コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

顧客維持率を向上させる!工務店の戦略

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の経営、本当にお疲れ様です。激化する住宅市場において、新規の顧客獲得がますます難しくなっていると感じていらっしゃることでしょう。広告費の高騰、競合との差別化の難しさ、そして何よりも情報過多な現代において、お客様に自社を選んでいただき、契約に至るまでの道のりは険しさを増しています。

このような状況下で、多くの成功している工務店経営者が注力しているのが「顧客維持」です。一度ご縁をいただいたお客様との関係性を深め、長期的に良好な関係を築くことは、単なる顧客満足度向上の取り組みに留まらず、企業の安定した成長を支える重要な経営戦略となります。なぜなら、既存顧客からのリピートや紹介は、新規顧客獲得に比べてはるかにコストが低く、契約に至る確度も高いからです。さらに、熱心なOB顧客は、最高の広告塔となってくれます。しかし、頭では理解していても、「具体的に何をすれば良いのか分からない」「スタッフの負担が増えるのでは?」といった疑問をお持ちの経営者様も少なくないはずです。

この記事では、そんな皆様の疑問や悩みに直接お答えするために、工務店が顧客維持率を向上させるための実践的かつ具体的な経営戦略とステップを詳しく解説します。単なる理念ではなく、明日からすぐに取り組めるアクションプランを中心に、豊富な具体例と共に分かりやすくご紹介します。この記事をお読みいただければ、顧客維持が単なるコストではなく、企業の将来を左右する重要な投資であると実感し、安定した経営基盤の構築、そして地域で揺るぎない信頼を得るための確固たる経営戦略を立てるヒントを得られるでしょう。

顧客維持の「実践的」導入戦略:工務店が押さえるべき基礎とフェーズ別施策

工務店における顧客維持は、単にOBのお客様に挨拶状を送る、といった形式的なものではありません。それは、お客様との長期的な信頼関係を構築するための継続的な取り組みであり、安定した収益を確保し、将来にわたる成長を支えるための重要な経営戦略の一角を占めます。まずは、なぜ今、顧客維持に注力すべきなのか、その基礎的な考え方から紐解いていきましょう。

なぜ工務店にとって顧客維持が不可欠な経営戦略なのか?

新規のお客様を獲得することのコスト(広告費、営業活動費など)は年々増加傾向にあります。一方、既存のお客様に対するリピートや紹介は、新規獲得コストに比べて約5分の1以下で済むとも言われています。これは、既に会社や担当者への信頼があり、検討プロセスが効率化されるためです。顧客維持に成功することは、収益性の向上に直結するだけでなく、以下のような多岐にわたるメリットをもたらします。

  • 安定した収益源の確保: 定期点検、リフォーム、メンテナンスといった継続的な仕事に繋がりやすくなります。
  • 紹介による新規顧客獲得: 満足度の高いOB顧客は、親族や友人に自社を紹介してくれる可能性が高まります。これは最も質が高く、成約率の高い見込み顧客 source です。
  • 企業ブランド力の向上: OB顧客からの良い評判は、地域の信頼構築に大きく貢献します。
  • 顧客からの貴重なフィードバック: 実際に住んでいるお客様の声は、今後の商品開発やサービス改善に向けた重要な財産となります。
  • 従業員のモチベーション向上: お客様からの感謝の声は、スタッフのやりがいに繋がります。

これらのメリットを享受するためには、顧客維持を場当たり的な施策ではなく、組織全体で取り組むべき経営戦略として位置づけることが不可欠です。

顧客維持を阻む壁:工務店が抱えがちな課題とは?

