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事業承継補助金を活用する!工務店の資金調達

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、近年、経営者の高齢化や後継者不足という課題は、業界全体に大きな影響をもたらしています。事業承継は単なる“世代交代”ではなく、会社の理念や強みを受け継ぎ、市場環境の変化に対応していくために欠かせないプロセスです。しかし多くの場合、資金面での不安が立ちはだかります。そうした中、「事業承継補助金」という国や自治体の支援策をいかに実践的に活用するかが、資金調達とスムーズな承継の鍵となってきました。

本記事では、事業承継に関する準備手順から補助金申請・活用のノウハウ、成果を最大化する具体策、そして未来につなげる応用力までをステップごとにわかりやすく解説します。経験者のリアルな課題に共感しつつ、今日から実行に移せるアクションプランを多数紹介しますので、「今すぐ取り組みたい」「会社を守り、成長させたい」という皆様に最良のヒントをお届けします。

事業承継補助金の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

事業承継は、単にオーナーが変わるだけでなく、工務店のビジネスモデルや従業員、地域社会との信頼関係を持続・革新するための大きな転換点です。特に、補助金制度を有効に使いこなすには、正しい知識と手順、現場レベルで役立つ実践策を押さえる必要があります。ここでは、工務店が「事業承継補助金」を活用し、資金調達から承継後までを円滑に進めるための現実的な流れを、以下のステップで案内します。

1. 自社の現状と事業承継の目的を明確にする

まず最初に、自社の強み・弱みを正確に洗い出し、「なぜ今事業承継に取り組むのか」「補助金によって何を実現したいか」を整理しましょう。これが事業承継計画や補助金申請の明瞭な道しるべになります。具体的には、現社長やキーパーソン、経営幹部と率直な対話を重ね、事業ビジョン・課題を書き出しましょう。
アクション:SWOT分析を行い、5年後の工務店像をイメージ図にする。

2. 適切な事業承継スキーム・承継者を選定する

承継方法は主に「親族内承継」「従業員承継」「M&A」など複数あります。工務店では家業性が強い傾向があるため、誰を次期後継者にするかを丁寧に検討し、法的・税制面も十分にチェックしましょう。この段階で公認会計士・税理士・中小企業診断士と連携し、将来的な障害やリスクを洗い出しておくことが重要です。
アクション:承継候補者へのヒアリングや面談を計画的に行う。

3. 事業承継計画書を作成する

補助金申請には、事業承継計画書の提出が求められるケースが大半です。この計画書では、現状分析・後継者育成計画・承継方針・財務計画・組織再編などを具体的に記載します。審査を意識し、エビデンスや数値目標、リスク管理策を盛り込みましょう。
アクション:自社の現状資料・ビジョン・財務データをまとめ、専門家にレビュー依頼。

4. 事業承継補助金の最新情報を収集する

事業承継補助金は毎年内容が更新され、申請要件や支給範囲も変動します。経済産業省や中小企業庁、地方自治体、中小企業支援センターなどの公式サイトで最新情報を入手してください。また、過去の採択事例・不採択理由を調べることで自社の申請戦略が立ちます。
アクション:申請期間や必要書類、注意点をチェックリスト化。

5. 補助金の申請準備と提出

申請時には事業計画書、承継計画書、財務諸表、見積書、各種誓約書など膨大な資料が求められます。公募期間が限られているため、事前準備は必須です。また、不明点は地域の商工会や専門家に早めに相談しましょう。
アクション:チェックリストに従い、資料作成と期日の2重管理を徹底。

6. 補助金採択後の注意点(実施・報告)

採択後、計画通りに事業を実施し、期日までに実績報告書や経費証憑などを提出する必要があります。不備があると助成金返還となりかねないため、証拠書類の保管、帳簿の明瞭化が重要です。
アクション:補助事業の進捗管理表・証憑管理フォルダを作成。

