コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

職人不足を解消!工務店が実践すべき採用戦略

公開日: : 最終更新日:2025/06/20 工務店 経営

工務店を経営される皆様、日々の業務、お疲れ様です。今、多くの経営者が直面しているであろう深刻な課題——それは「人材不足」ではないでしょうか。特に、現場を支える熟練の職人や、若手育成につながる新しい人材の確保は、事業継続そのものを脅かす喫緊の課題となっています。求人を出しても応募がない、採用できてもすぐに辞めてしまう、といった声も少なくありません。この人材不足の波は今後さらに加速することが予想されており、従来のやり方では立ちゆかなくなる可能性が高いのが現状です。しかし、悲観ばかりする必要はありません。この厳しい時代だからこそ、効果的な「採用戦略」を立て、実践することが、他社との M&A を検討したり、事業規模を縮小したりといった選択肢を取る前に、自社の未来を切り拓く鍵となります。この記事では、あなたの工務店が人材不足という壁を打破し、新たな雇用の道を切り開くための、実践的で具体的な採用戦略をステップ形式でご紹介します。読み終える頃には、なぜ採用がうまくいかないのか、そして次に何をすべきなのかが明確になり、すぐにでも行動に移せるような具体的なヒントが得られるはずです。もう「人材不足だから仕方ない」と諦めるのは終わりにしましょう。この記事の内容を実践し、力強い組織を作り上げていきましょう。

採用戦略の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店における深刻な人材不足は、単に「人が来ない」という現象だけでなく、経営の根幹を揺るがす問題です。技術の継承が滞り、受注可能な仕事量が減少し、結果として収益の低下を招きます。しかし、多くの工務店が採用活動に頭を悩ませているのは、「戦略」に基づいたアプローチができていないからかもしれません。場当たり的な求人募集ではなく、腰を据えた採用戦略を立てることが、人材不足解消への第一歩となります。

ステップ1:なぜ「人材不足」なのか?原因の洗い出しと現状分析

まず、自社の「人材不足」が何に起因しているのかを深く掘り下げるところから始めます。漠然とした「人がいない」では、具体的な対策は打てません。

  • 量的な不足か、質的な不足か?必要な人数が足りないのか、特定のスキルや経験を持つ人材が不足しているのか?
  • 特定の職種に偏っているか?施工管理技士がいない、大工や左官といった職人が高齢化している、若い世代が入ってこないなど、具体的にどの層が不足しているのか?
  • 離職率が高いか?採用はできているが、すぐに辞めてしまう。もしそうであれば、採用以前に職場環境や条件に問題がある可能性があります。
  • 応募自体がないのか、選考に進まないのか?求人を出しても応募がないのか、応募はあっても面接に至らない、あるいは内定辞退が多いのか?

これらの問いに具体的に答えることで、自社の置かれている状況が明確になります。例えば、「若い職人が入ってこない」という場合は、その原因が「きつい仕事というイメージ」「給与が期待できない」「教育体制がない」といった点にある可能性を考えられます。

ステップ2:どんな人材が欲しいか?ターゲット層の明確化

次に、どのような人材を求めているのかを具体的に定義します。単に「人が欲しい」ではなく、「どんなスキル」「どんな経験」「どんな人物像」であれば、自社の力になってくれるのかを明確にします。

  • 必須スキル・経験:即戦力として求める技術や資格は何ですか?
  • 求める人物像:真面目さ、協調性、学ぶ意欲、体力など、自社の社風や仕事内容に合うのはどんな人ですか?将来の幹部候補となる人材を探しているのか、まずは現場の担い手を増やしたいのかによってもターゲットは変わります。
  • 潜在層へのアプローチ:未経験者や異業種からの転職者、女性、高齢者など、これまで工務店の採用ターゲットに含まれていなかった層にも目を向けるかどうか?

