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事業承継補助金を活用する!工務店の資金調達

公開日: : 工務店 経営

親愛なる工務店経営者の皆様、日々の経営、本当にお疲れ様です。地域に根差した仕事を通じて日本のものづくりを支える皆様ですが、将来を見据えた事業運営には、様々な課題が伴います。特に、後継者問題や市場の変化、資金繰りは、多くの経営者様が頭を悩ませるところでしょう。こうした課題の中でも、事業の未来を左右する「事業承継」は避けて通れないテーマです。しかし、どこから手をつければいいのか、資金はどう準備すればいいのか、具体的な道筋が見えず不安を感じている方も多いかもしれません。

安心してください。この記事では、工務店の事業承継を円滑に進め、さらに承継後の事業発展を力強く後押しするための強力な味方、「事業承継補助金」に焦点を当てます。この補助金を活用することで、後継者への経営権の移譲だけでなく、新たな設備投資や販路開拓、経営改善といった、事業をさらに成長させるための資金を効果的に確保することが可能になります。

汎用的な情報ではなく、工務店経営者の皆様が直面するであろう具体的な状況に即した、実践的なハウツーを知りたい、とお考えではないでしょうか?事業承継補助金が具体的にどのように使えるのか、申請はどのようなステップで進めるのか、採択されるためには何が必要なのか、といった疑問に一つ一つ丁寧にお答えします。この記事を最後まで読むことで、事業承継補助金という選択肢が、皆様の工務店の未来をどう拓くのか、その具体的なロードマップが見えてくるはずです。

事業承継補助金の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店の経営者にとって、現役を引退する時期が視野に入り始めると、次に考えなければならないのが事業承継です。長年培ってきた技術、顧客との信頼関係、そして従業員の雇用を守りながら、どのように次の世代にバトンを渡すのか。これは非常に重要かつ繊細なプロセスです。

工務店における事業承継には、独特の課題があります。後継者が見つからない、あるいは後継者はいるものの経営ノウハウや資金が不足している、技術の移転が難しい、といった点が挙げられます。また、建設業界全体の高齢化、職人不足といった構造的な問題も、事業承継をより複雑にしています。これらの課題を乗り越え、円滑な事業承継を実現するためには、早期の準備と、利用できる外部の支援策を最大限に活用することが不可欠です。

そこで注目したいのが、事業承継補助金です。この補助金は、中小企業の事業承継やM&Aに伴う経営資源の引継ぎを支援することを目的としており、後継者不在問題の解消や、事業の継続・発展を後押しするために設けられています。工務店経営者の皆様にとって、事業承継に伴う様々な費用負担を軽減し、新しいスタートを切るための貴重な資金源となり得ます。

事業承継補助金とは?その基本を押さえる

事業承継補助金は、具体的にどのような経費を対象としているのでしょうか?大きく分けて、事業承継やM&Aに必要な専門家費用、登記費用、廃業費用、そして後継者が実施する事業の磨き上げ(新しい取り組みや設備投資)や引継ぎ後の経営革新にかかる費用などが支援対象となります。工務店の場合、新たな設計システム導入、省力化のための重機購入、オンラインでの集客システム構築、技術伝承のためのマニュアル作成費用、M&Aで事業規模を拡大する際の費用などが対象になり得ます。

補助率や補助上限額は、申請する類型(例えば、事業承継をきっかけとした廃業を伴う場合、事業再構築を伴う承継の場合など)や、その年度の公募要領によって変動します。一般的には、対象経費の1/2~2/3程度が補助され、上限額も数百万円から1千万円を超える場合もあります。最新の公募情報を確認することが非常に重要です。

なぜ工務店にとって事業承継補助金が特に有効なのか?

