将来の車なし生活を見据えた住まい選び〜駅近・徒歩圏物件の選び方ガイド
公開日: : 最終更新日:2025/05/29 家づくりのお役立ち情報, 未分類
加齢とともに車の運転に不安を感じ始め、「いつかは手放すかも」と考えているご家族も多いのではないでしょうか。そんなとき、家の近くに駅やバス停があるかどうかは、将来の生活の質を大きく左右します。特に子育て世代のマイホーム計画では、30年後の家族の姿までイメージすることが重要です。
この記事では、将来の車なし生活を見据えた住まい選びのポイントを解説します。「駅近」や「徒歩圏内」という言葉の本当の意味、高齢になってからの移動のしやすさ、そして実際に物件を選ぶ際のチェックポイントまで、初めてマイホームを検討する方にもわかりやすくお伝えします。
今は元気に運転できていても、10年後、20年後の自分たちの生活を想像しながら、長く快適に暮らせる住まい選びのヒントを見つけてください。住宅ローンを完済する頃には、移動が楽な家に住んでいることがどれだけ価値あるものかがきっと実感できるでしょう。
目次
・「駅近」「徒歩圏内」とは?本当の意味と年齢による違い
・高齢者の移動を楽にする住まいの条件とは
・車なし生活を見据えた物件選びの実践ポイント
「駅近」「徒歩圏内」とは?本当の意味と年齢による違い
不動産広告でよく目にする「駅近」や「徒歩○分」という表示。これらの言葉が示す実際の距離感や、年齢によってどう感じ方が変わるのか、詳しく見ていきましょう。
不動産表示の「徒歩○分」の計算方法
不動産広告における「徒歩○分」は、実は明確な基準があります。不動産公正取引協議会連合会の規約によると、道路距離80mを1分として計算することになっています。つまり、「駅徒歩10分」と表示されている物件は、単純計算で駅から800m離れていることになります。
ただし、この計算は成人の平均的な歩行速度を前提としています。実際には階段や坂道、信号待ちなどがあれば、表示よりも時間がかかることを覚えておきましょう。
年齢によって変わる「徒歩圏内」の感覚
20代や30代の健康な成人にとっての「徒歩圏内」と、60代、70代になってからの「徒歩圏内」は大きく異なります。
国土交通省の調査によると、65歳以上の高齢者の平均歩行速度は約60m/分とされています。これは不動産表示の基準よりも25%も遅いペースです。つまり、不動産広告で「徒歩10分」と表示されている距離も、高齢になると13分以上かかる計算になります。
さらに、加齢とともに無理なく歩ける距離も短くなります。一般的に、
- 若年層(20〜40代):徒歩15〜20分(約1.2〜1.6km)が許容範囲
- 中高年(50〜60代):徒歩10〜15分(約800m〜1.2km)が許容範囲
- 高齢者(70代以上):徒歩5〜10分(約400〜800m)が理想的
という目安があります。つまり、現在30代の方が「駅徒歩15分なら全然大丈夫」と思っていても、30年後には「駅徒歩8分」が限界になる可能性があるのです。
季節や天候による影響も考慮する
徒歩圏内を考える際には、季節や天候による影響も重要です。真夏の炎天下や、冬の雪道・凍結路面では、通常よりも歩くのが大変になります。特に高齢になると、極端な暑さや寒さ、雨の日の移動は体力的な負担が大きく、転倒リスクも高まります。
国内の調査によると、高齢者の転倒事故は雨や雪の日に1.5倍以上増加するというデータもあります。雨の日でも安心して歩ける距離、あるいは雨天時に利用できる公共交通機関の充実度も、物件選びの重要なポイントです。
高齢者が考える「駅近」の実際
実際に60代以上の方々へのアンケート調査では、「駅近と感じる距離」について以下のような結果が出ています。
- 「駅徒歩5分以内」が駅近だと答えた人:68%
- 「駅徒歩5〜10分」までなら駅近と感じる人:27%
- 「駅徒歩10分以上」でも駅近と感じる人:5%
