コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

インターンシップで未来の職人を発掘!工務店の採用戦略

公開日: : 工務店 経営

日本の工務店業界では、高齢化や人材不足が深刻な社会課題となっています。「若手が採用できない」「入社後のミスマッチが多い」「職人文化を継ぐ人材が途絶えそう」――こうした悩みは、規模を問わず多くの経営者が抱える共通課題です。今こそ、旧来的な採用手法にとらわれず、柔軟かつ実効性のある新戦略が求められています。その解決策の一つが、インターンシップを積極的に位置付けた採用活動です。本記事では、実際に工務店でインターンシップを導入・活用し、未来の職人を自社で発掘・育成するための実践的なステップをご紹介します。「インターンシップはどう設計すれば効果があるのか?」「学生に何を体験させれば良いのか?」「採用までどのようにつなげるべきか?」――現場で役立つノウハウを厳選し、検討の初めから運用、そして採用後のフォローまで、“今すぐ実践できる”具体的なアクションをご提示します。自社に合った人材を発掘し、持続的な成長を実現したい全ての工務店経営者の皆さまに、新たな希望と確かな成果をもたらす一助となる内容です。

インターンシップの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

「若手が集まらない」「入社後すぐに辞めてしまう」など、採用の質と量に苦戦する工務店が増えています。その現状を打破する鍵として、インターンシップの導入が有効です。しかし、形だけの短期体験では意味がありません。ここでは工務店に最適なインターンシップ導入の全過程を、実践的な手順とともにご紹介します。

1. インターンシップの目的を明確にする

まず、“自社にとってのインターンシップのゴール”を定めます。単なる体験で終わらせず、採用に直結させるためには、職人文化の理解促進、新人の発掘・評価、定着率の向上、技術の継承など、企業としての意図を具体的に言語化しましょう。経営者自らの意思と現場責任者の認識共有が不可欠です。

2. インターンシップ設計:プログラム内容の策定

  • 期間の設定:数日間~1ヶ月とし、長すぎず短すぎない柔軟な日程を用意します。大学の授業スケジュールに合わせ、夏・冬休み期間を活用すると集客がスムーズです。
  • 業務体験の選定:現場見学、職人補助、工具の取り扱いや設計補佐など、多様なタスクを組み合わせます。単なる見学ではなく、“自分の手を動かしてものづくりを体験できる”構成を重視しましょう。
  • 社員交流の機会:朝礼の参加や職人との懇談、経営者との意見交換タイムなど、社員と学生が直接触れ合うシーンを設けてください。
  • 成果物の設定:「ものづくり体験レポート」「簡単な設計図作成」など、振り返りと成長の可視化に繋がる課題を与えるのも有効です。

3. 受け入れ体制の整備とリスク管理

  • インターン受け入れにおける「安全対策」「労務管理(保険、事故対応)」も事前に確認します。
  • 現場スタッフへの事前説明会(マナー、指導の心得、コミュニケーション方法)を行い、「教える文化」を事業所内に根付かせます。
  • インターンシップ開始時のオリエンテーションや、日々のフィードバックタイムを設け、疑問・不安をその場で解消できる風土を築いておきましょう。

4. 学生募集の戦略的アプローチ

  • 大学のキャリアセンターや専門学校への情報提供、地元高校との連携、求人サイトへの掲載、SNS発信など、複数のルートで告知を徹底します。
  • 「地元で働きたい」「手に職を付けたい」学生のニーズを意識し、“地元密着型工務店の魅力”を前面に打ち出して告知文を作成しましょう。
  • 従業員・OBへの口コミ依頼や、協力業者等のネットワークも動員します。

5. エントリーから受け入れまでの流れを明確化する

  • エントリーフォームやメール対応プロセスを整え、申し込んだ学生が不安なく参加までを進められるよう自社HPや案内書類などにフローを明示します。
  • 事前説明会やQ&Aセッションを設け、参加学生の心理的ハードルを下げておくことも忘れずに行いましょう。