工務店経営において、事業承継は単なる代表者交代ではありません。それは、長年培った信頼、技術、顧客基盤を次世代に引き継ぎ、時代の変化に対応しながら事業を継続・発展させていくための重要なプロセスです。この過程で、老朽化した設備の更新、生産性向上のためのIT導入、新たな建築技術の習得、販路の多角化など、多額の投資が必要となる場合があります。自己資金だけでは賄いきれない、あるいは将来の資金繰りに不安を感じる経営者様も多いでしょう。

事業承継補助金は、こうした「攻めの事業承継」にかかる資金を支援する制度です。特に工務店では、設備の陳腐化や技術革新への対応は喫緊の課題です。建築業界はデジタル化が進み、BIMやクラウドを活用した工程管理が普及しつつあります。これらの新しい技術やシステムを導入するには初期費用がかかりますが、事業承継補助金を活用することで、財務負担を抑えながらスムーズな移行が可能になります。

また、M&Aによる事業拡大や、異業種との連携強化といった新たな取り組みも、今後の工務店経営にとっては重要な選択肢となり得ます。こうした戦略的な事業承継にも事業承継補助金は活用できます。

補助金の公募情報はどこで入手できる?最初のステップは何?

事業承継補助金の公募は、通常、中小企業庁のホームページや、中小企業向けの様々な情報を提供する「ミラサポplus」などのウェブサイトを通じて発表されます。また、各都道府県の中小企業支援センターや商工会議・商工会でも情報提供が行われています。公募期間は限られていますので、日頃からアンテナを高く張っておくことが重要です。

補助金申請に向けた最初のステップは、「事業承継計画の策定」です。補助金は単に資金を提供するだけでなく、計画に基づいた事業の実行を支援するものです。そのため、まずは自社の現状(経営課題、強み・弱み、財務状況など)を詳細に分析し、どのような形で事業承継を進めるのか、承継後の事業をどう発展させていくのか、具体的なビジョンと目標を明確にする必要があります。後継者との間で十分に話し合い、共通認識を持つことが不可欠です。

事業承継計画が固まったら、次に補助金の公募要領を熟読し、自社の計画が補助金の対象となるか、どのような経費が対象となるかを確認します。必要書類の準備も早期に進める必要があります。決算書類、事業計画書、見積書など、多岐にわたる書類が求められるため、計画的に準備に取り掛かりましょう。

よくある疑問 Q&A

Q1:事業承継補助金の対象となる「事業承継」とは、具体的にどのようなケースですか?
A1:親族内承継、従業員等への承継、M&Aによる第三者への承継など、幅広いケースが対象となります。重要なのは、現経営者から後継者へ経営権や事業用資産が円滑に引き継がれることです。公募要領で詳細な要件を確認してください。

Q2:どのような経費が補助金の対象になりますか?工務店の場合の具体的な例を教えてください。
A2:専門家謝金(税理士、弁護士、中小企業診断士など)、廃業費用、M&Aの仲介手数料、そして後継者が行う事業の磨き上げ・経営革新のための設備投資費、人件費、販路開拓費などが対象の中心です。工務店では、高性能な木工機械、3Dプリンター、ドローン、クラウド型経営管理システム、新築住宅の見学会費用、ウェブサイト刷新、オンライン広告費用などが具体的な対象となり得ます。

Q3:他の補助金と併用することは可能ですか?
A3:原則として、同一の事業や経費に対して国や地方公共団体による他の補助金と重複して受給することはできません。ただし、異なる事業や経費であれば併用が可能な場合もあります。個別の状況や公募要領の規定を確認するか、専門家にご相談ください。

事業承継×事業承継補助金:成果を最大化する具体的な取り組み

事業承継という大きな節目において、事業承継補助金は強力な助成となり得ますが、単に補助金を申請すれば良いというものではありません。補助金を最大限に活用し、事業承継を成功に導くためには、周到な計画と具体的な戦略が必要です。

事業承継計画と補助金申請の連携:計画の重要性

前述の通り、事業承継計画は補助金申請の土台となります。この計画が具体的で説得力のあるものであるほど、補助金採択の可能性は高まります。単なる願望ではなく、現状分析に基づいた具体的な課題解決策、後継者が目指す事業の方向性、そしてそれを実現するための資金計画が明確に盛り込まれている必要があります。

