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「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

SDGsで持続可能な経営を!工務店の社会貢献

公開日: : 工務店 経営

近年、工務店経営者の皆様は、資材価格の高騰、人手不足、そしてZEH義務化といった多くの課題に直面されていることと思います。このような激しい環境変化の中で、会社を存続させ、成長を続けていくためには、従来のやり方だけでは限界があると感じている方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今、注目されているのが「SDGs」と「持続可能な経営」という考え方です。SDGsは、国連が提唱する2030年までに達成すべき17の目標を定めた国際的な枠組みですが、これは決して遠い世界の目標ではありません。むしろ、地域に根差した工務店こそ、SDGsの達成に大きく貢献できるポテンシャルを秘めており、それを持続可能な経営の強化に繋げることができます。

「SDGsに取り組むって、具体的に何をすればいいの?」「コストがかかるだけじゃないの?」「本当に経営に役立つの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。この記事では、工務店経営者の皆様がSDGsを理解し、持続可能な経営へと繋げるための、具体的で実践的な方法をステップ形式で解説します。この記事を読むことで、SDGsを単なるお題目ではなく、企業価値を高め、社会からの信頼を得るための強力なツールとして活用できるようになるでしょう。

この記事を通じて、SDGsの基礎知識と工務店における重要性具体的な取り組み事例と成果の最大化継続的な活動と効果測定といった、SDGsを持続可能な経営に結びつけるためのステップを体系的に学ぶことができます。ぜひ最後までお読みいただき、皆様の工務店が地域社会と共に持続的に発展していくための一歩を踏み出してください。

持続可能な経営の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

まずは、SDGsとは何か、そしてなぜ工務店が持続可能な経営を目指す上でSDGsが重要なのかを理解することから始めましょう。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?工務店にとっての重要性

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。2030年までに、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓い、貧困、飢餓、気候変動、経済成長、教育、ジェンダー平等など、持続可能な世界を実現するための17の目標と、それらを達成するための169のターゲットから構成されています。

工務店は、住宅建設を通じて地域に深く関わり、人々の暮らしの基盤を創造する役割を担っています。これはまさにSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」や、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標12「つくる責任 つかう責任」といった多くの目標と直接的に関連します。SDGsへの取り組みは、単なる社会貢献活動ではなく、「私たちの事業そのものが、社会の持続可能性にどう貢献できるか」を問い直す機会となるのです。そして、この問いに向き合うことこそが、企業の持続可能な経営を強化することに繋がります。

工務店における「持続可能な経営」とは?

「持続可能な経営」とは、経済的な利益を追求するだけでなく、環境問題や社会課題の解決にも配慮しながら、企業を永続的に発展させていく経営スタイルです。工務店においては、利益を出し続けることはもちろん重要ですが、それに加えて、以下のような要素を包含します。

  • 地域環境に配慮した家づくり(省エネ、再生可能エネルギー、地産地消の建材)
  • 従業員の働きがいと安全を確保する職場環境づくり
  • 地域社会との良好な関係構築と地域への貢献
  • コンプライアンス遵守と透明性の高い経営
  • サプライチェーンを含めた環境的・社会的な配慮

これらは、SDGsの様々な目標と呼応しており、SDGsの目標達成への貢献を通じて、自社の持続可能な経営が実現されていくという関係性があります。

SDGsに取り組むメリット:コストではない「投資効果」

SDGsに取り組むことに「コストがかかるのでは?」と懸念される経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、SDGsへの取り組みは、長期的に見れば経営基盤を強化し、新たな機会を生み出す「投資」と考えられます。具体的なメリットは以下の通りです。

  • 企業イメージ・ブランド価値の向上: 社会貢献や環境配慮に積極的な企業として認知され、地域住民や顧客からの信頼が高まります。
  • 優秀な人材の確保と定着: 社会貢献性の高い企業は、特に若い世代にとって魅力的に映ります。働きがいのある環境整備は離職率低下にも繋がります。
  • 新たなビジネス機会の創出: 省エネリフォームのニーズ増加、再生可能エネルギー関連事業、中古住宅の流通・リノベーションなど、SDGs関連の市場は拡大しています。
  • コスト削減: 省エネ設備導入による光熱費削減、廃棄物削減による処理費用削減など、環境負荷低減はコスト削減に繋がります。
  • 資金調達の多様化: SDGs関連融資や補助金の活用、投資家からの評価向上に繋がる可能性があります。
  • サプライチェーンの強化: パートナー企業との協力を深め、共に持続可能な取り組みを進めることで、より強固な関係を築けます。

