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最高の顧客体験を!工務店の売上UPに繋がる接客術

公開日: : 最終更新日:2025/06/20 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々のお客様対応、現場管理、資金繰り、そして何よりも「どうすればもっと売上を向上させられるか」という問いに向き合われていることと存じます。厳しい競争環境の中、ただ良い家を建てるだけでは生き残りが難しい時代になりました。集客の費用対効果が下がったり、価格競争に巻き込まれたりといった課題は、多くの工務店様が直面されている現実でしょう。

このような状況だからこそ、改めて注力すべきなのが「顧客体験向上」です。顧客体験とは、お客様が貴社のサービスやブランドと接する全てのタッチポイントで感じる感情や印象の総称です。問い合わせから引き渡し、さらにはその後のアフターフォローに至るまで、一連の流れの中でいかに顧客の期待を超え、感動を生み出せるかが、継続的な売上向上には不可欠です。

顧客体験を向上させることは、単なる顧客サービスの一環ではありません。それは、顧客満足度、ひいてはリピート率や紹介率を高め、新規顧客獲得コストを削減し、価格競争から一歩抜け出すための強力な戦略です。結果として、安定した受注と収益に繋がり、貴社の売上向上に大きく貢献します。

この記事では、工務店経営者の皆様が直面する「売上を上げたいが、具体的に何をすれば良いか分からない」「顧客満足度は気になるが、どのように改善すれば売上向上に繋がるのか」といった疑問に、具体的かつ実践的なHow-to形式でお答えします。この記事を読み終える頃には、明日から貴社で実践できる「顧客体験向上のための具体的なアクションプラン」が明確になっているはずです。さあ、最高の顧客体験で、持続的な売上向上を実現するための一歩を踏み出しましょう。

顧客体験向上の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

顧客体験(Customer Experience = CX)という言葉は聞くけれど、工務店経営において具体的に何を意味し、どのように売上向上に繋がるのか、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、顧客体験向上の重要性と、それを自社に根付かせるための基本的な考え方、そして最初のステップを解説します。

顧客体験が売上向上に不可欠な理由

なぜ今、多くの業界で顧客体験が重要視されているのでしょうか?住宅は人生で最も高額な買い物の一つであり、お客様にとっては多くの不安や期待が入り混じるプロジェクトです。その過程で、お客様が感じる安心感、信頼感、そして「この工務店に頼んで本当によかった」という感動こそが、顧客体験の本質です。

  • **口コミと紹介の強化:** 良い体験をした顧客は、家族や友人、職場の同僚に貴社を積極的に紹介してくれます。これは最も強力かつコストのかからない新規集客であり、直接的な売上向上に繋がります。
  • **リピート・OB顧客からの再受注:** 増改築やリフォームの際に、以前良い体験をした工務店に再び依頼する可能性が高まります。OB顧客は新規顧客より受注率が高く、売上向上に安定貢献します。
  • **価格競争からの脱却:** 「安さ」のみで選ばれるのではなく、「この工務店だから」という理由で選ばれるようになります。価格以外の価値で勝負できるようになり、適正な利益を確保しやすくなります。これも間接的に売上向上に繋がる重要な要素です。
  • **ブランドイメージの向上:** 一貫して質の高い顧客体験を提供することで、「顧客を大切にする工務店」「信頼できる工務店」というポジティブなブランドイメージが確立され、長期的な売上向上を支えます。

工務店における顧客体験の具体的なイメージ

工務店における顧客体験は、ウェブサイトを見た瞬間から始まり、問い合わせ、初回面談、プランニング、契約、着工、工事期間中、引き渡し、そしてアフターサービスまで、非常に長い道のりです。それぞれの段階での「接点(タッチポイント)」でお客様が何を感じるかが重要です。

  • 問い合わせ: 電話対応は丁寧か?メールの返信は早いか?
  • 初回面談: お客様の話をしっかり聞けているか?専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明できているか?
  • プランニング: お客様の夢やライフスタイルを理解した提案か?変更依頼に柔軟に対応できているか?
  • 工事中: 現場は整理整頓されているか?職人の言葉遣いやマナーは適切か?進捗報告は頻繁か?
  • 引き渡し: 待ちに待った我が家との対面の場で、感動を演出できているか?設備の使い方説明は丁寧か?
  • アフターサービス: 点検の案内は適切か?何かあった時にすぐに対応してくれるか?

