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旅費交通費を削減!工務店のコストダウン術

公開日: : 工務店 経営

工務店の経営において、利益を確保し、事業を継続・成長させていく上で、コスト管理は避けて通れない重要な課題です。特に、資材価格の高騰や人件費の上昇など、様々な要因で経営を圧迫する材料が増える中、徹底したコストの見直しは必須と言えるでしょう。多くの経営者が主要な経費(外注費、材料費など)に目を向けがちですが、日々の業務で必ず発生する旅費交通費も、実は見過ごせない削減ポテンシャルを秘めたコストの一つです。現場への移動、お施主様との打ち合わせ、仕入れ先への訪問など、工務店のビジネスモデル上、移動は多岐にわたります。この旅費交通費をいかに効率的に管理し、削減できるかが、全体のコスト管理、ひいては収益改善に大きく貢献します。

しかし、「旅費交通費を削減しよう!」と思ってはみても、具体的にどこから手をつけるべきか、どのような方法があるのか、といった疑問をお持ちの経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、単に経費をケチるだけでなく、業務効率を損なわずに、むしろ向上させながら賢くコストダウンを実現したいとお考えかもしれません。この記事では、そうした工務店経営者の皆様のお悩みに寄り添い、旅費交通費のコスト管理を徹底するための、実践的で具体的な手順をステップ形式で詳しく解説します。現状分析から、具体的な削減策、ITツールの活用、そして従業員の意識改革まで、明日からすぐに実行できるアクションプランをご紹介します。この記事を読み終える頃には、あなたの工務店における旅費交通費の削減と、より強固なコスト管理体制構築に向けた明確な道筋が見えているはずです。

旅費交通費削減に向けた「現状把握」と「戦略立案」のステップ

旅費交通費のコスト管理を始めるにあたり、最初にして最も重要なステップは、「現状を正しく把握すること」です。何に、どれだけ費用がかかっているのかが見えていなければ、効果的な削減策を講じることはできません。このセクションでは、現状分析から削減目標設定までの具体的な手順を解説します。

なぜ旅費交通費の現状把握が重要なのか?

工務店の日々の業務で発生する旅費交通費は、個々の金額は小さく見えても、積み重なると年間で無視できない大きな金額になります。特に、ガソリン代、車両維持費、駐車場代、高速道路料金などは、見えにくい形でコストを圧迫している可能性があります。まずは「見える化」することで、どこに問題があるのか、どこに削減の余地があるのかを明確にすることが、効率的なコスト管理の第一歩となります。

ステップ1:旅費交通費データの集計と分類

まずは過去一定期間(例:過去1年間、過去3ヶ月)の旅費交通費に関連するすべてのデータを集めます。経費精算書、領収書、給油伝票、ETC利用明細、車両維持費の請求書など、考えられるすべてのデータ源を洗い出しましょう。

  • **具体的なアクション:**
    • すべての経費精算書、領収書などを集める。
    • 法人カードやETCカードの利用明細を取得する。
    • 車両ごとの給油データ(走行距離も記録されていればさらに良い)を集める。
    • これらのデータを、以下の項目などで分類・集計します。
      • **費目別:** ガソリン代、高速道路代、駐車場代、電車・バス代、タクシー代、レンタカー代、宿泊費、車両維持費(車検、修理、保険、税金など)、車両購入・リース代、など
      • **担当者別:** 誰がどれだけ使用しているか
      • **移動目的別:** 現場移動、打ち合わせ、仕入れ、営業、研修、その他
      • **車両別:** どの車両がどれだけ費用を発生させているか

手書きの領収書が多い場合は、Excelや簡単な表計算ソフトを用いて手入力で集計することになります。手間はかかりますが、この基礎データこそが今後のコスト管理の鍵となります。

ステップ2:車両ごとの走行距離と燃費の把握

車両費やガソリン代は、旅費交通費の中でも大きな割合を占めることが多いでしょう。車両ごとの走行距離と燃費を正確に把握することは、効率的な運用を考える上で不可欠です。

  • **具体的なアクション:**
    • 給油の際に可能な限り走行距離計の写真を撮るか、給油伝票に記録するルールを徹底する。
    • 過去の給油データと車検記録から走行距離を推定する。
    • 車両ごとに「走行距離 ÷ 給油量」で実燃費を計算する。
    • 燃費が極端に悪い車両がないか、特定の車両の走行距離が突出していないかを確認する。