多くの工務店が顧客維持の重要性を理解していながらも、実際にはなかなか成果が出ない、あるいは手が回らない、といった課題に直面しています。

  • リソース(人材・時間)の不足: 日々の業務で手一杯になり、OB顧客へのフォローにまで手が回らない。
  • 担当者任せ・属人化: 特定の担当者だけがOBとの関係を築いており、組織として機能していない。その担当者が離職すると関係が途切れてしまう。
  • 具体的な施策の知識不足: どのようなタイミングで、どのような内容のフォローをすれば良いのか分からない。
  • 効果測定の方法が不明確: 顧客維持活動が売上にどう繋がっているのかが見えづらく、投資対効果を判断しにくい。
  • 顧客情報の管理不足: 過去の工事履歴やコミュニケーション履歴が整理されておらず、適切なフォローができない。

これらの課題を乗り越えるためには、意識改革と具体的な仕組みづくりが必要です。顧客維持を経営戦略の柱の一つとして捉え、必要なリソースを計画的に確保していくことが重要です。

工務店における顧客維持のフェーズ別戦略

顧客維持は、お客様と接点を持つあらゆるフェーズで意識すべきですが、特に重要なのは契約後から引き渡し、そして引き渡し後の長期にわたる期間です。各フェーズでどのような戦略を取るべきか、具体的なアクションプランを見ていきましょう。

フェーズ1:契約後〜引き渡し期間

この期間は、お客様に「この工務店に頼んでよかった」と強く実感していただくための最も重要な期間です。工事の品質はもちろんのこと、円滑なコミュニケーションによって最高の顧客体験を提供することが、その後の長期的な関係構築の土台となります。

  1. 詳細かつ丁寧な工事進捗報告
    • メール、LINE、専用アプリなどを活用し、定期的に写真付きで工事の進捗を報告します。
    • 次の工程の説明や、現場での気付き(例:〇〇様邸の梁が立派です!)などを添えることで、お客様のワクワク感を高めます。
    • お客様からの質問には迅速かつ丁寧に回答します。
  2. 現場での安全管理と清掃徹底
    • 常に整理整頓された現場は、お客様に安心感を与えます。
    • 近隣への配慮(騒音、挨拶など)も怠りません。
  3. 仕様決定における丁寧なサポート
    • 仕様決定は悩むポイントが多いですが、お客様のライフスタイルや予算に寄り添い、専門家としての具体的なアドバイスを提供します。
    • 決定した仕様や変更内容の記録をしっかりと共有します。
  4. 中間立ち会いや見学の機会提供
    • 工事中に現場に入っていただく機会を設けることで、お客様は家づくりのプロセスをより身近に感じ、愛着が増します。
  5. 担当者間の密な連携
    • 営業、設計、施工管理、職人など、関わる全ての担当者がお客様の情報を共有し、一貫性のある対応を心がけます。

フェーズ2:引き渡し〜保証期間

待ちに待った引き渡し。ここからが工務店とお客様の本当の長い付き合いの始まりです。引き渡し時の対応、そして住み始めてから発生するであろう疑問や不安に対する迅速なフォローが、顧客満足度を大きく左右します。

  1. 丁寧な引き渡し式
    • 単に鍵を渡すだけでなく、家の説明や設備の使い方のレクチャーを丁寧に行います。
    • 記念品の贈呈や写真撮影など、思い出に残る演出をすることで、感動体験を提供します。
    • 住まいに関するQ&A時間を設けます。
  2. 入居後のフォローアップ
    • 入居から数週間後、数ヶ月後といった適切なタイミングで、状況確認の連絡を入れます(電話、メール、手紙など)。
    • 住み心地や不具合がないかなどをヒアリングします。
  3. 定期点検の確実な実施
    • 規定に基づいた定期点検(3ヶ月、6ヶ月、1年など)を計画通りに実施します。
    • 点検時は、単にチェックリストをこなすだけでなく、お客様の話を丁寧に聞き、住まいに関する相談に乗る姿勢が重要です。
    • 点検結果やメンテナンスアドバイスを分かりやすくまとめ、書面やデータで共有します。
  4. 緊急時の迅速な対応体制
    • 緊急時の連絡先や対応フローを明確にしておきます。
    • 迅速な駆けつけや、応急処置のアドバイスなど、不安な状況に寄り添った対応が信頼を高めます。

