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「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

現場管理で利益を増やす!工務店のノウハウ

公開日: : 工務店 経営

「一生懸命やっているのに、どうも利益が出ている実感が湧かない…」
「現場がバタバタしていて、ちゃんと管理できている気がしない…」

もしあなたが工務店の経営者として、このように感じているなら、それは多くの同業者が直面している普遍的な課題と言えます。資材の高騰、職人不足、競争の激化など、外部環境が厳しさを増す中で、安定した利益を確保し、事業を継続的に成長させていくことは容易ではありません。

売上を増やすことも重要ですが、それ以上に利益改善に直接的に繋がるのが、「現場管理」の徹底です。どんぶり勘定ではない、正確な現場管理を行うことで、無駄を削減し、コストコントロールを強化し、生産性を向上させることができます。結果として、確かな利益を積み上げることが可能になります。

この記事では、工務店の利益改善に向けた、現場管理の具体的なノウハウを余すことなくお伝えします。現場の見える化から、コスト削減、効率向上、そして利益を最大化するための実践的なステップまで、明日からすぐに始められる具体的なアクションプランを示すことを目指します。この記事を読み終える頃には、あなたの会社の利益構造がクリアになり、現場管理を通じて確実に利益改善を実現するための道筋が見えているはずです。

現場管理の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店における利益改善の第一歩は、盤石な現場管理体制を構築することです。現場管理がおろそかになっていると、予期せぬ追加コストが発生したり、工期遅延による損害が出たり、品質問題から手戻りやクレームに発展したりと、目に見えないところで利益がどんどん失われていきます。まずは、現場管理の基礎を固め、すべての工事において「当たり前」に実施できる状態を目指しましょう。

1. 現状の「見える化」徹底から始める

現場管理のスタートは、現状を正確に把握することです。「見える化」とは、単に進捗を確認するだけでなく、コスト、品質、安全、コミュニケーションなど、現場に関わるあらゆる情報を関係者全員がリアルタイムで共有できる状態を指します。

1-1. 進捗管理の見える化

プロジェクトの工期、各工程の開始・終了予定日、実績日、遅延状況などを明確にします。ガントチャートや工程表を作成・共有し、定期的に更新することで、遅れが出そうなポイントを早期に発見できます。これにより、手遅れになる前に人員配置の見直しや段取りの変更などの対策を講じることができ、余分なコスト発生を防ぎ、利益改善に繋がります。

1-2. コスト管理の見える化

実行予算に対して、材料費、労務費、外注費などの発生コストを日々追いかけます。誰が、何を、いくら使ったのかを明確にする仕組みを作ります。これにより、予算オーバーの懸念がある項目を早期に特定し、対策を打つことが可能になります。現場レベルでのコスト意識を高める上でも極めて重要です。

1-3. 品質・安全管理の見える化

チェックリストを活用し、各工程での品質基準を満たしているか、安全対策が適切に行われているかを記録します。特に重要なチェックポイントは写真付きで報告させるなどのルールを設けると効果的です。品質問題は後々の大きな手戻りやクレームに繋がり、利益を圧迫する最たる要因です。事前の予防が何よりも重要です。

2. 情報共有の仕組みを確立する

現場の情報は、経営者、現場監督、職人、営業担当、設計担当など、プロジェクトに関わる全ての人員間でスムーズに共有される必要があります。情報伝達の遅れや誤解は、トラブルの元凶となり、無駄なコストや手戻りを発生させ、利益を損ないます。

2-1. 定例の現場会議を設定する

週に一度など、決まった頻度で現場会議を開催します。この会議では、進捗確認、課題の共有、今後の段取り、危険箇所の注意喚起などを徹底して行います。参加者間で懸念事項を話し合い、その場で解決策を見つけることで、問題が大きくなる前に芽を摘むことができます。

2-2. 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)のルールを明確にする

「いつ、誰に、何を報告・連絡・相談するか」のルールを決めます。特に、予期しない問題が発生した場合や、仕様変更の可能性がある場合など、早期連絡が必要なケースを具体的に指示します。報告書式を統一したり、連絡手段(電話、メール、チャットツールなど)を決めたりすることも有効です。

2-3. ツールを活用した情報共有

ホワイトボードや Excelなどアナログな方法でも可能ですが、現場管理アプリやクラウドファイル共有サービスなどを導入すると、情報共有のスピードと正確性が格段に向上します。写真付きでの報告、図面の共有、To Doリストの管理などが一元化でき、いつでもどこでも最新情報を確認できるようになります。

