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住宅展示場での顧客導線を意識したブース設計

公開日: : 工務店 経営

工務店の経営者様にとって、集客と契約は常に重要な課題です。特に、多くのコストと労力をかけて出展する住宅展示場では、その投資対効果を最大化することが求められます。しかし、ただ出展するだけでは、来場者は増えず、せっかく足を運んでくれたお客様も他社ブースへ流れていってしまいます。「なぜうちのブースには人が集まらないんだろう?」「せっかく話しても、なかなか次に繋がらない…」そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。その解決の鍵を握るのが、「顧客導線」の戦略的な設計です。

住宅展示場における顧客導線とは、お客様があなたのブースの前に立ち止まり、興味を持ち、中に入り、展示物を見て回り、スタッフと話し、最終的に次のステップ(資料請求、個別相談予約など)に進むまでの、心理的・物理的な流れ全体を指します。この顧客導線を意識するかしないかで、住宅展示場からの成果は劇的に変わります。

この記事では、住宅展示場での集客力と成約率を飛躍的に向上させるための、顧客導線を意識したブース設計から接客、そしてその後のフォローに至るまでを、実践的かつ具体的なステップで解説します。この記事を読むことで、あなたは住宅展示場に漫然と出展するのではなく、明確な戦略のもとで顧客を迎えることができるようになります。お客様を惹きつけ、興味を引き出し、信頼関係を築き、そして確実な結果に繋げるための行動プランを手に入れましょう。

住宅展示場で成果を出すための基盤:「顧客導線」の概念と重要性

住宅展示場への出展は、新しい顧客との出会いを創出する絶好の機会です。しかし、多くの場合、理想と現実にはギャップがあります。「ブース前は賑わっているのに、中に人が入ってこない」「説明してもあまり反応がない」「最後にアンケートすら書いてもらえない」といった経験はありませんか? これらの課題は、多くの場合、住宅展示場における顧客導線が十分に設計されていないことに起因します。

では、そもそも顧客導線とは何でしょうか? 顧客導線とは、文字通り、お客様(顧客)があなたの商品やサービスに関心を持ち始めてから、最終的に購入や契約という行動に至るまでの道のり全体のことを指します。ウェブサイトであれば、トップページから商品ページ、カート、購入完了までのクリックの流れ。店舗であれば、入店から商品選び、レジまでの通路の流れです。住宅展示場においては、あなたのブースを認識し、立ち寄り、中に足を踏み入れ、各展示物を見学し、スタッフと会話し、資料を受け取り、次のアポイントに繋がるまでの一連の流れすべてが顧客導線となります。

なぜ住宅展示場で顧客導線が重要なのでしょうか。それは住宅という高額な買い物において、お客様は非常に慎重であり、多くの情報と信頼を求めているからです。限られた時間の中で、お客様の疑問を解消し、興味を引きつけ、あなたの工務店の魅力や家づくりの考え方に共感してもらい、信頼関係を築き、次のステップへと自然に誘導する必要があります。優れた顧客導線は、お客様がストレスなく、心地よく、そして期待以上の情報や体験を得ながら、あなたの工務店のファンになっていくための地図となるのです。

漫然とモデルハウスを見せるだけでは、通りすがりのお客様の印象に残る可能性は低いでしょう。戦略的に設計された顧客導線は、お客様の「知りたい」「体験したい」「相談したい」といった潜在的なニーズを掘り起こし、的確なタイミングで適切な情報やアプローチを提供することを可能にします。これにより、単なる「来場者」を「見込み顧客」へと変換し、さらには「契約顧客」へと育成する確率を高めることができます。住宅展示場を成功させるためには、顧客導線の設計は欠かせない基盤と言えるでしょう。

住宅展示場における顧客導線の構成要素

住宅展示場での顧客導線を考える際、いくつかの重要な要素があります。

  1. **物理的な導線:** お客様がブースのどこから入り、どこを通り、どこへ出るかという実際の移動経路です。入口の分かりやすさ、通路の幅、展示物の配置などが影響します。
  2. **情報の導線:** お客様が何を、いつ知る必要があるかという情報の流れです。ブースの外から見える情報、中に入って最初に目にする情報、スタッフとの会話で得られる情報、資料で持ち帰る情報などがあります。
  3. **感情・心理的な導線:** お客様がブース内でどのような感情(興味、安心、感動、期待)を抱き、それが次の行動にどう繋がるかという内面的な変化です。呼び込みの言葉、ブースの雰囲気、スタッフの対応などが影響します。
  4. **行動の導線:** お客様に最終的にどのような行動(アンケート記入、資料請求、個別相談予約など)をとってほしいか、そしてそこへスムーズに誘導するための仕掛けです。特典、声かけ、導線上の誘導などが含まれます。