ターゲットが明確になれば、その人たちが「何を重視して仕事を探しているのか」「どんな情報に関心があるのか」を想像しやすくなり、今後の採用戦略の方向性が見えてきます。

ステップ3:どこで募集する?求人媒体の適切な選定と活用

ターゲット層が明確になったら、その人たちに情報が届きやすい求人媒体を選びます。

主な求人媒体とその特徴:

  • ハローワーク:無料。地域密着型で、特に地元での採用を目指すには有効です。ただし、情報の質やアピール力には限界があります。

    活用法:求人票は具体的に、仕事のやりがいや会社の雰囲気を伝える工夫を。相談窓口の担当者と良好な関係を築き、求人内容について詳しく説明してもらうのも手です。

  • Web求人サイト(indeed, 求人ボックスなど):多くの求職者が利用する主要媒体です。有料プランもありますが、無料掲載枠もあります。幅広い層にアプローチできますが、競合も多いのが特徴です。

    活用法:検索キーワードを意識した求人タイトルと、求職者の知りたい情報(給与、休日、待遇、福利厚生、教育体制、会社の雰囲気、先輩の声など)を網羅した丁寧な求人原稿が重要です。写真や動画を活用できる媒体もあります。

  • 業界特化型求人サイト:建設業界、建築業界に特化したサイトです。ターゲット層にピンポイントでアプローチできますが、一般層へのリーチは限られます。

    活用法:自社の専門性や強みをアピールするのに適しています。サイトの特性に合わせて、技術的な魅力や仕事のスケール感を打ち出すと良いでしょう。

  • 人材紹介会社:採用が決定した場合に成功報酬を支払う形式が多いです。求める人物像を伝え、それに合う人材を紹介してもらうことができます。高いスキルや経験を持つ即戦力を探す場合に有効です。

    活用法:担当者と密に連携し、自社の魅力や求める人物像を正確に伝えることが重要です。費用はかかりますが、採用の手間を省けるメリットがあります。

  • 自社ウェブサイト:会社の公式な情報発信の場であり、求職者が見る可能性が高い場所です。採用情報専用ページを充実させることが重要です。

    活用法:「社長からのメッセージ」「働く仲間」「一日の流れ」「教育体制」「福利厚生」など、求人サイトには載せきれない詳細な情報や会社の理念を伝えることで、共感した人材からの応募を促します。SEO対策も施し、検索エンジンからの流入を増やす工夫も必要です。

一つだけの媒体に依存せず、複数の媒体を組み合わせる「クロス媒体戦略」も効果的です。それぞれの媒体の特性を理解し、予算とターゲットに合わせて最適な組み合わせを検討しましょう。

ステップ4:応募したくなる!魅力的な求人票の作成

求人媒体を選んだら、いよいよ求人票(広告)を作成します。多くの求職者は、複数の求人票を比較検討します。その中で「この会社で働きたい」と思わせる魅力的な求人票を作成することが、人材不足解消の非常に重要な鍵となります。

チェックポイント:

  • 給与・待遇:相場と比較して見劣りしないか?昇給や賞与、各種手当(資格手当、通勤手当、家族手当など)を具体的に記載する。残業代の計算方法や支払い方法も明確に。
  • 休日・勤務時間:年間休日日数、週休二日制の導入状況、有給休暇の取得推進体制、残業時間の実態などを正直かつ魅力的に伝える。ワークライフバランスを重視する求職者も増えています。
  • 仕事内容:単なる業務の羅列ではなく、具体的なプロジェクト例、達成感、社会貢献性などを交えて、仕事の面白さややりがいを伝える。(例:「ただ家を建てるだけでなく、お客様の夢を形にする仕事です」「地図に残る地域のシンボルを創ります」など)
  • 働く環境・会社の雰囲気:年齢層、男女比、社員同士の仲の良さ、社内イベントの有無など、働く上での「人間関係」や「雰囲気」は非常に重視されます。事務所や現場の写真を掲載するのも有効です。
  • 教育体制・キャリアパス:未経験者でも安心できる研修制度や、資格取得支援制度、経験者向けのスキルアップ支援など、成長できる環境があることを伝える。将来的にどうなれるのか(例:職長、施工管理技士、独立など)を示すことも重要です。
  • 福利厚生:社会保険完備はもちろん、退職金制度、健康診断、社員旅行、リフレッシュ休暇など、一般的なものから独自の制度まで具体的に記載する。
  • 求める人物像:「元気な方」といった漠然とした表現ではなく、「チームワークを大切にできる方」「ものづくりに情熱を持てる方」「未経験から手に職をつけたい方」など、どんな人に来てほしいかを具体的に伝えることで、応募者も自分がマッチするか判断しやすくなります。
  • アピールポイント:自社のこだわり(例:自然素材を使った家づくり、耐震性に強み、デザイン性重視など)や、地域での評判、受賞歴など、他社との差別化ポイントを明確にアピールします。

