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強いブランドを築く!工務店の長期的な成長戦略

公開日: : 工務店 経営

工務店経営は、住宅市場の変動や顧客ニーズの多様化、業界内競争の激化など、決して容易ではありません。利益率や受注数を左右するのは、単なる品質や価格だけでなく、長期的な経営戦略と独自のブランド価値がいかに築けるかという点です。
「他社とどう差別化できるのか」「どうすれば持続的に成長できるのか」「ブランドの意味と具体的な活用法は?」——こうした疑問を感じている工務店経営者様も多いはずです。
この記事では、そうした疑問や課題に寄り添いながら、強いブランドを築き、安定成長を実現するための経営戦略とブランド価値の活用方法を、実践手順と共に詳しく解説します。現場ですぐに実行できるノウハウを、段階ごとに分かりやすくまとめました。本記事を読むことで、貴社が中長期的に地域で選ばれ続けるための確かな一歩を踏み出せます。

ブランド価値の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店が長期的に成長を図るためには、単なる宣伝や営業活動だけではなく、市場と顧客に「あなたの工務店だから選びたい」と思わせるブランド価値の創造が欠かせません。しかし、具体的にどこから手を付ければよいのか分からない方も多いでしょう。ここでは、ブランド価値を経営戦略の中核に据え、実際の行動に落とし込むためのステップを順を追って解説します。

1. 自社の価値(バリュー)を明確に定義する

経営戦略の第一歩は、自社が顧客や社会に対してどのような価値を提供できるのかを言語化することです。具体的には下記のアクションを取ることをおすすめします。

  • 過去の施工事例から「お客様に最も喜ばれた点」を5件以上ピックアップ
  • 社内スタッフとブレインストーミングを行い、「自社の強み」「他社との違い」「理念」をそれぞれ30分程度で整理
  • 書き出した内容を、「技術力」「価格」「対応力」「デザイン力」「地域貢献」などに分類し、中心となる価値を3つに絞る

ブランド価値は、この「中心となる自社の特徴や強み」を明文化したものとなります。

2. ターゲット顧客像(ペルソナ)の明確化

優れた経営戦略は「誰を喜ばせたいか」が明確です。顧客の年齢層、家族構成、ライフスタイル、価値観などを細かく設定した「ペルソナ」を用意しましょう。

  • 自社で実際に成約したお客様3例をもとに、共通点や特徴を書き出す
  • 理想的な顧客について、「年齢・性別・家族構成・職業・住まいの希望」などプロファイルを言語化
  • ペルソナに響く言葉やデザイン、サービスを洗い出す

これにより企業のブランド価値が届くターゲット層が明確となり、本当に必要とするお客様へ訴求できます。

3. ブランドストーリーとビジュアルアイデンティティの構築

ブランド価値をより深く認知してもらうには、「物語」や「ビジュアル」で感情に訴えかけることが重要です。

  • 創業の想いや転機となった出来事を、エモーショナルなストーリーとしてまとめる
  • 会社ロゴやホームページなどのデザインを、社のバリューやペルソナに沿って刷新する
  • 施工写真や現場スタッフの紹介など、“顔が見える”コンテンツを積極的に発信する

ブランド価値は見える化されて初めて顧客の心に残ります。

4. ブランド価値の社内浸透と現場での実践

せっかく磨き上げたブランド価値も、現場でスタッフ全員が同じ方向性で行動しない限り、実効性が薄まりやすいものです。経営戦略の強化には、現場レベルでの落とし込みが必須です。

  • 定期的な勉強会や朝礼で、ブランド価値や理念をスタッフ全員と共有する
  • 現場事例や顧客アンケートで、ブランド体現度合いをチームで振り返る
  • “自社らしい言葉遣い”や“現場対応マニュアル”を作成し、日常業務に反映する

5. 顧客接点でブランド価値を体現する仕組みづくり

ブランド価値を最も実感してもらうのは、やはりお客様との接点です。問い合わせ対応から引渡しまで、一貫してブランド価値が伝わる顧客体験を設計することが重要です。

  • 問い合わせフォームや電話応対フローを、「迅速・誠実」「専門性」などのバリューに最適化
  • 見学会やイベント時に「ブランドメッセージ」を伝える小冊子やツールを配布
  • 施工現場の掲示や、アフターサービスの案内文などにもブランドメッセージを明示