これらの要素を総合的に考慮して、住宅展示場での顧客導線を戦略的に設計していく必要があります。次章では、これらの要素を踏まえた具体的なブース設計と実践方法について詳しく見ていきましょう。

住宅展示場ブース設計の核心:具体的な「顧客導線」設計ステップ

住宅展示場における顧客導線の設計は、単にブースの見た目を飾ることとは異なります。それは、お客様の心理と行動を深く理解し、彼らが求める情報や体験を最適な形で提供するための戦略そのものです。ここでは、住宅展示場での成果を最大化するための、具体的で実践的な顧客導線設計のステップを解説します。

ステップ1:ターゲット顧客の「来場目的」と「心理」を徹底的に深掘りする

ブース設計を始める前に、最も重要なのは「誰に」「何を伝えたいか」を明確にすることです。あなたの工務店がターゲットとする顧客層は誰ですか? その顧客層は、住宅展示場にどのような目的で来場しますか? (例:情報収集、他社比較、具体的な相談、冷やかし、イベント目的)。そして、彼らはあなたのブースの前を通りかかった時、どのような感情や疑問を抱くでしょうか?

  • 「どんな工務店だろう?」
  • 「他の会社とどう違うの?」
  • 「うちが建てたい家と合いそうか?」
  • 「高そうかな?安そうかな?」
  • 「スタッフは話しやすそうか?」

これらの潜在的な疑問や不安をリストアップし、それぞれの疑問に対して、ブースの外観、内部の展示、スタッフの最初のアプローチでどのように答えられるかを考えます。ターゲット顧客が求める情報(価格帯、デザインテイスト、性能、実績、こだわりの素材など)を洗い出し、それをどのタイミングで提供するのが最も効果的かを検討することが、顧客導線設計の出発点となります。

ステップ2:ブースの「物理的な流れ」を最適に設計する

ターゲット顧客の心理を理解したら、次はブース内の物理的な顧客導線設計です。お客様が自然と関心を持ち、奥へと進みたくなるような流れを作り出しましょう。

  1. **入口での「掴み」を設計する:** ブースの外観や入口付近は、お客様が立ち止まるか通り過ぎるかを瞬時に判断する最初の接点です。
    • **分かりやすい特徴のアピール:** 遠くからでもあなたの工務店のコンセプトや強みが伝わる看板やフラッグ、アイキャッチとなる構造物などを設置します。(例:「自然素材の家」「耐震等級3+α」「デザイン住宅 事例集」など)
    • **入りやすい雰囲気作り:** 開放的な入口、明るい照明、 welcoming なスタッフの配置などが重要です。入り口が狭かったり、スタッフが出口を塞いでいたりすると、お客様は敬遠してしまいます。
    • **興味を引く展示:** 入口付近に、思わず立ち止まって見たくなるような魅力的な展示物(ミニチュア模型、高品質な素材サンプル、目を引く施工写真など)を配置します。
  2. **内部のゾーン分けと配置:** ブース内の広さを活かして、いくつかのゾーンに分け、お客様の関心の変化に合わせて展示物や情報を配置します。一般的な住宅展示場の場合、以下のようなゾーニングが考えられます。
    • **受付・ウェルカムゾーン:** お客様を迎え入れ、軽い声がけや簡単な説明を行うスペース。ここにアンケート用紙や資料請求用のQRコードなどを設置しても良いでしょう。
    • **体感・展示ゾーン:** 実際に素材に触れたり、空間デザインを体感したりできるエリア。高性能サッシ、断熱材のサンプル、無垢材の床、工夫された収納スペースなど、あなたの工務店のこだわりや他社との差別化ポイントを視覚的・触覚的にアピールします。
    • **情報・相談ゾーン:** より詳しい情報を提供したり、お客様の質問に答えたりするエリア。施工事例集、会社概要、価格帯、家づくりの流れなどをパネルやタブレットで提示。落ち着いて座って相談できるスペースも設けます。
    • **キッズスペース:** 小さなお子様連れのお客様がゆっくり話を聞けるように、簡単な遊び場があると親御さんにとって非常に助かります。