これらの各接点での体験が、顧客体験の全体像を形作っています。一つ一つの接点でのレベルアップが、確実に売上向上への道を開きます。

自社の顧客体験を「見える化」する最初のステップ

顧客体験を向上させるためには、まず現状を正しく把握することが出発点です。以下のステップで自社の顧客体験を「見える化」してみましょう。

  1. **顧客ジャーニーマップを作成する:**
    • お客様が貴社を知ってから契約、引き渡し、アフターサービスに至るまでの全てのステップを書き出します。
    • 各ステップで、お客様が「何をするか」「何を考えるか」「何を感じるか」を顧客目線で想像して書き加えます。
    • どのステップで、お客様が「不満」や「不安」を感じやすいか、あるいは「感動」や「喜び」を感じやすいかを洗い出します。
  2. **お客様の「生の声」を収集する:**
    • アンケート(契約後、引き渡し後など)を実施し、率直な意見を求めます。
    • OB顧客へのヒアリングや、見学会・イベントでの直接的な会話を大切にします。
    • クレームや要望も重要な改善のヒントとして真摯に受け止めます。
  3. **従業員の視点も集める:**
    • 営業担当、設計士、現場監督、職人、事務スタッフなど、お客様と接する全ての従業員から、日頃感じていること、お客様からの声、改善提案をヒアリングします。
    • 全員で顧客体験を創る意識を高めることが、継続的な売上向上に繋がります。

これらの情報をもとに、どの接点を特に改善すべきか、優先順位をつけていきましょう。全てを一度に変える必要はありません。特に不満が多い、あるいは感動に繋がりやすいポイントから改善に着手することで、早期にお客様の反応や売上向上への手応えを感じられるでしょう。

Q&A:顧客体験向上に関する基礎的な疑問

**Q1: 中小工務店でも大手に負けない顧客体験を提供できますか?**
A1: はい、むしろ中小工務店の方が質の高い顧客体験を提供しやすい側面があります。規模が小さい分、お客様一人ひとりに寄り添ったきめ細かな対応や、経営者や担当者との密なコミュニケーションが可能です。大企業の標準化されたサービスでは得られない、人間的な温かさや柔軟性が中小工務店の強みです。この強みを活かすことで、大手に負けない、いやそれ以上の顧客体験を提供し、売上向上に繋げることができます。

**Q2: 顧客体験向上のために、まず何から始めるべきですか?**
A2: まずは、顧客ジャーニーマップを作成し、お客様の視点から自社のサービスプロセスを「見える化」することをおすすめします。同時に、お客様アンケートやヒアリングで「生の声」を集めましょう。その中で、お客様の不満や不安が最も大きいと思われる点を特定し、そこに絞って具体的な改善策を考えるのが効率的です。例えば、「問い合わせの返信が遅い」という声が多ければ即日対応を徹底するなど、すぐにできることから着手しましょう。

売上向上×顧客体験向上:成果を最大化する具体的な取り組み

顧客体験の重要性を理解し、自社の現状を把握したら、次はいよいよ具体的なアクションです。ここでは、顧客体験向上を直接的に売上向上に結びつけるための、契約前・契約中・契約後の各段階での具体的な接客術やフォローアップの方法をステップ形式でご紹介します。

【契約前】信頼構築で確度を高める接客術

契約前の段階は、お客様が「この工務店に任せても大丈夫か?」を見極める非常に重要な時期です。ここで質の高い顧客体験を提供できれば、競合他社との差別化に成功し、契約率と売上向上の確度が高まります。

