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心に響く家づくり!モデルハウスのコンセプトを深く掘り下げる方法

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆様、集客や差別化、そして何より「本当に届けたいお客様」との出会いにお悩みではありませんか? 多くの選択肢がある現代において、お客様に「選ばれる」ためには、単に性能や価格が良いだけでは不十分です。そこで鍵となるのが、モデルハウス、そしてその根幹を成すコンセプト設計です。

モデルハウスは、単なる展示場ではありません。それは、あなたの工務店が描く理想の暮らし、お客様の未来の喜びを「体験」として伝えるための最も強力なツールです。しかし、ただ流行のデザインを取り入れたり、最新設備を詰め込んだりするだけでは、お客様の心に響かず、他のモデルハウスとの差別化も難しいのが現実です。

本当に効果的なモデルハウスは、明確なコンセプト設計に基づいています。誰に向けて、どのような暮らしを提供したいのか。その家で得られる価値は何か。ここを深く掘り下げ、デザインや空間、体験として具現化することで、初めてお客様は「これは私のための家だ」と感じ、強く惹きつけられるのです。

この記事では、工務店経営者の皆様が、ありふれたモデルハウスから脱却し、お客様の心に深く響くコンセプト設計を行い、それをモデルハウスで最大限に活かすための具体的な手順を、実践的なノウハウを交えて詳細にご解説します。ぜひ、この記事を通じて、あなたの工務店ならではの「選ばれる理由」を創り上げるヒントを見つけてください。

コンセプト設計の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

モデルハウス成功の鍵は、その場に立つ前から始まる「コンセプト設計」にあります。ここでは、単なる抽象的なアイデア出しではなく、事業戦略に直結する実践的なコンセプトの作り方をステップ別に掘り下げていきます。

Step 1: 「誰のための家か」 を徹底的に掘り下げる – 理想の顧客像の明確化

当たり前のようですが、この最初のステップが最も重要であり、最も見落とされがちな部分です。誰に響く モデルハウス なのかを明確にせずして、心に響くコンセプトは生まれません。「誰もに良い家」は、結果的に誰にも深く刺さらない家になります。

  • **表面的な属性を超えて:** 年齢層、家族構成、年収といった基本的なデモグラフィック情報に加え、彼らの「価値観」「悩み」「願望」「ライフスタイル」「趣味」「情報収集の方法」などを深く掘り下げます。
  • **ペルソナ設定の実践:** 理想のお客様を具体的な一人の人物像(ペルソナ)として設定します。名前、年齢、職業、家族構成、住まいで実現したいこと、現在の住まいへの不満、よく見るウェブサイト、休日の過ごし方などを具体的に記述します。このペルソナが、今後のコンセプト設計の全ての判断基準となります。
  • **顧客の声を聞く方法:** 過去のお客様へのアンケートやインタビュー、見学会や相談会での何気ない会話、ウェブサイトのアクセス解析、SNSでの反応、競合の顧客層分析など、多角的に情報を収集します。特に「なぜ家を建てたいのか」「今何に困っているのか」という根本的な動機に耳を傾けることが重要です。

ここで重要なのは、「最大公約数」ではなく、あなたの工務店が最も力を発揮でき、かつ最も喜んでいただける「特定の誰か」を見つけ出すことです。この明確なターゲット設定こそが、響くコンセプト設計の出発点となります。

Q: ペルソナを絞りすぎると、集客のパイが狭まりませんか?

A: 最初はそう感じるかもしれませんが、ペルソナを明確にすることで、そのターゲット層には圧倒的に深く響く情報発信が可能になります。結果として、質の高い見込み客が集まりやすくなり、契約率の向上につながります。広く浅くよりも、狭く深くを目指す方が、長い目で見れば効率的です。

Step 2: あなたの工務店の「譲れない強み」を見つけ出す – 提供価値の再定義

次に考えるべきは、あなたの工務店がお客様に提供できる「独自の価値」は何かに?ということです。競合との違いは?どのような家づくりを得意としているのか?どのような哲学をもって家づくりに取り組んでいるのか?

