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高単価リフォーム案件を獲得する!工務店の営業戦略

公開日: : 最終更新日:2025/06/20 工務店 経営

工務店の皆様、日々の業務で経営安定化や利益率向上に頭を悩ませていませんか?価格競争の激化や、資材・人件費の高騰など、外部環境の変化は常に課題として立ちはだかります。こうした状況を乗り越え、持続可能な経営を実現するためには、単に案件数をこなすだけでなく、一つ一つの案件の質を高め、顧客単価を向上させる戦略が不可欠となります。特に、デザイン性や機能性、快適性を重視する層に向けた高単価リフォームは、利益率を高め、安定した収益源を確保するための有効な手段です。しかし、「高単価リフォーム案件はどうやって取るのか?」「今の営業のままで通用するのか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。この記事では、そのような皆様の疑問に直接お答えし、高単価リフォーム案件を獲得し、顧客単価を飛躍的に向上させるための具体的かつ実践的な営業戦略をステップバイステップで解説します。この記事を読むことで、あなたの工務店が高単価リフォーム市場で成功するための明確な道筋が見え、今日から実践できる具体的なアクションプランを得られることをお約束します。

高単価リフォームの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店の経営において、売上規模だけでなく、利益率の改善は非常に重要な課題です。そして、利益率改善に直結するのが顧客単価の向上です。特に、高単価リフォーム市場には、この顧客単価を大きく引き上げるポテンシャルがあります。しかし、「高単価リフォーム」と一口に言っても、その定義や取り組み方は工務店によって様々です。ここでは、まず高単価リフォーム市場の基礎を理解し、自社に合った戦略を立てるためのステップを見ていきましょう。

1.なぜ今、高単価リフォームなのか?市場の現状とメリット

少子高齢化が進み、新築市場が縮小傾向にある一方で、既存住宅のストックは増加しています。住宅の長寿命化や多様なライフスタイルへの対応が求められる中、リフォーム市場は今後も安定した需要が見込まれています。中でも、単なる修繕や部分改修ではなく、デザイン性、機能性、快適性、断熱性などを総合的に向上させる高単価リフォームへのニーズが高まっています。

高単価リフォームを手がけることには、工務店にとって数多くのメリットがあります。

  • 利益率の向上:一般的なリフォームに比べ、資材費や職人さんの手間賃だけでなく、デザインフィーやコンサルティングフィーなどを上乗せしやすく、利益率が高くなる傾向があります。顧客単価が上がることで、利益構造が改善されます。
  • 価格競争からの脱却:高単価リフォームは、価格だけでなく「価値」で選ばれる傾向が強いため、競合との価格競争に巻き込まれにくくなります。
  • ブランドイメージの向上:質の高い高単価リフォームの実績は、工務店の技術力、デザイン力、提案力を証明し、ブランドイメージ向上に貢献します。
  • 紹介案件の増加:満足度の高い高単価リフォームの顧客からは、新たな高単価リフォーム案件の紹介に繋がりやすくなります。
  • 職人さんのモチベーション向上:難易度の高いこだわりの仕事は、職人さんの技術向上やモチベーションアップに繋がります。

これらのメリットは、工務店の経営を安定させ、持続的な成長を可能にします。顧客単価を高めることは、単に売上を増やすだけでなく、企業の体質強化に繋がるのです。

2.「高単価リフォーム」を定義する:あなたの工務店にとってのそれは?

「高単価リフォーム」に明確な金額の定義はありません。地域差や工務店の規模、得意分野によって異なります。重要なのは、あなたの工務店にとって、どのようなリフォームを「高単価リフォーム」として位置づけるかを定めることです。

例えば、

  • 耐震補強と断熱改修を組み合わせたフルリノベーション
  • 著名な建築家やデザイナーと連携した意匠性の高いデザインリフォーム
  • 趣味の部屋やホームシアターなど、特定の付加価値に特化した改修
  • 長期優良住宅化リフォームなど、国の補助金を活用できる大規模改修

などが考えられます。これらのリフォームは、一般的なキッチンや浴室の交換よりも工事規模が大きく、専門的な知識や技術、提案力が求められるため、必然的に顧客単価が高くなります。

自社の得意な技術や強み、そして獲得したい利益率を考慮して、「これなら高単価で提供できる」というサービスやコンセプトを明確にしましょう。これが、今後の営業戦略の軸となります。

3.高単価リフォームのターゲット顧客を明確にする:どんな人に届けたい?