    これらのゾーンを、入口から奥へ、そして最終的に相談スペースや出口へと自然に流れるように配置します。通路は広めに確保し、お客様がスムーズに移動できるように配慮しましょう。

  3. **視線の誘導:** お客様の視線が自然と重要な展示物や情報源、そしてスタッフへと向かうように工夫します。照明の当て方、壁面のデザイン、展示物の高さなどを調整します。例えば、まず会社のコンセプトを示すメッセージパネルに視線を誘導し、次に体感できる素材サンプルへ、最後に相談スペースへと導くといった流れを意識します。

ステップ3:情報提供と「体験」の質を高める

物理的な顧客導線ができたら、次はその流れの中で提供する「情報」と「体験」の設計です。単に情報を羅列するのではなく、お客様が「知りたい」「面白い」「試したい」と感じるような工夫を凝らします。

  • **分かりやすく魅力的な情報提示:** パネルやサイネージに情報量を詰め込みすぎず、写真やイラストを多用して視覚的に分かりやすくします。キャッチコピーはお客様のメリットを意識したものにしましょう。デジタルサイネージで施工事例のスライドショーや、VRで仮想モデルハウスの見学を提供することも効果的です。
  • **五感を刺激する体験:** 住宅展示場ならではの強みは、実際に見て、触って、感じてもらえることです。
    • 無垢材の床の質感や香り
    • 漆喰や珪藻土など自然素材の壁の風合い
    • 高性能サッシの断熱性・防音性のデモンストレーション(体感ボックスなど)
    • 空調システムによる快適な室内環境
    • 実際に家具を配置した空間の居心地の良さ

    お客様が「お、これは!」と感じるような具体的な体験を提供することで、記憶に残りやすくなります。

  • **インタラクティブな仕掛け:** 一方的に見せるだけでなく、お客様が参加できる要素を取り入れます。
    • 希望するデザインテイストやライフスタイルに関する簡単なチェックリスト
    • 使用したい素材の人気投票
    • タブレットを使った家づくりのステップ解説クイズ
    • お子様向けの木育ワークショップ

    これにより、お客様のエンゲージメント(関与度)を高め、スタッフとの会話のきっかけを作ることもできます。

ステップ4:スタッフの配置と接客スキルを磨く

どんなに素晴らしいブース設計も、対応するスタッフの質が悪ければ台無しです。スタッフは顧客導線上の最も重要な要素の一つです。彼らの動きと対応は、お客様の心理的な導線に直接影響します。

  • **役割分担と配置:** 受付担当、案内担当、説明担当、相談担当など、役割を明確に定めます。お客様の導線に合わせて、適切な役割のスタッフが配置されるように計画します。例えば、入口付近には気軽に声がけできるフレンドリーなスタッフ、相談コーナーには専門知識を持った担当者を配置するなどです。
  • **声がけのタイミングと内容:** お客様がブースに興味を示し始めた、特定の展示物の前で立ち止まった、といった兆候を見逃さず、適切なタイミングで声がけを行います。一方的な説明ではなく、「何か気になる点はございますか?」「その素材にご興味ありますか?」など、お客様の関心を引き出し、会話のきっかけを作ることを意識します。
  • **傾聴と共感の姿勢:** お客様の話を丁寧聞き、ニーズや疑問を正確に把握することが重要です。「〇〇なんですね、よく分かります」といった共感の言葉を挟むことで、お客様は安心して自分のことを話せるようになります。
  • **会社の「顔」としての振る舞い:** 清潔感のある身だしなみ、明るい笑顔、丁寧な言葉遣いは最低限のマナーです。あなたの工務店の家づくりに対する情熱やこだわりを、自信を持って、しかし押しつけがましくなく伝えることが大切です。
  • **情報共有の徹底:** スタッフ間で来場者の状況や、お客様との会話内容についてリアルタイムで情報共有できる体制を整えます。これにより、担当者が変わってもスムーズな対応が可能になり、お客様に「また同じことを話さなきゃ」というストレスを与えません。

