安心の住まいづくり!高齢者に優しい段差解消リフォームの全知識
公開日: : 家づくりのお役立ち情報
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家族が安心して暮らせる住まいは、段差や階段の不安とは無縁であるべきです。特に高齢の家族と同居している方や、将来の自分たちの老後を見据えた住宅計画を立てている方にとって、段差解消のリフォームは重要な検討事項です。しかし、「どのような改修が必要なのか」「費用はどれくらいかかるのか」「利用できる補助金はあるのか」など、疑問は尽きないものです。本記事では、初めてマイホームを計画中の子育て世代の方々に向けて、高齢者にも住みやすい段差解消リフォームについて、基礎知識から具体的な方法、活用できる補助金制度まで詳しく解説します。家族全員が安全に、そして将来も安心して暮らせる住まいづくりのヒントを見つけてください。
目次
バリアフリーリフォームが必要な理由と基本知識
段差解消リフォームの具体的な方法と費用
バリアフリー改修で活用できる補助金・助成金制度
まとめ:安心の住まいづくりは段差解消から始まる
バリアフリーリフォームが必要な理由と基本知識
「わが家に段差解消リフォームは必要なの?」このような疑問を持つ方は少なくありません。特に若いご家族では、「まだ先の話」と思われるかもしれませんが、実はそうとも言い切れないのです。
なぜ今、段差解消を考える必要があるのか
現在の日本の住宅事情を見ると、高度経済成長期に建てられた住宅が多く、段差の多い伝統的な和風住宅や、スペースを有効活用するための2階・3階建ての住宅が一般的です。厚生労働省の調査によれば、家庭内での事故による救急搬送の約7割が高齢者であり、そのうちの約4割が「つまずき・転倒」によるものだとされています。
また、家族構成やライフスタイルは時間とともに変化します。現在は元気な若い家族でも、いずれは年齢を重ね、身体機能の低下に直面することになります。子どもたちが巣立った後も長く安心して暮らせる住まいにするためには、先を見据えた住環境の整備が必要なのです。
さらには、突然の怪我や病気によって、一時的に車椅子生活を余儀なくされることもあります。そのような不測の事態に備え、あらかじめバリアフリー対応の住環境を整えておくことは、家族全員の安全を守ることにつながります。
バリアフリーリフォームの基本的な考え方
バリアフリーリフォームを検討する際には、以下の3つの視点が重要です。
1. 安全性の確保 階段や玄関の段差、浴室と脱衣所の段差など、転倒リスクの高い場所を重点的に改修します。手すりの設置や滑りにくい床材の選択も安全対策として効果的です。
2. 使いやすさの向上 日常生活での動作をスムーズにするための工夫が必要です。例えば、ドアの開閉を容易にする引き戸への変更や、車椅子でも使いやすいキッチンの高さ調整などが挙げられます。
3. 将来への対応力 現在の家族構成や身体状況だけでなく、10年後、20年後の変化を見据えた設計が重要です。例えば、将来的に1階での生活が完結できるよう、水回りを1階に集約するなどの工夫が考えられます。
段差解消が特に重要な場所
住宅内で段差解消が特に重要な場所は以下の通りです。
玄関アプローチと上がり框(かまち): 玄関は外部と内部をつなぐ重要な場所であり、多くの住宅で15〜20cmほどの上がり框があります。これは雨水の侵入を防ぐ目的もありますが、高齢者にとっては大きな障害となります。スロープの設置や、緩やかな段差に改修することで安全性が高まります。
室内の床の段差: 和室と洋室の間や、廊下と居室の間など、わずか2〜3cmの段差でも転倒リスクになります。これらの段差をなくし、フラットな床面にすることで、高齢者だけでなく小さなお子さんやペットにとっても安全な環境になります。
浴室と脱衣所の段差: 特に注意が必要なのが浴室周りです。濡れた状態で移動するため、小さな段差でも転倒リスクは高まります。バリアフリー設計では、この段差をできるだけ小さくし、必要に応じて手すりも設置します。
階段: 2階建て以上の住宅では、階段の安全対策も重要です。手すりの設置や、階段の傾斜角度の見直し、段板の幅や高さの調整などが考えられます。また、将来的には階段昇降機の設置スペースを確保しておくことも視野に入れておくと良いでしょう。
このように、段差解消リフォームは家族全員の安全を守るだけでなく、将来の変化にも対応できる住まいづくりの基本となります。次のセクションでは、より具体的な改修方法と、その費用相場について解説します。
段差解消リフォームの具体的な方法と費用
段差解消リフォームには様々な方法があり、住宅の状況や家族のニーズに合わせて最適な選択をすることが大切です。ここでは、代表的な段差解消リフォームの方法と、それぞれの費用相場をご紹介します。
玄関まわりの段差解消方法
1. スロープの設置 玄関アプローチや上がり框の段差解消には、スロープの設置が一般的です。スロープの勾配は1/12(高さ1cmに対して長さ12cm)が理想的とされていますが、スペースの制約などにより1/8程度になることもあります。
