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イベントからリピーターへ!顧客をファンにする育成術

公開日: : 工務店 経営

工務店を経営されている皆様、日々の業務本当にお疲れ様です。新規のお客様を獲得するための集客活動や、建設現場での監理、職人さんとの連携など、その業務は多岐にわたります。特に近年、競争は激化し、インターネットやSNSの普及により情報過多の時代となりました。そのような状況下で、新規顧客獲得のコストは上昇の一途をたどり、安定した経営基盤を築くことの難しさを痛感されている方も少なくないでしょう。

しかし、お客様との関係性を深め、「リピーター」や「ファン」を育成することで、この課題を大きく改善することができます。なぜなら、一度自社の家づくりを体験し、満足してくださったお客様は、新規顧客獲得よりもはるかに低いコストで再受注や、何よりも貴重な「紹介」を生み出してくれるからです。さらに、熱心なファンは、企業のブランドイメージ向上や口コミでの拡散にも貢献してくれます。

では、どうすればお客様を単なる「顧客」から、自社の「ファン」、つまり「リピーター」へと育てることができるのでしょうか?その強力な手段の一つが「イベント」の活用です。完成見学会やOB様感謝祭といったイベントは、お客様と直接顔を合わせ、家づくりのこだわりや企業の姿勢を伝え、共感を呼ぶ絶好の機会となります。

この記事では、工務店経営者の皆様が、「イベント」を通じてお客様との絆を深め、継続的な「リピーター育成」に繋げ、最終的には自社の熱狂的な「ファン」を増やしていくための、具体的かつ実践的な手順を余すところなくご紹介します。「イベントを企画したいけど、何をすればいいか分からない」「イベントをやっても、その場で終わってしまって次に繋がらない」「どうやったらお客様がファンになってくれるの?」といった具体的な疑問に対し、すぐに実行できるアクションプランを提供します。

この記事を読み終える頃には、イベントを単なる「集客施策」としてではなく、「リピーター育成」のための重要な戦略と捉え、お客様との長期的な関係構築を通じて安定した経営を実現するための道筋が見えていることでしょう。さあ、イベントから始まる、顧客をファンにする育成術を一緒に学び、実践していきましょう。

ファンを生み出すイベントの企画と準備:成功へのロードマップ

お客様をリピーターやファンにするためには、まずお客様との良好なファーストコンタクトや継続的な接点を持つことが重要です。イベントは、これらを効果的に実現するための強力なツールとなります。しかし、ただ闇雲にイベントを開催しても、期待する「リピーター育成」には繋がりません。ここからは、成功するイベントを企画し、リピーター育成の土台を築くための具体的なステップを見ていきましょう。

手順1:リピーター育成目標の明確化

イベントの企画を始める前に、どのようなお客様を、どのようにリピーターとして育成したいのか、その目標を具体的に設定します。「イベント参加者のうち、〇%を追客リストに加える」「イベント後〇ヶ月以内に〇件の個別相談を獲得する」「イベント参加者から〇件の紹介を生み出す」など、具体的な数字を交えて目標を設定することで、イベント内容やその後のフォローアップ計画が明確になります。この目標設定こそが、イベントを単なる単発の集客とせず、リピーター育成という長期的な視点に繋げる第一歩です。

手順2:ターゲット顧客(ペルソナ)の設定とニーズ分析

どのようなお客様に来てほしいのかを明確にします。漠然と「家を建てたい人」ではなく、「30代後半の共働き夫婦で、都心から郊外に移住を考えている」「子育てが一段落し、バリアフリーや断熱性能を重視する50代夫婦」のように、具体的なペルソナを設定します。その上で、設定したペルソナがどのような情報に関心があり、どのような疑問や不安を抱えているのかを深く分析します。このニーズ分析が、後述するイベント企画の根幹となります。例えば、「デザイン性が高い家を見たい」のか、「地震に強い家について知りたい」のか、「ローコストで建てる方法を知りたい」のかによって、企画すべきイベントの種類は全く異なります。顧客のニーズを深く理解することが、イベントの満足度を高め、リピーター育成に繋がります。