特に、若いスタッフや経験の浅いスタッフには、想定される質問集とその回答、お客様への声がけマニュアルなどを用意し、ロールプレイング研修を行うなど、接客スキルの底上げを図ることが重要です。

ステップ5:次のアクションへの「クロージング導線」を設計する

お客様にブース内で良い体験を提供し、興味を持ってもらったら、次に繋げるための具体的な行動へと誘導する必要があります。これがクロージング導線です。

  • **最もスムーズな「次」を提示する:** お客様の関心度や来場目的に応じて、最適な次のステップを提示します。
    • 軽い情報収集段階のお客様には:「ぜひ資料をお持ちください」「ウェブサイトで更に詳しい情報をご覧いただけます」
    • ある程度具体的に検討しているお客様には:「弊社の構造見学会に来てみませんか?」「個別の資金計画相談も受け付けています」
    • 真剣に検討段階のお客様には:「具体的なご要望をお伺いするお時間をいただけますでしょうか?」「担当者から改めてご連絡差し上げてもよろしいでしょうか?」

    選択肢を提示し、お客様自身に選んでもらうように促します。

  • **特典やメリットを提示する:** アンケート記入や個別相談予約など、お客様に何らかの行動をとってもらうためには、その行動をとるメリットを明確に提示することが効果的です。(例:「アンケートにお答えいただいた方には、家づくりに役立つ小冊子をプレゼント!」「〇日までに個別相談をご予約いただいた方には、建築費用から〇万円割引!」など)
  • **情報取得のハードルを下げる:** 資料請求や問い合わせが簡単にできる仕組みを作ります。QRコードを複数箇所に設置したり、タブレットですぐに入力できるフォームを用意したり、簡単なパンフレットを自由に持ち帰れるコーナーを設置したりします。
  • **出口近くでの再アプローチ:** ブースの出口付近で、最後に「何かご不明な点はございませんでしたか?」「資料は十分でしょうか?」といった声がけや、改めて工務店の強みを簡潔に伝えることで、印象を強化し、次の行動へ促す最後の機会とします。

住宅展示場でのよくある疑問とその解決策

**Q:人がなかなかブース内に入ってきてくれません。どうすればいいですか?**

A:ブースの外観や入口付近の「掴み」が弱い可能性があります。遠くからでも目を引く工夫(デザイン、看板、展示物)や、お客様が「何があるんだろう?」と興味を持つような仕掛け(体験デモ、魅力的な写真パネル)が必要です。また、スタッフが入口付近で明るく声がけしたり、気軽に立ち寄れるような開放的な雰囲気を作ったりすることも重要です。

**Q:お客様はブース内を見てくれるのですが、スタッフに話しかけてくれません。**

A:お客様は「話しかけられると、しつこく営業されるのではないか」と警戒している場合があります。まずは、お客様の邪魔にならない距離で見守りつつ、目線があったら軽く会釈するなど、安心感を与える対応を心がけてください。そして、「何かお困りですか?」よりも「この○○にご興味ございますか?」「素敵なものですよね」など、展示物や空間について軽い話題から入るようにすると、会話のきっかけを作りやすくなります。また、気軽に質問できる「Q&Aコーナー」のような場所を設けるのも良いでしょう。

**Q:一生懸命説明しても、「検討します」と言われて次に繋がりません。**

A:お客様が「検討します」と言う背景には、「他に良い会社があるかも」「まだ情報が足りない」「予算的に不安」「今は具体的な時期じゃない」など、様々な理由があります。重要なのは、説明の終わり方で「次のステップ」を提示するクロージング導線を明確にすることです。単に「資料請求」「相談予約」と言うだけでなく、それによってお客様がどんなメリットを得られるのか(例:「家づくりセミナーで失敗しない資金計画を学べます」「個別相談なら、もっと具体的な間取りの相談もできます」)を具体的に伝えましょう。また、お客様からの質問や反応から、隠れたニーズや懸念点を引き出し、それに対して丁寧に応えることで、信頼感を高めることができます。

住宅展示場の効果を最大化する継続的な取り組みと改善策

住宅展示場への出展は、開催当日がゴールではありません。むしろ、そこからが始まりです。住宅展示場で得た見込み顧客を育成し、最終的な成果に繋げるためには、開催前、開催中、開催後の一連の流れをしっかりと設計し、継続的に改善していく必要があります。顧客導線は、この長期的な視点においても非常に重要です.

