コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

顧客をセグメント化!工務店のターゲット戦略

公開日: : 工務店 経営

地域密着で家づくりをされている工務店の経営者の皆様。常に変化し続ける市場環境の中で、安定した経営を続けることに難しさを感じていらっしゃるかもしれません。集客にコストがかさんでいる、問い合わせはあるものの成約に至らない、価格競争に巻き込まれがち、といった課題は多くの工務店で共通する悩みでしょう。これらの課題を克服し、事業を成長させていくためには、場当たり的な対策ではなく、明確な経営戦略に基づいた取り組みが不可欠です。そして、その経営戦略の核となるのが、「誰に」「どのような価値を提供するのか」を定める、顧客の理解とターゲット設定です。

漠然と「地域の人みんな」を対象にするのではなく、自社の強みを最も必要としている顧客層を見つけ出し、そこに経営資源を集中させること。これが、限られたリソースで最大の効果を生むための鍵となります。この記事では、工務店経営に特化した「顧客セグメント」の手法を、具体的なステップを追って解説します。顧客セグメントをどのように行い、それを日々の経営戦略にどう落とし込んでいくのか、そしてその成果をどのように測定し、改善していくのかまで、実践的なノウハウを提供します。

この記事を読み終える頃には、自社にとって本当に価値の高い顧客層が見える化され、無駄のない、より効果的な集客・営業活動、ひいては安定した経営基盤を築くための道筋が見えているはずです。あなたの工務店の未来を力強く切り拓くための、具体的なアクションプランをここから見つけてください。

顧客セグメントの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

顧客セグメントとは、市場に存在する様々な顧客を、特定の基準に基づいて意味のある小さなグループ(セグメント)に分類することです。これにより、それぞれのセグメントのニーズや特性を深く理解し、より響くマーケティング戦略、商品・サービス開発、営業アプローチを組み立てることが可能になります。工務店にとって、顧客セグメントは単なる分析手法ではなく、持続可能な経営戦略の土台となるものです。

なぜ今、工務店に顧客セグメントが必要なのか?

かつてのように「家が欲しい人」全体に同じようにアプローチする時代は終わりました。テクノロジーの進化、価値観の多様化により、お客様の情報収集方法や家づくりに対する要望は細分化しています。このような状況で、全ての顧客に同じメッセージを送っても、誰にも響かない可能性が高まります。顧客セグメントを行うことで、以下のようなメリットが得られます。

  • マーケティング効率の向上:特定のセグメントに焦点を当てることで、広告費や販促費を無駄なく投下できます。
  • 顧客満足度の向上:各セグメントの具体的なニーズに合わせた提案やサービスを提供することで、お客様の期待を超える満足を生み出せます。
  • 競争力の強化:特定のニッチな市場で優位性を確立し、価格競争から脱却する足がかりとなります。
  • 新しいビジネスチャンスの発見:これまで見過ごしていた顧客層の潜在的なニーズを発見し、新たな商品・サービス開発に繋げることができます。
  • 経営資源の最適配分:人も資金も情報も限られている工務店にとって、最も成果が期待できる顧客層に経営資源を集中させることは、効率的な経営戦略の要となります。

工務店のための実践的な顧客セグメント指標

顧客をセグメント化する際に使用する指標は多岐にわたりますが、工務店経営において特に重要となる指標と、その具体的な見方を解説します。

  1. デモグラフィック属性:基本的な顧客属性です。
    • 年齢層:若い世代(20代・30代)はデザイン性やコストパフォーマンス、情報収集源、資金計画への懸念などが異なり、シニア層(50代以上)はバリアフリー、コンパクトな暮らし、資産活用などが関心事になり得ます。
    • 家族構成:独身、夫婦のみ、幼い子供がいる家庭、成長した子供がいる家庭、二世帯などにより、必要な部屋数、間取り、収納、安全性、コミュニティとの繋がりなどが大きく変わります。
    • 収入・職業:予算規模、資金調達方法、こだわりのポイント(仕様・設備)、将来設計などが異なります。
    • 居住地:現在の居住地や希望する建築地によって、土地の広さ、法規制、地域コミュニティとの関わり、通勤・通学事情などが影響します。