7. 事業承継後のモニタリングと次の資金活用

補助金で得た成果の見える化、従業員や顧客への説明・共有を行いましょう。また、追加の成長投資や新規事業開発を視野に入れ、再度補助制度や金融支援策の活用も検討してください。
アクション:事業承継完了後1年を目処に、改善計画と次期投資プランを策定。

コラム:事業承継の失敗例〜現場で起きやすい落とし穴

・承継者育成が不十分で退職者が多数発生
・補助金活用後のフォロー不足による資金ショート
・申請スケジュールの遅れで全体が頓挫 など
現場では“準備不足”が失敗の大半です。上記チェックリストを元に、一歩先を見越した行動を心掛けましょう。

事業承継×事業承継補助金:成果を最大化する具体的な取り組み

成功する事業承継には、補助金を「単なる資金調達」にとどめず、経営革新や業務効率化、価値創造に結び付ける「攻め」の視点が不可欠です。この章では、工務店が事業承継補助金で最大の成果を得るための実務アプローチと具体策、よくある疑問への実践的回答をステップ式に紹介します。

1. 補助金を使った設備投資・業務転換の実例

承継時に補助金を活用し、最新CADシステム、水災害対策設備、エコ対応建材の導入など時代に合った投資を先取りできます。資金不足で見送ってきた設備・DX投資をこの機会に一気に進めましょう。
アクション:承継計画に「設備更新プラン」を具体的に盛り込む。

2. 生産性向上・人材育成に重点投資する

新たなリーダー体制で業務効率化やIT化に着手する企業も増えています。例えば現場のIoT機器導入、人材マネジメントソフト活用、女性・若手の積極的登用などが補助対象となる場合も。
アクション:「人材育成」「IT化」など成長分野に資金を重点配分。

3. 補助金の申請ノウハウ:採択率を上げるコツ

審査通過のためには「社会性」「地域性」「イノベーション」「雇用創出」など、国・自治体が重視するキーワードを事業計画書に的確に反映させましょう。事業承継を通じてどんな社会的価値・地域貢献を果たすかを数値・事例をもって具体的に示すことが肝要です。また、「想定外リスク」や「計画の持続性」にも触れておくと、審査官への説得力が高まります。
アクション:自社の沿革や地域活動、採用実績も盛り込む。

4. 定期的な進捗共有と従業員巻き込みのポイント

承継と同時に生じる“社内不安”“抵抗感”には、現場の声を聞くコミュニケーション体制・定期報告会の開催が効果的です。また、補助金活用は従業員全員の成果として捉え、透明性の高い進行管理を行いましょう。
アクション:進捗会議や社内報など「見える化ツール」を導入。

5. 顧客・地域社会への承継アピール策

工務店の信頼は、地域密着やお客様との長年の絆から生まれます。承継・補助金活用により、業務改善や新サービスの提供、イベント開催等、地域貢献活動を強化することで会社のブランド価値が高まります。
アクション:プレスリリース・ホームページで承継ストーリーを発信。

6. 事業承継補助金とその他の助成金・融資との組み合わせ活用

事業承継補助金だけでなく、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、地方創生ファンド、保証協会付き融資などを組み合わせることで資金調達の幅が広がります。併用ルールに留意しつつ“資金繰り表”を作成しましょう。
アクション:金融機関・支援機関に事前相談を行う。

よくある質問(FAQ)

  • Q. 事業承継補助金は誰でも利用できますか?
    A. 中小企業基本法で定める中小企業(従業員数・資本金等)で、一定の事業承継要件を満たす工務店が対象です。事前の公募要領確認が不可欠です。
  • Q. 親族外承継・M&Aでも補助金は使えますか?
    A. 親族外承継や第三者M&Aも一定要件下で対象となります。具体的な内容は公表資料や専門家への問い合わせで確認してください。
  • Q. 補助金申請は自社でできますか?外部委託した方がよいですか?
    A. 基本的に自社主体の申請が望ましいですが、経験豊富な中小企業診断士・士業と連携することで採択率を高められます。また、公的支援機関を積極的に活用しましょう。
  • Q. 補助金をもらった後の監査・報告義務は?
    A. 実績報告や経費証憑提出、数年間の事業継続など義務があります。不正や虚偽が判明すると返還要請が生じますのでご注意ください。

