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住宅展示場で特定のターゲット層に絞った集客戦略

公開日: : 最終更新日:2025/09/27 工務店 経営

住宅展示場で特定のターゲット層に絞った集客戦略

工務店経営者の皆様、日々の集客にこのような課題を感じてはいませんか?「住宅展示場に出展しているが、思ったほどの来場者数に繋がらない」「多額の費用をかけているのに、問合せや成約に結びつく確度の高い顧客が少ない」「様々な層にアプローチしようとして、結局誰にも響いていない気がする」。これらの課題は、多くの工務店が共通して直面している現状かもしれません。特に現代のように情報過多で顧客のニーズが多様化する時代において、漠然とした集客戦略では費用対効果は低下する一方です。

しかし、ご安心ください。住宅展示場は依然として強力な集客チャネルであり、その効果を最大限に引き出す鍵は、「誰に」見せるか、つまり「ターゲット層」を明確にすることにあります。曖昧な「全員」を狙うのではなく、理想とする顧客像に焦点を絞り、その層に「刺さる」メッセージと体験を提供することで、無駄なコストを削減し、成約率の高い顧客との出会いを増やすことが可能になります。

この記事では、住宅展示場で特定のターゲット層に絞った集客を実現するための、実践的かつ具体的な手順を詳細に解説します。読者の皆様は、この記事を通じて、以下のことを習得できるでしょう。

  • なぜ今、ターゲット層を絞り込むことが不可欠なのか、その本質的な理由。
  • 自社の理想の顧客像を明確にするための具体的な分析手法。
  • 特定ターゲット層の心に響く住宅展示場の設計・演出アイデア。
  • ターゲット層に効率的にリーチするためのオンライン・オフラインの集客戦略。
  • 来場者を高確率で顧客へと導くための接客・クロージングのアプローチ。
  • 施策の効果を測定し、継続的に改善していくためのデータ活用術。

この記事を読み終える頃には、貴社の住宅展示場が単なる展示スペースではなく、特定のターゲット層にとって「理想の未来」が体験できる場所へと変革し、確実な成果に繋がる集客戦略を自ら実行できるようになることをおお約束します。漠然とした集客から卒業し、貴社の住宅事業を次のステージへと押し上げるための具体的な一歩を、ここから踏み出しましょう。

ターゲット層の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

住宅展示場での集客を成功させる上で、最も本質的かつ重要な一歩は、ターゲット層を明確に定義することに他なりません。このセクションでは、なぜターゲット層の絞り込みが必須なのかという根本的な理由から、具体的な特定プロセス、そしてその活用法までを実践的に解説します。

なぜ今、ターゲット層の絞り込みが不可欠なのか?

かつての住宅市場は、住宅ローン減税や景気変動に大きく左右され、いわゆる「マス層」と呼ばれる幅広い層にアプローチする戦略が通用する時代もありました。しかし、現在は状況が大きく変化しています。

  1. 競合の激化と情報過多: 住宅業界への新規参入や、既存工務店のサービス多様化により競争は激化しています。また、インターネットやSNSの普及により、顧客は膨大な住宅情報を自由に比較検討できるため、一般的な情報では響かなくなっています。
  2. 顧客ニーズの多様化: 核家族化、共働き世帯の増加、DINKs世帯、団塊ジュニア世代の住み替え、セカンドライフ層の健康志向など、顧客の価値観やライフスタイルは細分化され、それぞれが求める住まいの形も多岐にわたります。
  3. 限られたリソースの最適化: 広告費や人件費、そして住宅展示場の出展費用は決して安価ではありません。漠然とした集客は、これら貴重なリソースを無駄遣いすることに繋がります。特定のターゲット層に絞り込むことで、メッセージ、デザイン、プロモーション活動を最適化し、費用対効果を高めることが可能になります。