  • **自社の棚卸し:** 過去の実績、得意な工法、使用する標準的な素材、デザインの特徴、アフターサービスの体制、地域密着度、スタッフの専門性や強みなどを書き出します。
  • **お客様からの評価:** これまでのお客様から特に評価された点、感謝されたエピソードなどを掘り起こします。「〇〇な工務店さんだね」とよく言われることはありませんか?
  • **情熱の源泉:** あなた自身やスタッフが、どのような家づくりに最も情熱を感じるのか?得意であることに加え、「やりたいこと」も重要な要素です。得意だが情熱がない分野でコンセプトを立てても、魂が宿りません。

デザイン性、高気密高断熱、自然素材、耐震性、コストパフォーマンス、アフターサービス、地域とのつながりなど、客観的な事実だけでなく、そこに込められた想いや哲学まで言語化することが、差別化されたコンセプト設計には不可欠です。

Step 3: 顧客の願望と自社の強みを結びつける – コンセプトの核を構築

Step 1で明確にした「誰か」は、きっと何かを求めて、何かに悩んでいます。そしてStep 2で明確にしたあなたの工務店には、その悩みや願望を解決し、実現する力があります。

  • **ニーズとシーズのマッチング:** ペルソナの具体的な悩みや願望リストと、工務店の強みリストを並べ、どのように貢献できるかを検討します。「〇〇という悩みを抱える△△さんにとって、弊社の□□という強みは、◎◎という形で役立つ(価値を提供できる)」
  • **提供価値を「ベネフィット」に変換:** 提供できる機能やサービス(シーズ)を、お客様が得られる結果や感情(ベネフィット)に変換します。「高気密高断熱」→「光熱費を気にせず、夏涼しく冬暖かい快適な暮らし」や「健康で快適な室内環境」のように具体的にします。コンセプト設計ではこのベネフィットこそが重要です。
  • **コンセプトステートメントの作成:** これらを踏まえ、「【誰のために】、私たちの【譲れない強み・哲学】をどのように活かして、【どのような暮らし(ベネフィット)】を提供する家なのか」を明確に記述します。これがあなたの モデルハウス のコンセプトの核となります。簡潔で覚えやすく、かつ情熱が伝わる言葉を選びましょう。

例:「子育てに忙しい共働き夫婦のために、家事を圧倒的に楽にし、家族との時間と『自分の時間』を同時に叶える『時短』と『ゆとり』を両立させる家」

Step 4: コンセプトに「物語」と「感情」を吹き込む – 共感を生む言語化

コンセプトの核ができたら、それに血肉を与え、お客様が感情的に共感できる「物語」や「世界観」を作り上げます。

  • **コンセプトネーム・タグラインの作成:** コンセプトを一言で表す名前や短いフレーズを考えます。覚えやすく、ターゲットに響く言葉を選びます。例:「家族がつながる大空間の家」「緑と暮らす、小さな平屋」「働くママを応援する家事ラク動線の家」
  • **コンセプトストーリーの開発:** その 模型 の家で「誰が」「どんなふうに」暮らしているのか、具体的なシーンや感情を描写します。朝起きてから夜寝るまでの流れ、家族の会話、友人との過ごし方など、五感を刺激するような描写を加えると、お客様は自分の暮らしをそこに重ね合わせやすくなります。
  • **使用する言葉とトーンの統一:** コンセプトの世界観を表現する言葉遣いやトーンを決めます。温かい、スマート、ナチュラル、力強いなど、コンセプトに合った言葉を選び、全ての情報発信で一貫させます。

人間は論理だけでなく、感情で動きます。 モデルハウス のコンセプト設計においても、このストーリーと感情への訴求が、お客様の「欲しい」という気持ちを強く引き出す鍵となります。