・固定式コンクリートスロープ:15万円〜30万円 ・アルミ製可動式スロープ:5万円〜15万円 ・木製スロープ:10万円〜20万円
2. 式台(せきだい)の設置 上がり框の中間に小さな踏み台(式台)を設けることで、一度に上る高さを半分にする方法です。玄関スペースが限られている場合に有効です。
・木製式台:3万円〜8万円 ・石材式台:5万円〜12万円
3. くつずりの段差解消 玄関の上がり框と土間の間にある「くつずり」の段差を低くする、または傾斜をつける改修も効果的です。
・くつずり改修:5万円〜10万円
室内の段差解消方法
1. フロアの高さ調整 和室と洋室の間などにある段差は、床の高さを合わせることで解消できます。下がっている方の床をかさ上げするか、高い方の床を下げるかの2通りの方法があります。
・床のかさ上げ工事:1畳あたり3万円〜5万円 ・床を下げる工事:1畳あたり5万円〜8万円
2. スロープ状の傾斜をつける 床の高さ調整が難しい場合は、段差部分に緩やかな傾斜をつける方法もあります。
・室内スロープ設置:5万円〜15万円
3. 敷居の撤去・改修 引き戸の下にある敷居も小さな段差となります。フラットレールタイプの引き戸に交換したり、敷居の高さを床面と同じにしたりする改修が有効です。
・引き戸レール交換:1箇所あたり2万円〜5万円 ・敷居改修:1箇所あたり1万円〜3万円
浴室まわりの段差解消方法
1. ユニットバスへの交換 在来工法の浴室からバリアフリー対応のユニットバスに交換することで、段差を最小限に抑えることができます。最新のユニットバスは浴室と脱衣所の段差が2cm程度に抑えられているものもあります。
・バリアフリー対応ユニットバス交換:80万円〜150万円
2. 浴室床のかさ上げ 既存の浴室を活かしながら床をかさ上げする方法もあります。ただし、防水処理や排水勾配の確保など専門的な工事が必要です。
・浴室床かさ上げ工事:30万円〜60万円
3. 浴室用すのこの活用 簡易的な方法として、浴室用の樹脂製すのこを活用する方法もあります。ただし、これは転倒防止という観点では完全な解決策にはならない場合があります。
・樹脂製すのこ:1万円〜3万円
階段の安全対策
1. 手すりの設置 階段に手すりを設置することは、最も基本的かつ効果的な安全対策です。可能であれば両側に設置するとより安全です。
・階段手すり設置:1mあたり1万円〜2万円(材質により異なる)
2. 階段の改修 階段の勾配がきつい場合は、階段自体を緩やかな勾配に改修することも検討できます。ただし、大規模な工事になる場合があります。
・階段改修工事:50万円〜150万円
3. 階段昇降機の設置 将来的に階段の上り下りが困難になった場合に備えて、階段昇降機を設置するためのスペースや電源の確保を検討しておくと良いでしょう。
・階段昇降機設置:35万円〜80万円
段差解消リフォームの費用を抑えるコツ
段差解消リフォームは、工事の規模や方法によって費用が大きく変わります。以下のポイントを参考に、費用対効果の高いリフォームを計画しましょう。
1. 優先順位をつける すべての段差を一度に解消するのではなく、特に危険性の高い場所から順に改修していくことで、初期費用を抑えることができます。
2. 将来を見据えた設計にする 「今すぐ必要な改修」と「将来的に必要になる可能性がある改修」を分けて考え、段階的なリフォーム計画を立てることも一つの方法です。
3. 他のリフォームと同時に行う 床の張り替えや水回りのリフォームなど、他の工事と同時に段差解消工事を行うことで、工事費用を効率的に抑えることができます。
4. 補助金・助成金を活用する 次のセクションで詳しく解説しますが、バリアフリーリフォームには様々な補助金や助成金制度があります。これらを上手に活用することで、自己負担額を軽減できる可能性があります。
段差解消リフォームは、家族の安全と将来の安心のための投資と考えることが大切です。次のセクションでは、このようなリフォームを検討する際に活用できる公的支援制度について詳しく見ていきましょう。
バリアフリー改修で活用できる補助金・助成金制度
段差解消リフォームには一定の費用がかかりますが、さまざまな公的支援制度を活用することで、経済的な負担を軽減することができます。ここでは、バリアフリー改修に活用できる主な補助金・助成金制度と、その申請方法について解説します。
介護保険による住宅改修費支給制度
制度の概要 要支援・要介護認定を受けている方が対象で、段差解消や手すりの設置などの住宅改修に対して、最大20万円までの改修費用の9割(所得に応じて7割〜8割)が支給されます。
対象となる工事 ・手すりの取り付け ・段差の解消 ・滑りにくい床材への変更 ・引き戸などへの扉の取り替え ・和式便器から洋式便器への取り替え ・上記に付帯して必要となる工事
申請の流れ
- ケアマネジャーなどに相談し、住宅改修が必要であることの理由書を作成してもらう
- 工事業者から見積もりを取る
- 必要書類を揃えて市区町村の介護保険課に申請する
- 事前申請が承認されたら工事を実施する
- 工事完了後、領収書などを添えて支給申請を行う