ステップ1:住宅展示場開催中のリアルタイム観察と迅速な微調整

住宅展示場開催中は、設計した顧客導線が実際に機能しているかをリアルタイムで観察し、必要に応じて微調整を行うことが重要です。

  • **お客様の動きを観察する:** どこで立ち止まるか、どこを素通りするか、どの展示物に興味を示すか、どのエリアに人が集まるかなどを注意深く観察します。想定していた顧客導線と実際の動きにズレがないかを確認します。
  • **スタッフ間の情報共有:** 定期的にスタッフ間でミーティングを行い、来場者の反応、よくある質問、課題点などを共有します。「〇〇に関する質問が多いから、その情報を強化しよう」「キッズスペースが人気だから、その近くで親御さんに話しかけてみよう」など、迅速な改善策を検討・実行します。
  • **効果測定指標(KPI)の確認:** 来場者数、アンケート回収率、個別相談予約数など、事前に設定したKPIの途中経過を確認します。目標に対して遅れている場合は、原因を探り、対策を講じます。

例えば、「特定の構造モデルの前で立ち止まるお客様が多い」と分かれば、その近くに担当者を配置したり、解説パネルを追加したりといった対応が考えられます。また、「アンケート回収率が低い」場合は、アンケートの質問項目を見直したり、特典を魅力的なものに変更したりします。

ステップ2:住宅展示場終了後のデータ分析と徹底的な振り返り

住宅展示場終了後、収集したデータを分析し、出展の成果と課題を客観的に振り返ります。

  • **成果の定量・定性分析:** 設定したKPI(来場者数、アンケート回収数・率、個別相談予約数、追客からのアポイント獲得数、最終的な成約数など)を正確に集計・分析します。同時に、お客様からの声、スタッフの気づきなどの定性情報も整理します。
  • **顧客導線上のボトルネック特定:** 来場者は多かったがアンケート回収率が低い、アンケートは多いが個別相談に繋がらない、など、顧客導線のどの段階で離脱が多いのか、ボトルネックとなっている箇所を特定します。
  • **仮説検証:** 事前に立てた「こういうブース設計ならうまくいくはず」「こういう接客をすれば予約に繋がるはず」といった仮説が正しかったのかを検証します。
  • **成功要因と改善点の洗い出し:** 何が成功の要因だったのか、何が課題だったのかを具体的に洗い出します。これらの分析結果を、次回の住宅展示場や他のマーケティング活動に活かすための重要なインサイトとします。

ステップ3:見込み顧客への継続的な追客と関係構築

住宅展示場で接点を持てたお客様は、あなたの工務店に少なからず関心を持っている見込み顧客です。彼らとの関係性を継続していくことが、最終的な成果に繋がります。

  • **迅速かつパーソナルなフォローアップ:** 展示場来場後、できるだけ早いタイミングで感謝のメールや手紙を送付します。アンケート内容や会話で得た情報を基に、お客様の関心に合わせたパーソナルなメッセージを添えることで、特別感を演出し、あなたの工務店への印象を強化します。「〇〇の素材にご興味をお持ちとのことでしたので、詳しい資料をお送りします」「資金計画についてご質問されていましたが、個別相談ではより具体的にお話しできます」など、個別具体的な内容に触れることが重要です。
  • **ステップメールやニュースレター:** お客様の検討段階に合わせて、段階的に役立つ情報(家づくりのステップ、土地探しのコツ、税制優遇情報、失敗談から学ぶ注意点など)を提供するステップメールや、定期的なニュースレターを配信します。単なる売り込みではなく、お客様の家づくりをサポートする情報提供のスタンスを崩さないことが信頼構築に繋がります。
  • **イベントやセミナーへの誘導:** 構造見学会、完成見学会、家づくりセミナーなど、次のステップとなるイベントやセミナーへの参加を促します。展示場での接点から、より深くあなたの工務店の家づくりや考え方を理解してもらう機会を提供します。初回参加特典などを設けるのも効果的です。
  • **電話でのフォロー:** お客様のアンケート内容やこれまでのやり取りから見て、電話でのフォローが有効だと判断できる場合は、適切なタイミングで電話をかけます。一方的な営業ではなく、「先日はいありがとうございました。その後、何か気になる点やご不明な点はございませんか?」といった、お客様の状況を伺うスタンスで臨みます。

