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モデルハウス見学からの見込み客育成フロー

公開日: : 工務店 経営

工務店経営において、「集客」と「成約率の向上」は永遠の課題です。とりわけモデルハウスは、自社の施工力・デザイン性・居住体験を直接見せ、来場者を見込み客へと変える貴重な場です。しかし、「来場者が本当に契約に至らない」「見学だけで終わる方が多い」「効率よく見込み客育成を実践できていない」といった実務上の悩みを抱える経営者様も多いのではないでしょうか。この記事では、工務店がモデルハウス見学を最大限に活用し、見込み客育成につなげるための具体的・実践的なフローを全て解説します。イベント設計から追客、さらには社内体制まで網羅し、すぐに実行できる明確なステップと解決策をご提供します。「どうすれば来場者を確実に”次の段階”へ進められるのか?」という疑問への答えを、ぜひ見つけてください。

見込み客育成の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店がモデルハウスを活用し、本気で見込み客育成に取り組む際は、基礎づくりが最も重要です。「モデルハウスに来場した方をいかに未来の契約者へと導くか?」を念頭に、以下のステップで実践を始めていきましょう。

1.明確なターゲット設定から始める

見込み客育成は、「誰にアプローチするか」を正確に描くことから始まります。自社の強み(価格帯、デザイン、性能、サポート体制など)と親和性の高い層(例:30代子育て世代、共働きファミリー、二世帯住宅志望者など)を明らかにし、モデルハウスの企画・販促に反映させましょう。

  • 既存顧客データの分析(年代、家族構成、来店のきっかけ)
  • 立地や地域特性を考慮したペルソナ設計
  • 集客用チラシやネット広告も、このターゲットに特化

2.集客から来場後フォローまでの全体設計

来場予約、当日のオペレーション、来場後アンケート、個別ご案内といった「一連の顧客体験」を設計することが、モデルハウスによる見込み客育成の成否を分けます。おざなりな見学対応では、来場者に「この会社で建てたい」と思ってもらえません。

  • 予約制の導入で顧客情報・興味関心を事前収集
  • 初回接客時に簡単なヒアリング実施(家づくりの意向等)
  • 体感型展示やVR体験など工夫で具体的イメージを抱かせる
  • 来場後に即時フォロー(お礼メール・資料送付など)

3.見込客リストとナーチャリングシナリオの作成

獲得した見込客情報を、ただの「名簿」にしないことが大切です。属性やニーズ別、接触履歴ごとにリストを整理し、段階的にアプローチ内容を変える「ナーチャリング(育成)」設計が要です。

  • 初回来場:興味付け中心の情報提供、家族で夢を描ける資料
  • 2回目以降:ニーズごとの提案事例紹介、資金計画相談
  • イベント・セミナー招待、新着情報の定期案内

4.現場スタッフの研修とロールプレイング

モデルハウスの成否は、「現場の応対力」と「見込み客育成への意識」に左右されます。「質問に対し一歩深く掘り下げて聴く」「提案を具体的・お客様ごとに変化させる」など、商談力向上を目指し、定期的なロールプレイやOJTを実施しましょう。

  • 想定問答集(FAQ)の作成と全員で共有
  • 週1回のロールプレイングで応対品質をチェック
  • 商談後のフィードバックでPDCAサイクルを回す

5.追客フローのマニュアル化と効率化

追客(=追いかける営業行為)も、属人的にならないよう定形マニュアル化・ツールの導入が必須です。無理な営業ではなく、「その人の悩みに寄り添う」情報・コンテンツの発信を心がけましょう。

  • メール・LINE・ハガキなど複数チャネルを状況で使い分け
  • 定期的な最新施工事例紹介や、家づくり相談会の案内
  • 自社ホームページへ誘導する動線設計(SNS投稿、お役立ちコラム)

6.効果測定と改善サイクル

実践後は、各ステップごとの効果測定を必ず行い、数値の変化や顧客の反応から改善点を特定しましょう。

  • 来場数、来場からの次回面談率、受注率のモニタリング
  • アンケートや面談内容からの声を、現場・企画へフィードバック
  • 問題箇所について改善プラン策定、順次実行

【導入戦略まとめチェックリスト】

  • 自社モデルハウスと親和性の高いターゲット層を明確化しているか
  • 見込み客の動線設計(来場~追客~契約)を見える化しているか
  • 現場スタッフまで一貫した意識・スキル育成ができているか
  • 常に数値で振り返り、改善策まで具体化しているか

