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イベントで特定の顧客層をターゲットにする方法

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、日々の集客や受注獲得に、常に新しい糸口を探していらっしゃることと思います。住宅業界は競争が激化し、漠然とした集客活動では思うような成果が得にくい時代となりました。特に、費用対効果の高い集客施策として期待されるイベントも、「誰でもいいから来てほしい」というスタンスでは、狙ったような顧客層に響かず、時間とコストだけが浪費されてしまうケースが少なくありません。

真に意味のあるイベントを開催し、事業の安定的な成長に繋げるためには、「どのような顧客層に向けてイベントを行うのか」を明確に定義し、その顧客層に最適化された企画・運営を行うことが不可欠です。特定の顧客層をターゲットにイベントを実施するからこそ、参加者の質が高まり、商談、そして受注へと繋がりやすくなるのです。顧客層に合わせたイベントは、単なる集客手段ではなく、自社のブランドイメージを形成・強化し、競合との差別化を図る強力なツールとなり得ます。

この記事では、工務店経営者の皆様が、なんとなくイベントを開催するのではなく、明確な戦略をもって特定の顧客層に響くイベントを企画・実行し、具体的な成果に繋げるための実践的な方法論を、ステップバイステップで解説します。どのように顧客層を特定し、彼らに刺さるイベントを創り出し、そして成功を継続させるのか。これらの疑問に包括的に答えることで、貴社のイベント集客を次のレベルへと引き上げる具体的なアクションプランを提供することをお約束します。

顧客層の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

イベントを成功させるための最初の、そして最も重要なステップは、「誰に」来てほしいのかを明確にすることです。曖昧なターゲット設定は、イベントの企画内容、集客方法、当日の運営、全てにおいてブレを生じさせ、結果として誰にも響かないイベントになってしまうリスクを高めます。特定の顧客層を深く理解し、彼らのニーズや課題に応えるイベントを企画することが、成果に繋がる確率を飛躍的に高めます。

なぜ特定の顧客層をターゲットにすべきなのか?

工務店が手掛ける住宅は、お客様にとって一生に一度の大きな買い物です。そのため、お客様一人ひとりの価値観、ライフスタイル、家族構成、予算感、家づくりに求めるものが大きく異なります。マスマーケティングのように広範囲にアプローチしても、本当に自社の家づくりに共感し、長期的な良好な関係を築ける可能性のある顧客層と出会える確率は低くなります。

特定の顧客層に焦点を当てることで、以下のようなメリットが得られます。

  1. メッセージの最適化:ターゲット顧客層が抱える具体的な悩みや希望に寄り添ったメッセージを発信できます。
  2. 企画の具体性向上:顧客層のライフスタイルや関心事に合わせたイベントコンテンツを企画できます。
  3. 集客効率の向上:ターゲット顧客層が多く利用する媒体やチャネルに絞って告知を行うことで、費用対効果の高い集客が可能です。
  4. 質の高い顧客リード獲得:自社の家づくりに高い関心を持つ可能性のある顧客層が集まりやすくなります。
  5. 商談率・成約率の向上:既に一定の興味や共感を持って来場しているため、商談においてスムーズに関係を構築しやすくなります。
  6. ブランドイメージの強化:「あの工務店は〇〇な家づくりが得意」という明確なイメージを特定の顧客層に定着させることができます。

漠然としたイベントではこれらのメリットを享受することは難しく、単なる賑やかしで終わってしまう可能性が高いのです。

ターゲット顧客層を特定する具体的なステップ

では、具体的にどのようにしてターゲットとする顧客層を特定すれば良いのでしょうか。闇雲に決めるのではなく、データに基づいた分析とターゲット像の深掘りを行うことが重要です。</

  1. 自社の強み・得意分野の棚卸し:
    • どのようなデザイン、性能の家づくりに実績があるか?
    • どのような価格帯の家を多く手掛けているか?
    • どのようなエリアでの建築が多いか?
    • お客様からどのような点で評価されることが多いか(デザイン、性能、価格、アフターサービスなど)?
    • 社長や社員の家づくりに対する想いや哲学は?