追客においては、顧客管理システム(CRM)などを活用し、お客様一人ひとりの状況や関心度を記録・共有し、適切なタイミングで最適なアプローチができる体制を構築することが理想です。

ステップ4:次回の住宅展示場出展に向けた改善プランの策定

前のステップで洗い出した「成功要因」と「改善点」に基づき、次回の住宅展示場出展に向けた具体的な改善プランを策定します。

  • **顧客導線の再設計:** 以前のデータを基に、物理的な顧客導線、情報の導線、心理的な導線、行動の導線において、どこをどのように改善すればより効果的になるかを具体的に検討します。「〇〇の展示物をもっと手前に持ってこよう」「相談コーナーをもう少し奥の落ち着いた場所に移動しよう」「アンケートの質問項目を減らそう」「次回の特典をもっと魅力的なものに変えよう」など、具体的なアクションプランを立てます。
  • **ブースデザイン・展示物の見直し:** 分析結果から、お客様の興味を引かなかった展示物があれば改善・入替を検討し、逆に好評だった展示物はさらに強化します。新しい技術やトレンドを取り入れることも検討します。
  • **スタッフ研修の実施:** 接客スキルに課題があった場合は、ロールプレイングやマニュアル改訂などの研修を実施します。前回の反省点を踏まえ、具体的なケーススタディを用いて練習することも効果的です。
  • **目標設定の見直し:** 前回の実績を踏まえ、次回の住宅展示場での具体的な目標(来場者数、予約数など)を現実的かつ挑戦的なものに設定します。

住宅展示場への出展は、一度行えば終わりではなく、継続的にPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act:計画→実行→評価→改善)を回し、顧客導線やブース設計、接客などを常に見直していくことで、費用対効果を高め、より多くの成果に繋げることができます。

まとめ

住宅展示場での成功は、単にブースを設営して待っているだけでは掴めません。それは、戦略的に設計された**顧客導線**に基づき、お客様の来場目的や心理を深く理解し、彼らが求める情報と体験を最適な形で提供することによって初めて実現します。この記事で解説した**住宅展示場**における顧客導線の概念理解から始まり、具体的なブースの物理的・情報的な流れの設計、体験価値の向上、スタッフの育成、そしてクロージング導線の確立は、すべてお客様を惹きつけ、関係性を構築し、次のステップへ誘導するために不可欠な要素です。

さらに、住宅展示場開催中のリアルタイムな観察と迅速な対応、そして開催後の徹底的なデータ分析と振り返り、継続的な追客と関係構築を経て、次回の出展に向けた具体的な改善策を策定する一連のプロセスは、あなたの工務店が住宅展示場という場で継続的に成果を出し続けるための強力な羅針盤となります。一度の出展で終わらせず、PDCAサイクルを回し続けることが、投資対効果を最大化し、安定した集客と成約に繋がる道です。

今日学ぶんだこれらの具体的なステップとノウハウを、ぜひあなたの次回の住宅展示場出展で実践してみてください。小さな改善の積み重ねが、やがて大きな成果に繋がります。お客様の目線に立ち、心地よく、価値ある体験を提供できる顧客導線を設計することで、あなたのブースは来場者で賑わい、そこに確かなビジネスチャンスが生まれるはずです。住宅展示場を、あなたの工務店の成長を加速させる戦略的な場へと変えていきましょう。あなたの挑戦を応援しています!

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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。 今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」 ※8月実施予定。 住宅サイトの運営もしています。 福島県 喜多方市出身 県立会津高校卒 市立高崎経済大学卒 著書: 頼みたくなる住宅営業になれる本 https://x.gd/oatiM SDGsに取り組もう 建築業界編 https://x.gd/MXYJr とっておきの見込み客発掘法 https://x.gd/001or 主な講演: 鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」 リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト) 育英西中学校 その他住宅FCなど 活動実績 2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア 2020~ 木ッズ絵画コンクール
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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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