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顧客との長期的な関係構築!工務店の成功術

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者として、日々採算や受注確保、人材確保に悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特に昨今のきびしい市場環境下では、単発の受注に頼った経営では生き残ることが難しく、中長期的な視点での経営戦略が求められています。また、その要となるのが「顧客との長期的な信頼関係」であることも、すでにご存じかもしれません。しかし、「どうやって顧客関係を築き、維持・発展させればよいのか」「他の工務店と差別化するにはどんな戦略を取るべきか」といった実践的な解決策に、悩みが尽きないのも事実です。

本記事では、工務店経営に今すぐ活かせる具体的な行動手順と、顧客関係を強化しながら着実に成果へと導くためのノウハウを、分かりやすいステップ形式で詳しく解説します。さらに、経営戦略と顧客関係を統合した形での実践事例や、皆さまの現場で生じがちな疑問にもズバリ回答。読み終わった瞬間から実践に移せる、実用性と納得感の高い内容でお届けします。

顧客関係の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

まずは、工務店における新たな経営戦略の軸として、「顧客関係」強化の基礎から実践までを段階的に整理します。これからご紹介する5ステップを、順を追って取り組むことで、着実な効果と業績アップを目指すことができます。

1. 顧客データベースの整備と活用

顧客との長期的な関係を築くには、まず「知ること」から始まります。
具体的手順:

  • 既存顧客(OB顧客)や新規問合せ顧客の名前・連絡先・施工履歴・家族構成・関心あるサービスなどを一覧化し、エクセルや顧客管理ソフトに入力。
  • 新規受注時は必ずヒアリングシートを作成し、顧客データを刷新していくこと。
  • デジタル管理に不慣れな場合は紙ベースでも構わず、最初は「抜け・漏れ」がない管理を心がけることが重要です。

これにより、「誰がどんなニーズを持っているか」を見える化し、次のアクションへつなげられます。

2. 定期的なアフターフォロー体制の確立

工事が終わったら「関係も終わり」になっていませんか?
顧客との信頼関係は、むしろ施工後のフォローこそがカギとなります。

  • 施工後1カ月、半年、1年ごとなどの定期連絡スケジュールをあらかじめ設定し、カレンダーや管理表に記録。
  • 定期訪問やメンテナンス点検、無料相談日などを設け、積極的に接点を作り続ける。
  • 小さな不具合でも「すぐ対応する」文化を社内全体で徹底させる。

このような仕組み化により、顧客からの紹介やリピートが自然と増加します。

3. 顧客目線のコミュニケーション強化

工務店経営は「施主との意思疎通」が成功の分かれ道です。

  • 最初の打ち合わせから、専門用語をなるべく使わず、分かりやすい説明を徹底。
  • 固定化した連絡手段(電話・メール・LINEなど)を確認し、顧客ごとに最適な方法を提案する。
  • 感謝の手紙や季節のご挨拶ハガキなど、心配りのあるコミュニケーションもおすすめです。

こうした丁寧な姿勢が「またお願いしたい」という信頼感の醸成につながります。

4. 継続的な価値提供と情報発信

他の工務店との差別化には、情報提供・アフターサービスが重要です。

  • ニュースレターやSNS、ブログで家づくりやリフォーム、暮らしの知恵などお役立ち情報を発信。
  • 新商品やキャンペーンの案内、地域イベント招待などで、定期的に接点を維持。
  • ターゲット顧客の「知りたいこと」「相談したいこと」に合わせて内容を検討することが大切です。

こうした活動は、見込み客からも高い評価を受け、潜在顧客の開拓にもつながります。

5. 社員一丸となった顧客関係重視の社内文化づくり

経営者だけが頑張っても仕組みは浸透しません。

  • 朝礼やミーティングで「顧客視点での行動・気配り」の事例共有をクセづける。
  • 顧客アンケートやクレーム事例をオープンに共有し、全員で改善策を考える。
  • 「ありがとう」「助かったよ」といった顧客の声を周知し、社内のモチベーション向上につなげる。

