イベントのリピート参加を促す顧客エンゲージメント戦略
「イベントをやっても、その場限りで終わってしまう…」「集客はできるけど、その後にリピートしてくれるお客さんが少ない…」こういったお悩みは、多くの工務店経営者の方が共通して抱えている課題ではないでしょうか。新規顧客の獲得コストが増加し続ける今、一度築いた顧客との関係性を深め、ファンになってもらうことの重要性は増しています。
特に、集客イベントは新規顧客との重要な接点となる一方で、その後のフォローアップが十分に行われず、せっかくの繋がりが途切れてしまうケースが少なくありません。しかし、このイベントを単なる集客の「点」ではなく、顧客との関係性を構築し、リピート参加や将来的な受注、さらには紹介へと繋げる「線」として捉え直すことで、工務店の安定した経営基盤を築くことが可能になります。
この記事では、あなたが開催するイベントを「リピート参加」に繋げ、顧客エンゲージメントを劇的に高めるための具体的な戦略と実践ステップを、初心者でもすぐに取り組める形でご紹介します。従来のイベント運営から一歩進んで、顧客との長期的な信頼関係を構築するためのヒントが満載です。この記事を読むことで、あなたは以下の具体的な成果を得られるでしょう。
- イベント参加者との繋がりを継続させるための効果的な戦略が明確になる
- 単発で終わらせないための具体的なイベント設計・運営・フォローアップの方法が理解できる
- リピート参加から成約、さらには紹介へと繋がる顧客育成の道筋が見える
- イベントの効果を最大限に引き出し、投資対効果を高めるヒントが得られる
「イベントは集客手段だけど、その後のリピート参加や関係構築はどうするの?」という疑問に対し、実践的で具体的な解決策を提供することを目指します。
目次
リピート参加を呼ぶ「顧客エンゲージメント」の基礎戦略
イベントを成功させることは重要ですが、それ以上に重要なのは、イベント参加者が「また来たい」と感じ、リピート参加に繋がり、最終的にあなたの工務店のファンになってくれることです。そのためには、単なる情報提供や売り込みではなく、顧客との間に深い「エンゲージメント(絆)」を築く必要があります。ここでは、リピート参加を促す顧客エンゲージメント戦略の基礎となる考え方と、最初のステップについて解説します。
なぜ工務店にリピート参加が重要なのか?
住宅建築は、お客様にとって一生に一度か二度あるかないかの大きな買い物です。衝動的に決めるのではなく、じっくりと比較検討し、信頼できるパートナーを選びたいと考えています。このようなお客様に対して、一度のイベント参加だけで契約に繋げるのは非常に難しいのが現実です。ここで「リピート参加」の重要性が浮上します。
お客様があなたのイベントに繰り返し参加する過程で、企業文化、スタッフの人柄、技術力、家づくりへの想いなどに多角的に触れる機会が増えます。これにより、徐々にお客様の中での信頼感と安心感が高まります。さらに、異なるテーマのイベントを通じて、お客様自身の家づくりに対する理解が深まり、具体的な要望が明確になることも期待できます。
リピート参加者は、単なる見込み客ではなく、すでにあなたに一定の関心を持っている「質の高い見込み客」です。こうした顧客との関係性を深めることは、契約までの期間短縮、成約率向上、さらには契約後の満足度向上にも繋がり、長期的な顧客価値(LTV: Life Time Value)を高める上で不可欠なのです。
「イベントを単発で終わらせない」視点を持つ
多くの工務店では、イベントを開催すること自体が目的化してしまう傾向があります。しかし、リピート参加を促すためには、イベントを独立した「点」として捉えるのではなく、お客様との関係性を構築し深めていく一つの「プロセス」として位置づける必要があります。
つまり、一つのイベントの出口が、次のイベントや別の顧客接点への「入り口」となるような、連続性のあるストーリーを設計することが重要です。例えば、「初めての家づくりセミナー」に参加したお客様に、次は「構造見学会」や「資金計画ワークショップ」といった、より具体的なテーマのイベントを案内する、といった流れです。