この結果からも、高齢者にとっての「駅近」は「徒歩5分以内(約400m)」が理想的であることがわかります。
若いうちはあまり気にならない距離も、年齢を重ねるにつれて大きな障壁となります。マイホーム選びでは、30年後の自分たちの姿をイメージして、「将来的にも無理なく通える距離かどうか」を判断基準にすることが大切です。
高齢者の移動を楽にする住まいの条件とは
駅やバス停までの距離だけでなく、高齢になっても快適に移動できる住まい環境には様々な条件があります。将来の車なし生活を見据えた理想的な住まいの条件を見ていきましょう。
公共交通機関の利便性と選択肢
最寄り駅までの距離が近くても、その駅の利便性が低ければ意味がありません。理想的なのは以下のような条件です:
- 電車の本数が多い路線:1時間に4本以上あると便利です。特に高齢になると、「次の電車まで30分待ち」というストレスは大きくなります。
- 複数の交通手段が選べる環境:電車だけでなく、バスや場合によってはタクシーなども気軽に利用できる環境が理想的です。例えば、最寄り駅は少し遠くても、自宅近くにバス停があれば、雨の日や体調の優れない日の移動手段になります。
- 主要施設への直通性:乗り換えなしで病院や大型商業施設、役所などに行けるルートがあると、高齢になってからの負担が大幅に軽減されます。
実際に、国土交通省の調査では、75歳以上の高齢者の約65%が「乗り換えのある移動」に不安を感じると回答しています。複数路線が通る駅の近くや、主要施設への直通バスがある地域は、将来の車なし生活において大きなメリットとなります。
日常生活圏内の施設充実度
高齢になると、日々の買い物や通院などの移動範囲は自然と狭くなります。そのため、徒歩圏内に以下の施設があるかどうかも重要なポイントです:
- スーパーやコンビニ:重い荷物を持っての移動は高齢者にとって大きな負担です。徒歩5分以内(約400m)にスーパーやドラッグストアがあると理想的です。
- 医療施設:かかりつけ医や薬局が徒歩圏内にあることの安心感は計り知れません。特に、内科や整形外科など、高齢になって利用頻度が高くなる診療科がある医院が近くにあると便利です。
- 公共施設や公園:図書館や公民館などの公共施設、散歩に適した公園などが近くにあると、移動手段が限られていても生活が豊かになります。
ある調査によると、日常の買い物施設が徒歩10分圏内にある高齢者は、そうでない高齢者に比べて外出頻度が1.5倍以上高く、健康状態も良好な傾向があるそうです。将来の健康維持のためにも、歩いて行ける範囲に必要な施設が揃っているエリアを選ぶことは大切です。
地形と道路環境の重要性
駅までの距離だけでなく、「どのような道のりか」も非常に重要です。以下のポイントに注意しましょう:
- 坂道や階段の有無:わずかな傾斜でも、高齢になると大きな負担となります。特に買い物帰りなど荷物がある場合は顕著です。国内のある調査では、75歳以上の高齢者の約70%が「坂道の上り下りに困難を感じる」と回答しています。
- 歩道の整備状況:歩道が広く、段差の少ない道路環境は、高齢者の安全な移動に不可欠です。特に雨の日の安全性という観点でも、整備された歩道は重要です。
- 夜道の安全性と明るさ:街灯が適切に設置され、人通りのある明るい道であることも、特に高齢女性の一人暮らしを考えると重要な要素です。
実際に物件を検討する際は、日中だけでなく、夕方や雨の日など、異なる条件下での通行環境も確認することをおすすめします。一度の訪問では気づかない地形の特徴や安全面の課題が見えてくることがあります。
配達・宅配サービスの利用可能性
車がなくても便利に暮らせる環境として、近年重要性が増しているのが配達サービスの充実度です。
- 食品宅配サービス:ネットスーパーや食材宅配サービスが対応しているエリアかどうかをチェックしましょう。大手スーパーの多くは配達エリアを公式サイトで公開しています。
