コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

従業員が辞めない!工務店の離職率を下げる秘訣

公開日: : 工務店 経営

工務店経営において「人が定着しない」「せっかく育てた従業員がすぐに辞めてしまう」といった人材課題は、深刻な経営リスクであり現場力の弱体化にも直結します。人材定着と離職率低下は、事業の安定成長や施工品質維持、顧客満足向上に欠かせないテーマです。しかし、「具体的に何をすればよいのか分からない」「日々の業務で精一杯で余裕がない」というお悩みも多いことでしょう。本記事では、工務店が明日から実践できる人材定着の王道プロセス、離職率低下につなげる仕組みづくり、現場主導の成功ケースや応用策まで、経営者・現場責任者双方の視点に立ったハウツーを体系的に解説します。これを読めば、「最初の一歩」から「長期的な体制強化」までの道筋が明確になります。
今、人材定着に本気で着手したい方、離職率低下の本質的な解決策を探している方に、確実に“使える”実践術をお届けします。

離職率低下の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

「人材定着を図りたい」「離職率低下を目指したい」と思いつつも、いざ具体策となると何から始めて良いかわからない。そんな工務店経営者様に向け、基本の仕組みづくりから現場ですぐ実践できるステップをご紹介します。

1. 現在の状況把握と課題の見える化

  • 従業員との面談・ヒアリングを実施
    まずは定期的な面談やアンケートで、「なぜ辞めるのか」「働きづらさはどこにあるのか」を洗い出しましょう。往々にして、現場目線の率直な声が人材定着のヒントになります。
  • 離職率・勤続年数・部署ごとの実態をデータ化
    感覚ではなく、「過去3年の離職率」や「入社後1年、3年後の定着率」など、数字で現状を把握することが改善の起点です。Excelなどで自社独自の人事データ台帳をつくりましょう。
  • 主な退職理由を分類する
    退職面談の記録やヒアリングを基に、「労働環境」「人間関係」「報酬」「キャリア展望」などカテゴリーごとに傾向を分析します。

2. 入社時オンボーディングと早期離職の防止策

  • 実践的な入社ガイダンス制度の導入
    新入社員向けだけでなく、中途採用者も対象に「会社として大切にしている価値観・現場の文化・経営者の思い」を丁寧に伝えます。経験者であっても“ウチの流儀”を知り安心してもらうことが、早期戦力化と人材定着の第一歩です。
  • 教育担当・メンター制度の設計
    入社3~6ヶ月間は、比較的若手の先輩や現場責任者が徹底的にフォローアップ。実務・メンタル両面で「頼れる人」がいることで、不安・孤独感からくる離職が大きく減ります。
  • 適正な試用期間と業務割り当て
    初期はプレッシャーをかけすぎず、「できること」「興味があること」に重点配置。段階的に職責を広げ、達成感や自己成長につながる体験を意識的に組み込みましょう。

3. 給与・待遇・評価制度の健全化

  • 地域相場より劣らない給与水準
    給与水準が著しく低いと、どんな対策をとっても人材定着は実現しません。同業他社やエリア平均と比べて十分かを必ず点検し、不足があれば計画的に改善を。
  • 評価・昇給の透明性
    「何を頑張ればどのくらい評価されるのか」が曖昧だと、目標を持ちづらく不満も募ります。評価軸や昇給ルールを言語化・明文化し、定期的に従業員へ説明会を実施しましょう。
  • 福利厚生・ワークライフバランスへの配慮
    住宅手当、家族手当、資格取得等への支援、有給休暇取得の推進など、小さな積み重ねが離職率低下に効きます。既存社員にヒアリングし「現場に本当に役立つ福利厚生」を設計しましょう。

4. チームワークの醸成と職場風土の改善

  • 現場単位での目標共有・意見交換会
    月次での小規模ミーティングや、現場改善ワークショップを定例化。経営層だけでなく職長・現場リーダーも参画し「皆で会社を良くしていく」という意識を育てます。
  • 成果と貢献を“みえる化”して称賛
    現場の小さな功績や改善案を掲示・イントラネット上で発信するなど「やって良かった」という実感が人材定着につながります。表彰・感謝の言葉を惜しまず伝える仕組みを導入しましょう。

5. 定期的な仕組みの点検と現場フィードバック

  • 従業員アンケートを年2回実施
    各施策ごとに「どこに効果があったか」「課題は何か」を従業員の声から検証し、短期的な修正を柔軟に繰り返します。
  • 現場メンバーからの改善提案制度
    改善アイデアを積極的に吸い上げ、優秀案を即座に試行・採用することで「声が現場に届く」風土を築く。これ自体が人材定着に直結する重要ポイントです。

ステップまとめ:

上記の5ステップは人材定着・離職率低下のための基盤であり、多くの工務店で即効性と持続性を生みます。ポイントは「一度実施して終わり」ではなく、各プロセスを毎年ブラッシュアップし、中長期で体制として定着させていくことです。

