シニア世代の住み替え成功術:持ち家売却から理想の暮らしを実現するまでの流れ
公開日: : 家づくりのお役立ち情報
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老後の生活を見据えて住み替えを検討しているシニア世代の方は少なくありません。子育てが一段落し、広すぎる家の維持管理が負担になってきたり、バリアフリー環境が必要になったりと、その理由はさまざまです。しかし、長年住み慣れた我が家を手放すことは、経済面でも心理面でも大きな決断です。この記事では、持ち家の売却から新居の購入まで、シニア世代の方が安心して住み替えを実現するための流れや注意点、成功事例をご紹介します。住み替えを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
・シニア世代が住み替えを検討する理由と適切なタイミング
・持ち家売却の流れと事前準備のポイント
・住み替え成功事例と失敗から学ぶ教訓
シニア世代が住み替えを検討する理由と適切なタイミング
シニア世代が住み替えを検討する理由はさまざまですが、大きく分けると「ライフスタイルの変化」と「将来への備え」の2つに分類できます。
ライフスタイルの変化による住み替えニーズ
子どもが独立して家を出ていく「空の巣症候群」は、住み替えを考えるきっかけになることが多いです。広い家は掃除や管理が大変になり、使わない部屋のために光熱費がかかるなど、維持コストの負担が増します。
東京都在住の田中さん(68歳)は「4LDKの家に夫婦二人だけで住んでいましたが、広すぎて掃除が大変でした。子どもたちが独立して5年が経ち、思い切ってコンパクトな2LDKのマンションに引っ越しました。管理費はかかりますが、全体的な負担は減りましたね」と語ります。
また、定年退職を機に、趣味や生きがいを重視した環境へ移りたいと考える方も増えています。都会の喧騒から離れて田舎暮らしを始めたり、逆に便利な都心に戻ったりするケースも少なくありません。
将来への備えとしての住み替え
年齢を重ねるにつれて、健康面や生活の利便性を考慮した住環境を求める声も高まります。現在の住まいが駅から遠い、坂が多い、エレベーターがないなど、将来的に不便を感じる可能性がある場合は、早めの住み替えを検討する価値があります。
国土交通省の調査によると、65歳以上の高齢者のいる世帯の約25%が住宅内で段差などのバリアに不便を感じているというデータがあります。実際に、転倒事故の約80%は自宅で起きているとされ、バリアフリー化された住環境の重要性は年々高まっています。
健康なうちに住み替えを済ませておくことで、緊急時に慌てずに済むというメリットもあります。突然の病気や怪我で歩行が困難になった場合、急いで住み替えを決断せざるを得なくなり、条件の悪い物件に妥協することになりかねません。
住み替えの適切なタイミング
住み替えのタイミングは、個人の状況によって異なりますが、専門家は「元気なうちに」が鉄則だと指摘します。住み替えは体力的にも精神的にも負担がかかるため、健康状態が良いうちに済ませておくことをおすすめします。
具体的には、60代前半〜中盤が理想的なタイミングとされています。この時期は、まだ体力があり、新しい環境への適応力も高く、住宅ローンを組む場合でも比較的融資を受けやすい年齢だからです。
ファイナンシャルプランナーの山田さんは「70歳を超えると住宅ローンの審査が厳しくなり、選択肢が限られてきます。また、不動産の売却や購入、引っ越しなどの手続きは想像以上に体力と気力を使うため、元気なうちに終わらせておくことが大切です」とアドバイスします。
また、不動産市場の動向も考慮すべき要素です。2025年問題(団塊の世代が全て75歳以上となる)以降、地方を中心に空き家が増加し、不動産の売却が難しくなる可能性があります。特に立地条件が良くない物件は、早めの売却を検討した方が良いでしょう。
住み替えを成功させるポイントは、「後悔しない決断」です。十分な情報収集と計画的な準備を行い、心の準備も含めて慎重に進めることが重要です。次のセクションでは、実際の持ち家売却の流れと準備のポイントについて詳しく見ていきましょう。
持ち家売却の流れと事前準備のポイント
持ち家を売却して住み替えを実現するためには、計画的な準備と正しい手順の理解が欠かせません。ここでは、売却から新居への移行までの流れを詳しく解説します。
