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設備投資はリースがお得?工務店の資金繰り改善

公開日: : 工務店 経営

工務店経営において、「資金繰り」は永遠の課題です。建材や人件費の高騰、受注から入金までのタイムラグ、新規設備投資など、日ごとにキャッシュフローの不安や悩みは絶えません。そんな中、注目されているのが「リース活用」による設備投資の効率化です。 この記事では、資金繰りの現場課題に徹底的に寄り添いつつ、なぜ今リース活用なのか、どのように実践し成果へつなげていくのか、そして継続的な資金繰り改善のための具体策まで詳しく解説します。 「リースって結局損?」「月々の支払いが増えてしまうのでは?」「導入の手順が不安…」といったリアルな疑問に、工務店経営の現場経験をふまえて具体的に答えます。この記事を読み終えるころには、あなた自身が自社に最適な設備投資計画と資金繰り改善プランを立案・実行できるはずです。ぜひ実践の指針としてご活用ください。

リース活用の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店の経営者が新たな機械や車両、IT設備などに投資する場面で、資金繰りに頭を悩ませることは少なくありません。多額の一括支払いが負担となり、他の経費や運転資金に影響を与えてしまうケースも見受けられます。ここでは、資金繰りの改善策としてリース活用を導入する基礎と応用のステップを、具体的に解説します。

1. 資金繰りの「見える化」からスタートする

まず、現状の資金繰り状況を「可視化」しましょう。以下の手順で現状分析を行います。
  • 【手順1】売掛金・買掛金・運転資金など主なキャッシュの流れを表にする
  • 【手順2】毎月の固定費(人件費、家賃、光熱費等)と変動費をリストアップ
  • 【手順3】現金、預金残高、利用中の銀行融資、リース契約の有無を確認
  • 【手順4】入金と出金のタイミングを時系列で並べ、資金ショートリスクのある時期を特定
これにより、「いつ・なぜ資金繰りが苦しいのか」「どこに改善余地があるか」が明確になります。

2. リース活用の基礎知識を身につける

リースとは、一定期間、機械設備などを月額制で借りる契約形態であり、多額の初期投資を抑えて設備投資ができるのが特徴です。購入との大きな違いは、自己資金を大きく減らさず、予算計画や資金繰りを安定させやすい点にあります。リース活用には以下のメリットと注意点があります。
  • 初期費用が不要(銀行融資枠を維持しつつ新設備導入が可能)
  • 月々定額払いで資金繰りの見通しが立てやすい
  • メンテナンスや保険が組み込まれた契約形態もある
  • 一定期間経過後、設備の入れ替えが柔軟にできる
  • 注意点:リース総額は購入より高くなるケースも。途中解約不可が多いので要注意。

3. 自社に合った設備・機器を選定する

資金繰りの観点からは、リースする機器・設備の「本当に必要なものだけ」「投資効果が見込めるもの」を厳選することが大切です。
  • 【手順1】老朽化・メンテコスト増加機器をリストアップ
  • 【手順2】現場の作業効率・安全性を向上できる設備投資を検討
  • 【手順3】導入による生産性向上・経費削減・売上増加の試算を行う
  • 【手順4】リース活用が有利な設備(車両、IT機器、特殊工具など)を優先選定
この際、複数のリース会社から見積もりを取り、契約条件・メンテナンス内容・リース期間などを詳細に比較することを推奨します。

4. 経営計画と連動したリース導入のステップ

設備投資は、単発の判断でなく、数年先の経営計画と結びつけることが不可欠です。
  • 【手順1】年間事業計画、五ヶ年計画と資金繰り計画を整理
  • 【手順2】投資する設備による収益効果予測(ROI: 投資対効果)を試算
  • 【手順3】リース契約が事業計画の「どのタイミング」で必要なのか決める
  • 【手順4】リース契約に含まれる付帯サービス(保険、修理サポート等)も経費算入
これにより、無理なく資金繰りを回しつつ、投資効果を最大化できます。

5. 失敗しないリース契約時の注意ポイント

リース契約でのトラブルは、資金繰りを逆に圧迫するリスクにもなります。下記のような注意点を把握しておきましょう。
  • リース契約期間が長すぎて途中解約できず負担が残る危険
  • 想定外の追加費用(保険料、修理費、違約金)の確認不足
  • 契約満了時の取り扱い(更新か返却か、費用負担の有無の明示)
  • 返却条件やメンテナンス範囲など契約書を詳細にチェック
不明点はリース会社に必ず確認し、理解・納得したうえで契約しましょう。

