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住宅展示場で勝ち抜くための集客戦略

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。特に集客に関しては、常に頭を悩ませる課題の一つではないでしょうか。インターネットが普及し、情報収集の方法が多様化する現代においても、住宅展示場は依然としてエンドユーザーが実際に建物を「体験」できる貴重な場であり、非常に強力な集客チャネルとなり得ます。しかし、「人が来ない」「来場しても契約に繋がらない」といった悩みを抱えている工務店様も少なくありません。漫然と出展しているだけでは、時間とコストがかかるだけで効果が薄れてしまうのも事実です。住宅展示場での成功は、単にモデルハウスの質だけでなく、緻密な集客戦略にかかっています。

この記事では、住宅展示場での集客に特化し、単なる一般的なノウハウではない、実践的で具体的な手順と戦略をステップ形式でご紹介します。なぜあなたの住宅展示場に人が来ないのか?どうすれば質の高い見込み客を集め、契約に繋げられるのか?これらの疑問に直接お答えし、読者の皆様がすぐに自社の状況に置き換えて実行できるアクションプランを提供します。この記事を読み終える頃には、住宅展示場を強力なリード獲得、そして成約の場へと変革させる具体的な道筋が見えているはずです。

集客に繋がる住宅展示場の「準備」と「仕掛け」

住宅展示場での集客戦略を成功させるためには、まず「集客」以前の準備段階が極めて重要です。モデルハウスを建てるだけで満足してはいけません。誰に、何を伝え、どのように行動してもらうか、綿密な計画が必要です。

1. 住宅展示場出展の目的を明確にし、ターゲット顧客を設定する

まず、なぜ住宅展示場に出展するのか、その目的を明確にしましょう。単に「他社も出ているから」や「認知度向上」といった曖昧な理由ではなく、「年間○件の新規契約を獲得するため」「特定の地域で○%のシェアを獲得するため」といった具体的な目標を設定することが、その後の集客戦略の方向性を定める上で不可欠です。

次に、最も重要ともいえるのがターゲット顧客の設定です。あなたの工務店が得意とする家づくりは、どのような層に響くのでしょうか?

  • 年齢層:20代後半~30代の子育て世代、40代~50代の建て替え・住み替え層、など具体的に
  • 家族構成:夫婦のみ、未就学児のいる家庭、高校生以上の子がいる家庭、二世帯など
  • ライフスタイルや価値観:自然素材にこだわる、デザイン性を重視する、ランニングコストを抑えたい、趣味(アウトドア、音楽など)を家づくりに取り入れたい、など
  • 年収層や予算帯:どのような価格帯、予算感の顧客を狙うか
  • 抱える悩みや課題:今の住まいに不満がある、将来が不安、理想の暮らしが分からないなど

これらの要素を具体的に掘り下げ、ペルソナ(理想の顧客像)を設定します。このペルソナが、後の集客戦略の全ての基盤となります。ターゲットが明確でなければ、どんなメッセージも誰にも響きません。住宅展示場に来場してもらいたい「具体的な人物像」を徹底的に想像してください。

2. 来場前の「仕掛け」でターゲット顧客を強く惹きつける

ターゲット顧客が設定できたら、その顧客が「よし、この住宅展示場に行ってみよう!」と思うような「仕掛け」が必要です。住宅展示場に来場を促すための事前プロモーション戦略が重要です。

2-1. 多様なオンラインプロモーション戦略

  • 自社Webサイトの最適化:住宅展示場の詳細(場所、営業時間、アクセス、モデルハウスの特徴)はもちろん、ターゲット顧客が興味を持つであろう施工事例、お客様の声、家づくりのノウハウなどを掲載します。住宅展示場への来場予約フォームを分かりやすく設置し、予約特典を告知しましょう。
  • SNS活用:Instagram, Facebook, Pinterestなどで、モデルハウスの魅力的な写真や動画、コンセプト、イベント情報などを発信します。ターゲット層が利用しているSNSを見極め、共感を呼ぶコンテンツを継続的に投稿します。特にInstagramは、視覚で訴求できるため住宅業界との相性が非常に良いツールです。
  • 地域に特化したオンライン広告:Googleリスティング広告やYahoo!広告で、「地域名+工務店」「地域名+注文住宅」といったキーワードで上位表示を目指すほか、地域に絞ったSNS広告(Facebook広告など)でターゲット層にアプローチします。

