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特定のターゲットに特化したモデルハウス戦略

公開日: : 最終更新日:2025/08/02 工務店 経営

工務店経営者の皆様、集客や契約率の向上に課題を感じていませんか?Webサイトからの問い合わせは増えても、なかなか実際の来場や契約に繋がらない、あるいは競合との差別化に悩んでいる、といった声は少なくありません。その解決策の一つとして、多くの工務店がモデルハウスを活用されています。しかし、「モデルハウスを持っても期待した効果が出ない」「コストばかりかかってしまう」といった新たな悩みに直面している方もいらっしゃるかもしれません。

かつては、あらゆる層にアピールできる「最大公約数的な家」を見せるモデルハウスが主流でした。しかし、消費者の価値観が多様化したいま、ぼんやりとした家では誰の心にも響きません。ここに、特定のターゲットに絞り込む「ターゲット特化」という戦略が重要になります。ターゲット特化型のモデルハウスは、特定の顧客層の心に深く刺さり、単なる建物ではなく「私たちのための家だ!」という強い共感を生み出します。

この記事では、工務店経営者の皆様が直面するこれらの課題に対し、モデルハウスとターゲット特化戦略を組み合わせることで、どのように集客と契約率を劇的に改善できるのか、その具体的な手順と実践的なノウハウを徹底解説します。

「誰に」「どんな家を」「どう見せるか」を明確にするターゲット特化戦略は、モデルハウスのポテンシャルを最大限に引き出します。この記事を通して、あなたの工務店が独自の強みを確立し、理想のお客様と深く繋がり、持続的な成長を実現するためのヒントを得られることをお約束します。読み終える頃には、漠然とした不安が具体的なアクションプランへと変わり、モデルハウス経営に対する新たな視点が開けるはずです。「特定のターゲットに特化したモデルハウス戦略」を学び、貴社の未来を切り拓きましょう。

ターゲット特化の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

工務店経営において、「誰にでも売れる家」を探求することは、結果として「誰にも選ばれない家」になるリスクを孕んでいます。なぜなら、現代の消費者は情報過多の時代にあり、自身のライフスタイルや価値観に深く共感してくれる、自分たちらしい家づくりを求めているからです。ここに、ターゲット特化の重要性があります。

ターゲット特化とは、文字通り、提供する商品・サービスを特定の顧客層(ターゲット)に合わせて最適化する戦略です。住宅業界においては、特定の家族構成、年齢層、収入層、あるいは特定のライフスタイル(自然素材好き、趣味に没頭したい、共働きで家事を効率化したいなど)を持つ顧客層に焦点を絞ることを指します。

なぜ工務店経営にターゲット特化が必要なのか?

ターゲット特化は、競争が激化する住宅市場で勝ち抜くための強力な武器となります。その理由は以下の通りです。

  • 差別化の明確化:「うちは〇〇な人のための工務店です」と明確に打ち出すことで、他社との違いを際立たせることができます。これはWebサイト、広告、そしてモデルハウスにおいて強力なメッセージとなります。
  • 効率的な集客:広すぎるターゲットに漠然とアプローチするよりも、特定のターゲット層が集まるメディアやイベントに絞ってプロモーションを行う方が、広告費や労力対効果が格段に向上します。モデルハウスへの来場者も、より確度の高い層が多くなります。
  • 受注・契約率の向上:ターゲットのニーズを深く理解しているため、提案内容が顧客の心に強く響き、成約に繋がりやすくなります。モデルハウスでの体験も、ターゲットにとって「自分ごと」になりやすいでしょう。
  • 顧客満足度の向上と紹介の促進:ターゲットの期待値を超える家づくりができれば、高い顧客満足度が得られます。満足したお客様は、同じような価値観を持つ友人・知人を紹介してくれる可能性が高まります。
  • 価格競争からの脱却:ターゲットに刺さる独自の価値を提供できれば、価格だけで勝負する必要がなくなります。

