職率にどう影響しているか分析しましょう。具体的には、エンゲージメント・スコアと生産性指標(工期遅延件数や施工精度、ミス・クレーム数など)を比較し、問題が起きている部門や傾向を見つけ出します。問題の根因が「職場風土」「人間関係」「認められ感」など組織文化に存在している場合、経営改善の優先度を再検討することが重要です。

ステップ3:小さく始めて成果を見える化するパイロット施策の設計

  • 研修や評価制度の全面リニューアルといった大きな仕組み改革は慎重に。まずは「リーダー研修の試行」「現場での朝礼形式を変える」「業務改善小集団を発足」など、小規模かつ測定しやすいパイロット施策から始めましょう。施策は必ず期間や目標を設定し、途中経過も共有・振り返りを行うことで、従業員の参加意欲と成果意識が高まります。

ステップ4:成功モデルの全社展開&経営陣のコミットメント

  • 小さな成功体験が共有されたら、「成功の型」を全社へ横展開します。このとき経営層が旗振り役となり、現場スタッフと積極的に対話し、現場のアイデアや課題を吸い上げる仕組みを設けてください。「トップが本気」という環境が、従業員エンゲージメント向上と経営改善を同時に加速させます。

ステップ5:環境整備と「働きやすさ」の制度設計

  • 組織の根本的な体質改善には、業務プロセスの効率化、適正な人員配置、評価・報酬制度の見直しなど、働く環境全般への改革が付き物です。紙ベースの手続き削減やICT化など生産性向上ニーズに合わせて、従業員目線も交えて制度やインフラを整えましょう。現場の困りごとや希望を軽視せず、具体的な声を取り込む姿勢が大切です。

【現場から寄せられる質問】

  • Q:「従業員エンゲージメント」とは何ですか?どう経営改善につながるの?

    A:従業員エンゲージメントとは、一人ひとりが組織のビジョン・目標に共感し、自走して貢献しようとする精神的なつながりの度合いです。これが高まることで、ミスやトラブルの減少、顧客満足度や生産性の向上、離職率の低下が実現し、結果として経営改善へ直結します。

  • Q:人手が足りない現場でも小さく始められる方法は?

    A:大がかりな改革でなくとも、「良かった仕事事例の共有」「感謝カードの導入」「朝礼での一言スピーチ」など、小さな施策で十分スタート可能です。特定の部署や期間限定プロジェクト単位から試みる方法が効果的です。

経営改善×従業員エンゲージメント:成果を最大化する具体的な取り組み

従業員エンゲージメントの基礎的なアプローチを理解したうえで、次はいよいよ成果を最大化するための実践的手法に進みます。ここでは、工務店ならではの現場の特徴を活かした、即実行可能な経営改善の取り組みを5つのステップで具体的にご紹介します。また、よくある「つまずきポイント」に関するFAQも掲載し、ご自身の会社への応用ヒントを提示します。

ステップ1:現場の「小さな声」を拾い上げる仕組みづくり

  • 従業員エンゲージメントの根幹は、現場が「自分の意見が経営に届き、反映される」と実感することです。具体的には「アイデアBox」「匿名意見箱」「週1回の現場ミーティング」など、堅苦しくなく誰もが意見できる場を継続的に設けましょう。そして受けた声には必ずフィードバックを返す仕組みを持つことが、経営改善の第一歩となります。

ステップ2:業務プロセス改善を従業員主体で推進する

  • 現場に最も詳しいのは現場で働く従業員自身です。「日々やりにくいこと」「属人化している仕事」「無駄と思う作業」など従業員のリアルな課題意識を自主提案形式で集めます。そのうえで、業務フローチェックリストの改善や作業手順の標準化、無駄な二重入力の廃止など、具体案を経営陣がすぐ試せる体制を作りましょう。改善内容は必ず「見える化」(掲示や共有スペース、朝礼での発表など)し、成果や進捗をオープンにしていくことが継続的なモチベーションにつながります。

ステップ3:評価と報酬制度を「納得感重視」に再設計する

  • 「なぜあの人だけが評価されるのか」「どこを頑張れば給与や昇進に反映されるのか不明」という声は、従業員エンゲージメントの最大の障害となります。業績や行動目標の透明な設定と、現場の声を反映した目標管理(OKR/KPI導入)を意識しましょう。昇給や賞与だけでなく「成長機会の提供」「役割の拡大」も報いる“多様なインセンティブ”を用意することが、経営改善に不可欠です。

ステップ4:コミュニケーション活性化とナレッジシェアの推進

  • 現場・事務所・経営層の壁をなくし、情報や知識をオープンに共有できる「社内掲示板」「オンラインツール(チャットや掲示板)」「現場横断のワークショップ」などを定期開催しましょう。ベテランの経験が若手に伝わる環境、失敗事例も共有できる心理的安全性が、経営改善と従業員エンゲージメント双方の活性化を促します。

ステップ5:キャリア開発と自己成長支援制度を強化する

  • 「ここにいれば成長できる」と感じてもらうことが、働きがいと定着率の要です。具体的には資格取得支援、階層別・職種別研修、ジョブローテーション、メンター制度など、個々の成長欲求に合わせた多様な仕組みを取り入れましょう。従業員の将来ビジョンと会社の方向性を重ね合わせるミーティングを定期実施するのも有効です。

【現場担当者・経営者のよくある疑問】

  • Q:従業員エンゲージメントが低いのは「給与」や「休日数」が原因なのでしょうか?