2-2. 効果的なオフラインプロモーション戦略

  • 新聞折込チラシ・ポスティング:ターゲット層が多く住む地域に絞り込み、モデルハウスの写真やコンセプト、イベント情報などを魅力的に伝えるチラシを配布します。
  • 地域情報誌・コミュニティ媒体:ターゲット層がよく利用する地域の情報誌やフリーペーパー、オンラインコミュニティなどに広告掲載や記事掲載を依頼します。
  • DM(ダイレクトメール)・メールマーケティング:過去の資料請求者や見込み客に対し、住宅展示場の特別イベントや最新情報をDMやニュースレターで送付します。パーソナルなメッセージを心掛けることで開封率・クリック率が向上します。

2-3. 来場ハードルを下げる特典と情報提供

来場を促す強力な手段の一つは、来場予約特典やイベント参加特典です。「ギフト券プレゼント」といった分かりやすいものだけでなく、「家づくりの教科書プレゼント」「個別資金計画相談無料」といった、ターゲット顧客が家づくりを進める上で役立つ情報やサービスを提供することも有効です。また、「〇〇(具体的な悩み)を解決する間取りのヒント」「〇〇(具体的なライフスタイル)を叶える吹き抜けの秘密」など、モデルハウスの特徴を踏まえつつ、顧客の潜在的な疑問に答えるような見出しで情報を発信することも、興味を引きつけ、来場意欲を高めます。

3. 展示場のコンセプト設計とターゲット顧客に刺さる魅力的な空間づくり

住宅展示場そのものが、強力なセールスツールでなければなりません。ターゲット顧客に「ここで家を建てたい」「この工務店に任せたい」と思わせる空間づくりが必要です。

  • 明確なコンセプト:モデルハウスのコンセプトを明確にし、外観、内装、設備、家具に至るまで一貫性を持たせます。「自然素材を活かした癒やしの家」「子育て世代が楽しく暮らす家」「趣味を楽しむガレージハウス」など、ターゲット顧客のライフスタイルや価値観に響くコンセプトを設定しましょう。
  • 体験型の仕掛け:単に見るだけでなく、体験できる要素を取り入れます。自然素材の床材の手触りを体験できるコーナー、高断熱・高気密性能を体感できる小さな部屋、IoT機器を実際に操作できるコーナーなど、五感に訴えかける工夫が滞在時間を延ばし、記憶に残る体験を提供します。
  • 「暮らし」を想像させる演出:家具や小物、グリーンなどを配置し、そこに実際に住んでいる人の「暮らし」を想像させる演出が重要です。ターゲット家族の年齢設定に合わせた子供部屋の演出や、趣味のスペースの具体的な使い方の提案などが効果的です。
  • 差別化ポイントの強調:あなたの工務店の強みや、他社との差別化ポイント(デザイン性、性能、価格、保証制度、施工体制、アフターサービスなど)を、モデルハウスの各所に分かりやすく(例えばパネルやPOPで)提示します。

これらの準備と事前プロモーションは、住宅展示場での集客戦略の土台となります。この段階でどれだけターゲット顧客を意識し、惹きつける「仕掛け」を用意できるかが、その後の成果を大きく左右します。

住宅展示場での「行動」と「成約」を高める集客戦略の実践

事前の準備が整い、いよいよ住宅展示場にターゲット顧客が来場されたら、次に重要なのは「展示場での体験の質」です。ここでは、来場者の満足度を高め、具体的な行動(個別相談予約、資料請求など)や成約に繋げるための実践的な戦略をご紹介します。

4. 来場者対応の「質」を劇的に高める戦略

住宅展示場での顧客体験は、担当する営業担当者の対応の質によって大きく左右されます。「住宅展示場に来場したのに、あまり話を聞いてもらえなかった」「一方的に説明されて疲れた」といった経験は、お客様の満足度を低下させ、その後の関係構築を難しくします。契約に繋げるためには、質の高いコミュニケーションが不可欠です。