燃費の悪い車両は、修理やメンテナンスが必要なのか、あるいは買い替えを検討すべきなのかの判断材料となります。また、走行距離が多い車両は、ルートや移動手段を見直せないかの検討材料になります。

ステップ3:移動パターンと非効率な点の発見

集計・分類したデータを分析し、無駄や非効率な移動がないかを探ります。

  • **具体的なアクション:**
    • 特定の担当者の旅費交通費が突出している理由を分析する。
    • 同じ日に同じ方面へ複数回移動しているケースがないかチェックする。
    • 公共交通機関の方が早い、或いは安く済むケースで、常に車を使用している担当者がいないか。
    • 宿泊が必要な出張が多い担当者はいないか。
      • **Q&A:**Q: 分析する時間がなかなか取れません。どうすれば良いですか?

        A: まずは月に一度、特定の担当者が提出した経費精算書数件をランダムにチェックしたり、特定の車両のガソリン代と走行距離だけを追ってみるなど、範囲を絞って始めてみましょう。小さな一歩が全体のコスト管理への意識を高めます。

現場への移動、打ち合わせ、仕入れなど、それぞれの移動目的に対して「これは本当に必要か?」「もっと効率的な方法はないか?」という視点を持つことが重要です。

ステップ4:削減目標値の設定

現状分析の結果を踏まえ、削減可能な項目と削減目標値を具体的な数値で設定します。

  • **具体的なアクション:**
    • 総旅費交通費に対して何%削減を目指すか(例:年間10%削減)。
    • 特定の費目(例:高速道路代20%削減、駐車場代15%削減)。
    • 特定の車両のガソリン代(例:指定燃費%向上)。
    • 具体的な金額目標(例:年間〇〇円削減)。
      • **Q&A:**Q: 目標値はどのように決めれば現実的ですか?

        A: 過去のデータから、明らかに無駄と思われる部分(例:遠回り、不要な長距離移動、高額なタクシー利用など)を洗い出し、それが改善された場合に削減できるであろう金額から逆算するのが現実的です。最初は小さな目標から始めて、成功体験を積むことも大切です。

目標設定は、従業員のモチベーション維持にもつながります。なぜ削減が必要なのか、削減によって何ができるようになるのか(例:給与への還元、福利厚生の向上、最新ツールの導入など)を明確に伝えることも重要です。

ステップ5:削減戦略とアクションプランの策定

設定した目標値を達成するために、どのような戦略で取り組むのか、具体的なアクションプランを策定します。

  • **具体的なアクション:**
    • 目標項目に対する具体的な削減策(例:高速道路利用判断基準の明確化、Web会議ツールの導入、車両間の距離を考慮した現場割り振りルールの見直しなど)を洗い出す。
    • 誰が、いつまでに、何を行うのか、担当者と期限を明確にする。
    • 削減策の優先順位をつける(効果が大きいもの、実現しやすいものから)。
    • 対策の実施方法や手順を具体的に定める。
      • **Q&A:**Q: 複数の削減策が出てきました。どれから手をつけるべきですか?

        A: 「削減効果の大きさ」と「実施の容易さ」の2軸で評価し、効果が大きく、かつ比較的容易に実施できるものから優先的に取り組むのが効率的です。従業員の抵抗が少ない簡単なルール変更から始めるのも良いでしょう。

この段階で策定した戦略とアクションプランが、今後の旅費交通費削減におけるコスト管理の指針となります。次のセクションでは、これらのアクションをさらに掘り下げて具体的な施策としてご紹介します。

今日からできる!「具体的な」旅費交通費削減策と管理のコツ

セクション1で現状を把握し、削減目標と戦略を立てました。ここでは、その戦略に基づき、工務店の皆様が今日からでも実践できる具体的な旅費交通費の削減策と、その効果を維持するための管理のコツを詳しく解説します。これらの策は、単に費用を削るだけでなく、業務効率の向上にも繋がるものが多数含まれています。