持ち家売却の基本的な流れ
持ち家の売却プロセスは、大きく分けて以下の7ステップで進みます。
- 売却相談・市場調査: 複数の不動産会社に相談し、物件の適正価格を把握
- 媒介契約の締結: 信頼できる不動産会社と契約を結ぶ
- 物件の準備・販売開始: 内覧に向けた準備と販売活動のスタート
- 購入希望者との交渉: 価格や条件について話し合い
- 売買契約の締結: 正式な契約を結び、手付金を受け取る
- 残金決済・引き渡し: 残代金を受け取り、物件を引き渡す
- 確定申告: 必要に応じて譲渡所得税の申告を行う
このプロセスは、通常3〜6ヶ月程度かかります。特に人気エリアの物件であれば比較的早く売れますが、郊外や築年数の古い物件は時間がかかることもあります。余裕をもったスケジュール設定が重要です。
売却前の重要な事前準備
1. 物件の価値を正確に把握する
まずは自分の物件がいくらで売れるのかを知ることが大切です。不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社から無料で査定を受けられます。最低でも3社以上の査定を比較することをおすすめします。
査定額には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定はインターネット上で簡易的に行われるため、実際の価格とは差が出ることがあります。最終的には訪問査定を受けて、より正確な価格を把握しましょう。
横浜市で持ち家を売却した佐藤さん(65歳)は「最初は自分で相場を調べて2,800万円程度だと思っていましたが、実際に査定してもらうと3,200万円という評価でした。複数社に査定してもらって良かったです」と振り返ります。
2. 住宅ローンの残債を確認する
持ち家に住宅ローンが残っている場合は、正確な残債額を確認しておきましょう。売却金額が残債よりも低い場合は「任意売却」という方法を取るか、差額を自己資金で補填する必要があります。
また、住宅ローンの一括返済には「繰上返済手数料」がかかることがあります。事前に金融機関に確認し、費用計算に含めておくことが大切です。
3. 税金シミュレーションを行う
不動産売却で利益が出た場合、譲渡所得税がかかります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として課税され、税率は約20%(所得税15%、住民税5%)です。5年以下の場合は短期譲渡所得となり、約39%(所得税30%、住民税9%)と税率が高くなります。
ただし、自分が住んでいた家(居住用財産)を売却した場合、最大3,000万円までの特別控除が適用される可能性があります。また、売却後に住宅を購入する場合は「買い替え特例」も検討できます。
これらの税制は複雑なため、不動産に詳しい税理士や不動産会社のアドバイスを受けることをおすすめします。
売却を成功させるポイント
1. 売却のタイミングを見極める
不動産市場は季節によって動きが変わります。一般的に、転勤や入学シーズンに合わせた1〜3月は需要が高まる傾向にあります。また、ゴールデンウィークや夏休みなどの連休前後も物件見学が増える時期です。
ただし、立地や物件の状態など個別の要素も大きく影響するため、不動産のプロに相談して最適なタイミングを見極めることが大切です。
2. 内覧対策を徹底する
購入希望者の第一印象は非常に重要です。内覧前には徹底的に掃除を行い、不要な物は片付けておきましょう。特に玄関、キッチン、浴室、トイレなどの水回りは清潔感が重要です。
「ホームステージング」と呼ばれる、売却のための室内演出を行うことで、成約率が上がるとも言われています。プロに依頼するのも一つの方法ですが、基本的には「清潔・明るい・広く見せる」を意識した準備をしましょう。
3. 適切な不動産会社を選ぶ
売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社選びが重要です。以下のポイントを考慮して選びましょう:
- 地域の相場や特性に詳しいか
- 販売実績が豊富か
- コミュニケーションがスムーズに取れるか
- 媒介契約の種類と手数料は適切か
媒介契約には「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った契約形態を選びましょう。
