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新しい資金調達!工務店のクラウドファンディング活用事例

公開日: : 工務店 経営

現在、地域密着型の工務店が生き残りと発展を図るうえで避けて通れない難題、それが資金調達です。近年、大手との競争激化や材料費の高騰、人口減少による顧客基盤の縮小により、従来の銀行融資だけでは十分な運転資金や新規設備投資をまかないきれないケースが増えています。こうした課題解決の有力な選択肢として、クラウドファンディングが新たな注目を集めているのをご存じでしょうか。

この記事では、工務店が資金調達を効率的かつ効果的に実現するために、クラウドファンディングをどのように活用すればよいのか、実践的な導入のステップから、具体的な事例、成功のポイント、そして継続的な改善法まで、分かりやすく解説します。「本当にクラウドファンディングで資金調達ができるのか?」「何から始めればいいのか分からない」「失敗しない方法は?」―そんな疑問や不安に正面からお応えし、あなたの工務店が次の一歩を踏み出すための具体的な方法をお伝えします。

クラウドファンディングの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

まずは基本として、クラウドファンディングを活用した資金調達の全体像と、工務店が実際に踏むべき手順を徹底解説します。初めてでも成功しやすい導入ポイントも合わせて紹介します。

クラウドファンディングとは?工務店にとっての意味

クラウドファンディングとは、不特定多数の支援者からインターネット上で資金を集める手法です。例えば、地域に根差した「古民家再生プロジェクト」や、「地元材を使った新しいモデル住宅の開発」など、あなたの工務店独自の価値や想いを共感してくれる支援者が、日本全国または地元から集まり、資金調達ができる仕組みです。これは単なる資金確保にとどまらず、地域とのつながりの強化や、自社ブランドの認知拡大にも直結します。

クラウドファンディング活用までの5つのステップ

実際にクラウドファンディングを通じた資金調達を成功させるには、次の5ステップが王道です。

  1. 目的と目標金額の明確化初めに、「なぜ資金調達が必要なのか」「資金を何に使うのか」を社内でしっかり議論しましょう。数字を裏付ける根拠や、「地域活性を目指すイベント開催」「職人育成プログラム設備投資」など、共感を呼ぶストーリーに仕上げることが肝心です。目標金額は、必要額+リターン(支援へのお礼)や手数料、追加経費を盛り込み、現実的に設定してください。
  2. 適切なプラットフォーム選び国内には「READYFOR」「CAMPFIRE」「Makuake」など実績豊富なプラットフォームが存在します。手数料率、利用できるサービス(リターン事務代行、広報サポート)等を比較し、自社のプロジェクトに最も適したサイトを選びましょう。近年は建築系プロジェクトに強いカテゴリ型のクラウドファンディングも注目です。
  3. プロジェクトページの企画・制作資金調達の成否は、この「見せ方」で大きく左右されます。ビジュアル重視の写真や動画、ストーリー性を意識した文章、お礼として設定するリターンの明確さなど、一つ一つ細部までこだわりましょう。完成見本や図面を交えれば専門性も伝わります。さらに「なぜ今このプロジェクトなのか」(時代性・社会的価値)も盛り込むことで共感が生まれます。
  4. ファン・支援者の事前醸成と広報公開前から常連顧客や地元自治体、同業者などに事前説明し、応援団をつくっておくことが極めて重要です。HP・SNS・LINE公式・地域媒体などをフル活用し、公開初日から支援が集まりやすい状況を整えます。目標金額の30%以上を初週で集めることが成功の近道ですが、そのために身近な人へ「まずは応援を」と根回ししておきます。
  5. 公開・運用中のコミュニケーションと改善プロジェクト公開後も、進捗報告や追加情報発信、支援者への個別メッセージなどを丁寧に行います。一時的に支援が伸び悩むこともあるため、その都度「追加リターン」や「ストレッチゴール」設定など、柔軟な対応で再加速を狙いましょう。寄せられた応援コメントには必ず返信し、プロジェクトへの信頼感を高めることが欠かせません。