例えば、後継者が「高断熱・高気密住宅」を新たな強みとして打ち出したいと考えている場合、事業承継計画には、その市場性分析、必要な技術習得プラン、専用設備の導入計画、そしてターゲット顧客への販路開拓戦略を盛り込みます。そして、事業承継補助金は、この計画で必要となる専用設備の導入費用や技術トレーニング費用などに充てることを具体的な使途として示します。

補助金活用の具体的なステップ:申請書の書き方、採択されるためのポイント

補助金申請書は、事業承継計画の内容を補助金の要件に沿って具体的に記述するものです。特に重要なのは、「事業計画の具体性」と「加点項目の理解・活用」です。

ステップ1:公募要領の徹底的な理解
まずは最新の公募要領を隅々まで読み込み、申請要件、対象経費、補助率、審査基準、必要書類などを正確に把握します。分からない点は、事務局や専門家に遠慮なく質問しましょう。

ステップ2:事業承継計画を補助金申請用に具体化
策定した事業承継計画に基づき、補助金の対象となり得る具体的な事業内容や経費を特定します。例えば、「老朽化した木工機械を更新する」「新たなCADシステムを導入する」「ホームページを全面リニューアルし、オンラインでの集客を強化する」など、具体的なアクションとそれにかかる費用を明確にします。

ステップ3:事業計画書の作成:採択のカギは「説得力」
申請の核となるのが事業計画書です。ここでは、以下の要素を盛り込み、審査員を説得する必要があります。

  • 承継の必要性・背景:なぜ今、事業承継が必要なのか、現状の課題(例:設備老朽化、人手不足、デジタル化の遅れ)を具体的に記述します。
  • 後継者の能力・適性:後継者が事業を継続・発展させる能力があることを示します。経歴、これまでの社内での経験、今後の意欲などを具体的に記述します。
  • 承継後の事業ビジョン:後継者が目指す事業の姿(例:高品質な省エネ住宅専門、デザインリフォームの強化、地域密着型サービス)を明確に示します。
  • 具体的な実施内容:補助金を活用して具体的に何を行うか(例:最新CADシステムの導入、省エネ診断士資格取得、耐震改修技術の習得研修、SNSを活用した広報活動)を詳細に記述します。
  • 費用対効果:補助金を使った取り組みによって、売上増加、利益率向上、生産性向上、顧客満足度向上など、どのような効果が見込まれるか、具体的な数値目標を交えて記述します。
  • 資金計画:補助金以外の自己資金や借入金など、全体の資金計画を示します。

特に工務店の場合、単に設備を導入するだけでなく、それによって現場の生産性がどう向上するのか、どのような新しいサービス提供が可能になるのか、といった具体的な効果をストーリー性を持って語ることが重要です。

ステップ4:加点項目の確認と対応
事業承継補助金には、特定の要件を満たす場合に加点される項目が設定されていることがあります(例えば、地域経済に貢献する取り組み、雇用の維持・増加、DXの推進に関連する取り組みなど)。自社の計画が加点項目に該当しないか確認し、該当する場合はその点を事業計画書で強調します。

ステップ5:必要書類の準備と提出
決算書、納税証明書、履歴事項全部証明書、見積書、補助金申請書など、公募要領で指定された全ての書類を漏れなく準備し、指定された期日までに提出します。書類の不備は審査対象外となる可能性があるため、細心の注意を払ってチェックしましょう。

補助金が使える具体的な投資・支出例(工務店特化)

工務店の事業承継で事業承継補助金がどのように活用できるのか、具体的な例をいくつかご紹介します。

  • 老朽化した設備・機械の更新:プレカット加工機、木材加工機械、特殊工具など、業務効率や安全性を高めるための最新設備の導入費用。
  • ITツール導入による業務効率化・生産性向上:クラウド型工程管理システム、顧客管理システム(CRM)、建築積算システム、BIM/CADソフト、電子契約システムの導入費用。
  • 販路開拓・ブランディング費用:ターゲット顧客層に合わせたウェブサイトの再構築、オンライン広告、SNSマーケティング、展示会出展費用、カタログ・パンフレット制作費用、地域の住宅イベントへの参加費用。
  • 技術・ノウハウの承継にかかる費用:ベテラン職人から後継者や若手従業員への技術指導にかかる費用(外部講師謝金など)、作業マニュアル、技術伝承ビデオの作成費用、資格取得支援費用(建築士、施工管理技士、省エネ診断士など)。
  • M&Aに伴う専門家費用、デューデリジェンス費用:他の工務店とのM&Aや事業譲受を行う際に発生する、税理士、弁護士、M&A仲介業者などへの費用。
  • 新サービスの開発・導入:リフォーム事業の強化、空き家改修事業、不動産事業との連携など、新たなサービスを提供するための調査費用、システム開発費用、関連設備の導入費用。