SDGs導入に向けた第一歩:自社の現状分析と目標設定

SDGsへの取り組みを始めるにあたり、最初のステップは自社の現状を把握し、取り組むべき目標を設定することです。

ステップ1:自社の事業とSDGsの関連性を洗い出す

まず、自社の事業活動(設計、資材調達、施工、販売、アフターメンテナンスなど)が、SDGsの17の目標や169のターゲットとどのように関連しているかをリストアップします。例えば:

  • 目標7(エネルギー): 省エネ住宅の提供、自家消費型太陽光発電の導入
  • 目標8(働きがい): 従業員の安全教育、資格取得支援、有給休暇取得促進
  • 目標9(産業と技術革新): 新しい建築技術や省エネ技術の導入
  • 目標11(まちづくり): 地域材の活用、空き家改修、景観に配慮した建築
  • 目標12(つくる責任): 建築端材の削減・リサイクル、環境負荷の低い建材選定
  • 目標13(気候変動): CO2排出量削減に繋がる省エネ性能向上
  • 目標15(陸の豊かさ): 適切な森林管理がされた木材(森林認証材)の利用

関連性の洗い出しを通じて、自社が既に無意識のうちに行っている社会貢献や環境配慮も見えてくるはずです。

ステップ2:優先して取り組むべき目標を選ぶ

17の目標すべてに同時に取り組む必要はありません。自社の強み、事業内容との関連性、地域社会からの期待、従業員の関心などを考慮して、優先的に取り組むべき目標を3~5個程度選びます。重要なのは、「取り組めそうか」だけでなく、「その目標に貢献することが、自社の経営にどう良い影響を与えるか」という視点を持つことです。

ステップ3:具体的な行動計画を策定する

選んだ目標に対して、どのような具体的な行動を行うのかを定めます。目標は定性的・定量的に設定し、達成するための期間、担当者、必要な資源(ヒト・モノ・カネ)を明確にします。

  • 例:目標7(エネルギー)に貢献
    • 定量的目標: ZEH普及率を〇年までに〇%にする。
    • 定性的目標: お客様に省エネ住宅のメリットを分かりやすく伝える。
    • 具体的な行動: 営業担当者向けに省エネセミナーを実施する、モデルハウスに省エネ性能表示を掲示する、再生可能エネルギー設備導入に関する情報提供を強化する。
    • 期間: 1年間
    • 担当者: 営業部長、設計部
  • 例:目標8(働きがい)に貢献
    • 定量的目標: 年次有給休暇の取得率を〇%にする。
    • 定性的目標: 従業員が心身ともに健康で、長く安心して働ける環境を整備する。
    • 具体的な行動: 計画年休制度を導入する、健康診断受診率100%を目指す、ハラスメント相談窓口を設置する。
    • 期間: 1年間
    • 担当者: 総務部、各部署責任者

このように、漠然とした目標ではなく、誰が何をいつまでに行うのかを明確にすることで、取り組みが進みやすくなります。

Q&A:SDGs導入の初期段階でよくある疑問

Q: SDGsに取り組むと、やはりコスト負担が増えますか?

A: 短期的に見ると、例えば新しい建材の採用や設備投資、研修などで費用が発生する可能性はあります。しかし、省エネ化による光熱費削減、廃棄物削減、従業員の定着率向上による採用コスト減など、長期的な視点で見ればコスト削減や収益向上に繋がるケースが多くあります。また、補助金や税制優遇を活用できる場合もあります。コストではなく、将来への「投資」と捉えることが重要です。

Q: 中小規模の工務店でも、SDGsに取り組むことはできますか?

A: はい、もちろん規模に関わらず取り組めます。SDGsは大規模なプロジェクトだけを指すものではありません。例えば、「現場でのゴミを分別する」「地元産の木材を利用する」「従業員の資格取得を奨励する」「地域の清掃活動に参加する」といった、日々の事業活動の中で実践できることから始めるだけでも、十分にSDGsへの貢献となります。身近な取り組みから一歩ずつ進めることが、持続可能な経営への着実なステップとなります。

SDGs×持続可能な経営:成果を最大化する具体的な取り組み

自社の現状分析を終え、優先すべきSDGs目標と行動計画を定めたら、いよいよ具体的な取り組みを実行に移す段階です。ここでは、工務店として特に実践しやすい具体的な取り組み事例と、その成果を最大化するためのポイントをご紹介します。