    自社のオリジナリティや得意な家づくりを明確にすることが、共感してくれる顧客層を見つける出発点となります。

  2. 過去の成功・優良顧客の分析:
    • 過去に契約に至った、特に満足度の高かった顧客層は?(年齢、家族構成、職業、居住エリア、趣味、家づくりのきっかけ、決め手など)
    • どのような媒体やきっかけで貴社を知ったか?
    • 貴社を選んだ決め手になった要素は何か?
    • 契約前にどのような不安や疑問を持っていたか?

    実際に自社の家づくりを選び、満足してくれた顧客層には、貴社の強みや価値観に共感する傾向があります。これらの顧客層を深掘りすることで、どのような層が自社の家づくりにマッチしやすいかが見えてきます。

  3. 市場トレンドと競合分析:
    • 地域市場ではどのような顧客層が家づくりを検討している割合が多いか?
    • 競合他社はどのような顧客層をターゲットにしているか?
    • 競合他社はどのようなイベントを実施しているか?

    市場全体の動きや競合の戦略を把握することで、自社が狙うべき顧客層の可能性や、差別化のポイントが見えてきます。

  4. ターゲット顧客層の「ペルソナ」設定:
    • 分析結果をもとに、架空の具体的な顧客像(ペルソナ)を作成します。
    • 名前、年齢、性別、家族構成、職業、年収、居住地といった基本情報に加え、趣味、価値観、ライフスタイル、家づくりを考え始めたきっかけ、家づくりに求めること(デザイン、性能、コスト、安心感など)、抱えている不安や悩み、情報収集の方法などを具体的に設定します。
    • 写真やイラストを添えると、より具体的な人物像として社内で共有しやすくなります。

    ペルソナを設定することで、「〇〇さん(ペルソナの名前)なら、このイベント内容に興味を持つだろうか?」「〇〇さんは、どこでイベントの情報を見つけるだろうか?」といったように、ターゲット顧客層の視点で企画を進めることができるようになります。

  5. ターゲット顧客層のニーズ・課題の深掘り:
    • 設定したペルソナは、家づくりにおいてどのようなニーズや課題を抱えているか?(例:子育て世代→間取りの工夫、家事動線、安全性能。共働き世代→時短設備、在宅ワークスペース。高齢者→バリアフリー、断熱性能)。
    • 家づくりに対してどのような不安を感じているか?(例:資金計画、土地探し、業者の選び方、災害への備え)。
    • どのような情報や解決策を求めているか?
    • どのような情報に触れる機会が多いか?(SNS、住宅情報サイト、地域情報誌、口コミなど)。

    ターゲット顧客層が抱えるこれらのニーズや課題こそが、イベントの核となるコンテンツの種となります。

これらのステップを通じて、貴社が本当に集めたい特定の顧客層が明確になります。この明確になった顧客層こそが、今後のイベント企画のすべてを決める羅針盤となります。

イベント×顧客層:成果を最大化する具体的な取り組み

ターゲット顧客層が明確になったら、次はその顧客層に最適化されたイベントを具体的に企画・実行していきます。ターゲットの心に響くイベントは、彼らにとって「行きたい理由」が明確である必要があります。