手順3:目的とターゲットに合ったイベント形式の選定

手順1で設定した目標と、手順2で分析したターゲットのニーズに基づき、最適なイベント形式を選びます。工務店が実施できるイベントには様々な種類があります。

  • 完成見学会:実際に建てられた家のデザイン、間取り、設備などを顧客体験として提供できます。ターゲット顧客が具体的に家づくりのイメージを掴むのに最適です。
  • 構造見学会:普段は見えない、建物の構造や断熱、耐震などの技術的なこだわりを見せることができます。品質や安全性に関心が高い顧客、技術的な信頼感を重視する顧客に響きます。
  • セミナー・勉強会:資金計画、土地探し、省エネ住宅など、家づくりに関する専門知識を提供します。情報収集段階の顧客や、特定のテーマに関心のある顧客の疑問解消に繋がります。
  • ワークショップ:手作り体験(木工、塗り壁など)を通じて、家づくりの楽しさや素材の良さを伝えることができます。ファミリー層や体験型コンテンツを好む顧客に有効です。
  • OB施主様感謝祭・交流会:既存のお客様との関係性を深め、口コミや紹介を促進します。リピーター育成の集大成とも言えるイベントです。

目標達成とターゲット顧客の満足度を高めるためには、これらのイベント形式の中から、最も効果的なものを選ぶことが重要です。例えば、まだ具体的な家づくりのイメージが湧いていないお客様には、セミナーやワークショップで気軽に楽しんでもらいつつ知識を提供し、関係を構築していくのが良いでしょう。一方、すでに複数の選択肢で迷っているお客様には、完成見学会で「住むイメージ」を具体的に膨らませてもらうのが効果的です。

手順4:魅力的なイベント企画とコンテンツ開発

選定したイベント形式に基づき、具体的な企画内容を詰めます。ターゲット顧客の手順2で分析したニーズに応えるコンテンツを開発します。完成見学会であれば、単に家を見せるだけでなく、「この家のこだわりのポイント」「なぜこの間取りにしたのか」「使用した建材のメリット」などを分かりやすく説明するガイドツアーや、個別相談の時間を用意します。セミナーであれば、講師の選定、資料作成、Q&A時間を設けるなどが含まれます。どのような小さなイベントであっても、「お客様が何を持ち帰れるか(知識、体験、安心感など)」を常に意識することが、イベントの質を高め、リピーター育成の可能性を高めます。

手順5:効果的な集客戦略の立案と実行

どんなに素晴らしいイベントを企画しても、お客様に来ていただかなければ意味がありません。ターゲット顧客に効果的にリーチするための集客戦略を立て、実行します。オンラインとオフラインの両面からアプローチしましょう。

  • オンライン:自社ウェブサイトでの告知、ブログ記事、SNS(Instagram, Facebook, Xなど)での発信、地域密着型のポータルサイトや住宅情報サイトへの掲載、オンライン広告(リスティング広告、ディスプレイ広告)など。ターゲット層に合わせた媒体を選び、イベントの魅力を伝えるキャッチコピーや写真、動画を活用します。
  • オフライン:地域コミュニティ向けのチラシ配布、ポスティング、新聞折り込み、既存のお客様へのダイレクトメール、地域イベントでの告知、地元の商店や公共施設へのポスター掲示など。特に既存のお客様への情報は、リピーター育成という意味でも非常に重要です。

集客活動はイベント開催の数週間〜数ヶ月前から計画的に実施します。特に人気のあるイベント形式や、参加人数に限りがある場合は、早期からの告知が効果的です。

手順6:参加へのハードルを下げる申し込みプロセスの設計

興味を持ってくれたお客様が、スムーズに申し込みできるように、申し込みプロセスを簡潔に設計します。ウェブサイトからの申し込みフォーム、メール、電話、FAXなど、複数の申し込み方法を用意し、お客様の都合に合わせて選べるようにします。申し込みフォームは入力項目を最低限にし、PCからもスマートフォンからも簡単にアクセスできるデザインにします。また、申し込み完了メールやリマインダーメールを送ることで、お客様の安心感を高め、イベント当日のドタキャンを防ぐ効果も期待できます。