工務店が実践できるSDGs具体的な取り組み事例

工務店の事業を通じて貢献できるSDGs目標は多岐にわたります。いくつか代表的な事例を見ていきましょう。

環境側面からの貢献(目標7, 12, 13, 15など)

  • 高断熱・高気密住宅の推進: 住宅の省エネルギー性能を高めることで、入居後の光熱費削減に貢献し、CO2排出量を削減します。(目標7, 13)
  • 再生可能エネルギーの活用提案: 太陽光発電システムや蓄電池の設置を積極的に提案します。自社事務所や現場でも再生可能エネルギーの利用を検討できます。(目標7, 13)
  • 地域材・森林認証材の利用: 地元で生産された木材や、適切に管理された森林から伐採された木材(FSC認証材など)を利用することで、森林保全と地域経済活性化に貢献します。(目標12, 15)
  • 建築端材の削減とリサイクル: プレカット材を有効活用する、現場での分別を徹底する、発生した端材を別の用途(家具、雑貨、燃料など)に活用・販売するといった取り組みを行います。(目標12)
  • 水資源の節約: 節水型の住宅設備を提案する、現場事務所での節水を呼びかけるなど。(目標6)

社会側面からの貢献(目標3, 4, 8, 11, 16など)

  • 安全第一の職場環境づくり: 現場での安全教育の徹底、安全装備の充実、健康診断の実施など、従業員や職人さんの安全と健康を守ります。(目標3, 8)
  • 働きがいのある環境整備: 適正な労働時間の管理、休暇取得の奨励、ハラスメントのない風通しの良い職場環境づくり、男女を問わないキャリアアップ支援などを行います。(目標5, 8)
  • 技能承継と人材育成: 若手育成のためのOJTや研修制度を充実させ、熟練者の技術・知識を次世代に伝えていきます。(目標4, 8)
  • 地域貢献活動: 地域の清掃活動への参加、お祭りへの協賛・協力、地元の学校での出前授業、災害時の応急対応協力など、地域コミュニティとの連携を強化します。(目標11, 17)
  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進: 高齢者や障がい者など、多様な人々が安心して暮らせる住宅・建築を追求します。(目標10)

経済側面からの貢献(目標8, 9, 11, 12など)

  • 高品質な長期優良住宅の提供: 長く住み続けられる丈夫でメンテナンス性の高い住宅を提供することで、建て替えサイクルを長くし、資源消費抑制と顧客の経済的負担軽減に貢献します。(目標8, 9, 12)
  • リフォーム・リノベーション事業の強化: 既存ストックの有効活用を促進し、スクラップ&ビルドからの脱却を目指します。(目標11, 12)
  • 透明性の高い情報提供: 使用建材の産地や性能、工事進捗状況など、お客様に対して誠実かつ分かりやすい情報提供を行います。(目標16)
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進: 業務効率化だけでなく、顧客とのコミュニケーション円滑化や情報公開の強化に繋げ、「見えない工務店」からの脱却を図ります。(目標8, 9)

従業員・サプライヤー・地域社会を巻き込む方法

SDGsへの取り組みを持続可能な経営に繋げるためには、関係者全員の協力が必要不可欠です。

従業員への浸透

  • SDGs研修・勉強会の実施: SDGsの基本的な考え方や、自社の取り組みについて説明会を行います。
  • 意見交換の場を設ける: 従業員からSDGsに関するアイデアや改善提案を募る会議やワークショップを開催します。
  • 取り組みの「見える化」: ポスター掲示、社内報、イントラネットなどで、自社のSDGs活動を積極的に発信します。
  • インセンティブの検討: SDGs関連の目標達成に対する表彰制度などを設けることも有効です。

従業員一人ひとりが「自分たちの仕事が社会にどう貢献しているか」を実感できると、働きがいやモチベーション向上に繋がります。

サプライヤー(協力会社・建材メーカーなど)との連携

  • SDGsに関する方針共有: 自社のSDGsや持続可能な経営に関する考え方をサプライヤーに伝え、協力を依頼します。
  • 環境配慮型建材の共同開発・利用促進: 環境負荷の低い建材やリサイクル建材の利用を共に検討します。
  • 倫理的な調達ガイドラインの策定: 強制労働、児童労働、環境汚染などに関与していないサプライヤーを選ぶ基準を作ります。(目標8, 12, 16)
  • 定期的な情報交換: サプライヤーのSDGsに関する取り組みを学び、互いに改善し合える関係を築きます。

