コミュニティービルダー協会は
「内閣府beyond2020」の認定および「外務省JAPAN SDGs Action Platform」の紹介団体です。

ヒヤリハットをなくす!工務店の現場安全対策

公開日: : 工務店 経営

工務店の経営者の皆様、日々の現場運営、本当にお疲れ様です。建物を建てる喜びの裏側には、常に作業員や職人の方々の安全管理という重要な経営課題が潜んでいます。特に建設業は、残念ながら他業種に比べて労働災害の発生率が高い現状があります。これは、尊い命に関わる問題であるだけでなく、事業の継続性や経営の安定性にも直結する深刻なリスクです。一度大きな事故が発生すれば、経済的な損失はもちろんのこと、会社の信頼失墜、従業員の士気低下など、計り知れないダメージを受ける可能性があります。

しかし、リスクは同時に機会でもあります。徹底した安全管理は、労働災害を防ぐだけでなく、現場の士気を向上させ、生産性の向上にもつながります。さらに、安全への取り組みを積極的に行うことは、顧客や地域社会からの信頼を得る上でも非常に有効です。その安全管理を効果的に行うための鍵となるのが、「ヒヤリハット」活動です。「事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたり、ハッとしたりした出来事」を収集し、分析し、対策を講じることで、潜在的な危険因子を事前に取り除くことができます。

「ヒヤリハット報告が必要なのは分かっているけれど、どうすれば現場から報告が上がってくるのか分からない」「報告は集まるけれど、その後の活用方法が分からない」「結局、何から手をつければいいのか?」――この記事は、そんな経営者の皆様の具体的な疑問に包括的にお答えするために書かれています。この記事では、単なる一般的な安全対策論ではなく、工務店の現場で明日からすぐに実践できるヒヤリハット報告制度の導入から、それを安全管理体制に効果的に組み込む具体的な手順、そして取り組みを継続させるための秘訣までを、ステップ形式で詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、安全管理に対する新たな視点が得られ、労働災害ゼロを目指すための明確なアクションプランを手に入れることができるでしょう。

ヒヤリハットの「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

労働災害の発生は、突発的な出来事のように見えますが、その多くは「ヒヤリハット」と呼ばれる小さな危険のサインを見逃した結果として起こります。つまり、重大な事故の陰には、29件の軽傷事故と300件のヒヤリハットがある、というハインリッヒの法則が示すように、ヒヤリハットは事故の予兆であり、宝の山なのです。この宝を掘り起こし、活用することが、効果的な安全管理の第一歩となります。

なぜヒヤリハット報告が現場で「響かない」のか?

多くの工務店でヒヤリハット報告制度を導入しようとしても、「面倒くさい」「報告しても意味がない」「何を報告すればいいのか分からない」「報告したら怒られるのではないか」といった現場の声に阻まれ、形骸化してしまうケースが見られます。これを乗り越えるためには、制度導入の前に、経営者が率先して「なぜヒヤリハット報告が重要なのか」を腹落ちさせ、それを現場に正しく伝え、報告しやすい文化を醸成することが不可欠です。

【実践】ヒヤリハット報告制度導入の7ステップ

ここでは、現場の協力を得ながら、実効性のあるヒヤリハット報告制度を導入するための具体的なステップをご紹介します。

ステップ1:経営陣の強いコミットメントを示す

どんな優れた制度も、トップが本気でなければ現場には伝わりません。「安全はすべてに優先する」という経営理念を明確に打ち出し、ヒヤリハット活動が会社の安全管理の根幹をなすものであることを、朝礼やミーティング、社内報などで繰り返し伝えましょう。経営者自身が安全靴を履き、現場を歩き、作業員に声をかける姿を見せることも重要です。「報告してくれてありがとう」の一言が、現場のモチベーションを大きく左右します。

ステップ2:報告しやすい「心理的安全性」の高い文化を醸成する

現場が最も恐れるのは、「正直に報告したら、自分の不注意を責められるのではないか」「罰則があるのではないか」という不安です。ヒヤリハット報告は、あくまでも「潜在的な危険因子を発見し、今後同じような状況で事故が起きないようにするため」のものです。個人を特定して責め立てるものではないことを徹底的に周知し、報告すること自体を決してネガティブに評価しない仕組みを作ります。匿名での報告を可能にする、報告者には感謝の意を示す、といった工夫も有効です。

ステップ3:報告書の様式を極限まで簡素化・デジタル化する

記入するのが面倒な複雑な報告書は、提出されにくくなります。最低限必要な情報(いつ、どこで、どんなヒヤリハットがあったか、 why you’re reading、どうすれば防げたか)だけをA4用紙の半分程度にまとめる、チェックボックス形式を多用するなど、記入負荷を減らしましょう。さらに、スマートフォンで写真が撮れるような簡易的なアプリやクラウドサービスを使った入力フォームを導入すれば、現場ですぐに報告でき、提出率が格段に向上します。手書きの場合は、各現場事務所に報告書と提出箱を常備します。