  1. **問い合わせ対応スピードと質の徹底改善:**
    • 目標設定: 問い合わせメールやフォームには営業時間内なら○時間以内、遅くとも翌営業日午前中には一次返信する、電話は3コール以内に出る、といった具体的な目標を設定します。
    • 一次対応の工夫: マニュアルを作成し、誰が出ても一定以上の丁寧さと情報提供ができるようにします。特にWebからの問い合わせには、自動返信だけでなく、担当者からの「受け付けました」の連絡を早く入れるだけでもお客様の安心感は増します。
    • 初回ヒアリングの準備: お客様から寄せられた情報(家族構成、希望エリア、予算、時期など)を事前に全担当者で共有し、お客様の話を聞く準備をしておくことで、「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じていただけます。
  2. **初回打ち合わせでの「傾聴」と「共感」:**
    • 時間を十分に確保: 最初の打ち合わせは、お客様の夢や不安、ライフスタイルを深く理解するための時間です。一方的に説明するのではなく、お客様の話を聞く「聴く」姿勢を最も大切にします。
    • 共感の姿勢: お客様の言葉にうなずき、相槌を打ち、「それは素晴らしいですね」「その不安、よく分かります」といった共感の言葉を適切に挟みます。お客様は「自分の話をしっかり聞いてくれている」と感じ、貴社への信頼感を高めます。
    • 専門用語の禁止: 建築業界の専門用語は極力避け、誰にでも理解できる平易な言葉で説明します。どうしても必要な場合は、丁寧に解説を加えます。
  3. **お客様の「未来」を見せる提案:**
    • 単なる間取りやデザインの提示に留まらない: 提案するだけでなく、その家で暮らすことでお客様の生活がどう豊かになるのか、どんな楽しい未来が待っているのかを具体的にイメージさせるように説明します。
    • 視覚資料の活用: パース図、模型、VR、過去の施工事例写真などを効果的に活用し、イメージを具体化します。お客様が「ここに住みたい!」と強く思わせることができれば、契約への大きな後押しとなります。
    • 不安への配慮: 予算、スケジュール、契約内容など、お客様が不安に感じやすい点について、こちらから先に丁寧な説明を心がけます。透明性の高い情報提供は信頼を深めます。

【契約中】安心感と期待感を維持するコミュニケーション

契約を締結した後も、顧客体験向上への取り組みは続きます。工事期間中のお客様の不安を軽減し、期待感を維持することが、その後の満足度や紹介・リピートに繋がります。これは直接的な売上向上だけでなく、将来的な売上向上への投資となります。

  1. **定期的な進捗報告と密な連絡:**
    • 報告の頻度と手段を決める: 週に一度はメールで進捗状況を報告する、工事の節目ごとに電話連絡を入れる、お客様専用のコミュニケーションアプリを導入するなど、報告の頻度と手段を明確にしておきます。
    • 視覚的な報告: 現場の写真を頻繁に送るなど、お客様が「自分の家が着々とできていく様子」をリアルタイムで感じられるように工夫します。
    • 「報・連・相」の徹底: スケジュール変更、現場で気になったことなど、どんな小さなことでもお客様に迅速かつ正確に伝える体制を築きます。言いにくいことであっても、正直に伝えることで信頼関係は維持できます。
  2. **現場でのホスピタリティ向上:**
    • 現場環境の整備: 整理整頓、清掃、近隣への配慮(駐車、騒音など)を徹底します。現場がきれいで安全だと、お客様は安心して工事を見守ることができます。
    • 職人への教育: 現場でのお客様や近隣住民への挨拶、言葉遣い、喫煙ルールなどを明確にし、全員がプロフェッショナルとしての意識を持つように教育します。職人の振る舞いは、お客様が工務店全体を評価する上で非常に重要な要素です。
    • 現場見学時の工夫: お客様が現場を見学する際は、必ず担当者が立ち会い、丁寧に説明を行います。ヘルメットの準備など、安全面への配慮も欠かしません。
  3. **決定プロセスにおけるサポート:**
    • 仕様決定等の負担軽減: 決めなければならない事項は多岐に渡ります。ショールームへの同行、サンプル提供、専門家(コーディネーター等)のサポートなど、お客様ができるだけ迷わず、楽しく決められるよう工夫します。
    • 変更対応の明確化: 仕様変更が発生した場合の費用の試算や工期への影響を迅速かつ正直に伝え、お客様が納得して進められるようにします。

【契約後】感動と繋がりでリピート・紹介を生む戦略

引き渡し後も、お客様との関係は続きます。この段階での顧客体験が、将来的なリフォームや増改築といった再受注、そして何より「紹介」による新規顧客獲得、すなわち持続的な売上向上に直結します。