手順7:イベント前の個別コミュニケーションと期待感醸成

申し込みが完了したお客様には、イベント開催までの間に何度かコミュニケーションを取ることで、期待感を高め、より深い関係構築のきっかけを作ります。イベント内容の詳細を再度連絡したり、当日の持ち物やアクセス方法、駐車場の案内などを丁寧に行います。可能であれば、事前に電話で簡単なヒアリング(参加の動機、特に知りたいことなど)を行うことで、イベント当日の対応を個別最適化し、お客様の満足度をさらに高めることができます。この一歩踏み込んだコミュニケーションが、イベント当日の会話の質を高め、その後のリピーター育成に大きく貢献します。

【Q&A】イベント企画・準備のよくある疑問

Q: 小規模な工務店でもイベントはできますか?
A:
はい、可能です。大規模な集客イベントだけでなく、OB施主様を数組お呼びしてのアットホームな感謝祭や交流会、あるいは事務所での無料相談会といった形でも十分なイベントになります。重要なのは「集客数」だけでなく、「どのようなお客様と、どれだけ深いコミュニケーションを取るか」です。限られたリソースでも、顧客との関係性を深めることに主眼を置いたイベントは十分に実施できます。

Q: 完成見学会と構造見学会、どちらが良いですか?
A:
ターゲット顧客とイベントの目的に依ります。具体的な暮らしをイメージしてもらいたいなら完成見学会、自社の技術力や品質へのこだわりを伝えたいなら構造見学会が適しています。双方に関心を持つお客様もいるため、両方のイベントを企画したり、見学会中に構造に関する説明コーナーを設けるなどの工夫も考えられます。

イベント開催中の「関係深化」と終了後の「追跡」戦略:リピーター化の具体的なステップ

イベントを成功させる鍵は、ただ多くの人を集めることだけではありません。イベント中にいかに参加者との関係を深め、イベント後にその関係を継続・発展させていくかが、「リピーター育成」の成否を分けます。ここでは、イベント開催中と終了後の実践的なステップをご紹介します。

手順8:イベント当日の顧客体験設計と運営体制の構築

イベント当日は、お客様にとって特別な一日となるよう、顧客体験を綿密に設計します。受付でのスムーズな対応、会場の案内表示、BGM、香り、スタッフの服装や笑顔など、細部にまで気を配ります。特に完成見学会などでは、お客様がリラックスして見学できるよう、プライベートな空間を確保できる時間帯を設定したり、スリッパや資料を丁寧に用意したりします。子供向けの一時預かりやキッズスペースを用意するのも、ファミリー層の満足度向上に繋がります。

また、運営スタッフ全員がイベントの目的と自身の役割を理解していることが不可欠です。来場者へのあいさつ、声のかけ方、質問への対応方法などを事前に共有し、シミュレーションしておきます。スタッフ一人ひとりが「お客様との関係を深める」という意識を持つことが、イベント成功の鍵となります。

手順9:個別顧客に最適化したコミュニケーション戦略の実行

イベント当日は、可能な限り全ての方に声をかけ、個別的なコミュニケーションを取る機会を設けます。事前のヒアリング(手順7)に基づいて、そのお客様が特に興味を持っている点や疑問に思っている点に焦点を当てた会話を心がけます。お客様の話を丁寧に聞き、共感し、質問には誠実に答えます。自社の強みや家づくりのこだわりを伝える際は、一方的な説明ではなく、お客様の興味や反応を見ながら適切に情報を伝えます。この「個別最適化」されたコミュニケーションが、お客様に「この工務店は自分のことを理解してくれそう」「話しやすい」と感じてもらい、信頼関係構築の第一歩となります。

手順10:イベント中の「見込みあり」「関係構築」顧客の洗い出し

イベント中に深くコミュニケーションを取れたお客様や、具体的に家づくりの相談をされたお客様など、特に「リピーター育成」や「次のステップ(個別相談、商談など)への誘導」に繋がりそうなお客様をリストアップします。担当スタッフが、会話の内容やお客様の関心レベル、連絡先などをメモしておきます。この情報は、イベント終了後のフォローアップで個別にアプローチするために非常に重要です。

手順11:イベント終了後の即時個別フォローアップ計画の実行

イベント終了後、できるだけ速やかに個別フォローアップを行います。具体的には、イベント参加への感謝を伝えるサンキューメールや、興味を持たれていた点に関する追加情報を提供するメールなどを送ります。手順10で洗い出した顧客には、特に丁寧なフォローを行います。例えば、「イベント中にお話しいただいた〇〇についてですが…」と、具体的な会話の内容に触れながら連絡することで、お客様は「自分のことを覚えていてくれた」と感じ、特別感を抱きます。これにより、イベントで深めた関係性を継続させることができます。リピーター育成はイベント終了後からが本番です。