フェーズ3:保証期間満了後〜長期的な関係構築

保証期間が過ぎても、お客様との関係性は終わりではありません。むしろ、ここからが本当の顧客維持のスタートとも言えます。継続的な接点を持ち、お客様のライフスタイルの変化に合わせた提案を行っていくことが、リピート(リフォームなど)や紹介に繋がります。

  1. 定期的な情報提供
    • ニュースレター(郵送またはメール)の発行:季節の住まいのお手入れ情報、イベント告知、OB様邸紹介、スタッフ紹介など、暮らしに役立つ情報や親しみやすいコンテンツを届けます。手書きのメッセージを添えるなどの工夫も効果的です。
    • SNSやブログでの情報発信:定期的にお役立ち情報や会社の近況を発信し、気軽に接点を持てるようにします。
  2. OB顧客向けイベントの企画・実施
    • OB感謝祭、BBQ大会、ワークショップ、住まいのお手入れ教室など、OB顧客同士や工務店スタッフとの交流を深める機会を設けます。
    • 楽しい思い出を共有することで、会社への愛着が高まります。
  3. リフォーム・メンテナンスの提案
    • 築年数に応じたメンテナンスや、ライフスタイルの変化(子供の成長、高齢化など)に合わせたリフォームの提案を proactive に行います。
    • 「そろそろクロスの張替え時期かもしれませんね」「手すりがあると便利ですよ」など、具体的な提案をきっかけに相談に乗ります。
  4. 個別相談会の実施
    • 住まいに関する悩みや将来のライフプランに関する個別相談会を設けることで、お客様は気軽に相談できるようになります。
  5. 紹介特典制度の導入
    • OB顧客からの紹介で新規契約に至った場合、紹介者に感謝の気持ちを伝える特典(ギフト券、メンテナンス割引など)を用意します。紹介する側、される側双方にメリットがある設計が重要です。

経営戦略×顧客維持:成果を最大化する具体的手法とデジタル活用

顧客維持を単なる「サービス」で終わらせず、企業の成長を加速させる「経営戦略」として機能させるためには、より戦略的な視点と具体的な手法が必要です。ここでは、顧客維持の取り組みを経営の成果に直結させるための具体的なアプローチと、現代において不可欠なデジタルツールの活用について掘り下げます。

「顧客起点」の経営戦略構築

顧客維持率の高い工務店は、例外なく「顧客起点」で企業のあり方やサービス設計を考えています。お客様が本当に求めているものは何か、何に価値を感じ、何に不満を持つのかを深く理解することから、すべての経営戦略が始まります。

  1. 顧客ニーズの徹底的な収集と分析
    • アンケート調査:引き渡し時、定期点検後、イベント後など、様々なタイミングでアンケートを実施します。
    • ヒアリング:スタッフがお客様と直接会話する中で、日々の暮らしや住まいに関する悩み、将来の希望などを丁寧に聞き取ります。
    • OB顧客座談会:複数のOB顧客にお集まりいただき、家づくりや暮らしに関する意見交換会を実施します。
    • これらの情報を部署横断で共有し、商品開発、サービス改善、新たな事業(リフォーム、不動産、暮らしのサービスなど)のアイデアに繋げます。
  2. 顧客セグメントに応じたアプローチ
    • OB顧客を一律に扱うのではなく、築年数、家族構成、ライフスタイル、過去のコミュニケーション履歴などに基づきセグメント化します。
    • セグメントごとに最適な情報提供やイベント、提案内容を変えることで、よりパーソナルで響くコミュニケーションを実現します。