移動回数・距離そのものを減らす工夫

最も効果的な旅費交通費削減策の一つは、移動そのものを必要最小限に抑えることです。

  • **ステップ1:現場直行直帰とスケジュール最適化の徹底**
    • 可能な限り、事務所を経由せず現場や打ち合わせ場所に直行し、終了後は直接帰宅するルールを推奨・徹底します。
      • **具体的なアクション:**
        • 事務所での朝礼や会議を週に数回に減らす、またはオンラインで実施する。
        • 担当者と現場の場所を考慮し、移動距離が最小になるようにスケジュールを組む。
        • 複数現場を巡回する場合、 geograficheに効率的なルートを組む。
  • **ステップ2:Web会議・オンライン打ち合わせの積極活用**
    • お施主様、設計事務所、協力業者との打ち合わせで、対面が必須でないものは極力オンラインツール(Zoom, Teams, Google Meetなど)に切り替えます。
      • **具体的なアクション:**
        • オンライン打ち合わせツールの導入・利用方法の研修実施。
        • オンラインで可能な打ち合わせ内容(進捗報告、軽微な質疑応答、資料共有など)を明確にする。
        • お施主様にもオンライン打ち合わせのメリット(移動負担軽減、時間節約など)を伝え、協力を仰ぐ。
  • **ステップ3:複数現場・複数用件の集約**
    • 同じ地域や同じ方向にある現場訪問や打ち合わせ、仕入れなどをできる限り同日に行うようにスケジュールを調整します。
      • **具体的なアクション:**
        • 週単位や日単位で、各担当者の移動先リストを作成し、地理的に近い場所をまとめて訪問する計画を立てる。
        • 事務所内のホワイトボードや共有カレンダーで、担当者の訪問予定地を共有し、調整しやすくする。
    • **Q&A:**Q: オンライン打ち合わせはお客様が慣れていない場合、どうしたら良いですか?

      A: 事前に接続テストを行ったり、簡単な操作マニュアルを渡したりするなどのフォローを行います。また、「短い時間で気軽に話せる」といったメリットを丁寧に伝えることが理解を得る鍵となります。必須でない簡単な確認事項などから試してみるのが良いでしょう。

移動にかかるコストを下げる工夫

移動が必要な場合でも、その方法を見直すことで旅費交通費を削減できます。

  • **ステップ4:公用車・社有車の見直しと効率的な運用**
    • 保有している車両の台数や車種が、現在の業務内容に適しているか見直します。燃費の良い車種への変更も検討します。
      • **具体的なアクション:**
        • 車両ごとの走行距離と燃費を比較し、稼働率や維持費を踏まえて最適な保有台数・車種を検討する。
        • エコドライブ講習を実施し、運転習慣の改善による燃費向上を目指す。
        • 定期的なメンテナンスを行い、車両トラブルによる予期せぬ出費や燃費悪化を防ぐ。
        • 車両購入・リース・レンタカーなど、コスト効率の良い方法を比較検討する。
  • **ステップ5:ガソリン代の削減策**
    • ガソリン代は年間で考えるとかなりの金額になります。単価や使い方を見直しましょう。
      • **具体的なアクション:**
        • 複数の給油所を比較検討し、最も価格の安いところで給油するルールを作る。
        • 法人向けガソリンカードを導入し、割引や管理の効率化を図る。
        • 急加速・急停車を避ける、不要な荷物を積まないなど、エコドライブを意識する。
        • タイヤの空気圧を適正に保つよう定期的にチェックする。
  • **ステップ6:高速道路利用基準の明確化**
    • 高速道路は時間を短縮できますが、費用がかかります。利用が必要なケースを明確に定めます。
      • **具体的なアクション:**
        • 移動距離が〇km以上の場合、または移動時間が〇分以上短縮できる場合に限り利用可、といった具体的な基準を設定する。
        • ETC割引(通勤割引、深夜割引など)を最大限活用するためのルールを設ける。
        • 時間帯や曜日によって一般道の方が早い(渋滞回避)場合は、そちらを優先する判断を奨励する。
  • **ステップ7:駐車場代の削減**
    • 現場周辺や打ち合わせ場所での駐車場代も積み重なると大きな金額になります。
      • **具体的なアクション:**
        • 事前に目的地周辺の比較的安価な駐車場を調べておく、情報共有する。
        • 可能な場合は、公共交通機関と組み合わせて、駅周辺の安価な駐車場を利用する。
        • 現場が長期にわたる場合、近くの月極駐車場を短期契約できないか検討する。
        • オンラインマップアプリなどを活用し、リアルタイムの駐車場満空情報や料金を比較する習慣をつける
  • **ステップ8:公共交通機関・レンタカー・カーシェアの活用検討**
    • 遠方への出張や、一時的な車両不足の場合など、状況に応じて最適な移動手段を選択します。
      • **具体的なアクション:**
        • 新幹線や飛行機を利用する場合、早期予約割引や格安チケットを活用する。
        • 数日間だけ車両が必要な場合は、購入やリースよりもレンタカーの方が安く済む場合がある。
        • 都市部での移動や短時間だけ車が必要な場合、カーシェアリングサービスが有効な場合がある。
  • **ステップ9:出張旅費規程の見直し**
    • 宿泊を伴う出張が多い場合、旅費規程を見直すことで大幅なコスト管理が可能になります。
      • **具体的なアクション:**
        • 宿泊費や日当の上限金額を、一般的な実費相場や会社の状況に合わせて適切な額に設定する。
        • ビジネスホテルなど、リーズナブルな宿泊施設を利用するよう推奨する。
        • 出張手当(日当)の設定が、実費精算と比べてどちらがコストがかかっているかを確認する。

