固定費削減！会社の通信費・光熱費を見直すポイント

公開日： 2025/09/21 : 最終更新日：2025/09/27 工務店　経営

昨今、工務店業界を取り巻く経済環境はますます厳しくなっており、材料費の高騰や受注競争の激化、雇用コストの上昇などが重くのしかかっています。これらに対応し安定した経営を続けるためには、売上アップはもちろんですが、「工務店コスト削減」、特に変動しにくい固定費の見直しが喫緊の課題となっています。しかし具体的にどこから手を付ければよいかわからない、自社のコスト構造が可視化できていない、とお困りの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、工務店が通信費・光熱費などの固定費をどのように見直し、どのような手順で実践的なコスト削減を実行すれば良いのかを、具体的なアクションプランとともにわかりやすく解説します。また、よくある疑問や、取り組み後に成果を最大化するコツ、継続的な改善の手順まで、実践的な視点で丁寧にご案内します。今この記事をお読みいただくことで、「明日から何をすべきか」が明確になり、無理なく効果的な経費カットが実現できます。経営の安定を目指すすべての工務店経営者の方に、今すぐ役立つ戦略をご提案します。

固定費, 見直しの「実践的」導入戦略：基礎から応用まで

まず「固定費」とは、工務店の大小を問わず、毎月・毎年必ず発生する経費を指します。典型的な例として、事務所の家賃・リース費、従業員の給与、保険料、通信費、光熱費などがあります。これらは売上の増減にかかわらず発生するため、“固定”という特性を持っています。そのため、工務店コスト削減の観点で最初に着手すべき対象といえます。

本セクションでは、固定費の見直しを進めるにあたっての「実践的ステップ」と、基礎知識から応用例までを整理します。以下の手順に従い、自社の経費体質を可視化・再構築してみてください。

ステップ1. 固定費の全体像を把握する

まずは自社で毎月必ず発生している経費を一覧化しましょう。会計ソフトや過去2～3年分の決算書を活用し、賃料、人件費、通信費、光熱費、保険料など毎月同じ額が払われているものをリストアップします。
経費項目ごとに、「金額」「契約相手」「開始日」「自動更新の有無」「サービス内容」などもまとめておくと、後続の見直し作業がスムーズです。
意外と見落としやすいのが保険料や車両のリース料、OA機器など複数社との契約。漏れなく棚卸して総額を把握しましょう。

ステップ2. 固定費の「分類」と重要度の評価

リストアップした固定費を、「事業運営上、絶対に必要」「見直し可能（内容変更や削減ができそう）」「不要（解約や縮小を検討）」の3段階で分類します。
例えば、賃料はすぐには変えられませんが、契約中の通信プランや不要な回線、人数上限をオーバーしたサービスは見直し可能です。
この段階で、「なぜこの経費が必要なのか」「本当に適正か」を問い直す習慣を持つことが、工務店コスト削減の基礎体力となります。

ステップ3. 優先順位付けと現状把握の深堀り

固定費はすべて同時に見直す必要はありません。金額の大きい順、改善インパクトの高そうな順に優先順位をつけましょう。
筆頭は事務所の賃料、通信費、光熱費、システム利用料など。複数の契約先があるものや、長期間見直していない契約から着手することがポイントです。
現状把握が済んだら、毎月支払いが発生する経費のうち、コストの「根拠」「サービス内容（本当に使っているか）」を具体的に確認していきます。

ステップ4. 市場比較と「見直し」の具体的方法

リスト化した固定費について、同業他社や市場平均と比べて自社の水準が高くなっていないかを調査します。たとえば、通信費や光熱費は簡単に見積り比較ができるため、2～3社へ相見積もり依頼するのが鉄則です。
不要サービスの洗い出しと同時に、同等かそれ以上のサービス内容で安価なプラン・新規取引先を検討します。インターネットや固定電話・携帯電話のセット割、プロバイダ一括変更なども有効です。
サブスクリプション型ソフトウェアやクラウドサービスも対象です。未使用のアカウント、有料オプション・追加契約がないかを総点検しましょう。

