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顧客ロイヤルティを高める!工務店のファン作り

公開日: : 工務店 経営

近年、工務店業界は価格競争の激化、インターネットによる情報過多、顧客ニーズの多様化など、さまざまな課題に直面しています。このような厳しい環境下で、安定した企業成長を実現するためには、自社の強みを最大限に活かす経営戦略が不可欠です。加えて、既存顧客との継続的な関係構築が売上の安定化と新規顧客獲得の両方に直結します。とりわけ「顧客ロイヤルティ」を高め、工務店に対するファンを増やすことが、長期的視点での経営基盤強化に直結します。しかし、「どうすれば顧客ロイヤルティを高められるのか」「戦略的にどんな取り組みを始めるべきか」と悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、工務店経営者が今日から実践できる経営戦略と顧客ロイヤルティ向上のための具体的なアクションを徹底的に解説します。読了後には、明日から何をすれば良いのか、自社の経営にどんな変化が期待できるのかが明確になりますので、ぜひ最後までご一読ください。

顧客ロイヤルティの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

経営戦略の根幹として顧客ロイヤルティの向上を据えることで、工務店の安定経営と持続的成長が見込めます。しかし、単に「満足度を上げる」といった抽象的なものではなく、日々の業務の中に戦略的かつ実践的に取り入れる必要があります。ここでは、顧客ロイヤルティを高めるための基礎から応用まで、具体的な導入プロセスをステップ形式で解説します。

1. 顧客ロイヤルティとは?明確な定義を再確認

顧客ロイヤルティとは、単なる顧客満足を超えた「継続的な支持」「再利用意向」「推奨意欲」を指します。リピート受注や既存顧客からの紹介、新しい商材やサービスへの柔軟な受け入れに大きな影響を与えます。経営戦略上、顧客ロイヤルティの強化は、他社との差別化・コスト削減・口コミによる新規案件獲得すべての基盤となります。

2. ステップで始める顧客ロイヤルティ向上策

  1. 顧客リストの棚卸し・管理体制の整備
    まず、完成工事・進行中物件問わず、これまで関わった全ての顧客情報を整理しましょう。エリアや家族構成、契約内容など属性でグループ化し、管理をシステム化(Excelでも可)することで、情報の即時利用が可能となります。
  2. 工事完了後フォローアップ体制の構築
    アフターフォローは顧客ロイヤルティ向上の要です。定期点検・無料メンテナンス・季節のあいさつ状やイベント招待など、「工事が終わった後こそつながる仕組み」を作ります。
  3. 顧客とのタッチポイント強化
    問い合わせ対応、現場見学会、ニュースレター、SNSやLINEでの情報発信など、様々なコミュニケーションチャネルを絶えず持ち続けましょう。直接会えない時世でも、オンラインを駆使した接点は欠かせません。
  4. お客様の声・要望の収集および業務への反映
    アンケートやインタビュー、口コミ投稿の依頼を通じて、顧客の本音や要望を把握し、それを新しいサービスや改善策に積極的に取り込むことで、顧客ロイヤルティが自然と高まります。

3. 導入段階で陥りやすい失敗例とその回避策

  • 「一度きり」の施策で終わってしまう
    → 定期的なスケジュール化・担当者の明確化で運用フローに明確な役割を持たせましょう。
  • コストや手間を理由に中途半端な取組で止まる
    → 全顧客でなく優良顧客から開始する、汎用ツールで小さく始めるなど「段階的な導入」がおすすめです。
  • 成果が見えにくくモチベーションが続かない
    → 3ヶ月ごとに「問い合わせ件数」「紹介数」「アンケートでの評価」など具体的な数値を振り返る習慣を取り入れましょう。

4. 顧客ロイヤルティ施策の事例に学ぶ:地域密着型工務店のケーススタディ

実績ある小規模工務店の事例として、工事完了1年後に「ありがとう訪問」を実施し、点検と近況ヒアリング、手土産を持参したことで、紹介案件が前年比で1.5倍に増加したケース、また地元密着のイベントを毎年開催し、口コミ経由の新規来店が増えたケースなどが報告されています。特別なITツールや大きなコストをかけずとも、「顔の見える」「人の温かみ」を感じられる施策が功を奏しています。

経営戦略×顧客ロイヤルティ:成果を最大化する具体的な取り組み

経営戦略を単なる目標設定や数値管理の枠に留めず、顧客ロイヤルティとの相乗効果を具体的な取組に落とし込むことこそ、これからの工務店経営に求められます。本章では、成果につながる実行策と、現場で直面するQ&A(FAQ)に対する現実的な解決策をまとめます。

5. 「ファン」を増やす経営戦略の具体プロセス(ステップ形式)

  1. 自社のブランド・強みを再定義する
    家づくりへのこだわり、地域性への貢献、オーナー様との関係性など、自分たちの「価値」を言語化し、その価値観に共感してくれる顧客を明確にします。
  2. ブランド体験の一貫性を保つ
    広告・Webサイト・現場対応・アフターサービスまで、全てのタッチポイントで「自社らしさ」をぶらさず提供しましょう。営業や現場担当と連携し、スタッフ全体で接遇の標準化・研修も効果的です。
  3. 顧客参加型のイベントや情報発信を設計
    完成見学会、OB施主向け感謝祭、住まいの勉強会、ニュースレターでのオーナー様紹介など、顧客が「参加」できる場を設けることで、繰り返し工務店と接点を持つ機会を創出します。
  4. 紹介・リピートを促進するインセンティブ
    紹介制度による特典、小規模なリフォームやメンテナンスの積極提案、紹介先への小さなギフト等、紹介のハードルを下げる具体的施策を準備します。
  5. 顧客との「定期」コミュニケーション体制の可視化
    例えば「毎年春の点検」「年末あいさつ」「誕生日ポストカード」など、顧客とのつながりを「定例化」し、業務システムやカレンダー等で進捗を社内で共有することで、施策の継続性・属人化の防止につなげます。