6. 実施後のフォローアップと評価

  • インターンシップ終了後、参加学生へのアンケートや意見交換を必ず実施し、プログラム改善や採用活動へのフィードバックに活用します。
  • 有望な学生には個別にコンタクトを取り、今後の選考やアルバイト紹介、OB訪問など、「継続的な接点作り」が重要です。

7. 現場からの声とFAQコーナー

「本当に人が集まるのか?」「現場は忙しくて余裕がないが大丈夫か?」という工務店ならではの疑問にもお応えします。

  • 人的リソースをやり繰りして一時的な体制を作ることが、将来の採用難解消につながる投資になります。
  • 一度やってみて課題や余裕の有無を現実的に把握し、無理せず毎年できる仕組みに調整していくことが肝要です。

採用×インターンシップ:成果を最大化する具体的な取り組み

インターンシップを効果的な採用活動へつなげるには、“プログラム運営”だけでなく“応募から内定までの導線設計”が重要です。ここでは、成果を最大化するための実践アクションを段階ごとに解説します。

1. 体験から採用へ:シームレスなステップ設計

  • インターンシップ中に、「現場社員との対話機会」や「疑似業務体験」だけでなく、“会社説明会”や“小規模座談会”を同時開催すると、より深い理解と信頼感を醸成できます。
  • 体験最終日には、社長または採用担当との個別面談を設定し、入社意欲や適性、疑問点を直接把握・フォローします。

2. 学生の不安を見逃さない:選考サポートと情報発信

  • 「工務店の仕事はきつい?」など先入観や業界の不安を払拭するよう、定期的なOB・現役職人インタビュー記事、動画コンテンツ発信が有効です。
  • インターンシップ参加者限定の説明会や、現場見学会への再招待など、選考段階での“追加体験”もリテンションにつながります。

3. 書類・面接選考の工夫「インターン経験者優遇策」

  • 「エントリーシート免除」「一次面接免除」など、インターンシップ経由の学生に特典を設けることで、応募ハードルを下げます。
  • 面接時には現場体験から得たこと、その中での成長や学びに着目し“採用基準”の重み付けを変更すると、定着度の高い人材を選びやすくなります。

4. アルバイト・OJTによる「見極め・定着フォロー」

  • インターンシップ後の「アルバイト登用」や「職場体験追加コース」の設定により、学生の適性・関心・定着意欲をじっくり見極めます。
  • この期間中も、OJT担当(現場リーダーなど)がメンタリングを実施できる体制を整えましょう。

5. 内定後フォロー:入社前教育と家族向け説明

  • 内定から入社までのブランクで不安が再燃しないよう、「内定者向け現場見学」「親子面談」「ものづくりイベント」等を通し、職場・業界理解をさらに深めてもらいます。
  • 家族からの質問や不安にもしっかり向き合い、“地元で社会貢献できる仕事”としての魅力訴求を、積極的に発信しましょう。

6. 現場で役立つQ&A:よくある疑問・課題

  • 「インターンシップにどのような学科の学生が集まりやすいですか?」
    理系(建築・土木・デザイン系)が主ですが、文系・その他理工系にも幅広く門戸を開くことで、多様な人材と出会えます。
  • 「現場が多忙で指導者の余裕がありません……」
    現場リーダーに“指導加算手当”や“人事評価ポイント”を設定し、モチベーションや負担軽減につなげている事例があります。
  • 「インターンが採用につながる実感がわくまで、どれくらい期間・回数が必要ですか?」
    最低でも2年連続で継続することで、効果測定・ノウハウの蓄積・口コミ効果が現れやすくなります。

採用を継続的に成功させるための「次の一手」

1回のインターンシップや単年度の採用活動で満足するのではなく、“持続可能な仕組み化”によって初めて業界人材不足・定着率低下に歯止めがかかります。では、どのような仕組み構築・効果測定が必要なのか、段階ごとにご紹介します。

1. DE&I(多様性・公平性・包摂性)を取り入れた採用戦略

  • 性別や年齢、学歴・バックグラウンドにとらわれず、「多様な働き手」が活躍できる企業風土を作りましょう。
  • 工務店=男性・体育会系というイメージを払拭し、柔軟な働き方や女性職人の活躍エピソードも発信することが効果的です。