Step 5: コンセプトを「空間」と「設計要素」に落とし込む – 具体化への変換

描いたコンセプトと物語を、具体的な間取り、デザイン、仕様、設備に変換します。コンセプトが絵に描いた餅にならないように、細部までこだわり抜くプロセスです。

  • **コンセプトボードの作成:** コンセプトネーム、タグライン、ペルソナ像、コンセプトストーリー、そしてコンセプトを表現する写真やイメージ(内装、外観、家具、小物、風景など)を一枚のボードにまとめます。視覚的に共有することで、チーム全体のイメージを統一できます。
  • **コンセプトに基づいたプランニング:** コンセプトボードを見ながら、ペルソナのライフスタイルを実現するための最適な間取り、収納計画、動線設計を行います。例えば、「家族のつながり」がコンセプトなら、リビング階段や対面キッチン、広いリビングスペースなどが候補になります。「家事ラク」なら、一直線の水回り動線、ファミリークローゼット、勝手口などが考えられます。
  • **素材・色・光の選定:** コンセプトの世界観を表現するために、使用する素材(e.g., 自然素材、モダンな素材)、色合い(e.g., 温かみのある色、洗練された色)、光の取り入れ方(e.g., 吹き抜けからの光、地窓からの光)を具体的に決定します。
  • **家具・照明・小物のスタイリング計画:** モデルハウス内の家具、照明、カーテン、小物、グリーンなども、全てコンセプトを体現するものでなければなりません。どのようなテイストのものを、どこに配置するか、詳細な計画を立てます。

この段階では、設計チームだけでなく、コーディネーター、インテリアデザイナーなど、専門家の知見も積極的に活用し、コンセプトが細部にまで宿るように計画を進めます。

Q: コンセプトに忠実すぎて、奇抜な モデルハウス になってしまいませんか?

A: コンセプト設計は、あくまでターゲットとするお客様にとって「心地よく、理想的」と感じられる家を目指すものです。奇抜さは目的ではありません。ターゲット顧客の価値観や aesthetic sensibility を深く理解し、彼らにとっての「理想」がどのような空間なのかを追求していけば、いたずらに奇抜になることはありません。逆に、ブレのないコンセプトがあることで、デザインに一貫性が生まれ、洗練された印象になります。

モデルハウス×コンセプト設計:成果を最大化する具体的な取り組み

コンセプト設計が固まったら、いよいよそれを モデルハウス という「場」でどのように表現し、お客様に伝えるかという段階です。ここでは、コンセプトと モデルハウス を効果的に連携させるための具体的な実行策を解説します。

Step 6: コンセプトを「体験」としてデザインする – 五感への訴求

モデルハウス作りは、単なる建物の建設ではありません。それは、お客様にコンセプトが描く暮らしを「体験」してもらうための空間づくりです。五感に訴えかける工夫を取り入れましょう。

  • **動線と空間構成:** お客様が モデルハウス に入ってから出るまでの動線全体で、コンセプトストーリーが自然に展開されるように誘導します。例えば、「家族のふれあい」がテーマなら、自然とリビングに集まりたくなるような配置や、キッチンからリビング全体が見渡せるような工夫を凝らします。
  • **光と風の演出:** コンセプトに合わせた光の取り入れ方(明るい北側の窓、吹き抜けからの自然光)や風通しの良さ(窓配置、パティオ)を設計に反映させ、実際のモデルハウスで体感できるようにします。時間帯によって変わる光の変化なども考慮します。
  • **音、香り、手触り:** BGMはコンセプトに合ったものか? 特定の空間で心地よい香りを漂わせるか?(例:自然素材の木の香り)。壁や床の素材はお客様が触れたときにコンセプトの印象を強めるか? 五感を意識した空間演出は、記憶と感情に深く刻み込まれます。
  • **家具・小物の選定と配置の徹底:** ただ置くだけでなく、実際にそこで暮らしているかのような生活感を演出します。本棚の本のラインナップ、キッチンの調理器具、バスルームのタオルやアメニティまで、コンセプトに沿って選び、配置します。

お客様は、 モデルハウス を見学する際、無意識のうちに「ここで自分が暮らしたらどうなるか?」をシミュレーションしています。そのシミュレーションを心地よく、リアルに感じてもらうことが、コンセプトを体感させる上で非常に重要です。

Step 7: コンセプトを「言語」で伝える – ストーリーテリングの実践

どんなに空間演出が優れていても、コンセプトの意図や価値がお客様に正しく伝わらなければ意味がありません。視覚情報だけでなく、言語による補足説明を効果的に行います。

  • **コンセプトブック・シートの設置:** モデルハウスの入り口や主要な場所に、コンセプトの概要、ターゲット像、実現できる暮らし、そしてコンセプトと各空間・設計要素がどのように結びついているかを解説したコンセプトブックやシートを設置します。
  • **空間ごとのコンセプト説明:** 各部屋や特徴的なスペースに、その空間がコンセプトにおいてどのような役割を果たしているのかを説明する小さなポップやパネルを配置します。「この窓は、CONCEPTである『光を取り込む家』を体現しており、時間帯と共に変化する光の表情を楽しむことができます。」のように、具体的な設計要素とコンセプトを結びつけます。
  • **デジタルコンテンツとの連携:** QRコードを用いて、各エリアの詳細情報や、コンセプトストーリーの動画、ペルソナの1日の過ごし方ムービーなどに誘導することも効果的です。