高単価リフォームに関心がある顧客層は、一般的にどのような人たちでしょうか。

  • 一定以上の経済力があり、住宅に投資する意欲が高い
  • デザインや品質にこだわりがある
  • 既存の住宅性能(断熱性、耐震性など)に不満があり、根本的な改善を求めている
  • 人生の節目(子育て終了、定年退職など)にあわせ、ライフスタイルに合わせた住まいを求めている
  • 情報収集に積極的で、インターネットや雑誌、専門家からの情報を信頼する

これらの要素を参考に、あなたの工務店がターゲットとすべき顧客像(ペルソナ)を設定してみましょう。年齢層、家族構成、職業、趣味、価値観、どのような住宅に住んでいるか、どのようなリフォームの悩みを抱えているかなどを具体的にイメージします。

ターゲット顧客が明確になれば、その顧客に響くメッセージや情報発信の方法、そして具体的な営業アプローチが見えてきます。闇雲に集客するのではなく、狙いを定めて効率的に活動することが、高単価リフォーム案件獲得の鍵となります。

4.自社の「高単価リフォーム商材・サービス」を作る:強みを棚卸し、付加価値を設計する

ターゲット顧客が明確になったら、次にその顧客のニーズを満たし、かつ高単価で提供できる自社独自の商材やサービスを開発します。既存のサービスを見直し、「これなら高単価で売り出せる」という強みを再発見する作業でもあります。

以下の点を検討してみてください。

  • デザイン力:自社に専属のデザイナーがいるか、外部のデザイナーと連携できるか。デザイン性の高い提案を強みとする。
  • 技術力:耐震補強、断熱改修、特定の構造材の扱いに長けているなど、高度な技術を要する工事を得意とする。
  • 提案力:顧客の潜在的なニーズを引き出し、期待を超える提案をするコンサルティング力。ローンや補助金に関する知識も含む。
  • 素材へのこだわり:無垢材、自然素材、特定の高性能建材など、通常の標準仕様とは異なる高品質な素材を推奨・使用する。
  • アフターサービス:定期点検やメンテナンスなど、長期的な関係性を重視する手厚いサポート体制。
  • 特定の専門性:ペットリフォーム、防音リフォーム、バリアフリーリフォームなど、特定のニーズに特化する。

これらの要素を組み合わせ、「〇〇工務店の高単価リフォームは、デザインと断熱性能を両立させ、健康で快適な暮らしを実現します」「私たちは、地震に強く、〇〇年後も安心して暮らせる家のリフォームを提供します」のように、具体的なコンセプトと強みを顧客に伝わる言葉で整理しましょう。これが、あなたの工務店の顧客単価を特徴づける要素となります。

Q&A: 高単価リフォームは具体的に何から始めれば良いですか?
まずは、自社の過去の施工事例を振り返り、比較的単価が高かった案件の特徴を分析することから始めましょう。どのような顧客層で、どのような要望が多く、自社のどの技術やサービスが貢献したかを確認します。次に、今後ターゲットとしたい高単価顧客のニーズを調査し、自社の強みと合致するポイントを探ります。そして、その強みを活かした「高単価リフォーム商材」のコンセプトを設計し、テストマーケティングとして身近な顧客層に提案してみるのが具体的な第一歩となります。

顧客単価×高単価リフォーム:成果を最大化する具体的な取り組み

高単価リフォームという方向性が定まったら、次はそれを実現するための具体的な営業戦略を実行に移すステップです。ここでは、ターゲット顧客への効果的なアプローチから、顧客単価を最大化するためのコミュニケーション、提案、そして差別化戦略について掘り下げていきます。顧客単価向上のための実践的なノウハウが満載です。

5.高単価リフォーム顧客への効果的なアプローチ方法:どこで、どうやって見つける?