4-1. 営業担当者のスキル向上

  • 傾聴力:お客様の話したいこと、現在の悩み、理想の暮らしについて、まずは真剣に耳を傾けます。一方的に自社の説明をするのではなく、質問を投げかけ、お客様自身に話してもらうことを促します。
  • 質問力:お客様の潜在的なニーズを引き出すための具体的な質問力が必要です。「どんな家が良いですか?」といった漠然とした質問ではなく、「今の住まいの〇〇な点に不満があるとのことですが、具体的にどのような点が一番困っていますか?」「もし理想の暮らしが叶うとしたら、朝起きて一番に何をしたいですか?」など、具体的かつ感情に訴えかける質問を投げかけます。
  • 提案力(課題解決):お客様の抱える悩みや課題に対し、モデルハウスの具体的な部分や自社の施工事例を示すことで、「このように解決できますよ」「当社の家なら、〇〇さんの悩みも解決できます」といった具体的な解決策を提示します。
  • ストーリーテリング:単に家や設備のスペックを説明するのではなく、その家でどのような暮らしが実現できるのかを、ストーリーとして語りかけます。「この広いリビングなら、お子様が走り回る姿を見ながら、休日に家族団らんを楽しむことができますね」「このキッチンなら、ご夫婦並んで料理をしたり、友人たちを招いてホームパーティーを開くなんてこともできますよ」など、お客様がそこで暮らすイメージを膨らませられるような説明を心掛けます。

4-2. 具体的な対応の流れと重要ポイント

来場者が展示場に入られたら、慌てず、心地よい距離感で迎えることが大切です。

  • ファーストアプローチ:「いらっしゃいませ、どうぞごゆっくりご覧ください」といった、まずはプレッシャーを与えない声かけから始めます。すぐに近づきすぎると、お客様は身構えてしまうことがあります。
  • 自然な会話のきっかけ:お客様が興味を示した場所や物について、「このリビングの吹き抜けは、開放感があって心地よいですよね」「こちらのキッチンは、最新の設備が入っていて使いやすいと好評なんですよ」など、自然な会話のきっかけを作ります。
  • 質問によるニーズ把握:会話が始まったら、「今日はどのような家にご興味がありますか?」「差し支えなければ、今のお住まいの状況など教えていただけますか?」といったニーズ把握のための質問を丁寧に行います。
  • 個別相談への誘導:場数を踏んだ営業担当者は、短い会話の中でお客様の興味や関心、課題を把握し、より詳しい話を聞くために個別相談や具体的な資金計画相談へとスムーズに誘導するスキルを持っています。「もしよろしければ、お客様のライフスタイルに合わせた間取りの工夫や、資金計画について、詳しい専門家がお話できるお時間を少しだけ設けませんか?」といった提案が効果的です。

5. イベント企画と実行で住宅展示場に「目的」を作る

住宅展示場を単なるモデルハウス見学の場としてだけでなく、お客様が「行きたい」と思う「目的」を提供する場にするのがイベント戦略です。ターゲット顧客に合わせた魅力的なイベントを企画・実行することで、来場者数の増加と顧客満足度の向上を目指します。

  • ターゲット層に合わせたイベント例:
    • 子育て世代向け:「キッズデザイン間取りセミナー」「子どもと遊べる庭づくり教室」「無添加おやつづくり体験」
    • 性能重視層向け:「高断熱・高気密体感会」「耐震性能の秘密セミナー」「光熱費削減セミナー」
    • デザイン重視層向け:「建築家と語る 디자인セミナー」「最新インテリアトレンド紹介」
    • 初めて家を建てる人向け:「失敗しない土地探しセミナー」「住宅ローン相談会」「家づくりまるわかり講座」
    • その他:「DIY教室」「ガーデニング教室」「料理教室(最新キッチン使用)」「地域の作家さんマルシェ」など
  • イベント告知戦略:Webサイト、SNS、メルマガ、DM、地域情報誌など、多様なチャネルを活用してイベント情報を幅広く告知します。特に、ターゲット顧客が利用する媒体に合わせた告知方法が重要です。予約制にすることで、来場者数を把握しやすくなります。
  • イベント当日の運営:参加者が楽しめるように、受付、誘導、会場設営、講師の手配などをスムーズに行います。参加特典を用意することも効果があります。
  • イベント後のフォロー:イベント参加者に対し、お礼のメールやDMを送付し、個別相談や次回のイベントへの誘導を促します。アンケートを実施し、参加者の満足度や感想を収集することも、次回のイベント企画に役立ちます。