ただし、情報過多にならないよう、伝えたいメッセージを絞り込み、お客様が自然な流れで興味を持てるように配置することが重要です。一方的な説明ではなく、お客様が「知りたい」と思ったときに情報が得られる状態が理想です。

Step 8: スタッフ全員がコンセプトを語れるようにする – 人による伝達

モデルハウスを案内するスタッフこそが、コンセプトを伝える最も重要な存在です。マニュアル通りの説明だけでなく、自身の言葉でコンセプトへの共感を語れるようになる必要があります。

  • **コンセプト共有研修の実施:** コンセプトが生まれた背景、ターゲット顧客への理解、提供価値の本質、各設計要素がコンセプトにどう貢献しているかなど、コンセプト設計の意図をスタッフ全員が深く理解するための研修を行います。
  • **ロールプレイングとフィードバック:** お客様役とスタッフ役に分かれて、コンセプトの説明練習を行います。お客様がどのような疑問を持つか、どのように説明すれば響くかなどを実践的に学び、フィードバックを通じて改善を重ねます。
  • **スタッフ自身の「推しポイント」を語る:** スタッフ自身がコンセプトに共感し、個人的に「ここが好き」「このコンセプトだからこそ実現できるこの空間が良い」といった「推しポイント」を見つけ、自分の言葉で語れるように促します。これにより、お客様への説明に深みと熱が生まれます。

お客様は、建物と一緒に「誰が」この家を建てているのかを見ています。コンセプトに情熱を持ったスタッフの存在は、工務店への信頼感を高め、コンセプトへの共感を一層深めます。

Step 9: コンセプトを軸にした集客とマーケティング – 来場前からファンにする

素晴らしいコンセプト モデルハウス を建てても、ターゲットとするお客様にその存在と魅力が伝わらなければ意味がありません。コンセプトを全てのマーケティング活動の中心に据えます。

  • **ウェブサイトでの表現:** ウェブサイトのトップページや モデルハウス 紹介ページで、コンセプト、ターゲット、提供価値を前面に出します。コンセプトストーリーやペルソナの紹介動画などを掲載し、ウェブサイト自体がコンセプトの世界観を体現するようにデザインします。
  • **SNSでの発信:** Instagram, Facebook, YouTubeなどで、 モデルハウス の空間写真や動画だけでなく、コンセプトに合ったライフスタイル提案、お客様の声(コンセプトに共感された方の声)、コンセプトにまつわるエピソードなどを継続的に発信します。ターゲット層が利用するSNSで、ターゲット層に響く情報を発信することが重要です。
  • **広告・チラシでの訴求:** 広告媒体やチラシでも、デザインや価格だけでなく、コンセプトのメッセージを最も目立つ形で伝えます。「〇〇な暮らしを実現したい方へ」のように、ターゲットに「これは自分のことだ」と思わせるコピーを作成します。
  • **イベント・セミナーとの連携:** コンセプトに関連したテーマでイベントやセミナーを開催します。例えば、「働くママの時短家事セミナー」「自然素材と健康セミナー」など、コンセプトに関心を持つであろう層を集客します。

コンセプトを明確に打ち出すことで、興味のない層には響かないかもしれませんが、ターゲットとする層からの高いエンゲージメントを得られ、効率的な集客が可能になります。これにより、 モデルハウス への来場者の質も向上します。