この「線」の考え方を持つことで、個々のイベントの位置づけや目的が明確になり、参加者に対して次に何を提供すれば良いのかが見えてきます。イベント企画段階から、その後のフォローアップや顧客育成のストーリーを意識することが、リピート参加を促すための最初のステップとなります。
リピートを促すための「顧客理解」の深め方
お客様に「また参加したい」と思ってもらうためには、お客様自身が何に興味を持ち、何を求めているのかを深く理解することが不可欠です。一言で「家づくりを考えている人」と言っても、その段階や興味は様々です。
- 漠然と将来家を持ちたいと考えている段階
- 具体的に情報収集を始めた段階
- 土地を探している段階
- 具体的な工務店を選び始めている段階
- すでに契約寸前の段階
これらの段階によって、求めている情報は全く異なります。リピート参加を促すためには、イベント募集時やイベント中のコミュニケーション、イベント後のアンケートなどを通じて、参加者がどの段階にいて、どんな疑問やニーズを持っているのかを把握することが重要です。この顧客理解が深まるほど、次に提供すべきイベントや情報、個別のアプローチが見えてきます。
顧客理解を深めるための具体的なステップ:
- イベント参加登録時のヒアリング項目見直し: 参加のきっかけ、家づくりの検討状況、興味のあるテーマ(例:デザイン、性能、資金など)といった項目を追加し、ニーズを把握する。
- イベント中の個別コミュニケーション: 参加者の表情や質問内容から関心事を読み取る。積極的に声をかけ、会話の中からニーズを引き出す。
- イベント後のアンケート設計: イベント内容への満足度だけでなく、「今回のイベントで最も役立った情報」「今後聞いてみたいテーマ」「家づくりの検討状況」などを質問項目に加える。
- 顧客情報の一元管理: 参加登録情報、イベントでの会話内容、アンケート結果などを顧客データベース(可能であればSFA/CRMツール)に蓄積し、属性や関心事ごとにセグメント分けできるようにする。
これらのステップを通じて顧客理解を深めることで、その後のイベント案内やフォローアップが、よりパーソナルで響くものとなり、リピート参加の可能性を高めます。
イベント設計からフォローアップまで:具体的な実践ステップ
ここでは、イベントのリピート参加を具体的に実現するための、イベント開催前から開催後までの詳細なステップを見ていきましょう。各段階での工夫が、顧客エンゲージメントを高め、「また来たい」という気持ちを育みます。
イベント開催前:リピート参加への布石を打つ
イベント開催が決まった時点から、リピート参加への戦略は始まっています。告知方法や参加登録の仕組みに工夫を凝らすことで、後のステップが格段にスムーズになります。
ステップ1:イベント告知段階での「次」への示唆と期待感の醸成
告知媒体(ホームページ、SNS、チラシなど)でイベント情報を発信する際、単に告知するだけでなく、「今回のイベントで得られるメリット」を明確に伝え、「今後も役立つ情報提供や関連イベントを企画している」ことをさりげなく示唆します。
- 具体的なアクション:
- 告知文に「本イベントは、〇〇シリーズの第一弾です。今後も家づくりに役立つ様々なテーマのイベントを企画してまいります」といった一文を加える。
- 過去のイベント実績や、今後のイベントテーマの例を、イベント告知ページやパンフレットに掲載する。
- ホームページのイベント情報ページに「今後のイベントスケジュール」や「過去の開催レポート」といったコーナーを設ける。
- 「このイベントに参加すると、次回の資金計画セミナーで特典があります」のような、具体的な次のステップへのインセンティブを提示する。
ステップ2:参加登録システムでの丁寧な情報収集とセグメンテーション準備
参加登録時に、参加者の興味や検討状況を把握することは、その後のフォローアップやリピート参加への個別アプローチを行う上で非常に重要です。
- 具体的なアクション:
- 氏名、連絡先だけでなく、「家づくりのご検討状況(漠然と考えている、情報収集段階、土地を探している、具体的なプランを検討中など)」「今回のイベントに最も期待すること(例:デザインの参考にしたい、断熱性能について知りたい、資金計画について相談したいなど)」「どのようにして当イベントを知りましたか?」といった質問項目を設ける。
