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顧客紹介で新規顧客獲得!工務店の信頼構築術

公開日: : 工務店 経営

工務店の経営者の皆様、集客や売上向上について、このようなお悩みはありませんか?新しい広告手法を試しても費用対効果が見込めない、展示場への来場者が減っている、インターネット集客は競争が激しい…。特に資材高騰や人件費上昇が続くいま、安定した新規顧客獲得は事業継続の生命線とも言えます。

ご紹介したいのは、最も信頼性が高く、かつ費用対効果に優れた顧客獲得方法である「顧客紹介」の仕組みづくりです。既存のお客様からの紹介は、単に新規顧客が増えるだけでなく、高確率での成約、営業コストの削減、そして何より工務店への深い信頼に基づいた良好な関係性構築に繋がります。これはまさに、地道な努力が実を結び、売上向上へと直結する王道戦略と言えるでしょう。

「顧客紹介を増やしたいけれど、どうすればいいの?」「紹介特典はどんなものが効果的?」「紹介されたお客様への対応方法は?」といった具体的な疑問をお持ちかもしれません。この記事では、これらの疑問に一つずつお答えしながら、今日から実践できる具体的なステップを通じて、顧客紹介を売上向上のための強力な柱とする方法を徹底解説します。この記事を読み終える頃には、なぜ顧客紹介が重要なのか、そしてそれを実現するために何をすべきかが明確になり、あなたの売務店経営に新たな活路が開けるはずです。

顧客紹介の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店の売上向上において、顧客紹介は非常に効率的な手段です。広告費の高騰や見込み客の獲得難が叫ばれる現代において、既存のお客様からの紹介は、信頼性の担保された状態で新たな顧客と繋がれる貴重な機会。では、具体的にどのように顧客紹介を増やしていくのでしょうか?

なぜ今、顧客紹介が重要なのか?

工務店にとって、紹介による新規顧客は以下の点で大きなメリットがあります。

  • 高い信頼性と成約率:紹介者は既にあなたの工務店の価値を理解しているため、紹介されたお客様も最初から高い期待と信頼感を持って接してくれます。これは成約率の向上に直結します。
  • 低コスト:広告宣伝費に比べて、紹介制度にかかるコストは大幅に抑えられます。これは直接的に利益率を高め、売上向上に貢献します。
  • 良好な顧客関係:紹介してきた既存顧客も、紹介された新規顧客も、良好な関係性を築きやすい傾向にあります。
  • ブランド力の強化:紹介が増えることは、あなたの工務店の品質やサービスが多くの人に評価されている証拠です。自然とブランド力が強化されます。

これらのメリットを享受するためには、「紹介したくなる工務店」であることが大前提となります。小手先の制度だけでは、継続的な顧客紹介は生まれません。

紹介を生む「紹介したくなる工務店」の土台作り

紹介制度を始める前に、まずは以下の土台をしっかりと築きましょう。

1. 高い施工品質と正直な仕事

  • 当たり前のことですが、これが最も重要です。お客様の期待を超える品質を提供しましょう。
  • 見えない部分こそ丁寧に。後々の点検やメンテナンスで「きちんとした工事だった」とお客様に実感してもらうことが、信頼に繋がります。
  • 正直な見積もりと説明。不透明な部分があると不信感に繋がります。良い点だけでなく、リスクや制限も伝えてお客様の不安を解消しましょう。

2. お客様との丁寧なコミュニケーション

  • 着工前、工事中、引き渡し後、それぞれのフェーズでお客様が抱えるであろう疑問や不安を先回りして察知し、丁寧に説明する時間を取りましょう。
  • 報告・連絡・相談(ほうれんそう)を徹底。進捗状況の報告はもちろん、少しでも変更や問題が発生したらすぐに連絡し、相談して一緒に解決策を考えましょう。
  • 引き渡し後も関係性を断ち切らない。年賀状、季節の挨拶、定期点検のお知らせなどを通じて、お客様との繋がりを保ちましょう。