ターゲット顧客像が明確になったら、その顧客層に情報が届く媒体やチャネルで積極的にアプローチする必要があります。

  • WebサイトとSEO対策:高単価リフォームに関心のある層は、インターネットで熱心に情報収集をします。「(地域名) デザインリフォーム」「高性能リノベーション 費用」「築〇年 断熱改修」などのキーワードで検索する可能性が高いため、これらのキーワードで上位表示されるようにWebサイトのコンテンツ(施工事例、解説記事、ブログ)を充実させましょう。専門性やデザイン性の高さを視覚的に伝えることが重要です。
  • SNS活用:特にInstagramは、デザイン性の高い施工事例を発信するのに適しています。Pinterestもリフォームのアイデアを探すユーザーが多く利用しています。美しい写真やbefore/afterを積極的に投稿し、潜在顧客との接点を作ります。
  • セミナー・勉強会の開催:断熱改修のメリット、耐震リフォームの重要性、デザインリノベーションの事例などをテーマにしたセミナーや勉強会を開催することで、関心度の高い層に直接アプローチできます。工務店の専門性や信頼性をアピールする良い機会です。
  • 地域の高所得者層へのアプローチ:特定の高級住宅街へのポスティング、地域の情報誌への広告掲載、地域の交流イベントへの参加なども有効な場合があります。
  • 既存顧客からの紹介促進:過去に高単価リフォームに近い工事を行った顧客や、満足度の高い優良顧客に、紹介キャンペーンなどを通じて協力を依頼します。信頼できる工務店からの紹介は、新たな高単価案件に繋がりやすい傾向があります。
  • 異業種交流:建築家、デザイナー、インテリアコーディネーター、または富裕層向けサービス(FP、税理士、保険代理店など)を提供している異業種とのネットワーク構築も、新たな顧客層へのアプローチになります。

これらのチャネルを組み合わせ、ターゲット顧客に確実に情報が届くよう戦略的に活用することが、顧客単価向上に向けた第一歩です。

6.「単価」を上げるためのヒアリングと提案スキル:潜在ニーズを引き出す魔法の質問

高単価リフォーム案件の成否は、お客様の潜在的なニーズをどこまで引き出せるかにかかっています。お客様自身も気づいていない「本当の願望」や「解決したい根本的な課題」を理解することで、単なる表面的な要望に留まらない、付加価値の高い提案が可能になり、結果として顧客単価アップに繋がります。

効果的なヒアリングのためには、単に「どこをリフォームしたいですか?」ではなく、以下のような質問を投げかけてみましょう。

  • 「どのような暮らしを実現したいですか?」
  • 「お住まいのどんなところに、今は少し不便を感じていらっしゃいますか?」
  • 「これから〇年後、お住まいはどのように使っていたいですか?」
  • 「趣味や、これから始めたいことはありますか?それはお住まいの中でどのように実現したいですか?」
  • 「光熱費や家の寒さ・暑さについて、どうお考えですか?」
  • 「もし予算に制限がなかったら、どんな家にしてみたいですか?」

これらの質問を通じて、お客様のライフスタイル、価値観、将来の希望、そして住まいに関する潜在的な悩みや願望を深く理解します。そして、引き出したニーズに対して、自社の専門知識や技術、デザイン力を活かして具体的な解決策や理想の実現方法を提示します。これが、単価を意識した提案の土台作りです。

7.顧客に「価値」を理解してもらうための提案手法:価格以上の納得感を生むには

高単価リフォームを成功させるためには、お客様に価格以上の「価値」を感じてもらうことが不可欠です。「高い」と感じさせず、「この金額を払う価値がある」と納得していただくための提案手法を磨きましょう。

  • ビジュアルによる提案:高品質なパース、デザインスケッチ、CG、素材サンプルなどを活用し、完成イメージを具体的に伝えます。言葉だけでは伝わりにくいデザイン性や空間の広がり、素材の質感などを視覚に訴えることで、お客様の期待感を高めます。
  • ストーリーテリング:単に工事内容を説明するのではなく、リフォームによってお客様の暮らしがどのように豊かになるか、どのようなメリットがあるかをストーリーとして語ります。「断熱改修で冬はポカポカになり、光熱費も下がり、家族みんなが健康に過ごせます」「この開放的なLDKなら、お子様が友だちをたくさん呼んで、賑やかに過ごせますね」のように、具体的な生活シーンを想像させることが効果的です。
  • 専門性と根拠の提示:なぜこの素材が良いのか、なぜこの工法が必要なのか、なぜこのデザインにしたのかなど、プロとしての専門知識に基づいて根拠をしっかり説明します。耐震診断の結果や断熱性能の数値データを示すなど、客観的な情報も交えると信頼性が増します。
  • デメリットやリスクも伝える誠実さ:良い点ばかりではなく、工事期間中の不便さや、選んだ素材の経年変化など、デメリットやリスクについても正直に伝えます。誠実な姿勢を見せることで、お客様からの信頼を得やすくなります。
  • 選択肢の提示:複数の高単価リフォームプランを用意し、それぞれの違い(デザイン、機能、費用、工期など)を分かりやすく説明します。お客様自身に選択肢を与えることで、納得感を持って意思決定していただくことができます。ただし、選択肢が多すぎると迷わせてしまうため、多くても3パターン程度に絞るのがおすすめです。