- 選択式の設問形式にし、回答しやすいように工夫する。
- 収集した情報を、顧客データベースに登録し、属性や興味関心に応じて分類(セグメンテーション)する体制を整える。
- 個人情報の取り扱いについてプライバシーポリシーを明確に示し、安心して情報を提供してもらえるように配慮する。
これらの事前準備を行うことで、イベント当日の顧客対応がスムーズになるだけでなく、イベント後のフォローアップの質を格段に向上させることが可能になります。
イベント開催中:顧客エンゲージメントを高める工夫
イベント当日は、顧客との直接的な接点を最大限に活かし、強いエンゲージメントを生み出すチャンスです。心地よい体験とパーソナルな関わりが、彼らの「また来たい」という気持ちを育てます。
ステップ3:参加者の関心を引き出す仕掛けと体験の提供
一方的な説明で終わるのではなく、参加者が楽しめる、体験できる、疑問を解決できるようなインタラクティブな要素を取り入れます。
- 具体的なアクション:
- 参加型のワークショップ(例:ミニチュア模型で間取り体験、素材サンプルに触れる体験など)を取り入れる。
- 質疑応答の時間をたっぷり設け、参加者一人ひとりの疑問に丁寧に答える。
- 個別相談コーナーを設置し、希望者が気軽に相談できる場を提供する。
- 完成見学会や構造見学会であれば、写真や説明パネルだけでは伝わらない「こだわりポイント」や「職人技」を具体的に解説する。
- キッズスペースや託児サービスを用意し、子連れの参加者もゆっくり話を聞けるように配慮する。
ステップ4:スタッフ全員で取り組む個別のアプローチと関係構築
イベント中のスタッフの対応は、お客様の印象を大きく左右します。受付、案内、説明、質疑応答など、全ての接点で参加者一人ひとりに寄り添う姿勢が重要です。
- 具体的なアクション:
- 参加者リストをスタッフ間で共有し、参加者の名前や参加目的を事前に把握して話しかける(ステップ2の情報活用)。
- イベント内容だけでなく、参加者の表情を見ながら、家づくりへの不安や期待を丁寧に聞き出す時間を設ける。
- 単なる商品説明ではなく、参加者のライフスタイルや価値観に寄り添った共感的なコミュニケーションを心がける。
- 休憩時間やイベントの合間に、担当スタッフと参加者がフランクに話せる機会を作る。
- 「〇〇様が特に関心をお持ちだった□□について、より詳しい情報を用意できます」など、個別の関心に応じたアプローチを行う準備をする。
ステップ5:「次の機会」への自然な誘導
イベントの最後に、参加者に「この次は、こんな情報をお届けします」「次回のイベントでは、具体的な資金計画について深く掘り下げます」といった形で、次の行動を促します。押し付けがましくなく、参加者にとってメリットがある情報として提示することが重要です。
- 具体的なアクション:
- イベント終了間際に、今後のイベント予定や勉強会の告知を行う。
- 次回のイベント内容を具体的に説明し、今回のイベント参加者向けの先行予約や特典があることを伝える。
- 個別相談への誘導を促し、その場で予約を受け付ける体制を整える。
- イベント資料や配布物に、今後のイベントスケジュールや、関連するWebサイトのURL/QRコードを明記する。
イベント開催後:リピート参加を決定づけるフォローアップ
イベント終了後こそ、リピート参加を左右する最も重要なフェーズです。ここでの迅速かつ丁寧なフォローアップが、参加者の記憶に残り、次の行動へと繋がります。
ステップ6:迅速かつパーソナルな感謝メール・お礼状の送付
イベント参加へのお礼は、できるだけ早く、そして画一的ではない形で送ることが理想です。
- 具体的なアクション:
- イベント終了後、遅くとも翌日までには、参加者へのお礼メールを送付する。
- メール本文に、参加者の名前を入れるだけでなく、イベント中の会話内容や、特定のお客様が関心を示した点に触れるなど、パーソナルな要素を加える。
- イベントの写真(顔が映らないように配慮)を添付したり、イベント内容の補足情報(関連ブログ記事のURLなど)を盛り込んだりする。
