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雑費を見直す!工務店の経費削減

公開日: : 工務店 経営

工務店経営における大きな課題のひとつが、いかに無駄を省き利益を最大化するかです。その中でも、見落とされがちな「雑費」は、日々の積み重ねによって大きな支出となり得ます。また、コスト管理全体の精度を上げるためにも、雑費をコントロールする取り組みは不可欠です。しかし、どこから手をつけて良いのか分からず、非効率なまま放置している経営者も多いのではないでしょうか。本記事では、コスト管理のプロセスの中でも特に雑費の見直しにフォーカスし、工務店の経費削減に直結する具体的なアクションを段階的にご紹介します。あなたの工務店経営をより盤石にするための「今日から実行できるステップ」も掲載。無駄な出費を減らし、効率的なコスト管理を実現したいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

雑費の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店のコスト管理において、雑費の管理が後回しになっていませんか?雑費は、文房具やコピー用紙代、スタッフ用飲料、工具の消耗品など、日常業務に欠かせない経費ですが、放置すれば大きな無駄に繋がります。ここでは、雑費の定義の明確化から、実践に落とし込むための基本ステップを段階的に解説します。

1. 雑費の定義と範囲を「明確に」する

コスト管理の第一歩は、「何が雑費か」を組織内で明確に線引きすることです。多くの工務店で、経理担当者や現場責任者によって雑費の扱いが曖昧になりやすい傾向があります。

  • 「消耗品費」と「雑費」の違いを具体的事例とともにマニュアル化する
  • 毎月・毎期に発生する雑費項目のリスト化(例:文具・飲料・小規模な修理材料費など)
  • 「臨時の小口出費」と日常的な雑費を分けて記録するルール策定

2. 「見える化」で雑費を把握する仕組みをつくる

曖昧な出費が後々の経費膨張を招きます。コスト管理を強化する上でも、雑費の発生源と内容を透明化しましょう。

  • スタッフが雑費使用の度に記入する「雑費台帳」や「共用管理アプリ」の導入
  • 現場ごと、拠点ごとに雑費支出内容を細分化し、「見える化」する
  • 写真添付やレシート管理など、証跡を残せる仕組みをセットで導入

3. 適切な予算設定と「予算内運用」ルールの策定

雑費もしっかりと「予算管理」の対象にしましょう。現場レベルでの意識付けがポイントです。

  • 「前年度実績」+3%減など具体的な数値目標で月毎・拠点毎の雑費予算を設定
  • 予算オーバー時、理由を必ず報告・記録するフローを明確化
  • 予算未達成時は、その分を他用途に柔軟活用または翌月繰越などインセンティブ設計

4. 課題発見のためのデータ集計・分析

コスト管理の進化には必ず「業務データ」が必要です。雑費についても数値で把握し、問題点を見える化しましょう。

  • 月末・四半期毎に雑費項目別の集計データを作成
  • 年次/現場間/部門間の比較で「無駄」や「突出した増加」を特定
  • 1年単位で「雑費コスト削減額」または「目標達成度」をフィードバック

5. 社内共有と「現場改善」への落とし込み

経営側だけでなく全従業員にコスト管理の意識を根付かせることが、本当の経費削減・管理強化に繋がります。

  • 雑費の集計結果や改善事例を月次会議や掲示板で共有
  • 内部評価や表彰制度(「雑費削減賞」など)の導入で参画意識を促進
  • 現場経験をもとにした具体的な改善提案を募り、即時フィードバック

【コラム】なぜ雑費の見直しが利益向上へ直結するのか?

工務店の経理現場では「たかが雑費、されど雑費」。1件あたりの金額は少なくとも、全社・全現場での積み重ねは年間で数十万〜数百万円規模になることも。利益率の低下を未然に防ぐには、日常の見落としがちな雑費まで踏み込んだコスト管理が不可欠です。

コスト管理×雑費:成果を最大化する具体的な取り組み

では、実際にどのような手順で雑費を見直し、コスト管理全体の成果を高めていけばよいのでしょうか。ここでは、工務店で「実践できる」具体的なアクションを5つのステップで整理します。また、日々現場で浮かぶ代表的な疑問Q&Aも記載しました。

ステップ1:雑費用途を「棚卸し」する

まず現在どのような雑費が発生しているのか、1ヶ月分〜3ヶ月分程度の全支出明細を洗い出しましょう。ポイントは、すべての雑費を「項目」ごとにグループ分けし、支出の傾向を可視化することです。

  • 現金・カード・小口現金など全決済手段に対応してリストアップ
  • 「必要経費」か「見直し候補」か、分類を同時に進める

ステップ2:重複・過剰・無駄を見抜くコスト管理術

集計した明細の中に「重複して購入している備品」や「使い切れず放置されるストック」、「毎月必ず発生する不明瞭な支出」などがないかを一つずつチェックします。無駄・重複を発見したら、以下のアクションを検討してください。

  • 現場・部署間で消耗品を「一元管理」し、まとめて購入・配布する
  • 毎月・毎現場で消耗状況を必ず確認、余剰在庫や無用な購入を禁止
  • 半期ごとに雑費の購入担当者をローテーションし、チェックの目を入れ替える

ステップ3:仕入先・購入方法の最適化

雑費の中でも「単価が高めのもの」や「数量が多いもの」は、購入ルートの見直しや調達方法の変更でコストダウンにつながります。

  • 複数の仕入先へ見積もりを依頼し、単価の安いルートへ変更
  • オンラインストア/定期便割引/大口契約など、割引制度を積極活用
  • 現場から直接購入→本部一括購入制に変更し、ボリュームディスカウントを導入