つまり、特定のターゲット層に特化することで、他社との差別化を図り、顧客との深い共感を築き、結果として成約に繋がりやすい質の高いリードを獲得できるのです。

あなたの理想の顧客像を炙り出す3つのステップ

具体的なターゲット層を特定するためには、データに基づいた分析と、一歩踏み込んだ顧客像の想像が不可欠です。以下の3つのステップで進めていきましょう。

1. 既存顧客の徹底分析

最も確実なデータは、貴社の既存顧客にあります。過去に契約いただいたお客様の中から、特に「良い顧客」と感じられた方を数名ピックアップし、共通項を探します。

  • デモグラフィック情報: 年齢、家族構成(配偶者の有無、子供の人数と年齢)、職業、世帯年収、居住地(賃貸か持ち家か、エリア)。
  • サイコグラフィック情報: なぜ当社を選んでくれたのか(デザイン、性能、価格、担当者の人柄、アフターサポート)、住まいに対する価値観(デザイン重視、機能性重視、省エネ、子育てのしやすさ)、情報収集源(Webサイト、SNS、雑誌、紹介)、趣味、休日の過ごし方、将来の夢や不安。
  • 購入プロセス: 問い合わせから契約までの期間、決定要因、最も懸念していた点とその解決策。

これらの情報を深掘りすることで、貴社の強みが「どのような層」に響いているのか、具体的なヒントが見えてきます。

Q: 既存顧客が少ない場合、どうすればいいですか?

A: 既存顧客が少ない場合は、以下の方法を組み合わせましょう。
1. 地域データの収集: 国勢調査データや自治体の発表する人口動態、平均所得、世帯構成の変化などを調査し、将来的な市場の可能性を探ります。
2. 競合分析: 競合他社がどのような住宅を、どのようなターゲット層に向けて展開しているかを調査し、市場のギャップや自社の差別化ポイントを見つけます。
3. 理想像の仮説立て: 貴社が「こんなお客様に家を建ててほしい」という理想像を具体的に書き出し、そこから逆算して情報収集や市場調査を進めます。

2. 市場調査とペルソナ作成

既存顧客の分析で得られた知見を元に、さらに市場全体を俯瞰し、具体的な「ペルソナ」を作成します。ペルソナとは、ターゲット層を代表する架空の顧客像のことです。

  • データに基づく理解:

    • **公的データ:** 国土交通省の住宅・土地統計調査、地域ごとの人口・世帯構成データ、平均所得、持ち家率などを参照し、マクロな視点から市場を捉えます。
    • **住宅情報サイトの動向:** ユーザーがどのようなキーワードで検索しているか、どのような物件に興味を持っているか、人気のあるエリアや設備などをリサーチします。
  • ペルソナの具体化: 収集した情報と仮説を元に、まるで実在する人物かのように詳細なペルソナを作成します。

    • **名前・年齢・性別:** 例:山田 健太、38歳、男性
    • **家族構成:** 妻(37歳、会社員)、長男(8歳)、長女(4歳)
    • **職業・年収:** 夫婦共働き、世帯年収800万円(夫は中間管理職、妻はパートタイム)
    • **居住地:** 現在は郊外の賃貸マンション、通勤時間は片道1時間
    • **住宅への要望:**
      • 子育てのしやすさ(リビング学習、収納、広い庭)
      • 共働き支援(時短家事動線、宅配ボックス)
      • デザイン性も重視しつつ、予算内でのコストパフォーマンス
      • 将来的な資産価値も考慮
    • **情報収集源:** Instagram、YouTube、住宅系Webサイト、友人・知人の口コミ
    • **不安点:** 住宅ローンの返済、子供の教育費との両立、実家の近くでの土地探し
    • **夢・目標:** 家族でBBQができる庭付きの家で、子供たちがのびのび育つ環境を提供したい。

    このような具体的なペルソナを作成することで、「この層に響く住宅展示場にするにはどうすれば良いか?」という問いに対する答えが明確になります。

3. 競合分析によるポジショニング

自社のターゲット層と強みを明確にする上で、競合他社の分析も欠かせません。

  • 競合が狙う層の把握: 競合のWebサイト、住宅展示場、広告などから、彼らがどのような顧客層にアプローチしているかを推測します。
  • 自社の強みと弱み: サービス、デザイン、価格、技術力、アフターサポートなど、様々な側面から自社と競合を比較します。
  • 差別化ポイントの確立: 競合が手薄な領域や、自社の強みが最大限に活かせるターゲット層を見つけ、そこを「攻める」戦略を立てます。

このプロセスを通じて、貴社がどのような価値を提供できるのか、そしてその価値を最も享受してくれるターゲット層は誰なのかが明確になります。

Q: 複数のターゲット層を持つことは可能ですか?