- 手書きのお礼状を一部の顧客(特に高関心層)に送ることも、深い印象を与える効果がある。
ステップ7:参加者の関心に応じた個別アクションの提案
イベント参加登録時やイベント中に収集した情報(ステップ2, 4)に基づき、参加者一人ひとりの関心やニーズに合わせた次のアクションを提案します。これが、リピート参加や顧客育成にとって最も重要です。
- 具体的なアクション:
- 資金計画に関心が高いお客様には、次回の「資金計画セミナー」や「個別相談」への案内を優先的に行う。
- デザインに関心が高いお客様には、過去の施工事例集や、特定のデザインに特化した見学会の案内を送る。
- 土地探し中のお客様には、提携不動産会社の情報や土地探しセミナーの案内を送る。
- 「このイベントの後、詳しく聞きたいことはありますか?」と、個別相談やオンライン面談の機会を設ける。
- イベント後のアンケート結果で「非常に満足」と回答した顧客には、より濃い情報や特別なイベント(OB様宅訪問会など)の案内を検討する。
このような個別対応は手間がかかりますが、顧客にとっては「自分のことを覚えていてくれた」「自分のために情報を提供してくれた」と感じられ、強い信頼感とエンゲージメントに繋がります。これが、リピート参加の最大の動機となります。
ステップ8:参加者の声を活用した情報発信と改善
イベント後に実施したアンケートで得られた参加者の声や要望は、次のイベントやコンテンツ改善のための宝の山です。これを積極的に活用し、参加者にフィードバックすることで、「自分の声が届いている」という感覚を持ってもらい、次回への期待感を醸成します。
- 具体的なアクション:
- アンケート結果のサマリーをブログやSNSで公開し、「参加者の皆様から、〇〇や△△に関するご要望を多数いただきました。今後のイベント企画や情報発信に反映させてまいります!」といった発信を行う。
- イベントレポート記事で、参加者の声やイベント中の写真を紹介する。(掲載許可を得ることを忘れずに)
- 次回のイベント告知をする際に、「前回のイベントで好評だった〇〇の時間を拡大しました」「参加者アンケートで要望の多かった△△に関するテーマも扱います」といった形で、改善点をアピールする。
よくある疑問(FAQ)
Q1: どんなテーマのイベントならリピート参加されやすいですか?
A1: お客様の家づくりにおける検討フェーズに合わせて、ステップアップ式のテーマ設定が有効です。「家づくりの始め方」といった入門編から、「失敗しない資金計画」、「土地探しのポイント」、「高性能住宅の秘密」、「実際の暮らしが見えるOB様宅見学会」など、段階が進むにつれてより具体的・専門的になるテーマは、顧客のニーズに合致しやすいためリピートに繋がりやすいです。最新トレンド(ZEH, 断熱性能向上など)や相続・贈与といった周辺知識に関するセミナーも人気があります。
Q2: フォローアップの連絡頻度や内容は、しつこいと思われませんか?
A2: 一律の頻度や内容では、しつこいと思われるリスクがあります。重要なのは、ステップ7で述べたように、顧客の関心事や検討状況に応じたパーソナルな情報提供を心がけることです。「次に役立つ情報」「あなたが求めている情報」という形で価値を提供できれば、迷惑には感じられにくいです。連絡頻度は、最初はイベントのお礼とアンケート、次に個別のお礼と関連情報の提案、その後は顧客の反応を見ながら、月に1〜2回程度のメールマガジンや、新しいイベントの告知などに絞るのが一般的です。最も関心が高い顧客には、より手厚い個別フォローを検討します。
Q3: リピート参加者には何か特別な対応が必要ですか?
A3: はい、特別な対応は非常に有効です。リピートしてくれるお客様は、あなたにとって既に価値の高い見込み客であり、感謝の気持ちと特別感を伝えることがエンゲージメントをさらに深めます。例えば、リピート参加者限定の休憩スペース、個別相談の優先枠、次回の有料級イベントへの無料招待、OB様宅訪問会への優先案内、小さなプレゼントなどが考えられます。こうした特別対応は、「自分は大切にされている」という感覚を生み、さらに強いファン化を促進します。
Q4: 小規模な工務店でも実践できますか?