さらに、求人票には「応募方法」「選考プロセス」「問い合わせ先」を分かりやすく記載します。応募へのハードルをできるだけ下げる工夫も重要です(例:Web応募フォーム、電話応募受付など)。

Q&A:採用媒体に関するよくある疑問

Q: ハローワークだけで採用活動するのは古い?
A: いいえ、地域によっては依然として有力な媒体です。特に地元の信頼性を重視する求職者層には有効ですが、若年層や広範囲からの応募を狙う場合は、Web媒体との併用が不可欠です。ハローワークの専門職員に相談し、求人票の作成アドバイスを受けることもおすすめです。

Q: Web求人サイトはたくさんあってどれを選べばいい?
A: まずは「無料掲載ができるか」「工務店や建設業界の求人が多いか」「ターゲットとする年齢層の利用者が多いか」などを基準に比較検討します。無料枠で試してみて、効果が見られそうなら有料プランを検討したり、複数のサイトの無料枠を組み合わせてみるのが現実的です。掲載だけでなく、スカウト機能などがあるかも確認しましょう。

人材不足×採用戦略:成果を最大化する具体的な取り組み

人材不足を解消するためには、単に募集をかけるだけでなく、採用プロセス全体を見直し、応募者が「応募したい」「入社したい」と思えるような具体的な取り組みが必要です。ここでは、採用活動の成果を最大化するための、より実践的な採用戦略に焦点を当てます。

ステップ5:応募者を逃さない!迅速かつ丁寧な選考プロセスの構築

応募があったのに連絡が遅い、選考プロセスが不明確といった対応は、求職者の意欲を削ぎ、内定辞退につながります。スピード感と丁寧さが非常に重要です。

  • 応募確認の連絡:応募を受け付けたら、できるだけ早く(できれば当日~翌営業日中に)応募を受け付けた旨と、今後の選考スケジュールをメールや電話で伝えます。
  • 書類選考:基準を明確にし、通過者・不通過者への連絡を迅速に行います。不通過者への連絡も、丁寧な対応を心がけましょう。
  • 面接設定:候補者の都合をできるだけ考慮し、複数の日程を提示するなど柔軟に対応します。面接場所や時間、持ち物などを明確に伝えます。
  • 面接の実施:限られた時間で候補者のスキルや人柄を見極めます。一方で、候補者からの質問にも丁寧に答え、会社の魅力を伝える機会でもあります。後述する面接のポイントも参考にしてください。
  • 選考結果の連絡:合否に関わらず、結果は速やかに伝えます。内定者には、あらためて入社条件や入社までのスケジュールなどを丁寧に説明します。

応募者一人一人に真摯に向き合う姿勢は、会社の信頼度を高め、入社後のエンゲージメントにも影響します。不採用者でも、将来的に別の機会での応募を検討したり、会社の良い評判を広めたりしてくれる可能性があります。

ステップ6:面接力を高める!見極めと魅力伝えの技術

面接は、候補者の能力や人柄を見極めるだけでなく、自社の魅力を直接伝え、候補者の入社意欲を高めるための重要な機会です。面接官の対応一つで、候補者の印象は大きく変わります。

