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工務店の変動費を見直す!利益体質への改善策

公開日: : 工務店 経営

工務店経営では、日々の現場対応や顧客要望への対応に追われる中、想定外の費用やコストが膨らみやすい現実があります。「利益が思うように残らない」「人件費や材料費などの変動費がコントロールできない」とお悩みの方も多いでしょう。
本記事では、コスト管理の基本から、効果的な変動費削減の手順、現場で今すぐ実行できるアクションまで、体系的に詳しく解説します。実践的なチェックリストや、同業経営者がつまずきやすいポイントも丁寧にフォロー!「どう手を付ければいいのか」「まず何から始めれば成果が上がるのか」といった疑問に、明快にお答えします。
読み終えた時、工務店の利益体質化に向けて、即行動を起こせる知識と自信が得られる内容です。コスト管理と変動費削減で、今より一歩先の経営を実現しましょう。

変動費削減の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

経営改善の第一歩として欠かせないのが、工務店のコスト管理体制の見直しです。多くの現場で重視されているのは売上の拡大ですが、それと同等以上に丁寧なコスト管理は、利益体質のカギを握っています。特に、直接原価として会社の収益に直結する変動費(材料費・外注費・工事ごとの作業人件費等)は、戦略的な見直しで効果的な削減が期待できます。

1. コストの「見える化」から始める

まずは、コストの洗い出しを徹底しましょう。具体的には、次の手順で進めます。

  • 直近6~12か月の工事別の実績データを集める
  • 材料費、外注費、現場ごとの残業手当、消耗品の費用など、変動費項目をリストアップする
  • 各項目ごとに金額とその割合を算出し、グラフや表で「見える化」する
  • どの項目/工程で変動費が膨らんでいるかを特定する

エクセルのピボットテーブルや会計ソフトの部門別集計機能を使うと、月別・案件別の費用推移が簡単に分析できます。データの「見える化」は、具体的な変動費削減の起点です。

2. 変動費とは何か? 自社はどこまで把握できているか

一般的な工務店の変動費は、以下のような費用が主な対象となります。

  • 材料費(木材、建材、金具など現場ごとに増減する消耗品)
  • 外注費(大工手間、専門工事の外注・下請け費用)
  • 工事ごとの運搬費・廃材処分費・現場備品購入費
  • 現場作業スタッフの臨時雇用賃金 など

「なんとなく毎回このくらいかかっている」と思い込んでしまうと、潜在的な無駄や削減余地に気付きにくくなります。「今回だけ特別」と見過ごしている部分も積み重なれば大きなコスト差に。
従いまして、現場担当者や発注担当の声も拾いながら、自社の変動費をケースごとに細かく把握することがコスト管理成功の第一歩となります。

3. ステップごとに実践!変動費削減アクションプラン

  • ステップ1:現状把握(毎月の「変動費一覧表」を作成)
    • 毎月(または案件ごと)に変動費の総額、項目別費用を記入した一覧表を作る
    • 前月・前年同月比で増減をチェック
  • ステップ2:重点項目の判定
    • 「この項目の増加が他より顕著」といった重点削減ゾーンを見つける
    • 現場別・担当者別の変動も確認
  • ステップ3:現場別・案件別で分解分析
    • 大型案件、戸建、リフォームなど形態別に費用が膨らみやすいポイントを洗い出す
    • 現場の声(「ここは無駄になっている」「値上げになった」等)も情報源に加える
  • ステップ4:現場ヒアリング・関係者会議を実施
    • 定期的な現場ヒアリングや、発注・購買・現場が合同のコスト管理ミーティングを設ける
    • 「どの発注作業でミスや重複が発生していたか」など現場の実感値を集める
  • ステップ5:費用削減の仮説→具体策の立案
    • 次節以降で解説する「材料ロスの抑制」「一括発注交渉」「外注先の見直し」「現場スタッフの作業効率化」などを順番に優先度を付けて着手