  1. **引き渡し時の感動演出:**
    • セレモニー的な要素: お客様にとって、新しい家に初めて足を踏み入れる瞬間は特別なものです。簡単なテープカット、記念写真の撮影、ささやかなプレゼント(観葉植物や高品質な清掃用品など)を用意するなど、記憶に残る演出を考えます。
    • 丁寧な説明: 設備の取扱説明書だけでなく、実際に操作方法を一緒に確認したり、メンテナンスのアドバイスを丁寧に伝えたりします。
    • 感謝のメッセージ: 担当者全員から、感謝の気持ちを込めた手書きのメッセージカードを添えるなど、パーソナルなメッセージを伝えます。
  2. **計画的なアフターフォロー:**
    • 定期点検の実施: 法律で定められた点検だけでなく、独自の定期点検プログラムを用意し、お客様に安心を提供します。点検時には、家の状態だけでなく、暮らしぶりについても伺い、新たなニーズ(リフォームなど)の早期発見に繋げます。
    • OB顧客向けの情報発信: ニュースレター(郵送またはメール)、ブログ、SNSなどで、住まいのお手入れ方法、リフォーム事例、資金計画のセミナー案内など、OB顧客にとって有益な情報を定期的に発信します。工務店の存在を忘れられず、常に繋がりを感じてもらうことが重要です。
    • 相談窓口の明確化: 何かあった時に「誰に」「どう連絡すれば良いか」を明確に伝えておきます。迅速かつ丁寧な対応は、万が一トラブルや不具合があった場合でも、お客様の満足度を大きく左右します。
  3. **リピート・紹介依頼の仕組みづくり:**
    • OB価格や特典の提供: 増改築やリフォーム時に、OB顧客限定の割引や特典を用意することで、再受注を促します。
    • 紹介制度の導入: OB顧客が知人を紹介してくれた場合の謝礼や特典を用意します。その際、制度があることをOB顧客にしっかり伝えるだけでなく、「紹介しやすい」雰囲気を作ることも重要です。例えば、見学会への招待状に「ご友人ともどうぞ」と一言添えるなど。
    • 「見学会場」協力依頼: お客様の承諾を得て、完成見学会や入居者宅見学会の会場として協力をお願いする際は、丁寧な説明と感謝の気持ちを伝えるとともに、OB顧客にもメリット(例:謝礼、清掃サービスなど)を提供することを検討します。

Q&A:顧客体験と売上向上に関する具体的な疑問

**Q3: 高価格帯と低価格帯の住宅で、顧客体験向上の方法は変えるべきですか?**
A3: 基本的な考え方(お客様に寄り添い、期待を超えること)は変わりませんが、提供すべき体験の「質」や「深さ」で調整が必要です。高価格帯のお客様は、ラグジュアリー感、特別感、きめ細かなパーソナルサービスを期待する傾向があります。一方、低価格帯のお客様は、コストパフォーマンスはもちろん、シンプルで分かりやすい説明、迅速な対応、不必要な手間を省くことを重視するかもしれません。ターゲット顧客に合わせた体験設計が、より効果的な売上向上に繋がります。

**Q4: クレーム対応を売上向上に繋げるにはどうすれば良いですか?**
A4: クレームはピンチであると同時に、最大の顧客体験向上機会です。真摯に傾聴し、迅速かつ誠実に対応することで、お客様は「大変だったけど、最後にはしっかり対応してもらえた」と感じ、むしろ以前より信頼関係が深まるケースもあります(リカバリー・パラドックス)。クレーム内容を組織内で共有し、再発防止策を講じることは、将来的な不満を防ぎ、顧客体験全体の質を高めることに直結し、間接的に売上向上に寄与します。

**Q5: いつでもすぐに連絡が取れる体制を作るのは難しいのですが?**
A5: 経営者や担当者が一人で対応する必要はありません。社内で対応ルールを決めたり、外部の電話代行サービスやチャットボットを一部導入したり、お客様専用のコミュニケーションアプリを活用したりするなど、テクノロジーを組み合わせることで負担を軽減しつつ、接触頻度や対応スピードを向上させることが十分可能です。これは顧客体験向上に大きく貢献し、結果として売上向上に結びつきます。

売上向上を継続的に成功させるための「次の一手」

一度顧客体験向上のための取り組みを始めても、そこで終わりではありません。変化する市場やお客様のニーズに合わせて、常に改善を続け、組織全体に根付かせることが、持続的な売上向上を実現するための鍵となります。ここでは、顧客体験向上をさらに加速させ、成果を定着させるための応用的なアプローチをご紹介します。

取り組みの効果測定と改善サイクルの確立

何もしなければ、始めた取り組みが本当に効果があったのか分かりません。顧客体験向上の取り組みがどれだけ売上向上に貢献しているかを定量的に把握し、継続的な改善に繋げるための測定方法とサイクルを確立しましょう。