3. リスク管理と災害・安全対策の徹底

建設現場には、工期遅延、予算超過、労災事故など、様々なリスクが存在します。これらのリスクを事前に洗い出し、対策を講じておくことが、安定した利益確保には不可欠です。

3-1. 想定されるリスクの洗い出しと事前対策

過去の経験や類似案件を元に、どのようなリスクが考えられるかをリストアップします(例:天候不良、材料遅延、職人の病欠、近隣からのクレームなど)。そして、それぞれのリスクが発生した場合の対策や、発生自体を防ぐための予防策を事前に計画しておきます。リスクに対する備えは、問題発生時の対応力を高め、被害を最小限に抑えることに繋がります。

3-2. 安全教育とルールの徹底

労災事故は、人的な損失はもちろんのこと、工事の一時中断や損害賠償など、経営に致命的なダメージを与え、利益を一気に吹き飛ばす可能性があります。定期的な安全教育を実施し、ヘルメット着用の徹底、足場の安全確認、高所作業時の注意喚起など、基本的な安全ルールを全ての関係者で共有し、遵守を徹底します。


Q&A:現場管理の導入について、よくある疑問

Q: 少人数の工務店でも現場管理は必要ですか?人もシステムも予算がありません。
A: はい、必要です。少人数だからこそ、情報の共有不足やちょっとしたミスが大きなトラブルに繋がりやすい場合があります。最初から高額なシステムは必要ありません。まずは、ホワイトボードや共有フォルダを使った情報の「見える化」から始め、チェックリストを着実に実行する仕組みを作るだけでも効果があります。できることから少しずつ現場管理の基礎を固めていきましょう。

Q: 現場管理を導入すると、かえって手間が増えるのでは?
A: 初期段階では、新しいルールや仕組みに慣れるまで多少の手間はかかるかもしれません。しかし、現場管理が定着すると、手戻りや探し物の時間が減り、トラブル対応に追われることが少なくなるため、結果として全体の効率は向上し、無駄な残業や休日出勤が減り、本来の業務に集中できるようになります。これは、費用対効果の高い利益改善活動と言えます。


利益改善×現場管理:成果を最大化する具体的な取り組み

現場管理は、単に現場を滞りなく進めるためのものではありません。これを利益改善にダイレクトに繋げるためには、現場で発生するコストを深く理解し、無駄を徹底的に排除する視点が不可欠です。

1. コスト管理の徹底:現場で「お金が生まれる・出ていく」仕組みを意識する

実行予算に基づき、現場で使われるあらゆる費用を厳密に管理します。特に、利益を大きく左右する主要なコスト項目(材料費、労務費、外注費)に焦点を当てて、費用対効果を見ながら管理を進めます。

1-1. 材料費の管理:適切な発注と現場での無駄削減

  • 正確な拾い出しと発注:設計図や仕様書から必要な材料を正確に拾い出し、過不足なく発注します。余裕を見すぎて過剰発注すると、余剰在庫や置き場代などの無駄が発生します。
  • 納期と価格の確認:複数のサプライヤーから見積もりを取り、価格交渉を行います。また、材料の納期遅延は工期遅延に直結するため、確実な納期確認を行います。
  • 現場での材料管理:現場に搬入された材料は適切に管理し、盗難や破損を防ぎます。端材や残材の有効活用、整理整頓による探し物時間の削減も、小さな利益改善に繋がります。
  • 検品と不正防止:納品された材料の数量と種類が発注通りか検品を徹底します。不正請求の防止にも繋がります。

1-2. 労務費の管理:作業効率向上と適正な人員配置

  • 作業時間の記録と分析:誰が、どの作業に、どれくらいの時間をかけたのかを記録します。日報などを活用し、非効率な作業や改善点を見つけ出します。
  • 適切な人員配置:工程に合わせて、必要なスキルを持った職人を必要な人数だけ配置します。人員過多は労務費の無駄に、人員不足は工期遅延に繋がります。
  • 残業時間の削減:綿密な段取りと効率的な作業指示により、無駄な残業を削減します。残業代は利益を圧迫する大きな要因です。

1-3. 外注費の管理:適正な選定と明確な契約

  • 複数の業者比較と見積もり精査:安さだけでなく、技術力、信頼性、納期遵守能力なども考慮し、複数の外注業者を比較検討します。見積もり内容を細かく確認し、不明瞭な部分がないようにします。
  • 明確な契約内容:作業範囲、納期、費用、支払い条件などを明確に契約書に明記します。曖昧なまま進めると、途中で追加費用が発生したり、トラブルになったりするリスクが高まります。
  • 作業進捗と品質の確認:外注業者任せにせず、定期的に現場で作業進捗と品質を確認します。問題があれば早期に指摘し、手戻りを防ぎます。

