コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

顧客エンゲージメントを高める!工務店のファン作り

公開日: : 工務店 経営

工務店経営者の皆さま、日々の経営でこんな悩みはありませんか?「なかなかリピーターや紹介が増えない」「価格競争に巻き込まれてしまう」「お客様と長期的な信頼関係が築けない」。これらの課題を解決するカギが、今や経営戦略の中心となりつつある顧客エンゲージメントです。しかし、具体的にどのように導入・運用すればよいのか分からないという声もよく耳にします。
本記事では、工務店ならではの実情に寄り添い、顧客エンゲージメントの基本から実践、そして継続的な経営戦略の立て方まで、手順ごとに具体的に解説します。「明日からすぐできるアクション」「現場で使えるヒント」「効果測定と改善のコツ」まで網羅していますので、自社のファンづくりに本気で取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。

顧客エンゲージメントの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

顧客エンゲージメントを高めるための第一歩は、そもそも「自社の経営戦略の中で顧客との関係性をどう位置付けるか」を明確にすることです。単なる「お客様対応」やクレーム処理ではなく、将来的に熱心なファンに育ってもらうための一連の仕組みとして、顧客戦略を組み立てていきましょう。ここでは、基礎理解から具体的アクションまで、段階的な導入手順を紹介します。

1. 顧客像の明確化とターゲティング

  • 自社の理想的顧客像(ペルソナ)を言語化しましょう。「どんな家族構成?」「何に価値を感じる?」「情報収集はどこから?」など、営業・工務・広報チームから情報を集め、見える化することが重要です。
  • 既存顧客の傾向や失注理由も分析し、どのような共感点がファン化につながるのかを洗い出します。

2. 顧客接点の現状把握と見直し

  1. 現状の顧客接点(来店、電話、ウェブサイト、SNS、アフターサポートなど)がどの程度充実しているか棚卸しましょう。
  2. 各接点での強みと課題を洗い出します。「来店時対応は手厚いが、工事後のフォローが希薄」「SNSは開設しているが更新頻度が低い」など具体的に挙げましょう。

3. 顧客意識の社内浸透

  1. 社員ひとり一人の「顧客起点」で考える意識改革が重要です。経営戦略の根底は、現場のスタッフが行動で表現できてこそ意味を持ちます。
  2. 定期的な顧客対応研修、「お客様の声」共有会などを企画し、現場に落とし込みます。

4. オンラインとオフラインの接点強化(O2O戦略)

  • 工務店の特徴を活かし、例えば「現場見学会」「オンライン相談」「施工事例紹介動画」など、オンライン・オフライン双方の接点を強化しましょう。
  • 新規顧客だけでなく、既存顧客への定期フォローやニュースレター送付なども有効です。

5. 顧客データの一元管理と活用

  • 顧客情報を紙や複数のエクセルで管理していませんか?これではせっかくの顧客戦略が属人的・断片的になってしまいます。可能であれば顧客管理クラウドなどに集約し、接点履歴、要望、課題、対応状況などがすぐに把握できるようにしましょう。
  • 定期的に「感謝の気持ちを伝える」「記念日のメッセージを送る」といったアクションも、「お客様をきちんと見ている」という安心感や信頼につながります。

6. 施策の小さなトライアルからスタート

  1. いきなり大きな変革や多額のDX投資は慎重に。まずは、「三ヶ月間だけニュースレター発行」「複数現場で現場見学会を開催」「LINE公式アカウントからの情報配信」など、小さなトライアルを複数走らせましょう。
  2. 家族構成や工事内容別など、限定されたターゲットからスタートするのも有効です。

これらの導入ステップは、全て自社の経営戦略の根幹を改めて見直し、工務店ならではの強みを最大限活かすスタート地点になります。リピート受注や紹介獲得につながる“本当のファンづくり”に向けて、まずは現状を正しく把握し、できる部分から動き出すことが大切です。

経営戦略×顧客エンゲージメント:成果を最大化する具体的な取り組み

「顧客エンゲージメントを高める」と一言で言っても、その実践内容は多岐にわたります。ここでは、より経営戦略の視点から、どのようにして成果につなげるかを具体的なアクションプランとFAQで解説します。