これらのメリットは、そのままターゲット特化型モデルハウスを成功させるための基盤となります。

ターゲットを「特定」する実践ステップ

「ターゲット特化」と言われても、漠然としているかもしれません。具体的なターゲットを特定するための実践ステップをご紹介します。

ステップ1:現状分析と強みの洗い出し

自社の最も得意とする工法、デザイン、価格帯、過去の受注実績を詳細に分析します。

  • 過去のお客様で、特に満足度が高かった層、もしくは依頼内容に共通点があった層は?
  • 自社の職人や設計士が最も情熱を傾けられる、得意な分野は?
  • 競合他社が得意としていないニッチな領域は?

これにより、自社にとって無理がなく、かつ強みを発揮できるターゲット像の素地が見えてきます。

ステップ2:市場と競合の調査

特定エリアの人口動態、所得分布、住宅需要のトレンドを調査します。同時に、主要な競合他社がどのようなターゲット層にアプローチしているか、彼らのモデルハウスやプロモーション方法を徹底的に分析します。「選ばれていない層」の中に自社の強みが活かせるターゲットがいないかを探します。

ステップ3:理想の顧客像「ペルソナ」の設定

ここがターゲット特化の核となる作業です。ステップ1, 2の結果に基づき、「どのような人に最も喜んで家を提供したいか」という理想の顧客像を、まるで実在する一人の人物のように詳細に設定します。これが「ペルソナ」です。

ペルソナ設定の項目例:

  • 基本情報:氏名(仮名)、年齢、性別、居住地、家族構成、職業、年収
  • ライフスタイル:趣味、価値観、休日の過ごし方、情報収集源(よく見る雑誌、Webサイト、SNSなど)
  • 住まいに対する価値観:家づくりに求めるもの(デザイン性、機能性、省エネ、自然素材など)、こだわりたいポイント
  • 家づくりの悩み・不安:予算、打ち合わせの時間、土地探し、将来への不安など
  • 工務店に求めること:担当者との相性、デザインの提案力、コミュニケーションの取り方など

ペルソナは、社内で共有できる具体的なイメージを持ち、全員が同じお客様像を共有できるようにすることが重要です。複数のペルソナを設定しても構いませんが、最初は最も注力したい1〜2パターンに絞ることをお勧めします。

ステップ4:ペルソナのニーズと課題の深掘り

設定したペルソナは、どのような悩みや課題を抱え、家づくりを通じて何を解決したいと考えているのでしょうか? 彼らの日々の生活、仕事、子育て、老後のことまで想像を巡らせ、彼らにとって「最高の家」とはどのようなものかを考え抜きます。家族構成の変化への対応、趣味を取り入れる空間、テレワークの必要性、将来のメンテナンスコストへの不安など、具体的なニーズや潜在的な課題をリストアップします。このニーズの深掘りが、次のモデルハウスのコンセプトに直結します。

【Q&A】ターゲット特化に関するよくある疑問

Q1: ターゲットを絞りすぎると、マーケットが小さくなるのでは?

A1: 確かに、誰にでもアピールしようとするより母数は小さくなります。しかし、絞ったターゲット内でのシェアを高く取れるため、結果的に効率よく集客・契約に繋がります。また、特定の層で実績を積み上げることが、関連性の高い他の層への横展開に繋がることもあります。広く浅くではなく、狭く深く突き刺さる戦略です。

Q2: ターゲットが変わってしまったら、これまでの戦略は無駄になる?

A2: あまりにも劇的にターゲットが変わることは稀ですが、社会情勢やトレンドの変化でターゲット層のニーズが変化することはあります。定期的な市場調査とペルソナの見直しを行うことで、柔軟に対応できます。また、最初に設定したペルソナが必ずしも唯一のターゲットである必要はありません。実績に基づいて主力ターゲットを変えたり、新たなターゲットを追加したりすることも可能です。

Q3: 社員がターゲット特化に納得してくれない場合は?