これらの例はあくまで一部です。自社の事業承継計画に基づき、どのような投資や支出が必要かを具体的に洗い出し、それが補助金の対象となり得るか公募要領で確認することが重要です。

専門家(税理士、中小企業診断士、行政書士)との連携の重要性

事業承継計画の策定から補助金申請、そして承継実行後の経営に至るまで、専門家の支援を得ることは非常に有効です。税理士には税務・財務面の分析や相続・贈与に関するアドバイス、中小企業診断士には経営全体の課題分析や事業計画策定のアドバイス、行政書士には許認可や法的手続きに関するサポートなど、それぞれ強みがあります。

特に補助金申請においては、申請書類の作成や事業計画書の練り上げをサポートしてもらうことで、採択の可能性を高めることができます。専門家は補助金制度に関する最新情報や、採択されやすい事業計画書の書き方に関するノウハウを持っています。単に代行を依頼するだけでなく、専門家と一緒に自社の事業承継について深く考え、計画をブラッシュアップしていく姿勢が重要です。

申請後の流れ:交付決定、実績報告、補助金の受領

補助金申請後、審査を経て採択されると「交付決定」通知が届きます。この交付決定を受けてから、事業計画に基づいた取り組み(設備購入、サービス利用など)を開始します。補助金の対象となる経費は、交付決定日以降に発生したものに限られることが一般的です。

事業期間が終了したら、「実績報告」を行います。事業計画通りに実施したこと、かかった経費などを証明する書類(契約書、請求書、領収書、写真など)を提出します。事務局による確認・検査を経て、金額が確定し、最終的に補助金が交付(振り込まれる)されます。補助金は原則として後払い制である点に注意が必要です。一時的な資金は自己資金や借入金で賄う必要があります。

工務店が陥りがちな落とし穴と回避策

事業承継と事業承継補助金の活用において、工務店経営者が陥りがちな落とし穴とその回避策を知っておくことはailureを防ぐ上で重要です。

  • 計画の曖昧さ:後継者が本当に何をしたいのか、事業として何を目指すのかが不明確なまま補助金申請を進めてしまう。→ 回避策:父子、あるいは経営チームで徹底的に話し合い、将来のビジョンと具体的なロードマップを明確にする。
  • 書類不備・提出遅れ:必要書類の準備が遅れたり、記載漏れがあったりする。→ 回避策:公募要領をリスト化し、ToDoリストを作成する。専門家と連携して書類チェック体制を整える。
  • 補助金依存:補助金ありきで事業計画を立ててしまい、補助金がなければ成り立たない事業内容になってしまう。→ 回避策:補助金はあくまで背中を押すものと捉え、補助金がなくても実現可能な強固な事業計画を策定する。
  • 事業承継そのものへの意識不足:補助金申請にばかり目が行き、後継者への技術やノウハウの伝承、従業員のモチベーション維持といった、事業承継の本質的な側面に時間をかけない。→ 回避策:資金面だけでなく、人材育成、社内コミュニケーション、顧客との関係構築など、事業承継全体を視野に入れた包括的な対策を行う。

よくある疑問 Q&A

Q4:補助金申請の代行を専門家に依頼できますか?
A4:申請書類の作成支援やコンサルティングを専門家に依頼することは可能です。ただし、申請主体はあくまで事業者自身であり、丸投げすることはできません。専門家と二人三脚で申請内容を理解し、自社の言葉で説明できるようにしておくことが重要です。