2. 作業効率の最大化:段取りと準備の重要性

現場作業の効率は、事前の段取りと準備で9割が決まると言っても過言ではありません。無駄な移動、探し物、手待ち時間を極力減らすことが直接的な利益改善に繋がります。

2-1. 綿密な工事段取り計画

工事開始前に、全ての工程について「誰が、いつ、どこで、何を、どうやって行うか」を具体的に計画します。資材の搬入タイミング、職人さんの手配、必要な重機や道具の準備などを漏れなく行います。

2-2. 現場の整理整頓

使用する道具や材料の置き場所を決め、常に整理整頓を心がけます。「3S」(整理・整頓・清掃)を徹底することで、探し物の時間が減り、作業スペースが確保されて効率が上がります。また、安全面でも効果があります。

2-3. 作業手順書の作成と共有

複雑な作業や、複数の職人さんで行う作業については、手順書を作成し共有します。これにより、作業効率が均一化され、品質も安定します。経験の浅い職人さんへの教育ツールとしても有効です。

3. 手戻り・クレームの防止:品質管理とコミュニケーション

手戻り工事やクレーム対応は、時間、労力、資材の大きな無駄となり、利益を大きく圧迫します。事前の品質管理と、顧客・関係者との円滑なコミュニケーションが予防の鍵となります。

3-1. 契約・仕様の再確認と共有

工事開始前に、顧客との契約内容や仕様を現場監督、職人を含む全関係者で再度確認し、共通認識を持ちます。仕様変更があった場合は、必ず書面で記録し、関係者に共有します。

3-2. 中間検査・完了検査の徹底

各工程の節目で、設計通りの仕上がりになっているか、品質基準を満たしているかを確認する中間検査を実施します。問題があればその場で修正し、後工程への影響を防ぎます。最終的な完了検査も入念に行い、顧客引き渡し時のトラブルを回避します。

3-3. 顧客・近隣住民との密なコミュニケーション

工事の進捗状況や、騒音・振動の予定などを事前に顧客や近隣住民に知らせ、理解と協力を求めます。懸念事項や要望があれば真摯に耳を傾け、迅速に対応します。良好な関係構築は、苦情やトラブルを未然に防ぎ、スムーズな現場運営に繋がります。


Q&A:利益改善のための現場管理の具体的な取り組み

Q: 職人さんが新しいやり方(報告方法やツール)になかなか慣れてくれません。どうすれば良いですか?
A: 変化への抵抗はつきものです。まずは、新しいやり方の「なぜ」を丁寧に説明し、利益改善や効率向上といった目的を共有することが重要です。また、いきなり全てを変えるのではなく、簡単なことから少しずつ導入し、成功体験を積み重ねるようにサポートします。ツールの使い方などは、繰り返し教えたり、マニュアルを作ったりして、根気強くサポートしましょう。職人さんの意見を聞きながら、より使いやすい方法を見つける姿勢も大切です。

Q: コスト管理と言っても、細かい出費まで追いかけるのは大変そうです。どこまでやるべきですか?
A: 最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、材料費、労務費、外注費といった大きな割合を占めるコストから管理を始めましょう。特に、実行予算に対して大きく乖離が出やすい項目や、過去に問題が発生した項目に焦点を当てると良いでしょう。重要なのは、どんぶり勘定ではなく「意識して見る」ことです。定額の経費だけでなく、現場で本当に使われたもの、人件費、外注費を細かく把握することで、どこに無駄があるかが見えてきます。

Q: 手戻りやクレームが起きやすい特定の作業工程があるのですが、どうすれば改善できますか?
A: まずはその工程で「なぜ」問題が起きやすいのかを分析します。原因は、職人さんのスキル不足、事前の打合せ不足、資材の問題、設計書の曖昧さなどが考えられます。原因が特定できたら、それに対する具体的な対策を講じます(例:再教育、打ち合わせルールの強化、仕様書の作成、資材の見直しなど)。また、その工程のチェックポイントを強化し、問題の早期発見・早期修正を目指しましょう。過去の失敗事例を共有することも有効です。


利益改善を継続的に成功させるための「次の一手」

一度現場管理の仕組みを構築し、利益改善の効果が出始めたとしても、そこで終わりではありません。外部環境や内部状況は常に変化します。継続的に利益を上げていくためには、改善活動をルーチン化し、常に PDCAサイクルを回していく視点が必要です。ここでは、現場管理をさらに進化させ、利益改善を持続させるための応用的な取り組みについて掘り下げます。