ターゲット顧客層に最適化されたイベント企画のステップ

ターゲット顧客層に刺さるイベントを企画するための具体的なステップは以下の通りです。

  1. イベントの目的設定:イベントを通じて何を達成したいか具体的な目標を設定します。「特定の顧客層との接点を持つ」「質の高い見込み客を獲得する」「契約に繋がる商談機会を創出する」「ブランド認知度を高める」など、イベントの種類やターゲット顧客層に合わせて目的を明確にしましょう。目的によって、選ぶべきイベント形式や集客方法、評価指標が変わってきます。
  2. イベント形式の選定:ターゲット顧客層のライフスタイルや興味・関心、イベントの目的に合わせて最適なイベント形式を選びます。代表的な形式には以下のようなものがあります。
    • 構造見学会:家の骨組み段階を見せることで、耐震性や断熱性といった性能へのこだわりを伝えたい顧客層に有効。家づくりを真剣に検討し始めた層に響きやすい。
    • 完成見学会:実際の暮らしをイメージしやすい。デザインや間取り、設備の仕様に関心のある顧客層にアピールできる。
    • OB様宅見学会:実際に住んでいる方のリアルな声や暮らしぶりを見てもらえる。工務店の信頼性やフォロー体制を重視する顧客層に有効。
    • 家づくりセミナー(資金計画、土地探し、性能など):家づくりに関する知識や情報収集を進めている顧客層、特に資金や土地探し、住宅ローンなどに不安を感じている層に有効。
    • ワークショップ(キッズ向け、DIY、料理教室など):子育て世代や趣味に関心のある層との接点を創出。堅苦しくなく、会社の雰囲気を知ってもらいたい場合に有効。
    • オンラインイベント(ウェビナー、オンライン相談会):遠方に住む顧客層、忙しくて外出が難しい顧客層、情報収集はオンラインで済ませたい顧客層に有効。手軽に参加できるため、幅広い顧客層にアプローチ可能。

    ターゲット顧客層はどのような形式なら参加しやすいか、どのような情報や体験を求めているかを考慮して選びましょう。

  3. イベントコンテンツの設計:イベント形式が決まったら、具体的な内容を企画します。ターゲット顧客層のニーズや課題に直接的に答える内容にすることが重要です。
    • 構造見学会であれば、「なぜこの構造なのか?」「何が安全なのか?」といったターゲット層が抱きそうな疑問に答える解説を充実させる。
    • セミナーであれば、ターゲット層が知りたいテーマ(例:失敗しない資金計画、共働き夫婦のための間取り、高気密高断熱住宅のメリット・デメリットなど)に絞り、専門家が分かりやすく解説する。
    • ワークショップであれば、ターゲット層やその家族が楽しめる内容(例:子供と一緒にできる木工教室、家事を楽にする収納アイデアなど)。
    • 質疑応答や個別相談の時間を設けるなど、参加者が疑問を解消できる機会を設ける。
    • 参加特典(オリジナルグッズ、資料、提携店割引など)も、ターゲット顧客層が喜ぶものを企画する。
  4. 開催場所・日程・時間の決定:ターゲット顧客層のライフスタイルや行動パターンに合わせて設定します。
    • 子育て世代が多いなら、週末の午前中や午後の早い時間帯。
    • 共働き世代が多いなら、平日の夜間やオンライン形式。
    • 住宅密集エリアなら、近隣の顧客層にアピールしやすい場所。
    • 学校行事や地域のイベントとの重複を避ける。

    ターゲット顧客層の参加しやすさを最優先で検討しましょう。

ターゲット顧客層に響く効果的な集客方法

イベントの企画内容が固まったら、次はどのようにターゲット顧客層に情報を届けるかを考えます。闇雲に告知するのではなく、ターゲット顧客層が普段どのような情報源を利用しているかを考慮した戦略的な集客が必要です。

  1. オンライン集客:
    • 自社ウェブサイト・ブログ:イベント特設ページを作成し、イベントの魅力、内容、ターゲット顧客層にとってのメリットを具体的に記載します。
    • SNS広告:Facebook、Instagram、LINEなど、ターゲット顧客層が多く利用するSNSを選び、興味関心、地域、年齢、ライフスタイルなどの詳細なターゲティング設定を活用して広告を配信します。視覚的に魅力的な住宅写真やイベント雰囲気を伝える動画が効果的です。
    • リスティング広告:「地域名 工務店 イベント」「賢い家づくり セミナー 地域名」など、ターゲット顧客層が検索しそうなキーワードで広告を出稿します。
    • 地域情報サイト・ポータルサイト:地域のイベント情報サイトや住宅情報ポータルサイトに掲載依頼を検討します。
    • メールマガジン/LINE公式アカウント:既存の見込み客やOB顧客へ、ターゲット顧客層に合ったイベント情報を配信します。
  2. オフライン集客:
    • 地域密着型媒体:地域のフリーペーパー、コミュニティ情報誌、ローカルテレビ・ラジオなど、ターゲット顧客層がよく目にしたり聞いたりする媒体に広告を掲載します。
    • ポスティング/チラシ:ターゲット顧客層が多く住むエリアに絞って、イベント告知チラシをポスティングします。デザインやメッセージはターゲット層に合わせたものにします。
    • 店舗・事務所での告知:看板や掲示物、来店者への直接声かけなどでイベント情報を告知します。
    • 関連施設との連携:金融機関(住宅ローン相談会と連携)、保育園/幼稚園(子育て世代向けイベント)、地域の子育て支援施設など、ターゲット顧客層が集まる場所と連携して告知やチラシ設置をお願いできないか検討します。
    • 口コミ/人脈:既存顧客や地域ネットワークを通じて、ターゲット顧客層に合いそうな人にイベントを紹介してもらうようにお願いします。