OB顧客向け事業の戦略的強化

新築事業に加え、OB顧客に特化したリフォームやメンテナンス事業を強化することは、顧客維持を収益に直結させる最も直接的な経営戦略です。

  1. 迅速かつ柔軟な小規模工事対応
    • 「ちょっとした修繕をお願いしたい」といったニーズに対し、迅速かつ適正価格で対応できる体制を構築します。
    • 「OB様優先窓口」などを設けることも有効です。
  2. 計画的なリフォーム・メンテナンス提案
    • 定期点検の結果に基づき、将来必要になるであろうメンテナンスやリフォームについて、長期的な視点で具体的な計画と費用を提示します。
    • 設備の交換時期や、耐震・断熱改修のメリットなどを分かりやすく説明します。
  3. OB顧客限定の見学会やイベント
    • リフォーム完成見学会などをOB顧客限定で開催し、具体的なリフォーム事例を紹介します。

紹介獲得を促進する仕組みづくり

顧客維持の究極的な目標の一つが、OB顧客からの紹介による新規顧客獲得です。自然発生的な紹介に頼るのではなく、意図的に紹介が生まれやすい仕組みを経営戦略として構築します。

  1. 紹介制度の明確化と周知徹底
    • 紹介特典の内容をOB顧客に分かりやすく伝え、常に意識してもらえるようにニュースレターやイベントなどで告知します。
    • 紹介プロセスをシンプルにし、紹介しやすいように工夫します(例:紹介カードの配布、紹介用Webフォーム)。
  2. 紹介者との継続的な関係性強化
    • 紹介者には、紹介のお礼を丁寧に行い、紹介されたお客様の進捗状況を適度に共有します(個人情報に配慮しつつ)。
    • 紹介して終わりではなく、その後も良好な関係を維持することが、次なる紹介に繋がります。
  3. 「ファン」育成のための仕掛け
    • 建物だけでなく、会社のビジョンや働く人に魅力を感じてもらえるような情報発信を行います。
    • 共感性の高いストーリー(家づくりへのこだわり、地域貢献活動など)を積極的に伝えます。

デジタルツールを活用した効率的な顧客維持

限られたリソースで効果的に顧客維持を行うためには、デジタルツールの活用が不可欠です。ツールはあくまで手段ですが、適切な導入と活用は、工務店の顧客維持に関する経営戦略を大きく前進させます。

  1. CRM(顧客関係管理※)ツールの導入
    • 顧客情報、契約内容、工事履歴、コミュニケーション履歴、メンテナンス履歴などを一元管理します。
    • 自動的な定期点検通知、誕生日メール、ニュースレターの一斉送信などが可能になります。
    • スタッフ間での情報共有がスムーズになり、属人化を防ぎます。
    • ※ CRM: Customer Relationship Management の略。顧客情報やコミュニケーションを管理し、良好な関係構築を支援するシステム。
  2. LINE公式アカウントの活用
    • OB顧客との個別コミュニケーションツールとして、また一斉の情報発信ツールとして非常に有効です。
    • 手軽に写真や動画を送受信できるため、簡単な状況確認やアドバイスに適しています。
    • チャットボット機能でよくある質問に自動応答させることも可能です。
  3. OB顧客向けアプリの開発・導入
    • 自社専用アプリを通じて、メンテナンス履歴の確認、点検予約、リフォーム相談、イベント情報、ニュースレター配信などを一元的に提供します。
    • お客様にとって、必要な情報にいつでもアクセスできる便利なツールとなります。
  4. SNS(Facebook, Instagramなど)の活用
    • 施工事例の紹介だけでなく、日々の会社の様子、スタッフの人柄、地域活動などを発信することで、OB顧客に会社のファンであり続けてもらうためのエンゲージメントを高めます。
    • OB顧客が写っている写真(許可を得て)を掲載するなど、親近感のある投稿を心がけます。
  5. オンライン相談・イベントの実施
    • 遠方に住むOB顧客や、忙しいお客様のために、オンラインでのリフォーム相談会や住まいのお手入れセミナーなどを行います。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」:効果測定と組織文化の醸成