6. 顧客情報の収集と「未来への関係構築」

住宅展示場に来場されたお客様は、貴重な見込み客リストの候補です。いかに顧客情報を収集し、その後の関係構築に繋げるかが、契約率を向上させる鍵となります。「住宅展示場に来ただけで、それっきり連絡がない」といった状態では、非常にもったいないことです。

  • アンケートやヒアリングによる情報収集:来場者にアンケートをお願いしたり、会話の中で得られた情報を記録します。興味のあるデザイン、予算、要望、家づくりに関する悩み、現在検討している具体的な状況(土地探し、資金計画など)を丁寧にヒアリングします。ただし、強引な聞き方は禁物です。
  • CRMツールの活用:収集した顧客情報を一元管理できるCRM(顧客関係管理)ツールを導入します。お客様の氏名、連絡先、来場日、対応した営業担当者、ヒアリングした内容、興味関心、次回のアクション予定などを記録・共有することで、組織全体でお客様の状況を正確に把握し、最適なフォローアップが可能になります。
  • ステップメールや定期的なフォローアップ:来場者に対し、お礼メールから始まり、家づくりのステップに合わせた情報提供を行うステップメールを送付します。また、定期的にニュースレターやブログ記事更新のお知らせ、地域のイベント告知などを送ることで、お客様との接点を維持し、工務店の存在を忘れられないようにします。お客様の個人情報保護には最大限配慮することが重要です。

Q&A:読者の潜在的な疑問に答える

住宅展示場での集客戦略に関する、工務店経営者の皆様が抱きがちな疑問にいくつか答えます。

Q: 最近、住宅展示場全体の来場者が減っているように感じるのですが、どうすれば良いですか?
A: 確かに、情報収集がオンライン中心になっている影響はあります。しかし、住宅展示場は「体験」というオンラインにはない価値を提供できます。まず、貴社の住宅展示場に来場するターゲットが本当に求めている「体験」は何なのかを徹底的に深掘りしてください。オンライン(Webサイト、SNS、広告)とオフライン(展示場でのイベント、体験コーナー)を連携させ、展示場に来る「明確な理由」を提示することが重要です。「資料請求はしたけど、実物を見たい」「具体的な資金計画を聞きたい」「子供と一緒に家づくりを楽しみたい」など、来場意欲を高める「仕掛け」が必要です。また、住宅展示場単体ではなく、見学会や構造見学会、OB様宅訪問など、他の集客チャネルと組み合わせることも効果的です。

Q: 来場者はいるのですが、すぐに帰ってしまいます。長く滞在してもらうにはどうしたら良いでしょうか?
A: 滞在時間が短い原因はいくつか考えられます。モデルハウスのコンセプトがターゲットに響いていない、単に見るだけで面白みがない(体験要素が少ない)、営業担当者からの声かけのタイミングや質が悪い、などが挙げられます。まずは、モデルハウス内に体験できるコーナー(例えば、素材サンプルを触れる、VRで他の施工事例を見られるなど)を設置したり、お客様がリラックスして過ごせるような工夫(カフェスペース、キッズスペース、読むと役立つ資料の配置など)を取り入れます。また、営業担当者のスキルアップ研修を行い、お客様の興味を引きつけ、会話を弾ませるための質問力や提案力を磨くことが不可欠です。個別相談へのスムーズな誘導も滞在時間を延ばす有効な手段です。

