実家を相続したいけれど子どもは住まない?賢く判断する道しるべ

公開日: : 家づくりのお役立ち情報

   

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マイホーム計画を進める中で、実家の相続問題が思わぬ形であなたの未来計画に影響を与えていませんか?「今の家を相続したいけれど、子どもが住む予定がなくて…」そんな複雑な思いを抱えているあなたは、決して少なくありません。実家への愛着や親への感謝、そして子どもたちの将来への思いが交錯し、どうするのが正解なのか、悩んでしまいますよね。この問題は、単なる不動産の話ではなく、ご家族のライフプラン全体に関わる大切な決断です。このブログ記事では、実家の相続に関する基礎知識から、子どもが住まない場合の賢い選択肢、そして後悔しないための具体的な対策まで、住宅メディアのプロがあなたの目線でわかりやすく解説します。家族の笑顔が続く未来のために、今からできることを見つけ、賢く判断するための第一歩を踏み出しましょう。

目次

  • 実家相続の現実:子どもが住まない、その時どうする?
  • 選択肢は一つじゃない!賢い不動産活用の道
  • 後悔しないための具体的なステップと専門家との連携
  • まとめ:家族の未来のために今、行動を

実家相続の現実:子どもが住まない、その時どうする?

あなたは今、夫と小学生のお子様2人と共に、新しいマイホーム計画を立てている最中かもしれません。広々としたリビング、それぞれの子供部屋、休日に家族で過ごす庭…そんな理想を膨らませる一方で、実家の相続問題が頭の片隅にありますよね。「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」――この状況は、多くの家庭で生じる現実的な悩みです。親が大切にしてきた家への思い入れは深く、簡単に手放すという決断はできないもの。しかし、子どもたちが将来そこに住む予定がないとしたら、一体どうすれば良いのでしょうか。

なぜ子どもは実家に住まないのか?変わるライフスタイル

かつては「長男が実家を継ぐ」のが一般的でしたが、現代のライフスタイルは大きく多様化しています。お子様たちが実家に住まない可能性が高い理由には、以下のような点が挙げられます。

  • 通勤・通学の利便性:お子様たちの職場や学校が実家から遠く、交通の便が悪い場合、利便性を優先して別の場所に住む選択をします。特に都市部への人口集中が進む中、郊外の実家はニーズに合わないことも。
  • 住宅の老朽化とリノベーションの問題:親世代が建てた家は、最新の耐震基準や省エネ性能を満たしていないことが多く、大規模なリノベーションが必要になる場合があります。その費用や手間を考えると、新たに新築や中古物件を購入する方が現実的だと感じることも。
  • 家族構成やライフステージの変化:お子様たちが既に結婚し、独自の家庭を築いている場合、その家庭のライフスタイルに合わせた住まいを選ぶのが自然です。二世帯住宅も一つの選択肢ですが、必ずしもそれが最適とは限りません。
  • 維持管理への懸念:広すぎる庭の手入れ、古い設備の修繕、固定資産税などの維持費用は、若い世代にとって大きな負担となることがあります。せっかく「今の家を相続したい」と思っても、維持管理のコストと手間を考えると躊躇してしまうのです。

放置するリスク:空き家問題は他人事ではない

実家を相続したものの、誰も住まずに「空き家」として放置してしまうと、様々なリスクが発生します。これは決して一部の家庭だけの問題ではなく、全国的に深刻化している社会問題の一つです。

  • 固定資産税・都市計画税の負担:誰も住んでいなくても、不動産を所有している限り、毎年税金がかかります。特に「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなり、税負担が跳ね上がる可能性があります。
  • 管理の手間と費用:庭の手入れ、草木の伐採、郵便物の回収、防犯対策など、空き家であっても定期的な管理が必要です。遠方に住んでいる場合、その手間や交通費、あるいは管理会社に依頼する費用もかさみます。
  • 老朽化の加速と資産価値の低下:人が住まなくなり管理が行き届かないと、家屋の劣化は急速に進みます。雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが発生しやすく、将来売却しようとしても、著しく価値が下がってしまうことがあります。
  • 近隣トラブルの発生:荒れた庭や破損した外壁、不法侵入など、空き家は近隣住民にとって迷惑の種となることがあります。自治体からの指導や、場合によっては行政代執行による解体と費用請求といった事態に至る可能性もゼロではありません。