これらの提案手法を駆使することで、お客様は提示された金額が単なる工事費ではなく、「理想の暮らしを実現するための投資である」と理解し、高単価リフォームを選択する可能性が高まります。これは、まさに顧客単価向上に直結する核心的なスキルです。

8.信頼関係を構築し、顧客単価を自然に高めるコミュニケーション術

高単価リフォームは、お客様にとって人生で一度あるかないかの大きな買い物です。だからこそ、価格だけでなく、依頼する工務店や担当者を信頼できるかどうかが非常に重要になります。契約前から工事中、そしてアフターフォローに至るまで、丁寧で誠実なコミュニケーションを心がけることが、信頼関係を築き、結果的に顧客単価向上に繋がります。

  • お客様の話を「聴く」:一方的に話すのではなく、お客様の話に耳を傾け、共感する姿勢を示します。お客様の語る言葉だけでなく、表情や声のトーンからも気持ちを汲み取ろうと努力します。「それはお困りでしたね」「よく分かります」といった共感の言葉は、お客様の安心感に繋がります。
  • 報連相を徹底する:打ち合わせの内容、工事の進捗状況、変更点、懸念事項など、どんな小さなことでもお客様に迅速かつ正確に報告・連絡・相談します。特に高単価リフォームでは、お客様の期待値も高いため、丁寧すぎるくらいの報連相が信頼を生みます。
  • 「お客様ファースト」の姿勢を示す:常にお客様の立場に立って物事を考え、行動します。お客様の疑問や不安には迅速に対応し、納得いくまで説明を行います。「お客様のためなら」という想いが伝わることで、お客様は「この人になら任せられる」と感じてくれます。
  • 専門用語を避ける:建築やリフォームに関する専門用語は避け、一般の方にも分かりやすい言葉で説明します。図やイラストを用いるなど、視覚的に理解しやすい工夫も有効です。分かりやすい説明は、お客様の不安を軽減し、信頼感を増します。
  • 約束を守る:打ち合わせの時間、提出期限、工期、予算など、お客様との約束は必ず守ります。もし守れない場合は、早めに正直に理由を説明し、代替案や今後の見通しを伝えます。小さな約束の積み重ねが、大きな信頼に繋がります。

お客様との良好なコミュニケーションは、単に契約を取り付けるためだけでなく、追加工事や仕様変更の相談につながりやすく、それが顧客単価を自然に引き上げる可能性も秘めています。

9.競合と差別化するブランディングとプレゼンテーション

高単価リフォームを狙う顧客は、複数の工務店やリフォーム会社を比較検討することがほとんどです。数ある選択肢の中からあなたの工務店を選んでもらうためには、競合との差別化を行い、自社の「らしさ」や「強み」を効果的に伝えるブランディングとプレゼンテーションが重要です。

  • 明確なコンセプトとメッセージ:前述した「自社の高単価リフォーム商材・サービス」のコンセプトを、分かりやすいキャッチコピーやメッセージとして発信します。「デザインと性能にこだわる」「自然素材のエキスパート」「家族の成長に寄り添う家づくり」など、あなたの工務店の特徴を端的に表現します。
  • 施工事例の質と表現:高単価リフォームの実績は、最も強力な差別化要素です。プロのカメラマンに依頼して、美しい写真や動画でbefore/afterを記録し、Webサイトやパンフレット、SNSで積極的に発信します。単なる写真だけでなく、リフォームのポイント、お客様の声、こだわりの素材やデザインについても具体的に記述します。
  • スタッフの個性と専門性:誰が、どのような想いで家づくりやリフォームを手がけているのかを伝えることも重要です。Webサイトにスタッフ紹介ページを設けたり、ブログで日々の仕事や想いを綴ったりすることで、人間味を感じさせ、お客様からの親近感や信頼感に繋がります。担当者の専門性や資格なども積極的にアピールします。
  • 独自の提案ツールやプロセス:他社にはないオリジナルの提案資料、独自のシミュレーションツール、お客様と一緒に楽しみながらプランを練るワークショップなど、提案プロセス自体を差別化要素とすることも可能です。
  • 一貫性のあるデザイン:Webサイト、パンフレット、名刺、そしてリフォーム後の写真など、あらゆるアウトプットのデザインに一貫性を持たせることで、工務店の持つ雰囲気やコンセプトを視覚的に伝えます。