シニア世代の住み替えに理解のある不動産会社を選ぶことも大切です。最近では「シニアの住み替え相談員」などの資格を持つスタッフがいる会社もあります。
次のセクションでは、実際にシニア世代の方々が住み替えを成功させた事例と、そこから学べる教訓をご紹介します。
住み替え成功事例と失敗から学ぶ教訓
ここでは、実際にシニア世代の方々が住み替えを成功させた事例と、住み替えの失敗から学べる教訓をご紹介します。これらの体験談は、これから住み替えを検討されている方にとって貴重な参考情報となるでしょう。
成功事例1:都心の一戸建てからコンパクトマンションへの住み替え
東京都世田谷区で35年間暮らしていた中村さん夫妻(70歳、68歳)は、4LDKの一戸建てを売却し、同じ区内の駅近2LDKマンションへ住み替えました。
「階段の上り下りが辛くなってきたのと、庭の手入れが負担になってきたのが住み替えのきっかけでした。でも、友人関係や通い慣れたスーパーやかかりつけ医を変えたくなかったので、同じ区内で探しました」と中村さんは語ります。
中村さん夫妻の住み替え成功のポイント:
- 売却前に必要経費(仲介手数料、引っ越し費用、リフォーム費用など)をしっかり計算
- 住み慣れた地域内で探したことで環境の変化を最小限に抑えた
- 売却と購入のタイミングを合わせるため、購入資金は親族から一時的に借りることで対応
- 購入したマンションは「サービス付き高齢者向け住宅」ではなく一般の分譲マンションだが、エレベーターや共用施設が充実していた
「売却金額は3,500万円で、新居購入に3,000万円使いました。差額は老後の資金として確保しています。住み替えてからは階段の心配がなくなり、掃除や庭の手入れの負担もなくなって、趣味の時間が増えました」と中村さんは満足そうに話します。
成功事例2:郊外から利便性の高い都心部への住み替え
大阪府郊外で一戸建てに住んでいた山本さん(72歳)は、一人暮らしになったことをきっかけに、大阪市内のマンションへ住み替えました。
「夫が亡くなってから家が広すぎると感じるようになりました。車の運転も不安になってきたので、電車やバスで移動できる便利な場所に引っ越したかったんです」と山本さん。
山本さんの住み替え成功のポイント:
- 不動産会社選びに時間をかけ、シニアの住み替えに詳しい会社を選定
- 売却前に必要最低限のリフォーム(クロスの張替えや水回りの修繕)を実施
- 住宅ローンなしで購入できる予算内で物件を探した
- 医療機関や商業施設が徒歩圏内にある物件を優先
「郊外の家は2,000万円で売却でき、都心のマンションを1,800万円で購入しました。残ったお金でインテリアを新調し、毎日の生活が楽しくなりました。何より、徒歩10分以内に病院やスーパー、図書館があるので、安心して暮らせています」と山本さんは話します。
成功事例3:老後の趣味を楽しむための田舎暮らし
東京都内のマンションに住んでいた鈴木さん夫妻(65歳、63歳)は、夫の定年退職を機に長野県の田舎町へ移住しました。
「退職後は自然の中で野菜作りをしたいという夢があったんです。都会の狭いマンションでは実現できませんでした」と鈴木さん。
鈴木さん夫妻の住み替え成功のポイント:
- 退職前から定期的に移住希望地を訪れ、地域の雰囲気を事前に確認
- 地元の不動産会社だけでなく、移住相談センターも活用
- 最初から家を購入せず、お試し住宅に数ヶ月住んでから決断
- 冬の生活や医療体制などの確認も徹底的に行った
「東京のマンションは4,500万円で売却でき、長野の一戸建ては1,800万円でした。差額は老後資金に回し、余裕のある生活ができています。週末には近所の人と一緒に畑仕事をしたり、山歩きを楽しんだりしています」と鈴木さんは笑顔で話します。
住み替えの失敗から学ぶ教訓
一方で、住み替えに失敗してしまったケースもあります。そのような体験から学べる教訓を紹介します。
教訓1:十分な下見と情報収集の重要性
神奈川県から静岡県の温暖な地域に移住した後藤さん(67歳)は、「夏は涼しい」という不動産会社の説明を信じて購入したものの、実際に住んでみると想像以上に蒸し暑く、冷房費が家計を圧迫するようになりました。
「季節ごとに何度か訪れるべきでした。短時間の見学だけで決めてしまったのが失敗でした」と後藤さんは振り返ります。
教訓2:将来の健康状態を見据えた計画を