  1. **測定すべき重要指標 (KPI) の設定:**
    • **顧客満足度 (CSAT):** アンケート等で「総合的な満足度は?」といった質問で測定します。
    • **NPS (ネットプロモーター・スコア):** 「この工務店を友人や知人に勧める可能性は?」という質問で、顧客ロイヤルティ(愛着・信頼)を測る指標です。推奨者の割合が増えれば、紹介による売上向上が期待できます。
    • **リピート率・OB顧客からの再受注率:** OB顧客からの問い合わせや契約がどれだけあるかを追跡します。
    • **紹介率・紹介経由の受注数:** 新規顧客がどのような経緯で貴社を知ったかを確認し、紹介がどれだけ売上向上に貢献しているかを把握します。
    • **顧客獲得コスト (CAC):** 新規顧客一人を獲得するためにかかった広告費や人件費などの総コスト。紹介など顧客体験向上が寄与するルートからの獲得が増えれば、このコストは低下します。
    • **顧客生涯価値 (LTV):** 一人の顧客が、初回契約からリフォーム等の再契約まで、生涯にわたってもたらす総売上。LTVが高まれば、長期的な売上向上を実現できます。
  2. **定期的なデータ収集と分析:**
    • 設定したKPIを定期的に(例えば四半期ごとや半期ごと)集計・分析します。
    • 顧客アンケートやヒアリングの結果もあわせて分析し、どの取り組みが奏功しているのか、まだ改善が必要な点はどこかを特定します。
  3. **PDCAサイクルの実践:**
    • **Plan (計画):** 測定結果に基づき、次の改善目標と具体的な施策を計画します。
    • **Do (実行):** 計画した施策を実行します。
    • **Check (評価):** 施策実施後、KPIがどう変化したか、顧客の声はどう変わったかを評価します。
    • **Action (改善):** 評価に基づき、施策の改善や新たな施策の検討を行います。このサイクルを回すことで、貴社の顧客体験レベルは継続的に向上し、それに伴い売上向上も実現されます。

テクノロジーを活用した顧客体験の強化

限られたリソースで顧客体験を最大化し、追跡・分析を効率化するためには、テクノロジーの活用が有効です。

  1. **CRM(顧客関係管理)システムの導入:**
    • お客様の基本的な情報だけでなく、過去の問い合わせ履歴、打ち合わせ内容、好み、工事履歴、アフターフォローの状況などを一元管理します。
    • これにより、誰でも顧客情報を把握できるようになり、属人化を防ぎ、パーソナルな対応が可能になります。OB顧客への適切なタイミングでのアプローチなど、売上向上に繋がる活動の管理がしやすくなります。
  2. **顧客コミュニケーションツールの活用:**
    • お客様専用アプリやウェブサイト:工事進捗の共有、写真アップロード、質疑応答、各種書類の閲覧などを一つのプラットフォームで行えるようにすることで、お客様の利便性と安心感を高めます。
    • オンライン打ち合わせツール:遠方のお客様や忙しいお客様との打ち合わせを効率化し、柔軟な対応を可能にします。
  3. **デジタルマーケティングの活用:**
    • SNSでの情報発信、ブログでの施工事例紹介、OB顧客の声の掲載などで、貴社の強みや顧客体験の質の高さを発信し、新規顧客獲得やブランドイメージ向上に繋げます。特にOB顧客のポジティブな声は、新規顧客にとって最も信頼性の高い情報源であり、直接的な売上向上への効果が期待できます。

システム導入にはコストがかかりますが、長期的な視点で見れば、業務効率化と顧客満足度向上による売上向上効果で、投資対効果が十分に見込めます。自社の規模や予算に合ったツールから段階的に導入を検討しましょう。

社員全員で顧客体験を創る組織文化づくり

顧客体験は、特定の部署や担当者だけの責任ではありません。営業、設計、現場、事務、そして協力業者も含めた全員が、「私たちの仕事はお客様に最高の体験を提供することだ」という共通認識を持つことが、顧客体験向上の最も強力な原動力となり、結果として組織全体の売上向上に繋がります。