これらのブランディングとプレゼンテーションを組み合わせることで、「〇〇工務店にしか頼めない」という独自の立ち位置を築き、価格だけでなく価値で選ばれるようになり、それが結果的に顧客単価の向上に貢献します。

Q&A: 高単価リフォームの営業で避けるべきことは何ですか?
最も避けるべきは、お客様の予算だけを聞いて、すぐに金額の話をしてしまうことです。高単価リフォームのお客様は、単に安いものを求めているのではなく、その金額を払うことで何が得られるかを重視しています。お客様の夢や悩み、価値観を深くヒアリングする前に金額の話をすると、「結局、価格しか見ていないのか」と思われてしまい、信頼を失いかねません。まずは徹底的にヒアリングを行い、お客様の理想の暮らしを共有し、その実現に向けた最適な提案を行うことに集中しましょう。また、他社の悪口を言うのも厳禁です。信用を失うだけでなく、品位を疑われます。

顧客単価を継続的に成功させるための「次の一手」

高単価リフォーム案件を獲得し、顧客単価を一度引き上げることに成功しても、それを継続できなければ意味がありません。ここでは、適切な価格設定、契約率向上のための工夫、そして組織全体の取り組みとして顧客単価を持続的に向上させていくための戦略と、その効果測定について解説します。単発の成功に終わらせないための「次の一手」を考えましょう。

10.高単価リフォームに適した価格設定戦略

高単価リフォームの価格設定は、単に「材料費+工事費+利益」で計算するだけでは不十分です。お客様が感じる「価値」を価格に反映させる必要があります。

  • 付加価値への上乗せ:デザイン性の高さ、高性能な建材の使用、高度な技術、コンサルティングフィー、手厚いアフターサービスなど、お客様に提供する独自の価値に対して、適正なフィーを上乗せします。
  • 市場調査:競合他社が高単価リフォームでどのような価格帯を設定しているか、リサーチを行います。ただし、価格競争に陥るのではなく、自社の価値と照らし合わせて、お客様に「見合った」「納得できる」と感じてもらえる価格を設定することが重要です。
  • 価格の根拠を明確に説明:なぜこの価格になるのか、内訳を分かりやすく説明します。使用する素材のグレード、職人さんの技術レベル、デザイン費、保証内容など、価格を構成する要素を透明性を持って開示することで、お客様の納得感を高めます。
  • 複数の価格帯の提案:単一のプランだけでなく、お客様の予算感や重視するポイントに合わせて、いくつかの価格帯のプランを提示することも有効です。ただし、提示するプランはすべて「高単価リフォーム」の枠組みに入るものとし、単に安いだけのプランは基本的に提供しません。
  • 見積書の工夫:単に費目ごとに金額が並んでいるだけでなく、使用する素材の写真や説明、工事方法の図などを盛り込むことで、見積書自体を「価値」を伝えるための重要なツールとして活用します。

適切な価格設定は、工務店の利益を確保し、高単価リフォームの質を維持するために不可欠です。お客様に「高い」と感じさせず、「価値」に見合った適正な価格であることを丁寧に伝えることが、顧客単価維持の基礎となります。