A: はい、将来的には可能です。しかし、最初のステップとしては、最も可能性が高く、貴社の強みが生きる「一つ」のターゲット層に絞り込むことを強くお勧めします。リソースが分散せず、メッセージがブレないため、短期間での成果が出やすくなります。そのターゲット層で成功を収めた後、得られたノウハウを元に別の層へと拡大していく戦略が良いでしょう。

住宅展示場×ターゲット層:成果を最大化する具体的な取り組み

ターゲット層を明確にしたら、次はその層が「吸い寄せられる」住宅展示場を具体的に作り上げていく段階です。モデルハウスの設計・演出から、来場を促すプロモーション、そして成約に繋げる接客まで、具体的な取り組みをステップバイステップで解説します。

ターゲット層が「吸い寄せられる」モデルハウス設計・演出

住宅展示場は単なる建物ではありません。それは、ターゲット層にとっての「理想の暮らし」を具現化した「体験空間」であるべきです。

1. テーマとコンセプトの統一

ペルソナが持つ価値観やライフスタイルに合わせて、モデルハウス全体のテーマとコンセプトを統一します。

  • 子育て世代向けペルソナの場合:

    • **テーマ:** 「家族の絆を育む、共働き世帯の時短スマートハウス」
    • **デザイン:** 明るく開放的なLDK、リビング学習スペース、豊富な収納、家事動線を考慮した間取り(例:キッチン→洗面所→サンルーム直結)、子供部屋の可変性。
    • **家具・小物:** ファミリー向けの広めのソファ、子供のおもちゃ、学習ドリル、家族写真の展示。
  • セカンドライフ層向けペルソナの場合:

    • **テーマ:** 「趣味と健康を育む、豊かでアクティブな平屋の住まい」
    • **デザイン:** バリアフリー対応、広い土間や専用の書斎・趣味室、南向きのウッドデッキ、庭いじりスペース、エネルギー効率の高い設備。
    • **家具・小物:** 大きなソファ、読書灯、趣味の道具(ガーデニング用品、絵画など)、健康器具。

内装、外装、間取り、家具配置まですべて、このテーマからブレないことが重要です。ターゲット層が「これ、私の求めていた暮らしだ!」と感じるような演出を心がけましょう。

2. 体験型の工夫

単に見て回るだけでなく、五感に訴えかける体験を提供することで、記憶に残り、感情に響く住宅展示場となります。

  • キッチンでの簡単な料理体験: 最新のIHクッキングヒーターや食洗機を実際に使ってもらう。コーヒーや紅茶を提供し、リラックスした雰囲気で会話を深める。
  • VR/ARによる間取りシミュレーション: まだ建っていない部分や、別の間取りパターンをVRで体験してもらう。家具の配置シミュレーションなども有効です。
  • IoT機器のデモンストレーション: スマート家電やセキュリティシステムを実際に操作してもらい、未来の暮らしを体感させる。

3. 「共感」を生む演出

モデルハウスに「生活感」を演出することで、ターゲット層は自分たちの暮らしをそこに投影しやすくなります。

  • ライフスタイルの小道具配置: 家族が実際に使っているかのような歯ブラシ、洗面台のコスメ、ソファに置かれたブランケット、棚に並べられた愛読書など。
  • 提案ボードでのストーリーテリング: 各部屋のコンセプトや、それがターゲット層のどのような悩みを解決し、どのような「理想の暮らし」を実現するかを具体的に示すボードを設置します。「リビングで料理をしながら子供を見守り、家族の会話が弾む風景」といった具体的な情景を想起させる言葉を添えましょう。