  • 面接官の準備:求人票の内容を熟知し、自社の事業内容、今後の展望、仕事のやりがいなどを自分の言葉で語れるように準備します。候補者の履歴書や職務経歴書は事前にしっかり読み込みます。
  • 質問のポイント:
    • スキル・経験:これまでの職務経験やスキルについて、具体的なエピソードを交えながら深掘りします。(例:「これまでに一番苦労した現場は?それをどう乗り越えましたか?」「どのような工法や技術の経験がありますか?」)
    • 志望動機:なぜ他の会社ではなく、自社を選んだのか。自社のどこに魅力を感じたのか。(例:「なぜ工務店で働きたいのですか?」「当社の建築事例を見てどう感じましたか?」)
    • 人物像・価値観:仕事に対する考え方、チームワーク、コミュニケーション能力、学ぶ意欲などを見極めます。(例:「仕事で最も大切にしていることは?」「チームで働く上で心がけていることは?」)
    • キャリアプラン:将来、どのような職人や技術者になりたいか、自社でどのように成長したいと考えているか。(例:「5年後、10年後、どんな自分になっていたいですか?」「当社で挑戦してみたいことは?」)
  • 逆質問の奨励:候補者からの質問は、その人の意欲や関心を知る手がかりになります。「何か質問はありますか?」と積極的に問いかけ、どんな質問にも丁寧に答える姿勢を見せます。
  • 会社の魅力を伝える:面接時間の半分は、候補者からの質問に答える、あるいは会社側から自社の強みや働く魅力を伝える時間に充てるくらいの意識が重要です。「仕事のやりがい」「アットホームな雰囲気」「スキルアップできる環境」「社長や先輩の人柄」など、求人票だけでは伝わりにくい「生きた情報」を伝えます。

可能であれば、複数の社員が面接官を務めたり、現場責任者や先輩社員との面談の機会を設けたりすることで、候補者も入社後のイメージをしやすくなります。

ステップ7:知人・社員紹介は強力な採用チャネル!リファラル採用の推進

社員やOB・OG、日頃取引のある業者からの紹介は、非常に質の高い採用につながる可能性が高いチャネルです。お互いをよく知る間柄からの紹介なので、ミスマッチが起こりにくいうえ、入社後の定着率も高い傾向にあります。人材不足に悩む今、リファラル採用は積極的に推進したい採用戦略の一つです。

  • 制度の構築:紹介に対する報奨金制度を設けるなど、社員が積極的に紹介したくなるような仕組みを作ります。報奨金は、紹介してくれた時、面接が決まった時、採用が決定した時、さらに一定期間在籍した場合、といった段階に応じて設計できます。
  • 社内への周知:リファラル採用制度があること、どんな人材を求めているかを社内全体に明確に伝えます。求めている人物像やスキルを具体的に共有することで、社員も紹介しやすくなります。
  • 紹介者のフォロー:紹介してくれた社員や知人には、選考状況などを定期的に伝え、丁寧な対応を心がけます。
  • 紹介者への感謝:たとえ採用に至らなくても、紹介してくれたことへの感謝を伝え、今後も協力をお願いできるような関係性を維持することが大切です。

社員が自信を持って「この会社で働くのはいいよ」と紹介できるような職場環境づくりが、リファラル採用成功の土台となります。

ステップ8:工務店の強みをアピール!Web・SNSを活用したブランディング

今や、求職者の多くは応募を検討する前に、企業のホームページやSNSをチェックします。自社の魅力を発信し、会社としての「ブランドイメージ」を高めることは、優秀な人材を引きつける強力な採用戦略となります。

