【高齢者にやさしい家づくり】段差解消リフォームで実現するバリアフリーな住まい
公開日: : 最終更新日:2025/05/27 家づくりのお役立ち情報
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自宅の段差や階段に不安を感じることはありませんか?特に、ご両親やご家族に高齢者がいらっしゃるご家庭では、家の中の段差が大きな心配の種になることがあります。ちょっとした段差でつまずいて転倒するリスクは年齢とともに高まり、それが重大な怪我につながる可能性も。実は、家庭内での事故の多くが段差や階段での転倒が原因なのです。この記事では、家の中の段差を解消するリフォームの方法や、バリアフリー改修のための補助金制度まで、安心して長く住み続けられる住まいづくりのポイントをご紹介します。マイホームを計画中の方も、これから親世代と同居を考えている方も、未来を見据えた住まいづくりの参考にしてください。
目次
・段差が多い家で高齢者が直面するリスクとは
・段差解消リフォームの具体的な方法と費用相場
・活用したいバリアフリー改修の補助金と支援制度
段差が多い家で高齢者が直面するリスクとは
家の中の段差や階段は、私たちが普段何気なく通り過ぎている場所ですが、高齢者にとっては思わぬ危険が潜んでいます。厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者の約8割が転倒を経験しており、そのうち約3割が骨折などの重傷を負っています。特に家庭内での転倒事故は、段差のある場所で多く発生しています。
高齢者にとって危険な家庭内の段差ポイント
家の中で特に注意が必要な段差ポイントをいくつかご紹介します。
- 玄関の上がり框(あがりかまち)
日本の住宅の多くには、玄関から室内に上がる際に15〜20cmほどの段差があります。この段差は、高齢者にとって大きな障壁となり、つまずきの原因になりやすい場所です。特に外出から帰宅して疲れているときや、荷物を持っているときには注意が必要です。 - 和室と洋室の間の段差
和室と洋室の間には、畳の厚みによって2〜5cmほどの段差が生じることがあります。この小さな段差でも、視力が低下している高齢者にとっては気づきにくく、つまずきの原因となります。 - 浴室と脱衣所の段差
浴室と脱衣所の間には、防水のために5〜20cmほどの段差があるのが一般的です。この場所は床が濡れていることも多く、滑りやすい状態で段差があることで転倒リスクが高まります。高齢者の入浴事故の多くは、この出入り口での転倒が原因となっています。 - トイレの段差
洋式トイレでも、和式から洋式に変更した場合など、わずかな段差が残っていることがあります。夜間にトイレに行く際など、照明が暗い状態ではこの小さな段差も転倒の原因となります。
段差がもたらす健康リスクと心理的影響
段差による転倒は、単なる一時的な痛みだけでなく、高齢者の健康と生活の質に大きな影響を与えます。
身体的リスク:
- 骨折(特に大腿骨頚部骨折)
- 打撲や切り傷
- 頭部外傷
- 関節の損傷
高齢者が骨折した場合、若い世代と比べて回復に時間がかかり、寝たきりになるリスクも高まります。国立長寿医療研究センターの報告によれば、大腿骨頚部骨折後1年以内に約2割の方が亡くなり、約3割の方が寝たきりになるというデータもあります。
心理的影響:
- 転倒への恐怖感
- 外出や活動の制限
- 自立心の低下
- ストレスや不安の増加
「転ぶのが怖い」という恐怖心から、高齢者が自ら行動を制限してしまうことも少なくありません。これは「転倒恐怖」と呼ばれ、活動量の減少、筋力低下、さらなる転倒リスクの増加という悪循環を生み出します。
家族の負担と不安
高齢者本人だけでなく、家族にとっても段差の多い住環境は大きな心配の種です。
「母が階段から落ちないか心配で、外出するたびに不安になります」 「父が一人で入浴している間、ずっと転倒の心配をしています」
こうした声は、高齢者を持つ家族からよく聞かれます。常に見守りが必要な状況は、家族の精神的負担になるだけでなく、仕事との両立も難しくなります。
また、介護が必要になった場合、段差の多い家では介護そのものが難しくなります。車椅子が必要になった場合、段差があると移動の自由が大幅に制限され、在宅介護の質が低下してしまうのです。
将来を見据えた住まいづくりの重要性