人材定着×離職率低下:成果を最大化する具体的な取り組み

ここからは、人材定着と離職率低下施策を“形”だけでなく、真の成果に結び付けるための重要な施策と、その導入・運用上の実践ポイントを解説します。さらに、現場経営者様がよく抱く疑問にもQ&A形式で具体的にお答えしていきます。

1. スキルアップ支援とキャリア形成の可視化

  • 定期研修・外部講習参加の推進
    入社年次や役職別に、半年ごと・年1回の外部講習や社内研修を計画的に導入。技能だけでなく「コミュニケーション」「現場管理」「新人育成」など、幅広いテーマを提供しましょう。
  • キャリアパスの明確化と実例共有
    「作業員→現場代理人→現場責任者→所長→経営幹部」と具体的な成長モデルを示します。社内報や集会で、実際にキャリアアップした社員の声や軌跡を共有することで、中長期で働く意義が深まります。
  • 資格取得支援・補助金制度の強化
    施工管理技士、宅建士などの専門資格取得に対して「受験料補助」「合格祝い金」「勉強時間確保」など具体的サポートを拡充します。スキル向上が評価・給与にも直結すれば、人材定着の意欲が格段に高まります。

2. 現場責任者育成と“マネジメントの質”向上

  • 管理職・現場リーダー向けマネジメント研修
    「現場リーダーの人間力・教育力が弱い」「上司のパワハラに若手が離れる」といった声は多いです。管理職任せにせず“毎年1回”人間力・指導力の外部研修を義務化しましょう。
  • 1on1面談の制度化
    月1回、必ず上司が部下と1対1で課題・不満・今後の目標を共有。コーチング視点で「聞くこと」を主眼に置き、建設的な提案や悩みに“共に考える”アプローチを徹底します。

3. 柔軟な働き方・多様性への配慮

  • 現場シフトの柔軟化・時短勤務の導入
    育児・介護・持病持ちなど、多様なライフステージへの配慮は現代の人材定着に不可欠です。各現場ごとのシフト調整や部分的な在宅対応(設計・積算部門等)等、可能な限り柔軟な対応策を模索しましょう。
  • 女性・外国人・シニア層の積極雇用と受け入れ研修
    新たな人材確保・定着の柱として、多様な背景を持つ人への受け入れ対応、定着支援も力を入れます。社内の多様性を尊重し、特有の悩みや働き方に寄り添う相談窓口も設けます。

4. 社内コミュニケーション促進とエンゲージメント強化

  • 定例懇親会・社内部活動の推奨
    仕事を離れた交流の場を定期的に企画。部活動補助金や家族参加OKという形もニーズが高いです。「誰もが孤立せず帰属意識を持てる」しくみ作りが人材定着に直結します。
  • 社内SNS・LINEグループの活用
    工事完成の共有や、ちょっとした雑談・相談も気軽にできるインナーコミュニケーションのプラットフォームを整えます。特に若手層には効果絶大です。

5. 離職予防の兆候キャッチと早期フォロー体制

  • 週報・日報による気持ちの変化の見える化
    シンプルな日報・週報でも「体調不良」「悩み」など変化を記録。上司だけでなく、総務担当など複数の目で異変を察知できる体制づくりが肝要です。
  • 退職検討者への個別ケア
    「ちょっと辞めたいかも…」という相談があった場合、否定せず話をじっくり聞き、本人の課題や会社側の支援策をその場で提示できるよう現場と本部が連携。1人で抱え込ませない風土が離職率低下に直結します。

Q&A:現場経営者の“よくある疑問”に答える

  • Q:施策を始めてもなかなか人材定着・離職率低下の手応えが出ないのはなぜ?
    A:「施策の浸透と現場の納得感」に時間がかかるためです。ポイントは、現場リーダー層が本気で取り組むことと、効果測定とフィードバックを繰り返す PDCA が重要です。
  • Q:定着率が高い工務店と、そうでない会社の大きな違いは?
    A:根底には「従業員に対する信頼と関心の有無」があります。小手先の制度ではなく、「人と向き合って対話・育成・環境改善を日常的に続けているか」が分かれ目です。
  • Q:新入社員がすぐ辞めるのをどう減らす?
    A:入社初期のフォロー体制とエモーショナルな歓迎(社長・上司・仲間全員が声掛け・面談・悩み共有)を手厚くしましょう。一人ぼっち感をなくすことが最優先です。
  • Q:成長意欲・将来性のある人材ほど流出しやすいのでは?
    A:成長モデル・キャリアビジョン・新しい挑戦の機会が社内に見つかるかが決定打です。裁量を与え「挑戦→失敗→成長の支援」を惜しまない体制がカギとなります。

