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消耗品費を抑える!工務店の経費節約術

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の業務、お疲れ様です。資材価格の高騰や人手不足といった経営環境の変化に立ち向かう中で、利益率の維持・向上は喫緊の課題となっています。特に、見積もりには計上しにくい、あるいは意識しないうちに膨らみがちな「消耗品費」は、企業のコスト管理において見過ごせない要素です。小さな出費の積み重ねが、気付けば経営を圧迫する要因となっている、ということはありませんか?本記事では、工務店が抱える消耗品費の問題に焦点を当て、その具体的な削減方法と、それを基盤とした盤石なコスト管理体制の構築について、実践的な視点から徹底解説します。この記事を読むことで、曖昧だった消耗品費の現状を正確に把握し、現場と事務の両面から効果的な削減策を実行するための具体的なステップが明確になります。そして、単なる節約にとどまらない、持続可能な利益体質への転換を実現するためのヒントを得られることをお約束します。

消耗品費の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店経営におけるコスト管理は、材料費や人件費といった大きな項目に目が行きがちですが、消耗品費という比較的小さな、しかし多岐にわたる出費の管理も極めて重要です。消耗品費は、現場で使うビスやテープ、刷毛、軍手から、事務所で使うコピー用紙、インク、文房具、更には車両のオイルやワイパー、果ては掃除用具や給茶セットまで、非常に幅広い品目が含まれます。これらの品目一つ一つは安価でも、使用頻度が高く、管理が行き届かないと無駄な購入や在庫が発生し、積もり積もって経営を圧迫する隠れたコストとなり得ます。

効果的なコスト管理を実現するためには、まずこの消耗品費に光を当て、「見える化」することが不可欠です。どこで、何に、いくら使っているのかが分からなければ、対策の打ちようがありません。ここでは、そのための具体的なステップをご紹介します。

1-1. 工務店における消耗品費の定義と重要성

改めて、工務店における消耗品費とは何かを明確にしましょう。一般的に、耐用年数が1年未満のもの、あるいは取得価額が10万円未満(会社の規模によっては30万円未満の特例あり)で、使用によって消費される物品の購入費用を指します。例えば、以下のようなものが該当します。

  • 現場関連: ビス、釘、接着剤、テープ、コーキング材、サンドペーパー、刷毛、ローラー、ウエス、軍手、ヘルメットのインナー、安全帯の消耗部品、軽微な工具(カッターナイフ、替え刃など)、養生シート、使い捨て手袋、清掃用品(ホウキ、ちりとり等)
  • 事務所関連: コピー用紙、インク/トナー、ボールペン、メモ帳、ファイル、封筒、切手、電球、トイレットペーパー、清掃用品、給茶セット(コーヒー、お茶、砂糖、ミルク等)
  • 車両関連: エンジンオイル、ワイパーブレード、ウォッシャー液、タイヤパンク修理剤、軽微な補修部品
  • その他: 消毒液、マスク、絆創膏などの衛生用品

これらの消耗品費がコスト管理上なぜ重要かというと、以下の理由が挙げられます。

  1. 一つ一つの単価が安いため、管理意識が希薄になりやすい。
  2. 多品目にわたるため、全体像を把握しにくい。
  3. 現場や部署ごとに購入・管理されがちで、横断的な管理が難しい。
  4. 無駄な購入や過剰在庫が発生しても気付きにくい。
  5. 積み重なると、利益率を低下させる無視できないコストになる。

徹底したコスト管理を行う上で、この見えにくい消耗品費に焦点を当てることは、隠れた無駄を発見し、利益を最大化するための重要な一手となります。

1-2. 消耗品費の「見える化」ステップ

まずは現状を正確に把握することから始めます。以下のステップで、消耗品費の見える化を図りましょう。

ステップ1:消耗品費の定義と範囲を社内で統一する

何が消耗品費にあたるのか、社内で定義を統一します。曖昧なままだと、部署によって計上方法が異なり、正確なデータが得られません。経理担当者を中心に、現場や事務の担当者も交えて話し合い、共通認識を持ちましょう。

ステップ2:過去の購入履歴を収集・整理する

過去1年分程度の請求書、領収書、会計ソフトのデータなどを集め、消耗品費として計上されているものを抽出します。可能な限り、購入日、品目、数量、金額、購入元などを記録します。クレジットカードの明細なども重要な情報源です。