A4: はい、小規模な工務店ほど、きめ細やかな対応やアットホームな雰囲気で、大手には真似できない深いエンゲージメントを築きやすいという強みがあります。高価なシステムは必須ではなく、 spreadsheets で顧客管理を行い、手書きのお礼状や個別メッセージを添えることから始めることができます。スタッフ全員が「イベントは顧客との関係構築の場である」という意識を共有し、参加者一人ひとりに丁寧に関わることこそが、リピート参加を呼ぶ最大の秘訣です。
効果測定と継続的改善:イベント成果を最大化する次の一手
イベントをリピート参加へと繋げる戦略は、一度実践したら終わりではありません。常にその効果を測定し、改善を続けることで、より洗練された顧客エンゲージメント戦略へと進化させることができます。
多角的なイベント形式への展開
リピート参加を促すためには、参加者の様々なニーズに応える多様なイベント形式を用意することも有効です。
- オンラインイベントの活用: 場所や時間の制約なく気軽に参加できるオンラインセミナーや相談会は、初めての接点としてだけでなく、既存顧客へのフォローイベントとしても有効です。ウェビナーツールを活用したり、SNSのライブ配信を利用したりすることで、手軽に実施できます。
- 工務店の強みを活かした専門性の高いイベント: 高断熱・高気密、自然素材、耐震性能など、あなたの工務店が最も得意とする分野に特化した専門性の高いセミナーは、特定のニーズを持つ顧客から高い関心を集め、リピート参加に繋がりやすい傾向があります。
- コラボイベント: 地域の専門家(ファイナンシャルプランナー、土地家屋調査士、インテリアコーディネーターなど)や、関連業者(家具店、外構業者など)と連携したコラボイベントは、顧客に新たな価値を提供し、新鮮な企画としてリピートを促すことができます。
- 小規模・個別形式のセッション: 大規模なイベントだけでなく、個別相談会やワークショップなど、参加者一人ひとりに寄り添える小規模なイベントは、より深いエンゲージメントを築き、次のステップへの移行を促しやすくなります。
リピート参加率を測る:効果測定の指標と方法
戦略が効果を上げているかを知るためには、その成果を定量的に測定する必要があります。
- リピート参加率の算出: 特定の期間(例えば半年や1年)内に、あなたの工務店のイベントに2回以上参加した顧客の数を、延べイベント参加者数ではなく「ユニーク参加者数」で割ることで算出できます。
リピート参加率 = (リピート参加者数 / ユニークイベント参加者数) × 100%
この際、顧客管理システム等で、誰がどのイベントに、いつ参加したかを記録していることが前提となります。
- LTV(Life Time Value)の追跡: イベント経由で獲得した顧客が、最終的にどれだけの利益をもたらしたか(契約金額、紹介など)を追跡します。リピート参加が多い顧客群とそうでない顧客群でLTVを比較することで、リピート参加の「質」的な効果を把握できます。
- エンゲージメントの指標: イベント参加後のメール開封率・クリック率、問い合わせ率、個別相談への申込率なども、エンゲージメントの度合いを示す重要な指標です。SNSでのイベント関連投稿への反応(いいね、コメント、シェア)なども参考になります。
- アンケートでの満足度・次回参加意向: イベント後のアンケートで、「今回のイベントの満足度」「今後、当社のイベントに参加したいと思いますか?」「今回参加したイベント以外で興味のあるテーマはありますか?」といった質問項目を設けることで、顧客の生の声を収集し、リピート参加意向を測ることができます。
これらの指標を定期的に測定し、目標値と現在の数値を比較することで、施策の有効性を判断できます。
測定結果に基づくイベント戦略の継続的改善サイクル
測定した結果は、必ず次のイベント企画や顧客フォローアップの改善に活かします。PDCAサイクルを回す意識が重要です。
- Plan(計画): 顧客理解を深め(セクション1)、リピート参加を促すための具体的なステップ(セクション2)を盛り込んだイベント戦略を立案する。
- Do(実行): 計画に基づき、イベント開催、運営、そしてイベント後のフォローアップを丁寧に行う。