4. よくある「つまずきポイント」と突破法

現場から「自分たちには関係ない」「本当に効果があるのか」といった反発や無関心が生じる場合は少なくありません。その際は、以下の工夫が有効です。

  • コスト管理で得た「削減金額」「改善内容」を見える形にして社内で共有する
  • 目標設定(例:「今年は〇〇万円の現場材料費ダウン」)を月例会議で確認する
  • 現場ごと比較資料を提示し、ノウハウ共有・成功体験を奨励する

実際に数字で効果が見え、個々人やチームの努力が認められることで、「うちでもできるかも」という前向きな機運が生まれます。

コスト管理×変動費削減:成果を最大化する具体的な取り組み

1. 材料費の削減:調達力とロスの最適化

材料費は変動費の中で最も大きな割合を占めるため、ここでの
工務店流のコスト管理は会社の利益アップに直結します。次のようなアクションを実践しましょう。

  • 主要資材の価格推移を常に把握し、入札・一括発注によるコストダウンを図る
  • 複数取引先の価格・納期を比較、年に1度のサプライヤー見直しを行う
  • 残材・半端材の再利用方法や現場間の横持ち流用を促進する仕組みづくり
  • 現場担当者に材料使用量の「事前見積チェック」・余剰分の管理を徹底する

また、材料費増加の要因になりがちな仕様変更などの「やり直しロス」を減らせるよう、社内の承認フローや顧客との仕様確定時期も明確化しましょう。

2. 外注費・作業人件費の見直しポイント

外注手間・協力会社の費用は、現場進行管理や発注方法の最適化で変動費削減に貢献できます。

  • 同種工事を「まとめ発注」して割引価格・効率化を目指す
  • 発注先変更や複数仕入先の活用で競争原理を働かせる
  • 基礎施工・電気・設備など各カテゴリごとに単価の見直し・比較交渉を実施
  • 自社スタッフと外注の役割分担を見直し、コア業務の効率化・兼任余剰の是正

また、現場人員の「増員・減員判断」が曖昧なまま進むと、無駄な人工費が膨らみます。作業工程表や日報、勤怠データを活用し、「何人で・どの業務を・どのくらいの時間で終わらせるべきか」を再検証しましょう。

3. 運搬・処分・その他変動費の賢い管理

実は現場ごとの運搬費・廃材処分費も累計すれば無視できないコストです。このため、

  • 共同運搬ルートの編成で車両コストを抑える
  • 現場周辺のリサイクル業者・処分業者の再選定・交渉実施
  • ゴミ分別や廃材保管のルール統一
  • 「現場ごとの費用明細」の作成と月次共有(改善案を募る)

といったステップでムダ削減につなげます。集計や負担感を減らす工夫としては、スマホ入力や、シンプルなGoogleスプレッドシートの活用もおすすめです。

4. モチベーションと現場力を高める小さな「見える化」

細かい変動費の管理は「手間が増えて現場が面倒」と思われがちです。しかし、次の方法なら「現場の協力と継続」が日常化しやすくなります。

  • 毎月の「削減額」や「現場別ランキング」をポスターや社内SNSで共有する
  • 削減アイデアの提案者に小規模な報奨金や表彰制度をつくる
  • ミスや材料ロスを報告しやすい雰囲気づくり(失敗談共有や「言いやすい」方法の制定)

「どうせ無理」から「やれば変わる」への意識転換が持続的な成果につながります。

5. コスト管理の関連FAQ:よくある疑問に答える

  • Q:変動費削減に取り組むと手間や現場へのストレスばかり増えませんか?

    A:初期は手間がかかりますが、「無駄が減った」「見直しポイントが可視化できた」というメリットが必ず出てきます。取り組みが進むと新たなルーティンとなり、むしろ全員の仕事負担軽減にも繋がります。

  • Q:現場スタッフがコスト管理に非協力的な場合、どう巻き込めばいいですか?

    A:現場ごとや個人単位で具体的な「削減実績」を数字で見せることが効果的です。また、意見や疑問が言える場(現場会議、提案制度)を設けると主体性が高まります。

  • Q:利益改善が数字で見えにくい場合はどうすれば?

    A:月別の変動費グラフや削減額推移を可視化、決算前の中間棚卸しを行うと、変化を実感しやすくなります。特に削減目標を掲げ、毎月の実績を全社で共有しましょう。

  • Q:専門ツールは必要ですか?