  • 自社ウェブサイトの充実:「採用情報」ページを特に充実させます。先輩社員のインタビュー記事、入社後のキャリアパス、仕事風景の写真や動画、社長のメッセージなどを掲載します。会社の理念やこだわり、地域への貢献活動なども伝えることで、共感を呼びます。
  • SNS(Facebook, Instagram, Twitter, YouTubeなど)の活用:
    • 現場の風景を発信:完成した建物の写真だけでなく、施工中の様子、職人の手仕事、安全対策の取り組みなど、現場で働く「リアル」な情報を発信します。
    • 社員紹介:顔写真付きで先輩社員を紹介し、仕事内容ややりがい、会社の好きなところなどを語ってもらいます。親近感が湧き、働くイメージが湧きやすくなります。
    • イベント情報:完成見学会や地鎮祭、社員旅行など、会社のイベント情報を発信し、アットホームな雰囲気を伝えます。
    • 情報発信の継続:定期的に情報を更新し、常に会社の「生きた」姿を見せる努力が必要です。
  • ブログ・コラム:建築ノウハウや、家づくりのこだわり、地域への想いなどを発信するブログは、求職者だけでなく顧客にも会社の信頼性をアピールできます。

こうした情報発信は、単なる求人活動を超え、顧客からの信頼獲得や地域での評判向上にもつながり、結果として「あの会社で働きたい」という採用力の強化につながります。

Q&A:採用活動の実践に関するよくある疑問

Q: 面接で候補者の本音を聞き出すには?
A: 緊張をほぐすアイスブレイクから始め、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。一方的な質問攻めではなく、対話形式で進めます。具体的なエピソードを聞く質問(例:「これまでで一番〇〇だった経験は?」)は、抽象的な質問よりもリアルな回答を引き出しやすいです。また、なぜ転職を考えているのか、どんな不満があったのかといった、ネガティブな内容も正直に話せるような信頼関係の構築に努めます。

Q: SNSで何をアピールすればいい?
A: 求職者が知りたいのは「どんな人たちが働いているか」「どんな雰囲気か」「どんな仕事をしているか」の3点です。現場の進捗状況や完成写真だけでなく、休憩中の談笑風景、掃除を徹底している様子、安全帯の確認風景など、普段着の仕事風景や社員の人柄が伝わるコンテンツが効果的です。「かっこいい写真」だけでなく「親近感のある写真」も重要です。

Q: 未経験者を採用するのはリスクが高い?
A: 短期的には育成コストがかかるリスクはあります。しかし、新しい価値観や柔軟性をもたらし、長期的な視点では自社の色に染まりやすいというメリットもあります。重要なのは、未経験者向けの教育体制が整っているか、本人の学ぶ意欲があるかを見極めることです。補助金や助成金を活用できる場合もあります。

人材不足を継続的に成功させるための「次の一手」

せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまうようでは、いつまで経っても人材不足は解消されません。採用活動は入り口に過ぎず、入社後の育成・定着、そして既存社員の満足度向上と組織全体の魅力アップが、人材不足を継続的に克服するための「次の一手」となります。

ステップ9:採用後の成功を左右する!丁寧なオンボーディングと育成計画

入社したばかりの新入社員は、新しい環境への不安を抱えています。特に工務店の現場は、独自のルールや雰囲気が strong>人材不足解消には、採用だけでなく定着が重要です。丁寧なフォローと具体的な育成計画が不可欠です。

  • 入社初日・初週のフォロー:歓迎する雰囲気を作り、オリエンテーションで会社の基本ルール、安全管理、施設の案内などを丁寧に行います。自己紹介の機会を設け、他の社員とのコミュニケーションを円滑にします。
  • メンター制度・ブラザーシスター制度:経験豊富な先輩社員が新人につき、仕事の進め方や職場の慣習を教えたり、気軽に相談に乗ったりする制度は、新人の不安を軽減し、早期の戦力化・定着を促します。
  • 育成計画の策定:新入社員の現在のスキルレベルや経験、将来の目標などをヒアリングし、数ヶ月~数年先を見据えた具体的な育成計画を立てます。どんなスキルを習得すべきか、受けるべき外部研修や資格取得支援制度がある場合はそれを活用する計画なども盛り込みます。
  • 定期的な面談:入社後1週間、1ヶ月、3ヶ月など、定期的に上司や担当者との面談を実施します。仕事の進捗状況、困っていること、不安に感じていることなどをヒアリングし、必要に応じてフォローやアドバイスを行います。
  • 安全教育の徹底:工務店の仕事において、安全は何よりも重要です。入社後の安全教育は徹底して行い、現場での危険予知や安全確認の習慣を身につけさせます。