3. 期待を超えるアフターフォロー

  • 引き渡しはゴールではなく、お客様との長いお付き合いのスタートです。
  • 定期点検を計画的に実施し、お客様に安心感を与えましょう。
  • 何か問題が発生した際には、迅速かつ丁寧に対応しましょう。「建てて終わりではない」という姿勢が信頼を深めます。
  • OB顧客向けのイベント(感謝祭、DIY教室など)を開催し、楽しみながら繋がれる機会を作りましょう。

これらの「当たり前」を高いレベルで実践することが、お客様に「この工務店なら安心して友人に紹介できる」と思ってもらうための土台となります。この土台なくして、効果的な顧客紹介制度は成り立ちません。

顧客紹介制度設計の基本ステップ

土台が整ったら、いよいよ具体的な顧客紹介制度の設計に入ります。

ステップ1:制度の目的を明確にする

  • 何のために紹介制度を作るのか?(例:新規顧客獲得数の増加、紹介経由の売上向上、OB顧客との関係強化など)
  • 目標とする紹介件数や成約率などを設定しましょう。

ステップ2:ターゲット顧客を設定する

  • どのような方からの紹介を増やしたいか?(例:特に満足度の高いOB顧客、良好な関係が築けている顧客など)
  • ターゲット顧客の属性(年齢、家族構成、建築時期など)を分析すると、効果的なアプローチ方法が見えてきます。

ステップ3:紹介特典を検討する

紹介を促すためのインセンティブとなる特典を考えます。特典は紹介者だけでなく、紹介された側にもメリットがあるように設計するのが効果的です。

  • 紹介者への特典:
    • ギフト券や商品券(金額は成約金額の0.5%~1%程度が目安。数万円〜数十万円になることも)
    • 家電や家具などの現物支給
    • アフターサービスやメンテナンスの割引・無料化
    • OB顧客向けイベントへの特別招待
    • 感謝状や記念品
  • 被紹介者への特典:
    • 工事金額の割引
    • オプション工事(照明、カーテン、外構の一部など)の無料提供または割引
    • グレードアップサービス(キッチン、バスなど)
    • 引越し費用の補助
    • 記念品
  • 両方への特典:紹介者と被紹介者の両方に同じ、または異なる特典を用意する。

特典を選ぶ際は、ターゲット顧客層に喜ばれるもの、かつあなたの工務店の利益を圧迫しすぎないものを選びましょう。過度なインセンティブは、紹介の質を下げる可能性もあるため注意が必要です。

ステップ4:制度のルールを明確にする

  • 誰が紹介制度の対象となるか?(例:OB顧客のみ、契約者は工事中も含むなど)
  • どのような流れで紹介が成立するか?(例:紹介者が工務店に連絡後、被紹介者が来場、または被紹介者が初回問い合わせ時に紹介者名を申告など)
  • 特典の付与タイミングはいつか?(例:被紹介者の契約時、引き渡し時など)
  • 紹介によって建築される建物の種類や金額に条件はあるか?

これらのルールは分かりやすく明文化し、お客様に正確に伝えられるように準備します。

ステップ5:紹介依頼のタイミングと方法を決める

  • お客様に紹介をお願いする最適なタイミングは?(例:工事中の満足度が高い時期、引き渡し直後、半年点検・1年点検時、OB感謝祭などのイベント時)
  • どのように紹介をお願いするか?(例:口頭で、パンフレットで、メールで、Webサイトの専用フォームで)

お客様が最も満足度が高く、あなたについて考える機会が多いタイミングで依頼することが重要です。また、様々な方法を用意することで、お客様が紹介しやすい形を選べるようにしましょう。

【ワンポイントQ&A】

Q: 紹介制度は必ず作るべきですか?

A: 必須ではありませんが、意図的に顧客紹介を増やすためには効果的です。制度がなくても紹介は生まれますが、制度があることでお客様は「紹介すると喜ばれる/メリットがある」と認識しやすくなります。まずは無理のない範囲で、ささやかな特典から始めてみるのも良いでしょう。

Q: どのような特典が一番喜ばれますか?

