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キャッシュフロー計算書の見方と経営改善への活用法

公開日: : 最終更新日:2025/09/27 工務店 経営

工務店を経営していると、日々の現場管理や顧客対応に追われ、経営の数字をじっくり分析する時間がなかなか取れない、という声が多く聞かれます。しかし、工務店 財務諸表は事業の健康状態を示す“経営の羅針盤”であり、特にキャッシュフロー計算書は現金の流れを可視化できるため、経営改善の実践に役立ちます。「利益は出ているはずなのに資金繰りが厳しい」「財務諸表のどこを見て経営判断すればよいか分からない」──そんな疑問や課題に答え、この記事では、工務店 財務諸表の本質からキャッシュフロー計算書の読み方、さらに数字を現場改善に結び付ける具体ステップまでを解説します。読めば、工務店 経営の「お金の見える化」と、数字に基づいたぶれない戦略的判断力が身に付きます。経理担当者や会計事務所任せではない、自社の財務把握と経営改善の実践力を身につけたい方へ、実践的な手順とポイントをお届けします。

キャッシュフロー計算書, 経営改善の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店が経営数字を活用する際、最初につまずきやすいのが「工務店 財務諸表」の全体像と、その中でキャッシュフロー計算書が果たす役割です。ここでは、基礎理解から具体的な使い方まで、現場で必要になるポイントを押さえます。

ステップ1:工務店 財務諸表の構成を正確に理解する

工務店の財務管理では、主に「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」の3つを軸に把握します。

  • 貸借対照表(B/S):資産・負債・純資産など会社全体の財政状態を指します。工務店で多いのは「未回収の売掛金が増えて現金が足りない」「在庫材料や仕掛品が膨らみ続けて財務が不安定」という課題です。
  • 損益計算書(P/L):売上・原価・経費などの年間の経営成績を示します。単なる利益だけでなく「本業以外の収入」「固定費の増減」もチェックしましょう。
  • キャッシュフロー計算書(C/F):現金の流れ、つまり「会社に入ってくるお金」「出ていくお金」の流れを把握できます。資金ショートのリスクを最も早く把握できるため、他の財務諸表と並行して必ず確認したい書類です。

ステップ2:キャッシュフロー計算書が経営改善に不可欠な理由

工務店は工事ごとに多額の材料費や外注費がかかり、入金までのタイムラグも大きくなりがちです。このため、「利益が出ているのに手元資金が減っていく」という状況が多発します。キャッシュフロー計算書は
この現象の原因特定と改善のために不可欠です。

  • 営業活動によるキャッシュフロー:本業の工事受注や請求、経費支払いの流れが現れます。「売上-仕入-人件費」など通常業務の現金増減を見極め、「現場は黒字なのに実際の預金が減っていないか」を毎月点検しましょう。
  • 投資活動によるキャッシュフロー:設備導入や車両購入など、将来の売上増を見込んだ現金支出を示します。投資判断が資金繰りに与える影響を可視化できます。
  • 財務活動によるキャッシュフロー:借入や返済、増資・配当など会社の資金調達・返済面の現金出入りも一本化できます。資金繰り計画の見直しや金融機関への説明資料にも役立ちます。

営業だけが好調でなく、投資・財務活動のバランスが取れているかどうかを定期的に確認し、経営改善に活かしていきましょう。

ステップ3:キャッシュフロー計算書の基本的な読み方

工務店 経営者に最低限押さえてほしいキャッシュフロー計算書のチェックポイントは以下の通りです。

  1. 営業活動によるキャッシュフローがプラスか。
  2. 投資活動によるキャッシュフローが過剰なマイナスになっていないか。
  3. 財務活動によるキャッシュフローで借入過多・返済過多となっていないか。
  4. 期首と期末の現金残高に大きな変化がないか(現金減少傾向が続いていないか)。

一度にすべて把握する必要はありません。最初は営業活動によるキャッシュフローの推移に注目し、「今期の現金収支は黒字かどうか」から着実に確認することが大切です。

ステップ4:工務店 財務諸表と資金繰り表の関係を知る

財務諸表は“決算時点のスナップショット”であり、資金繰り表は“未来予測ツール”です。キャッシュフロー計算書を月次でチェックし、同時に「今後3ヶ月の資金余力」を自社で手書き・エクセル等で簡単にまとめてみましょう。それにより、納税・入金遅延・突発経費などの「資金ショート対策」が格段に行いやすくなります。

工務店 財務諸表×キャッシュフロー計算書, 経営改善:成果を最大化する具体的な取り組み

ここからは、「工務店 財務諸表」とキャッシュフロー計算書を連動させ、経営改善を進める実践的な手順を紹介します。また、現場の社長や経理担当者からよくある疑問点をQ&A形式で解消していきます。