管理体制の強化と意識付け

具体的な削減策を実行しても、それを継続し、定着させるにはしっかりとした管理体制と従業員の意識付けが必要です。

  • **ステップ10:経費精算システムの導入検討**
    • 手書きやExcelでの管理は、手間がかかるだけでなく、ミスや不正のリスクも伴います。経費精算システムの導入は、長期的なコスト管理において非常に有効です。
      • **具体的なアクション:**
        • クラウド型の経費精算システムを比較検討する(初期費用、月額費用、使いやすさ、機能:スマホ対応、領収書読み取り、交通系ICカード連携など)。
        • システムのデモを利用し、現場の担当者にも意見を聞く。
        • 導入によるメリット(精算作業の効率化、タイムロス削減、リアルタイムでのデータ分析、不正抑制)を従業員に説明する。
        • ペーパーレス化による印刷コスト、保管スペース、人的コストの削減効果も見込む。
  • **ステップ11:燃料カード・ETCカードの活用と一元管理**
    • 経費管理の透明性を高め、利用状況を把握しやすくするために、法人向けのカードを活用します。
      • **具体的なアクション:**
        • 個人立替を原則禁止し、法人カードでの支払いを徹底する。
        • 燃料カードやETCカードの利用明細を定期的に確認し、不自然な利用がないかチェックする。
        • カード利用データを経費精算システムと連携させ、管理の手間を減らす。
  • **ステップ12:従業員へのルールの周知と意識付け**
    • どんなに良いルールやシステムを導入しても、従業員一人ひとりの協力がなければ効果は限定的です。
      • **具体的なアクション:**
        • なぜ旅費交通費のコスト管理が重要なのか、会社の利益、ひいては自分たちの働く環境にどう影響するのかを繰り返し説明する。
        • 策定した旅費交通費規程や利用ルールを文書化し、全員に配布・説明する。
        • 定期的に研修や説明会を実施し、疑問点や懸念点を解消する場を設ける。
        • 「コスト管理は皆で取り組むべき課題である」という意識を醸成する。
    • **Q&A:**Q: 経費精算システムの導入は費用がかかります。費用対効果はありますか?

      A: システムの費用だけでなく、経費精算にかかる従業員(申請者・承認者・経理担当)の時間削減効果、ペーパーレス化によるコスト削減、不正抑制効果、リアルタイムな経費データの分析による他のコスト削減機会の発見など、総合的な視点で判断することが重要です。多くのシステムが無料トライアルを提供しているので、まずは試算してみることをお勧めします。

これらの具体的な策を実行に移すことで、旅費交通費は確実に削減できます。重要なのは、単発の取り組みで終わらせず、継続的に管理していく仕組みを作ることです。次のセクションでは、さらに踏み込んだコスト管理の方法と、継続的な改善について解説します。