A: 金銭的な特典(ギフト券など)は汎用性が高く喜ばれやすい傾向にありますが、お客様のタイプによっては、あなたの工務店ならではのサービス(リフォーム割引など)や、体験型の特典(OB向け感謝祭への特別招待など)の方が心に響くこともあります。お客様の層を理解し、いくつかの選択肢を用意するのも良い方法です。

売上向上×顧客紹介:成果を最大化する具体的な取り組み

顧客紹介制度を設計したら、次はそれを実際に運用し、成果を最大化するための具体的なアクションプランを練りましょう。ここでの目標は、設計した制度が絵に描いた餅に終わらず、実際に顧客紹介が生まれ、それが売上向上に繋がる流れを確立することです。

積極的に紹介を増やすための仕組みづくり7ステップ

紹介を生むための土台が築けている前提で、さらに紹介を“増やす”ためのステップです。

ステップ1:感謝の気持ちを伝える文化を醸成する

  • 紹介をいただいた際には、何よりもまず迅速に、心からの感謝を伝えましょう。電話で直接お礼を伝えるのが最も丁寧です。
  • 手書きの御礼状や、ちょっとした季節の贈答品などを添えるのも喜ばれます。
  • 紹介してくれた方への感謝の気持ちを、社内全体で共有し尊重する文化を作りましょう。「〇〇様からのご紹介で△△様がいらっしゃいました!」といった共有は、社員のモチベーション向上にも繋がります。

ステップ2:紹介制度の存在を周知徹底する

  • 顧客紹介制度があることを、お客様に分かりやすく伝えましょう。契約時、引き渡し時、そして引き渡し後の定期的なコミュニケーションの機会(ニュースレター、OB感謝祭など)にアナウンスします。
  • 制度内容を記載したパンフレットやリーフレットを作成し、引き渡し資料などに含めるのが効果的です。
  • 工務店のWebサイトに「OB様ご紹介特典」などの専用ページを設置し、いつでも誰でも制度内容を確認できるようにしておきましょう。

ステップ3:紹介発生時の迅速かつ丁寧な対応フローを確立する

  • 紹介者からお客様候補の連絡を受けた場合:
    • 紹介者に対して、すぐに連絡を受けた旨の御礼と、今後の進め方について説明します。
  • 紹介されたお客様候補から連絡を受けた場合(または紹介者から連絡があった旨を伝えた後):
    • 紹介者からのご紹介であることを明記し、通常より丁寧な対応を心がけます。
    • 紹介特典や、紹介されたお客様向けの特別なサービスがあれば最初に説明します。
    • 初回打ち合わせの日程調整や、要望のヒアリングを入念に行います。
  • 紹介制度における個人情報の取り扱いには十分配慮し、紹介者・被紹介者双方の同意を適切に得ることが重要です。

ステップ4:成約に繋げるための被紹介者への特別対応

  • 紹介されたお客様には、既に信頼があるとはいえ、初めての打ち合わせには不安があるものです。
  • 紹介者からどのような点が良いと聞いたのかなどを交えながら、よりパーソナルな対応を心がけましょう。
  • 紹介特典の適用条件などを分かりやすく説明し、安心して制度を利用できるようにサポートします。
  • 紹介者はあなたの工務店の「ファン」です。そのファンが自信を持って紹介してくれた期待に応えるべく、通常のお客様以上に熱意を持って対応しましょう。

ステップ5:OB顧客との関係性を維持・強化する

これが、継続的に顧客紹介を生むための最も重要な施策の一つです。

  • ニュースレターや情報誌の発行:季節のご挨拶、住まいのお手入れ情報、イベント告知、OB様宅訪問記などを掲載し、定期的に郵送またはメールで送付します。
  • 定期点検・メンテナンスの実施:引き渡し後の安心を提供し、信頼関係を再確認する機会です。
  • OB顧客向けイベントの開催:感謝祭、BBQ、DIY教室、専門家を招いたセミナーなど、お客様同士や工務店スタッフとの交流機会を作ります。
  • SNS等での交流:許可を得てお客様の住まいを紹介したり、コメント欄で交流したりすることで、お客様は「自分たちの家を建てた工務店」との繋がりを感じ続けられます。
  • 困りごとの相談窓口になる:リフォームや暮らしのちょっとした困りごとなど、気軽に相談してもらえる関係性を築いておけば、自然な形で次の機会が生まれます。