ステップ5:「キャッシュフロー改善」実践の5ステップ

  1. ① 入金タイミングの見直し
    元請・下請双方で「工事完成後一括入金」が多い場合、着手金や中間金などの分割入金を交渉しましょう。資金ショートの一番の防波堤になります。過去2年分の各現場の入金パターンを振り返ってみると、改善余地が見つかりやすくなります。
  2. ② 支払サイトの調整
    材料屋・外注先への支払サイト(支払日)を交渉し、早めの入金・遅めの支払へシフトできないか検討します。無理な値下げ交渉よりも、支払条件の工夫の方がキャッシュフローに直結します。
  3. ③ 棚卸資産の適正化
    余剰資材や滞留在庫、完成後の未引渡物件などは総現金化を早める対策を。必要以上の仕入や在庫に関して棚卸削減プロジェクトを立ち上げると、資金余力が劇的に改善するケースがあります。
  4. ④ 請求・入金チェック体制の強化
    “請求漏れ”や“消費税計算違い”、顧客側の確認ミスによる入金保留など突発リスクを封じ込める体制を、必ず月次で整備します。入金遅れには「即日電話」「毎週催促」など行動ルールを決め、“溜めない運用”を日常業務に落とし込むのがベストです。
  5. ⑤ 借入・返済の見直し
    金利負担が高い短期借入は極力減らし、長期借入や公的制度融資を積極活用するのも有効です。借換えや借入スケジュールを自社で作成し、“返済計画の見える化”を心がけましょう。

ステップ6:工務店 財務諸表から課題を見つける“経営会議シート”の作り方

  • 財務諸表の「営業利益率」「売掛金回転期間」「棚卸資産回転率」「自己資本比率」など、経営改善のKPIを2~3項目だけ選ぶ
  • 月ごとに数値推移を抜き出し、社長・現場責任者で共有する(A4一枚簡単シートで充分)
  • その「変化」の要因を、自社実務・現場プロセスに即した仮説を立て、翌月以降の現場行動に反映する

決算書の数字が“現場で何を変えるべきか”の答えと連動するようになると、本当の経営改善サイクルが動き始めます。

よくある質問(Q&A)で疑問を早期解消

Q. キャッシュフロー計算書と現預金出納帳は何が違うの?
現預金出納帳は日々の現金・預金の入出金記録、キャッシュフロー計算書はこれらを営業・投資・財務と目的ごとに分解して会社全体の“資金の動き”を分析するものです。前者は短期管理、後者は中長期の資金戦略に使います。
Q. 工務店 財務諸表は会計事務所任せにしても良いの?
法律・決算処理は専門家と連携が必須ですが、経営改善に活かすのは経営者ご自身の判断力です。会計事務所とのコミュニケーション頻度を増やし、専門外の質問も積極的に相談すると、数字と現場の“つなぎ役”として役立ちます。
Q. 赤字決算でもキャッシュフローは黒字になることがある?
はい。減価償却費や未収入金増加などの影響で、会計上の利益と実際のキャッシュ残高が一致しない場合があります。「現金を生み出す本業か、利益は出ても現金化できていない本業か」この違いを見極めるのがキャッシュフロー計算書の目的です。

工務店 財務諸表を継続的に成功させるための「次の一手」

経営改善は一度の数値分析で終わりではありません。むしろ、継続的に工務店 財務諸表とキャッシュフロー計算書を点検し続け、「定期的な課題発見」と「現場の具体的アクション」をリンクさせるサイクルが重要です。

ステップ7:月次決算の仕組み化と“小さな軌道修正”の実践

  • 最低でも月に一度、主要な財務諸表(B/S、P/L、C/F)を短時間で点検する習慣を作る
  • 数字を“分析するだけ”で満足せず、「今月や来月にどの現場・どの取引先へどのアクションをとるか」PRJ形式で決定
  • 小さな改善でも必ず記録し、次回の会議でその効果・成否を検証する

この“PDCAサイクル”を組織ぐるみで回すことで、成長力のある自走型経営が実現できます。

ステップ8:数値と現場感覚を両立させる経営リーダーシップ

経営トップや現場管理者は「数字には強いけど現場は苦手」「現場は得意でも数字はちょっと…」となりがちです。工務店 財務諸表を基礎にしつつ、毎月一度は現場で「キャッシュフローにつながる改善点」を皆で話し合う場を設けましょう。例えば、「次回見積から着手金割合を上げてみる」「材料納品のタイミングを一日遅らせてみる」「余剰資材を定期的に即売却or仕入れ抑制する」など、小さな現場アイデアが意外な経営改善に直結します。

ステップ9:IT・クラウドの活用でスピードと精度をアップ

  • エクセルやクラウド会計(freee、マネーフォワード、弥生など)で月次財務諸表や簡易キャッシュフロー表を自動生成
  • 前年同月比や類似現場データとの比較も簡単にできるようにする
  • 資料共有をクラウドで行ない、各部門長がリアルタイムで自部署の財務数値を点検できる体制づくり

IT化は最初の一歩が最大のハードルですが、一度習慣化してしまえば「数字で現場を議論できる組織力」が備わり、迅速な経営判断・経営改善に圧倒的な差が生まれます。

まとめ

工務店 財務諸表を「経営の羅針盤」として活用し、キャッシュフロー計算書を現場・経営の中心に置くことは、安定した資金繰りと持続的成長の要となります。本記事で解説した“実践的ステップ”を明日から実行すれば、目の前の数字の意味が明確になり、経営改善へのアクションが具体化します。また、定期的な点検と小さな改善を繰り返すことで、資金ショートのリスク低減・利益体質の強化・社員の数字意識向上という好循環が生まれるはずです。今すぐ取り組みを開始し、「財務諸表を読み、数字で語る経営力」を自社の大きな武器にしてください。ひとつひとつのステップが未来の安定経営と成長へ確実につながることを強く応援しています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

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