モデルハウス×見込み客育成:成果を最大化する具体的な取り組み

モデルハウスによる見込み客育成を成功させるには、「プロセスごとに最適なアクションを重ねる」ことが重要です。ここからは、具体的かつ即実践できる仕組みづくり・ポイントを詳細に解説します。

1.モデルハウス見学の入口から出口まで「体験価値」を高める工夫

見込み客が次の一歩を踏み出すには、単に建物を「見る」だけでなく「暮らしの物語」を体感できる演出が不可欠です。

  • テーマ設定(例:共働き家族の一日、ペットと住む家など)で、自分事化させる
  • 来場前の不安を払う「ウェルカムキット(招待状+事前案内)」送付
  • VR住宅体験や、住み心地のシミュレーション導入
  • すぐ役立つ「家づくり入門ガイド」「資金計画用エクセル」など来場特典を用意

2.モデルハウスで“課題解決型”接客を徹底する

「あなたの状況なら、こういった家づくりの選択肢があります」と、来場者ごとに個別提案。以下のフローで提案品質を高levelに保ちましょう。

  • ヒアリング→共感→簡易診断→体験型説明(「生活動線」「家事ラク」「収納術」など)
  • 住宅ローン情報、補助金制度、新しい間取りアイディアも盛り込む
  • 「モデルハウス展示=固定の売り文句」から脱却し、家族ごとの課題を徹底ヒアリング

3.来場者データの蓄積と追客シナリオ設計のポイント

せっかく来場した方も、フォローがなければ忘れられてしまう時代です。追客は「しつこくならない範囲で役に立つ情報」を順番に届けることが重要です。

  • 初回はモデルハウスで撮影した「家族写真」を同封し、思い出作り+印象づけ
  • 来場1週間以内に「その方にあった施工事例」や「間取りプラン提案」を個別送付
  • 3週間後-1か月後には、家づくりオンライン相談会やイベントに再度誘導
  • その後は2~3ヶ月に1度、お役立ち情報や新商品案内で関心を継続

このプロセスは、CRM(顧客管理システム)やExcel活用でも十分実現可能。小規模工務店規模でも、一人ひとりに「マイ担当者」として寄り添うイメージで設計しましょう。

4.SNS・ホームページ・紙DMの連携活用

現代の見込み客は、ネット・SNSも駆使して工務店の比較・検討を行います。モデルハウス見学からの継続的育成は、多チャネルの組み合わせがカギです。

  • ホームページの「来場予約」「問い合わせ」ボタンは目立たせる(スマホ対応も必須)
  • Instagramで施工例やスタッフの日常発信→ファン化、親近感醸成
  • LINE公式で、来場のお礼・情報配信・相談窓口として活用
  • 紙のDMやハガキは、中高年層・地域密着イメージの強化にも効果的

5.イベント・相談会の定期開催&「モデルハウスへの再訪」を促す

一度見学しただけでは、検討を次の段階に進めるのは難しい現実もあります。定期的なイベントは「理由づけ」となり、見込み客育成を大きく加速します。

  • OB施主宅見学会、構造見学会、土地探し相談会など多角的な企画
  • 「本契約者だけが参加できる特別内覧会」の設置
  • オンライン家づくりセミナーで遠隔地域・共働き層へアプローチ
  • 参加後に感想アンケート回収→次のステップ提案へ直結

6.見込み客育成に特化した社内体制の整備

「追客担当を誰に」「毎週何をどこまでやるか」など、曖昧な役割分担では成果は出ません。モデルハウスを軸とした見込み客育成業務は、下記の運用ルールづくりが肝要です。

  • 営業全員の「顧客進捗表」共有化(Googleスプレッドシート等)
  • 毎週の見込み客検討会議を設定、状況や課題を全員で議論
  • 追客対応マニュアル・Q&A・テンプレート化で属人性排除
  • 接客・追客のベスト事例を「成功ナレッジ」として全社に展開

【よくある質問とその解決法】

  • Q. すぐに契約につながらない来場者は手間ばかりかかって無駄では?
    A.「すぐには契約にならない方」こそ中長期顧客になります。定期的な情報発信・フォローを続けていると半年~1年後に突然問い合わせ・成約に繋がる例が非常に多いです。
  • Q. 他社モデルハウスとの違いを出すには?
    A.「体験型演出」「課題解決特化」「スタッフの個性発信」「顧客ストーリーシェア」など、“人と事例”の魅力を徹底的に打ち出しましょう。単なる建物説明に留まらず、お客様目線で暮らしへの共感を表現できれば必ず差別化が可能です。
  • Q. 追客は電話・メールなどしつこく思われがちで苦手です…
    A.「お役立ち情報発信」「お客様の課題に寄り添う提案」を原則にすれば、しつこさは感じにくくなります。売り込み感よりも“タイムリーなアドバイス”が喜ばれる傾向にあります。