サプライチェーン全体での取り組み強化は、企業としての信頼性を高めます。サプライヤーもまた中小企業であることが多いため、共に学び成長していく姿勢が重要です。

地域社会への発信と連携

  • ホームページでの情報公開: 自社のSDGsへの取り組みや成果を分かりやすく掲載します。
  • SNSでの発信: 地域のイベント参加や環境への配慮といった日常的な活動を写真や動画で発信し、親近感を醸成します。
  • 地域イベントへの参加・主催: 地域のお祭りへの協賛、子供向けの木工教室開催など、住民や地域企業との交流を深めます。
  • 小学校などでの環境学習・キャリア教育: 建築の楽しさやSDGsへの貢献を次世代に伝える活動を行います。(目標4, 11)
  • 地方自治体との連携: 地域の活性化や環境保全に関するプロジェクトに積極的に参画します。

地域社会からの信頼と期待こそが、工務店が持続可能な経営を続けていく上で最も重要な基盤となります。

潜在的な疑問への回答(Q&A)

Q: どのSDGs目標から始めるのが良いですか?

A: 自社の事業内容や企業文化との関連性が高い目標、または既に何らかの取り組みを行っている分野から始めるのがおすすめです。例えば、普段から省エネ住宅に取り組んでいるなら目標7や13、地域材を使っているなら目標15、職人さんの安全管理を重視しているなら目標3や8といった具合です。最初は取り組みやすい目標から始め、成功体験を積むことが継続の鍵となります。

Q: SDGsへの取り組みをどのようにPRすれば効果的ですか?

A: ホームページに専用ページを設けて、具体的な活動内容や関連目標、将来の目標などを具体的に掲載するのが基本です。加えて、契約したお客様へのニュースレター、完成見学会での説明、地域のイベントでのパネル展示、SNSでの日々の発信なども有効です。重要なのは、単に目標を並べるだけでなく、「なぜそれに取り組んでいるのか」「それは地域やお客様にどう良い影響を与えるのか」といったストーリーを伝えることです。例えば、「この家には地元の木材を使っています。これはSDGsの目標15『陸の豊かさも守ろう』に貢献し、地域の林業振興にも役立ちます」といった具体的な説明が効果的です。

SDGsを継続的に成功させるための「次の一手」

SDGsへの取り組みは、一度行えば終わりというものではありません。持続可能な経営に繋げるためには、活動を継続し、効果を測定し、常に改善していく姿勢が不可欠です。ここでは、取り組みを定着させ、さらに発展させていくための「次の一手」について解説します。

効果測定と進捗管理:PDCAサイクルを回す

計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のPDCAサイクルを回すことが、SDGs活動を持続可能な経営に効果的に結びつけるために重要です。

ステップ1:KPI(重要業績評価指標)の設定

具体的な行動計画で定めた目標に対し、達成度を測るためのKPIを設定します。KPIは定量的な指標であることが望ましいですが、定性的な目標についても可能な範囲で進捗を追える指標を設定します。

  • 例: ZEH普及率(%)、年次有給休暇取得率(%)、建築端材のリサイクル率(%)、地域イベントへの参加回数(回)、従業員の研修受講時間(時間)など。

ステップ2:定期的な進捗レビュー

設定したKPIや行動計画の進捗を、月次や四半期ごとに確認する会議や報告会を実施します。計画通りに進んでいるか、課題はないか、などを関係者で共有します。

ステップ3:成果の評価と要因分析

一定期間(例えば1年間)の活動を振り返り、設定した目標やKPIがどの程度達成できたかを評価します。目標が達成できなかった場合は、その要因を分析し、今後の改善に活かします。

ステップ4:改善計画の策定

評価と分析の結果を踏まえ、次なるステップに向けた改善計画、あるいは新しい目標や取り組みを策定します。これにより、SDGs活動はより効果的かつ継続的なものとなっていきます。

継続的な取り組みのための仕組みづくりと文化醸成

SDGsを一時的なブームで終わらせず、企業の文化として定着させるためには、仕組みづくりが重要です。

  • 担当部署・担当者の明確化: SDGs推進チームや担当者を置くことで、責任を持って活動を進める体制が整います。
  • 社内規定への反映: 経営理念や行動規範の中にSDGsや持続可能性への意識を盛り込みます。
  • 従業員との定期的なコミュニケーション: SDGs活動の意義や成果を繰り返し共有し、従業員の理解と共感を深めます。
  • 成功事例の共有と表彰: SDGsに貢献する良い事例を社内で共有し、積極的に取り組んだ従業員を評価・表彰します。