削減効果を加速させる「IT活用」と「意識改革」、そして次のステップ

旅費交通費の削減は、一度やれば終わりではありません。継続的に効果を出し続けるためには、仕組みを作り、従業員の意識を高め、そして他のコスト管理項目との連携を強化していく必要があります。このセクションでは、IT活用による効率化、従業員の主体性を引き出す意識改革、そして削減によって生まれたリソースをどう活用するかといった「次のステップ」について掘り下げます。

IT活用によるコスト管理の深化

ITツールは、旅費交通費の「見える化」と「効率化」を劇的に向上させます。

  • **ステップ1:経費精算システムによるリアルタイムの見える化と分析**
    • セクション2でも触れましたが、経費精算システムは単なる精算の効率化ツールではありません。データを蓄積・分析し、コスト管理を次のレベルに引き上げるための基盤となります。
      • **具体的なアクション:**
        • システムから定期的に旅費交通費の月別・担当者別・費目別のレポートを出力し、傾向や異常値がないか分析する。
        • 前年同期比や目標値との比較を行い、削減効果を定量的に把握する。
        • 特定の現場やプロジェクトにかかる旅費交通費を追跡し、見積もりとの差異を確認する。
        • システム上で過去のデータに簡単にアクセスできるため、詳細な分析が容易になる。
  • **ステップ2:車両管理システムの導入検討**
    • 複数の車両を保有している場合、車両管理システムは運行の効率化、安全管理、そしてコスト管理に貢献します。
      • **具体的なアクション:**
        • 車両位置情報、走行距離、速度、燃費などをリアルタイムで把握できるシステムを検討する。
        • システム上で定期メンテナンスの通知を受け取るように設定し、車両を常に最適な状態に保つ。
        • 最適なルート案内機能を活用し、無駄な走行距離を削減する。
        • 日報入力をシステム上で行えるようにし、走行距離と業務内容を結びつけて記録を残す
  • **ステップ3:スケジュール・案件管理ツールとの連携**
    • 案件情報、担当者スケジュール、現場位置情報を一元管理することで、移動全体の最適化が可能になります。
      • **具体的なアクション:**
        • 案件管理ツールに現場や打ち合わせ場所の住所を登録し、担当者のスケジュールと紐づける。
        • ツール上で複数案件の訪問スケジューリングを行い、移動ルートや時間を自動計算・最適化する機能を活用する。
        • クラウドベースのツールであれば、外出先からでもアクセス・更新が可能になり、急な予定変更にも柔軟に対応できる。

従業員の意識改革と主体性の醸成

コスト管理を成功させるには、経営層だけでなく、現場で働く一人ひとりの意識と行動が不可欠です。

  • **ステップ4:削減目標の共有とインセンティブ制度の検討**
    • 単に「経費を減らせ」と言うだけではなく、なぜ旅費交通費削減が必要なのか、具体的にどれくらいの削減を目指しているのかを従業員全体に共有します。
      • **具体的なアクション:**
        • 全体会議や社内報などで、旅費交通費の年間総額や月額推移、削減目標を定期的に共有する。
        • 削減目標達成度に応じて、賞与や手当に反映させるインセンティブ制度を検討する。
        • 個人の削減努力が会社全体の利益に繋がり、それが自分たちに還元される仕組みを示す。
  • **ステップ5:成功事例の共有と表彰**
    • 具体的な削減行動で成果を上げた従業員を認め、他の従業員の模範とします。
      • **具体的なアクション:**
        • 「Aさんの工夫で〇〇円のガソリン代が削減できました」「BさんがWeb会議を積極的に活用して移動時間を減らしました」といった具体的な事例を社内で共有する。
        • 定期的に「コスト削減優秀者」などの表彰制度を設ける。
        • 従業員自身が「こうすればもっと効率的では?」とアイデアを出せる場を設ける(目安箱、提案制度など)。
  • **ステップ6:エコ運転講習や燃費向上アドバイス**
    • 運転日数が多く移動距離が長い工務店の性質上、エコ運転の習慣はガソリン代削減に直結します。
      • **具体的なアクション:**
        • 外部講師によるエコドライブ講習を実施する、あるいはオンライン教材を活用する。
        • 車両管理システムなどで取得した運転データに基づき、個別に燃費向上のためのアドバイスを行う。
        • スタッドレスタイヤへの早すぎる交換を避ける、不要なアイドリングをしない、といった基本的な習慣を徹底する。
      • **Q&A:**Q: 従業員の意識を変えるのは難しいです。何か良い方法は?