これらの工夫により、住宅展示場は単なる家ではなく、ターゲット層にとっての「夢の実現場所」へと昇華します。

ターゲット層を呼び込む集客・プロモーション戦略

どんなに素晴らしい住宅展示場でも、ターゲット層に届かなければ意味がありません。明確なターゲット層に向けて、効率的かつ効果的なプロモーション戦略を展開しましょう。

1. オンラインでのリーチ

ターゲット層の多くが情報収集にインターネットを活用している現代において、オンラインプロモーションは不可欠です。

  • Webサイト/ランディングページ(LP): ターゲット層が検索する可能性のあるキーワード(例:「共働き向け 間取り」「子育て世代の家 沖縄」など)に対してSEO対策を施したコンテンツを作成します。モデルハウスの魅力を伝えるLPでは、ペルソナの悩みや要望に焦点を当て、具体的な解決策と感情に訴えかける言葉で魅力を伝えます。
  • SNS広告: Facebook広告、Instagram広告は、年齢、地域、興味・関心、ライフイベントなどで詳細なターゲティングが可能です。ペルソナ情報と合致する層に絞り込み、モデルハウスの魅力的な写真や動画、体験イベントの告知などを配信します。
  • オンラインセミナー/ウェビナー: 「失敗しない家づくり講座(子育て世代編)」「セカンドライフのための賢い平屋選び」など、ターゲット層の具体的な疑問や関心事に特化したテーマでオンラインセミナーを開催します。参加ハードルが低いため、見込み客の獲得に有効です。

2. オフラインでの連携

オンラインだけではリーチしきれない層や、地域に密着したアプローチのために、オフラインのプロモーションも重要です。

  • 地域イベントとのコラボレーション: 子育て世代が参加する「ママ向けイベント」、趣味のサークル、地域のフリーマーケットなど、ターゲット層が集まるイベントに積極的に参加し、住宅展示場の紹介や相談ブースを設けます。
  • ポスティング/チラシ: ターゲット層が多く居住するエリア(新興住宅地、ファミリー層向けマンションなど)に絞り込み、ペルソナに響くキャッチコピーとデザインのチラシを配布します。住宅展示場の地図や連絡先を明確に記載しましょう。
  • DM戦略: 過去の資料請求者やイベント参加者など、すでに接点のある見込み客リストに対して、パーソナライズされたDMを送付します。新たなモデルハウス情報や限定イベントの招待など、特別感を演出しましょう。

接客からクロージングまで、ターゲット層に寄り添う個別アプローチ

住宅展示場に足を運んでくれた来場者は、すでに貴社や貴社の提供する住宅に関心を持っている層です。この来場者との接点を、いかに成約に繋げるかが重要になります。

1. 営業担当者の専門性強化

営業担当者は、ターゲット層のライフスタイル、価値観、家づくりへの具体的な悩みを深く理解している必要があります。

  • ペルソナに関する研修: 営業担当者全員でペルソナを共有し、その人物がどのような質問をし、どのような不安を抱え、どのような価値観を重視するかを深く議論します。
  • 専門知識の習得: 子育て支援策、住宅ローン、税制優遇、省エネ性能、バリアフリー設計など、ターゲット層が関心を持つであろうテーマに関する専門知識を習得し、具体的な質問に的確に答えられるようにします。

2. ヒアリングの質向上

来場者との会話は、単なる商品説明ではなく、悩みに寄り添い、夢を共有する場であるべきです。

  • 事前の情報収集: Webサイトからの問い合わせやイベント参加時に入力されたアンケートなどを事前に確認し、来場者の基本的な情報や関心事を把握しておきます。
  • 質問力の向上: 「どんな暮らしが理想ですか?」「家づくりで今、一番不安に感じていることは何ですか?」「休日はどのように過ごしたいですか?」など、相手の深層心理や価値観を引き出す質問を積極的に行います。

3. 具体的な解決策の提示

ヒアリングで得られた情報に基づき、来場者の具体的な疑問や不安に対する明確な解決策を提示します。

  • 予算・ローンに関する提案: 資金計画や住宅ローンに関する具体的なシミュレーションを提示し、不安を解消します。
  • 土地探し: 提携不動産会社との連携や、貴社が保有する土地情報を提供し、土地探しからのサポート体制を明確にします。
  • 設計プラン: 来場者の要望に合わせたカスタマイズの可能性や、過去の施工事例などを提示し、具体的なイメージを膨らませてもらいます。

重要なのは、来場者一人ひとりに寄り添い、「この会社なら、自分たちの理想の家を実現してくれる」という信頼感を築くことです。

Q: 予算が限られている場合、住宅展示場での集客はどこに注力すべきですか?