Q: 来場から契約に繋がる率が低いのですが、何が問題なのでしょうか?
A: 契約に繋がらない原因は多岐にわたりますが、主な要因としては、顧客ニーズの把握不足、信頼関係の構築不足、フォローアップ不足が挙げられます。住宅展示場での担当者とのコミュニケーションを通じて、お客様の予算、家族構成、ライフスタイル、具体的な要望、家づくりに対する疑問や不安などを深く理解することが第一歩です。お客様に寄り添い、課題解決策としての自社の家づくりを提案する姿勢が信頼関係を築きます。また、来場後のフォローアップが不十分であると、お客様の記憶から薄れてしまったり、競合他社に流れてしまったりします。CRMツールを活用し、個々の顧客に合わせた定期的な情報提供や声かけを行う「未来への関係構築」が極めて重要です。

成果を最大化する住宅展示場集客の「分析」と「改善」

住宅展示場での集客戦略は、一度実行したら終わりではありません。データに基づいた分析を行い、継続的に改善していくことが、成果を最大化させる唯一の方法です。PDCAサイクルを回すことが、競争の激しい住宅業界で勝ち抜くためには不可欠です。

7. 効果測定指標(KPI)の設定とデータ収集

何をもって「成功」とするのか、具体的な数値目標であるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。そして、設定したKPIを測定するためのデータ収集体制を構築します。

設定すべき主なKPI例:

  • 来場者数:特定の期間(月、四半期など)における総来場者数。
  • 新規リード獲得数:初めてコンタクトを持つことができた見込み客の数(アンケート記入、個別相談申込など)。
  • 個別相談件数:具体的な家づくりに関する相談を行った件数。
  • アンケート回収率:来場者数に対するアンケート回収数の割合。
  • イベント参加者数:企画したイベントへの参加者数。
  • Webサイトからの予約数/問い合わせ数:住宅展示場関連のWebページからの具体的な問い合わせ数や予約数。
  • 契約率:新規リード獲得数(あるいは個別相談件数)に対する契約件数の割合。
  • CPA(Cost Per Acquisition):一人の顧客を獲得するのにかかった広告宣伝費などのコスト。

これらのデータを正確に収集・記録することが、分析の第一歩です。来場者全員にアンケートをお願いしたり、個別相談の件数を記録したり、Webサイトであればアクセス解析ツール(Google Analyticsなど)を活用したりします。CRMツールもデータ収集・管理に役立ちます。

8. データ分析から「次の一手」を見つける

収集したデータを単に眺めるだけでなく、そこから意味のある示唆を引き出すことが重要です。

  • 来場者層分析:アンケートデータなどから、どのような年齢層、家族構成、居住エリアの人が多く来場しているかを分析します。これは、事前のターゲット設定が正しかったか、あるいは新たなターゲット層が見つかったかを知る上で役立ちます。
  • 来場経路分析:何を見て(Webサイト、SNS、チラシ、紹介など)住宅展示場に来場したのかを分析します。これにより、効果の高かったプロモーションチャネルが明確になり、予算配分の最適化に繋がります。
  • 反応が良かった施策分析:特定のイベント開催時や、特定の媒体で広告を出稿した時期に、どの程度来場者数やリード獲得数が増加したかを分析します。成功した施策を特定し、今後の集客戦略に活かします。
  • 滞在時間・閲覧箇所分析:可能であれば、お客様の滞在時間や、モデルハウスのどの部分に興味を示していたかを観察・記録します。(例えば、キッチンやリビングでの滞在時間が長いなど)これは、モデルハウスのどの部分が魅力的に映っているか、あるいは改善が必要かを知るヒントになります。
  • 契約に至ったケースの分析:契約に至ったお客様が、どのような経緯(来場経路、担当者、個別相談の内容、イベント参加など)を辿っていたかを分析します。成功パターンを把握することで、より効率的な接客やフォローアップ方法が見えてきます。

これらの分析結果から、「今、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか」「次に何を改善すべきか」といった具体的な「次の一手」が見えてきます。「Web経由の予約が少ないから、Webサイトの予約導線を改善しよう」「子育て世代の来場は多いが、個別相談に繋がらないケースが多いから、キッズ向けイベントの内容を見直そう」といった具体的な改善策を立案します。

9. PDCAサイクルを回し、継続的な改善を行う

分析によって得られた「次の一手」を実行に移し、その効果を再び測定し、必要に応じて修正を加える。このPDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善) relentless cycleを継続的に回すことが、住宅展示場集客戦略の成功には不可欠です。