Q5:万が一、補助金が不採択だった場合、どうすれば良いですか?
A5:不採択の理由を可能な限り確認し、事業計画を見直したり、要件を満たすように修正したりして、次回の公募に再チャレンジすることが考えられます。また、補助金以外の制度融資や支援制度の活用も検討しましょう。中小企業診断士などの専門家に相談し、事業計画そのものを磨き上げることも重要です。

Q6:補助金以外に、事業承継で活用できる資金調達方法はありますか?
A6:信用保証協会の保証付き融資や、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」など、事業承継に特化した融資制度があります。これらの制度は、長期・低利で資金を調達できるメリットがあります。また、事業価値評価に基づいた自社株式の売買や、M&Aによる資金調達も選択肢となり得ます。

事業承継を継続的に成功させるための「次の一手」

無事、事業承継が完了し、事業承継補助金も活用できたとしても、それがゴールではありません。むしろ、ここからが新たなスタートです。承継した事業を安定させ、さらに発展させていくためには、計画策定と実行、効果測定、そして継続的な改善が必要です。

補助金活用後の経営戦略:後継者育成、組織体制の強化、新規事業

事業承継補助金を活用して設備投資や販路開拓を行った場合、それはあくまで手段です。その手段を使って、後継者がどのように事業を成長させていくか、具体的な経営戦略が必要です。

  • 後継者育成の継続:補助金を活用して技術伝承や経営研修を行ったとしても、学びは終わりません。外部研修への参加、異業種交流、経営者団体への加入などを通じて、経営者としてのスキルや視野を広げ続けましょう。
  • 組織体制の強化:後継者一人で全てを背負うのではなく、幹部社員や従業員を育成し、権限移譲を進めることで、より強い組織を構築します。技術部門、営業部門、事務部門など、それぞれの体制を強化し、役割分担を明確にすることが重要です。
  • 新規事業への挑戦:既存事業の基盤を固めつつ、市場ニーズの変化や後継者のアイデアに基づき、新規事業への挑戦を検討します。例えば、リノベーション事業の強化、省エネ診断サービスの提供、木材加工技術を活かしたプロダクト開発など、工務店の強みを活かせる分野で新しい柱を作ることが、持続的な成長に繋がります。

事業承継後の効果測定と改善活動

補助金申請時に設定した事業計画の目標(売上目標、利益率目標、生産性向上率など)に対し、実際の達成状況を定期的に測定します。計画通りに進んでいない場合は、その原因を分析し、改善策を実行します。具体的には、以下のような視点での効果測定と改善活動を行います。

  • 財務状況の分析:売上高、利益、キャッシュフローなどの推移を定期的に確認し、財務的な健全性を維持できているかチェックします。
  • 生産性の評価:ITツールの導入や設備の更新が、実際に工期短縮やコスト削減に繋がっているか、具体的なデータ(例:一棟あたりの工期、人件費率)で評価します。
  • 顧客満足度の把握:顧客アンケートやヒアリングを通じて、提供するサービスや品質への満足度を確認します。
  • 従業員の状況:従業員のモチベーション、技術習得状況、組織へのエンゲージメントなどを把握します。

これらの評価を通じて、計画の修正や新たな課題への対応を行います。継続的な改善活動を行うことで、事業環境の変化に柔軟に対応し、競争力を維持・強化することができます。

工務店のDX推進

事業承継を機に、工務店のDX(デジタルトランスフォーメーション)を本格的に推進することは、今後の経営において非常に重要な要素です。事業承継補助金は、こうしたDX推進のための設備投資やシステム導入費用にも活用できます。

  • 情報共有プラットフォームの導入:現場と事務所間の情報共有を効率化し、コミュニケーションロスを減らします。
  • クラウド活用による業務効率化:見積もり作成、請求書発行、勤怠管理などをクラウド上で行い、バックオフィス業務の負担を軽減します。
  • BIM/CADシステムの高度活用:設計段階での効率化だけでなく、施主への提案力強化、施工との連携強化に繋げます。
  • オンラインでの集客・販売チャネル構築:ウェブサイトでの施工事例公開、SNSでの情報発信、オンライン相談窓口の設置などにより、潜在顧客との接点を増やします。