    ポイント:これらの普遍的な情報に加えて、工務店の商圏に特有の地域性(主要な産業、地価、住宅事情など)を加味して分析します。

  2. サイコグラフィック属性:顧客の心理的な側面やライフスタイルに関する情報です。
    • 価値観・ライフスタイル:週末は家族でアウトドアを楽しむ家庭、自宅で仕事をすることが多いフリーランス、環境問題に関心が高い夫婦、などによって、求める家の機能やデザイン、素材などが異なります。「家は単なる住まいではなく、自己表現の場である」と考える人もいれば、「コストを抑えて広さを確保したい」と考える人もいます。
    • こだわりポイント:自然素材を使いたい、デザインに統一感が欲しい、高気密高断熱で省エネにしたい、趣味のスペースを設けたい、など、家づくりで特に重要視する点が顧客層によって異なります。
    • 情報収集源:住宅情報サイト、雑誌、SNS(Instagram, Pinterestなど)、YouTube、知人の紹介、地域のイベント、完成見学会など、どこで情報収集をしているかを知ることで、効果的なアプローチチャネルが見えてきます。
    • 住宅に対する考え方:「一生に一度の高い買い物」として慎重に検討する層、「資産形成の一環」として捉える層、「暮らしを楽しむための道具」と考える層など、住宅購入の動機やスタンスが異なります。
  3. 行動属性:顧客の具体的な行動に関する情報です。
    • 購買行動:過去の不動産購入・売却経験、リフォーム経験、検討期間の長さ、比較検討する基準など。
    • 問い合わせ方法:Webサイトの問い合わせフォーム、電話、SNSのDM、紹介など。
    • イベント参加履歴:完成見学会、勉強会、相談会など、どのようなイベントに関心を持つか。
    • Webサイトでの行動:どのページをよく見るか、どのコンテンツに関心を持つか。

実践!工務店のための顧客セグメント化手順

これらの指標を用いて、具体的に顧客をセグメント化する手順を解説します。

  1. ステップ1:目的の明確化
    なぜ顧客セグメントを行うのか? 「集客効率を上げたい」「高単価の契約を増やしたい」「特定のデザイン路線の顧客を獲得したい」など、具体的な目的を設定します。目的によって、どの指標を重視すべきか、どのようなセグメントを作成すべきかが変わってきます。経営戦略のどの部分を改善したいのかを明確にしましょう。
  2. ステップ2:データ収集
    セグメント化に必要なデータを収集します。工務店で活用できるデータ源は以下の通りです。

    • 既存顧客データ:過去のお客様情報のリストアップと分析。契約時のアンケート、担当者の記録、過去のやり取りなどを参考にします。売上データ、成約率、紹介の有無なども重要な情報です。
    • 営業・設計担当者へのヒアリング:現場でお客様と接しているスタッフは、顧客の生の声や潜在的なニーズを最もよく理解しています。どのようなお客様が多いか、どのような悩みや要望を持っているかのヒアリングは必須です。
    • Webサイト分析:Google Analyticsなどを活用し、どのような属性の人がサイトを訪れているか、どのページに関心を持っているか、どこから流入しているかなどを分析します。
    • 問い合わせ・相談内容の分析:過去の問い合わせ内容や相談内容をリストアップし、頻出する要望や質問、課題などを洗い出します。
    • 市場調査・競合分析:地域の人口統計データ、住宅事情、競合他社がどのような顧客層をターゲットにしているかを調査します。
    • アンケート・インタビュー:既存顧客や見込み客に対して、家づくりに関する考え方、情報収集チャネル、ライフスタイルなどに関するアンケートや直接インタビューを実施します。

    注意点:個人情報保護には十分配慮し、適切な方法でデータを収集・管理してください。

  3. ステップ3:分類とセグメントの作成
    収集したデータを基に、顧客を分類します。デモグラフィック、サイコグラフィック、行動属性などを組み合わせて、「意味のある」グループを作成します。例えば、「30代後半の共働き夫婦で、都心に通勤しており、高気密高断熱のエコな家をSNSで情報収集している層」のような具体的なセグメントをいくつか設定します。いきなり細かく分けすぎず、まずは3~5つのセグメントを作成することを目指しましょう。
  4. ステップ4:ペルソナ設定
    各セグメントをより深く理解するために、ペルソナを設定します。ペルソナとは、特定のセグメントを代表する架空の顧客像です。名前、年齢、職業、家族構成、趣味、価値観、悩み、家づくりにおける理想、情報収集行動などを具体的に記述します。写真や簡単なストーリーを添えると、社内での共通認識も深まります。このペルソナに向けて、次の経営戦略を考えていきます。
  5. ステップ5:セグメントの評価と優先順位付け
    作成したセグメントが、自社の目的達成にどれだけ貢献しそうか評価します。評価基準としては、セグメントの規模、収益性(顧客単価や成約率の見込み)、競争環境、自社の強みとの適合性などが考えられます。全てのセグメントに均等に取り組む必要はありません。特に注力すべき優先セグメントを決定します。これは、リソースが限られる工務店において、効率的な経営戦略を実践する上で非常に重要です。