A3: 社員全員でペルソナ設定のワークショップを行ったり、ターゲットとなる顧客層のアンケート結果などを共有したりすることで、なぜターゲット特化が必要なのか、そしてその層のお客様にどのように貢献できるのかを理解してもらうことが重要です。ターゲットが明確になれば、設計、工事、営業、すべての部署で目指すべき方向性が一致し、むしろ業務が効率化・活性化されることを伝えましょう。

モデルハウス×ターゲット特化:成果を最大化する具体的な取り組み

ターゲット特化で明確になったペルソナのニーズや価値観を、いよいよモデルハウスという「カタチ」に落とし込んでいきます。単に最新設備の家を建てるのではなく、特定のターゲットの「理想の暮らし」を体現する空間を創り上げることが、ターゲット特化型モデルハウス成功の鍵です。

ステップ5:ターゲット特化型モデルハウスのコンセプト設計

ペルソナのニーズを基に、モデルハウスがどのような体験を提供し、どのようなメッセージを伝えるべきか、その核となるコンセプトを設計します。

コンセプト設計のポイント:

  • ペルソナの課題解決:ペルソナが抱える悩みや「〇〇だったらいいのに」という潜在的な願望を、このモデルハウスがどう解決するかを明確にします。(例:共働き夫婦のペルソナなら、家事動線を最小限にした間取りや、乾太くんを標準装備したランドリールームなど)
  • ペルソナの価値観を反映:ペルソナが大切にする価値観(デザイン性、自然素材、コスパ、先進技術など)を色濃く 반영します。(例:自然素材を大切にするペルソナなら、無垢材、珪藻土、漆喰などをふんだんに使い、五感で感じられる体験を提供)
  • 訴求したい強みとの連携:自社の強み(高気密高断熱、デザイン力、コストパフォーマンスなど)を、ペルソナのニーズに応える形で表現します。
  • 「体験」の設計:単なる建物紹介に終わらず、その空間でどのような暮らしができるのか、ポジティブな未来を想像させる体験を設計します。(例:リビングでプロジェクターを使って映画鑑賞、キッチンで簡単な料理体験、庭でバーベキューのデモンストレーションなど)

コンセプトは、「〇〇(ターゲット)が、△△(このモデルハウス)に来ると、□□(悩みや課題)が解決し、こんな素敵な暮らしができると実感できる場所」のように、具体的で分かりやすい言葉で定義しましょう。

ステップ6:コンセプトをデザインと仕様に落とし込む

設計したコンセプトに基づき、モデルハウスの間取り、デザイン、建材、設備、家具、照明、小物に至るまで、すべてをターゲット向けに最適化します。

具体的な検討項目:

  • 間取り:ペルソナの家族構成、ライフスタイル(共働きか専業主婦か、子供の年齢、趣味など)、生活動線を徹底的に考慮します。(例:テレワークが多いペルソナなら、独立したワークスペース。小さな子供がいるなら、リビング隣接の和室や見守れるキッチン。)
  • デザインテイスト:ペルソナが好むであろうデザインテイスト(シンプルモダン、ナチュラル、北欧、和モダンなど)を明確にし、統一感を持たせます。ペルソナの情報収集源(よく見るWebサイトや雑誌)を参考にすると良いでしょう。
  • 建材・仕様:ペルソナの予算感と価値観に合わせて選びます。(例:自然素材を好むなら無垢材や塗り壁、コスパ重視なら機能性を担保しつつコストを抑えた建材)断熱性や気密性といった住宅性能も、ペルソナの快適な暮らしのためにどう貢献するかを具体的に示せるように考えます。
  • 設備:ペルソナのライフスタイルを豊かにし、課題を解決する設備を選定します。(例:家事負担軽減なら乾燥機、食洗機。省エネ志向なら太陽光パネル、蓄電池。健康意識が高いなら全館空調や換気システム。)
  • 家具・インテリア:モデルハウスの世界観を深め、ペルソナが実際に住んだ時のイメージを具体化するために非常に重要です。ペルソナの年齢や趣味、家族構成に合った家具配置や装飾を行います。子供部屋はペルソナの子供の年齢に合わせた設定にするなど、細部までこだわりましょう。
  • 小物・装飾:本棚にペルソナが読みそうな本を置いたり、趣味に関する小物を飾ったりすることで、より「その人らしさ」を演出できます。あえて生活感のあるものを置くことで、よりリアルなイメージを持ってもらいやすくする方法もあります。