モデルハウスを継続的に成功させるための「次の一手」

モデルハウスは単発のイベントで終わるものではありません。見込み客育成を着実に成果へとつなげるために、運用の「改善」と「差別化戦略」をここでは提案します。

1.モデルハウスの運用改善サイクル

定期的な現場会議やアンケート集計で、本音の反省・対策を実行しましょう。

  • 来場予約数・実来場数・追客成約率などKPIを3ヶ月ごとに点検
  • 実際の来場アンケート中の「改善要望」欄から具体的アクション案出し
  • 接客対応・イベント内容を互いにフィードバックし合う文化づくり

2.事例によるフィードバックとナレッジ共有

受注に至った見込み客、逆に2度と来なかった見込み客、それぞれの「具体的な言動・タイミング・追客手法」を全社で共有。これが「現場での肌感覚」から「社内ノウハウ資産」への転換になります。

  • スタッフ同士の月次事例発表会
  • 成功・失敗事例をマニュアル・Q&A集に加筆更新
  • 「お客様の声」を資料化し、新たな提案や販促素材として活用

3.差別化できる“次世代”モデルハウスの企画

単純な住宅展示から、共感・体験・地域密着を高めるモデルハウス企画へ進化させましょう。

  • 複合型(カフェ併設、コワーキング併設など暮らし体験型)
  • 最新技術モデル(耐震・省エネ体感装置やIoT住宅アイテムの実装)
  • 「顧客自身の参加型」モデル(DIY体験、イベント主催権の提供等)
  • 地域連携:周辺店舗や子育て支援施設とコラボ企画

4.顧客の声を活かした商品・サービス企画

見込み客育成の過程で得た生の要望・不満をもとに、「こういう工夫があればよかった」「暮らし始めて感じた使いやすさ」などを次の商品企画・提案文に反映します。

  • OB顧客アンケートやSNS投稿を分析、課題抽出
  • そのままHP・SNSに反映し、新規集客につなげる
  • 「選ばれる根拠」を実体験として説得力ある表現で打ち出す

5.デジタル×リアルの融合戦略

モデルハウスに足を運ばなくても、オンラインで見学・相談ができる仕組みは今後ますます不可欠。DX(デジタルトランスフォーメーション)は規模に関係なく促進しましょう。

  • 360°パノラマツアー動画、ライブ配信の導入
  • LINE・Zoomでの家づくり相談窓口を開設
  • Webでの「暮らしのVRシミュレーター」提供

6.外部パートナーとの協業・情報発信力アップ

モデルハウスを中心とした地域イベント・企業コラボ・学校との連携で、「話題化」と新たな見込み客層の開拓にも挑戦を。

  • インテリアショップ、建材メーカーと共同イベント
  • 自治体や民間団体の子育てイベントとのジョイント
  • 地域メディア・フリーペーパーへの記事寄稿やタイアップ

7.スタッフの情報感度・スキルの底上げ

時代のトレンドやライフスタイル、住関連法規・補助金も変化が早い分野です。見込み客の信頼を得るため継続的な学習・社内勉強会をサイクル化しましょう。

  • 月1回の最新トレンド勉強会(外部講師招致も効果大)
  • モデルハウスごとの「推しポイント」確認・アクションにつなげる朝礼
  • 資格取得支援や外部セミナーへの積極参加

まとめ

モデルハウスを基軸とした見込み客育成は、工務店経営の要です。この記事でご紹介した「ターゲティングの再定義」「徹底的な体験価値の設計」「来場後の段階的な育成シナリオ」「デジタル・リアル融合による情報発信」など、一つひとつの手順を着実に実践することで、確実に成約率やブランド力が向上します。今すぐ着手できる小さな改善からでも大丈夫です。現場・営業・企画が一体となり「顧客目線」で工夫し続けることで、どんな経営フェーズでもモデルハウスの活用効果は倍増します。本記事で得たアイディアをもとに、自社ならではの強みづくりを始め、次の時代に選ばれる工務店へと大きく前進してください。あなたの積み重ねが、地域のお客様の笑顔に、そして未来の自社の発展につながると確信しています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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