ステップ5. 社内体制による「継続的」なチェック体制を整える

コスト削減の一時的な実施に終わらせず、一定の期間ごと（四半期ごとや年度ごと）に固定費の棚卸し・見直しをルール化しましょう。
担当者を決め、気づきや改善アイデアを全社員から募集することで、「コスト意識」を企業全体へ浸透させることができます。

以上が、工務店コスト削減に取り組むための固定費, 見直しの基本戦略です。自社の規模や事業内容に合わせ、まずは一覧化と可視化から始めてみてください。

工務店コスト削減×固定費, 見直し：成果を最大化する具体的な取り組み

本セクションでは、工務店業界に特有の事情を踏まえつつ、通信費・光熱費などの固定費を本当に削減できる「現場で役立つ」取り組みを分野ごとのHOW TO形式で解説します。また、読者の疑問や失敗例も織り交ぜ、現場でありがちなつまずきを防ぐためのヒントもご紹介します。

1. 会社の通信費を徹底的に見直す・削減する手順

1-1. 利用実態の把握とデータ集約
- 全社員の携帯・スマホや固定電話、Wi-Fi、タブレット回線、FAX番号など現状の契約数・利用目的・料金明細を一元化します。
- 「誰が、どんな回線を、何に使っているか」を月単位で可視化し、過剰契約や未使用契約（人員減・異動後の放置回線）がないか洗い出します。
1-2. サービス内容と料金の見直し
- 工務店向け法人携帯プランの見直しやインターネット契約の再検討（光回線・WiMAX・モバイル回線・IP電話）を行い、セット割や一括決済の利点も調査します。
- 通話・通信量の集計データから、実利用に合わせた最適なプランへの変更・複数回線の統合を検討します。
1-3. 不要サービスの解約・一本化
- 利用頻度の低い回線・付加サービス（音声案内、追加メールアドレス、FAX転送など）を解約または最小化し、内線電話・クラウドサービス化で通話料と運用コストを下げます。
- グループ通話アプリや現場チャットなどに切り替えることで電話代そのものの圧縮も可能です。
1-4. 実例：通信費削減に成功した工務店のケース
- ある地域工務店では、利用されていなかった回線・オプションの解約によって月額5万円の削減、法人携帯を一括見直しした結果、年額で60万円以上のコストカットに成功しています。
- 導入前に全社員・現場責任者とヒアリングしながら「現場だからこそ必要な通信手段」と「事務所で代替できる通信」を切り分けたことが成功の鍵です。

2. 光熱費の見直しと省エネ化によるコスト削減

2-1. 使用電力量・ガス・水道の見える化
- 過去6～12か月分の請求書データを集計し、「どの部署で、何に、いくら使っているか」をグラフ化します。現場事務所・モデルハウス・本社ビルなど拠点ごとに分析することがポイントです。
2-2. 契約プランと契約会社の比較・交渉
- 2016年以降の電力・ガス自由化により、法人向けの新電力・ガス会社比較が容易になりました。相見積もりをとって最適な会社へ乗り換えることで数％～20％程度の削減可能性が生まれます。
- 実例では、小規模事務所で年間15万円、中規模工務店で30万円近い光熱費削減に繋がった事例も多く見られます。
2-3. 設備投資による「長期的削減」も検討
- LED照明化、省エネエアコンへの切り替え、待機電力ゼロ化などの初期投資が、3～5年で回収できる可能性も高いです。省エネルギー診断サービスの利用もおすすめです。
2-4. 具体的な見直しアクションプラン
- 無人時の照明消し忘れ防止タイマー設置、エアコンの温度管理ルール作成、電源オフ・コンセント抜きの徹底を社員教育し、全社で「みんなで減らす」空気をつくります。
- 外注スタッフやパートへのガイドライン提示も効果的です。

3. その他の固定費（リース料・保守料・保険料）の見直し

複合機・コピー機、事務機器のリースは、「他社見積」「保守契約の簡素化」「共同利用化」により大幅削減が実現可能です。
保険（工事保険・賠償責任保険等）は、契約内容の見直しや一括化、不要特約の削減でムダを省きつつ、リスク低減も両立できます。

