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減価償却を理解する!工務店の税金対策と利益計画

公開日: : 工務店 経営

工務店経営において「利益が思うように残らない」「設備投資のコストが重い」「急な税金に備えられない」と悩む方は少なくありません。これらの課題には、コスト管理の徹底と減価償却の正しい活用が大きく関わっています。しっかりコスト管理を行い減価償却を理解することで、税金対策や利益計画の精度を高め、資金繰りにゆとりを持たせることができます。この記事では、工務店の経営者が今すぐ実践できるコスト管理と減価償却の活用法を、初心者にも分かりやすく解説します。決算やキャッシュフローの不安を解消し、経営の安定と成長のために「今やるべきこと」が明確になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

減価償却の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

建築業や工務店経営では、建設機械や車両、事務機器など多額の設備投資が不可避です。これらの資産は「減価償却」によって毎年経費計上でき、コスト管理に直結します。しかし、減価償却の仕組みをただ知っているだけでは不十分。現場で本当に役立つ具体的な手順をステップごとに解説しましょう。

1. 減価償却資産の洗い出しとリスト化

まずは自社で所有する「減価償却資産」をすべて整理します。該当するのは、取得価額10万円(中小企業では30万円)以上で、1年以上使用予定の設備や備品です。具体的には下記の通りです。

  • 建築用機械(ショベルカー、フォークリフト 等)
  • 車両(営業車、トラック、バン)
  • 事務機器・PC
  • 建物・構築物(倉庫、社屋など)

実践ポイントは、ただ台帳を作るのではなく、使用年数・購入日・取得価格・設置場所をしっかり記録することです。これが、後のコスト管理や資産更新計画に直結します。

2. 減価償却方法の選定と税制メリット理解

減価償却には「定額法」と「定率法」があり、個々の資産により選択しましょう。例えば、短期間で価値が大きく落ちる自動車は定率法、長期間少しずつ価値が減る建物は定額法が一般的です。
税制改正で選択肢が増える場合もあるため、必ず最新情報を税理士や会計担当と共有しましょう。

  • 定額法:毎年均等に減価償却費を計上。利益や税金対策が安定しやすい。
  • 定率法:初年度に多く、後年は少なく減価償却。利益調整や設備投資サイクルに活用可能。

3. 会計システムやエクセル活用による「見える化」

減価償却計算を手作業で行うのはリスクが高いです。必ず会計ソフトやエクセル等を使って計算ミス・仕訳漏れを防止しましょう。おすすめは次の通りです。

  • 専用クラウド会計(freee、マネーフォワード等)
  • 減価償却台帳テンプレート活用(エクセル)

これにより資産更新時期や年間減価償却予算が可視化され、社内でのコスト管理精度も飛躍的に上がります。

4. 減価償却費の「仮計算」とキャッシュフローシミュレーション

減価償却費を年間予算にあらかじめ組み込むことが資金繰り安定のカギです。決算直前に困らないよう、期中でも「このままいくと今年はどのくらい減価償却できるのか?」を先読みしましょう。経費計上による税額インパクトも早くつかめます。

  • 四半期ごとに想定減価償却費を確認
  • 設備投資予定があれば、翌年以降の減価償却費も試算

これらをベースに、資金繰り表やキャッシュフロー計算書へ反映させておくと、予想外の出費にも備えやすくなります。

5. 法人税・固定資産税の効果的対策

減価償却を通じて計上された経費は、法人税の課税所得減少に直結しますが、逆に償却後は経費が減り税負担が増えやすくなります。年単位・複数年単位の推移を「見える化」し、必要があれば新規設備投資のタイミングを調整することで、税負担の急増を回避できます。

【よくある疑問・FAQ】

  • Q1: 少額資産は減価償却せず一括経費にできますか?
    はい。取得価額が10万円未満(中小企業は30万円未満)なら一括損金処理可能です。対象ラインを戦略的に活用しましょう。
  • Q2: 減価償却費の予算オーバーが発覚した場合の対処法は?
    無理な赤字計上は避け、他のコスト抑制策(外注費の見直しなど)との並行調整を。ただし、不要資産の売却等で帳簿圧縮も有効です。
  • Q3: 補助金で購入した設備も減価償却できますか?
    一部補助分を除いて原則として減価償却対象です。税理士・会計士に個別確認しましょう。

コスト管理×減価償却:成果を最大化する具体的な取り組み

本質的なコスト管理は「経費削減」ではなく、「経営に必要な支出を最適化し、将来の経営基盤を強化する」ための戦略です。その中心的な手段の一つが減価償却の適正管理。ここでは、工務店が現場で実践できる5つのステップを紹介します。

1. コスト構造の全体把握と目標設定

自社の年間コスト構造を部門別・費目別に一覧化します。減価償却費を「見えないコスト」として埋もれさせず、固定費全体に占める割合や推移も同時に可視化しましょう。

  • 部門単位で費用分析(工事部・経営管理部・営業部など)
  • 減価償却費の前年度比較と予実差異管理

コスト管理におけるゴールやベンチマーク(例:減価償却を含む固定費率〇〇%以内等)を設定し、現場と共有することで行動指針が明確になります。

2. 投資計画=減価償却スケジュールの最適化

機械や車両の買換計画は、減価償却スケジュールにあわせて立案しましょう。無理のない年間投資額・リースと購入の使い分けを織り込みます。

  • 既存資産の減価償却終了見込み年をリストアップ
  • 新規投資や更新投資のペース配分を計画表に反映
  • 可能なら投資の「前倒し・遅延」による税負担平準化も選択肢