オンライン・オフライン問わず、告知の中で「このイベントは【特定の顧客層】の【具体的な悩み】を解決するためのものです」といった、ターゲット顧客層に向けた明確なメッセージを伝えることが非常に重要です。

イベント当日の運営と顧客層への対応

ターゲット顧客層をイベントに呼び込むことができたら、当日も彼らにとって最高の体験を提供することが重要です。

  1. 参加者への個別対応:受付時やイベント中に、参加者の表情や会話から、どのような点に関心があるかを把握するように努めます。事前にターゲット顧客層のペルソナを全員が理解しておくことで、共通の認識を持って接客にあたることができます。
  2. ターゲット顧客層に合わせた説明:見学形式であれば、特定の顧客層(例:子育て世代)が重視するポイント(例:家事動線、子供部屋の広さ、収納アイデア)に焦点を当てて説明をします。セミナーであれば、専門用語を避けたり、ターゲット顧客層の事例を多く紹介したりするなど、分かりやすさを心がけます。
  3. 質問しやすい雰囲気づくり:参加者が抱える疑問や不安を引き出すために、質疑応答の時間を十分に設けたり、個別相談の機会を用意したりします。特に家づくりに関する疑問はプライベートな場合も多いため、安心して相談できる環境を提供することが重要です。
  4. 連絡先交換と次への誘導:イベントで終わりではなく、その後の関係構築が重要です。アンケート記入のお願いや、希望者には個別相談予約や資料送付などをスムーズに行える体制を整えます。
  5. 参加者情報の共有:イベント終了後、参加者の情報や当日の様子、興味関心などを社内で共有し、その後のフォローアップに活かせるようにします。

関連する潜在的な疑問への回答(FAQ)

特定の顧客層をターゲットにしたイベントに関して、工務店経営者が抱きやすい疑問に回答します。

Q1: 小規模な工務店でも特定の顧客層をターゲットにしたイベントは可能ですか?

A1: はい、可能です。大規模なイベントよりも、ターゲット顧客層の人数規模に合わせたアットホームなイベントの方が、きめ細やかな対応ができ、参加者との距離も縮まりやすいため、むしろ小規模工務店に向いていると言えます。例えば、モデルハウスがない場合でも、構造見学会、OB様宅見学会は可能ですし、事務所や地域の施設を利用したセミナー、ワークショップ、オンラインイベントなども有効です。無理のない範囲で、ターゲット顧客層に寄り添った企画を、少人数でも丁寧に行うことが成功の鍵です。

Q2: 特定の顧客層に絞ると、全体の参加者数が減るのではないかと心配です。

A2: 確かに全体の参加者数は減る可能性がありますが、それはむしろ健全な絞り込みです。重要なのは「数」ではなく「質」です。特定の顧客層に絞ることで、冷やかしや情報収集目的ではない、自社の家づくりに真剣に関心を持つ見込み客が集まりやすくなります。結果として、その後の商談や契約に繋がる確率が高まり、費用対効果は向上します。漠然としたイベントで多くの人が来ても、誰一人として契約に繋がらなければ意味がありません。ターゲット顧客層の明確化は、効率的な集客への第一歩と考えてください。

Q3: オンラインイベントで特定の顧客層をターゲットにできますか?