「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という漠然とした悩みを抱え続けていると、このように時間と共にリスクが増大し、親が大切にしてきた家が負の遺産となることも。家族の笑顔が続く未来のために、この問題から目をそらさず、積極的に解決策を探ることが重要です。

相続の基本的な流れと税金:知っておくべきこと

実家の相続を考える上で、基本的な相続の流れと税金について理解しておくことは不可欠です。

  1. 相続発生:親がお亡くなりになった時点で相続が開始されます。
  2. 遺言書の確認:遺言書があればそれに従います。なければ「遺産分割協議」で相続人全員の合意を得て、誰が何を相続するかを決めます。
  3. 相続財産の調査と評価:不動産(実家)、預貯金、有価証券などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産を把握し、その価値を評価します。
  4. 相続放棄の検討:マイナスの財産が多すぎる場合や、家を相続する意思がない場合、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てれば相続放棄が可能です。
  5. 準確定申告:亡くなった方の所得税を確定させるための申告です。
  6. 相続税の申告と納税:相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続開始から10ヶ月以内に申告・納税が必要です。
  7. 相続登記:不動産を相続した場合、法務局で名義変更(相続登記)を行う必要があります。これは2024年4月1日から義務化されており、怠ると過料が科される可能性があります。

相続税には「小規模宅地等の特例」という制度があり、親が住んでいた家を相続した場合、一定の要件を満たせば、土地の評価額を最大80%減額できる可能性があります。しかし、この特例は「相続人がその家を住居として利用する場合」や「一定期間内に売却しない場合」など、細かな要件があります。「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という状況では、この特例が適用できない可能性も考慮に入れる必要があります。また、相続人が複数いる場合は、共有名義にすると将来の売却や活用が難しくなるリスクがあるため、遺産分割協議で誰が実家を単独で相続するのか、あるいは売却して現金を分割するのか、早めに話し合うことが重要です。

本当に今の家を相続することが、あなたのご家族にとって最善の選択でしょうか?相続税の負担、維持管理の手間、そして何よりお子様たちの将来の選択肢を奪うことにならないか。他の選択肢も視野に入れ、冷静に判断することが、後悔しないための第一歩となります。

選択肢は一つじゃない!賢い不動産活用の道

「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という状況に直面しているあなたは、本当に悩ましい立場にいることでしょう。親が大切に守ってきた家をどうするか、そしてその決断が現在のマイホーム計画や住宅ローン返済計画にも影響を与えるかもしれません。しかし、打つ手がないわけではありません。実家を単に「空き家」として放置する以外の、賢い選択肢がいくつか存在します。それぞれのメリットとデメリットを理解し、あなたのご家族に最適な道を見つけましょう。

1. 売却する:まとまった資金で新しい未来を築く

実家を売却することは、最もシンプルで確実な選択肢の一つです。特に、あなたが新しいマイホームの購入資金や住宅ローンの頭金を確保したいと考えている場合、実家の売却金は非常に大きな助けとなるでしょう。また、相続人が複数いる場合、家を売却して現金を分割することで、公平に遺産を分け合うことができます。

メリット

  • まとまった資金の確保:売却によって得た資金は、新居の購入費用、住宅ローンの繰り上げ返済、老後資金、お子様の教育費など、様々な用途に充てることができます。
  • 維持管理の負担解消:固定資産税や都市計画税、修繕費、管理の手間といった、不動産所有に伴う負担から解放されます。
  • 相続税の納税資金:相続税が発生する場合、売却代金を納税資金に充てることができます。
  • 資産価値の保全:空き家として放置され老朽化が進む前に売却することで、できるだけ高い価値で手放せます。

デメリットと注意点

  • 思い出の家の喪失:親との思い出が詰まった家を手放すことへの心理的な抵抗感は大きいでしょう。
  • 売却費用が発生:不動産仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税が一般的)、測量費、解体費(更地で売る場合)、印紙税、司法書士費用などがかかります。
  • 譲渡所得税の発生:売却益が出た場合、譲渡所得税がかかります。ただし、一定の要件を満たせば「3,000万円特別控除」などの特例が適用できる可能性があります。
  • 売却期間の長期化:市場環境や物件の状態によっては、売却が長期化するリスクもあります。