A: 予算が限られている場合は、以下の2点に集中投資することをお勧めします。
1. モデルハウスのコンセプト統一と演出: 最も重要なのは、明確なターゲット層に対するモデルハウスの一貫したコンセプトと魅力的な演出です。華美な装飾ではなく、ターゲット層が「自分たちの理想の暮らし」を具体的にイメージできるような機能性、デザイン、生活感の演出に注力しましょう。
2. オンライン広告によるリード獲得: 費用対効果を考えると、SNS広告やGoogle広告など、詳細なターゲティングが可能なオンライン広告に予算を集中させることが効果的です。これにより、展示場への来場意欲の高い見込み客を効率的に集客できます。

住宅展示場を継続的に成功させるための「次の一手」

一度ターゲット層に絞った集客戦略を展開したら終わりではありません。市場や顧客ニーズは常に変化するため、住宅展示場の効果を最大化し続けるためには、成果の測定、分析、そして継続的な改善が不可欠です。このセクションでは、そのための具体的な方法を解説します。

成果を「見える化」する効果測定と分析

施策の成否を客観的に判断し、改善点を見つけるためには、具体的な指標に基づく効果測定が欠かせません。

1. 来場者数の定量的分析

  • 来場者数とターゲット層の割合: 住宅展示場全体の来場者数に加え、事前アンケートやヒアリングを通じて、設定したターゲット層が全体の何割を占めているかを測定します。ターゲット層の比率が高いほど、集客戦略が成功している証拠です。
  • 曜日・時間帯別の来場者数: 特定のターゲット層がどの曜日や時間帯に来場しやすいかを分析することで、スタッフ配置やイベント開催の最適化に繋がります。
  • 広告チャネル別の貢献度: どの広告(Web広告、SNS、チラシ、イベントなど)を見て来場したかをアンケートで確認し、費用対効果の高いチャネルを特定します。特に「住宅展示場」への来場を促したチャネルを明確にすることが重要です。
  • 見込み客リスト(リード)獲得数: 来場者の中から、資料請求、個別相談予約、アンケート回答などで個人情報を獲得できた数を計測します。これにより、単なる来場者数だけでなく、具体的な次のアクションに繋がった実数を把握できます。

2. 行動データの定性的分析

数字だけでは見えてこない、来場者の生の声や行動から改善のヒントを得ます。

  • 来場者アンケート: モデルハウスの満足度、不満点、特に魅力を感じた点、期待していたことと違った点、「どのような暮らしを求めているか」などを具体的に質問します。自由記述欄を設けることで、貴重な意見を収集できます。
  • 営業担当者からのフィードバック: 来場者との会話の中で、どのような質問が多かったか、具体的な反応はどうであったか、どの部分に関心を示したか、どの点が不安材料であったかなどを定期的にヒアリングし、記録します。これは、接客方法の改善だけでなく、モデルハウスの演出改善にも繋がります。
  • モデルハウス内の行動観察: スタッフが目立たない形で、来場者がどの部屋に長く滞在するか、どの設備に興味を示すか、どの提案ボードを熱心に見ているかなどを観察し、人気のエリアや課題点を特定します。

3. Webサイト/SNSのデータ活用

オンラインでのプロモーション効果も数値で把握しましょう。

  • Webサイトのアクセス解析: Google Analyticsなどを活用し、サイト訪問経路、滞在時間、ページビュー数、離脱率、資料請求や問い合わせなどのコンバージョン率(CVR)を分析します。特に住宅展示場関連のページの効果を詳細にチェックします。
  • SNS投稿のエンゲージメント率: いいね、コメント、シェア、保存数など、投稿に対するユーザーの反応を分析し、どのようなコンテンツがターゲット層に響くのかを把握します。

データに基づいた継続的改善サイクル

収集・分析したデータを元に、PDCAサイクルを回して住宅展示場での集客戦略を継続的に改善していきます。

1. PDCAサイクルの確立

  • Plan (計画): 分析結果に基づき、新たなターゲット層の再評価、モデルハウスのレイアウト変更、新たなイベントの企画、広告予算の再配分など、具体的な改善策を計画します。
  • Do (実行): 計画した改善策を実行に移します。例えば、モデルハウスのリニューアル、特定のターゲット層に特化したSNSキャンペーンの実施、営業担当者への新たな研修などです。
  • Check (評価): 改善策の実行後、再度効果測定指標に基づき、どのような変化があったかを分析・評価します。改善点が狙い通りに効果を発揮したか、予期せぬ問題は発生しなかったかなどを検証します。
  • Action (改善): 評価結果に基づき、さらなる改善が必要な点を特定し、次の方針を決定します。成功事例は横展開し、失敗事例からは学び、次の「Plan」へと繋げます。

Q: 改善点が複数ある場合、何から手をつけるべきですか?