  • 記入項目の例:
    • 発生日時・場所
    • どのような状況でヒヤリハットが発生したか(具体的な行動、作業内容)
    • 何に対してヒヤリ・ハッとしたか(危険なもの、危険な状態)
    • なぜヒヤリハットが発生したのか(と考えられる原因)
    • どのようにすれば防げたか(具体的な対策案)
    • 報告者(匿名でも可とする場合はその旨を明記)

ステップ4:報告書の収集と共有の仕組みを作る

集まったヒヤリハット報告書は、特定の担当者(安全担当者や現場監督)が責任を持って回収します。回収頻度を週に一度、または月に数回と定め、社内で共有するための仕組みを作ります。紙の場合は内容をデータ化したり、写真に撮ったりして関係者にメールやチャットで共有します。デジタル報告の場合は、システム上でリアルタイムに共有されるように設定します。重要なのは、報告された情報が「死蔵」されることなく、関係者の目に触れるようにすることです。

ステップ5:報告されたヒヤリハットを定期的に分析する

集まった報告書は、単に読んだだけで終わらせず、定期的に集計・分析します。どのような種類のヒヤリハットが多く発生しているのか、特定の現場や作業に集中していないか、時間帯による傾向はあるか、などを把握することで、根本的な原因や共通するリスク因子が見えてきます。これにより、場当たり的な対策ではなく、効果的な安全管理対策を立案するための重要なデータが得られます。月次の安全推進会議などで、この分析結果を共有する場を持ちましょう。

ステップ6:対策を立案し、迅速に実施する

分析結果に基づき、優先順位の高いものから具体的な対策を立案します。対策は、「誰が」「何を」「いつまでに行うか」を明確にした、実行可能なものであることが重要です。例えば、「資材置き場の整理整頓」「特定の工具の点検頻度増加」「〇〇作業時の立ち入り禁止措置」など、具体的な行動レベルに落とし込みます。そして、立案された対策は迅速に現場に共有し、実行に移します。対策実施の遅れは、現場の不信感につながります。

ステップ7:対策の効果を測定し、フィードバックを行う

実施した対策が、実際にどの程度効果があったのかを評価します。同じようなヒヤリハットが減少したか、現場の安全に対する意識に変化が見られたかなどを観察します。そして、その効果や改善点、そして対策実施の結果を、必ず報告者を含めた現場全体にフィードバックします。「あなたの報告のおかげで、この危険箇所が改善されました」といった具体的なフィードバックは、報告者のモチベーションを高め、次の報告につながります。このフィードバックのサイクルを回すことが、制度が定着するための最大の鍵です。

【Q&A】ヒヤリハット報告に関するよくある疑問

Q: ヒヤリハット報告は法的な義務ですか?
A: 直接的な法的な義務ではありませんが、労働安全衛生法では事業者に労働者の安全と健康を確保する義務を定めており、ヒヤリハット活動はこれを達成するための非常に有効な手段と位置づけられます。重大な事故が発生した場合、ヒヤリハット活動を含む安全管理体制の有無や有効性が問われる可能性は十分にあります。企業の社会的責任、そして従業員の安全を守るためにも、自主的な取り組みとして行うべきです。

Q: どんな些細なことでも報告すべきですか?
A: はい、些細に思えることでも報告することが重要です。「こんなことを報告しても無駄だ」と感じることの中に、実は重大な事故につながる可能性がある潜在的な危険因子が隠れていることがあります。特に、多くの人が「当たり前」だと思って見過ごしている慣習や作業方法の中にリスクが潜んでいることも少なくありません。最初は些細なことからでも報告を奨励し、徐々に報告の質を高めていくのが良いでしょう。

安全管理×ヒヤリハット:成果を最大化する具体的な取り組み

ヒヤリハット報告制度は、単独で行うだけでなく、既存の安全管理体制の中に効果的に組み込むことで、その真価を発揮します。ここでは、ヒヤリハット情報を安全管理の様々な側面に活用し、現場の安全レベルを底上げするための具体的な取り組みを解説します。

安全管理体制へのヒヤリハット情報の組み込み

安全担当者の役割強化と情報共有

専任または兼任の安全担当者を置き、その役割を明確にします。安全担当者は、ヒヤリハット報告の収集・分析の中心となり、その情報を経営層、現場監督、職長、作業員間 facilitator となって共有する役割を担います。安全担当者が現場を巡回し、作業員と積極的にコミュニケーションを取りながら、報告しやすい雰囲気を作ることも重要です。安全管理に必要な知識やスキルを習得するための研修機会を提供しましょう。