人材定着を継続的に成功させるための「次の一手」

ここでは、従来の「やりっぱなし施策」で終わらせないための継続的改善策と、今後の工務店経営に求められる人材定着の考え方、トレンドを踏まえた応用的戦略を紹介します。

1. 効果測定とPDCAサイクルの徹底

  • 離職率/定着率の定期計測
    6ヶ月に1回、年度単位で「どの部署で何名が退職/定着したか」を数字で記録・変動要因を分析しましょう。数値目標を設け、未達時は必ず施策を検証・修正します。
  • 従業員満足度調査の実施と公表
    年1回は外部または中立的な関係者による従業員満足調査を実施し、集計データを公開。結果をもとに必ず“改善アクション”を全社へフィードバックします。
  • 人材定着推進プロジェクトの設置
    経営・現場・総務など部署横断の小規模チームを編成。人材定着を専門テーマに「新制度の提案」「社員ヒアリングの展開」など、“会社ぐるみ”で取り組む体制を構築します。

2. “社員の声”を核にする経営ビジョンへの昇華

  • 経営理念・ビジョンの再確認と周知
    人材定着には「何のための定着か」を全社員が理解・共有できていることが重要です。「単なる労働力確保型」から「共に未来を創るパートナー型」へ経営ビジョンをアップデートし、全員が納得できる言葉で伝えましょう。
  • 従業員活躍事例の社内共有・表彰
    十分な裁量と挑戦機会を活かした「現場力で課題解決した事例」を発信・全社表彰。社員のやりがいや誇りが見える化され、「ここで働き続けたい」という帰属意識を強化します。

3. 外部の専門家や他社ネットワークの活用

  • 社会保険労務士・人材コンサル等の伴走支援
    「評価制度づくり」「制度改善」「労務トラブルの予防」など、難しい局面は積極的に専門家に相談。結果をレポート化し、次年度計画の素材にしましょう。
  • 他工務店・地域団体との情報交換会
    近隣の工務店ジョブシャドウや、業界団体の勉強会に経営トップ自ら参加。優良事例や人材定着の先進ノウハウを柔軟に取り入れ、自社カラーに反映します。

4. DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用

  • 業務効率化による「無駄な残業・ストレス」削減
    工事進捗管理・勤怠・日報・工程管理等をクラウド化し、「紙・電話・手書き」の運用を減少。ミスや手戻りを減らすことで「時間的ゆとり」を創出します。これは人材定着に直結した“現場の不満解消法”でもあります。
  • 社内の学びや交流プラットフォームとしてのIT活用
    オンライン教育動画、業務Q&A掲示板、ナレッジ共有ツールなどを導入。ベテラン・若手問わず、知識や経験を言語化・再現可能にしていくことで定着力が向上します。

5. バックアップ採用・“採用ブランディング”強化

  • 常時リクルーティング活動
    完全に欠員補充型ではなく、「共感できる社員候補の採用」「働く理由を言語化した採用広報」に取り組みます。紹介・リファラル制度も活用し、「辞める人が出ても慌てない」採用体力をつけます。
  • 施工事例・社員インタビューのSNS発信
    若手や女性社員のリアルな声を載せた採用・定着ブランディング発信はSEOでも有効です。現場の雰囲気や“やりがい”が伝わる情報発信を、地道に続けましょう。

応用ポイントまとめ:

時代は「人材定着=属人的ノウハウ」から「組織全体のインフラ化・経営資源化」へと移行しています。短期的な離職率低下だけでなく、数年単位での「現場の地力向上」「働く人の自己実現」まで見据え、社内外、アナログとデジタルのあらゆる力を結集しながら継続的強化を図っていきましょう。

まとめ

人材定着と離職率低下を実現するための道筋は、現場のヒアリングによる課題把握、オンボーディングや待遇・評価制度の見直し、そしてチームでの改善活動など多岐にわたります。それぞれのアクションを単発で終わらせるのではなく、「測定→修正→定着化」という仕組みで回すことで、本当の成果につながります。人材定着こそが、施工品質・顧客満足・社員のやりがい・会社のレピュテーション向上すべての基盤です。今すぐ小さな一歩から始め、できた部分から広げていく姿勢が未来を切り拓きます。本記事の具体策を参考に「辞めない、育つ、誇れる工務店」へと着実に進化されることを、心より応援いたします。

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

組織文化を醸成する!工務店の成長戦略

2025/08/21 |

現在、多くの工務店が直面しているのは「良い現場力はあるのに、安定して成長できない」「せっかく採用した...

記事を読む

心に響く家づくり!モデルハウスのコンセプトを深く掘り下げる方法

2025/06/19 |

工務店経営者の皆様、集客や差別化、そして何より「本当に届けたいお客様」との出会いにお悩みではありませ...

記事を読む

イベント開催で新規顧客獲得!工務店のノウハウ

2025/07/18 |

工務店を取り巻く市場環境は近年大きく変化しており、「新規顧客がなかなか獲得できない」「リピーターが増...

記事を読む

固定費を徹底削減!工務店の利益体質への変革

2025/08/25 |

全国の工務店経営者の皆様、日々の経営現場で「利益がなかなか残らない」「経費が膨らみ続けている」「売上...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