特に未経験者の場合、最初の数ヶ月間の立ち上がりをいかにサポートできるかが、定着率に大きく影響します。焦らず、着実にステップアップできるようなサポートが必要です。

ステップ10:辞めない会社に!既存社員の満足度向上と定着率アップ

人材不足の根本的な解決には、新しい人材を採用するだけでなく、今いる社員が長く働きたいと思える会社を作ることが不可欠です。定着率の高い会社は、自然と良い評判が広がり、新たな採用にも有利に働きます。

  • 公正な評価制度の導入・運用:社員の頑張りや成果を正当に評価し、給与や賞与、昇進に反映させる仕組みを構築します。評価基準を明確にし、フィードバックを定期的に行うことで、社員のモチベーションを高めます。年功序列から成果や貢献度を重視する評価への転換も検討する価値があります。
  • キャリアパスの提示:将来、どのような職種やポジションにステップアップできるのか、どんなスキルを身につければ良いのかといった、具体的なキャリアパスを提示します。自身の将来像を描けることで、働くモチベーションが維持されます。資格取得支援制度や研修制度の充実も重要です。
  • コミュニケーションの促進:社長や役員と社員の間の風通しを良くし、意見交換しやすい環境を作ります。定期的なミーティングだけでなく、ランチ会やレクリエーションなど、非公式なコミュニケーションの場も有効です。社内報やSNSを使った情報共有も効果的です。
  • エンゲージメントの測定:社員満足度調査やエンゲージメント調査を実施し、社員が会社に対してどのような感情を抱いているか、どんな点に不満や改善要望があるかを把握します。結果を真摯に受け止め、改善に繋げる姿勢が重要です。

特に、工務店の現場では、職人同士、あるいは現場と事務職の間の人間関係が働きやすさに大きく影響します。良好な人間関係を築けるような取り組み(懇親会、社員旅行など)も、定着率向上に貢献します。

ステップ11:新しい働き方・技術の導入で「人材不足」を乗り越える

従来の働き方や常識にとらわれず、新しい技術や制度、外部リソースの活用を検討することも、人材不足時代を生き抜く重要な戦略です。

  • 省力化・効率化技術の導入:ドローンを使った測量、CAD/CAMの活用、BIM(Building Information Modeling)導入による現場管理の効率化など、テクノロジーを活用することで一人当たりの生産性を向上させ、必要な人員数を削減できる可能性があります。ロボットやAIによる自動化も、将来的には検討の余地があるかもしれません。
  • フレキシブルな働き方の導入:勤務時間や休日取得に関して、可能な範囲で柔軟性を持たせることを検討します。育児や介護との両立支援、副業・兼業の許可なども、多様な人材を確保し、既存社員の離職を防ぐ施策となり得ます。テレワークは難しい職種が多いですが、設計や積算、事務職などでは導入の可能性を探れます。
  • 外部リソースの活用:
    • BPO(業務プロセスアウトソーシング):経理、人事、総務などの間接部門の業務を外部委託することで、社員は本来の業務に集中でき、限られた人員を有効活用できます。
    • 外国人材の活用:技能実習制度や特定技能制度などを活用し、外国人材を受け入れることも選択肢の一つです。言葉や文化の壁があるので、受け入れ体制の整備(教育、生活支援、コミュニケーション支援など)が非常に重要です。
    • 副業・兼業人材、フリーランスとの連携:特定の専門スキルを持つ人材を業務委託で活用することで、必要な時に必要なスキルを補うことができます。
  • 異業種からの転職者育成:建設業界とは全く異なる業界で培われたコミュニケーション能力やマネジメント能力を持つ人材など、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に受け入れ、育成する仕組みを作ります。