ステップ3:品目別・部署別・現場別に分類・集計する

収集したデータを、定義した品目やカテゴリ(例:ビス、コピー用紙、軍手など)、購入が発生した部署(例:工事部、営業部、総務部など)、可能であれば関連する現場ごとに分類し、集計します。Excelなどの表計算ソフトを活用すると便利です。どの品目の支出が多いのか、どの部署で特に発生しているのかなどの傾向が見えてきます。

ステップ4:グラフなどで視覚化する

集計したデータを円グラフや棒グラフなどにすることで、視覚的に分かりやすく表現します。どの品目が多いのか、前月と比較してどう変化したのかなどが一目で理解でき、課題が明確になります。この視覚化は、後の削減策検討や、従業員への意識付けにも役立ちます。

1-3. 消耗品費の効果的な目標設定

見える化ができたら、次に削減目標を設定します。現実的かつ具体的な目標を設定することが、継続的な取り組みにつながります。

ステップ1:現状分析に基づく目標設定

見える化によって明らかになった、支出の大きい品目や無駄が多いと推測される項目を中心に、削減率や削減額の目標を設定します。「前年比〇〇%削減」「特定の品目の購入量を〇〇%削減」など、具体的な数値目標を立てましょう。

例えば、特定のビスが出費の大半を占めているなら、「〇〇ビスの年間購入量を10%削減」といった目標が考えられます。あるいは、事務用品全体で「事務用品費を年間〇〇円以下にする」といった目標設定も有効です。

ステップ2:目標を現場・部署に共有する

設定した目標を、関係する現場や部署の責任者、さらには全従業員に共有します。なぜこの目標を設定したのか、達成することでどんなメリットがあるのか(会社の利益向上、ひいては安定経営につながるなど)を丁寧に説明し、理解と協力を求めます。

ステップ3:定期的な進捗確認と目標の見直し

目標を設定して終わりではなく、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて目標を見直します。月に一度、あるいは四半期に一度など、確認の頻度を決め、進捗会議などを実施すると良いでしょう。目標達成が難しそうであれば原因を分析し、目標や施策を修正します。

このように、消耗品費の現状を正確に把握し、具体的な目標を設定することで、コスト管理の取り組みをより効果的に進めるための土台が整います。

コスト管理×消耗品費:成果を最大化する具体的な取り組み

消耗品費の「見える化」と目標設定ができたら、いよいよ具体的な削減策を実行に移します。ここでは、購買プロセスの見直しから現場での工夫、在庫管理、さらには従業員の意識改革に至るまで、多角的なアプローチによるコスト管理の方法をご紹介します。

2-1. 購買プロセスの見直しによるコスト削減

消耗品の購入方法を見直すことは、直接的なコスト削減に繋がります。

ステップ1:購入先の集約と価格交渉

複数の業者から少量ずつ購入している場合、購入先を特定の業者に集約することで、一度あたりの購入量を増やし、単価の交渉を有利に進めることができます。また、同じ品目を複数の業者から購入していないか確認し、より安価で安定供給可能な業者に絞り込むことも有効です。卸業者やメーカーと直接取引することで、中間マージンを削減できる可能性もあります。

ステップ2:まとめ買い・共同購入の検討

使用頻度の高い消耗品は、まとめて購入することで単価が安くなるケースが多くあります。計画的な発注により、突発的な少量購入を減らしましょう。また、近隣の工務店や関連業者と共同で購入することで、さらにスケールメリットを追求する方法も考えられます。

ステップ3:代替品やリユース可能な製品の活用

現在使用している消耗品よりも安価で品質に問題ない代替品がないか検討します。例えば、特定のブランドにこだわらず、同等の機能を持つプライベートブランド品などを比較してみるのも良いでしょう。また、使い捨てではなく、洗って繰り返し使える軍手やウエス、詰め替え可能なインクカートリッジなど、リユース可能な製品を積極的に取り入れることも消耗品費削減に貢献します。「もったいない」の精神を具体的に実践する工夫です。

ステップ4:オンライン購入やサブスクリプションの活用

事務用品などは、オンラインストアで購入することで、店頭よりも安価に入手できる場合があります。また、コピー機のトナーや一部の備品については、使用量に応じた支払いや定額レンタルといったサブスクリプションモデルの方が、都度購入するよりトータルコストが安くなるケースもあります。自社の使用量や頻度に合わせて最適な購入方法を検討しましょう。