手順12:イベント参加者を対象とした継続的なコミュニケーション戦略(ニュースレター、限定情報など)

イベント参加者全体に対して、継続的なコミュニケーションを行う仕組みを作ります。これは、すぐに契約には至らないお客様にも、自社の存在を忘れさせず、信頼感を醸成し続けるために非常に効果的です。具体的には、以下のような方法があります。

  • ニュースレター:イベント報告、家づくりに関する役立つコラム、地域の情報、スタッフ紹介などを定期的に送付します。手書きのメッセージを添えたり、温かみのあるデザインにすることで、お客様との距離を縮めることができます。
  • ブログやSNSでの情報発信:イベントの様子を写真付きで紹介したり、家づくりに関する専門知識を分かりやすく解説したりします。イベント参加者が「フォローしておこう」と思えるような、有益で魅力的な情報を継続的に発信します。
  • OB施主様向け情報の提供:もしイベント参加者の中にOB施主様が含まれている場合や、将来OB施主様となる方に向けて、メンテナンス情報や暮らしのヒント、リフォーム情報などを発信します。

これらの継続的なコミュニケーションを通じて、「この工務店は建てて終わりではない」「ずっと役に立つ情報を提供してくれる」という安心感を与え、熱心なファンを育成します。

手順13:次回のステップ(個別相談、別のイベントなど)への自然な誘導

イベント後のコミュニケーションの中で、参加者の次のアクションを促します。例えば、サンキューメールの文末に「家づくりに関する個別相談会も随時開催しておりますので、お気軽にお問い合わせください」と添えたり、ニュースレターの中で次回のイベント告知を行ったりします。強引な営業ではなく、お客様のペースに合わせて情報提供を行い、興味が高まったタイミングで次なるステップへ進んでいただけるよう、選択肢を優しく提示することが大切です。リピーター育成は、このような一歩ずつの誘導によって築かれます。

手順14:イベント参加者限定の特別な価値提供(特典、優先案内など)

イベントに参加してくれたお客様に対して、特別な価値を提供することで、「イベントに参加して良かった」という満足感を高め、リピーター化を促進します。例えば、イベント参加者限定の割引特典、次回イベントへの優先案内、非公開特別見学会への招待などが考えられます。これにより、お客様は特別扱いされているという感覚を持ち、工務店に対する好意やロイヤルティが高まります。

【Q&A】イベント開催中・開催後のよくある疑問

Q: イベント中に強引な営業はしたくないのですが、どうすれば次に繋がりますか?
A:
強引な営業は逆効果です。イベント中は「顧客との関係構築」に専念し、家づくりに関する疑問や不安を聞き出すことに注力しましょう。その中で、「個別にもっと詳しくお話しできますよ」と寄り添う姿勢を見せます。イベント終了後、「イベントで〇〇様がお話しされていた△△について、関連資料をお送りしてもよろしいですか?」のように、イベントでの会話をフックにした個別フォローを行うことで、自然な形で次のステップに繋げることができます。リピーター育成は信頼関係が基盤です。

Q: イベント後のフォローって、具体的に何をすればいいですか?
A:
まずは感謝のメールや手紙を送りましょう。それから、お客様がイベントで特に興味を示していた内容に関連する資料や情報を提供します。すぐに契約に繋がらなくても、定期的なニュースレター送付や、季節のご挨拶、役立つ情報発信などを続けることで、お客様の中にあなたの工務店を「家づくりの頼れるパートナー」として定着させ、長期的なリピーター育成に繋げます。

イベント効果の測定と継続的な改善:熱狂的ファンを育てる仕組み作り

イベントは一度開催して終わりではありません。その効果を測定し、改善を繰り返すことで、より効率的かつ効果的な「リピーター育成」が可能となります。そして、最終的にはお客様を単なるリピーターではなく、自社の熱狂的なファンへと育て上げ、紹介や継続的な仕事に繋げるための仕組み作りが重要です。