Q: 小さな工務店でも顧客セグメントは必要ですか? 大手のようにデータも多くないのですが…

A: はい、小さな工務店こそ顧客セグメントは必要です。大手と比べてリソースが限られているからこそ、誰に向けて、どのようなサービスを提供するのかを明確にすることが、効率的な経営戦略の鍵となります。データが少ない場合は、既存のお客様との関係性を深く掘り下げたり、地域のお客様に直接ヒアリングしたりすることから始められます。また、Webサイトがなくても、電話や対面での問い合わせ内容、過去の見学会や相談会への参加者の特徴などを分析するだけでも、有益なセグメント情報が得られます。規模に関わらず、理想の顧客像を言語化し、共有することは、組織全体の方向性を定める上で非常に有効です。

経営戦略×顧客セグメント:成果を最大化する具体的な取り組み

顧客セグメントが明確になったら、いよいよそれを日々の経営戦略にどのように活かしていくかを考えます。作成したセグメントごとに、最も効果的なアプローチ方法を具体的に設計していくステップです。

セグメント別マーケティング戦略の構築

ターゲットとする各セグメントに対して、どのようにメッセージを伝え、どのようなチャネルでアプローチするかを具体的に計画します。

  1. ステップ1:セグメントごとのニーズと課題の深掘り
    ペルソナを用いて、そのセグメントが家づくりにおいてどのような悩みや不安を抱えているか、どのような理想やこだわりを持っているかをさらに具体的に考えます。例:「子供が喘息持ちなので、安心して暮らせる健康住宅を探している」「将来の相続も考えて、資産価値の高いコンパクトな家を建てたい」「デザインにはこだわりたいが、予算が限られている」など。
  2. ステップ2:提供価値(バリュープロポジション)の言語化
    自社の強みやサービスが、そのセグメントのニーズや課題をどのように解決できるのか、独自の強みを明確に言語化します。「私たちは〇〇という技術で、△△にお悩みのお客様の健康課題を解決し、将来にわたって安心して暮らせる住まいを提供します」のように、セグメントに響く言葉で表現します。
  3. ステップ3:メッセージとトンマナの決定
    セグメントと提供価値に基づき、どのようなメッセージを伝えるかを決めます。使う言葉遣い(フォーマルかカジュアルか)、デザインのトーン&マナー(モダンかナチュラルか、高級感か親しみやすさか)などもセグメントに合わせて調整します。例えば、若い世代にはSNSで共感を呼ぶような親しみやすい言葉遣い、シニア層には安心感や信頼性を重視した丁寧な言葉遣いが適しています。
  4. ステップ4:効果的なアプローチチャネルの選定と実行
    各セグメントがよく利用する情報収集チャネルを特定し、そこに対して集中的にアプローチします。

    • 若い世代、デザイン重視層:Instagram, Pinterest, TikTokなどのSNSによる視覚的なアプローチ、YouTubeでの施工事例や家づくりノウハウの発信、デザイン系Webサイトへの掲載。
    • 機能性・性能重視層:専門的な情報を提供するブログやWebサイト記事、性能に関する数値データを盛り込んだ資料請求、専門家を招いた勉強会やWebセミナー。
    • 地域密着型、シニア層:地域の情報誌への広告掲載、公民館などでのセミナー開催、OB顧客からの紹介、地域イベントへの参加・出展、アナログなDM送付。
    • 忙しい共働き夫婦:オンライン相談会の実施、短時間で要点がわかるWebサイト構成、休日の見学会だけでなく平日夜やオンラインでの対応オプション。

    具体的なアクション:各チャネルでどのような情報を提供するか、どのようなコンテンツを作成するかを具体的に計画し、実行に移します。Webサイトのコンテンツも、セグメントごとに興味を持ちそうなテーマの記事(例:「30代向け!無理なく建てるおしゃれな家」「建て替え?リフォーム?シニア世代のための賢い選択」など)を作成します。

セグメントに基づいた商品・サービス開発と改善

顧客セグメントの理解は、既存の商品やサービスを見直したり、新しいニーズに応えるための商品・サービスを開発したりする上でも重要です。特定のセグメントから寄せられる要望や潜在的なニーズを分析し、標準仕様の見直し、オプションの拡充、新しい建築プランの提案などを検討します。例えば、「在宅ワークが普及した共働き世帯向けに、防音性を高めたワークスペース付きプランを開発する」「シニア層向けに、バリアフリーだけでなく、コンパクトながら収納を充実させたリタイアメント向きのプランを提供する」といった具体的な取り組みが考えられます。