DXは単なるツールの導入ではなく、業務プロセスそのものを見直し、デジタル技術を活用して事業のあり方を変革する取り組みです。後継者が中心となって、積極的に推進していくことが求められます。

他の支援策(税制特例、保証制度など)の活用

事業承継には、事業承継補助金以外にも様々な支援策があります。特に重要なのが、事業承継税制です。これは、一定の要件を満たすことで、後継者が取得した非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税が猶予・免除される制度です。円滑な株式の移譲を支援し、後継者の負担軽減を図るものです。

また、事業承継時の資金調達を支援する保証制度もあります。これらの税制特例や保証制度も併せて活用することで、事業承継に関わる税負担や資金繰りの不安を軽減し、よりスムーズなバトンタッチを実現できます。

成功事例から学ぶ

他の工務店経営者がどのように事業承継に取り組み、事業承継補助金を活用して成果を上げているのか、具体的な事例を学ぶことは非常に参考になります。地域の商工会議所や金融機関、専門家などが主催するセミナーや事例発表会に参加したり、中小企業庁などのウェブサイトで公開されている成功事例を参考にしたりすることをお勧めします。

特に、IT化や新しい技術導入、販路開拓など、自社がこれから取り組みたいと考えている分野での成功事例は、具体的なアクションプランを立てる上で貴重なヒントとなるはずです。

よくある疑問 Q&A

Q7:事業承継後の主な課題は何ですか?
A7:後継者のリーダーシップ確立、従業員の意識改革・モチベーション維持、旧経営者(先代)との関係調整、財務基盤の強化、新しい事業環境への適応などが挙げられます。これらの課題に対し、継続的なコミュニケーションと計画的な対応が必要です。

Q8:後継者教育はどのように進めれば良いですか?
A8:OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による実務経験の蓄積はもちろん重要ですが、外部研修(経営戦略、財務、労務など)、異業種交流、商工会議所などの経営セミナー参加なども有効です。また、ベテランの幹部や外部の専門家をメンターとする制度も効果的です。

Q9:事業承継に伴う税金対策はどのようにしたら良いですか?
A9:最も重要なのが、事業承継税制の活用検討です。その他、生命保険の活用、役員退職金の支給、資産管理会社の設立など、様々なスキームが考えられます。税務は専門性が高いため、事業承継に詳しい税理士に早期に相談することが必須です。

まとめ

工務店経営者の皆様にとって、事業承継は未来への希望を繋ぐ最も重要な経営課題の一つです。後継者へのバトンタッチを成功させ、事業をさらに発展させていくためには、周到な準備と計画、そして利用できる外部支援の活用が不可欠です。この記事では、その強力な味方となる事業承継補助金に焦点を当て、その基本から具体的な活用方法、そして承継を成功させるための「次の一手」までを詳しく解説してきました。

事業承継補助金は、新しい設備導入やIT化、販路開拓など、承継後の事業成長に必要な投資を後押しする制度です。単なる資金援助ではなく、事業承継計画という羅針盤に基づいた、より付加価値の高い工務店づくりを実現するための起爆剤となり得ます。この記事でご紹介したステップや具体的な活用例を参考に、まずは自社の現状を分析し、後継者とともに事業承継計画を策定することから始めてみてください。

補助金申請は決して容易ではありませんが、計画を具体化し、必要書類を準備するプロセスそのものが、自社の強みや課題、そして将来のビジョンを深く見つめ直す絶好の機会となります。専門家の知見も借りながら、採択される可能性を高める努力を惜しまないでください。そして、たとえ補助金が採択されなくても、そこで練り上げた事業計画は、今後の経営を力強く推進していくための貴重な財産となります。

事業承継は、世代交代を通じて事業に新しい風を吹き込み、組織を活性化させる素晴らしい機会でもあります。この記事で得た知識を活かし、事業承継補助金を賢く活用することで、皆様の工務店が地域社会に貢献し続け、持続的に発展していくことを心から応援しています。一歩ずつ、着実に、皆様の描く理想の工務店の未来を実現していきましょう。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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