- 医療・介護サービスの訪問対応:訪問診療や訪問看護、訪問薬剤指導などのサービスが普及しているエリアかどうかも、将来の安心につながります。
- タクシーの利便性:タクシーの呼びやすさやタクシー会社の多さも、高齢になってからの移動手段として重要です。最近では、スマートフォンアプリでタクシーを呼べるサービスも増えていますが、エリアによってはまだ対応していない地域もあります。
こうした宅配・訪問サービスは、直接物件の立地に関わる要素ではありませんが、将来の車なし生活の質を大きく左右する要素です。物件検討の際には、現在住んでいる地域と比較してサービス環境がどう変わるかも考慮することをおすすめします。
車なし生活を見据えた物件選びの実践ポイント
ここまでの知識を踏まえ、実際に物件を選ぶ際の具体的なチェックポイントや行動指針をご紹介します。将来の車なし生活を想定した賢い物件選びのコツをマスターしましょう。
物件見学時の確認ポイント
物件や周辺環境を実際に確認する際は、以下のポイントをチェックしてみましょう:
- 実際に歩いてみる: 不動産広告の「徒歩○分」だけを信じず、自分の足で実際に歩いてみることが大切です。その際、できれば平日・休日の異なる時間帯に訪れ、朝の通勤ラッシュ時や、雨の日の状況なども確認するとよいでしょう。
- 高齢者の視点で歩く: 少しゆっくり目のペースで歩き、階段や坂道、信号待ちの多さなどを意識してみましょう。また、休憩できるベンチや日陰の有無なども確認すると、将来の使い勝手がより想像しやすくなります。
- 荷物がある場合を想定: 買い物帰りを想定して、2〜3kgの荷物を持って歩いてみると、坂道や距離の負担がより実感できます。特に上り坂が帰り道にあると、高齢になってから大きな障壁になります。
あるファミリー向け住宅購入者へのアンケートでは、「購入後に後悔したこと」の上位に「駅やスーパーまでの距離や坂道の存在」が挙げられています。事前の徹底したチェックで、将来の後悔を防ぎましょう。
将来の交通インフラ計画をチェック
物件を選ぶ際は、現在の交通環境だけでなく、将来の計画も考慮することが大切です:
- 自治体の都市計画マスタープラン: 多くの自治体では公式ウェブサイトで都市計画を公開しています。新たな路線の計画や、バス路線の拡充計画などがあるかどうかをチェックしましょう。
- 高齢者向け交通支援策: 地域によっては、コミュニティバスや乗合タクシー、高齢者向け移動支援サービスなどを導入している自治体もあります。こうした支援策の有無も、将来の移動の選択肢を広げてくれます。
- 周辺の再開発計画: 大規模な再開発が予定されているエリアでは、将来的に公共交通機関の利便性が向上する可能性があります。逆に、路線の廃止や本数削減などのリスクがないかも確認しておくとよいでしょう。
例えば、東京都心から30〜40km圏内の一部エリアでは、高齢化に伴う利用者減少によってバス路線の本数が減少している地域もあります。長期的な視点で交通環境の変化を予測することも大切です。
不動産価値の将来性も考慮する
駅近物件は一般的に不動産価値が高く維持される傾向があります。将来的なライフプランを考えると、以下のような視点も重要です:
- 売却のしやすさ: 仮に将来、子どもの独立後に住み替えを考える場合、駅近物件は売却しやすく、資産価値も維持されやすい傾向にあります。国土交通省の調査によると、駅から徒歩10分以内の物件は、それ以上離れた物件に比べて資産価値の下落率が30%以上低いというデータもあります。
- 賃貸への切り替え可能性: 子どもが独立したあと、戸建て住宅の一部を賃貸に出したり、マンションであれば自分たちは別の利便性の高い場所に住み替えて家を賃貸に出すという選択肢も考えられます。その場合も、駅近であれば賃貸需要が見込めます。
- 多世代居住の可能性: 将来、親世代と同居する可能性がある場合、公共交通機関の利便性は特に重要になります。車の運転ができない高齢の親が一人で外出できる環境かどうかも考慮すべきポイントです。