安全委員会の活性化

定期的に開催される安全委員会(または安全推進会議)は、集まったヒヤリハット情報を分析し、具体的な対策を検討する場として非常に有効です。この会議には、経営層、安全担当者、現場監督、職長、そして可能であれば作業員代表も参加してもらい、多角的な視点での議論を行います。ヒヤリハット事例の共有は、参加者全員の安全意識を高め、他の現場での事故予防にもつながります。会議で決定した対策は、速やかに現場にフィードバックし、実施状況を確認します。安全管理におけるPDCAサイクルを回す上での中核となる活動です。

危険予知活動(KY活動)への活用

作業開始前に行うKY活動は、その日の作業に潜む危険を予知し、対策を話し合う重要な時間です。ここに、過去の類似作業で発生したヒヤリハット事例を組み込むことで、KY活動はさらに実践的で効果的なものになります。「以前、この作業で〇〇というヒヤリハットがあったから、今日は△△に注意しよう」といった具体的な注意喚起は、作業員の意識を高めます。共有されたヒヤリハット事例を作業手順書に追記することも有効です。

現場パトロールと安全教育の工夫

チェックリストにヒヤリハット事例を反映させる

定期的な現場パトロールは、潜在的な危険箇所や不安全行動を発見する機会です。パトロール時に使用するチェックリストに、過去のヒヤリハット事例から得られた教訓や注意点を項目として追加します。「〇〇というヒヤリハットがあった場所の△△の状態を確認する」「〇〇という不安全行動につながりやすい✕✕作業の方法をチェックする」など、具体的な項目があると、パトロールの質が向上し、見落としを防ぐことができます。

ヒヤリハット事例を用いたケーススタディ

安全教育は、一方的な講義形式ではなく、参加型で実践的なものにすることが効果的です。実際に自社の現場で発生したヒヤリハット事例を教材として使用し、「このヒヤリハットはなぜ発生したのか?」「どうすれば防げたか?」「もし事故につながっていたらどうなったか?」などをグループで話し合うケーススタディ形式を取り入れましょう。自分たちの経験に基づいた事例は、他人事ではなく「自分事」として捉えられやすく、安全意識の向上に大きく貢献します。外部の災害事例も活用できますが、自社の事例が最も効果的です。

作業手順書への「危険ポイント」の追記

各作業の手順書には、手順ごとの安全上の注意点や危険ポイントを記載します。ここに、過去のヒヤリハット事例で実際に発生した危険状況や、それへの対策を追記することで、生きたマニュアルとなります。特に経験の浅い作業員にとっては、具体的な危険をイメージしやすくなり、事故予防につながります。定期的に作業手順書を見直し、新たなヒヤリハット情報を反映させる仕組みを作りましょう。

ツール・テクノロジーの活用と協力会社との連携

テクノロジーで報告・共有・分析を効率化

前述の通り、スマートフォンやタブレットで写真付きのヒヤリハット報告ができるアプリ、クラウド上で情報を一元管理し、簡単に集計・分析できるシステムなどが市販されています。導入コストはかかりますが、報告のハードルを下げ、情報共有・分析の効率を飛躍的に向上させることができます。小規模な工務店でも、LINEWORKSやSlackなどのビジネスチャットツールの簡易的なグループ機能や、Googleフォーム/Microsoft Formsなどの無料ツールを活用して、報告・共有の仕組みを構築することは十分可能です。

協力会社との連携を深める

工務店の現場は、自社の従業員だけでなく、様々な協力会社の職人さんによって成り立っています。協力会社との連携なくして、現場全体の安全管理レベルを向上させることは不可能です。定期的な安全協議会を開催し、自社で集約したヒヤリハット情報を共有したり、協力会社からもヒヤリハット事例を報告してもらう仕組みを作ったりしましょう。相互の安全意識を高め、現場全体で安全な作業環境を作り上げる意識を共有することが重要です。共通の安全ルールやマニュアルを作成し、周知徹底することも効果的です。

【Q&A】安全管理×ヒヤリハットの応用に関するよくある疑問

Q: 安全管理ルールが形骸化するのを防ぐにはどうすればいいですか?
A: ルールを作っただけで満足せず、そのルールが現場で守られているかを定期的に確認(パトロールなど)し、守られていない場合は原因を探り、改善策を講じるサイクルを回すことが重要です。また、ルールがなぜ必要なのか、守ることでどのようなメリットがあるのかを、ヒヤリハット事例などを交えながら繰り返し教育することも効果的です。ルールは一方的に押し付けるのではなく、現場の 의견を聞きながら改善していく姿勢も見せましょう。

Q: 小規模な工務店でもできることはありますか?
A: はい、小規模な工務店でもできることはたくさんあります。専任の安全担当者がいなくても、経営者自身が安全責任者となり、日々の朝礼で安全に関する声かけを行う、作業員と一対一で話す時間を作り、安全に関する意見を聞く、無料の報告ツールを活用する、といったことから始められます。大切なのは、「できることから、まずは始める」という一歩を踏み出すことです。規模に関わらず、安全管理への意識と継続的な取り組みが最も重要です。

Rear view of builder inspector checking a construction site works.