手順15:イベント効果測定のための具体的な指標設定とデータ収集方法の確立

イベントの効果を客観的に評価するために、イベント開催前に測定すべき指標(KPI)を設定します。例えば、以下のような指標が考えられます。

  • 参加者数(目標達成率)
  • 新規参加者の割合
  • イベント参加者の満足度(アンケート結果)
  • イベント参加後の個別相談申込数
  • イベント参加者からの契約数
  • イベント参加者からの紹介数
  • OB施主様向けイベントの場合、参加率やその後のリフォーム・メンテナンス依頼数

これらの指標を測定するために、アンケート用紙の配布・回収、受付時の参加者リスト作成、その後の追跡活動で得られた情報の記録(CRMなど)といった具体的なデータ収集方法を確立しておきます。イベントを開催するだけでなく、その成果を数値で把握することが、今後の「リピーター育成」戦略を改善する上で不可欠です。

手順16:参加者からの率直なフィードバック(アンケート、ヒアリング)収集とその分析

イベント終了後、参加者から率直な意見や感想を収集します。アンケートは、イベント内容、スタッフ対応、会場の雰囲気、満足度、改善点などを尋ねる項目を含めます。可能であれば、無記名式の自由記述欄を設けることで、より本音に近い意見を得られることがあります。また、特に関係性を深めたい顧客には、後日個別に電話やメールでヒアリングを行うことも有効です。収集したフィードバックは、良い点も改善点も全て真摯に受け止め、チーム内で共有し分析します。このフィードバックこそが、次回のイベントや日々の「リピーター育成」活動の質を高めるための宝となります。

手順17:収集したデータを基にしたイベント改善点の特定と次回の企画への反映

手順15で収集した数値データと、手順16で収集したフィードバックを総合的に分析し、今回のイベントの良かった点、目標達成度、そして最も重要な改善点を特定します。「参加者数は多かったが、個別商談に繋がった件数が少なかった原因は何か?」「アンケートで『説明が早すぎた』という意見が複数あった」「特定のコンテンツへの関心が高かった」など、具体的な分析結果から次回のイベント企画や運営方法に活かせる改善点を見つけ出します。この「効果測定→分析→改善→実行」のサイクルを確立することが、イベント活用の精度を高め、「リピーター育成」を加速させます。

手順18:OB施主向けイベントやコミュニティ形成の具体的な企画と実行

リピーター育成の最も重要な層の一つが、すでに家を建ててくださったOB施主様です。OB施主様を対象とした感謝祭、交流会、メンテナンスセミナー、BBQ大会などを定期的に企画・実行します。OB施主様同士が交流できる機会を提供することで、工務店を中心としたコミュニティが生まれます。このコミュニティは、新たな紹介を生み出す強力なチャネルとなるだけでなく、OB施主様が「建てて終わりではない、ずっと繋がりのある工務店でよかった」と感じる安心感に繋がり、自社の熱狂的なファン化を促進します。イベントを通じて、OB施主様の「建てた家での暮らし」に寄り添い続ける姿勢を見せることが大切です。

手順19:紹介を促進するための具体的な仕組みづくりと参加者への働きかけ

リピーターやファンになったお客様は、積極的にあなたの工務店を紹介してくれる可能性が高まります。この「紹介」を自然に発生させ、促進するための仕組みを意図的に作ります。例えば、 OB施主様向けイベントの中で、紹介キャンペーンのアナウンスを行ったり、紹介してくれたOB施主様と新規顧客双方に特典を用意したりします。紹介によって実際に契約に至った際には、紹介してくれたOB施主様へ感謝の気持ちを丁寧に伝えることも非常に重要です。「〇〇様にご紹介いただいた方が、先日ご契約くださいました。本当にありがとうございました!」といった個別の連絡一つ一つが、紹介活動へのモチベーション維持に繋がります。

手順20:リピーター育成を持続させるためのツール(CRMなど)や体制整備

イベントや日々の活動を通じて得られた顧客情報、イベント参加履歴、コミュニケーション履歴、興味関心の内容などを一元管理できる仕組みを整えます。CRM(顧客関係管理)システムなどのツールを導入することで、個々のお客様に合わせたきめ細やかなフォローアップが効率的に行えるようになります。また、リピーター育成を担当する専任者を置いたり、チーム全体で顧客情報の共有と活用を徹底したりするなど、リピーター育成を持続させるための組織体制を整備することも重要です。ツールと体制の両輪を確立することで、単発のイベント効果に頼るのではなく、お客様との長期的な関係性を組織的に構築し、リピーター育成を継続的に実践していくことが可能になります。