ステップ6:紹介に至ったケースの分析を行う

  • どのようなお客様が、どのようなタイミングで紹介してくれたのかを記録し、分析しましょう。
  • 紹介してくれたお客様は、あなたの工務店のどのような点に特に満足していたのか?(例:デザイン、現場の綺麗さ、担当者の人柄、アフターフォローなど)これを把握することで、自社の強みが再認識でき、今後のサービス改善や他の顧客へのアピールポイントにも繋がります。
  • 特定のエリアからの紹介が多い、特定のイベント後に増えるなど、傾向が分かれば、それを踏まえた戦略を立てられます。

ステップ7:紹介制度の効果測定と改善

単に「紹介が増えた」で終わらせず、その効果を測り、制度や運用方法を常に改善し続けましょう。(効果測定については次のセクションで詳しく解説します)

紹介制度を成功させるための運用上の注意点

  • ルールの明確化と正確な伝達:お客様に誤解がないよう、制度の条件や流れを正確に伝えましょう。
  • 個人情報保護への配慮:紹介者・被紹介者双方の個人情報の取り扱いには最大限の注意を払いましょう。同意なく情報を共有することは避けましょう。
  • 紹介の質を保つ:特典目当ての不健全な紹介を防ぐためにも、紹介制度の目的(本当に信頼できる方に、あなたの満足を伝えていただくこと)を丁寧に伝えることが重要です。特典をあまりにも高くしすぎると、質より量が重視される可能性があります。
  • 全社員の意識統一:営業担当だけでなく、現場監督、大工さん、事務スタッフに至るまで、全社員が顧客満足度向上に努め、「紹介は会社全体の成果である」という意識を持つことが大切です。

【ワンポイントQ&A】

Q: 紹介されるお客様は、特定の親しい顧客だけでは?

A: 最初のうちは、特に工務店と良好な関係を築けているお客様からの紹介が多くなる傾向はあります。しかし、先述のような「紹介したくなる土台作り」や「積極的な情報提供(制度の周知、OB向け情報発信)」を継続することで、より幅広いOB顧客からの紹介が生まれる可能性が高まります。工事中からお客様が「この工務店、いいな」と感じる瞬間を多く作り出すことが、紹介の裾野を広げる鍵となります。

Q: 紹介特典はいつ渡すのがベストですか?

A: 一般的には、紹介されたお客様との契約成立時、またはお客様の引き渡し時が区切りとして分かりやすいでしょう。紹介者にとっては、紹介した方が「実際にあなたの工務店を選んでくれた」という結果が出た時点で喜びを感じやすく、特典の価値もより感じやすいタイミングと言えます。ただし、ルールの明確化が重要ですので、あなたの工務店の制度で定めたタイミングで遅滞なく実行することが信頼に繋がります。

売上向上を継続的に成功させるための「次の一手」

顧客紹介制度は、一度作って終わりではありません。継続的に効果を出し、さらに高い売上向上を目指すためには、常にその効果を測定し、改善を重ねていく必要があります。また、顧客紹介を軸としつつも、他の売上向上施策と組み合わせることで、より盤石な経営基盤を築くことができます。

紹介制度の効果測定と改善サイクル

効果測定は、あなたの工務店が費やしたリソース(時間、コスト)に対して、どれだけの成果が得られているのかを把握し、改善の方向性を見出すために不可欠です。

ステップ1:紹介制度のKPI設定

制度設計時に設定した目的に沿って、計測すべき指標(KPI:重要業績評価指標)を具体的に決めます。

  • 年間(または四半期)の紹介件数
  • 紹介経由の新規問い合わせ数
  • 紹介経由の成約数
  • 紹介経由の成約率(紹介からの問い合わせ数に対して、何件成約したかの割合)
  • 紹介経由の売上総額
  • 紹介制度にかかったコスト(特典費用、運営費用など)
  • 紹介経由のROI(投資対効果):(紹介経由の売上 – 紹介制度コスト) ÷ 紹介制度コスト