Step 10: お客様からのフィードバック収集と分析 – 伝わり方の検証

モデルハウスを公開したら、お客様がコンセプトをどのように受け止めたのか、積極的にフィードバックを収集します。

  • **コンセプトに関するアンケート:** 見学後アンケートに、「 モデルハウス のコンセプトは伝わりましたか?」「どのような暮らしがイメージできましたか?」「特に心に響いた場所やアイデアは?」「それはあなたの理想とする暮らしとどのように合致しますか?」といった、コンセプトの理解度や共感度を測る設問を加えます。
  • **スタッフによるヒアリング:** 接客の中で、お客様の反応や言葉から、コンセプトがどのように伝わっているかを注意深く観察し、記録します。特に、「この部分を見て、〇〇という暮らしをイメージしました!」といった具体的な声は貴重です。
  • **ウェブサイト・SNSでの反応分析:** ウェブサイトでの滞在時間、特にコンセプト関連ページの閲覧状況、SNS投稿へのコメントやシェアなどを分析し、どの伝え方が効果的だったのかを検証します。

集まったフィードバックは、 モデルハウス の改善や今後のコンセプト設計、マーケティング施策に活かすための宝の山です。特に、コンセプトが「伝わらなかった点」や「誤解された点」は、改善の重要な手がかりとなります。

Q: コンセプトに合わないお客様が モデルハウス に来場した場合、どう対応すれば良いですか?

A: まず、どのようなコンセプトのモデルハウスであっても、様々なお客様が来場されることは自然なことです。大切なのは、コンセプトを否定されたり、不満を持たれたりしないように丁寧にコミュニケーションを取ることです。コンセプトが「特定の誰か」に向けたものであることを伝えつつ、そのお客様の疑問やお困りごとにもしっかりと耳を傾けます。もし、自社の他の商品ラインナップや過去の事例の中に、そのお客様のニーズに応えられるものがあれば、そちらを紹介することも可能です。コンセプトは、あくまで理想とするお客様との関係を深めるための「柱」であり、全てのお客様を排除するための「壁」ではないことをスタッフ全員が理解しておくことが大切です。

モデルハウスを継続的に成功させるための「次の一手」

モデルハウスは建てて終わりではありません。特にコンセプト設計に基づいたモデルハウスは、時間と共にその効果を測定し、さらに発展させていくことで、工務店のブランド力と持続的な成長に繋がります。

Step 11: 効果測定と成果の最大化 – データに基づく改善

モデルハウスの成功は、単なる来場者数だけでは測れません。コンセプトに合致したターゲット顧客の来場数、そこからの契約率、そしてコンセプトに対する共感度合といった質的な指標も併せて評価する必要があります。

  • **KPI(重要業績評価指標)の設定:** モデルハウス公開前に、どのような状態になれば成功と見なすかのKPIを設定します。例:ターゲット顧客からの月間問い合わせ数〇件、 モデルハウス 来場後のターゲット顧客の契約率〇%、コンセプトの認知度〇%など。
  • **定期的なデータ収集と分析:** 来場者データ、アンケート結果、営業報告、ウェブサイト・SNSのアクセスデータなどを定期的に集計し、KPI達成度を測定します。
  • **コンセプトとの関連性の分析:** 得られたデータとコンセプトを結びつけて分析します。「コンセプトAに共感したお客様は、契約に至る確率が高い」「SNSのこの投稿(コンセプト関連)からの流入が多い」など、コンセプトの有効性を検証します。

成果が出ている点、出ていない点をデータに基づいて把握し、次の改善策に繋げます。

Step 12: コンセプトとモデルハウスの進化 – 時代と顧客の変化への対応

市場や顧客のニーズは常に変化します。一度完成したコンセプトやモデルハウスも、定期的に見直し、必要に応じて進化させる必要があります。

  • **トレンドと社会の変化の把握:** 住宅業界の新たなトレンドだけでなく、社会構造の変化(例:テレワークの普及、防災意識の高まり、環境問題)、価値観の変化(例:ミニマリスト志向、地域コミュニティへの関心)などを常に注視します。
  • **ペルソナのアップデート:** Step 1で設定したペルソナが、現在の市場環境や社会変化の中で、まだあなたの理想とする顧客像として適切かを見直します。必要であれば、ペルソナ設定をアップデートします。
  • **コンセプトとモデルハウスのマイナーチェンジ:** データ分析とトレンド把握、ペルソナのアップデートに基づき、 モデルハウス の展示方法、家具・小物の変更、一部改修、コンセプトの伝え方の微調整などを行います。コンセプト自体は大きく変えずとも、表現方法や訴求のポイントを調整することで、時代に即した魅力を保つことができます。
  • **大規模なリニューアルまたは新コンセプトの検討:** 数年が経過し、コンセプト自体が市場ニーズと合わなくなってきた場合や、工務店の事業戦略が変化した場合は、 モデルハウス の大規模なリニューアルや、新たなコンセプトでのモデルハウス建設なども視野に入れます。