6. よくある課題と対策:工務店経営者の疑問に回答(Q&A)

Q1. 顧客ロイヤルティ施策が実際の売上につながる実感がない……
A. 成果の見える化が重要です。「紹介件数」「リピート案件率」「お客様アンケート」等の定点観測指標を事前に設定し、3ヶ月ごと(または半年)で数値変化を可視化していきましょう。短期的変化でなく、中長期での成果実感が得られる施策です。
Q2. 顧客フォローに人的リソースや予算が割けません
A. すべての顧客・施策を一度に実施しなくても大丈夫です。まずは「直近1年以内のオーナー様」や「紹介につながりやすそうな顧客」だけを対象に、簡単な手紙や季節のご挨拶、イベント案内から始めてください。定型文やテンプレートを活用し、スタッフ全員参加型で分担する仕組みも有効です。
Q3. SNSやWebでの情報発信効果が感じられません
A. 短期間で効果が見えにくい場合、OB施主の声やルームツアー動画、施工例紹介、地元イベント報告など「リアリティ」が伝わる投稿内容にシフトしましょう。既存顧客からの共感・拡散が新規ファン獲得へ波及します。また、SNSに疎いスタッフには研修や外注も検討しましょう。
Q4. 競合他社との差別化が難しいです
A. 差別化は派手な広告や価格競争ではなく、顧客に寄り添ったヒューマンタッチな接点・顧客主体の改善・既存顧客への独自のサービスが鍵です。自社ならではの職人技、現場の清潔感、スタッフ紹介など「自社らしさ」を強調しましょう。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

経営戦略も顧客ロイヤルティ向上策も、導入して終わりではありません。成果の定点観測と、課題に応じた改善を繰り返す「PDCA(計画→実行→評価→改善)」が持続成長の鍵となります。ここでは、測定と改善、さらに未来に向けた発展手法を具体的にご紹介します。

7. 成果の可視化とKPI管理法

  1. 数値指標(KPI)の設定
    「新規リピート受注数」「紹介件数」「お客様評価アンケート」「SNSでの反応件数」など、目的ごとに3~5の具体的なKPIを設定しましょう。
  2. 社員全体での共有・振り返りの習慣化
    週次・月次・四半期単位で情報を社内共有し、達成状況や改善案を全員で議論する場を設けることで、一過性に終わらず、チーム一丸となった経営戦略の運用が可能となります。
  3. 成功事例・失敗例の蓄積と社内展開
    うまくいった取り組み・逆効果だった施策など、生データと「学び」を残し、他の担当者や部署でも再現できるノウハウの共有を進めましょう。

8. 継続的成長を支えるアフターサービスとファンマーケティングの強化

  • 点検や修繕をきっかけにした「次の提案」施策の徹底
  • OB施主コミュニティ(SNSグループやサークルなど)の構築
  • 他部門(営業・現場・事務)が横断的に情報共有する体制
  • 顧客の声を全社で吸い上げてサービスを随時アップデート

これらはいずれも小さな成功やトライアルから取り入れることができ、継続するうちにリピート率・紹介率の両面で大きな成果に直結します。

9. 業界動向・顧客ニーズの変化への適応力を高める

  1. 定期的な市場調査や同業他社の情報収集(展示会、協会活動、SNS分析など)
  2. 顧客アンケートやヒアリングの継続実施
  3. 時流や法改正に応じたサービス・商品ラインナップの見直し
  4. 新興技術(スマートホーム、ZEHなど)の早期導入による先進感の訴求

経営戦略としては、「今日の最適」を常に見直し、顧客ロイヤルティ向上の施策そのものも「変化し続ける」覚悟が、工務店の中長期的な競争力につながります。

10. 他社と顧客をつなげる地域連携戦略の推進

地場の職人、建材店、不動産会社、自治体等と連携した「地域全体での安心感」「顔の見えるチーム力」も顧客ロイヤルティ向上の大きなドライバーとなります。施工後の生活サポートやメンテナンス相談窓口のある工務店は紹介・リピートにつながる確率が飛躍的に高まります。

まとめ

工務店経営において、「短期的な売上」だけを追うのではなく、経営戦略の中心に顧客ロイヤルティを据えることで、安定した受注や紹介の好循環が生まれます。そのためには、顧客リストの整理、アフターフォローの徹底、社員全員で積み上げる定点コミュニケーション、失敗例も含めた継続的な改善が不可欠です。目先の数値に一喜一憂せず、小さな取組を積み重ねていく先に、「選ばれ続ける工務店」の未来像が広がります。今この記事で示した具体的アクションを、ぜひ貴社の経営目標と日々の現場に落とし込んで実践ください。顧客との長期的な信頼関係を基盤とした経営戦略で、持続的な成長と強い組織づくりを実現しましょう。「顧客を工務店の熱心なファンへ」――その一歩を、今日から踏み出してみてください。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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