        A: 一方的な指示ではなく、「なぜコスト管理が重要なのか」「旅費交通費削減を通じて会社がどう良くなるのか」を丁寧に説明し、共感を呼ぶことから始めましょう。成功体験を共有したり、小さな成果でも具体的に褒めたりすることも、従業員のモチベーション向上に繋がります。

継続的なコスト管理の仕組みと「次の一手」

削減効果を維持・向上させ、さらに他のコスト項目にも管理の範囲を広げていくための仕組みづくりを考えます。

  • **ステップ7:定期的な旅費交通費データ分析と効果測定**
    • 月に一度や四半期に一度など、定期的にデータを分析し、削減目標の達成度を確認する体制を整えます。
      • **具体的なアクション:**
        • 担当者(経理担当、総務担当、または経営者自身)を決め、分析・レポート作成の責任を明確にする。
        • 当初立てた削減目標値に対して、実績がどうなっているのかを常に把握する。
        • 効果が出ていない施策があれば、原因を分析し、改善策を検討する。
        • 社内会議で定期的に旅費交通費の報告を行い、オープンな情報共有を心がける
  • **ステップ8:見直しと改善サイクルの実施**
    • コスト管理はPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回し続けることが重要です。
      • **具体的なアクション:**
        • 目標設定(Plan)→削減策実行(Do)→効果測定・分析(Check)→改善策実施(Action)のサイクルを確立する。
        • 時代の変化や技術の進歩に合わせて、削減策そのものや管理方法を常に見直す。
        • 例えば、新たなカーシェアサービスやオンラインツールが登場したら、積極的に情報収集し、自社への導入可能性を検討する
  • **ステップ9:他のコスト項目との連携管理**
    • 旅費交通費のコスト管理で得たノウハウや仕組みを、他の経費項目(通信費、消耗品費、水道光熱費など)のコスト管理にも応用します。
      • **具体的なアクション:**
        • 経費精算システムを活用し、他の費目もまとめて管理・分析できるようにする。
        • 旅費交通費削減委員会のようなものを設置している場合、その活動範囲を他のコスト項目に広げる。
        • 総合的なコスト管理体制を構築し、会社のキャッシュフロー全体を改善することを目指す。
      • **Q&A:**Q: 削減できたコストは、すぐに利益として使ってしまっても良いですか?

        A: 短期的な利益計上も重要ですが、削減で生まれた資金の一部は、将来の投資に回すことを検討しましょう。例えば、より効率的なITツールの導入、従業員のスキルアップ研修、新しい工法や技術の導入など、会社の競争力を高める投資に繋げることで、持続的な成長が可能になります。

旅費交通費のコスト管理は、単なる経費削減にとどまらず、業務プロセスの見直しやIT活用の促進、従業員の意識改革といった、会社全体の経営体質強化に繋がる取り組みです。ここに挙げたステップを参考に、あなたの工務店に最適な形で実践を進めてください。

まとめ

工務店の持続可能な経営にとって、徹底したコスト管理は不可欠であり、特に日々の業務で発生する旅費交通費は、見落とされがちながらも大きな削減ポテンシャルを秘めています。この記事では、旅費交通費のコスト管理を実践するための具体的なステップとして、まず現状を正確に把握し、無駄を発見することから始めました。次に、移動回数を減らすWeb会議の活用やスケジュール最適化、そして車両運用や出張規程の見直しといった、今日から実行できる具体的な削減策を多数ご紹介しました。さらに、経費精算システムや車両管理システムといったITツールの活用による管理の効率化、そして最も重要な従業員の意識改革と継続的な改善サイクルの構築について解説しました。これらの取り組みは、単に経費を削るだけでなく、業務効率の向上やガバナンス強化にも繋がり、工務店全体の経営体質を強化します。削減によって生まれた資金は、設備の更新、人材育成、新規事業など、未来への投資に回すことで、競争力をさらに高めることが可能です。この記事でご紹介した具体的なアクションプランを参考に、ぜひ今日から旅費交通費のコスト管理に着手してください。小さな一歩の積み重ねが、必ずあなたの工務店の未来を盤石なものにしていくはずです。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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