事例に学ぶ:工務店のクラウドファンディング成功体験

例えば、ある地方工務店では「地元産材使用の無垢家具プロジェクト」で、地域住民や出身者から約200万円の資金調達に成功。地元新聞とのタイアップや、先行予約制によるリターン設計(完成品の割引販売+職人ワークショップ体験)など、持続的な関係づくりと実用品提供を組み合わせた点が評価されています。また、都市部では「空き家リノベーション型民泊事業」がSNSで急拡散し、施工過程の動画日記や、支援者限定見学会が参加意欲を刺激しました。

押さえておきたい法的・実務的ポイント

クラウドファンディングで大きな金額を集める場合、税務申告や消費税処理、リターン品の原価計算など、通常業務とは異なる管理が求められます。特にリターンとして住宅やリノベーションの割引券などを用意する場合、景品表示法や建設業法の適用範囲もチェックしておきましょう。契約書の取り交わしや、個人情報管理も事前にマニュアル化しておくと安心です。

資金調達×クラウドファンディング:成果を最大化する具体的な取り組み

ここでは「どうしたらより多くの資金調達を達成できるか」「工務店だから活きるクラウドファンディングの工夫は?」といった現実的な疑問に答えます。ノウハウやFAQ形式で事例と実際の応用方法を解説します。

成果を最大化するための実践アクションプラン

  1. プロジェクト内容を差別化する資金調達の競争力を高めるためには、「あなたの工務店ならではの個性」が不可欠です。例として「木造校舎の再生とまちづくり支援」「災害に強い地域インフラの施工PJ」など、社会的意義や地域貢献性を前面に出しましょう。支援者の”心”を動かすことで、広がりあるクラウドファンディングが実現します。
  2. 多様なリターン設計で層を広げる1,000円から数十万円まで、小口から大口支援まで多彩なリターンを設定します。例えば「感謝の手紙&活動報告」「地場産木材のキーホルダー贈呈」「完成施設の見学・ワークショップ」「自社施工住宅の割引券付リターン」など支援金額に応じて段階を作りましょう。リターンの工夫はファン層を広げ、目標達成率を押し上げます。
  3. 映像・ストーリーテリングで共感を集める動画や写真、工事現場のタイムラプス、プロジェクト立ち上げの裏話をSNSやプロジェクトページ、YouTubeなどで発信します。支援者は「どんな人が、どんな想いで実現しようとしているのか」を知りたいものです。「あなた自身が語る」ことが、従来の資金調達手法にはない強いエンゲージメントを生みます。
  4. 資金調達後のコミュニティ化と持続運営クラウドファンディングの魅力は、支援金がゴールではなく「支援者ネットワークの構築」と「施主以外の新たな関係者の創出」です。定期的な進捗報告、感謝イベントやリターン品の体験会など、プロジェクト終了後も支援者とつながり続ける工夫が将来の新規受注やファン化へと繋がります。
  5. 地元メディア・団体と連携する地元新聞、テレビ、行政広報、商工会議所などと連携できれば、信頼性と地域拡散力が飛躍的に高まります。取材や記事掲載、イベント協賛を依頼するのも有効な方法です。同時に、近隣の異業種(飲食・観光関係など)とコラボし、リターンの幅を広げて新しい価値を創造しましょう。