経営トップが率先してSDGsへの重要性を語り、従業員と共に取り組む姿勢を示すことが、文化醸成において最も大きな影響力となります。

SDGsをさらに発展させる「次の一手」

基本的な取り組みが定着してきたら、さらに一歩進んだチャレンジを検討できます。

  • SDGs関連認証の取得: 建築関連(例:ZEHビルダー登録、BELS評価)、環境関連(例:ISO 14001)、労働環境関連(例:健康経営優良法人)など、取得を目指すことで外部からの評価を高め、活動の質を向上させることができます。
  • サプライチェーン全体での協働プロジェクト: サプライヤーや地域の他企業と連携し、新たなサービスや製品開発、あるいはサプライチェーン全体での環境負荷低減プロジェクトなどを立ち上げます。
  • SDGsを軸にした新規事業の検討: 例えば、空き家問題解決に向けた地域連携事業、高齢者向けリフォーム専門部署設立、建材のリユース・シェアリングサービスなどが考えられます。
  • 外部専門家やコンサルタントの活用: より高度な目標設定や効果測定、情報開示の方法について、専門家のアドバイスを受けることも有効です。

潜在的な疑問への回答(Q&A)

Q: SDGsの効果測定は難しいイメージがあります。具体的に何を測れば良いですか?

A: SDGsの効果測定は、取り組んだ目標に関連する具体的な行動の「量」や、それによって得られた「成果」を測ることから始めます。例えば、環境面なら「使用した地域材の量」「リサイクルした建築端材の量」「施工したZEHの棟数」、社会面なら「安全研修への参加人数」「有給休暇の取得日数」「地域イベントへの参加回数」、といった具体的な数字を設定できます。これらの数字を時系列で追うことで、取り組みの進捗や効果が見えてきます。最終的には、これらの活動が企業の収益やブランドイメージ、従業員の定着率などにどう影響したかを分析できるとさらに良いですが、まずは活動そのものの定量的な記録から始めるのが現実的です。

Q: SDGsへの取り組みを継続するためのモチベーション維持が心配です。

A: モチベーション維持のためには、以下の点が有効です。1. 成功体験を共有する: 小さな成果でも良いので、達成したことを全従業員で共有し、互いを称え合います。2. 取り組みの意義を繰り返し伝える: SDGsへの貢献が、会社の未来、地域、そして自分たちの働きがいにどう繋がるのかを定期的に経営層から伝えます。3. 外部からの評価や反響を知る: お客様からの感謝の声や、地域住民からの賛同、メディア掲載など、外部からのポジティブな反応を社内に共有します。4. 目標をアップデートする: 一度設定した目標に固執せず、状況に応じて見直しや新たな目標設定を行うことで、常に新鮮な気持ちで取り組めます。従業員一人ひとりが「やらされ感」ではなく、「自分事」として捉えられるような関わり方が重要です。

まとめ

この記事では、工務店経営者の皆様がSDGsを理解し、持続可能な経営へと繋げるための具体的なステップを解説しました。資材高騰や人手不足といった厳しい経営環境だからこそ、SDGsという視点を取り入れ、自社の事業活動を社会課題解決と結びつけることが、企業の持続的な成長には不可欠です。

SDGsへの第一歩は、自社の事業と目標との関連性を把握し、優先すべき取り組みを決めることです。そして、省エネ住宅の推進、地域材の活用、従業員の働きがい向上、地域貢献活動など、具体的なアクションを実行する。これらの活動を単なるコストではなく、企業価値を高め、新たなビジネス機会を生み出す「投資」として捉えることが重要です。

活動を継続するためには、PDCAサイクルによる効果測定と改善、そして従業員、サプライヤー、地域社会といったステークホルダーとの連携が欠かせません。SDGsは経営戦略そのものです。一歩踏み出し、着実に実行していくことで、貴社の工務店は、地域社会に必要とされ続ける、より強く、より魅力的な企業へと発展していくでしょう。今日から、記事で紹介した具体的なアクションプランをぜひ実践に移してください。その一歩が、貴社の輝かしい未来、そして持続可能な社会の実現に繋がります。

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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。 今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」 ※8月実施予定。 住宅サイトの運営もしています。 福島県 喜多方市出身 県立会津高校卒 市立高崎経済大学卒 著書: 頼みたくなる住宅営業になれる本 https://x.gd/oatiM SDGsに取り組もう 建築業界編 https://x.gd/MXYJr とっておきの見込み客発掘法 https://x.gd/001or 主な講演: 鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」 リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト) 育英西中学校 その他住宅FCなど 活動実績 2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア 2020~ 木ッズ絵画コンクール
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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
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活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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