一度顧客維持の取り組みをスタートさせたら、それで終わりではありません。継続的に改善を重ね、より効果的な経営戦略とするためには、その成果を測定し、組織全体で顧客志向の文化を醸成していくことが不可欠です。

顧客維持に関するKPI設定と効果測定

顧客維持活動が経営にどのような影響を与えているのかを客観的に把握するためには、具体的な成果指標(KPI)を設定し、定期的に測定することが重要です。これにより、どの施策が効果的で、何を見直すべきかが明確になります。

  1. 主要なKPI例
    • 顧客維持率: 特定期間の初めに存在した顧客のうち、期間終了時にも顧客であり続けている割合。
    • リピート率: 一度工事を行った顧客が、再度何らかの工事(リフォームなど)を依頼した割合。
    • 紹介率/紹介経由の新規顧客数: OB顧客からの紹介による新規契約の割合または件数。
    • 顧客生涯価値(LTV※): 一人の顧客が、取引開始から終了までの期間に会社にもたらす総利益。顧客維持率の向上は直接的にLTVの向上に繋がります。
    • 顧客満足度(CSAT): アンケートなどで測定される顧客の満足度。
    • NPS(ネットプロモータースコア※): 「この会社を友人や同僚にどれだけ勧めたいか」という質問への回答に基づく指標。推奨スコアが高いほど、ロイヤルティの高い顧客が多いと言えます。
    • ※ LTV: Life Time Value の略。※ NPS: Net Promoter Score の略。
  2. 測定方法とツール活用
    • CRMツールやエクセル、Google Analytics(Webサイト訪問者の分析)などを用いてデータを収集・分析します。
    • 顧客アンケートの結果は定期的に集計し、改善活動に活かします。
  3. データに基づいた改善計画の策定
    • 測定結果を経営会議や担当者会議で共有し、目標との乖離があれば原因を分析し、具体的な改善策を立てます。
    • 効果が見られない施策は見直し、成功している施策はさらに強化します。

顧客フィードバック収集と改善サイクルの確立

お客様からの声は、経営戦略上、最も価値のある情報の一つです。ネガティブな声も含め、真摯に受け止め、サービスの改善に繋げる仕組みを構築します。

  1. 多様なチャネルでのフィードバック収集
    • アンケート、ヒアリング、Webサイトの問い合わせフォーム、SNS、OB会など、お客様が気軽にフィードバックできるチャネルを複数設けます。
  2. フィードバックへの迅速な対応
    • 寄せられた意見やクレームに対し、迅速かつ誠実に対応します。単に謝罪するだけでなく、原因究明と再発防止策を伝えることで、お客様の信頼を回復・向上させることができます。
  3. 改善活動への反映と顧客への報告
    • 収集したフィードバックを分析し、具体的なサービス改善や業務プロセスの見直しに繋げます。
    • 改善の結果を、ニュースレターやWebサイトなどを通じてOB顧客に報告することで、「お客様の声を聞いてくれている会社だ」という信頼感が高まります。

スタッフ全体の顧客維持マインド醸成と教育

顧客維持は、特定の部署や担当者だけが頑張れば良いものではありません。営業、設計、工事、事務、そして社長を含む全スタッフが、お客様との長期的な関係構築の重要性を理解し、日々の業務において顧客志向を意識することが不可欠です。これは組織全体の文化に関わる重要な経営戦略課題です。