すべての選択は、「これはペルソナの〇〇というニーズを満たすため」「ペルソナの△△という価値観に響くため」という明確な意図を持って行います。担当者だけでなく、設計、インテリアコーディネーター、営業担当者など、チーム全体でペルソナを共有し、議論を重ねることが成功の秘訣です。

ステップ7:ターゲットに響く集客戦略と接客戦略

素晴らしいモデルハウスを建てても、ターゲットに見てもらえなければ意味がありません。ターゲット特化型モデルハウスへの集客と、来場したターゲットに対する接客も、戦略的に実行する必要があります。

集客戦略:

  • ターゲット層に合わせた情報発信:ペルソナがよく利用する情報源(特定のSNS、地域情報サイト、住宅専門メディア、特定の趣味関連イベントなど)に絞って広告や情報発信を行います。キャッチコピーやデザインも、ペルソナの心に響くものにします。
  • Webサイトと連携:工務店のWebサイト上でも、ターゲット特化型モデルハウスの魅力を最大限に訴求します。「〇〇な暮らしがしたいあなたへ」といった具体的なメッセージを掲載し、モデルハウスの詳細情報や予約フォームへの導線を分かりやすく設置します。ペルソナが検索しそうなキーワードでのSEO対策も重要です。
  • ターゲット向けイベントの開催:モデルハウスを会場に、ターゲット層が興味を持つであろうワークショップ(子育て、料理、ハンドメイド、DIYなど)やセミナー(住宅ローン、土地探し、賢い家づくりなど)を開催します。これらのイベントを通じて、自然な形でモデルハウスに誘導します。
  • 協力業者との連携:ターゲット層に関連する協力業者(家具店、インテリアショップ、エクステリア業者、特定のライフスタイル商品を扱う店舗など)と連携し、相互にお客様を紹介し合う仕組みを構築します。

接客戦略:

  • ペルソナを踏まえた来場者対応:来場者が予約時に提供した情報や、モデルハウスへの興味関心から、大まかなペルソナ像を推測します。迎える際には、「〇〇(ペルソナの興味関心)にご興味はありますか?」といった声かけや質問で、スムーズに会話を始められるように準備します。
  • 「暮らしの体験」に焦点を当てる:単に間取りや設備を説明するだけでなく、この空間でどのような暮らしができるのかを具体的にイメージしてもらうことに注力します。「このリビングで、ご家族で週末に映画をご覧になったり、趣味の時間を楽しんだりできますよ」「このキッチンは、〇〇様のように毎日忙しい合間に効率よく家事ができるように設計されています」など、来場者の状況に寄り添った説明を行います。
  • ペルソナが重視する点を強調:事前に想定したペルソナが最も重視するであろうポイント(例:家事動線、収納スペース、デザイン、断熱性など)を重点的に案内し、それが彼らの悩みや願望をどう解決するかを具体的に説明します。実際に収納を開けてみたり、設備の操作性を試してもらったりといった体験を促します。
  • 質問への丁寧な対応とニーズの深掘り:来場者の質問には丁寧に答えつつ、そこからさらに奥にある潜在的なニーズや不安を引き出します。「〇〇な点をご質問されたのは、もしかして~のようなことにお悩みですか?」と、共感を示す姿勢を見せます。
  • 次のステップへの明確な導線:モデルハウスの見学で終わりではなく、個別相談、設計相談、土地探し相談など、次のステップへの具体的な案内を行います。ターゲットの関心が高いであろう内容の資料を手渡すなどの配慮も重要です。

【Q&A】ターゲット特化型モデルハウスに関するよくある疑問

Q4: 複数のターゲットがいる場合、モデルハウスは複数必要ですか?