注意点 ・原則として事前申請が必要です ・支給限度額は利用者一人につき生涯で20万円までとなります(ただし、要介護度が3段階以上上がった場合などには再度利用可能な場合があります) ・同一住宅に複数の要介護者がいる場合、それぞれが別々に申請できます
高齢者等住宅改造助成事業
制度の概要 各自治体が独自に実施している助成制度で、介護保険の住宅改修費支給制度を補完する形で利用できます。自治体によって名称、内容、助成額などが異なります。
一般的な対象工事 ・浴室、トイレ、玄関などのバリアフリー改修 ・段差解消 ・手すりの設置 ・床材の変更 ・その他高齢者や障害者が安全に生活するために必要な改修工事
助成額の例 ・工事費用の一部(30%〜90%)を助成 ・上限額は20万円〜100万円程度(自治体により大きく異なる)
対象者の条件(一般的な例) ・65歳以上の高齢者または障害者がいる世帯 ・自己所有の住宅に居住している(賃貸住宅の場合は家主の同意が必要) ・世帯の所得が一定基準以下である
申請方法 各自治体の高齢福祉課や障害福祉課などに問い合わせて、具体的な助成内容や申請方法を確認することが必要です。
住宅金融支援機構のバリアフリーリフォーム融資
制度の概要 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提供する、バリアフリーリフォームのための低金利融資制度です。補助金ではなく融資ですが、一般的な金融機関よりも有利な条件で資金を借りることができます。
融資の条件 ・バリアフリー工事を含むリフォームであること ・融資限度額:1,500万円(住宅部分の工事費用の80%が上限) ・返済期間:1年以上20年以内 ・金利:固定金利(優遇金利が適用される場合あり)
申請方法 住宅金融支援機構のウェブサイトから申し込み方法を確認し、指定の金融機関を通じて申し込みを行います。
リフォーム減税(バリアフリー改修促進税制)
制度の概要 一定のバリアフリー改修工事を行った場合、所得税の控除または固定資産税の減額を受けることができる制度です。
所得税の特例 ・控除額:バリアフリー改修工事費用の10%(上限20万円) ・適用要件:65歳以上の方または要介護・要支援認定を受けている方が居住する住宅であること、など
固定資産税の減額 ・減額内容:改修工事完了年の翌年分の固定資産税が1/3減額(上限100㎡相当分まで) ・適用要件:新築から10年以上経過した住宅であること、改修費用が50万円を超えること、など
申請方法 ・所得税控除:確定申告時に必要書類を添付して申告 ・固定資産税減額:工事完了後3ヶ月以内に市区町村の税務課に申請
補助金・助成金を上手に活用するポイント
1. 早めの情報収集が大切 補助金や助成金は年度ごとに予算が設定されており、予算枠に達すると受付終了となる場合があります。また、申請から承認までに時間がかかることも多いため、リフォームを検討し始めたら早めに情報収集を始めましょう。
2. 複数の制度を組み合わせる 例えば、介護保険の住宅改修費支給と自治体の独自助成、さらにリフォーム減税を組み合わせることで、より大きな負担軽減が期待できます。それぞれの制度の併用条件を確認しましょう。
3. 専門家や窓口に相談する 制度の内容や申請方法は複雑なことが多いため、ケアマネジャーや自治体の担当窓口、リフォーム会社の担当者など、専門家に相談することをおすすめします。
4. 工事前の申請を忘れずに 多くの補助金・助成金制度は、工事着工前の事前申請が必要です。申請が承認されてから工事を始める必要があるため、スケジュール管理には注意しましょう。
まとめ:安心の住まいづくりは段差解消から始まる
本記事では、高齢者にも住みやすい段差解消リフォームについて、その必要性から具体的な方法、活用できる補助金制度まで幅広く解説してきました。
段差解消リフォームは、今すぐに高齢者が同居していなくても、将来を見据えた住まいづくりの基本となります。特に、新しくマイホームを計画している子育て世代の方は、子どもたちが巣立った後も長く安心して暮らせる住環境を整えることが大切です。
ポイントをまとめると:
- 段差解消リフォームは家族全員の安全を守るためのもの
- 玄関、室内の床、浴室、階段など、場所に応じた適切な段差解消方法を選ぶことが重要
- 工事の規模や方法によって費用は大きく異なるため、優先順位をつけることが大切
- 介護保険や自治体の助成金、リフォーム減税など、複数の支援制度を上手に組み合わせることで負担を軽減できる
段差解消リフォームは、単に「バリアフリー」というだけでなく、家族全員が快適に安心して暮らせる住まいづくりの第一歩です。将来のことを考えるとつい後回しにしがちですが、家族の安全と健康を守るための大切な投資と捉え、計画的に取り組んでいきましょう。
専門家に相談しながら、自分たちの家族構成やライフスタイル、予算に合った最適なリフォームプランを立てることで、長く住み続けられる安心の住まいを実現できるはずです。
ハウジングバザール運営アカウントです。
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