1. 現場データの収集、分析、そして活用

現場管理を通じて蓄積されたデータは、宝の山です。これらのデータを分析することで、自社の強みや弱み、改善すべき具体的なポイントが見えてきます。

1-1. どのようなデータを収集・記録するか

  • 工事ごとの実行予算と実際にかかった費用(材料費、労務費、外注費、経費など):最も重要なデータの一つです。どの工事で、どの費用が、どれだけ予算と乖離したかを把握します。
  • 作業時間と作業内容:非生産的な時間や、特定の作業に時間がかかりすぎている箇所を見つけ出します。
  • 手戻りやクレームの内容と発生原因:どのような問題が、なぜ発生したのかを具体的に記録します。
  • 安全に関するヒヤリハット情報:事故には至らなかったが、危険を感じた事例を共有します。
  • 顧客からのフィードバック:完了後のアンケートやヒアリングで、良かった点・改善してほしい点を収集します。

1-2. データの分析方法と改善策への落とし込み

収集したデータを基に、例えば以下のような分析を行います。

  • 過去の類似工事と比べて、今回どこに想定外のコストが発生したか?
  • 特定の職人さんやチームで、作業効率に偏りがあるか?
  • どのような手戻りやクレームが繰り返し発生しているか?その根本原因は何か?

これらの分析結果を元に、「次回からはこの材料の拾い出し方法を見直そう」「この作業は事前にこういう準備を徹底しよう」「このタイプのクレームを防ぐために、顧客への説明方法を変えよう」といった具体的な改善策を立案します。データに基づいた改善活動こそが、確実な利益改善に繋がります。

2. PDCAサイクルの継続的な実践による現場管理の進化

現場管理を仕組みとして定着させ、継続的に改善していくためには、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを意図的に回していくことが不可欠です。

  • Plan(計画):前述のデータ分析結果や現場からの声をもとに、次の工事で改善したい具体的な目標と計画を立てます。「労務費を予算内に抑える」「手戻りを発生させない」「報告ルールを徹底する」など、具体的な目標を設定します。
  • Do(実行):計画に基づき、現場で改善策を実行します。新しい報告ルールを適用したり、コストチェックをより厳密に行ったりします。
  • Check(評価):工事完了後、計画通りに実行できたか、そしてその結果はどうだったかを確認します。設定した目標(例:労務費が予算内だったか、手戻りは発生しなかったか)を評価します。
  • Action(改善):評価の結果を踏まえ、うまくいった点は横展開し、うまくいかなかった点は原因を分析して次の計画に活かします。「なぜ目標を達成できなかったのか?」を掘り下げ、次のPlanにフィードバックします。

このサイクルを回し続けることで、現場管理の質は継続的に向上し、それに伴い利益改善の効果も高まっていきます。

3. 従業員の教育と意識改革:現場を「自分ごと」にする

どんな素晴らしい仕組みやツールを導入しても、実際に現場で働く人々の理解と協力がなければ、現場管理は機能しません。従業員一人ひとりが「現場管理は自分の仕事であり、利益改善に繋がる重要な活動だ」という意識を持つことが極めて重要です。

3-1. 現場管理の目的と利益構造を共有する

なぜ現場管理が必要なのか、それが会社の利益にどう繋がるのかを、経営者自身の言葉で従業員に伝えます。「あなたたちの頑張りが、この会社の利益になり、給与や賞与、会社の安定に繋がるんだ」ということを具体的に説明します。単なる作業指示ではなく、目的意識を持たせることが、自律的な行動を促します。

3-2. 成功事例の共有とフィードバック

現場管理を工夫してコスト削減や効率向上に成功した事例があれば、積極的に共有し、担当者を称賛します。また、従業員が良い報告や提案をした際には、具体的なフィードバックを行い、学びや気づきを促します。

3-3. スキルアップ支援と公正な評価

現場管理に必要なスキル(報告書の書き方、ツールの使い方、コミュニケーションスキルなど)に関する教育機会を提供します。また、現場管理への貢献度を正当に評価し、昇給や昇格などに反映させることで、従業員のモチベーションを高めます。

4. DX化の推進とツールの活用範囲拡大

現場管理システムやクラウドツールは、情報のリアルタイム共有、データ分析、報告作業の効率化など、利益改善に大きく貢献する強力なツールです。まだ導入していない場合は検討し、既に導入済みの場合は活用範囲を広げましょう。