資金繰り×リース活用:成果を最大化する具体的な取り組み

資金繰りを改善するには単なるリース導入だけでは不十分です。リース活用を通じてキャッシュフローにどのように効果が表れるのか、また効果を最大化する運用のポイントを具体的な手順で解説します。ここでは、実際の運用でよくある疑問・課題についてもFAQ形式で詳しく答えます。

1. 月次キャッシュフロー管理の徹底

リース活用をスタートした後は、毎月のキャッシュフローがどう変化するかを必ずチェックしましょう。
  • 【手順1】リース料の支払日・金額を、資金繰り表へ組み込む
  • 【手順2】売上入金タイミングとのバランスを確認し、必要額の確保を徹底
  • 【手順3】月末・月初の資金繰り山場を事前に予測し、未然に資金ショートを防ぐ
  • 【手順4】必要に応じて運転資金の銀行融資や短期資金の調整を行う
このサイクルを習慣化することで、資金繰りのトラブルを未然に防げます。

2. 効果検証:導入設備が事業にもたらすメリットとチェックポイント

リースで導入した設備が本当に期待した効果を出しているか、「定量的」にチェックすることが重要です。
  • 新設備の導入前後で、施工現場の効率や不具合発生頻度にどんな差が生じたか
  • 予想した「経費削減」「売上増」「人件費の効率化」などの数値目標が達成されたか
  • 現場スタッフからの意見や使用感も必ずフィードバック収集
  • 成果と課題を毎月または四半期ごとに比較分析し、今後のリース活用計画に活かす
事実とデータに基づいたPDCAサイクルによって、将来の資金繰り計画の精度が格段に向上します。

3. リース活用による節税・会計処理のポイント

リース料支払いは「リース料」として損金処理でき、多額の一括減価償却が不要です。これにより、課税所得の圧縮や資金繰り安定化にもつながります。ただし長期的に見ると合計支払額は購入より多くなる場合もあるため、以下に注意してください。
  • 税務上のメリット(損金算入)と自己資本のバランスを毎年確認
  • 会計上の処理方法(オペレーティングリース、ファイナンスリースの分類確認)
  • リース残存期間満了時の資産扱いの変化や、会計基準の変更にも注意
税理士・会計士と連携し、最新の税制・会計基準に基づく対策を取りましょう。

4. 実践Q&A:現場でよくある疑問を解消

  • Q:リースよりも融資(ローン)で購入したほうが安いのでは? A:初期費用が大幅に抑えられるので、資金繰りに余裕がない場合や経営の安定優先ならリースの方が負担を平準化できます。コスト総額と現金流動性を比較し、自社の経営方針に合わせて判断してください。
  • Q:月額のリース料が重く感じて、逆に資金繰りが圧迫されないか不安です。 A:リース条件を厳密に比較し、設備の利用頻度や業績貢献度を見極めることが重要です。また、リース料を払う余裕がない時期は、導入自体を見送る判断もあり得ます。
  • Q:リース契約後、設備の性能が不十分と感じた場合はどう対応すれば? A:多くの場合、中途解約は困難ですが、リース会社と交渉してアップグレード可能か確認しましょう。契約前に「早期変更」「スペックアップ」の選択肢をオプションとして盛り込むことも予防策です。
  • Q:リース満了後の設備はどう扱えばよいですか? A:返却のほか、再リースや買い取り・新設備への切り替えが選択肢です。条件や追加費用を契約時に確認しておくと安心です。

5. トラブル時の早期対応策

資金繰り計画が崩れる主な原因は「想定外の費用発生」や「入金遅延」です。リース活用中も以下の早期対応策を徹底しましょう。
  • 未払い・未入金発生時の即時アラート体制の構築
  • リース会社や金融機関との緊密な連絡・相談
  • キャッシュフロー異常時は、資金繰り表の「見直し」や短期融資手続きでリスク回避