マイホームを計画中の方にとって、今は元気でも将来的な加齢に備えた住まいづくりを考えることは非常に重要です。
住宅は数十年という長期にわたって使用するものです。今は若くて段差を楽々と越えられても、10年後、20年後にはどうでしょうか。また、両親が遊びに来たり、将来同居する可能性を考えると、最初からバリアフリーを意識した設計にしておくことで、後々の大規模リフォームの手間やコストを抑えることができます。
次のセクションでは、こうした段差を解消するためのリフォーム方法とその費用相場について詳しく見ていきましょう。
段差解消リフォームの具体的な方法と費用相場
段差解消リフォームは、場所や状況によって様々な方法があります。ここでは、家の中の主要な段差箇所ごとに具体的な解消方法と費用相場をご紹介します。
玄関の段差解消方法
玄関は外部と内部をつなぐ重要な場所であり、防犯や防水の観点から段差が設けられています。しかし、この段差を工夫して解消することで、安全性を高めることができます。
1. スロープの設置
最も一般的な方法は、段差部分にスロープを設置することです。素材には木製、アルミ製、樹脂製などがあり、固定式と可動式があります。
- 固定式スロープ: 設置工事が必要ですが、安定性が高く、見た目もすっきりします。費用は5万円〜15万円程度。
- 可動式スロープ: 工事不要で簡単に設置できます。必要なときだけ使用できるため、スペースに制約がある場合に便利です。費用は1万円〜5万円程度。
2. 框(かまち)を低くする工事
玄関の上がり框自体を低くする工事も可能です。床面を一部掘り下げるか、内部の床を上げるかの2種類の方法があります。費用は15万円〜30万円程度かかりますが、見た目の美しさや使い勝手は大きく向上します。
3. 手すりの設置
段差をなくせない場合でも、手すりを付けることで安全性を高めることができます。縦手すりと横手すりを組み合わせると、立ち上がりと移動の両方をサポートできます。費用は1万円〜3万円程度。
室内の段差解消方法
和室と洋室の間や、廊下と居室の間などの小さな段差も、高齢者にとっては転倒リスクとなります。
1. 段差スロープ材の使用
5cm以下の小さな段差であれば、段差スロープ材を使って傾斜をつけることで解消できます。DIYでも取り付け可能で、費用は数千円〜2万円程度です。
2. フローリングの張り替え
全面的な改修を行う場合は、床材の張り替えによって段差をなくす方法があります。下地から調整して床の高さを揃えることで、バリアフリーな空間に生まれ変わります。費用は1畳あたり2万円〜5万円程度。
3. 段差解消プレートの設置
既存の床を活かしながら、段差部分だけに傾斜のついたプレートを設置する方法です。木製や樹脂製のものがあり、費用は5千円〜3万円程度です。
浴室・トイレの段差解消方法
水回りの段差は特に危険なエリアです。滑りやすい環境と段差が組み合わさることで、転倒リスクが高まります。
1. 浴室の段差解消
浴室と脱衣所の段差を解消するには、いくつかの方法があります。
- 浴室の床を上げる: 浴室内の床をかさ上げして脱衣所との段差をなくす方法です。費用は20万円〜40万円程度。
- 脱衣所の床を下げる: 脱衣所側の床を下げて高さを合わせる方法です。大掛かりな工事になりますが、根本的な解決になります。費用は30万円〜60万円程度。
- スロープと手すりの組み合わせ: 完全に段差をなくせない場合は、傾斜のあるスロープと手すりを組み合わせることで安全性を高めます。費用は5万円〜15万円程度。
2. トイレの段差解消
トイレの段差解消も浴室と同様の方法で行えますが、比較的小規模な工事で済むことが多いです。
- 床のかさ上げ: トイレ内の床を上げて段差をなくします。費用は5万円〜15万円程度。
- 段差解消プレート: 小さな段差であれば、専用のプレートを設置することで対応できます。費用は5千円〜2万円程度。
階段の安全対策
完全に階段をなくすことが難しい場合でも、安全対策を施すことで転倒リスクを減らすことができます。
1. 手すりの設置
階段の両側に手すりを設置することで、上り下りの安全性が大きく向上します。費用は直線階段で5万円〜10万円程度。
2. 階段の滑り止め
階段の踏み面に滑り止めを施すことで、足を滑らせるリスクを減らせます。費用は数千円〜2万円程度。
3. 階段昇降機の設置