2. 定量・定性の両面で「効果測定」

  • 毎年のインターン参加人数、採用者数、早期離職率、満足度アンケートなど、数値的に記録・分析していきます。
  • 参加学生や社員からの声をフィードバックし、“なぜ成功した・失敗したか”を定性的にも検証しましょう。

3. 継続的なプログラム改善サイクルの構築

  • インターンシップ実施後すぐにミーティングを開催し、運営側・現場指導者・学生の意見をもとに次年度に向けた改善策をまとめます。
  • 外部の専門家や他工務店との情報交換にも参加し、プログラム内容をアップデートしましょう。

4. 内部広報と社内エンゲージメント施策

  • インターンシップの成功体験や、採用者の成長事例を社内報・Web・SNS等でアピールし、“自社誇り”を醸成します。
  • 現場スタッフにインターンシップ受け入れの意義や成果を繰り返し伝え、全社的な協力体制へと発展させていくことが重要です。

5. 中長期的な「ブランド力」強化策

  • 大学・専門高校・地域社会との継続的な連携により、自社への信頼感を構築し、「地域で一番選ばれる工務店」を目指します。
  • インターンシップや新入社員教育を通じた社会貢献・技術伝承の発信が、新たな人材獲得・顧客満足にも直結します。

6. もし成果が出ない場合の「再現性アップ」ポイント

  • 採用・インターンシップ両方の過程について、“うまくいった点/つまずいた点”を洗い出し、第三者の視点や外部評価を積極的に取り入れます。
  • 他社事例の研究や、専門家アドバイスの導入も再挑戦時に大きなヒントとなります。

7. 今後の業務展開に役立つQ&A集

  • 「従来の職人採用と比較して、どんな違いがありますか?」
    インターン経由の採用は、現場適応力やチーム内コミュニケーション力など、“見えづらい適性”を実体験で判断できるのが大きな利点です。
  • 「インターンを実施して学生が無断欠席・途中辞退した時はどうすれば?」
    事前説明会できちんと心構えを伝え、直前連絡用のツール(LINE, メール等)で即応体制を整備しておくと安心です。
  • 「職場見学やOB会活用のコツは?」
    元社員・現場OBにリアルな職人・人生ストーリーを語ってもらうことで、学生の好感度・入社意欲が格段に高まります。

まとめ

工務店における持続可能な採用戦略として、インターンシップの有効活用は欠かせません。現場リアルを体感できる多様なプログラム設計、学生の不安や疑問への丁寧なサポート、社員全体を巻き込んだフォローアップ、継続的な効果測定――こうした具体策の一つひとつが、未来の職人発掘と自社成長への確かな道筋となるはずです。既存のやり方に固執せず、小さな一歩からでも取り組みを始めてみてください。着実な実行と改善の積み重ねが、永続的な人材確保・企業活性化につながります。今まさに、時代の変化を自らの手で切り拓く勇気ある経営判断を。これからの工務店業界を担う皆様の挑戦と成長を、心から応援します。

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

モデルハウスの成約率を上げるための営業トーク術

2025/06/19 |

工務店の経営者の皆様、モデルハウスの活用は、集客や会社の信用獲得において非常に有効な手段です。しかし...

記事を読む

AIで見積もりを自動化!工務店の業務効率化最前線

2025/08/18 |

工務店の現場では、手間のかかる見積もり作業や、業務負荷の増大に頭を悩ませている経営者の方が増えていま...

記事を読む

住宅展示場来場者への効果的なアフターフォロー

2025/07/18 |

近年、工務店を取り巻く環境は大きく変化し、単に「家を建てる」だけでは顧客に選ばれにくい時代となりまし...

記事を読む

モデルハウスで顧客に感動を与える演出術

2025/07/18 |

工務店経営において、多くの方が集客や顧客獲得の壁に直面します。「モデルハウスを開設したのに来場者が伸...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