よくある疑問・失敗回避のQ&A

Q. 地域でまだクラウドファンディングの事例がなく不安です。
A. 地域に前例が少なくても問題ありません。むしろ「初」の取り組みとして注目されやすく、地元メディアも積極的に紹介してくれる傾向があります。まずは小規模なプロジェクトから実践し、実績を積み重ねていくのが現実的です。
Q. 万が一、目標金額に達しなかったらどうなりますか?
A. 多くのプラットフォームでは「All or Nothing」方式を採用しており、目標達成しない場合は資金調達がキャンセルされ手数料も発生しません。一方、「All In」方式は目標未達でも集まった資金を受け取れますが、プロジェクト企画段階できちんと確認し選択しましょう。
Q. 普段の業務と並行してやるには負担が大きいのでは?
A. 確かに通常業務と両立するのは大変ですが、あらかじめ「専任担当者」を社内で決め、サポート体制を整えれば乗り切れます。また、一時的に外部ライターやPR会社へページ作成・運用を委託する方法もあります。社内でノウハウを蓄積し、次回以降自走化するのがお勧めです。
Q. どんな支援者が集まりやすいですか?
A. 地元の住民や同業者はもちろん、地域出身者、伝統建築やリノベーション愛好家、社会貢献意識が高い層にアプローチできます。プロジェクトの魅力設計次第で全国規模の支援拡大も十分可能です。

資金調達を継続的に成功させるための「次の一手」

単発で終わらず、継続的な資金調達に結びつけるための方法と、データ活用・改善サイクルのポイントを紹介します。持続的な成長のために、工務店が取るべき「次の一手」を丁寧に掘り下げます。

継続的な資金調達体制をつくる3つのアプローチ

  1. プロジェクト後のPDCAサイクル完了後は「何が成功し、どこで課題が出たか」を必ず分析します。プロジェクト開始前~運用中~終了後の各段階で「目標金額とのギャップ」「支援者層の分析」「リターンごとの人気」などを数値で可視化し、次回プロジェクトへのフィードバックとします。
  2. コミュニティの持続運営とファン化一度支援してくれた方を「一過性の支援者」で終わらせず、ファンコミュニティに育てる意識が重要です。定期的なイベントや各種特典の案内、Facebookグループ等での情報共有・交流会などを仕組み化しましょう。「また応援したい」と思われる存在になることが長期安定資金調達への近道です。
  3. 資金調達の多角化とアップデートクラウドファンディングによる実績をもとに、補助金獲得や、地元金融機関との新たな協働、助成金情報の活用など、資金調達の選択肢を増やしていきましょう。クラウドファンディングで得た「地域からの信頼」「社会的インパクト」は、次の資金調達時にも大きな信用材料となります。リスクヘッジのためにも複線での資金確保が推奨されます。

実践例:データで見る資金調達の工夫

ある工務店では、クラウドファンディングを実施した後、支援者リストから再度アンケートを実施。約4割の支援者が「次のプロジェクトにも応援したい」と回答し、以降毎年度の資金調達にも安定的な成果が出ています。また、支援額やリターン希望内容のデータを活用し、「一度支援した人が追加支援する仕組み」と「新規顧客開拓による全体底上げ」が両立できる構造を構築しています。これにより、従来一方通行だった資金調達を「循環型資金調達サイクル」へと転換できています。

資金調達後の信頼構築が次の調達を呼ぶ

クラウドファンディングで集めた資金は「適切な目的に、誠実に使われている」と支援者にしっかり伝えることが、リピート支援の絶対条件です。工事完了後の成果報告会や現場ツアー、施工過程のドキュメンタリー配信など透明性の高い運用が信頼に繋がります。さらに、資金調達を通じて獲得したブランド価値は、事業成長のみならず、地元との長期的なパートナーシップにも波及します。

まとめ

工務店にとって「クラウドファンディングを取り入れた資金調達」は、単なる資金繰り対策を超え、地域との協働・ブランド強化・長期的な成長を実現する新しい武器です。この記事でご紹介した通り、導入準備から事例に学ぶ実践ノウハウ、成果を最大化する工夫、継続的な改善方法まで「具体的かつ今日から始められるアクションプラン」をお示ししました。まずは小さな一歩から、社内外の関係者と話し合い、プロジェクト化に挑戦してください。この挑戦が、御社の未来を切り開き、新たな顧客と信頼、そして持続的な発展へと確かに繋がっていきます。確実な実践と改善を重ね、ぜひ「選ばれる工務店」として次世代資金調達を実現してください。応援しています!

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

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