これらの手順を通じて、ブランド価値は実際の顧客体験にまで昇華されます。ここまで実行することで、「どこに頼んでも同じ」ではなく、「この会社だからお願いしたい」という指名が得られる経営戦略へと進化します。

経営戦略×ブランド価値:成果を最大化する具体的な取り組み

経営戦略にブランド価値を取り込むことで、受注の安定化やリピート率の向上、業界内での地位確立といった実利を得られます。ここでは、現場ですぐに開始できる具体的な仕組み、それぞれの効果、併せて多くの経営者が抱えがちな潜在的な疑問への回答もご紹介します。

1. 「ブランド×価格」の見積もり戦略

「値引き競争から脱却したい」「単価アップを目指したい」という声は多いです。自社ブランドの価値が価格だけでないことを示すには、下記の戦略が有効です。

  • 見積書や提案書の冒頭に「自社ならではの提案書」と明示し、工事内容+αのメリットを言語化する
  • 価格明細だけでなく「品質保証」「アフター対応」「現場管理」の強みをセットで盛り込む
  • 見積比較時には「価格以外の価値(ブランド価値)」が伝わる資料や実例を必ず添付

このアプローチにより、単なる金額比較から抜け出し、「納得のうえで選ばれる」営業体制が構築可能です。

2. 地域密着型のコミュニティ戦略

地域ビルダーとして、地域社会との信頼を強化することも重要な経営戦略です。ブランド価値を高める地域密着型の取り組み手順は、以下の通りです。

  • 地域の清掃活動、協賛イベント、防災訓練などに積極参加。SNSやニュースレターで報告
  • 地域の最新不動産事情や家づくりコラムを、定期的に公式サイトやSNSで発信
  • 狭いエリアに絞って「地元店舗とのコラボ企画(イベント、福利厚生)」を実施

これにより、「地域のために存在する工務店」というブランド像を確立でき、外部企業と差別化できます。

3. お客様の声・施工事例の活用で信頼の連鎖を生む

現場での施工事例やお客様からの声は、無形資産として大きなブランド価値となります。まず下記のようなアクションを実施しましょう。

  • 引渡し後、写真撮影やインタビューの許可をいただき、施工事例ページやSNSで公開
  • 「なぜ他社ではなく御社を選んだのか」を深掘りする質問を用意し、生の声を引き出す
  • ご家族写真・住み心地のコメントなど、多様なフォーマットでコンテンツ発信

これらは、新規顧客の信頼獲得に大きく寄与し、口コミや紹介リピートも生まれやすくなります。

4. ブランド価値広報のための“情報発信設計”

専門知識や施工ノウハウだけでなく、「どのような工務店なのか」「どんな思いで家づくりに向き合っているのか」を発信し続けることが、ブランド価値の土壌を育てます。

  • ブログ・SNS・動画で「現場の工夫」「スタッフの人柄」「こだわりエピソード」を定期配信
  • 季節ごと・イベントごとに「家づくりの楽しさ」や「失敗しないコツ」の無料資料を提供
  • 新築・リフォームなどテーマごとに専門コンテンツを用意し、自社への相談導線を明確化

企業として情報発信の型を作ることで、「この会社の考え方が好き」と感じてもらえる土台ができます。

5. よくある疑問・FAQ

  • Q. ブランド価値を築くのに、どのくらいの時間が掛かるのか?
    A.
    一朝一夕でできるものではありません。まずは半年~1年をかけて基礎作り、2年目以降に定着・強化を図るのが現実的です。「発信」と「現場体験」が積み重なるほど、ブランドは強化されます。
  • Q. スタッフがブランド価値を意識しなくなってしまうことへの対策は?
    A.
    定期的なワークショップや朝礼で理念を共有し、現場事例を定期的にフィードバックすることが効果的です。理念の可視化や社内表彰制度も役立ちます。
  • Q. ブランド価値をホームページや広告でどう伝えればいい?
    A.
    事例紹介やお客様の声、ブランドストーリーを「見える化」すること。ビジュアルとコピー文の一貫性が大切です。専用の「ブランドページ」を用意すると、より明確に伝わります。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