ステップ2:データの記録と集計

紹介経路を正確に把握できるよう、問い合わせ時や初回打ち合わせ時に「どのように知りましたか?」と必ず確認し、「OB顧客からの紹介」であれば、誰からの紹介かを記録します。これらのデータを継続的に集計します。

ステップ3:定期的な効果分析

設定したKPIに基づき、集計したデータを定期的に分析します。

  • 「紹介件数は伸びているか?」
  • 「紹介からの成約率は高いか?」
  • 「紹介経由の売上は計画通りか?」
  • 「コストに対して十分なリターンがあるか?」

目標に対して現状はどうなのか、強みや課題はどこにあるのかを明確にします。例えば、「紹介はたくさんあるが成約に繋がりにくい」のであれば、被紹介者への対応プロセスを見直す必要があるかもしれません。「満足度は高いはずなのに紹介が増えない」のであれば、制度の周知が不足している、または紹介依頼のタイミングや方法を見直す必要があると考えられます。

ステップ4:分析結果に基づく改善策の実施

分析で明らかになった課題に対して、具体的な改善策を打ち出します。

  • 紹介数が少ない場合:OB顧客への情報提供を強化する、紹介依頼のタイミングを増やす、特典内容を見直す。
  • 成約率が低い場合:被紹介者への初回対応フローを改善する、紹介経由のお客様向け説明をより丁寧に。
  • 紹介者の偏りがある場合:幅広い層のOB顧客との関係性を維持・強化する取り組みを強化する。

ステップ5:改善策の効果測定と更なる改善(PDCAサイクル)

実施した改善策が効果を上げているかを再度測定し、必要に応じてさらなる改善を行います。このPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)サイクルを継続的に回すことが、顧客紹介制度を定着させ、最大の売上向上効果を生み出す鍵となります。

顧客満足度調査の活用

顧客紹介を生むためには、顧客満足度が非常に重要です。満足度を定量的に把握するために、顧客満足度調査を実施しましょう。

  • 引き渡し後一定期間が経過したお客様にアンケートを実施します。
  • サービスの各項目(営業担当、設計、現場管理、職人、アフターフォローなど)についての満足度を評価してもらいましょう。
  • 特に、「友人や同僚に、あなたの工務店をどの程度勧めたいですか?」という質問は、NPS(ネットプロモーター・スコア)として紹介意向を測る指標となります。
  • 高い評価をしてくれたお客様には、個別に御礼を伝えたり、改めて紹介制度のアナウンスをするなどのアプローチも効果的です。
  • 改善点が見つかった場合は、真摯に受け止め、サービス改善に繋げましょう。

紹介を仕組み化するツールの活用

顧客紹介やOB顧客管理を効率的に行うために、ITツールを活用することも検討しましょう。

  • CRM(顧客管理システム):OB顧客の情報、過去の工事履歴、紹介の有無、紹介特典の付与状況などを一元管理できます。定期的な情報発信(ニュースレターなど)の対象者リスト作成や、特定の顧客層へのアプローチが容易になります。
  • 紹介管理システム:紹介の受付、進捗状況の管理、特典の付与管理などに特化したシステムもあります。人為的なミスを防ぎ、スムーズな運用をサポートします。
  • OB顧客向け限定サイト/アプリ:定期点検の案内、メンテナンス相談フォーム、OB様向け情報発信などを集約し、顧客との接点を強化できます。

社員モチベーション向上と紹介促進

顧客紹介は、お客様と直接関わる社員一人ひとりの努力と顧客満足度への意識にかかっています。

  • 紹介制度の意義やメリットを全社員に共有し、重要性を理解してもらいましょう。
  • 紹介が発生した際には、関わった社員を称賛するなど、社内で積極的に評価する仕組みを取り入れましょう。インセンティブ制度を設けるケースもあります。
  • 定期的な社員研修で、顧客対応やコミュニケーションスキル向上の機会を提供しましょう。
  • 「どうすればお客様にもっと喜んでいただけるか?」を常に考え、提案し合える風通しの良い組織文化を育みましょう。