具体的な事例:都心から少し離れた郊外の実家を相続し、築50年で老朽化が進んでいたケースです。このご家族は、子どもが住む予定がないため売却を検討しました。立地は良かったものの、築年数が経っていたため、まずは複数の不動産会社に査定を依頼。リノベーション費用を売却価格に含めて売る「買取再販」を行う業者に売却し、得た資金を、現在住むマイホームの住宅ローンの一括返済に充てました。これにより、月々の返済額が大幅に減り、お子様の教育費にもゆとりが持てるようになったそうです。また、この家は売り出す前に簡易清掃と家具の撤去を行うことで、内覧時の印象を良くすることにも成功しました。

2. 賃貸に出す(活用):安定収入と資産の有効活用

実家を完全に手放すのではなく、賃貸物件として活用することも有力な選択肢です。あなたが「今の家を相続したい」という気持ちが強く、かつ子どもが将来的に住む可能性もゼロではないと考えているなら、賃貸活用は資産を維持しながら収益を得られる手段となります。

メリット

  • 安定した家賃収入:毎月安定した家賃収入を得ることができ、これはあなたの家計にとって大きなプラスとなります。住宅ローンの返済に充てたり、お子様の塾代や習い事の費用に活用したりと、使い道は多岐にわたります。
  • 資産価値の維持:人が住み、管理が行き届くことで、空き家として放置するよりも建物の劣化を防ぎ、資産価値を保つことができます。
  • 将来的な住居への転換の可能性:賃貸契約の内容にもよりますが、将来的にあなたや子どもが住む可能性を残したい場合に有効です。
  • 小規模宅地等の特例適用継続の可能性:賃貸事業用として活用する場合でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例が適用できる場合があります(ただし、これは税理士に要確認)。

デメリットと注意点

  • 初期投資が必要な場合も:入居者を募集する前に、リノベーションや設備の改修が必要になることがあります。
  • 入居者募集・管理の手間:入居者の募集、賃料の徴収、設備の故障対応、退去時の手続きなど、不動産管理の手間が発生します。専門の賃貸管理会社に委託するのが一般的ですが、その場合、管理手数料がかかります。
  • 空室リスク:立地や物件の状態によっては、なかなか入居者が決まらない「空室リスク」があります。家賃収入がない期間も、固定資産税や管理費は発生します。
  • トラブル対応:入居者とのトラブル(騒音、家賃滞納など)が発生した場合に、対応が必要になります。
  • 所得税の申告:家賃収入は不動産所得となり、確定申告が必要です。

活用方法の多様性
賃貸といっても、一般的なファミリー向け賃貸だけでなく、物件の特性や立地によっては様々な活用方法があります。

  • リノベーションして現代ニーズに:古い間取りや設備を最新のものにリノベーションし、子育て世代や共働き夫婦が住みやすいように工夫することで、高い家賃収入が期待できることもあります。
  • シェアハウスや民泊:大学が近い、観光地に近いなど、特異な立地であれば、シェアハウスや民泊としての活用も検討できます。ただし、法規制が厳しいため、事前に詳細な調査が必要です。
  • 地域貢献型:地域の活動拠点や、高齢者向けシェアハウスなど、社会貢献を兼ねた活用法も考えられます。自治体の空き家バンク制度や、地域活性化の取り組みと連携することで、補助金などの支援が受けられる可能性もあります。

具体的な事例:都心から電車で30分、駅徒歩10分の実家を相続したご家族のケースです。子どもは都心でマンションを購入したため実家には住む予定がありませんでしたが、立地が良いことから賃貸活用を検討。「今の家を相続したい」という思いから、売却は考えなかったとのこと。水回りのリフォームと内装のクリーンアップ、そしてインターネット環境を整備する約200万円の投資を行いました。その後、家賃相場と照らし合わせて賃料を設定し、賃貸管理会社に全てを委託。安定した家賃収入を得ることで、自身が抱える住宅ローンの繰り上げ返済にも充て、家計に大きな余裕が生まれました。