高齢者の身体状況によっては、階段昇降機(いわゆる椅子式リフト)の設置も選択肢となります。設置費用は50万円〜150万円程度かかりますが、2階への移動が自立できるようになります。
段差解消リフォームの総費用相場
段差解消リフォームの総費用は、改修する場所や方法によって大きく異なります。部分的な対応から全面的なバリアフリーリフォームまで、目的に応じた選択が可能です。
部分的な段差解消
玄関や浴室など、特定の場所だけの段差解消であれば、10万円〜50万円程度で対応できることが多いです。
全面的なバリアフリーリフォーム
家全体の段差をなくし、廊下の幅を広げたり、手すりを適所に設置するといった総合的なバリアフリーリフォームの場合は、100万円〜300万円程度の費用がかかります。
注意点
リフォーム費用は地域や工務店によって差があります。また、既存の住宅の構造によっては追加工事が必要になる場合もあるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
「最初は玄関だけのつもりでしたが、せっかくなら浴室もバリアフリーにしようと範囲を広げました。結果的に両親が安心して暮らせるようになり、費用以上の価値がありました」(50代女性)
次のセクションでは、こうした段差解消リフォームを実施する際に活用できる、バリアフリー改修のための補助金や支援制度について詳しく見ていきましょう。
活用したいバリアフリー改修の補助金と支援制度
段差解消リフォームなどのバリアフリー改修は、安全で快適な住環境を実現するために重要ですが、費用面での負担が心配な方も多いでしょう。実は、国や自治体ではさまざまな補助金や支援制度を設けており、適切に活用することでリフォーム費用の負担を軽減できます。ここでは、主な制度とその申請方法について解説します。
介護保険を活用した住宅改修費支給制度
介護保険の要支援・要介護認定を受けている方が対象となる制度です。住宅改修費として最大20万円まで支給されます(自己負担1〜3割)。
対象となる工事内容:
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑りにくい床材への変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式トイレへの便器の取り替え
- これらの工事に付帯して必要となる工事
申請の流れ:
- ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談
- 住宅改修が必要な理由書を作成してもらう
- 工事業者から見積もりを取る
- 事前申請を市区町村に提出
- 工事実施
- 工事後に領収書などを添えて支給申請
「母が要介護2になったのを機に、手すりの設置と玄関の段差解消工事をしました。介護保険を使って自己負担は約4万円で済みました。事前にケアマネジャーさんに相談したのが良かったです」(60代女性)
自治体独自の住宅改修補助金
多くの自治体では、介護保険とは別に独自の住宅改修補助金制度を設けています。対象者や補助金額は自治体によって異なりますが、介護保険と併用できる場合も多いです。
一般的な対象者:
- 65歳以上の高齢者がいる世帯
- 障がい者がいる世帯
- 介護保険の対象とならない40歳未満の方がいる世帯
補助金額の例:
- 工事費用の1/3〜1/2を補助
- 上限10万円〜50万円まで(自治体による)
「市の高齢者住宅改修補助金を利用して、浴室の段差解消と手すり設置をしました。介護保険と合わせて使えたので、30万円の工事でも自己負担は約10万円で済みました」(70代男性)
お住まいの自治体の公式ウェブサイトや福祉課に問い合わせることで、利用可能な制度を確認できます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
国土交通省が実施している事業で、耐震性や省エネ性能とともにバリアフリー性能を向上させるリフォームに対して支援が受けられます。
補助額:
- 工事費用の1/3以内
- 上限100万円〜300万円(リフォーム内容による)
対象工事例:
- 段差解消を含むバリアフリー改修
- 耐震改修
- 省エネ改修
- その他性能向上リフォーム
この制度は毎年公募があり、申請には一定の基準を満たす必要があります。詳細は国土交通省のウェブサイトで確認するか、制度に詳しいリフォーム業者に相談するとよいでしょう。