    A:給与や待遇は重要な要素ですが、「上司に認められている実感」「自分のアイデアが活かせる裁量」「職場の風通しのよさ」など心理的要素が大きく影響します。働く環境や人間関係の施策もあわせて強化するのが効果的です。

  • Q:「具体的な成果」が見えるまでどのくらい時間がかかる?

    A:小さな変化や現場の声への素早いフィードバックは、早ければ1~3ヶ月で雰囲気の変化が実感できます。大きな経営改善成果(生産性・離職率・業績への影響)は半年から1年程度の中期視点で評価してください。

経営改善を継続的に成功させるための「次の一手」

ここまでで、従業員エンゲージメント向上を柱とした経営改善の具体策を解説しました。しかし、本当に重要なのは一度きりの改革ではなく「継続的なアップデート」をいかに組織文化として根付かせるかです。最後に、工務店経営を今後さらに発展させる持続的な施策・考え方をまとめます。

1. 効果測定:数値と現場感覚の“両輪”を活用する

  • アンケートによるエンゲージメントスコアや、離職率・現場改善件数・クレームの推移など、定量データを必ず記録・可視化しましょう。その一方で、定性ヒアリングで現場の肌感覚や「小さな成功エピソード」も合わせて蓄積します。半年・1年ごとに振り返り、次の施策立案や優先順位調整に役立てます。

2. PDCAサイクル&定期的な「現場棚卸し」実践

  • 成功・失敗事例を定例会議や社内チャットで共有し、施策を「実行→評価→改善→再展開」というPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルに乗せましょう。特に現場主導の改善案については「現場主催の棚卸し会議」を設けることで自走型組織が育ちます。経営層も巻き込み、現場発の改善アイデアが直接経営判断に生かせる流れを作り出してください。

3. 失敗を許容する組織文化の醸成

  • 職人気質が色濃く「失敗=ご法度」の空気が強い業界では、チャレンジ精神や新しい働き方が広まりづらくなります。経営層自らが「まずやってみよう」「うまくいかなかったら皆で考え直そう」という風土の発信者となり、失敗や改善提案を賞賛・共有できるカルチャーづくりを進めましょう。これにより、一人ひとりの積極性が引き出され、結果的に経営改善のスピードも上がります。

4. 他社事例との比較と外部の視点活用

  • 外部セミナーや業界研究会、同業他社とのベンチマーク会などを積極的に取り入れましょう。先進的な他社の取り組み事例や失敗談は、気付きと変革の起爆剤になります。自社の取り組みとの“差分”を客観視し、新たな施策創出や危機感喚起にも役立ちます。

5. 中長期ビジョンと従業員への「巻き込み方」設計

  • 従業員は会社の「未来像」に共感し、その実現への一翼を担う時に最も力を発揮します。中期経営計画や「10年後の理想の工務店像」など、会社の進化ストーリーを従業員と一緒に考えるワークショップの実施や、定期的なビジョン発信をおこなってください。個人のキャリアと会社の成長がリンクすることで、日々の経営改善活動がより自発的かつ持続的なものになります。

【よくある応用的質問】

  • Q:現場のメンバーが「どうせ変わらない」と冷めている時、打開策は?

    A:まずは「実現可能な小さな改善」からはじめ、成果や変化を“視覚化”して皆で共有してください。経営層自らが現場を巡回し、スタッフ一人ひとりの声を直接聞く場を設けるだけでも変化のきっかけとなります。「現場と経営層で一緒に考える」姿勢を根気よく続けることが突破口となります。

  • Q:従業員エンゲージメントを高め続けるために外部の力は使うべき?

    A:自社内での取り組みに慣れて来たら、コンサルタントや研修会社による第三者視点の棚卸し・アドバイスも有効です。また他社訪問や異業種交流での「気付き」も効果的。外部の力を定期的に活用することで、既存の枠にとらわれず柔軟に経営改善を進められます。

まとめ

本記事では、工務店が現状を分析し、従業員エンゲージメントを高めて経営改善を実現するための、段階的かつ即効性のある手順をご提案しました。まずは現場の「声」と「データ」を丁寧に拾い上げ、小さく始めて成功モデルを広げる姿勢が組織全体の推進力となります。施策の効果を見える化し、成功・失敗を組織的に振り返りながら、従業員を中長期ビジョンへと巻き込むことで、変化は持続可能なものへと進化します。今日から始められる一歩を積み重ねることで、魅力的な組織と業績向上は必ず実現できます。従業員・現場の笑顔が、未来の工務店の成長エンジンとなるはずです。変革に挑む皆様の一歩を、心から応援しております。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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