組織風土として根付けば、どのお客様にも安心して頼っていただける会社に成長できます。

FAQ:顧客関係と経営戦略の基礎疑問に答える

  • Q:顧客管理システム導入は必須ですか?
    A:必須ではありませんが、効果的な経営戦略の実行にはデータ管理の精度が業績に影響します。最初はエクセルや紙台帳でも十分なので、まずは記録・蓄積を始めてください。
  • Q:アフターフォローはどこまでやれば良いのでしょう?
    A:定期訪問・点検だけでなく、電話やメールでもこまめに状況確認をおすすめします。顧客の声に真摯に耳を傾けることで、困り事や追加ニーズもキャッチできます。

経営戦略×顧客関係:成果を最大化する具体的な取り組み

次に、経営戦略の柱として顧客関係を活用し、しっかりと成果へ結び付けるための具体的なプロセスと、現場でよくある疑問へのアドバイスを解説します。

ステップ1:見込み客へのアプローチを「関係構築型」に切り替える

「売り込み型」営業は、近年ますます成果が出にくくなっています。

  • 問い合わせや内覧会来場時に、将来の「暮らし」や「不安点」について丁寧にヒアリング。
  • よくある「価格競争」から一歩抜け出し、顧客のこだわりや価値観に寄り添った提案型面談を重視。そして商談簿やCRMに議事録を残し、次回アプローチに活用します。
  • 「今すぐ契約」を迫らず、顧客のペースに合わせて信頼醸成を目指す方針に切り替えることが、長期的なご縁につながります。

ステップ2:顧客生涯価値(LTV)最大化のための戦略を立てる

一度きりの取引で終わらせない。そのために、経営戦略としてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)拡大を目指しましょう。

  • 新築のみならず、リフォーム・修繕・リノベーション・メンテナンス受注の仕組みを導入。
  • 年間点検パックや定期契約型サービスを商品化し、継続受注を得られる設計に。
  • 「OB顧客紹介キャンペーン」や「感謝祭」などを定期実施し、ご家族・ご友人への紹介が継続するよう仕掛ける。

顧客1人当たりの総取引額を増やし、安定した収益基盤を構築しましょう。

ステップ3:顧客関係を強める「体験価値」マーケティングの展開

今の工務店市場は、単なる「モノ」売りから、生活体験やストーリー重視へとシフトしています。

  • 完成見学会や現場案内時に、顧客や地域の方が参加できる「暮らし体験イベント」や「ワークショップ」を開催。
  • 実邸訪問やOB施主を交えた座談会など、「リアルな声」「暮らしぶり」を自社ストーリーに昇華。
  • エピソードや感動体験をWEBやSNS、広報誌で発信し、共感価値を高める。

同じ商品・プランでも「あなたの会社だから買いたい」と思ってもらえる差別化効果が高まります。

ステップ4:アフターサポート専任担当の配置・育成

「管理者=担当者=現場監督」が全てを行う体制では、どうしても顧客関係が分散しがちです。

  • 規模に応じてアフターフォロー担当専任者を設置し、点検・訪問は専任者が一括コントロール。
  • 現場での技術対応力だけでなく、「寄り添う力」「提案する力」を育てるために、接遇研修やマナー教育も導入。
  • アフターで伺った情報や相談内容を営業チームと即時共有し、次のビジネスへ確実につなぐ社内連携の仕組み化。

これにより「対応が早い」「顔が見える安心感」の口コミが広がりやすくなります。

ステップ5:経営戦略・顧客満足度の「見える化」

どの施策も「やりっぱなし」はNGです。

  • 顧客アンケートや総合満足度調査を実施し、定期的に客観データで課題・強みを分析。
  • 「紹介率」「リピート率」「クレーム減少率」など、具体的な数値目標を経営指標として定める。
  • 社内報や掲示板で達成状況を可視化し、スタッフ全員で目標意識を共有。

施策の成果を定期検証し、成功ノウハウを全社員に浸透させていきましょう。

Q&A:現場でよくある疑問を徹底解説

  • Q:営業活動とアフター担当、兼任させても効果は出ますか?
    A:小規模事業者では兼任も現実的ですが、成長を目指す場合は役割分担と専門力強化が不可欠です。顧客関係の深化には、アフター専任者の設置が推奨されます。
  • Q:イベントや情報発信が苦手な場合、どうすればよいですか?
    A:小さなスタートでOKです。季節ごとのニュースレター作成や、地元イベントへの協賛など、無理のない範囲で継続することが大切です。社外の専門業者を活用するのもひとつの手です。
  • Q:顧客からの厳しいクレームへの対応方針は?
    A:初期対応の迅速さと誠実さを最重視します。原因究明は全社で共有し、再発防止策もキチンと伝えましょう。クレームは「信頼を取り戻すチャンス」と認識しましょう。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