3. 原価管理への「減価償却費」分配ルール策定

共用機械や事務所設備などは、現場ごと・プロジェクトごとに減価償却費を「按分」することで、より正確な工事原価管理が可能です。エクセル等で案件別コスト配分表を導入しましょう。

  • 機械ごとに使用記録をつけて稼働分だけ原価配賦
  • 特定工事にしか使わない場合は、その分だけ減価償却費を計上

これにより、収支構造が明確になる上、採算の悪い工事や収益率の高い案件の洗い出し、適正な見積作成に活かせます。

4. 月次での予算管理・進捗レビュー

月次決算のたびに減価償却費含むコスト管理の進捗レビューを実施しましょう。ここでは、単なる会計報告に終始せず、現場や部門ごとに「なぜ予算から乖離したか」「来月はどうするか」まで掘り下げます。

  • 管理会議でコスト管理KPI(減価償却費進捗含む)を必ず報告
  • 違反事項・予算超過案件は、改善アクションを具体化
  • 必要な場合は、臨時のコスト抑制策や役割分担の調整も実施

この積み重ねで「行き当たりばったり決算」から脱することができます。

5. コスト削減と設備再投資のバランス判断

コスト管理の中で「設備の修繕や更新を遅らせて経費を抑える」という選択は、かえって稼働効率や安全性を損ない長期的な損失につながる恐れも。
資産の運用寿命・減価償却の終了時期を見極め、適切なタイミングで再投資することも重要です。

  • 設備ごとの残耐用年数や修繕履歴の定期チェック
  • コスト削減で得られる短期利益と、老朽化による損失リスクの比較

コストだけに捉われるのではなく、「安全」「品質」「生産性」も含めた総合的な損益判断をしましょう。

【Q&A・深堀り解説】

  • Q1: 設備投資のタイミングはいつが最適?
    減価償却が大きく残るうちの更新はコストが重複しやすい。極力、耐用年数終了間近や減価償却負担が減った時期に合わせることで資金繰りが安定します。
  • Q2: コスト管理のKPI例は?
    「減価償却費比率」「部門別利益率」「1現場あたり間接費」など。自社にあった指標を運用してPDCAを回すのがポイント。
  • Q3: リースと購入、どちらが有利?
    リース料は全額経費だが、所有後は資産として減価償却対象。資金繰りや設備のライフサイクル、節税額をシミュレーションして選択します。

コスト管理を継続的に成功させるための「次の一手」

コスト管理と減価償却の最適化は、単発ではなく「継続的な改善」こそが大切です。成果を持続させるには、経営者自身が主体的に情報をアップデートし、現場との連携を図ることがポイントとなります。ここでは、そのために工務店経営者が実践すべき「次の一手」を具体的に解説します。

1. 社内教育セミナーや情報共有の定例化

経理担当や現場責任者向けに、年1回以上の会計・減価償却・コスト管理の勉強会を開催し、最新法改正・業界動向を共有しましょう。経営層だけでなく「現場の数字意識」育成が、健全な経費運用・利益体質を強化します。

2. 事業計画とコスト構造の年次レビュー

毎年度の決算翌月には「なぜ利益が出た/出なかったのか」の要因分析と改善企画を必ず実施。減価償却費や各コスト項目の推移・発生理由も掘り下げます。外部の専門家のセカンドオピニオンも有効活用しましょう。

3. IT・DXによる「自動化」と「アラート」導入

手作業・人手頼みのコスト管理は属人化しやすく、ミスや見落としの要因となりがちです。以下のシステム活用で「誰でも見えるコスト管理」に進化させましょう。

  • 会計・資産管理クラウドの自動連携
  • 減価償却の計算・残耐用年数の自動アラート表示
  • 原価配分自動化・現場別コストレポート一元化

経営者も月末には主要コスト管理レポートを必ず確認する習慣をつけることが、継続的な経営改善への近道です。

4. 定期的な税務・監査チェック

税制の変更や監査指摘による手戻りリスクを減らすべく、年1回は税理士・会計士による減価償却やコスト管理の棚卸し・外部チェックを受けることを推奨します。専門家による意見や助言が、新たなコスト最適化策のヒントになることも多いです。

5. 業界交流・異業種情報の活用

地域工務店ネットワークや業界セミナーでの事例共有・外部情報収集も忘れてはいけません。「他社はどう工夫しているか」「新しい会計ツールは?」など、外部刺激を得ることで、自社コスト管理の新たなヒントが必ず見つかります。

【課題解決のヒントQ&A】

  • Q1: 社内でコスト管理意識が続かない場合の工夫は?
    経費目標の「見える化」掲示、成功例の表彰、進捗会議で必ず共有する仕組みが効果的です。
  • Q2: 減価償却の計算が複雑で担当者が困っている場合は?
    市販クラウドや会計事務所のサポート導入を検討。手作業ではなく仕組み化がベスト。
  • Q3: 赤字や資金繰り悪化が目立つ際の即効対策は?
    不要資産売却や保険解約、リース切替など現預金増強策を並行検討。ただし長期的な再発防止にはコスト構造の見直しが不可欠です。

まとめ

工務店経営の安定と成長には、実効性の高いコスト管理と減価償却活用が不可欠です。まず所有資産の棚卸しや現状把握から始め、減価償却を活かした資金繰り・税金対策を着実に実践しましょう。月次での進捗管理や社内の数字意識向上、IT導入など、継続的な改善サイクルが未来の経営安定に直結します。学んだ手順や仕組みは今日からすぐに現場へ落とし込めます。焦らず一歩一歩、経営者自身が主体的に改善を続けることで、利益の「見える化」と企業体力の強化が実現します。ここで得た実践知を活用し、さらなる成長と安定経営をぜひ手にしてください。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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