3. 空き家バンクや地域活性化に協力する

地域によっては、空き家の有効活用を目指す「空き家バンク」制度を設けている自治体もあります。これは、空き家を「貸したい・売りたい」所有者と、「借りたい・買いたい」利用希望者とを結びつける制度です。また、過疎化に悩む地域などでは、移住促進のために空き家をリノベーションして活用する取り組みが行われています。

メリット

  • 社会貢献:地域の空き家問題を解消し、活性化に貢献できます。
  • 自治体の協力:自治体の支援や補助金が受けられる場合があります。
  • 手放しやすい:物件の状態によっては、売却や賃貸に出すのが難しい場合でも、新たな活用の道が見つかることがあります。

デメリットと注意点

  • 収入面は期待薄:売却ほどのまとまった資金や、賃貸ほどの安定した家賃収入は期待できないことが多いです。
  • 買い手・借り手の限定性:自治体の求める活用方法や、移住者のニーズに合致しないと、なかなか活用が進まないこともあります。
  • 手続きの煩雑さ:自治体の制度を利用するため、手続きが多少複雑になる場合があります。

この選択肢は、「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という状況で、物質的な利益よりも、親が大切にしてきた家を何らかの形で社会に役立てたい、という思いが強い場合に検討すると良いでしょう。

4. そのまま維持する:現実的な選択か?

感情的に最も理解できる選択肢かもしれませんが、実家を誰も住まないまま維持し続けることは、現実的には最もリスクの高い選択肢です。「今の家を相続したい」という気持ちが強くても、この道は慎重に検討する必要があります。

メリット

  • 心理的安心感:いつでも使える安心感や、思い出の場所が残るという心の慰めは大きいでしょう。

デメリット

  • 固定資産税・都市計画税の負担:誰も住まなくても毎年かかる税金は、家計を圧迫します。
  • 修繕費・管理費の負担:水道・電気・ガスを契約していなくても、最低限の維持管理(通風、清掃、庭の手入れ、郵便物の回収など)は必要です。また、突発的な修繕費用が発生することもあります。
  • 資産価値の減少:人が住まず、管理が行き届かないことで、建物は老朽化し、資産価値は時間とともに確実に下がっていきます。将来売却を考えた時、売却価格が著しく低くなる可能性があります。
  • 空き家特例の適用外:前述の通り、空き家として放置すると「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が外れるリスクがあります。

「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という状況で、そのまま維持し続ける選択は、短期的な感情に流されがちですが、長期的に見れば家族の資産を蝕み、将来の負担を増やすことになりかねません。この選択は、どうしても一時しのぎをしたい場合や、一時的な保管場所が必要な場合を除き、避けるべきだと考えられます。

これらの選択肢の中から、ご家族の状況、経済状況、そして何よりも「今の家を相続したい」というあなたの思いを尊重しつつ、最も現実的で将来を見据えた判断を下すことが重要です。そのためには、次のステップで解説する「具体的なステップ」と「専門家との連携」が不可欠になります。

後悔しないための具体的なステップと専門家との連携

「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という複雑な状況下での意思決定は、一人で抱え込まず、段階を踏んで慎重に進めることが重要です。特に、あなたのマイホーム計画、住宅ローンの返済期間、そしてお子様たちの将来の教育費や新生活の資金計画といった、ご家族全体のライフプランとの兼ね合いを考慮する必要があります。ここでは、後悔しないために踏むべき具体的なステップと、適切な専門家との連携について詳しく解説します。

1. 家族会議の開催:思いと情報を共有する

最も重要な第一歩は、ご家族、特に他の相続人となる可能性のある親戚(兄弟姉妹など)、そして夫や小学生のお子様たちと、率直に話し合う場を設けることです。「今の家を相続したい」というあなたの気持ちだけでなく、夫やお子様の意向も合わせて確認し、家族みんなで今後の方向性を考えることが大切です。