  1. 経営層による顧客維持の重要性発信
    • 社長自身が従業員に対し、顧客維持がいかに会社の将来にとって重要であるか、繰り返しメッセージを伝えます。
  2. 顧客維持に関する研修・勉強会の実施
    • コミュニケーションスキル、お客様からの相談への対応方法、自社のOB向けサービス内容などに関する研修を行います。
    • 成功事例や失敗事例を共有し、学び合う機会を設けます。
  3. 顧客の声の共有
    • お客様からの感謝のメッセージや、改善要望などを全スタッフで共有します。これにより、お客様との繋がりを感じ、主体的に改善に取り組む意識が高まります。
  4. 顧客維持に関する評価制度の導入
    • 売上目標だけでなく、顧客満足度やリピート率、紹介件数なども個人の貢献を評価する項目に加えることを検討します。

競合の顧客維持戦略分析と比較

自社の顧客維持戦略をより洗練させるためには、競合他社がどのような取り組みを行っているのかを知ることも有効な経営戦略の一つです。地域の成功している工務店や、他業界で顧客ロイヤルティが高い企業の事例を参考にします。

  1. 競合のWebサイトやSNSをチェック: OB向けイベントやサービス、情報提供の方法などをリサーチします。
  2. 口コミサイトや評判の確認: 顧客からの評価や、どのような点が評価されているかを把握します。
  3. 異業種交流会などでの情報収集: 他の企業の顧客維持に関する取り組みを聞き、自社に応用できないか検討します。

変化に対応する顧客維持戦略の見直しとアップデート

市場環境、技術、そしてお客様のニーズは常に変化します。一度構築した顧客維持に関する経営戦略も、定期的に効果を検証し、必要に応じて見直し、アップデートしていく柔軟性が求められます。

顧客維持の取り組みは、決して楽な道のりではありません。しかし、一歩ずつ着実に実践し、継続していくことで、必ずや強い顧客基盤が築かれ、安定した経営、そして揺るぎない地域での信頼に繋がっていくはずです。

よくある質問(FAQ)

Q1: 顧客維持率はどうやって計算するのですか?

A1: 顧客維持率は、特定の期間の初めに存在した顧客数(期首顧客数)と、その期間の終わりにも顧客であり続けている顧客数(期末継続顧客数)を使って計算できます。計算式は「(期末継続顧客数 ÷ 期首顧客数)× 100 (%)」です。厳密には、期首顧客数から期間中に新規獲得した顧客を除外し、「((期末顧客数 – 期間中新規獲得顧客数) ÷ 期首顧客数)× 100 (%)」で計算することもあります。工務店の場合は、引き渡しからの年数を区切りとして測定することが多いでしょう。

Q2: 顧客維持活動に使えるツールは高価なのでは?

A2: 確かに高機能なCRMツールなどは初期費用や月額費用がかかる場合がありますが、無料または低価格で始められるツールも多くあります。まずはLINE公式アカウントや、エクセルでの顧客情報管理から始めてみることも可能です。重要なのは、ツールの価格よりも、自社の課題や目的に合致しているか、そして継続的に活用できるかです。小規模向けの安価なCRMや、工務店特化型のツールも開発されていますので、比較検討をおすすめします。

Q3: スタッフの顧客維持活動に対するモチベーションを上げるには?

A3: まず、経営層が顧客維持の重要性を繰り返し伝え、経営戦略における位置づけを明確にすることが土台となります。その上で、顧客からの感謝の声や成功事例を積極的に共有し、やりがいを感じてもらう工夫が必要です。また、顧客満足度や紹介件数など、顧客維持に関する貢献度を人事評価に組み込むことや、成功事例を表彰する制度なども有効です。顧客維持活動に必要な時間やリソースを適切に確保し、スタッフに追加の負担だけをかけない配慮も欠かせません。

Q4: 顧客維持の取り組みは、具体的に何から始めるべきですか?

A4: まずは、既存のOB顧客情報を整理し、どのようなお客様がいるのか全体像を把握することから始めましょう。次に、お客様との現在の接点がどの程度あるのか、そしてお客様がどのような情報を求めているのかを分析します。その上で、最も手軽に始められる施策(例:既存顧客へのニュースレター送付、定期点検時期の確実な連絡)から着手し、徐々に活動範囲を広げていくのが現実的です。同時に、担当者任せにせず、組織として取り組むための情報共有ルールなどを整備していくことも重要です。

Q5: 成功している工務店はどのような顧客維持策を行っていますか?