A: 改善点が複数ある場合は、以下の要素を考慮して優先順位をつけましょう。
1. 費用対効果: 少ないコストで大きな成果が見込めるものから着手します。
2. インパクトの大きさ: 改善が成功した場合に、最も大きな影響(来場者増、成約率向上など)をもたらす施策を優先します。
3. 実行の容易さ: 比較的すぐに実行できるもの、社内リソースで対応可能なものから試すと、早期にフィードバックが得られ、PDCAサイクルを加速できます。

2. 長期的な関係性構築

住宅展示場での出会いを単発で終わらせず、長期的な顧客関係へと発展させることが、持続的な成功に繋がります。

  • 定期的な情報提供: 来場者や資料請求者に対し、ニュースレター(メールマガジン)やLINE公式アカウントなどを通じて、家づくりに関する役立つ情報、施工事例、イベント案内などを定期的に提供します。
  • 住宅購入後のアフターフォロー: 住宅を建てていただいたお客様に対して、定期点検やメンテナンスを通じて継続的なサポートを提供し、信頼関係を深めます。これにより、リピートや紹介、口コミに繋がり、新たな「住宅展示場」への集客チャネルとなり得ます。
  • 既存顧客からの紹介キャンペーン: 満足度の高い既存顧客からの紹介を促すインセンティブ(キャンペーン)を設けることで、質の高い見込み客を効率的に獲得できます。

これらの取り組みは、住宅展示場での集客効果をさらに高め、貴社のブランド力を強化することにも繋がります。

常に進化する集客手法と工務店の未来

テクノロジーの進化や社会情勢の変化に伴い、集客手法も刻々と変化しています。

  • 最新テクノロジーの導入検討: VR/ARを活用したオンラインでのモデルハウス見学、AIチャットボットによる顧客対応、スマートホーム技術の積極的な導入など、常に新しい技術にアンテナを張り、貴社の住宅展示場やサービスに取り入れることで、顧客体験を向上させます。
  • 顧客体験(CX)の向上: 住宅購入は顧客にとって人生で最も大きな買い物の一つです。住宅展示場での来場から購入、そして入居後の生活まで、一貫して最高の顧客体験を提供することに注力します。
  • 地域コミュニティとの連携強化: 地域密着型の工務店として、地域社会との連携を強化し、イベントへの参加や貢献を通じてブランドイメージを高めます。これは、信頼性の向上だけでなく、口コミによる新たな「住宅展示場」への集客にも繋がります。

これらの「次の一手」を常に模索し、実行していくことで、貴社の住宅展示場は単なる見学場所ではなく、地域社会から信頼され、多くの人々に選ばれる特別な存在へと成長していくでしょう。

まとめ

この記事では、工務店経営者の皆様が住宅展示場で特定のターゲット層に絞った集客を成功させるための具体的な戦略と手順を解説しました。まず、漠然とした集客から脱却し、既存顧客分析、市場調査、ペルソナ作成を通じて「理想のターゲット層」を明確に定義することが、あらゆる成功の出発点です。次に、そのターゲット層が心から「住みたい」と感じるような、テーマ性を持たせた住宅展示場のモデルハウス設計と五感に訴えかける体験演出の重要性をお伝えしました。そして、オンライン広告や地域イベント連携といった多角的なプロモーションでターゲット層を効率的に集客し、来場者の悩みと夢に寄り添う質の高い接客を通じて成約へと繋げる具体的なアプローチを示しました。

さらに、一時的な成功に終わらせないため、来場者数、リード獲得数、Webサイトデータなどの定量的・定性的な効果測定を継続的に行い、PDCAサイクルを通じて改善を重ねるプロセスの価値を強調しました。

今日からでも、まずは一つのターゲット層を明確に設定し、その層に向けたメッセージと住宅展示場の演出を具体的に見直すことから始めてみてください。完璧を目指すのではなく、小さく始めて検証し、改善を重ねることを意識してください。この戦略を実行し続けることで、貴社の住宅展示場は高確度の見込み客で賑わい、効率的な集客を実現できる強力なチャネルへと進化します。そしてそれは、貴社の住宅事業が持続的に成長し、地域社会に「理想の住まい」を提供し続ける未来へと確実に繋がっていくことでしょう。貴社の挑戦を心より応援しています。

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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