A3: はい、非常に有効です。オンラインイベントは場所の制約がないため、広範囲のターゲット顧客層にアプローチできます。また、セミナーであれば特定のテーマ(例:「共働き夫婦のためのオンライン家づくり相談会」「地方移住を検討中の方向け・〇〇の家づくりセミナー」)を明確に打ち出すことで、そのテーマに関心のあるターゲット顧客層のみを集めることができます。SNS広告や特定の興味関心を持つオンラインコミュニティでの告知など、オンラインでのターゲティング手法を活用することで、より効率的にターゲット顧客層にリーチし、質の高い参加者を募ることが可能です。

Q4: イベント実施にかかる費用は、ターゲットを絞っても高くなりますか?

A4: 費用の増減は企画次第ですが、効率は向上します。ターゲット顧客層に合わせた特定のチャネルに絞って広告を出したり、過剰な装飾や配布物を避けたりすることで、全体コストを抑えることも可能です。また、参加人数が少なくても、前述の通り質の高い見込み客が集まりやすいため、参加者一人当たりの集客コストに対する商談・契約率は向上し、費用対効果は高まる傾向にあります。

Q5: イベントで獲得したリードへのフォローアップ方法は?

A5: ターゲット顧客層に最適な方法で、迅速に行うことが重要です。イベント当日にヒアリングした興味関心や相談内容に基づき、個別のメッセージ性の高いメールやお礼状を送付します。強引な売り込みは避け、家づくりに関する有益な情報提供(ブログ記事、事例集など)や、ターゲット顧客層が関心を持ちそうな別のイベントや個別相談会への案内などを行います。温度感の高いリードには、電話や訪問も検討しますが、相手のペースを尊重することが大切です。CRMツールなどを活用して、顧客情報を一元管理し、適切なタイミングでアプローチできるよう仕組み化するのも良いでしょう。

イベントを継続的に成功させるための「次の一手」

イベントを一回開催して終わりではありません。継続的にイベントを実施し、そこから得られる学びを次に活かすことで、より精度の高い集客と、安定的な事業成長に繋がります。単発のイベントで終わらせず、サイクルとして組み込む運用が重要です。

イベントの成果測定と評価

イベントが終了したら、設定した目的に対してどの程度の成果が得られたのかを厳密に測定・評価します。単に参加者数を数えるだけでは不十分です。

  1. 定量的な指標の測定:
    • 参加者数(特にターゲット顧客層が何人来場したか)
    • アンケート回収率、満足度
    • 連絡先交換数、リード獲得数
    • 個別相談予約件数
    • 後日アポイントメント件数
    • 商談数、契約数(イベントからの発生件数)
    • イベントにかかった総費用
    • 参加者一人当たりの集客コスト
    • リード一人当たりの獲得コスト
    • 契約一件あたりの集客コスト(中長期的な視点)

    これらの数値を、目標値や過去のイベントと比較して評価します。

  2. 定性的な feedback の収集:
    • 参加者の声(アンケートで収集した自由入力の声、当日の会話の中で拾えた意見)
    • イベント内容や運営に対する率直な感想
    • 特に反応が良かったコンテンツ、あまり響かなかったコンテンツ
    • スタッフ間の振り返り(当日の接客の様子、困ったこと、気づきなど)

    数値だけでは見えてこない、参加者の生の声や温度感を把握することが改善に繋がります。

測定結果に基づいた改善策の検討

測定・評価で得られた結果に基づいて、次回のイベントや今後の集客活動に活かすための改善策を具体的に検討します。

  1. 何がうまくいき、何が課題だったか分析:例えば、「集客数は多かったが、ターゲット顧客層以外の参加者が多かった」のであれば、告知メッセージや集客チャネルの見直しが必要です。「ターゲット顧客層は来てくれたが、その後のアポイントに繋がらなかった」のであれば、イベント中の個別対応やイベント後のフォローアップ方法に課題があると考えられます。「参加者の満足度は高かったが、リード獲得数が目標に達しなかった」のであれば、イベント内での連絡先交換やアンケート回収を促す仕組みを強化する必要があります。
  2. 具体的な改善アクションの設定:分析で明らかになった課題に対して、具体的な改善策を立てます。「次回イベント告知では、【ターゲット顧客層】に向けた〇〇というメッセージを強調する」「ウェブサイトにイベント参加申込みフォームだけでなく、事前質問フォームも設置する」「イベント後、お礼メールに過去の成功事例を付け加えて送付する」など、具体的なアクションプランを関係者間で共有します。
  3. ターゲット顧客層への理解をさらに深める:イベントを通じて得られた参加者の声や属性情報から、当初設定したターゲット顧客層のペルソナについて、さらに解像度を高めることができます。「〇〇世代は、意外と△△に関心が高いことが分かった」「〇〇という悩みを持つ人が多いようだ」といった新たな発見を、ペルソナ情報に反映させ、今後のイベント企画やその他のマーケティング活動に活かします。

