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消費税増税に負けない!工務店の契約・価格戦略

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の経営お疲れ様です。住宅建築というお客様の人生における一大イベントを支える皆様にとって、外部環境の変化、特に消費税率の変動は、経営に大きな影響を与える要因の一つです。消費税増税対策は、単に税金の変更に対応するだけでなく、契約、価格設定、さらには顧客との信頼関係にも深く関わる経営課題です。過去の増税時には、「駆け込み需要とその反動」「価格転嫁の難しさ」「資金繰りの悪化リスク」など、様々な影響が工務店を襲いました。しかし、適切な対策を講じれば、これらのリスクを最小限に抑え、むしろ競争力を強化するチャンスに変えることも可能です。

この記事では、「消費税増税対策として具体的に何をすれば良いのか?」「契約時期による税率判断はどうする?」「価格設定で失敗しないためには?」「お客様への説明はどうすれば納得してもらえるの?」といった、工務店経営者の皆様が抱えるであろう疑問に、一つ一つ実践的かつ具体的に答えていきます。消費税増税という避けられない変化に対して、先手を打った戦略的な行動を取ることで、増税後も安定した経営を維持し、さらなる成長を実現するための具体的なステップをご紹介します。

消費税増税時の契約・価格戦略:基本ルールと実践的ステップ

消費税率が引き上げられる際、工務店経営者がまず正確に理解し、すぐさま対応を始めるべきは「いつの工事に新しい消費税率が適用されるのか」という基本ルールです。これを誤ると、想定外の税負担増や、顧客とのトラブルの原因になりかねません。特に、請負契約においては、一般的な物品販売とは異なる特別なルールが適用される場合があります。このセクションでは、消費税増税時における契約と価格に関する基本ルールを解説し、工務店が取るべき実践的なステップを提示します。

1. 建設業における消費税率適用の基本ルール:「引き渡し基準」と「経過措置」を理解する

住宅のような建設工事における消費税率は、原則として「目的物の引き渡しが行われた日」の税率が適用されます。契約日や着工日ではありません。これは、非常に重要なポイントです。例えば、消費税率が10%に引き上げられる前に契約しても、建物の引き渡しが増税後であれば、原則として10%の消費税が課税されるということです。

しかし、これには例外があります。それが「契約に関する経過措置」です。指定された期日(例えば、増税半年前など)までに建設工事の請負契約を締結し、その引き渡しが増税後になる場合でも、旧税率(例えば8%)が適用されるという特例措置です。この経過措置の適用を受けるためには、契約内容や契約日が要件を満たす必要があります。過去の増税時には、この経過措置の期日を一つの「駆け込み需要」の期限として、営業戦略に活用する工務店も多く見られました。

具体的なアクション:

  • 国税庁のウェブサイトや、建設業向けの税務情報を通じて、次回消費税増税時の「引き渡し基準」と「経過措置」の具体的な期日および適用要件を正確に把握してください。
  • 顧問税理士がいる場合は、必ず確認を取り、自社の契約フローにおける税率適用のタイミングを確認・整理してください。
  • 過去の増税時の経過措置の適用状況を振り返り、どのような契約で見落としがあったかなどを検証することも有効な消費税増税対策です。

2. 価格設定戦略の見直し:価格転嫁の方法とリスクを検討する

消費税率が上昇する分をそのまま価格に転嫁するか、それとも企業努力で吸収するかは、工務店にとって大きな経営判断です。価格転嫁が不十分であれば利益率は圧迫され、過剰であれば顧客離れを招く可能性があります。賢明な消費税増税対策としては、単に税率分を上乗せするのではなく、総合的な価格戦略を練る必要があります。

考えられる価格転嫁の主な方法:

  • 単純な税率上乗せ: 税率が8%から10%になれば、請負金額の8%だった消費税額を10%に変更する。最も分かりやすい方法ですが、価格の絶対額が上昇するため、顧客に敬遠されるリスクがあります。
  • 本体価格の値上げ+旧税率適用: 増税前に本体価格を若干値上げし、経過措置を適用して旧税率で契約を促す。総額で見ると若干の値上げに抑えつつ、増税のインパクトを和らげる方法です。ただし、経過措置の期限までの契約獲得が必須となります。
  • 本体価格据え置き+新税率適用: 税率上昇分を本体価格の値下げや企業努力で吸収し、総額の増加を抑える。顧客からの反発は少ないですが、利益率が大幅に悪化するリスクがあります。
  • 付加価値向上による実質的な値上げ: 仕様やサービス内容をグレードアップさせることで、価格の上昇に納得感を持たせる。例えば、断熱性能を向上させたり、長期保証を付けたりすることで、「価格は上がったけれど、その価値に見合う対価だ」と顧客に感じてもらう戦略です。これは、単なる消費税増税対策に留まらず、会社のブランドイメージ向上にも繋がります。