A5: 成功している工務店は、単に品質の高い建物を建てるだけでなく、アフターフォローやOB顧客とのコミュニケーションを非常に重視しています。多くの場合、OB顧客向けのイベント(感謝祭やお祭りなど)を定期的に開催して交流を図ったり、暮らしに役立つ情報やイベント告知を掲載したニュースレターを継続的に発行したりしています。また、リフォーム・メンテナンス部門を強化し、OB顧客の小さな困りごとにも迅速に対応できる体制を整えている点も共通しています。CRMツールなどを活用し、顧客情報を一元管理してきめ細やかなフォローを行っている工務店も増えています。何よりも、社員一人ひとりがOB顧客を大切にするという共通認識を持ち、自然な形で「御用聞き」や相談相手になっていることが最大の強みと言えます。

まとめ

この記事では、工務店経営者の皆様が直面する新規顧客獲得の難しさという課題に対し、顧客維持がどれほど強力な経営戦略となり得るのか、その重要性から具体的な実践ステップ、そして継続的な改善のポイントまでを詳しく解説しました。顧客維持は、単なるアフターサービスではなく、安定した収益基盤の構築、紹介による新規顧客獲得、そして地域における揺るぎないブランド信頼性を確立するための核となる取り組みです。契約後から引き渡し、そして長期にわたるフェーズごとに具体的なアクションプランを示し、CRMツールなどのデジタル活用が、限られたリソースでも効果を最大化する上でいかに重要かをお伝えしました。

また、顧客維持を成功させるためには、単なるテクニックに留まらず、お客様起点の経営戦略を組織全体で共有し、スタッフ一人ひとりがお客様との関係構築の担い手となる文化を醸成することが不可欠です。効果測定を継続的に行い、お客様からのフィードバックを改善活動に繋げるサイクルを回すことで、顧客維持に関する経営戦略はさらに洗練されていきます。

顧客維持への投資は、短期的な費用としてではなく、企業の将来を明るく照らすための長期的な投資として捉えるべきです。この記事で提示した具体的なアクションプランは、明日からでも取り組めるものばかりです。最初の一歩は小さくても構いません。例えば、まずはOB顧客リストを整理することから始めてみる、あるいは次回の定期点検時にいつもより丁寧な声かけを意識してみるなど、できることから着実に実行してみてください。顧客への真摯な姿勢と継続的な努力は、必ずや信頼として返ってきます。

顧客維持率の向上という経営戦略を通じ、安定した経営基盤を築き、情熱を込めて建てた家にお客様が長く安心して暮らせる未来、そしてそのお客様が最高の笑顔で新たなご縁を連れてきてくれる未来を、共に実現していきましょう。この記事が、皆様の経営、そしてお客様との絆を深めていくための一筋の光となれば幸いです。

プロフィール画像

この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

顧客満足度アンケートで経営改善!工務店の実践術

2025/06/20 |

工務店経営者の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。激しい競争環境の中で、いかに安定した経営を続け、...

記事を読む

従業員教育で工務店のサービス品質を向上させる

2025/06/19 |

工務店経営者の皆様、日々の事業運営、誠にお疲れ様です。資材価格の高騰、人手不足の深刻化、そして顧客ニ...

記事を読む

モデルハウスで「この家だ!」と思わせる!顧客を惹きつける接客術

2025/06/18 |

多くの工務店経営者様にとって、集客は大きな課題の一つではないでしょうか。苦労してモデルハウスに足を運...

記事を読む

工務店 経営 跡継ぎのホンネとは? アンケート記事から

2023/06/26 |

先日、親が経営者である20代会社員108人を対象に、 「経営者の子どもの意識調査」 を実施し...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