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の最適化

顧客セグメントごとに、問い合わせから契約、着工、引き渡し、アフターサービスに至るまでの顧客体験を設計し直します。それぞれのセグメントが、家づくりのどの段階で、どのような情報やサポートを必要としているかを理解することが重要です。例えば、初めて家を建てる若い世代には、資金計画や流れについて丁寧な説明をより多めに提供したり、打合せツールに慣れた世代にはオンラインでのやり取りを積極的に活用したりするなど、細やかな配慮が顧客満足度を高め、口コミや紹介に繋がります。顧客セグメントは、単に集客のためだけでなく、契約後の関係構築やリピート・紹介を促進する上でも、優れた経営戦略のツールとなります。

営業戦略への反映

セグメントされた顧客情報やペルソナは、営業担当者にとっても非常に役立ちます。どのような顧客が、どのような点に関心を持ちやすいか、どのような営業トークが響くかといった知見は、個々の商談の質を高めます。例えば、デザイン重視の顧客には施工事例のデザイン性を強調したプレゼンを、性能重視の顧客には具体的なデータやシミュレーションを用いた説明を行うなど、顧客セグメントに基づいた営業戦略を展開することで、成約率の向上に繋がります。

Q: 複数のセグメントに同時に対応するにはリソースが足りません。どうすれば良いですか?

A: リソースが限られている工務店においては、まずは優先順位の高い1つまたは2つのセグメントに経営資源を集中させるのが現実的な経営戦略です。全てのセグメントに対応しようとすると、結局はどのセグメントにも深く刺さらない「広く浅い」アプローチになりがちで、効果が薄れてしまいます。優先順位の高いセグメントで成功事例を作り、ノウハウを蓄積してから、徐々に対応するセグメントを広げていくのが良いでしょう。また、全く異なるセグメントでも、共通するニーズやアプローチチャネルがある場合があります。そういった共通項を見つけ出し、効率的な施策を検討することも有効です。重要なのは、自社の強みと市場のニーズが最も合致するセグメントを見極めることです。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

顧客セグメントを導入し、様々な施策を実行したら、それで終わりではありません。変化の激しい現代において、経営戦略は常に効果を測定し、必要に応じて見直し、改善を重ねていく必要があります。この継続的なプロセスこそが、持続的な成長を可能にします。

顧客セグメント戦略の効果測定

実行したセグメント別マーケティングや営業戦略が、当初設定した目的に対してどれだけ貢献しているかを定量的に測定します。主な測定指標(KPI)の例としては以下の通りです。

  • 問い合わせ数の変化:特定のセグメントからの問い合わせが増加したか。
  • セグメント別の成約率:ターゲットセグメントの成約率が向上したか。
  • 顧客単価:ターゲットセグメントの顧客単価が他のセグメントより高いか。
  • 契約までの期間:ターゲットセグメントの検討から契約までの期間が短縮されたか。
  • セグメント別の集客コスト:ターゲットセグメントを獲得するためのコスト効率が改善されたか。
  • 顧客満足度:アンケートやヒアリングを通じて、ターゲットセグメントの満足度や評価はどうか。
  • 紹介率:ターゲットセグメントからの紹介が増加したか。
  • Webサイトのアクセス解析データ:ターゲットセグメントが利用するチャネルからの流入増、特定のコンテンツの閲覧深度など。

これらの指標を定期的に確認し、当初の目標値と比較することで、施策の有効性を判断します。例えば、「30代共働き世帯向けSNS広告からの問い合わせ率が〇%向上した」「エコ住宅に関心を持つセグメントの成約率が△%アップした」といった具体的な成果を確認します。

データに基づいたセグメントの見直しと改善

効果測定の結果が思わしくない場合や、市場環境、顧客ニーズに変化が見られる場合は、顧客セグメントそのものや、各セグメントに対するアプローチ方法を見直す必要があります。例えば、新たな顧客層が増えてきた、既存のセグメントのニーズが変化した、競合が新しいターゲット層に注力し始めた、といった兆候がないか常にアンテナを張っておきます。定期的に(例えば半年に一度、または一年に一度)セグメント定義やペルソナを見直すプロセスを取り入れると良いでしょう。データに基づいた客観的な視点を持つことが、感情論や思い込みに左右されない正しい経営戦略へと繋がります。