住宅ローン減税(バリアフリー改修)
一定のバリアフリー改修工事を行った場合、住宅ローン減税の特例が適用される場合があります。
控除額:
- ローン年末残高の2%を所得税から控除
- 最大控除額:バリアフリー改修工事で62.5万円
適用条件:
- 50歳以上の者または要介護・要支援認定を受けている者が居住する住宅であること
- 一定のバリアフリー改修工事であること
- 工事費用が50万円超であること
税務署や税理士に相談することで、詳細な適用条件や申請方法を確認できます。
リフォーム減税(バリアフリー投資型)
バリアフリー改修工事を行った場合、所得税の特別控除が受けられる制度です。
控除額:
- 標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除
- 最大控除額:20万円
適用条件:
- 自己居住用の住宅であること
- 一定のバリアフリー改修工事であること
- 工事費用が50万円超であること
- 50歳以上の者または要介護・要支援認定を受けている者が居住する住宅であること
この制度は住宅ローン減税との選択制となっています。どちらが有利かは個別の状況によって異なるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
補助金・支援制度を活用する際のポイント
1. 事前申請が必要な制度が多い
多くの補助金制度は、工事前の申請が必要です。工事を始めてから申請しても補助金が受けられないケースがほとんどなので、計画段階から情報収集を行いましょう。
2. 複数の制度を組み合わせる
介護保険と自治体の補助金など、複数の制度を併用できる場合があります。それぞれの制度の条件を確認しながら、最大限活用する方法を検討してください。
3. 専門家や業者に相談する
補助金や減税制度に詳しいリフォーム業者やケアマネジャー、税理士などの専門家に相談することで、適切な制度選択や申請のサポートを受けられます。
4. 必要書類を事前に確認する
申請には住民票、所得証明書、工事前後の写真など、さまざまな書類が必要です。事前に必要書類をリストアップしておくと、スムーズに申請できます。
「最初は制度が複雑で戸惑いましたが、バリアフリーリフォームに詳しい工務店さんに相談したことで、適切な補助金を利用できました。結果的に予算内で希望の工事ができて大満足です」(50代女性)
段差解消リフォームで実現する安心の住まい〜まとめ〜
家の中の段差は、高齢者にとって転倒リスクを高める大きな要因となります。特に玄関、浴室、トイレなどの水回り、和室と洋室の境目などの段差は要注意です。これらの段差を解消するリフォームを行うことで、高齢者だけでなく家族全員が安心して暮らせる住環境を実現することができます。
段差解消リフォームには、スロープの設置、床のかさ上げ、手すりの設置など、場所や状況に応じたさまざまな方法があります。費用は部分的な改修であれば10万円〜50万円程度、家全体の総合的なバリアフリーリフォームなら100万円〜300万円程度が目安となります。
さらに、介護保険の住宅改修費支給制度や自治体独自の補助金、国の支援事業、税制優遇措置など、バリアフリー改修を支援するさまざまな制度があります。これらを上手に活用することで、リフォーム費用の負担を軽減できます。
マイホームを計画中の方は、最初からバリアフリーを意識した設計にすることで、将来的なリフォームの手間やコストを抑えることができます。また、すでにお住まいの方も、高齢者が元気なうちに段差解消リフォームを行っておくことで、転倒事故のリスクを減らし、長く安心して暮らせる住まいを実現できます。
転ばぬ先の杖というように、事前の対策が何より重要です。家族みんなが安心して過ごせる住まいづくりに、ぜひ段差解消リフォームを検討してみてください。専門家に相談しながら、ご家族の状況に合った最適な方法を見つけていきましょう。

「家を建てたい人と、地域に根ざした信頼ある工務店をつなぐ」ことを使命に、全国の工務店情報・家づくりノウハウ・実例写真などをお届けする住宅情報サイトを運営しています。家づくり初心者の方が安心して計画を進められるよう、専門家の知識やユーザー視点の情報発信を心がけています。住宅計画の疑問や不安にも寄り添い、役立つ情報をお届けします。
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