A4: 理想は主力ターゲットごとにモデルハウスを設けることですが、コストがかかります。まずは最も重要なターゲットに絞り、そのモデルハウス内に他のターゲット層にも響くような要素(例:同じ間取りでも内装を変える、将来の変更可能な空間を示す)を組み込む、あるいはVR/CGなどのデジタルツールを活用して他のターゲット向けのモデルハウスをバーチャルで見せる、といった代替手段を検討できます。複数のターゲットを持つ場合は、中心的なターゲットを明確にし、段階的に対応ターゲットを広げるのが現実的です。

Q5: モデルハウスのコンセプトがすぐに思いつかない場合は?

A5: 設定したペルソナの生活を一日シミュレーションしてみたり、「ペルソナが最も喜ぶ家はどんな家だろう?」「家の中でどんなことができたらペルソナは幸せだろう?」と、妄想を膨らませてみましょう。また、ペルソナ像に近い既存のお客様にインタビューを行うのも非常に有効です。他社のターゲット特化型の事例(住宅業界に限らず)を参考にすることもヒントになります。

モデルハウスを継続的に成功させるための「次の一手」

ターゲット特化型モデルハウスは、建てて終わりではありません。継続的に効果を測定し、改善を加え、時代の変化やターゲットの変化に柔軟に対応していくことが、長期的な成功には不可欠です。

ステップ8:モデルハウスの効果測定と改善

設定したターゲットに対して、モデルハウスがどれだけ効果を発揮しているのかを定量的に測定し、得られたデータをもとに改善策を講じます。

効果測定のKPI(重要業績評価指標)例:

  • 来場者数:全体の来場者数に加え、設定したターゲット層の来場者数の割合を測定します。
  • アンケート回答率と内容:来場者アンケートを実施し、モデルハウスへの満足度、特に響いた点、改善点、そして来場者の具体的な層(ペルソナに近いか)を把握します。
  • 契約率・受注数:モデルハウス来場者のうち、どれくらいの割合で契約に繋がったかを測定します。特にターゲット層からの契約率に注目します。
  • Webサイト流入元:モデルハウス関連のWebページへのアクセスが、狙った集客施策(特定SNS、イベント告知など)からどれだけ来ているかを分析します。
  • 顧客からのフィードバック:接客時の会話や、後日の顧客からの問い合わせ、紹介状況なども重要な指標となります。

これらのデータは定期的に集計・分析し、目標値との差や変化を把握します。データに基づいて、「集客が足りないならプロモーションを強化する」「ターゲット層の来場は多いが契約に繋がらないなら、接客やモデルハウス内の訴求方法を見直す」「特定の設備に関心が高いなら、その情報を目立つようにする」といった具体的な改善策を実行します。

改善は一度で終わるものではありません。PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回し続け、モデルハウスの魅力を高め、集客・契約効果を最大化していきます。

ステップ9:ターゲットの変化と多様性への対応

世の中のトレンドや価値観は常に変化しています。設定したターゲット層のニーズも、数年後には変化している可能性があります。また、複数のターゲット層を抱える工務店も多いでしょう。

対応策:

  • 定期的なペルソナ・ニーズの見直し:年に一度など、定期的にペルソナ設定時の調査をやり直し、設定したターゲット像やニーズが現状と乖離していないかを確認します。
  • モデルハウスの一部リニューアル/変更:ターゲット層の変化に合わせて、モデルハウスの一部をリニューアルしたり、家具や小物を入れ替えたりすることで、常に最新のニーズに対応した姿を維持します。大規模な建て替えは困難でも、模様替えや設備の追加・変更は比較的容易に行えます。
  • デジタル技術の活用:VRやCGを活用することで、一つのモデルハウスを基に、異なるターゲット層向けの内装や仕様のバリエーションを見せることができます。オンラインでのバーチャル見学は、遠方のターゲット層へのアプローチにも有効です。
  • 複数のターゲット層への同時アプローチ:主力モデルハウスとは別に、特定のニッチなターゲット層向けには、既存のお客様宅見学、またはオンライン限定のコンセプト住宅提案などで対応するなど、モデルハウス以外の方法も組み合わせて活用します。