    A:エクセルやGoogleスプレッドシートでも十分運用可能です。規模が大きくなった段階で、会計ソフトやコスト管理専用ツールを検討すればOKです。

コスト管理を継続的に成功させるための「次の一手」

1. 本気で取り組むなら「全社一丸」体制へ

一時的な変動費削減は比較的簡単ですが、経営体質そのものを変えるには、全社を巻き込むコスト管理カルチャーが不可欠です。このために

  • 経営層自身が「利益を残すためのコスト管理」のビジョンと理由を繰り返し発信する
  • 現場・発注・事務が「役割分担&責任共有」を意識できる体制をつくる
  • 関係者全員が進捗を見える化できる、社内チャットや掲示板運用を強化する

「コスト管理=面倒」から「コスト管理=みんなの成果づくり」に転換しましょう。

2. 効果測定とフィードバックサイクル

変動費削減の企画や現場施策は、PDCAサイクルで継続的に見直すことが結果向上の秘訣です。

  • PLAN(計画):目標金額・項目ごとのコスト削減計画を立案
  • DO(実行):現場での施策を具体的に実施
  • CHECK(評価):月ごと・案件ごとに成果を振り返り、金額や無駄削減効果を分析
  • ACT(改善):改善点を次月以降のアクションへフィードバックし運用

特に「評価」では、「定量的成果(〇〇万円削減)」だけでなく「定性的効果(現場負担感減、作業効率UP)」も並行して社内で共有しましょう。

3. 他社とのベンチマーク/業界動向を「学び」に変える

近隣や同業他社との情報交換も、コスト管理と変動費削減のヒントづくりに有効です。

  • 業界団体や地元協会の勉強会・事例共有会に参加
  • メーカー・資材商社主催の原価改善セミナー(オンライン含む)で最新の実践事例を収集
  • 自社の施策内容や成果を発表し、外部の反応・フィードバックを吸収する

「他社より先に着手する」ことで、資材高騰の波や人手不足時の差別化にもつながります。

4. コスト管理の文化を強く根付かせるために

最後は、成果を「全員の喜び」として分かち合う風土づくりです。
内部連絡や定例会議で、毎回、

  • この1年で削減した費用の累計(「実感できる金額」で折々に公表)
  • 現場アイデア賞や「無駄ゼロ賞」などポジティブなランキングや表彰
  • コスト管理の失敗談・成功談のミニ発表タイム

を盛り込みましょう。数字で見せて実感を伴わせる→参加者全体の誇り・意識向上、という好循環が定着します。

5. 組織づくりに役立つQ&A

  • Q:管理部や本部が主導した場合、現場の反発が強いのでは?
    A:現場の意見を積極的に聞き、現場目線の改善案も企画に反映させましょう。単なるトップダウン命令にしないことが大切です。
  • Q:現場ごとに事情が違い、横展開しづらい…
    A:汎用的な施策は基準のみ共有し、現場ごと「カスタマイズ可」とする柔軟な運用が効果的です。活用できる部分のみ他現場でも導入します。
  • Q:現地スタッフの教育はどう進めれば?
    A:週10分のミニ勉強会や、成功事例を持ち寄る発表タイムを取り入れれば、現場スタッフの学び合いが活発化します。

まとめ

工務店経営において、変動費削減は「一時的な節約」ではなく、将来の利益創出を約束する本質的な施策です。この記事では、現場で今すぐ始められるコスト管理の方法、材料費・外注費・その他主要コストごとの具体的な削減策、そして全社カルチャーとして根付かせる仕掛けまで、多角的にご提案しました。
大切なのは、「現場の声」と「数字の見える化」を両輪で進め、小さな成功体験を積み重ねていくこと。どんな工務店も、最初の一歩は手探りですが、改善が進むごとに利益体質化が進み、経営の安定はもちろん、スタッフの意識向上や仕事の質の向上にも繋がります。
今こそコスト管理を「自分ゴト」として、一歩踏み出してください。今日始めたアクションが、数年後の会社の成長と安定を力強く支えてくれるはずです。あなたの挑戦を応援しています。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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