セグメント戦略を社内で共有し、組織全体で取り組む

顧客セグメントは、マーケティング部門や営業部門だけが行うものではありません。設計、工務、コーディネーター、アフターサービス担当者など、お客様と直接または間接的に関わる全てのスタッフが、ターゲットとする顧客セグメントやペルソナを理解し、共有することが重要です。これにより、組織全体で顧客中心のサービスを提供できるようになり、顧客体験の一貫性が保たれます。定期的な社内共有会や勉強会を開催し、成功事例や課題を共有することで、組織全体の顧客理解度と対応力を向上させることができます。これは、工務店の人的資源を最大限に活かすための重要な経営戦略の一つです。

テクノロジーの活用と将来展望

顧客セグメント戦略をより高度化するためには、テクノロジーの活用も検討できます。顧客管理システム(CRM)を導入すれば、顧客情報の管理、セグメント別の顧客リスト作成、コミュニケーション履歴の追跡などが効率化できます。マーケティングオートメーションツールを活用すれば、セグメントごとにパーソナライズされたメールやコンテンツを自動的に配信することも可能です。これらのツールは初期投資や運用コストがかかりますが、効率と効果を高める上で有効な手段となり得ます。まずはエクセルのリスト管理から始めても良いので、顧客情報を「見える化」「分析可能」な状態にすることが第一歩です。

将来的には、AIを活用したデータ分析により、より精緻な顧客セグメントや将来のニーズ予測を行うことも視野に入ってくるかもしれません。しかし、どんなにテクノロジーが進んでも、地域密着の工務店にとって最も重要なのは、お客様一人ひとりと向き合い、深い信頼関係を築くことです。セグメント化は、そのためのツールであり、より質の高いコミュニケーションを実現するための土台となる経営戦略なのです。

Q: セグメント化で得た個人情報の管理が不安です。注意点は?

A: 顧客情報は非常に重要であり、適切に管理する必要があります。まず、個人情報保護法について正しく理解することが大前提です。収集するデータの種類と目的を明確にし、同意を得てから収集しましょう。データの保管場所は限定し、アクセス権限を設定することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。従業員への定期的な研修も重要です。顧客セグメントの分析は、個人を特定できない統計データとして行うことが基本となりますが、個別の顧客情報を取り扱う場合は、その利用目的と同意、保管方法について厳格なルールを設ける必要があります。信頼できるCRMシステムなどのツール導入も、安全な管理に役立ちます。お客様からの信頼は工務店経営の生命線ですから、情報管理には細心の注意を払いましょう。

まとめ

この記事を通じて、工務店経営における顧客セグメントの重要性とその実践的な手順、そして経営戦略への活かし方について解説しました。不確実性の高い時代においても、自社にとって最も価値の高い「誰」に焦点を当てることは、限られた経営資源を最大限に活用し、効率的かつ効果的な事業運営を行うための不可欠な経営戦略です。顧客セグメントを行うことで、ターゲット顧客のニーズを深く理解し、響く情報発信、魅力的な商品・サービス開発、そして質の高い顧客体験を提供することが可能になります。

顧客セグメントは一度行えば終わりではありません。市場や顧客ニーズの変化を常に捉え、データに基づきセグメントや戦略を見直し改善していく継続的な取り組みが、持続可能な経営を築く鍵となります。まずは、既存顧客の分析から始めてみてください。そして、この記事で紹介したステップを参考に、一つずつ具体的なアクションを実行に移しましょう。セグメントに基づいた経営戦略は、単なる集客テクニックではなく、あなたの工務店が地域社会で独自の存在感を放ち、お客様から選ばれ続けるための力強いパスポートとなるはずです。今日から、あなたの工務店の顧客戦略を次のレベルへ引き上げ、確かな成長への一歩を踏み出しましょう。応援しています。

プロフィール画像

この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

工務店 経営 建築会社、非住宅進出の成果は?

2024/05/21 |

戸建住宅の新築量が減少している現状、非住宅に進出する建築会社さんも増えていますが、大手でも取り組...

記事を読む

前年比3倍!建築業界内の悪質な手口

2024/03/08 |

  今回は業界内で増加している一つの問題について、皆様への注意喚起としてお伝...

記事を読む

no image

工務店 経営 コロナと経営破綻

2022/02/15 |

皆さんこんにちは コミュニティービルダー協会の浄法寺です。 なかなかコロナも収束...

記事を読む

工務店 経営 ビッグモーター、建築業への余波100社以上

2023/08/15 |

最近の建築業関連のニュースから紹介です。 1.ビッグモーター、建築業100社以上に影響 ...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