2-2. 在庫管理の最適化と無駄の削減

「あれば使うだろう」といった曖昧な理由で消耗品を抱え込むことは、コスト増に繋がります。適切な在庫管理は、無駄な支出を減らし、キャッシュフロー改善にも寄与します。

ステップ1:消耗品リストと適正在庫量の設定

使用している消耗品全てのリストを作成し、品目ごとに最低限必要な在庫量(適正在庫量)を設定します。過去の使用実績や現場の稼働状況を考慮して、「これだけあれば次の発注まで業務が滞らない」という量を決めます。過剰な在庫は不要なコストであり、紛失や劣化のリスクも伴います。

ステップ2:定期的な在庫チェックと発注タイミングのルール化

設定したリストに基づき、週に一度や月に一度など、定期的に在庫チェックを実施します。在庫量が適正在庫量を下回ったら発注するというルールを徹底します。担当者を決め、責任をもって管理することで、買い忘れや二重発注を防ぎます。

ステップ3:管理場所の一元化と整理整頓

消耗品をあちこちに分散して保管していると、何がどこにあるか分からなくなり、無駄な購入の原因となります。可能な限り保管場所を一元化し、品目ごとに棚や箱に整理して保管します。誰が見ても分かりやすい表示をすることで、探す時間の削減と在庫の正確な把握が可能になります。

ステップ4:古い在庫からの使用を徹底する(先入れ先出し)

新しく入荷したものを手前から使うのではなく、古くからある在庫から使用する「先入れ先出し」を徹底します。特に、ビスや接着剤、塗料など、時間の経過で品質が劣化する可能性のある品目については重要です。在庫の滞留を防ぎ、廃棄ロスを減らします。

2-3. 現場での無駄削減と効率向上

消耗品費の多くは現場で使用されます。現場の意識と工夫が、大きなコスト削減につながります。

ステップ1:工具の手入れ・管理徹底

消耗品ではありませんが、工具が適切に管理・手入れされているか確認します。工具の摩耗や破損は、それ自体がコスト増に繋がるだけでなく、作業効率を低下させ、結果的に消耗品(例:替刃、研磨材など)の無駄な消費を招く可能性があります。定期的なメンテナンスや保管場所のルール化を徹底します。

ステップ2:材料の端材・残材の有効活用

木材やボード、タイルなどの材料の端材や残材が出た場合に、適切に保管し、次回工事で活用できるルールを作ります。少しの面積や特定の部分に使える端材を廃棄せず再利用することで、新品の消耗を抑えることができます。保管場所と管理方法を明確にし、職人さん同士で情報共有できる体制を構築します。

ステップ3:消耗品の丁寧な使用意識の向上

ビスを落としてしまう、テープを無駄に長く切ってしまう、刷毛を洗浄せずに固まらせてしまうなど、不注意による消耗品の無駄は少なくありません。使っている消耗品も会社のコストであるという意識を従業員一人ひとりが持つことが重要です。「一本のビスも会社の利益」といった具体的な言葉や、削減目標の共有を通じて、丁寧な使用を促します。

ステップ4:清掃・片付けによる備品保護

作業後の清掃や片付けを徹底することで、消耗品を含む備品が汚れたり破損したりするのを防ぎます。例えば、雨ざらしにしない、粉塵から保護するなど、適切な保管環境を保つことが、消耗品の寿命を延ばし、無駄な買い替えを減らします。

2-4. 事務部門での具体的な消耗品費削減策

現場だけでなく、事務部門でも様々な消耗品が使用されています。

ステップ1:ペーパーレスの推進

事務用品費の多くを占めるのがコピー用紙やインク/トナーです。契約書や見積もり以外の社内文書の共有はファイルサーバーやクラウドストレージを活用するなど、可能な限りペーパーレス化を進めます。印刷が必要な場合も、両面印刷や集約印刷をデフォルトに設定し、カラー印刷は極力控えるなどのルールを設けます。不要なFAX送信の削減も有効です。

ステップ2:通信費の見直し

使用頻度の少ない固定電話回線の削減、携帯電話の料金プラン見直し、インターネットプロバイダの比較検討なども、広い意味での消耗品費・通信費のコスト管理に含まれます。本当に必要なサービスかどうか、より安価な代替サービスがないか、定期的に見直しましょう。

ステップ3:文具・備品の供給管理

事務所で使用する文房具や清掃用品なども、まとめて購入し、必要な分だけ持ち出すルールにする、一人あたりの支給量に上限を設けるなど、管理を徹底します。無くなりそうになったら担当者に申請するというフローを確立することで、各自が無闇に購入するのを防ぎ、在庫の最適化にも繋がります。

2-5. FAQs: 消耗品費のコスト管理に関するよくある疑問

消耗品費のコスト管理を進める上で、よく寄せられる疑問にお答えします。

Q1: 小さな消耗品まで細かく管理するのは現実的ですか?