  • 話し合うべきポイント
    • 実家へのそれぞれの思い入れや愛着、果たして本当に住む人がいるのかどうか。
    • 実家を今後どうしたいか(売却したい、賃貸にしたい、など)の具体的な希望。
    • もし手放すことになった場合、その売却金などをどう活用したいか。あなたのマイホームの頭金に充てるか、お子様の学費に充てるかなど、具体的な使途。
    • 相続税や維持費用の負担について、誰がどの程度負担できるか。
  • 子どもたちとの対話:小学生のお子様たちとは、「おじいちゃんおばあちゃんの家がどうなるの?」という形で、分かりやすく説明することで、彼らが将来「自分たちの育った家がない」という感情を抱くことを避けられます。彼らが将来住む可能性が低いことを、親としてきちんと伝えることも大切です。

この話し合いを通じて、家族全員の意見を把握し、共有することで、最終的な決断に対する理解と納得感を深めることができます。

2. 不動産の価値を正確に把握する:無料査定を活用しよう

実家の価値を正確に把握することは、今後の選択肢を検討する上で不可欠です。まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、その客観的な価値を知ることから始めましょう。

  • 複数社に依頼:1社だけの査定では、その物件の適正価格を見極めるのは困難です。最低でも3社以上から無料査定を受け、それぞれの査定額と根拠を比較検討することをお勧めします。
  • 査定のポイント
    • 立地:駅からの距離、周辺の商業施設、学校、病院までのアクセスなど。
    • 建物の状態:築年数、構造、耐震性、リフォームの必要性など。
    • 土地の形状や広さ:土地の形が不整形でないか、再建築可能な土地かなど。
    • 周辺環境:近隣に嫌悪施設がないか、治安はどうか、再開発予定など。
  • 不動産の活用可能性:査定だけでなく、その不動産が売却に向いているのか、賃貸に向いているのかなど、活用に関する専門的な意見も聞くようにしましょう。

査定を通じて、「この家を相続したら、どのくらいの資産になるのか」「売却したらどのくらいの資金が得られるのか」といった具体的な数字が分かります。これは、あなたのマイホーム計画の資金シミュレーションに非常に役立つ情報です。

3. 専門家との連携:それぞれのプロの知恵を借りる

実家の相続は、不動産、相続税、法律など、多岐にわたる専門知識が必要です。適切な専門家と連携することで、複雑な問題をスムーズに解決し、後悔のない選択をすることができます。

  • 不動産会社(宅地建物取引士)
    • 役割:物件の査定、売却や賃貸運用の提案、市場動向の情報提供、売買・賃貸契約の仲介。
    • 相談内容:あなたの実家が売却向きか、賃貸向きか。その場合、どのようなリノベーションが必要か、どの程度の費用がかかるか。売却や賃貸に際しての法的な手続き。
  • 税理士
    • 役割:相続税の計算、節税対策のアドバイス、譲渡所得税の計算と申告、小規模宅地等の特例の適用可否の判断。
    • 相談内容:「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という状況で、相続税がどのくらいかかるのか。売却した場合の譲渡所得税は。賃貸活用した場合の不動産所得税について。
  • 司法書士
    • 役割:不動産の相続登記(名義変更)、遺言書の作成支援、相続放棄手続き。
    • 相談内容:実家の名義変更手続きについて、共有名義にする際のリスク、遺産分割協議書の作成。
  • 弁護士
    • 役割:相続人間のトラブル解決、遺産分割協議における法的なアドバイス、交渉代理。
    • 相談内容:もし家族間で意見の相違があり、話し合いが進まない場合や、遺産分割協議が難航している場合に相談を。
  • ファイナンシャルプランナー(FP)
    • 役割:あなたのライフプラン全体を踏まえた資金計画の立案、住宅ローン返済計画との連携、教育資金や老後資金のシミュレーション。
    • 相談内容:「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」中で、実家の売却益や家賃収入をどのように現在のマイホーム計画に活かすか。住宅ローンの返済期間を短縮すべきか、頭金を増やすべきか。

これらの専門家は、それぞれ異なる視点からアドバイスを提供してくれます。単独で相談するのではなく、必要に応じて複数の専門家と連携し、総合的な視点から最善の選択肢を見つけることが、後悔しない決断のために不可欠です。