変化を恐れず、常に最良の モデルハウス 体験を提供できるよう、コンセプトもモデルハウスも生き物として扱い、育てていく姿勢が重要です。

Step 13: コンセプトを「工務店の核」として確立する – ブランド力の強化

成功した モデルハウス のコンセプトは、その モデルハウス のためだけに存在するものではありません。それはあなたの工務店自身のブランドコンセプトとなり得ます。

  • **コンセプトの社内浸透:** モデルハウスに関わる部署だけでなく、設計、施工、事務、広報など、全社員が工務店のコンセプトを理解し、誇りを持って語れる状態を目指します。コンセプトを判断基準として、日々の業務に活かせるようにします。
  • **カスタム住宅への展開:** モデルハウスで示したコンセプトやそこで培われたノウハウを、カスタム住宅の提案にも活用します。「モデルハウスのコンセプトに共感された方には、このような形でさらに個別のご要望に応えられます」と具体的に提示します。
  • **情報発信の一貫性:** ウェブサイト、パンフレット、名刺、SNSなど、全ての顧客接点において、モデルハウスを通じて確立したコンセプトに基づいた一貫性のあるメッセージとデザインを心がけます。
  • **採用活動への活用:** 工務店のコンセプトに共感する人材採用にも活用できます。どのような家づくりを目指しているのか、そこで働く人が大切にしている価値観は何かが明確であるほど、共感性の高い、定着しやすい人材が集まります。

コンセプトが Modelo House を超えて工務店全体の活動の核となることで、競合には真似できない強固なブランディングが実現し、「〇〇な家を建てるなら、あの工務店だ」といった、お客様からの指名に繋がる理想的な状態を生み出します。

Q: コンセプト設計に手間とコストがかかりますが、本当に費用対効果はありますか?

A: 短期的なコストとして捉えるのではなく、長期的な投資と考えるべきです。明確なコンセプトに基づいた モデルハウス は、曖昧なモデルハウスに比べて、ターゲット顧客の集客効率が格段に上がり、見込み客の質も向上するため、結果として契約率が高まる傾向にあります。また、強固なブランドイメージが確立されることで、価格競争に巻き込まれにくくなる、紹介が増えるなど、長期的な経営安定と成長に寄与します。初期のコンセプト設計への投資は、無駄な集客コストの削減や、高単価な受注に繋がる可能性を秘めているため、戦略的に取り組めば高い費用対効果が期待できます。

まとめ

工務店経営において、心に響くモデルハウスは強力な武器となります。しかし、その真価を発揮させるためには、単なる建物の展示ではなく、「誰に、どのような暮らしを届けたいか」という明確なコンセプト設計が不可欠です。この記事でご紹介したステップは、決して容易な道のりではありませんが、一つ一つ丁寧に取り組むことで、あなたの工務店ならではの「選ばれる理由」が明確になり、理想のお客様との出会いを劇的に増やせるはずです。

顧客の深い理解から始まり、自社の強みを見つめ直し、両者を繋ぐコンセプトを物語として紡ぎ、それをモデルハウスという空間で具現化し、そしてすべての顧客接点で一貫して伝える。この一連のプロセスは、まさにあなたの工務店自身のブランドを作り上げていく旅路です。

データに基づいた継続的な改善、そしてコンセプトを社内全体に浸透させ、工務店の核として確立していく「次の一手」まで実行することで、モデルハウスは単なる展示施設を超え、あなたの事業を成長させるエンジンとなります。お客様の心に火をつけ、社員の情熱を掻き立てるコンセプト主導の家づくりは、きっとあなたの工務店に新たな扉を開いてくれるでしょう。

これから、あなたの工務店が自信を持って提供できる、唯一無二のモデルハウスのコンセプトが生まれ、多くのお客様の笑顔に繋がることを心から応援しています。さあ、今日からその第一歩を踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

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