- Check(評価): ステップ3-2で述べた各種指標を用いて、リピート参加率、エンゲージメント、LTVへの貢献度などを測定・評価する。さらに、アンケート結果やスタッフの気づきなども含め、多角的に検証する。
- Action(改善): 評価結果に基づき、「告知方法を改善しよう」「イベント中の〇〇というコンテンツが好評だったから次回も取り入れよう」「フォローアップメールの送信タイミングを早めよう」「個別相談への誘導をもっと明確にしよう」といった具体的な改善策を検討し、次のイベント計画に反映させる。
成功事例だけでなく、リピートに繋がらなかったケースについても、「原因はどこにあったのか?」(例:ターゲット設定のズレ、イベント内容と告知内容の不一致、フォローアップの遅れなど)を分析し、学びを得ることが、継続的な改善には不可欠です。
イベントを通じた長期的な顧客育成計画への組み込み
イベント戦略は、単体で考えるのではなく、工務店全体のマーケティングおよび顧客育成計画の中に組み込むことが理想です。
イベント参加者を単なるリストとして扱うのではなく、彼らが家づくりという長い旅のどの地点にいるのかを把握し、それぞれの顧客に対して最適なタイミングで、最適な情報や次のステップを提案します。イベントはそのための強力なツールの一つ、という位置づけです。
例えば、イベント参加者には、イベント後のステップとして、以下のような選択肢を用意しておき、顧客の関心度や状況に応じて提案します。これにより、単発のイベント参加から、個別相談、プランニング、土地探し支援、資金計画、そして契約へと、自然な流れで移行を促すことができます。
- 関連テーマの次のイベントへの招待
- 個別オンライン相談・対面相談
- メールマガジンによる継続的な情報提供
- 現場見学(構造見学会、完成見学会など)
- OB様宅訪問会
- 資金計画・FP相談
- 土地探し情報提供
このように、イベントを顧客育成のストーリーラインの中に組み込むことで、参加者は常に「次の学び」や「解決策」を得られる期待感を持つことができ、結果として継続的な関与、つまりリピート参加へと繋がりやすくなります。
まとめ:イベントを「顧客育成の資産」に変える
工務店の集客において、イベントは強力なツールですが、単発で終わらせてしまうのは非常にもったいないことです。この記事では、イベントを顧客との長期的な関係性を築き、リピート参加を促すためのエンジンとして活用する具体的な戦略とステップを解説しました。
重要なのは、「イベントを単なる集客の点」ではなく、「お客様との信頼関係を深めるという線」で捉えることです。そのためには、イベント企画の段階から、参加者の「次なる行動」を意識し、彼らが何を求め、どのような情報に関心があるのかを深く理解する努力が不可欠です(セクション1)。
イベント開催前にはリピート参加への布石を打ち(告知での期待醸成、登録時の丁寧な情報収集)、開催中には参加型コンテンツや個別対応でエンゲージメントを高め(ステップ3〜5)、そして開催後には迅速かつパーソナルなフォローアップで「また参加したい」という強い動機付けを行います(ステップ6〜8)。特に、顧客一人ひとりの関心に合わせた個別のアクション提案は、リピート参加を決定づけるカギとなります。また、お客様が抱きがちな疑問への先回りした回答(FAQ)も、安心感と信頼に繋がります(セクション2)。
これらの取り組みは、一度行えば終わりではありません。多様な形式のイベント展開、リピート参加率などの効果測定、そしてその測定結果に基づいた継続的な改善を行うこと(セクション3)で、あなたのイベント戦略はさらに洗練され、より多くのリピート参加者を生み出すパワーを持つようになります。
これらの具体的なアクションを今日から実践することで、あなたの工務店のイベントは、単なる「集客イベント」から、安定した見込み客供給、成約率向上、そして紹介を生み出す「顧客育成の資産」へと変貌します。目の前のイベント参加者を、未来のファン、そして生涯顧客へと育てていくために、この戦略と行動を起こしてみませんか? 成功を心から応援しています。
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