紹介以外の売上向上施策との組み合わせ

顧客紹介で安定した新規顧客を獲得しつつ、他の売上向上策も並行して行うことで、経営の多角化と安定を図ります。

  • OB顧客向けリフォーム・メンテナンス事業の強化:既に信頼関係のあるOB顧客は、リフォームやメンテナンスの有力な見込み客です。ニーズを掘り起こし、適切な提案を行うことで大きな売上向上に繋がります。
  • 不動産仲介や土地活用サポート:家づくり以外の住まいに関するニーズに応えることで、事業領域を広げ、新たな収益源を確保します。
  • 特定の専門分野(耐震、断熱、デザインなど)の強化:強みを明確に打ち出し、その分野に関心のある新規顧客や、既存顧客からの専門的な相談に対応できるようにします。

顧客紹介で培ったお客様との信頼関係は、これらの追加サービスの提案においても大きな強みとなります。

【ワンポイントQ&A】

Q: 効果測定は何を見れば良いですか?

A: 最も重要なのは「紹介経由の成約数」と「紹介経由の売上」、そして「紹介経由の成約率」です。これらの数値が伸びていれば、制度が機能している証拠です。さらに、紹介にかかったコストと比較して、十分な利益が出ているか(ROI)も確認し、費用対効果も把握しましょう。

Q: 紹介以外の売上向上策はありますか?

A: 数多くありますが、工務店にとって最も取り組みやすいのは、既存顧客に対するリフォームやメンテナンスの提案強化です。一度家づくりを任せてくれたお客様は、その後のメンテナンスや増改築が必要になった際も、信頼できる工務店に依頼したいと考えています。OB顧客向けに特化した定期的な情報提供や、相談窓口の明確化などが有効です。

まとめ

工務店の売上向上を実現するための顧客紹介戦略について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。顧客紹介は、単に「紹介特典を用意する」といった小手先のテクニックではなく、高い施工品質と丁寧なコミュニケーション、そして期待を超えるアフターフォローから生まれる、お客様との深い信頼関係の証です。

この記事でご紹介したステップを振り返ってみましょう。まずは、お客様に「紹介したい」と思ってもらえるような工務店であるための土台を固めること。そして、制度の目的や特典を明確にし、お客様への周知徹底と、紹介発生時の対応フローを確立すること。さらに重要なのは、引き渡し後もお客様との関係性を維持・強化し、定期的なデータ分析に基づいて制度や運用方法を継続的に改善していくことです。

これらの具体的なアクションを実践することで、あなたの工務店には、信頼性の高い新規顧客が安定的に流入する仕組みが構築されます。これは広告費の削減に繋がり、成約率の向上によって売上向上を直接的に後押しします。そして何より、紹介の輪が広がることは、あなたの工務店が地域社会から高く評価されていることの証明であり、ブランド力向上に繋がります。これは短期的な増収だけでなく、工務店の持続的な成長にとって不可欠な要素です。

今日から、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。たとえば、「紹介ありがとうございます」の言葉をいつもより丁寧に伝えることからでも構いません。OB顧客向けのニュースレターを始めてみる、定期点検の際に紹介制度のパンフレットを渡してみるなど、できることから少しずつ取り組んでください。地道な努力が、必ずや信頼という名の紹介となり、あなたの工務店の未来の売上向上へと繋がっていくはずです。あなたの成功を心から応援しています。

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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。 今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」 ※8月実施予定。 住宅サイトの運営もしています。 福島県 喜多方市出身 県立会津高校卒 市立高崎経済大学卒 著書: 頼みたくなる住宅営業になれる本 https://x.gd/oatiM SDGsに取り組もう 建築業界編 https://x.gd/MXYJr とっておきの見込み客発掘法 https://x.gd/001or 主な講演: 鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」 リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト) 育英西中学校 その他住宅FCなど 活動実績 2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア 2020~ 木ッズ絵画コンクール
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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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