実家を相続したい方へ。空き家にしないための選択肢とベストなタイミングを考える
公開日: : 家づくりのお役立ち情報
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親から実家を相続する予定だけれど、自分や子どもが住む予定がない。そんなケースは少なくありません。しかし、何も考えずに相続してしまうと、空き家問題や維持管理の負担、税金の問題など様々な課題が生じることがあります。この記事では、「子どもが住む予定のない実家」を相続する際の選択肢や考えるべきポイント、売却のタイミングなどを解説します。マイホーム計画を検討中の方にとって、将来の相続問題を事前に考えておくことは非常に重要です。親世代の家をどうするかという問題は、いつか必ず向き合うことになるテーマかもしれません。
目次
実家の相続問題とは?よくあるケースと課題
相続した実家の活用方法5つの選択肢
実家を売却するベストなタイミングと注意点
まとめ:将来を見据えた実家の相続対策
実家の相続問題とは?よくあるケースと課題
「いつか親の実家を相続することになるけれど、自分たちは別の場所に家を建てるつもり」「子どもたちは地方の実家に戻る予定がない」というケースは、現代の日本では珍しくありません。
特に都市部で生活基盤を築いている方にとって、地方にある親の家に移り住むというのは現実的ではないことが多いでしょう。国土交通省の調査によれば、相続した実家に住む予定がないという回答は全体の約60%にのぼります。核家族化や地方から都市部への人口移動により、先祖代々の家に住み続けるという伝統的な形が変化してきているのです。
実家の相続で直面する主な課題は以下の通りです:
空き家問題
相続した家に誰も住まなくなると「空き家」となります。総務省の統計では、日本の空き家率は2018年時点で13.6%に達し、その数は約849万戸。このうち相続を契機に空き家となったものは約30%を占めると言われています。空き家は防犯・防災面でのリスクがあるだけでなく、近隣トラブルの原因にもなります。
維持管理の負担
離れた場所にある実家を維持管理するのは想像以上に大変です。定期的な清掃や修繕、庭の手入れなど、遠方から通うことを考えると時間的・金銭的コストがかかります。特に雪国では、冬場の雪下ろしなど季節ごとの対応も必要になります。
税金の問題
相続した不動産には固定資産税や都市計画税がかかります。さらに、相続後に売却する場合、取得費が不明確だと譲渡所得税の負担が大きくなる可能性があります。一方、相続前に売却すれば、親の代で譲渡所得の3,000万円特別控除が使える可能性があるというメリットもあります。
兄弟姉妹との調整
複数の相続人がいる場合、実家の扱いについて意見が分かれることもあります。「売りたい」「貸したい」「リフォームして使いたい」など、考え方の違いから相続トラブルに発展するケースも少なくありません。
住宅金融支援機構の調査では、相続に関する家族間の話し合いが「全くない」という回答が約40%もあり、事前の準備不足が後々のトラブルの原因になることが指摘されています。
感情的な葛藤
長年家族が暮らした家には思い出が詰まっています。「親が大切にしてきた家だから簡単に手放せない」という心理的な抵抗感を持つ方も多いでしょう。しかし、感情だけで判断すると、結果的に管理されない空き家を増やすことになりかねません。
実家の相続問題は、単に不動産の問題ではなく、家族の思い出や将来設計、経済的な側面など複合的な要素が絡み合う難しい問題です。次のセクションでは、相続した実家をどのように活用できるのか、具体的な選択肢を見ていきましょう。
相続した実家の活用方法5つの選択肢
子どもが住む予定のない実家を相続した場合、どのような選択肢があるのでしょうか。ここでは実家相続問題の解決策として、5つの活用方法をご紹介します。
1. 売却する
最もすっきりとした解決策は売却です。不要な不動産を持ち続けることによる負担や将来的なリスクを考えると、思い切って売却するという選択は理にかなっています。売却のメリットは以下の通りです:
• 維持管理の負担からの解放 • まとまった現金が手に入る • 固定資産税などの税負担がなくなる • 将来的な修繕費用の心配がなくなる
ただし、古い家や立地条件が良くない物件は売却しにくいという課題もあります。不動産会社の査定額が予想より低いと感じる場合は、複数社に相見積もりを取ることをおすすめします。また、売却しても譲渡所得がある場合は税金がかかることも念頭に置いておきましょう。
2. 賃貸に出す
実家を賃貸物件として活用する方法もあります。特に大学や企業が近くにある地域では、学生や単身赴任者向けの賃貸需要が見込めるかもしれません。
賃貸のメリット: • 定期的な家賃収入が得られる • 空き家にならず防犯・防災上のリスクが減る • 将来的に使用する可能性を残せる