ブランド価値を取り入れた経営戦略は、一度作って終わりではありません。市場や顧客ニーズの変化、スタッフの入れ替わりなど、環境に応じてアップデートが必要です。成果を継続・拡大するための具体的アクションを体系的にまとめます。

1. 定期的なブランド価値の棚卸し・再認識

半年または1年に一度、ブランド価値が市場や社内でどう受け止められているのかをレビューする習慣を持ちましょう。

  • 事例集や営業日報など、実際の顧客評価や反応を一覧化
  • 1年で最も評価された点、逆に伝わりにくかった点をチーム内でディスカッション
  • 必要に応じてブランドストーリーやキーメッセージをリライト

社内外の声に耳を傾け、新しい価値を加える柔軟性が重要です。

2. 効果測定とKPI(重要業績評価指標)の設定

経営戦略が成果につながっているかを把握するために、具体的な指標を設けることをおすすめします。

  • 「問い合わせ数」「成約率」「お客様の声の数」「現場スタッフの理念実践数」などを設定
  • ウェブ解析(Googleアナリティクス等)でのブランド名検索数や滞在時間のモニタリング
  • 定性面では、定期的なお客様アンケートやリピート率分析も組み合わせる

定量・定性の両面から数値を定め、戦略のPDCAサイクルに生かします。

3. 他社との差別化を再強化する新たな取り組み

市場の競争環境は常に変化しています。時流に応じた新サービスや提案を打ち出しましょう。

  • 最新の省エネ・健康住宅トレンドに対応したプランを定期的に投入
  • デジタル技術(例:バーチャル内覧)の活用や、新しい施工手法の導入
  • 他業種や地域店舗とのコラボレーション、限定特典イベントの開催

「変わらぬ部分」と「進化し続ける部分」のバランスを取りながら、常に選ばれるポジションを守りましょう。

4. 人材育成とブランドマインドの連鎖

経営戦略を長期的に成功させるには、理念やブランド価値を次世代スタッフに着実に伝えていく取り組みが要です。

  • 内定者や新入社員向けにブランド体現ワーク研修を設ける
  • 現場リーダーやベテランによるボトムアップのフィードバック会
  • 目標管理制度に「理念達成度」指標を組み込む

この積み重ねにより、会社としての“芯”がぶれず、現場力も安定します。

5. 予期せぬトラブル・クレーム対応をブランド価値強化の機会にする

経営戦略の実践現場では、時としてクレームや予期せぬトラブルが生じます。これを「真摯で誠実な対応」によってブランド価値向上の機会へと変換しましょう。

  • クレーム内容・対応プロセスをナレッジ化し社内共有、日々の朝礼で振り返り
  • 事後報告や謝罪の仕組みを整備し、「約束を守る姿勢」を全スタッフの共通認識に
  • 問題から得た学びをブランドストーリーの一部に組み込む

誠実な危機対応もまた、強いブランドの構成要素となります。

まとめ

工務店の持続的成長には、経営戦略の中にブランド価値を取り込み、市場・顧客・スタッフの三方に伝わる取り組みへと昇華させることが不可欠です。本記事でご紹介した「自社の強み・ペルソナの明確化」「ブランドストーリー構築」「現場での体現」「定期的な棚卸し・効果測定・人材育成」などの実践ステップを、一つずつ着実に積み上げていきましょう。
たとえ競争が激しくても、芯の通ったブランド価値を価値提供の土台に据えることで、単なる価格競争から抜け出し、顧客満足とリピート獲得、業界内での独自ポジション確立へと繋がります。
地道な努力がやがて地域の信頼を集め、社員一人ひとりにも自信となって帰ってきます。読者の皆様が、今日から未来へと続く成長のスタートを切れるよう、この記事がその一助となれば幸いです。今こそ、自社だけの唯一無二のブランドとともに、長期的な繁栄を実現してください。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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