  1. **顧客体験に関する社内研修や勉強会の実施:**
    • 定期的に、顧客体験の重要性、お客様の声、具体的な対応方法などについての研修を行います。
    • 良い顧客対応事例や、改善すべき事例を共有し、全員で学び合います。
  2. **成功事例と顧客からの感謝の共有:**
    • お客様から届いた感謝の手紙やメール、アンケートでのポジティブなコメントなどを全体朝礼や社内報で共有し、社員のモチベーション向上と、自分たちの仕事が顧客体験にどう繋がっているかを実感できるようにします。
  3. **顧客体験向上を評価項目に含める:**
    • 人事評価制度に、顧客満足度への貢献、お客様からのフィードバックなどを評価項目として含めることも検討します。これにより、顧客体験向上への意識をより強く促すことができます。
  4. **協力業者との連携強化:**
    • 協力業者は工事中の顧客体験に大きな影響を与えます。理念や顧客対応方針を共有し、一体となってお客様に接するという意識を醸成することが重要です。

組織文化の醸成は一朝一夕にはできませんが、経営トップが率先して顧客体験の重要性を語り、実践することで、着実に浸透していきます。社員一人ひとりの意識と行動の変化が、最終的に大きな売上向上として現れるでしょう。

Q&A:売上向上を加速させるための応用的な疑問

**Q6: 具体的にどのような指標を見れば、顧客体験が売上向上に貢献しているか分かりますか?**
A6: セクション3-1で挙げたKPI(顧客満足度、NPS、リピート率、紹介率、LTVなど)が重要です。これらの指標が改善傾向にあれば、顧客体験向上が進んでおり、それが将来または現在の売上向上に繋がっていると考えられます。特に、紹介による新規顧客獲得の増加やLTVの向上は、顧客体験向上施策が直接的に売上向上に貢献している強い証拠となります。

**Q7: 高価なシステムをすぐに導入する予算がありません。他にできることは?**
A7: システム導入はあくまで手段です。まずは、既存のツール(Excelでの顧客管理、無料のチャットツール、写真共有アプリなど)を活用したり、アナログな手法(顧客ごとのノート作成、手書きのお礼状など)を駆使したりすることから始めましょう。最も重要なのは、「お客様一人ひとりを理解し、寄り添おう」という意識を全社員が持つことです。手作業でのこまめな連絡や、お客様の誕生日にメッセージを送るといった小さな気配りでも、顧客体験は大きく向上します。これらの地道な積み重ねが、将来のシステム投資の効果を何倍にも高める基盤となります。そして、それが売上向上に繋がる実感を得られた時に、改めてシステム投資を検討するのが良いでしょう。

**Q8: 他社との差別化に顧客体験をどう活かせますか?**
A8: 価格や性能だけでは差別化が難しい中で、顧客体験は最も模倣されにくい独自の強みとなります。「〇〇工務店に頼むと、いつも丁寧な説明がある」「工事中も毎日進捗を教えてくれるから安心」「引き渡し後もすぐに駆けつけてくれる」といった具体的な体験が、顧客の中で特別な価値として認識されます。自社の強みや理念に基づいた、独自の顧客体験(例:「家族のようなお付き合い」「徹底した現場の見える化」など)を明確にし、それを全てのタッチポイントで一貫して提供することが、強力な差別化となり、競争優位性の確立、ひいては持続的な売上向上へと繋がります。

まとめ

工務店の売上向上を持続的に実現するためには、単に工事の質を高めるだけでなく、お客様が貴社と出会い、家が完成し、そしてその後の暮らしに至るまで、全てのプロセスで最高の「顧客体験」を提供することが極めて重要です。この記事では、そのための具体的なステップと戦略をご紹介しました。顧客体験を「見える化」し、問い合わせ対応、打ち合わせ、工事期間中のコミュニケーション、引き渡し、そしてアフターフォローに至るまで、お客様と接する全てのタッチポイントで、お客様の期待を超え、感動を生み出す工夫を凝らすこと。これは、口コミや紹介を増やし、リピート率を高め、価格競争から脱却し、「〇〇工務店だからお願いしたい」と選ばれる唯一無二の価値となります。そして、それは貴社の確実な売上向上へと繋がります。

顧客体験の向上は一朝一夕には達成できませんが、効果測定を行い、PDCAサイクルを回しながら継続的に取り組むことで、組織文化として根付いていきます。テクノロジーも賢く活用し、社員全員が「 customer experience 」を創る意識を持つことができれば、貴社の信頼とブランド価値は飛躍的に向上し、安定した受注と収益基盤が築かれます。この記事で提示した具体的なアクションプランを、ぜひ明日からの経営に取り入れてみてください。お客様との強い絆は、必ずや貴社の輝かしい未来とさらなる売上向上を切り拓く力となるはずです。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

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