4. 資金計画の立案:家族の未来を見据えたシミュレーション

実家の相続問題は、あなたの現在のマイホーム計画と密接に関わっています。実家をどうするか決めたら、具体的な資金計画に落とし込みましょう。

  • 収入と支出の見積もり
    • 収入:実家を売却した場合の売却益、賃貸に出した場合の家賃収入。
    • 支出:相続税、売却費用(仲介手数料、印紙税など)、リノベーション費用、固定資産税、管理費など。
  • 現在の住宅ローンとの連携
    • 実家の売却益を住宅ローンの繰り上げ返済に充てるか?
    • 実家の家賃収入を住宅ローンの支払いに充てることで、家計にゆとりを持たせるか?
    • お子様の教育費(大学進学など)のピークと、あなたの住宅ローンの返済期間が重なる時期の家計をシミュレーションし、無理のないプランを立てる。
  • 将来のライフイベント:お子様の独立、あなたの老後資金など、将来のライフイベントに必要な資金も考慮に入れた上で、実家の活用方法を検討しましょう。

5. 各選択肢の具体的な手順と注意点

ここまでで、具体的な方向性が固まってきたら、それぞれの選択肢に応じた手順に進みます。

  • 売却する場合
    • 不動産会社との媒介契約:一般媒介、専任媒介、専属専任媒介のいずれかを締結。
    • 売却活動の開始:ウェブサイトやチラシ、内覧会の実施。
    • 買主との交渉:価格、引き渡し時期など。
    • 売買契約の締結:重要事項説明を受け、契約書に署名捺印。
    • 残代金決済と引き渡し:代金を受け取り、鍵や書類を渡して所有権移転登記。
    • 確定申告:譲渡所得があった場合、翌年2月16日~3月15日までに確定申告。
  • 賃貸に出す場合
    • リノベーションの検討:賃貸ニーズに合わせ、水回りや内装の改修が必要か、費用対効果はどうか。
    • 賃貸管理会社の選定:入居者募集、賃料徴収、トラブル対応などを委託するかどうか。
    • 入居者募集:賃料設定、契約書の作成。
    • 賃貸契約の締結:入居審査を経て契約。
    • 確定申告:家賃収入は不動産所得として毎年確定申告。

どの選択肢を選ぶにしても、必要な書類(権利証、印鑑証明書、住民票、戸籍謄本など)を事前に準備し、不明な点は専門家に積極的に質問することが、スムーズな手続きの鍵となります。

まとめ:家族の未来のために今、行動を

「今の家を相続したいが、子どもが住む予定がない」という問題は、多くのご家族が直面する、複雑でデリケートなテーマです。親御様が大切にしてきた家への思い入れと、あなた自身が計画するマイホーム、そしてお子様たちの未来への責任が交錯し、どうするのが最善なのか、悩んでしまうのは当然のことです。しかし、このブログを通じて、単に放置する以外の様々な選択肢があることをご理解いただけたのではないでしょうか。

実家を売却して新たな新居の資金に充てる道、賃貸として活用し安定した家賃収入を得る道、あるいは地域社会に貢献する形での活用も考えられます。どの選択肢を選ぶかは、ご家族の状況、経済状況、そして何よりもあなたの「今の家を相続したい」という気持ちと、お子様の将来への思いを総合的に考慮して決めるべきです。

最も重要なのは、この問題から目を背けず、正面から向き合うことです。まずは、ご家族、特に他の相続人や配偶者、そしてお子様たちと率直に話し合い、お互いの思いや希望を共有することから始めましょう。そして、複数の不動産会社に相談して実家の客観的な価値を把握し、税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナーといった各分野の専門家から、具体的なアドバイスを受けることを強くお勧めします。

適切な情報と専門家のアドバイス、そしてご家族の協力があれば、きっと後悔のない、賢い決断ができるはずです。実家の問題解決は、あなたのマイホーム計画をより堅実なものにし、住宅ローンの返済期間中も安心感をもたらしてくれるでしょう。そして何よりも、未来の家族の笑顔へと繋がる大切な一歩となります。今、あなたができることから、一歩踏み出してみませんか。

   

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