資金繰りを継続的に成功させるための「次の一手」

資金繰りは単発の対策で終わるものではなく、継続的な改善・進化が求められます。ここでは、リース活用を軸とした資金繰り成功のための「次の一手」を体系的に紹介します。

1. 定期的な資金繰りモニタリングの仕組み化

変動の大きい建設業では、毎月・四半期ごとに資金繰り表を更新し続けることが重要です。
  • 【手順1】経営会議や月次レビューで資金繰り状況を定期報告
  • 【手順2】実績と見込みのギャップ(予実管理)を記録・分析
  • 【手順3】変動要因(大口受注・人的トラブル・予期せぬ支出など)を速やかに把握
  • 【手順4】緊急時の対応(資金の手当やコスト削減案)を即座に実行可能な組織体制を構築
こうした仕組み化により、「守り」のみならず時機をとらえた攻めの経営判断も可能となります。

2. 業種特性に合わせたキャッシュポイントの強化

工務店の資金繰りは、案件ごとの受注・入金スケジュールや急な支払い依頼で大きく左右されます。資金繰りを支えるキャッシュポイント強化の参考例を挙げます。
  • 着工時・中間時・竣工時等に分割請求し、早期入金の慣習を定着させる
  • 資材・部材の仕入先へ支払いサイト延長を交渉
  • 施主への請求条件見直し(前払い・保証金制度など)の導入
  • 補助金・各種助成制度の積極活用(例:IT導入補助金、業務効率化補助など)
あくまで「現金」を中心に据えたビジネスプロセスに再設計することで、慢性的な資金繰り不安から抜け出せます。

3. リース活用を経営戦略に位置付ける

単なる財務テクニックではなく、リース活用自体を「未来への投資」「競争力強化」として中長期経営ビジョンに組み込みましょう。
  • 自社の人的リソース、業務拡大計画、市場展望に即した設備投資の優先度を明確化
  • IT機器や省力化設備の導入で現場負担減・若手スタッフ確保につなげる
  • 環境対応機器(低CO2排出、SDGs関連設備など)のリース活用で事業イメージアップ
こうした一歩先の施策が、資金繰り基盤だけでなく、新たな差別化にも直結します。

4. 関係者と一体化した財務体質の強化

資金繰りは経営者ひとりで抱えるものではありません。リース会社、会計士、銀行、現場スタッフなど多くの関係者と連携し、財務健全化を全社プロジェクトとして推進しましょう。
  • 定期的な資金繰り会議・情報共有体制の構築
  • リース会社主催のセミナーや最新事例の勉強会参加
  • スタッフ教育による現場レベルでのコスト意識・資金繰り意識の醸成
全社一丸の取り組みこそ、資金繰り不安を根本から克服するカギです。

5. 将来予測とバックアップ体制の拡充

「もしもの時」に備え、資金調達ラインや資金繰り非常事態マニュアルを整備しておくことも重要です。
  • 銀行との融資枠確保、複数のリース会社・ファイナンス企業との関係強化
  • 資金ショート時の緊急資金調達(つなぎ融資等)手順の明文化
  • 資金繰りリスク兆候の早期発見・診断マニュアルの整備
安心して攻めの経営判断ができる「財務安全網」を一気に引き上げましょう。

6. 【応用】業界最新トレンドとリース活用の高度化

最近では、サブスクリプション型リースやクラウド型IT設備リースも登場しています。業界変化に対応する柔軟な資金繰り・リース活用の実践は、今後の競争力維持に不可欠と言えるでしょう。
  • サブスク型で小規模設備投資を機動的に実行
  • IoT機器や施工管理システム導入による現場DX推進とキャッシュフロー改善

まとめ

この記事では、工務店経営に不可欠な資金繰りの基礎整理から、リース活用による具体的な資金繰り改善策、そしてその応用・継続的な実践法まで詳細に解説しました。最初の一歩は、「現状把握と課題の見える化」から始め、必要な設備投資にはリース活用を積極的に検討しましょう。月次キャッシュフローの徹底管理や、リース導入による効果・リスクの継続的なモニタリングも忘れずに。関係者と一体となり、資金繰り体質を強くすることが、安定経営と今後の成長に直結します。 今日からぜひ、目の前の課題解決・未来を切り拓く実践を始めてください。あなたの工務店の資金繰りが着実に改善され、事業が持続的に発展することを心から願っています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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