一方で、賃貸に出すには以下のような準備や課題があります: • リフォームや設備更新のための初期投資が必要 • 入居者の募集や管理の手間(不動産管理会社に委託する場合は費用が発生) • 賃貸収入に対する税金(所得税・住民税)の発生
地方の一戸建てを賃貸に出す場合、需要が限られていることも多いため、事前に地域の賃貸市場をリサーチすることが重要です。
3. 民泊やゲストハウスとして活用
観光地や交通の便が良い場所であれば、民泊施設やゲストハウスとして活用する方法も考えられます。インバウンド需要や国内旅行者をターゲットにしたビジネスモデルは、実家活用の新たな選択肢となっています。
メリット: • 賃貸よりも高い収益が期待できる可能性がある • 地域の活性化に貢献できる • 季節的に自分も利用できる柔軟性がある
デメリット: • 民泊法など法的規制への対応が必要 • 清掃や鍵の受け渡しなど運営の手間がかかる • 安定した収入が見込めるとは限らない
民泊サービスの代行会社に運営を委託するという方法もありますが、その場合は手数料(売上の20〜30%程度)が発生することを考慮する必要があります。
4. 実家を二拠点生活の拠点として活用
都市部と地方の二拠点生活が注目される中、実家を週末や休暇時の滞在拠点として活用する方法も増えています。テレワークの普及により、一時的に実家で働くという選択肢も現実的になってきました。
メリット: • 都会の喧騒から離れた環境でリフレッシュできる • 子どもが自然と触れ合う機会を作れる • 地域との繋がりを維持できる
デメリット: • 二つの住居の維持費がかかる • 行き来の交通費と時間がかかる • 完全な空き家状態は避けられても、管理の手間は残る
二拠点生活を実現するためには、最低限の設備更新(インターネット環境の整備など)が必要になるケースが多いでしょう。
5. 地域や社会に役立てる形で寄付や譲渡
実家を地域コミュニティのために活用する道もあります。NPO法人や社会福祉法人への寄付、あるいは自治体への譲渡など、社会貢献につながる選択肢です。
• 子ども食堂や地域の集会所として提供 • 福祉施設やシェアハウスとして再生 • 自治体の空き家バンクに登録して移住希望者に紹介
このような形での活用は、親が長年住んできた地域に恩返しをするという意味でも価値があります。また、一定の要件を満たせば税制上の優遇措置を受けられる可能性もあります。
相続した実家の活用方法を選ぶ際は、建物の状態や立地条件、自分自身の将来計画などを総合的に考慮する必要があります。また、選択肢によっては専門家(不動産会社、税理士など)に相談することをおすすめします。次のセクションでは、実家を売却する場合のベストなタイミングと注意点について解説します。
実家を売却するベストなタイミングと注意点
相続した実家を売却する場合、「いつ売るべきか」という問題は非常に重要です。売却のタイミングによって税金の負担や売却価格が大きく変わることがあります。ここでは、実家の売却タイミングと注意すべきポイントを解説します。
親が健在なうちに売却するメリット
実は、相続問題を考える上で最も重要なのは「親が健在なうちに対策を講じる」ということです。親が元気なうちに実家の将来について話し合い、可能であれば売却するというのは、多くの専門家が推奨する方法です。
親の代で売却するメリット:
• 居住用財産の3,000万円特別控除が使える可能性がある • 相続税の現金納付が容易になる(不動産ではなく現金での相続) • 相続人間のトラブルを未然に防げる • 親の意向を直接確認できる
国税庁のデータによると、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を利用した件数は年間10万件以上にのぼります。この特例は、自宅として住んでいた家を売却する場合に適用される非常に有利な税制優遇措置です。
相続直後に売却するメリット
すでに相続が発生している場合は、相続開始後できるだけ早く売却を検討することをおすすめします。
相続直後に売却するメリット:
• 建物の老朽化が進む前に売却できる • 空き家による資産価値の下落を防げる • 固定資産税などの維持費負担が最小限で済む • 相続した時点の時価が明確なため、譲渡所得の計算がしやすい
特に注目すべきは、相続から3年以内に売却すれば「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が適用できる可能性がある点です。この特例を利用すると、相続税と所得税の二重課税を軽減できます。
空き家の特別控除を活用する