  • 現場管理システムの導入:工程管理、進捗管理、写真報告、日報作成、顧客情報の一元管理などが可能なシステムの導入は、アナログな管理に比べて圧倒的に効率的です。
  • クラウド会計ツールの活用:現場からの情報を会計システムに連携させることで、実行予算と実績の乖離をリアルタイムで把握しやすくなります。
  • コミュニケーションツールの導入:SlackやLINE WORKSなどのビジネスチャットツールを活用し、現場と事務所、または現場間の連絡を迅速に行います。

これらのツール活用は、正確なデータ収集と分析を容易にし、迅速な意思決定を可能にすることで、さらなる利益改善を後押しします。

5. 外部専門家や同業者との連携

経営者一人で全ての知識やノウハウを持つ必要はありません。外部の視点や支援を活用することで、新たな気づきや効果的な解決策を得られることがあります。

  • 建設業界に詳しいコンサルタント:利益改善や現場管理の専門家に相談し、自社の状況に合った具体的なアドバイスを受けることができます。
  • 同業者との情報交換:異業種交流会や勉強会に参加し、他の工務店がどのように現場管理に取り組み、利益改善を実現しているかの情報交換を行います。
  • 商工会議所や組合の活用:経営支援やセミナーなどの情報を提供しているこれらの機関を活用するのも有効です。

外部との連携を通じて得られる新しい情報や視点は、自社の成長を加速させ、持続的な利益改善に繋がります。


Q&A:継続的な利益改善に向けて

Q: データ分析と言っても、集めたデータをどう見ればいいか分かりません。
A: まずは、最も気になる項目(例:赤字になりやすい工事の種類、予算オーバーしやすい費目)に絞って見てみましょう。そして、「なぜこうなったのか?」を皆で話し合うことから始めます。専門家のアドバイスを受けることも有効ですし、現場管理システムによっては自動でグラフ化してくれる機能もあります。重要なのは、完璧な分析ではなく、改善のための「気づき」を得ることです。

Q: 仕組みを作っても、忙しくなるとつい後回しになってしまいがちです。どうすれば定着しますか?
A: 新しい仕組みを「特別業務」ではなく「日常業務」として組み込む工夫が必要です。例えば、日報へのデータ入力を必須にする、週次の定例会議で必ず進捗とコストを確認する時間を設ける、などです。また、経営者自身が率先して仕組みを活用し、その重要性を繰り返し伝えることも大切です。仕組みを破った場合のルールを決めることも、定着を促す上で有効な場合があります。

Q: DX化に興味はありますが、費用対効果が心配です。どのツールから導入すべきですか?
A: 小規模から始められるツールも多くあります。まずは、自社が最も課題と感じている領域(例:報告の遅れ、コストの不透明さ)を解決できるツールから検討するのが良いでしょう。無料トライアル期間を利用したり、補助金制度などを活用したりすることも可能です。導入目的を明確にし、「これにより何がどう改善され、どれくらいのコスト削減や効率化が見込めるか」を事前に検討することが重要です。スモールスタートで効果を確認しながら、段階的に拡張していくのが現実的です。


まとめ

工務店の経営において、安定した利益を確保し、継続的に成長していくためには、売上拡大だけでなく、利益改善に焦点を当てた経営が必要です。そして、その鍵を握るのが、日々の現場を支える確実な現場管理です。この記事で紹介したように、現場の「見える化」、コスト管理の徹底、作業効率の向上、手戻り防止といった具体的な取り組みは、どれも利益に直結する重要な要素です。

正直なところ、新しい仕組みの導入や既存のやり方の見直しには、労力が必要です。しかし、そこで得られるコスト削減や効率向上による利益改善の効果は、その労力をはるかに上回ります。まずは、この記事で紹介した中で、最も自社にフィットしそうな、または最も課題と感じている部分から一つずつ手をつけてみてください。例えば、今日の現場から、報告する写真の品質を少しだけ高くしてみる、月末の材料確認をいつもより丁寧に行ってみる、といった小さな一歩で構いません。

現場管理を徹底し、そこから得られるデータを分析し、継続的に改善していくPDCAサイクルを回すこと。そして、そこに携わる従業員一人ひとりの意識を高め、必要に応じてDX化などのツールを活用していくこと。これらの積み重ねこそが、あなたの工務店を単なる建物を建てる集団から、「利益を生み出すプロフェッショナル集団」へと変革させます。

この記事で提示した具体的なアクションプランを実践することで、あなたの現場が変わり、会社の利益構造が改善され、経営者としてより自信を持って事業を継続できるようになることを心から願っています。現場管理は、過去の経験や勘に頼る経営から脱却し、データに基づいた盤石な利益改善を実現するための、あなたの強力な武器となるはずです。今日から、一つずつ、着実に実践を始めていきましょう。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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