具体的なアクション:

  • 自社の顧客層や競合の動向、原価率などを考慮し、どの価格戦略が最適かを検討してください。単純な上乗せだけでなく、複合的な視点を持つことが重要です。
  • 価格転嫁によって利益率がどのように変化するか、詳細なシミュレーションを行ってください。
  • 増税後も安定した契約数を確保できるよう、付加価値向上のための具体的な計画を立て、価格戦略と連動させてください。
  • 消費税率が変更された際の価格表示(総額表示義務など)についても、最新のルールを確認してください。インボイス制度の導入も、仕入にかかる消費税の取り扱いに影響するため、合わせて確認が必要です。

3. 顧客への丁寧な説明と同意形成:信頼を損なわないためのコミュニケーション

消費税増税は、顧客にとって「負担増」というネガティブな側面が強く意識されがちです。そのため、工務店側からの一方的な通知や説明不足は、顧客の不信感を招き、最悪の場合、契約破棄に繋がる可能性もあります。信頼関係を維持・強化するためには、丁寧で分かりやすい説明が不可欠です。

特に、請負契約においては、契約から引き渡しまでにある程度の期間があります。「契約時の税率」と「引き渡し時の税率」が異なる可能性があること、経過措置の適用について、またそれによって総支払額がどうなるのかなど、専門用語を避け、顧客が理解しやすい言葉で説明する必要があります。

具体的なアクション:

  • 消費税増税に関する顧客向けの説明資料を作成してください。資料には、増税時期、適用される税率の判断基準(引き渡し日なのか、経過措置なのか)、それによる総額の変化、そして利用可能な補助金や優遇制度(住宅ローン減税の拡充、すまい給付金など、消費税増税対策として政府が実施する支援策)について分かりやすく記載します。
  • 営業担当者を対象に、消費税増税に関するルールの勉強会を実施し、全ての担当者が統一された正確な情報を顧客に提供できるように教育します。
  • 顧客との打ち合わせ時には、消費税に関する説明時間を十分に確保し、顧客の疑問や不安に寄り添ったコミュニケーションを心がけてください。
  • 必要に応じて、契約書とは別に、消費税に関する特記事項や覚書を作成し、顧客と同意内容を書面で残すことも検討してください。

このセクションでは、消費税増税時の契約と価格に関する基本的な考え方と、工務店が最初に取り組むべき実践的なステップを解説しました。次は、より具体的な契約書や資金繰り、そしてよくある疑問点に対する対策を見ていきましょう。

消費税×消費税増税対策:成果を最大化する具体的な取り組み

前セクションで基本ルールと価格戦略、顧客コミュニケーションの重要性について触れました。このセクションでは、さらに踏み込んだ具体的な消費税増税対策、特に契約書の実務対応、資金繰りへの配慮、そして顧客からのよくある疑問への回答に焦点を当てます。これらの点に適切に対処することで、増税によるリスクを減らし、円滑な事業運営を目指します。

4. 契約書と見積もりの実務対応:トラブルを防ぐための記載方法

消費税率の変更は、既存の契約書や見積もり書のひな形を見直す必要を生じさせます。特に長期間にわたる建設工事請負契約では、契約から引き渡しまでの間に税率が変わる可能性があるため、将来の税率変更にどう対応するかを明確に契約書に定めておくことが、後々のトラブル防止に不可欠です。

具体的なアクション:

  • 税率に関する条項の見直し: 契約書内に消費税に関する具体的な条項を設け、「引き渡し時の消費税率を適用する」「経過措置の適用を受ける場合は旧税率を適用するが、適用外となった場合は引き渡し時の税率とする」といった内容を明記してください。将来、税率がさらに変更される可能性も考慮し、「引き渡し時の法令等で定められた税率を適用する」といった包括的な表現を用いることも検討できます。
  • 経過措置の適用が確認できた場合の追記: 契約締結後、経過措置の適用が確実になった場合は、その旨を記載した覚書などを交わし、顧客との認識を一致させてください。
  • 見積もり書の工夫: 見積もり書には、税込価格だけでなく、本体価格と消費税額を分けて明記することが一般的です。増税が予定されている場合は、「本見積書に記載された消費税額は〇%で計算されたものであり、引き渡し時点の税率によっては変更される可能性がある」といった注意書きを明確に加えましょう。
  • 変更契約時の対応: 工事中に仕様変更などによって追加工事が発生した場合、その追加工事分の消費税率は、追加契約を結んだ時点ではなく、原則として追加工事の引き渡しが行われた時点の税率が適用されます。変更契約書にも、消費税率に関する条項を忘れずに盛り込んでください。

5. 資金繰りへの影響と対策:キャッシュフロー悪化リスクに備える

消費税増税は、工務店の資金繰りにも影響を与える可能性があります。特に、請負契約の場合は、工事期間中に中間金を受け取っても、最終的な消費税の納税は引き渡し基準で行われるため、タイムラグが生じることがあります。また、請負金額全体にかかる消費税額が増加することで、一時的に必要となる資金も増える可能性があります。さらに、インボイス制度開始後は、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについて仕入税額控除ができなくなるため、取引先の選定や支払い方法にも注意が必要です。適切な消費税増税対策には、資金繰りの観点も必須です。

具体的なアクション:

  • キャッシュフロー予測の見直し: 増税後のプロジェクトについて、入金と出金のタイミング、そして消費税の納税タイミングを考慮に入れた精緻なキャッシュフロー予測を立ててください。
  • 留保資金の確保検討: 想定される消費税の納税額増加に備え、一時的にまとまった資金が必要となる場合に備え、内部留保を厚くするか、あるいは融資枠を確保しておくことを検討してください。
  • 適格請求書発行事業者への対応: 仕入先が適格請求書発行事業者であるかを確認し、インボイス制度への対応を進めてください。これにより、適切に仕入消費税額を控除することが可能になります。
  • 前受金の取り扱い: 顧客から工事代金の一部を前受金として受け取る場合、その取り扱いについて税務上の注意点がないか、税理士に確認してください。

6. 顧客からのよくある疑問Q&A:自信を持って答えるために

消費税増税に関して、顧客から様々な質問を受けることが予想されます。これらの質問に適切に、そして自信を持って答えることが、顧客の不安を解消し、信頼関係を維持するために非常に重要です。ここでは、想定されるよくある質問とその回答例をいくつかご紹介します。

Q1: 契約を急いだ方が消費税は安くなりますか?

A1: 一概には言えません。消費税率は原則として建物の「引き渡し日」の税率が適用されます。ただし、増税前に「契約に関する経過措置」が設けられる場合があり、この措置の適用要件を満たせば、引き渡しが増税後でも旧税率が適用されることがあります。経過措置の期日や要件をご確認ください。もし、経過措置適用を希望される場合は、期日までの契約が必要です。

Q2: 契約時に旧税率で支払った場合、増税後に追加請求されますか?

A2: 請負契約においては、たとえ契約時に工事代金の一部を旧税率で請求・入金いただいたとしても、引き渡しが新税率適用後に行われた場合、原則として工事代金全体の消費税は新税率で計算し直されます(経過措置に該当する場合を除く)。契約書にその旨を明記し、ご納得いただいた上で契約を進めさせていただきます。

Q3: 値上げされますか?

A3: 消費税率の引き上げに伴い、請負金額全体の消費税額は増加します。当社としては、企業努力によるコスト削減なども追求いたしますが、サービスの品質維持や向上に必要なコストを踏まえ、適正な価格提示を心がけております。増税による価格への影響については、お見積もり時に詳しくご説明させていただきます。また、消費税増税対策として、国や自治体による住宅取得者向けの補助金や優遇制度もございますので、合わせてご案内させていただきます。

Q4: 増税後に契約した方が、何かメリットはありますか?