1. 顧客との「物語」の共創型戦略

  • 工務店の強みは、地域密着や職人ならではの想い、こだわりにあります。これをストーリーとしてお客様と一緒に作っていく(共創)ことで、他社との違いが鮮明になり、本質的なファン化が進みます。
    • 着工前の打合せから竣工後の暮らしまでを記録し、施工日誌・完成レポートとしてシェア。
    • 「お客様の声」や「家づくりストーリー」をホームページやSNSでコンテンツ化。
    • 引き渡し式や記念撮影イベントなど、“節目”を大切にする文化風土を作る。

2. 顧客コミュニティの形成と交流機会の創出

  1. リフォーム済み・新築オーナー向けに「オーナー感謝祭」「アフター勉強会」「住まいのお困りごと相談会」などを定期開催しましょう。これにより、自然な形で顧客コミュニティができ、紹介や口コミを生み出す土壌となります。
  2. オンライン・オフライン問わず、イベント開催後の参加者アンケートをもとに、次回以降の内容を「お客様と一緒に決める」のが肝要です。

3. 定期フォロー施策のシステム化

  • 例えば工事完了半年・1年・3年後など、時期を決めて「定期点検」や「住まいの健康診断」の案内を自動化。顧客管理ツールやスケジュール自動化サービスで仕組み化することで、接触機会を逃さず“いつも気にかけてもらえる存在”を目指します。
  • 積極的なアフターフォローが「不安なく暮らせる」満足感につながり、信頼関係を強化します。

4. 顧客の声を戦略に反映させる仕組み

  • アンケート、口コミ、相談記録などを定期的に整理・集計し、商品開発やサービス改善会議で活用しましょう。単発の施策ではなく、経営戦略の評価軸として「顧客の声比率」を定量的に持つことがポイントです。
  • 具体例:施工ミス対応やアフターの要望頻出事項の共有→マニュアル改善やオプション追加等、現場での反映を必ず行いましょう。

5. ファン顧客による紹介・リピートを促進するインセンティブ設計

  1. 紹介特典、ステータス制度、オリジナル記念品など、実際にリピート・紹介につながった際のメリットを明確にし、「顧客同士のつながり」も生まれる仕掛けを用意しましょう。
  2. デジタル・紙媒体いずれでも運用できる「紹介カード」「応援メッセージ投稿企画」等、参加への心理的ハードルを下げる工夫も大切です。

6. SNSやWebメディアでの情報発信力強化

  • お客様のリアルな声や日常の現場風景、スタッフの想いなど「人となり」が伝わる写真や動画を、定期的に発信しましょう。
  • また、LINEオフィシャル、InstagramやYouTube等の「使うメディア」を絞り、担当スタッフを明確化することで、コンテンツの質と反応率も高まります。

FAQ:よくある疑問とその解決策

Q. 小規模工務店でも顧客エンゲージメント戦略は実践できますか?
はい、顧客名簿の徹底活用、ニュースレター、小規模イベントやサンクスメッセージなど、規模を問わず実践できる取り組みが数多くあります。むしろ小規模ゆえの「顔が見える関係性」や「小回りの利くフォロー」は、大手との差別化ポイントになります。
Q. 顧客データ管理はどう始めたらいいですか?
まずは名刺・Excel・紙でバラバラに管理されている顧客情報を一元化しましょう。クラウド顧客管理サービスや無料ツールを利用し、基礎情報・接点履歴・要望・家族構成などを集約してください。運用ルールを決めてスタッフ全員に周知することが重要です。
Q. 顧客から直接反応が得られないのですが…
アンケートやイベント参加だけがリアクションではありません。DM・情報発信など“小さな接点”の重ね合わせが信頼形成につながりますので、成果を焦らず継続しましょう。時には顧客訪問や手書きメッセージなど、温もりあるアプローチもおすすめです。
Q. 数値目標はどう設定すべき?
「紹介件数・リピート率」「ニュースレター開封率」「イベント参加率」など、行動指標と成果指標を組み合わせて設定しましょう。小さな成功体験を積み重ね、目標を段階的に引き上げることでチーム全体のモチベーションもアップします。

経営戦略を継続的に成功させるための「次の一手」

ここまでの導入・運用を経て、顧客エンゲージメントを軸とした経営戦略をさらに磨き上げていくためにはどうすれば良いのでしょうか?中長期的な視点で「継続×改善×進化」のサイクルを回すことがこれからの成長には欠かせません。

1. KPI設定と定期レビューの仕組み

  • 「何を数値化し、どこまで改善できたか」をデータで把握しましょう。例えば
    • リピート率・紹介件数・イベント参加率
    • 顧客満足度(NPS=推奨意向スコア、星評価等)
    • 問い合わせ~成約率や工事後クレーム件数 etc.