ステップ4:支出の承認・記録フローを強化

「誰が」「どの現場で」「いつ」「何の目的で」雑費を使ったか、情報をシステム的に管理します。

  • 購入前に上長承認を義務付け、合理性の確認を行う
  • 「雑費申請フォーム」「経費承認アプリ」等、クラウド型で記録の一元化
  • レシート・請求書のデジタル保存ルールを設定し、経理作業の効率化を図る

ステップ5:定期的な振り返り・改善ミーティングの実施

1ヶ月〜3ヶ月ごとに集計結果を経営陣と現場責任者でチェックし、改善策を話し合う場を定例化しましょう。

  • 「なぜ削減できたか」「なぜオーバーしたか」の要因分析
  • 小さい成功事例・失敗事例の社内共有
  • 次回に向けての「新ルール」や改善活動計画を短期間でPDCA

現場でよくあるQ&A集

  • Q:細かい雑費の管理は手間がかかりませんか?
    A:最初は負担となる場合もありますが、スマートフォン連携の経費管理アプリの活用や、簡単な記入ルールの徹底で大幅に省力化できます。デジタル化は特におすすめです。
  • Q:雑費を削りすぎて現場の士気が下がるのでは?
    A:最低限の快適性や効率化は維持することが前提です。減らすのは「無駄な支出」であり「必要な雑費」は確保することで、現場の働きやすさは落とさずに改善が可能です。
  • Q:急な現場対応で予定外の雑費がかさむ場合の対策は?
    A:一定の「予備枠」を設定し、使用理由を明確にしたうえで承認フローを通す体制に整えましょう。不明瞭な支出を防ぎながら、柔軟性も確保できます。
  • Q:雑費の削減だけでコスト管理全体の効果はありますか?
    A:雑費は全体への直接効果が高いとは言えませんが、コスト管理意識を社内に浸透させる“起点”となります。また、雑費を見直すことで管理ノウハウが他経費(通信費や外注費など)削減にも活用できます。

サブ施策:雑費管理を活かす他のコスト管理分野への展開

雑費管理で得られた成功体験や仕組みを応用し、工務店の「通信費」「車両費」「広告宣伝費」など他のコスト分野でも同様のマネジメント手法を横展開できます。

コスト管理を継続的に成功させるための「次の一手」

コスト管理と雑費管理において最も重要なのは「継続性」です。単発の取組では目に見える改善効果が得られても、気を抜けばすぐに元通りになってしまいます。ここでは、雑費の見直しから始まり、経費削減を“習慣化”するための仕組みと、さらに成果を拡大する応用策を解説します。

1. 年間計画に基づく定期レビュー体制の構築

毎年「このタイミングで必ず見直す」という仕組みを経営計画に組み込みます。

  • 年度始めに「雑費目標削減率」「コスト管理KPI」を設定
  • 毎月・四半期・年度での進捗レビュー会議を定例化
  • 集計データや成果をグラフ・資料で可視化し、全社で理解を深める

2. ナレッジ共有・人材育成との連動

雑費やコスト管理の取り組み成果、失敗談をマニュアルとしてストックし、「教育資産」として社内で循環させます。

  • 改善事例や注意点をイントラネットや社内研修で共有
  • 新人・現場責任者向けの「コスト管理基礎研修」の導入
  • スタッフごとの力量や意識改革に合わせた個別フォロー

3. デジタルトランスフォーメーション(DX)の実践

コスト管理や雑費管理の負担を最小化し、データ活用による意思決定精度を高めるため、次のICT活用例を推進しましょう。

  • 経費精算アプリ(例:freeeやマネーフォワードなど)による自動集計・帳票化
  • クラウド型会計ソフトで「リアルタイム見える化」やアラート通知導入
  • 業務フロー全体の電子化でペーパーレス・業務効率化

4. 成果の検証・新たな削減手法の試行

ただ削減を続けるだけでなく「達成度の定量評価」「新しい削減手法の実行・検証サイクル」を数ヶ月毎に回します。

  • 「単年」「複数年」スパンでの雑費・コスト削減成果を比較・分析
  • 他社・同業の「ベストプラクティス」情報収集と横展開
  • 最新ツール・業界動向を取り入れた新たなアプローチの導入(例:共同購入やレンタル化)

5. 経営ビジョンへの一体化と全社一丸体制の確立

経費削減やコスト管理は「経営戦略」の一部として全社員が主体的に取り組む姿勢が不可欠です。

  • 雑費・コスト管理の目標を経営会議や事業計画に明記
  • 部門横断の「コスト管理委員会」など担当制・組織横断取組の導入
  • 成果に応じた報酬・評価制度への反映でやる気を醸成

【コラム】コスト管理文化の定着が企業の価値を上げる

「雑費なんて面倒」「誰かがやってくれるだろう」という意識が根付いていない企業と、全員がマイナス1円にも敏感になる企業。数年後、両者の利益率や経営継続力には大きな差が生まれます。積み重ねが新規設備投資や人材投資など攻めの経営資源にも変わるのです。

まとめ

雑費の見直しは、「今すぐ」「誰でも」「無理なく」始められる経費削減策です。本記事でご紹介した、雑費の定義から予算管理、実践的なコスト管理術、継続した仕組みづくりまでを段階的に取り入れることで、確実に利益体質へと進化できます。小さな積み重ねが大きな成果につながるのが雑費管理の真骨頂。他部門のコスト最適化へも波及させられます。ぜひ本記事の手順を今日からあなたの工務店で実行に移してみてください。効率化と利益拡大の両立を実現し、未来の事業成長と社員の働きやすさを両立させる力強い一歩を応援しています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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