平成28年に創設された「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」も見逃せません。被相続人が住んでいた家屋で、相続後に居住していない空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば最大3,000万円の特別控除が受けられます。
適用要件:
• 相続発生から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること • 売却時において、その家屋が「空き家」であること • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(耐震基準に適合する場合は除く) • 相続開始直前において被相続人以外に居住していなかったこと • 相続開始から売却までの間に居住や賃貸などの用に供されていないこと
この特例を活用することで、古い実家の売却時の税負担を大幅に軽減できる可能性があります。国土交通省によれば、この特例の適用件数は年々増加傾向にあり、空き家対策の有効な手段として注目されています。
売却時の注意点
実家を売却する際に注意すべきポイントをいくつか挙げておきます:
実家の価値を正確に把握する
古い家だからといって価値がないと思い込まず、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。立地条件が良ければ、建物は古くても土地に価値があるケースは多いです。特に都市部やその周辺では「土地」としての評価が高いことがあります。
遺品整理・片付けの負担を考慮する
実家の売却で意外と大変なのが遺品の整理です。数十年分の家財道具や思い出の品々を整理するのは、時間的にも精神的にも大きな負担になります。専門業者に依頼する場合は10〜50万円程度の費用がかかることも考慮しておきましょう。
近隣への配慮
長年住んできた地域では、ご近所との関係も大切です。売却する際は、新しい所有者について情報共有するなど、近隣への配慮も忘れないようにしましょう。特に田舎では、「あの家を売ってしまった」という評判が立つこともあるため、丁寧な対応が求められます。
税金関係の専門家に相談する
相続と売却に関わる税金は複雑です。譲渡所得税、相続税、固定資産税など様々な税金が関係してくるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。特に特例や控除の適用条件は細かく、素人判断では損をしてしまう可能性があります。
実家の売却タイミングは、建物の状態や不動産市況、税制優遇措置の適用可能性などを総合的に判断して決める必要があります。早めに専門家に相談し、自分のケースに最適な選択をすることが大切です。
まとめ:将来を見据えた実家の相続対策
実家の相続問題は、多くの日本人が直面する悩みです。特に子どもが住む予定のない実家をどうするかという問題は、感情的な側面と経済的な側面を併せ持つ複雑な課題といえます。
早期の対策が鍵
この記事でご紹介したように、実家相続問題の解決には「早め早めの対策」が非常に重要です。親が健在なうちに家族で話し合い、将来の方針を決めておくことで、相続後のトラブルを未然に防ぐことができます。
感情と現実のバランス
親の家には思い出がたくさん詰まっています。しかし、感情だけで判断すると、結果的に誰も管理できない空き家を増やすことになりかねません。「親の家だから手放したくない」という気持ちは大切にしつつも、現実的な維持管理の負担や将来的なリスクも冷静に考えることが必要です。
専門家への相談を積極的に
相続や不動産売却には、税金や法律など専門的な知識が求められます。一人で悩まず、不動産会社、税理士、弁護士など、専門家に相談することをおすすめします。特に税制優遇措置の適用可否は専門家のアドバイスが不可欠です。
自分自身のマイホーム計画との関連
マイホーム計画を考えている方にとって、将来の親の家の相続問題も視野に入れておくことは大切です。例えば、将来的に実家を相続する可能性があるのであれば、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンの組み方にも影響してくるかもしれません。
実家の相続問題は「その時になってから考える」ではなく、早い段階から家族で話し合い、計画的に対策を講じることが重要です。親との対話を通じて、親の意向を尊重しながらも、将来の実家の活用方法について前向きな議論をすることから始めてみてはいかがでしょうか。
実家という大切な資産を次の世代に引き継ぐにあたって、最も大切なのは家族の絆です。家族みんなが納得できる形で実家の問題を解決できることを願っています。
ハウジングバザール運営アカウントです。
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