A1: 全ての品目を1円単位で管理するのは非効率な場合もあります。まずは支出金額が大きい品目や、無駄が多いと感じられる品目に絞って重点的に管理することから始めましょう。重要なのは、従業員全体に「コスト意識」を浸透させることです。小さな消耗品も大切に使う、無駄な購入はしない、といった意識が醸成されれば、結果として全体の消耗品費削減につながります。

Q2: 消耗品費の削減目標を伝える際、従業員から反発はありませんか?

A2: 単に「節約しろ」と命じるだけでは反発を招く可能性があります。なぜ消耗品費の削減が必要なのか、会社の経営状況や将来の安定のために不可欠であることを丁寧に説明し、理解を求めることが重要です。また、削減目標の達成度合いに応じてインセンティブを設けるなど、従業員がモチベーションを感じられるような仕組みを検討するのも有効です。現場のアイデアを吸い上げ、削減に貢献した事例を共有するなど、前向きな雰囲気づくりを心がけましょう。

Q3: 質の悪い安価な消耗品を使って、かえって非効率になりませんか?

A3: そのリスクは確かに存在します。単に価格だけで判断するのではなく、品質と価格のバランスを見極めることが重要です。安価でもすぐに壊れたり、作業効率を著しく低下させたりするものであれば、長期的に見てコスト増に繋がります。現場の職人さんの意見を聞きながら、価格だけでなく機能性や耐久性も考慮して選定することが肝心です。トライアル期間を設けるなどの検証も有効です。

コスト管理を継続的に成功させるための「次の一手」

消耗品費の削減は、一度実行して終わりではありません。継続的に効果を出し、さらなるコスト管理につなげるためには、見直しと改善のサイクルを回すことが重要です。ここでは、そのためのステップをご紹介します。

3-1. 削減効果の測定と評価

実行した消耗品費削減策がどの程度効果があったのかを定期的に測定し、評価します。

ステップ1:目標対比での進捗確認

設定した削減目標に対する進捗状況を、定めた頻度(例:月次、四半期)で確認します。消耗品費の総額だけでなく、特定の品目や部署別の支出額も確認し、目標達成度合いを定量的に把握します。

ステップ2:効果の要因分析

目標を達成できた項目については、どの施策が効果的だったのかを分析します。逆に、目標達成に至らなかった項目については、原因を深く掘り下げて分析します。施策自体の問題か、実施が徹底されなかったのか、予期せぬ要因があったのかなど、多角的に原因を特定します。この分析が、次の改善策立案に繋がります。

ステップ3:成果の共有とフィードバック

消耗品費の削減によって得られた成果を、関係者(従業員、部署責任者など)に共有します。成功事例は積極的に称賛し、全社で横展開することを検討します。目標未達の場合は、その状況と原因、そして今後の対策について丁寧に説明し、協力を仰ぎます。一方的な報告ではなく、現場からのフィードバックを収集し、改善策に反映させるプロセスも設けると良いでしょう。

3-2. 定期的な見直しと改善サイクルの確立

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回すことで、コスト管理を継続的に改善していきます。

ステップ1:定例会議での消耗品費報告

月に一度や四半期に一度など、経営会議や部署ミーティングの中で、消耗品費の報告を行う時間を設けます。担当者から現状の支出状況、目標達成度、課題、今後の対策などが報告される場とすることで、経営層も現場も常にコスト管理の意識を持つことができます。

ステップ2:改善点の洗い出しと対策の立案

効果測定と評価で明らかになった課題や、定例会議での議論を通じて洗い出された改善点に基づき、新たな削減策や既存策の見直しを検討します。現場担当者からの「こうすればもっと無駄が減る」といった具体的なアイデアこそ、有効な改善策の源泉となります。実現可能性や費用対効果を検討し、具体的な対策案を立案します。

ステップ3:改善策の実行と効果検証

立案した改善策を実行に移し、その効果を再度測定・評価するというサイクルを繰り返します。常に「もっと効率化できないか」「他に削減できる項目はないか」という視点を持ち続けることが重要です。一度成功した分野でも、市場や技術の変化によって新たな改善の余地が生まれることもあります。