実践例:資金を活かした成長戦略

ある工務店では、事業承継補助金でノウハウ継承研修を実施し業務標準化を実現。その後IoT設備を一斉導入し、若手技術者の定着率も向上、売上拡大へつなげました。資金投入は“未来志向の投資”でこそ最大化します。

事業承継を継続的に成功させるための「次の一手」

事業承継と補助金活用で「承継完了=ゴール」と考えやすいですが、むしろここからが第二の経営改革期です。長期安定経営、持続可能な成長のために必要な継続策と、次世代リーダー育成や事業のアップデート事例をご紹介します。

1. 承継後のビジョン設定と定期モニタリング

定例経営会議や計画管理システムを導入し、毎期の業績・社員満足度・顧客満足度を追跡しましょう。問題点が見つかったら早期対応し、補助金の成果を検証する仕組みを整えます。
アクション:KPIを毎期更新し、課題→対策のPDCAサイクルを導入。

2. 次世代経営者・リーダー層の継続育成

定期的な外部研修、士業や経営者団体の勉強会への参加を奨励し「承継者の孤立」を防ぎましょう。社内の経営幹部候補を計画的に選抜・育成し、一部職務を委譲することで組織の多様性が高まります。
アクション:OJT研修・外部勉強会への投資予算を確保。

3. 社内・社外への現状開示と信頼構築

承継や補助金効果の“見える化レポート”を作成し、全従業員・協力業者・金融機関・主要顧客に定期発信することで「応援される組織」へ進化できます。

アクション:定例進捗レポートやアンケートで改善点を共有。

4. 新事業・多角化への挑戦計画

社会の変化や顧客ニーズ多様化に対応するため、既存事業の深化・新サービス開発も欠かせません。例えばリフォーム事業やZEH対応、住環境アドバイザリーなど、多様なメニューを試し、チームの成長につなげましょう。
アクション:地域ニーズ調査や新規事業アイデアコンテストを開催。

5. 再度の補助金・優遇策活用による資金循環

国や自治体の制度は毎年改正され、複数回申請できるケースも。「うちは一度もらったからもう対象外」と決めつけず、次の成長資金として積極提案しましょう。また金融機関との関係構築も「承継後1年以内」に強化される傾向があるため、日々の情報交換が重要です。
アクション:補助金ニュースレター購読や税理士・士業との月例面談を継続。

事業承継失敗を防ぐ常設チェックリスト

  • 1年後・3年後の組織構図と業績目標を明記
  • 事業計画・成長戦略の“見直しタイミング”を明文化
  • 後継者の外部ネットワーク強化を継続
  • 周囲の期待値・社内風土を定期的にチェック
  • 承継を通じた自社ブランディングを恒常化

応用事例:承継後の新たな市場開拓

工務店A社では、事業承継後に補助金を活用し、BIM設計サービスやバリアフリーリフォーム事業を新展開。地元自治体や設計事務所と連携し新分野への進出に成功し、売上高もV字回復を果たしています。承継は「守り」ではなく「攻め」の出発点となり得ます。

まとめ

本記事では、工務店が事業承継を成功させるためのポイントと、事業承継補助金を活用した資金調達から成長戦略までの具体的手順・注意点を網羅的にご紹介しました。特に、「計画的な準備」「現実的な書類作成」「従業員・地域との連携」「投資の見える化」といったアクションは、どの規模の工務店にも再現可能な実践策です。
事業承継や補助金活用は、一度実行したら終わりではなく、日常の業務改善や市場対応力を高め続ける「持続型プロジェクト」として継続的なモニタリングや見直しが重要です。
今日から始められる「社内共有」「進捗管理」「定例報告」の一歩が、御社の数年後の発展の礎になります。資金調達や承継課題に悩む方も、今ここから確かな未来づくりを始めましょう。地道な準備と周囲を巻き込む実効力が、きっと次世代の繁栄につながるはずです。

この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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