自社の強みと弱みを踏まえ、どのような「新しい一手」が効果的か検討し、実行に移すことで、人材不足をチャンスに変えることができます。

Q&A:定着・育成に関するよくある疑問

Q: 未経験者をどうやって育てればいい?
A: 座学だけでなく、OJT(On-the-Job Training)中心の実地研修が効果的です。まずは簡単な作業から任せ、徐々にスキルレベルを上げていきます。一人で抱え込まず、いつでも質問できる雰囲気を作り、成功体験を積ませることが重要です。可能であれば、同じ年代の既存社員をメンターに付けると、精神的な支えにもなります。

Q: 社員のモチベーション維持が難しい…
A: モチベーションの源泉は人によって異なります。給与や役職だけでなく、仕事の達成感、成長実感、良好な人間関係、会社への貢献意識など、様々な要素が関わります。個々の社員と定期的に面談を行い、何を重視しているのか、どんなことに悩んでいるのかを把握し、それに対するサポートや機会提供を行うことが重要です。また、会社の目標やビジョンを共有し、自分がその中でどのような役割を果たしているのかを理解してもらうことも、モチベーション向上につながります。

Q: 外国人材の受け入れで注意することは?
A: 日本語教育や日本の生活習慣に関するサポートは必須です。社内に日本語が堪能な社員がいれば助かりますが、専門の支援機関を活用することも検討しましょう。文化や宗教の違いへの理解、ハラスメントの防止、適切な労働条件の提供など、人権に配慮した体制づくりが求められます。単なる働き手としてではなく、共に働く仲間として迎え入れる姿勢が最も重要です。

まとめ

工務店経営における人材不足は、単なる悩みではなく、経営そのものを左右する喫緊の課題です。しかし、この記事でご紹介したように、現状分析に基づいた計画的な採用戦略を立て、実行していくことで、この壁を乗り越えることは十分に可能です。求人媒体の選定から魅力的な求人票作成、迅速で丁寧な選考プロセス、リファラル採用やSNSによる情報発信といった入口の戦略に加え、入社後の丁寧な育成、既存社員の定着率向上、そして新しい技術や働き方の導入といった組織全体の改革が、持続的な人材確保の鍵となります。採用と育成、定着は切り離せない一体の戦略です。今日、ご紹介した具体的なステップは、決して簡単な道のりではないかもしれません。しかし、一つずつ着実に取り組むことで、必ず貴社の採用力は強化され、優秀な人材が自然と集まる魅力的な工務店へと変わっていくはずです。人材不足を嘆くのではなく、これを機に積極的に採用戦略を見直し、実行に移しましょう。貴社の未来のために、最初の一歩を踏み出す勇気を持ち、共に成長してくれる仲間との出会いを実現させてください。応援しています!

プロフィール画像

この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

工務店 経営 建設業の就業者上昇中 総務省調べ

2023/11/07 |

2023年9月の労働力調査(基本集計)の結果が発表されました。 全体の就業者数は678...

記事を読む

「子育てエコホーム支援事業」について

2023/12/01 |

国土交通省は、11月10日に閣議決定した、 子育て・若者夫婦世帯向けの新事業 「...

記事を読む

no image

工務店 経営 土地なし客とリノベーション

2022/05/27 |

こんにちは一社)コミュニティビルダー協会の浄法寺です。 急に真夏日で暑くなってきましたね! ...

記事を読む

最高の顧客体験を!工務店の売上UPに繋がる接客術

2025/06/20 |

工務店経営者の皆様、日々のお客様対応、現場管理、資金繰り、そして何よりも「どうすればもっと売上を向上...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