実際の購入予算との兼ね合い
駅近物件は便利である一方、当然ながら価格は高くなります。予算との兼ね合いを考える際のポイントは以下の通りです:
- 「駅近」と「住宅の広さ」のバランス: 同じ予算内で考えると、駅に近い物件ほど住宅の広さや庭の広さは制限されます。特に子育て世代では、「子ども部屋の確保」と「駅近の利便性」のどちらを優先するかの判断が必要になります。
- 優先順位を明確にする: 例えば、「駅までは多少遠くても、スーパーが徒歩5分以内」「坂道がなければ駅徒歩15分でも許容」など、家族で話し合って優先順位を決めておくとよいでしょう。
- 住宅ローン返済と将来の交通費のバランス: 駅から離れた物件で住宅コストを抑える代わりに、将来的に交通費(タクシー代など)がかかる可能性も考慮しましょう。住宅ローン返済期間と、想定される車の使用期間を照らし合わせて検討することも大切です。
実際に、あるファミリー層向けの調査では、「住宅ローン返済が終わる頃に車の運転をやめることを想定して物件を選んだ」という回答が増加傾向にあります。長期的な視点での家計設計が重要です。
まとめ:将来を見据えた「移動が楽な家」選び
この記事では、将来の車なし生活を見据えた住まい選びのポイントを紹介してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
住まい選びで考えるべき「将来の移動のしやすさ」
- 現在の感覚ではなく、将来の自分たちの視点で考える: 今は「徒歩15分くらいなら全然平気」と思っていても、20〜30年後の自分たちには負担になる可能性があります。住宅ローンを完済する頃の自分たちの年齢や体力を想像して判断しましょう。
- 徒歩圏内の定義を見直す: 高齢者にとっての「徒歩圏内」は、不動産広告の表示よりも狭い範囲です。特に上り坂や階段がある場合は、表示されている時間よりも実際にはかかることを念頭に置きましょう。
- 交通手段の選択肢の多さを重視する: 駅だけでなく、バス停の位置や本数、タクシーの利用しやすさなど、複数の交通手段が選べる環境かどうかも重要なポイントです。
家族で話し合いたい優先順位
マイホーム選びでは、家族それぞれの希望や優先順位が異なることも多いでしょう。以下のポイントを家族で話し合ってみることをおすすめします:
- 将来のライフスタイル変化の予測: 子どもの独立時期、定年退職の時期、車の買い替えサイクルなど、将来のライフステージの変化を家族で共有しましょう。
- 「絶対に譲れないポイント」の明確化: 「駅徒歩10分以内」「坂道なし」「スーパー徒歩5分」など、家族それぞれの「絶対条件」を明確にしておくと、物件選びがスムーズになります。
- 日常生活と非日常の区別: 通勤や通学など毎日の移動と、買い物や通院など頻度の低い移動を区別して、どちらを優先するかを考えることも大切です。
専門家のアドバイスも活用しよう
最後に、住まい選びでは、不動産のプロフェッショナルの知見も積極的に活用しましょう。特に以下のような情報は、現地に精通した不動産会社から得られることが多いです:
- 地域特有の交通事情: 積雪地域での冬場の交通状況や、台風・大雨時の浸水リスクなど、地域特有の課題についてのアドバイス。
- 将来の開発計画: 新たな商業施設や医療機関の建設計画、路線バスの経路変更予定など、公表されていない情報を持っていることも。
- 高齢者の多いエリアの特徴: すでに高齢化が進んでいる地域では、高齢者向けの交通支援や生活支援サービスが充実している傾向があります。そうした情報も参考になるでしょう。
住まいは人生で最も大きな買い物の一つです。特に子育て世代にとっては、30年後の生活まで見据えた選択が求められます。「将来の移動のしやすさ」という視点を大切に、後悔のない住まい選びをしていただければ幸いです。

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