PDCAサイクルによる継続的なイベント運営

イベントを単発で終わらせず、継続的に成果を出すためには、PDCAサイクル(Plan – Do – Check – Act:計画 – 実行 – 評価 – 改善)を回すことが不可欠です。

  1. Plan(計画):ターゲット顧客層を明確にし、彼らに響くイベント企画(目的、形式、コンテンツ、集客方法など)を立てる。
  2. Do(実行):立てた計画に基づいて、告知、集客、イベント当日の運営を行う。
  3. Check(評価):イベントの成果を定量・定性両面から測定し、設定した目標との乖離や課題を分析する。
  4. Act(改善):評価結果に基づいて、次回イベントや今後の活動に活かすための具体的な改善策を実施する。

このサイクルを回し続けることで、イベント運営のノウハウが蓄積され、ターゲット顧客層への理解が深まり、イベントの費用対効果は継続的に向上していきます。成功体験だけでなく、失敗からも学びを得て、改善に繋げることが重要です。

イベントの種類を固定するのではなく、時には異なる形式(例えば見学会の次はセミナー)を試すなど、バリエーションを持たせることも、様々な角度からターゲット顧客層にアプローチし、新たな層を開拓したり、既存顧客層との関係を維持したりするために有効です。

また、複数のイベントを連動させる戦略も考えられます。例えば、「資金計画セミナー」に参加した顧客層向けに、次は「土地探し個別相談会」、「実際の家を見たい方向け見学会」といったように、顧客層の家づくりのステップに合わせたイベントを企画することで、自然な流れで次のステップへと誘導することが可能になります。各イベントでターゲット顧客層を具体的に設定し、それぞれに必要な情報や体験を提供することで、一連のイベントが強力な顧客育成プロセスとなります。

さらに、イベントで接点を持った顧客層に対して、個別のアフターフォローを丁寧に行うことの重要性は言うまでもありません。イベントで得られた情報を基に、その方の関心や状況に合わせた情報提供や提案を行うことで、信頼関係が構築され、商談、そして契約へと繋がる可能性を高めることができます。このフォローアッププロセス自体も、次のイベント企画や集客計画のヒントとなる貴重な顧客層の声を吸い上げる機会となります。

まとめ

工務店経営におけるイベント集客を持続的に成功させるためには、漠然としたアプローチではなく、特定の顧客層を明確にターゲットとすることが何よりも重要です。自社の強みと過去の成功事例、市場分析に基づき、詳細なペルソナを設定することで、貴社が本当に価値を提供できる顧客層が見えてきます。この記事では、そのターゲット顧客層に向けたイベントの企画方法、効果的な集客戦略、そして当日の運営とフォローアップのポイントまで、具体的なステップを示しました。

イベントは開催して終わりではなく、その成果を測定し、改善を重ねるPDCAサイクルを回すことで、より精度の高い集客が可能になります。様々なイベント形式や集客媒体を試し、ターゲット顧客層からのフィードバックを真摯に受け止め、柔軟に対応していくことが成功の鍵です。小規模な工務店であっても、ターゲットを絞り込むことで、限られたリソースでも高い費用対効果を実現できます。

イベントを通じた特定の顧客層との深い繋がりは、単なる契約だけでなく、長期的な顧客満足、そして紹介という形で、貴社にとってかけがえのない財産となります。今日からこの記事で提示した具体的なアクションを一つでも実行に移してみてください。一歩踏み出す勇気が、貴社のビジネスを次のステージへと引き上げ、未来の安定的な成長に繋がる強力な一歩となることを心から応援しています。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

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