4. よくある疑問・FAQ：現場経営者の悩みに答える

Q1. 固定費の見直しで仕事の品質や社員の働きやすさが落ちないか？
A. 無理な削減や単なるコストカットは逆効果ですが、「使っていないサービス」「本来不要な過剰契約」をカットするだけでも十分な効果が得られます。現場とよく話し合い、必要なものは維持しながらの見直しを心掛けましょう。
Q2. 固定費の見直しはどのくらいの頻度ですべき？
A. 少なくとも「年度ごと」には全体像を棚卸し、契約更新のタイミング（1年・2年・3年ごと）が迫ったものは優先して見直しましょう。新サービス登場時や法改正のタイミングも見直しの好機です。
Q3. コスト削減の効果測定はどうやって行う？
A. 一覧化した固定費ごとに、「見直し前」と「見直し後」の請求額を記録し、月ごと・年度ごとの比較表を作成してください。何をどれだけ削減できたかが一目で分かるようにしましょう。

工務店コスト削減を継続的に成功させるための「次の一手」

コストダウンの「成功」の先には、組織全体の経営体質強化、より高い収益性の獲得といった新たなステージが待っています。見直しで成果を出した後に、会社が「どう進化するか」が重要です。

ステップ1. 固定費のPDCAを回す

見直し後の効果を1～3か月ごとにモニタリングし、その数値を全社員や取引先まで共有しましょう。数字の見える化は、社内の意識を一気に高めます。
次回見直し時期を定め、改善点・実現できなかった項目・新たな削減可能性などを報告会で話し合うサイクルを作ります。PDCA型運用が工務店コスト削減を「継続的」な企業文化に育てます。

ステップ2. スマート化・システム化で更なる効率化

帳票・請求書のペーパーレス化、勤怠管理や経理の自動化・クラウド化により、間接的な固定費の削減だけでなく作業効率もアップします。
導入時は初期コストがかかる場合もありますが、長期的には大幅なコストパフォーマンス向上につながります。

ステップ3. 全社一丸の「コスト改善チーム」創設

社長や経理担当だけでなく、営業・現場・設計・パートスタッフまで巻き込んだ「コスト改善プロジェクト」を発足させましょう。日常業務で気づいた“小さな無駄”を全社員から吸い上げることが大きな差別化につながります。
改善アイデアや効果を可視化し、表彰や報奨を設けることで現場のモチベーションアップにも繋がります。

ステップ4. 地域特性や補助金・助成金も活用

各自治体の省エネ設備導入補助金、業務効率化に関する助成金など、使える公的支援を活用することで初期投資コストを抑えられます。
また、地域での情報交流会や同業者とのネットワークを持つことで、新たなコスト削減ノウハウも吸収できます。

こうして「柔軟な現場目線」と「経営トップのリーダーシップ」を組み合わせた“攻めと守りのコスト経営”が、これからの工務店業界で大きな強みとなります。

まとめ

本記事では、工務店業界が直面する経営課題のうち、通信費・光熱費など主要な固定費の徹底的な見直し方法と、“今すぐできる”コスト削減の具体的ステップを紹介しました。まずは自社の固定費を一覧化し、優先順位をつけて一つずつ無駄を排除することが成功の近道です。各社員を巻き込んだ見直し体制やPDCAサイクル、さらには補助金活用・IT化などの継続施策も併用していけば、経営体質そのものが力強く進化します。今日から始める一歩一歩が、将来の事業安定と成長に直結します。ぜひ、身近な経費を可視化し、現場レベルでコスト意識を高める習慣を育ててください。“守り”としてのコスト削減が、“攻め”の事業拡大につながる、そんな未来を一緒につくっていきましょう。

この記事を書いた人

浄法寺亘

福島県喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGｓ、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書：
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう　建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演：
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」（東京ビックサイト）
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019～　千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020～　木ッズ絵画コンクール