埼玉県で自然豊かな土地に一戸建てを購入した井上さん(71歳)は、購入後3年で膝を悪くし、坂の多い地域での生活が困難になりました。
「健康なときは問題なかった坂道も、膝が悪くなるとこんなに大変だとは思いませんでした。もっと将来の身体の変化を考慮すべきでした」と井上さんは話します。
教訓3:コミュニティとの関係構築の難しさ
東京から北海道の小さな町に移住した村田さん(69歳)は、地元のコミュニティになじめず、孤独感を感じるようになりました。
「自然環境は素晴らしいのですが、長年住んでいる地元の方々の輪に入るのは想像以上に難しかったです。移住前にもっと地域の人々と交流する機会を持つべきでした」と村田さんは語ります。
成功のための共通ポイント
これらの事例から、住み替えを成功させるための共通ポイントが見えてきます:
- 十分な時間をかけて計画を立てる:最低でも1年程度の準備期間を設け、焦らずに進める
- 実際の生活をイメージした物件選び:交通の便、医療機関へのアクセス、買い物の利便性など、日常生活で重要な要素を優先する
- 将来の身体機能の変化を想定する:現在は問題なくても、5〜10年後の生活をイメージして物件を選ぶ
- 資金計画を綿密に立てる:売却・購入にかかる諸費用や、住み替え後の生活費の変化も考慮する
- お試し居住を活用する:可能であれば、購入前に短期滞在して生活感を体験する
シニア世代の住み替えは、単なる住居の変更ではなく、新しい生活スタイルへの移行です。失敗事例からも学びながら、慎重に、そして前向きに計画を進めることが大切です。
まとめ:シニア世代の住み替え成功のために
シニア世代の住み替えは、老後の生活の質を大きく左右する重要な決断です。この記事でご紹介した内容をまとめると、成功のためには以下のポイントがカギとなります。
計画的な準備が成功への第一歩
住み替えは、思い立ったらすぐにできるものではありません。特にシニア世代にとっては、十分な準備期間を設けることが重要です。持ち家の売却価格の調査、税金シミュレーション、新居の検討など、少なくとも1年程度の準備期間を確保しましょう。
「元気なうちに」という原則を忘れずに、60代前半〜中盤に計画を始めることが理想的です。健康状態が良いうちに住み替えを完了させることで、新しい環境にスムーズに適応できます。
経済面と生活面のバランスを考える
住み替えの判断は、経済的な側面だけでなく、生活の質も重要な要素です。売却益や維持費の削減といった経済的メリットと、利便性や快適性などの生活面でのメリットの両方を考慮しましょう。
紹介した成功事例のように「差額を老後資金に回す」「趣味の時間が増える」「通院や買い物が便利になる」など、住み替えによって得られる複合的なメリットを総合的に判断することが大切です。
専門家のサポートを積極的に活用する
不動産の売却・購入、税金対策、住宅ローンなど、住み替えに関わる専門知識は多岐にわたります。不動産会社、ファイナンシャルプランナー、税理士など、各分野の専門家のサポートを積極的に活用しましょう。
特に信頼できる不動産会社選びは重要です。複数の会社から話を聞き、自分の状況や希望を理解してくれる会社を選びましょう。シニア世代の住み替えに実績のある不動産会社であれば、より適切なアドバイスが得られるでしょう。
心の準備も忘れずに
長年住み慣れた家を手放すことは、経済的な決断だけでなく、精神的にも大きな決断です。思い出の詰まった家への愛着や、新しい環境への不安を感じるのは自然なことです。
無理に割り切ろうとせず、十分に心の準備をすることも大切です。家族や友人と話し合ったり、実際に住み替えを経験した人の話を聞いたりすることで、心の準備を整えましょう。
老後の住み替えは「終わり」ではなく「始まり」
住み替えは、老後の新しい生活の「始まり」です。住み替えを成功させた多くの方が「もっと早く決断すれば良かった」と話しています。身体的な負担が少なく、生活の質が向上したことで、新しい趣味を始めたり、地域活動に参加したりと、生活の幅が広がった例も多くあります。
住み替えを単なる「住まいの変更」ではなく、「新しい生活スタイルへの移行」と捉え、前向きに計画を進めることが、シニア世代の住み替え成功への鍵となるでしょう。
適切な時期に、十分な準備と情報を持って住み替えを実現し、豊かな老後生活を送られることを願っています。

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