ターゲット特化は「それ以外の層を切り捨てる」ことではありません。主力ターゲットへの提供価値を最大化しつつ、他の層へも効率的にアプローチするための戦略です。

ステップ10:ターゲット特化を工務店全体のブランドへ

モデルハウスでのターゲット特化の成功は、工務店全体のブランドイメージを構築するための強力な土台となります。「〇〇(ターゲット)の家づくりなら××工務店」という認知を確立できれば、競争力の高い独自のポジションを築けます。

ブランド化に向けた取り組み:

  • 一貫したメッセージング:Webサイト、パンフレット、広告、SNSなど、すべてのチャネルでターゲットに向けた一貫したメッセージを発信します。モデルハウスで体現した世界観を、オンライン上でも展開します。
  • ターゲット層との継続的な接点構築:家づくりが完了した後も、ターゲット層向けのイベント開催、ニュースレターの配信、OB顧客向けフォローアップなどを継続し、長期的な関係性を築きます。これは、紹介やリピートに繋がるだけでなく、ターゲット層の最新のニーズを把握するための貴重な機会にもなります。
  • 専門性と実績のアピール:ターゲット特化で培った専門知識や、そのターゲット層に対する豊富な実績を積極的にアピールします。「私たちは、子育て世代が快適に暮らせる家づくりを20年間手掛けてきました」「自然素材を使ったアレルギーフリーの家では地域No.1の実績があります」など、具体的な数字や経験を示すことで信頼性が高まります。

ターゲット特化は、単なるマーケティング手法ではなく、工務店の「誰のために、どのような価値を提供するのか」という経営理念の明確化に繋がります。この哲学が社内外に浸透することで、強いブランドが構築され、持続的な成長が可能となります。

まとめ

工務店経営において、競争優位性を確立し、理想のお客様と出会うための強力な戦略が、特定のターゲットに特化したモデルハウス戦略です。この記事では、ターゲット特化の必要性から、具体的なペルソナ設定、ターゲットに響くモデルハウスのコンセプト設計、デザイン・仕様への落とし込み、そして集客・接客、さらには継続的な効果測定と対応策まで、一連の流れを実践的なステップ形式で解説しました。

漠然としたモデルハウス運営から脱却し、「誰のための家なのか」を明確にすることで、集客効率は飛躍的に向上し、来場者の質も高まります。ターゲットの心に深く刺さるモデルハウスは、単なる展示場ではなく、お客様が「ここでなら理想の暮らしが実現できる」と確信する「未来の体験空間」へと変わります。これにより、価格競争に巻き込まれることなく、お客様との信頼関係に基づいた家づくりが可能となり、契約率の向上、ひいては工務店の売上・利益向上に直結します。

「モデルハウス戦略」は、一度行えば成功が約束される特効薬ではありません。市場の変化、ターゲットの変化、そして自社の成長に合わせて、常に改善と進化を続ける必要があります。ご紹介したステップを参考に、まずは自社の強みと向き合い、理想のターゲット像を具体的に描くことから始めてみてください。

ターゲット特化型モデルハウス戦略は、貴社が「選ばれる工務店」となるための最も現実的で効果的な道筋の一つです。この記事で得た知識と具体的なアクションプランを胸に、ぜひ今日から最初の一歩を踏み出してください。明確なターゲットと、そのターゲットのために心血を注いで創り上げたモデルハウスは、必ずや貴社の未来を明るく照らすでしょう。皆様の工務店が、理想のお客様と共に、より豊かな未来を築かれることを心より応援しています。

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この記事を書いた人

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浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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