3-3. コスト管理を強化するツール・システムの活用

手作業での消耗品費管理には限界があります。ツールやシステムの活用を検討することで、より正確かつ効率的なコスト管理が可能になります。

ステップ1:台帳管理からシステム管理へ

簡単な台帳形式で消耗品を管理している場合、在庫管理システムや購買管理システム、あるいは一般的な会計ソフトの機能を活用することで、購入履歴、在庫数、使用状況などを一元管理しやすくなります。リアルタイムでの在庫把握が可能になり、過剰在庫や品切れを防ぎます。

ステップ2:クラウド型ツールの導入検討

クラウド型の在庫管理・購買管理ツールであれば、インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、複数の現場や部署間での情報共有が容易になります。スマートフォンのアプリと連携できるシステムであれば、現場で消耗品の使用状況を入力することもでき、より詳細なデータ収集が可能になります。利用料金や機能、既存システムとの連携などを比較検討しましょう。

ステップ3:システム導入の効果測定と運用改善

新たなシステムを導入した場合も、期待される効果(例:管理の手間削減、在庫精度向上、発注ミスの減少)が実際に得られているかを測定し、運用方法に改善の余地がないか検討します。従業員がシステムを使いこなせるよう、十分な研修やサポート体制を整えることも成功のカギとなります。

3-4. 消耗品費管理を他のコスト管理と連携させる

消耗品費のコスト管理は、単独で行うだけでなく、他の経費項目と連携させることで全体的なコスト構造の最適化に貢献します。

ステップ1:原価管理との連携

特定の工事で発生する消耗品費は、その工事の原価として正確に計上・管理することで、工事ごとの利益率をより正確に把握できます。どの種類の工事で、どのような消耗品費が多く発生するのかを分析することで、見積積算の精度向上や、より利益率の高い工事への注力判断に繋げることができます。

ステップ2:人件費・労務費との関連性分析

非効率な作業や工具の不備などが原因で消耗品の無駄遣いが増えることがあります。これは同時に、作業時間のロスにも繋がります。消耗品費の増加傾向が、特定の現場や作業員の労務時間増加と関連しているかなど、人件費・労務費との関連性を分析することで、根本的な原因(例:スキル不足、道具の質の低下、作業手順の問題)を発見し、改善につなげることが可能です。

ステップ3:固定資産への影響評価

消耗品として処理していたものが、実は工具や備品として固定資産に計上すべきものであったり、逆に高額な工具のメンテナンス費用が消耗品費に大きく影響していたりと、他の資産・コスト項目との関連性を理解することも重要です。会計処理上の正確性を保ちつつ、全体最適なコスト管理を目指します。

消耗品費の徹底的な管理は、単なる節約ではなく、工務店経営全体のコスト構造を見直し、利益体質を強化するための重要な一歩です。継続的な取り組みを通じて、常に改善を続ける姿勢が、変化の激しい時代を乗り越えるための盤石な経営基盤を築くことに繋がります。

まとめ

本記事では、工務店経営における隠れた経営課題となりがちな消耗品費に焦点を当て、その効果的なコスト管理方法について詳しく解説しました。まず、消耗品費の範囲を明確にし、現状を「見える化」することの重要性を強調しました。支出の大きい品目や無駄を特定し、具体的な削減目標を設定することが、対策実行の第一歩となります。

次に、購買プロセスの見直し(購入先の集約、まとめ買い、代替品活用)、適切な在庫管理、そして現場での無駄削減や事務部門でのペーパーレス化など、実践的な削減策をステップ形式でご紹介しました。これらの取り組みは、単に消耗品費を減らすだけでなく、業務効率の向上やキャッシュフローの改善にも繋がる多角的な効果が期待できます。小さなコスト削減が、積み重なって大きな利益貢献となることを理解していただけたでしょう。

そして、コスト管理は一度行えば終わりではなく、継続的な取り組みによって最大の効果が生まれます。削減効果の測定・評価を行い、定期的な見直しと改善サイクルを回すこと、さらには在庫管理システムなどのツール活用や、他のコスト項目との連携が、盤石なコスト管理体制を築く鍵となります。

今日から、まずは自社の消耗品費の現状を「見える化」することから始めてください。小さな一歩が、確実に会社の利益体質を強くし、将来への投資余力を生み出します。この厳しい時代でも、工務店の皆様が持続的に発展し、地域社会に貢献し続けるために、この記事で得た知識と具体的なアクションプランをぜひ経営に取り入れていただければ幸いです。コスト管理の意識を高め、実践を続けることが、企業の未来を切り拓く力になります。皆様の挑戦を心から応援しております。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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