11.契約率を高めるクロージングと交渉術:不安を払拭し、背中を押す

高単価リフォームの提案はできたとしても、そこから契約に至るまでには、お客様の迷いや不安を解消し、決断を後押しするクロージングと交渉のスキルが必要です。

  • お客様の迷いや不安を聞き出す:お客様が何に迷っているのか(予算、デザイン、工期、本当に信頼できるかなど)を正直に話してもらえるような雰囲気を作ります。「何かご不安な点はありますか?」「今の時点でもう少し確認しておきたいことは?」など、質問を投げかけ、お客様が抱えるハードルを一つずつ丁寧に取り除いていきます。
  • 懸念事項に対する具体的な解決策提示:予算が心配ならローンや補助金の情報を提示する、工期が長いなら仮住まいの提案や工期短縮の工夫を説明するなど、お客様の懸念事項に対して具体的な解決策を示し、実現可能であることを伝えます。
  • メリットの再確認と未来の提示:これまでの提案内容を振り返り、お客様がこのリフォームによって得られる最大のメリットや、実現したい未来を改めて伝えます。「このリビングなら、ご家族皆さんでゆったり過ごす時間が格段に増えますね」「断熱改修で、冬の朝、布団から出るのが億劫な日々とはさよならできますよ」のように、具体的な生活の変化をイメージさせます。
  • 限定性や緊急性の提示(必要な場合):国の補助金や減税制度の期限、資材価格の変動の可能性など、契約を急ぐべき理由がある場合は、正直かつ丁寧に伝えます。ただし、お客様を焦らせすぎるのは逆効果です。
  • 最終確認:お客様の質問や疑問が全て解消されたか、契約内容に不明な点がないか、丁寧に確認します。お客様が自信を持って「お願いします」と言える状態に導くことが目標です。

高単価リフォームの契約は、短期的な価格交渉ではなく、お客様との信頼関係に基づいた長期的なパートナーシップの始まりと捉えましょう。お客様の不安を理解し、誠実に対応することが、契約率を高め、顧客単価を定着させることに繋がります。

12.高単価リフォームの成功事例分析と社内共有

一度でも高単価リフォーム案件を獲得できたら、その成功事例を深く分析し、社内で共有することが非常に重要です。なぜ成功したのか、どのような点がお客様に評価されたのかを明確にすることで、その後の高単価リフォーム案件獲得に向けたノウハウとして蓄積・活用できます。

  • 成功要因の分析:どのような経緯で問い合わせがあったのか、お客様はどのような層だったのか、特に評価された提案内容やデザインは何か、スタッフのどのような対応が良かったのかなどを具体的に分析します。
  • お客様の声の収集と活用:リフォーム後のお客様の満足度を伺い、具体的な感想や評価を聞き出します。可能であれば、写真や動画と合わせてWebサイトやパンフレットに掲載させていただきます。生のお客様の声は、新たな高単価リフォーム顧客にとって強力なアピール材料となります。
  • 社内での情報共有:成功事例とその分析結果を、営業担当者、設計担当者、現場担当者など、すべての関係者で共有します。これにより、他のスタッフも高単価リフォームのノウハウを学び、実践できるようになります。
  • 勝ちパターンの確立:いくつかの成功事例を重ねることで、「こういう顧客層には、こういう提案が響きやすい」「このタイプの高単価リフォームには、この集客方法が効果的」といった勝ちパターンが見えてくるはずです。

成功事例の分析と共有は、工務店全体の高単価リフォーム対応力を底上げし、継続的に顧客単価を高く保つための組織的な取り組みとなります。

13.顧客単価向上に向けた効果測定と改善サイクル

高単価リフォームへの取り組みが実際に顧客単価向上に繋がっているのか、定期的に効果を測定し、改善サイクルを回すことが重要です。

  • KPI(重要業績評価指標)の設定:顧客単価の目標値はもちろんのこと、高単価リフォームからの問い合わせ件数、商談数、契約率、平均契約単価、高単価リフォームの売上構成比率などをKPIとして設定し、定期的に状況を把握します。
  • データ分析:設定したKPIに基づき、定量的なデータを収集・分析します。どの集客チャネルからの問い合わせが多いか、どのタイプの高単価リフォームが契約に繋がりやすいか、どの提案内容がお客様に響いているかなどをデータで確認します。
  • 改善策の実施:データ分析の結果に基づき、課題となっている部分(例えば、集客はできているが契約率が低い、特定の高単価リフォームの問い合わせが少ないなど)に対する具体的な改善策を計画・実行します。Webサイトのコンテンツ修正、営業トークの見直し、新たな集客方法の検討などを行います。
  • 継続的なモニタリング:改善策を実施した後も、その効果を測定し、必要に応じてさらなる修正を行います。このPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を継続的に回すことが、顧客単価を持続的に向上させるためには不可欠です。