  • Plan(計画):分析結果に基づき、具体的な改善計画や新しい集客施策を立案します。目標(KPI)設定もこの段階で行います。
  • Do(実行):立案した計画を実行します(例:Webサイトの改修、新しいイベントの実施、DM内容の変更、営業研修の実施など)。
  • Check(評価):実行した結果、KPIがどのように変化したかを測定し、施策の効果を評価します。「期待通りの効果はあったか?」「何が要因でうまくいった/いかなかったか?」を検証します。
  • Action(改善):評価結果に基づき、計画を見直したり、新たな改善策を講じたりします。うまくいかなかった施策は中止・変更し、うまくいった施策は強化・拡大します。

このサイクルを月次あるいは四半期ごとなど、定期的に実施することで、常に最新の市場動向や顧客ニーズに合わせた、最も効果的な住宅展示場集客戦略を維持することが可能となります。また、競合他社の住宅展示場の状況や集客戦略も定期的に調査・分析し、自社の強みや弱みを相対的に把握することも重要です。

10. スタッフ教育とモチベーション向上で「人」の力を最大化する

どんなに素晴らしい住宅展示場や集客戦略があっても、それを実行する「人」、つまり営業担当者やスタッフの力がなければ、成果は上がりません。スタッフ全体のスキルアップとモチベーション向上は、住宅展示場集客成功のための重要な要素です。

  • 定期的な研修会:コミュニケーションスキル、提案力、商品知識、最新の住宅トレンド、家づくりに関する新情報など、スタッフのスキルアップのための研修を定期的に実施します。特に、お客様のニーズを深く引き出すためのヒアリング研修や、具体的な解決策を提示するための提案研修は重要です。
  • 目標設定と評価制度:集客に関する個人やチームの目標(KPIと連動)を設定し、達成度に応じた適切な評価制度を設けることで、スタッフのモチベーションを高めます。
  • 成功事例・失敗事例の共有:チームで成功事例や失敗事例を共有し、なぜ成功したのか、なぜうまくいかなかったのかを皆で議論することで、組織全体の学びを深めます。お客様からいただいた感謝の言葉などを共有することも、スタッフの励みになります。
  • 働きやすい環境づくり:スタッフが気持ちよく働ける環境を整えることも、パフォーマンス向上に繋がります。住宅展示場の清掃・整理整頓はもちろん、休憩スペースの確保や、業務効率化のためのツール導入なども検討します。

住宅展示場での顧客体験は、スタッフ一人ひとりの対応の積み重ねで生まれます。人への投資を怠らないことが、長期的な集客力強化に繋がります。

まとめ

工務店経営における住宅展示場集客は、単にモデルハウスを開けて待っているだけでは、期待する成果を得ることはできません。本記事でご紹介したように、ターゲット顧客の明確化から始まり、来場者を惹きつける事前プロモーション、住宅展示場での質の高い顧客体験の提供、イベントの企画・実行、そして最も重要なデータに基づいた継続的な分析と改善(PDCAサイクル)が不可欠です。さらに、これらの戦略を実行するのは他でもない「人」です。スタッフのスキルアップとモチベーション管理も、集客戦略の成功を左右する重要な要素となります。

住宅展示場での集客戦略は、すぐに劇的な結果が出るものばかりではありませんが、着実に計画を実行し、データに基づいた改善を継続することで、必ずや成果へと繋がります。この記事で提示した具体的なアクションプランは、明日からすぐにでも取り組めるものばかりです。まずは小さな一歩からでも良いので、ぜひ実践に移してみてください。

集客の仕組みをしっかりと構築し、質の高い見込み客を継続的に獲得できるようになれば、それは来場者数の増加だけでなく、契約率の向上、ひいては工務店の安定した経営と持続的な成長へと力強く結びつきます。あなたの工務店の住宅展示場が、単なるモデルハウスではなく、お客様との素晴らしい出会いの場となり、夢を叶える家づくりの始まりとなることを心から応援しています。この記事が、その実現に向けた実践的な羅針盤となれば幸いです。一歩ずつ、着実に前に進んでいきましょう。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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