【Q&A】イベント効果とファン化に関するよくある疑問

Q: イベントをやっても、その後の契約に繋がっているのか分かりません。どうすれば良いですか?
A:
イベントの効果測定指標(KPI)を設定し、契約に繋がったお客様が過去にどのイベントに参加していたかを追跡する仕組み(CRMなどが有効)を導入することが重要です。また、契約に至ったお客様に「イベントが契約の決め手になった点は何ですか?」と直接ヒアリングすることも、イベント効果を把握し、改善点を見つける上で非常に役立ちます。

Q: 「ファンになってもらう」って具体的にどういう状態ですか?
A:
ファンとは、「単に商品やサービスに満足するだけでなく、企業やブランドの理念、姿勢に共感し、感情的な結びつきを感じている状態」です。具体的には、「この工務店なら安心して任せられる」「ここの家づくりが好きだ」「周りの人にもおすすめしたい」と感じ、それが実際の行動(紹介、リピート依頼、良い口コミ)に繋がっている状態を指します。イベントや日々のコミュニケーションを通じて、あなたの工務店の「らしさ」や「情熱」を伝え、お客様との共感を深めることが、ファン育成には不可欠です。

Q: 一度きりのイベントに終わらないためには?
A:
イベント後の継続的なコミュニケーション計画を事前に立てておくことが重要です。サンキューメール、ニュースレター、SNSでの繋がりの維持、次回イベントへの案内など、イベントでできた接点を途切れさせない工夫が必要です。また、イベントで得た顧客情報を次のアクション(個別相談への誘導、別のイベントへの招待など)に繋げるための明確なシナリオと担当者を決めておくことも大切です。リピーター育成はマラソンのようなものです。

まとめ

この記事では、工務店経営者の皆様が「イベント」という強力なツールを活用し、お客様を単なる顧客から熱狂的な「リピーター」へと育て上げるための具体的な手順と戦略をご紹介しました。新規顧客獲得コストが高騰する今、既存顧客との関係性を深め、安定した経営基盤を築く上で、リピーター育成、そしてそこから生まれる紹介の重要性は増すばかりです。

イベント企画前の明確な目標設定から、ターゲット顧客に響くコンテンツ開発、効果的な集客、そしてイベント開催中の丁寧な顧客対応。さらに、イベント後の迅速かつ継続的なフォローアップ、効果測定に基づく改善活動、そしてOB施主様との関係深化や仕組み化まで、リピーター育成に繋がる一連の流れを具体的なステップとして解説しました。これらのステップは一つ一つが独立しているのではなく、全てが連携し合うことで最大の効果を発揮します。

今日から、まずは小さなイベントでも良いので、リピーター育成を意識した企画を立ててみてください。そして、イベント当日の顧客一人ひとりとのコミュニケーションを大切にし、イベント終了後のフォローアップに力を入れてください。収集したお客様の声や測定データは、必ず次への改善に活かしてください。

目の前のお客様との関係性を真摯に築き、深めていく。この地道な努力こそが、やがて強固な信頼関係となり、長期的なリピーター育成、そして熱心なファンコミュニティの形成へと繋がるのです。そして、そのファンが新たな顧客を連れてきてくれたり、建てた家での暮らしを心から楽しんでくれたりする姿を目にした時、きっと今日から実践を始めた努力が報われることでしょう。イベントから始まるリピーター育成の旅は、あなたの工務店の未来を明るく照らす力強い一歩となるはずです。さあ、自信を持って最初の一歩を踏み出しましょう!

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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。 今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」 ※8月実施予定。 住宅サイトの運営もしています。 福島県 喜多方市出身 県立会津高校卒 市立高崎経済大学卒 著書: 頼みたくなる住宅営業になれる本 https://x.gd/oatiM SDGsに取り組もう 建築業界編 https://x.gd/MXYJr とっておきの見込み客発掘法 https://x.gd/001or 主な講演: 鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」 リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト) 育英西中学校 その他住宅FCなど 活動実績 2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア 2020~ 木ッズ絵画コンクール
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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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