データに基づいた効果測定と改善は、感覚や経験だけでなく、客観的な視点から戦略の有効性を評価し、より効率的・効果的に高単価リフォーム案件を獲得するための羅針盤となります。

14.組織全体で高単価リフォームに取り組む体制づくり:社員教育と意識改革

顧客単価向上は、特定の営業担当者や経営者だけの課題ではなく、工務店全体の取り組みです。全社員が高単価リフォームの重要性を理解し、それぞれの立場で貢献できるような体制づくりと意識改革が不可欠です。

  • 高単価リフォームの目的と目標の共有:なぜ高単価リフォームに取り組むのか、それによって工務店がどうなりたいのかという目的と、具体的な顧客単価の目標値を全社員で共有します。
  • 社員教育とスキルアップ:高単価リフォームに必要なデザイン知識、新しい建材の知識、コミュニケーションスキル、提案スキルなどを習得するための研修や勉強会を実施します。外部セミナーへの参加を支援したり、資格取得を奨励したりすることも有効です。営業担当だけでなく、設計担当者、現場担当者、事務スタッフも、それぞれの立場で高単価リフォームへの理解を深めます。
  • 成功体験の共有と称賛:高単価リフォーム案件獲得の成功事例を積極的に共有し、貢献した社員を称賛します。成功体験は、他の社員のモチベーション向上に繋がります。
  • 評価制度の見直し:高単価リフォームへの貢献度を評価項目に加えるなど、人事評価制度を見直すことも、社員の意識と行動を変える上で有効な手段となり得ます。
  • チームワークの強化:高単価リフォームは、営業、設計、現場、すべての部署の密な連携が不可欠です。部署間の情報共有を密にし、お互いを尊重し合い、協力しながら一つのプロジェクトを成功させるチームワークを強化します。

組織全体が高単価リフォームに前向きに取り組み、「ワンチーム」として顧客単価向上を目指すことが、持続的な成長の基盤となります。

Q&A: 顧客単価向上は一時的なもので終わらせないためには?
顧客単価向上を持続させるためには、単に「高額な案件を取る」という一時的な目標に留まらず、「常に顧客に高い価値を提供できる工務店であり続ける」という長期的な視点を持つことが重要です。そのためには、従業員のスキルアップと意識改革、提供するサービスや技術の継続的なアップデート、そして顧客満足度を常に追求する企業文化の醸成が必要です。今回解説した、戦略の策定、具体的な営業活動、効果測定と改善サイクルを仕組みとして社内に定着させましょう。また、高単価リフォームのお客様からは、次の高単価リフォームや増改築の相談を受けることも多いため、契約後のアフターフォローや定期的なコンタクトも、顧客単価を維持・向上させる上で見逃せないポイントです。

まとめ

本記事では、工務店経営者様が顧客単価を飛躍的に向上させるための具体的な方法として、高単価リフォーム案件の獲得に焦点を当てた営業戦略を解説しました。なぜ今、高単価リフォームが重要なのかという基礎知識から、自社の強みを生かした商材開発、明確なターゲット設定、そして効果的なアプローチ、ヒアリング、提案、クロージングといった実践的な営業スキル、さらに継続的な顧客単価向上を実現するための組織づくりと効果測定まで、ステップを踏んで解説しました。

高単価リフォーム案件を獲得することは、一時的な売上アップに留まらず、工務店の利益率改善、価格競争からの脱却、ブランドイメージ向上、そして経営の安定化という、長期的なメリットをもたらします。顧客単価を高める取り組みは、あなたの工務店を次のステージへと押し上げる力となります。

今日から、ぜひこの記事で解説した具体的なアクションプランを実行に移してみてください。まずは、自社の高単価リフォーム商材のコンセプトを練り直し、ターゲット顧客を明確にすることから始めてみましょう。そして、お客様の心に響く提案スキルを磨き、信頼関係を構築するコミュニケーションを実践してください。これらの取り組みを継続し、効果を測定しながら改善を重ねることで、必ずやあなたの工務店は高単価リフォーム市場で確固たる地位を築き、顧客単価向上という目標を達成できるはずです。挑戦は容易ではありませんが、その先には安定した経営と、よりやりがいのある仕事、そしてお客様からの深い信頼が待っています。皆様の成功を心から応援しています。

プロフィール画像

この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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