A4: 直接的なメリットとして、税率が下がることは考えにくいです。ただし、政府は消費税増税による住宅需要の落ち込みを緩和するため、住宅ローン減税やすまい給付金といった支援制度を拡充する傾向があります。増税後の契約でこれらの制度の恩恵を大きく受けられる場合がありますので、お客様の資金計画に合わせて、最適なタイミングをご一緒に検討させていただきます。

具体的なアクション:

  • 想定される顧客からの質問リストを作成し、誰が答えても同じように明快に回答できるよう、Q&Aマニュアルを作成してください。
  • 特に「引き渡しと税率の関係」「経過措置」「価格への影響」「利用可能な支援制度」については、重点的に説明の練習を行ってください。
  • 専門的な内容については、「詳細については、顧問税理士や専門家にご確認いただくことも可能です」と案内するなど、無理に断定的な回答をしない慎重さも必要です。

このセクションでは、契約書や資金繰りといった実務的な側面、そして顧客対応における具体的な消費税増税対策を解説しました。これらの対策を地道に実行することが、増税局面を乗り切るための強固な土台となります。最後のセクションでは、これらの対策を持続させ、増税をきっかけにさらに経営を強化するための応用的な戦略を見ていきましょう。

消費税増税を乗り越え、持続的な成長を実現するための経営戦略

消費税増税対策は、単なる一時的な対応に終わらせるべきではありません。増税という外部環境の変化を、自社の経営体質を見直し、長期的な成長戦略を練る絶好の機会と捉えることが重要です。このセクションでは、これまでの対策を継続・改善していくための方法と、増税をきっかけにさらに一歩進んだ経営を実現するための戦略について解説します。

7. 増税を機にした付加価値向上戦略:価格転嫁を成功させる工夫

消費税増税によって価格が上昇する場合、顧客は価格以上に「価値」を求めるようになります。単に税金分が上がったと感じるだけでは、契約には繋がりづらくなります。増税をチャンスと捉え、提供する住宅やサービスにさらなる付加価値を加え、価格上昇を納得してもらうための工夫が必要です。

具体的なアクション:

  • 提供する住宅の「見えない価値」を明確に伝える努力を強化してください。例えば、高断熱・高気密住宅の光熱費削減効果、長持ちする素材によるメンテナンスコストの低減、こだわりの設計による快適性など、消費税という目に見えるコスト増に対して、それを上回る長期的なメリットがあることを具体的に示します。
  • アフターサービスや保証内容を充実させ、契約後の安心感を高めることも有効です。充実したサポート体制は、顧客が価格以上の価値を感じる要素の一つです。
  • 消費税増税によって利用しやすくなる可能性のある支援制度(住宅ローン減税、すまい給付金、補助金など)に関する情報提供を強化し、顧客の実質的な負担軽減策を積極的に提案してください。これは、単なる情報提供に留まらず、「お客様の負担を減らしたい」という工務店の誠意を示すことにも繋がり、信頼構築に役立ちます。

8. 従業員への周知徹底と教育:全社一丸となった顧客対応

どのような消費税増税対策を策定しても、現場で顧客と直接接する営業、設計、工事担当者、そして事務担当者がその内容を正確に理解し、統一された対応ができなければ絵に描いた餅となります。特に、顧客からの消費税に関する質問に対して、担当者によって異なる回答をすることは、顧客の不信感を招く最大の原因の一つです。

具体的なアクション:

  • 策定した消費税増税対策、特に「契約・引き渡しと税率の関係」「価格設定の考え方」「顧客向けQ&Aマニュアル」「利用可能な支援制度」について、全従業員を対象とした説明会や研修会を実施してください。
  • 従業員が自信を持って顧客に対応できるよう、ロールプレイングなどを通じて説明の練習を行うことも効果的です。
  • 顧客から受けた質問や懸念事項などを共有する仕組みを作り、対応方法を継続的に改善していく場を設けてください。
  • インボイス制度への対応についても、経理担当者だけでなく、現場の請求書発行に関わる可能性のある部署にも基本的な内容を周知し、適切な処理ができるようにしてください。

9. 実施した対策の効果測定と継続的な改善:PDCAサイクルの導入

消費税増税対策は、一度行えば終わり、というものではありません。実施した対策が想定通りの効果を上げているか(例:契約数への影響、顧客からの価格に対する反応、資金繰りの状況など)を継続的に測定し、必要に応じて計画を修正していく必要があります。

具体的なアクション:

  • KPI(重要業績評価指標)の設定: 消費税増税に関連するKPIを設定してください。例えば、「増税予定日までの契約獲得率」「増税後の価格転嫁率」「消費税に関する顧客からの問い合わせ件数」「キャッシュフローの変動率」などです。
  • 定期的な効果測定: 設定したKPIを定期的に(例えば、月に一度など)測定し、目標値と比較してください。
  • 分析と改善策の検討: 目標値と実績に乖離がある場合は、その原因を分析し、対策の見直しや新たな施策の導入を検討してください。例えば、顧客からの価格に関する抵抗が大きい場合は、付加価値の伝え方を見直したり、別の価格戦略を検討したりします。
  • PDCAサイクルの定着: Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを確立し、消費税増税に関する対策を継続的に改善していく体制を構築してください。

10. 中長期的な視点での経営基盤強化:「消費税に左右されない経営」を目指す

消費税増税は、日本の税制の大きな柱の一つであり、今後も税率や関連制度が変更される可能性はゼロではありません。目先の増税対策だけでなく、消費税を含む外部環境の変化に強い、持続可能な経営体質を構築することを目指すべきです。

具体的なアクション:

  • 収益構造の多角化: 新築請負だけでなく、リフォーム、不動産、メンテナンス事業など、複数の収益の柱を持つことで、特定の事業が外部環境(消費税含む)の影響を受けても、経営全体が安定するようになります。
  • コスト構造の見直し: 税負担だけでなく、あらゆるコストについて見直しを行い、無駄のない効率的な経営を目指してください。インボイス制度への対応は、仕入消費税の管理という観点からも、コスト構造の最適化に繋がります。
  • 顧客基盤の強化: 紹介案件を増やす、OB顧客との関係性を深めるなど、安定した受注に繋がる顧客基盤を強化してください。既存顧客からの紹介やリピートは、価格競争に巻き込まれにくく、消費税増税の影響も相対的に受けにくい傾向があります。
  • ブランディング強化: 「価格」だけでなく、「品質」「デザイン」「信頼性」「地域密着」といった点で選ばれる工務店になるためのブランディングを強化してください。単なる価格競争から抜け出すことが、消費税増税による価格上昇の影響を緩和する根本的な対策となります。

このセクションでは、消費税増税対策を持続させ、増税をきっかけとした経営強化に繋げるための応用的な戦略を解説しました。これらの取り組みは、増税時だけでなく、工務店経営を長期的に安定・発展させていく上で非常に重要です。

まとめ

消費税増税は、工務店経営にとって避けて通れない重要な経営課題です。しかし、恐れる必要はありません。この記事で解説してきたように、**消費税増税対策**として、基本ルールの正確な理解、戦略的な価格設定、丁寧な顧客コミュニケーション、そして契約書や資金繰りの実務対応を計画的に実行することで、その影響を最小限に抑えることが可能です。特に、請負契約における「引き渡し基準」と「経過措置」の理解(ステップ1)、自社に最適な価格戦略の選択(ステップ2)、そして顧客への誠実な説明と同意形成(ステップ3)は、増税対応の最初の、そして最も重要なステップです。さらに、契約書や見積書への適切な記載(ステップ4)、資金繰りリスクへの備え(ステップ5)、よくある顧客の疑問への対応準備(ステップ6)といった実務的な対策は、トラブルを未然に防ぎ、円滑な事業継続のために不可欠です。

これらの対策を単なる一時的な対応に終わらせず、増税を機に、提供価値の向上(ステップ7)、従業員一丸での対応体制強化(ステップ8)、そして実施した対策の効果測定と継続的な改善(ステップ9)に取り組むことで、工務店は外部環境の変化に強い体質へと進化できます。そして、最終的には収益構造の多角化や顧客基盤の強化、ブランディングといった中長期的な視点での経営基盤強化(ステップ10)へと繋げていくことが、「消費税に左右されない安定経営」を実現するための鍵となります。

この記事でご紹介した具体的なステップは、すぐにでも皆様の工務店で実行可能なアクションばかりです。ぜひ、本日ご紹介した内容を参考に、まずは一つからでも対策を始めてみてください。消費税増税という変化を、皆様の工務店がさらに強く、さらに信頼される存在となるための飛躍のチャンスに変えていきましょう。皆様の工務店の持続的な発展を心から応援しています!

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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