    四半期ごとに達成度をチーム全体で確認し、成功事例・未達要因を共有する場を設けてください。

2. 顧客セグメント分析と個別最適化

  • すべての顧客に同じアプローチをするのではなく、「新規顧客」「既存オーナー」「リピーター」「紹介者」などで不満・期待が異なります。経営戦略の中に、各層ごとに異なる施策やタッチポイントを設計しましょう。
  • 例えば、リフォーム案件では「1年後無料点検+期間限定キャンペーン」、新築引き渡しオーナー向けには「ライフステージ変化に応じた提案」など、個別対応力が価値になります。

3. 社員エンゲージメントの向上と巻き込み

  1. 現場スタッフをはじめ、全社員が「自分の仕事が顧客満足につながっている」という実感を持ちましょう。社内表彰、成功事例発表会、チームMVP制度などを設けて、挑戦と創意工夫を促していくことが重要です。
  2. 経営トップ自らが定期的に現場の接客・対応に参加することで、現場の課題把握や改善へのモチベーションアップにもつながります。

4. テクノロジーと組織づくりのバランス

  • 顧客管理システムやチャットボット導入、デジタルマーケティングなど新技術は積極活用したいですが、必ずしも全員に100%のITリテラシーを求める必要はありません。「現場の職人トーク」「手作りイベント」など、人の温かみとのバランスにも配慮してください。
  • システム化は「現場の負担を減らす」「お客様へのレスポンスを早くする」など明確な狙いがあると運用が定着します。

5. 業界トレンド・他社事例からの学び

  • 住宅・リフォーム業界、さらには異業種の事例から「どんな顧客体験が喜ばれているか」「どのような紹介施策が成果に結びついているか」など、定期的に情報アップデートしましょう。新しい施策やツールも、最初は一部で試して成果をみてから本格導入が推奨です。
  • 自社独自の文化や強みと組み合わせることで、“他にはない工務店”としての存在価値が高まります。

6. 継続改善のためのPDCA・フィードバックサイクル確立

  1. 計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Act)の流れに沿って、必ず「データに基づく振り返り」と「現場へのフィードバック」をセットで行いましょう。
  2. 経営者・現場リーダー・スタッフ・顧客それぞれが“言いっぱなし、やりっぱなし”をなくし、小さな改善を繰り返す文化を根付かせることが、長期的な経営戦略成功の土台となります。

まとめ

工務店のファンづくりは、一過性の施策や表面的なサービスだけで実現できるものではありません。この記事で紹介したように、顧客像の明確化・接点強化・定期フォロー・コミュニティ形成・情報発信など、具体的かつ着実なアクションを積み重ね続けることが、経営戦略の真価を発揮し、将来的なリピートや紹介獲得へとつながります。
重要なのは「明日からできること」から一歩を始め、実践と見直しのサイクルを止めないことです。時には困難もありますが、顧客エンゲージメントの強化は必ず自社の資産となり、安定した経営基盤と地域から愛される工務店像の実現へと導きます。
まずは社内外の“コミュニケーションの質”を見直すこと、そして成果や失敗事例も社内でオープンに共有することから始めてください。一つひとつの小さな実践が、貴社の未来を着実に形作るはずです。読者の皆さまもぜひ、顧客視点を中心に据えた経営戦略を、今日から歩み始めてみてください。

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

雑費を見直す!工務店の経費削減

2025/07/23 |

工務店の経営において、利益を確保し、安定した経営基盤を築くことは常に最重要課題の一つです。好況期には...

記事を読む

物語で顧客を魅了!モデルハウスで語る家づくりのストーリー

2025/08/20 |

住宅業界においてモデルハウスは、デザインや品質、暮らしの提案力を体感していただくリアルな場として極め...

記事を読む

見込み客を増やす!工務店の集客術

2025/07/22 |

現在、工務店業界では住宅着工件数の減少や顧客ニーズの多様化など、さまざまな課題が発生しています。特に...

記事を読む

イベントのマンネリを打破!常に新鮮な企画を生み出す方法

2025/08/20 |

工務店を経営していると、せっかく毎回工夫しているつもりでも、イベントがつい似た内容になりがちで集客や...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