最後に、経営戦略を一過性のものにせず、さらなるレベルアップと持続的な成長へと導く「改善アクション」をご提案します。

1. 効果測定のループを回す(PDCAサイクルの応用)

  • 目標(新規受注数・LTV・リピート比率など)を明確に設定。
  • 顧客アンケートや経営データを随時分析し、KPI(重要業績評価指標)をスタッフごとに共有。
  • 未達成の要因分析→改善施策の導入→再モニタリング…と、根気強くPDCAを回しましょう。

経営戦略は「策定」より「継続改善」のほうが成果を左右します。

2. 地域密着型ブランディングの再構築

「顔が見える」「気軽に相談できる」ことが工務店の強みです。

  • 地域住民との交流イベント、自治体・地元法人との連携を強化し、地元住民にしっかり根づいた存在になる。
  • 地域貢献活動や、地元の商店・NPOとの協働などでローカルブランディングを深化させる。
  • ブランドメッセージや、ビジョン・行動指針を社内外で発信し続けましょう。

3. 最先端テクノロジーの段階的導入

今後も競争環境は激化が予想されます。IT化・DXの波にも乗り遅れないことが重要です。

  • 顧客管理や見積もり、アフターサービス管理など、無料・有料ツールの積極的導入。
  • Web見積もり、自動応答チャット、オンライン相談等を順次導入し遠隔営業にも対応。
  • 建築現場管理アプリなどで業務効率を高め、スタッフの働き方改革も進めましょう。

4. 社員教育と組織力強化の徹底

顧客関係や経営戦略の成果は、「人の成長」と比例します。

  • 社内勉強会、外部研修、ロールプレイングなど継続的な社員教育を実施。
  • 志を同じくするスタッフ同士が切磋琢磨しあう風土の醸成。
  • 優秀なスタッフの表彰、報奨制度などモチベーション向上施策も有効です。

5. 顧客の声をもとに次の事業モデルを創造

どんなに素晴らしい経営戦略も、「次の一手」を生み出し続けてこそ価値を持ちます。

  • 定期的なヒアリングやアンケートで顧客・OB客の本音を深掘り。
  • 新しい商品アイデアや新事業(ex: 賃貸管理、エクステリア事業、スマートホーム分野等)への発展を検討。
  • 「顧客に選ばれ続ける会社」を目指し、時流と現場の声を経営判断に反映しましょう。

FAQ:戦略実行と改善のための疑問を解く

  • Q:最新ITツールを導入する際の注意点は?
    A:目的を明確化し、業務フローに合致したものを厳選して導入してください。操作研修も必須です。機能重視より「実際の現場で使いこなせるか」に注目を。
  • Q:社内に抵抗感がある場合はどう進める?
    A:小さな改善や成功体験を積み重ねて、「できた」という実感を共有しましょう。ベテラン層にはマンツーマンサポートを。
  • Q:新規事業や新サービスの立ち上げで失敗しないコツは?
    A:まずは小規模&パイロット導入。顧客からのフィードバックを即時反映し、段階的に広げることがポイントです。

まとめ

工務店が今後持続的に発展するための要点は、「マーケットに流される」のではなく、「自社だからこそできる経営戦略」を明確に描き、顧客関係への徹底注力と連動させることに尽きます。記事を通して紹介した顧客データ整備やアフターフォロー、LTV最大化策、情報発信力の強化、PDCAの定着などは、いずれも明日から実践可能な具体的アクションです。これらを愚直に進めれば、確実にファン顧客が増え、安定経営・企業価値向上へとつながっていきます。大切なのは「一歩を踏み出す勇気」と「継続的な改善力」。今日から、小さな一歩をぜひ始めてみてください。未来のあなたの工務店が、地域からも顧客からも「選ばれ続ける存在」となるための礎が、ここから築かれることを心より期待しています。

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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