安全管理を継続的に成功させるための「次の一手」

安全管理は、一度体制を構築したり、仕組みを導入したりすれば終わりというものではありません。現場の状況は常に変化し、新たなリスクも生まれます。継続的な改善活動こそが、労働災害ゼロを目指すための最も重要な要素です。

安全管理のPDCAサイクルとヒヤリハット

安全管理を継続的に改善していくためには、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回すことが非常に有効です。

  • Plan(計画): 年間または月間の安全計画を立てます。過去の労働災害やヒヤリハットの分析結果に基づき、「今期は特に墜落・転落災害を減らすための対策に注力する」といった具体的な目標を設定します。ヒヤリハット報告件数の目標値を設定することも考えられます(ただし、報告を増やすこと自体が目的にならないように注意)。
  • Do(実施): 計画に基づいて、設定した安全対策やヒヤリハット報告制度の運用を実施します。現場パトロール、安全教育、KY活動、ヒヤリハット収集・分析・対策実施など、具体的な活動を行います。
  • Check(評価): 実施した対策がどの程度効果があったのか、計画通りに進んでいるのかを評価します。労働災害発生件数の推移はもちろん、ヒヤリハット報告件数、報告内容の変化、対策実施率、現場の安全意識の変化などを多角的に評価します。安全委員会などで評価結果を共有・検討します。
  • Action(改善): 評価結果に基づいて、計画や対策を見直します。効果が不十分だった対策は改善策を検討し、新たなリスクが見つかれば対策を追加します。成功した取り組みは横展開を検討します。この「Action」が、次の「Plan」につながり、安全管理のレベルを継続的に向上させていきます。

このPDCAサイクルにおいて、ヒヤリハット報告は「Check」の段階で現状把握のための重要なデータを提供し、「Plan」や「Action」の段階で具体的な対策の根拠となります。つまり、ヒヤリハット活動はPDCAサイクルを円滑に回すための潤滑油のような存在なのです。

従業員のモチベーション維持

安全管理の取り組みを継続するためには、現場で働く一人ひとりのモチベーション維持が不可欠です。

  • good practiceの表彰・共有: 積極的にヒヤリハット報告を行った作業員や、優れた安全対策を提案・実施したチームなどを表彰し、その取り組みを社内全体に共有します。金銭的なインセンティブだけでなく、感謝状や、安全意識が高い人材として評価する仕組みも有効です。「頑張っている人が評価される」という姿勢を示すことが、全体のモチベーション向上につながります。
  • 成功事例の共有: ヒヤリハット報告に基づいた対策が功を奏し、実際に危険が回避された事例や、作業効率も改善された事例 등을積極的に共有します。「安全対策は面倒なだけではない、実際に役に立つんだ」という実感を持ってもらうことが重要です。

外部の情報活用と協力会社との更なる連携

自社の経験だけでなく、外部の情報も積極的に活用しましょう。厚生労働省や建設業労働災害防止協会などが公開している労働災害の統計、事故事例、安全対策に関する最新情報などは、貴社の安全管理の参考に invaluable 情報源です。他社の安全管理に関する工夫や成功事例を学ぶことも、新たな視点を得る上で有効です。

協力会社との連携をさらに強化するためには、合同での安全教育や研修を実施する、共通の安全パトロールを実施する、といった取り組みが考えられます。協力会社の安全管理レベルが向上することは、自社の現場全体の安全レベル向上に直結します。協力会社との信頼関係を築き、共に安全な現場を作り上げていく партнерシップを意識しましょう。

経営者自身のリーダーシップ

最後に、安全管理を成功させる上で最も重要なのは、経営者自身の強いリーダーシップです。「安全は人ごと」ではなく、「安全は経営そのもの」であるという意識を常に持ち、安全への投資(時間、費用、人員)を惜しまない姿勢を示すことが、従業員や協力会社に本気を伝え、安全文化を醸成します。経営者自身が安全に対する知識をアップデートし続けることも大切です。

【Q&A】安全管理の継続に関するよくある疑問

Q: 安全管理投資の費用対効果は?
A: 安全管理への投資は、一時的なコストと捉えられがちですが、長期的に見れば非常に高い費用対効果をもたらします。労働災害が発生した場合の直接的なコスト(治療費、休業補償、修理費用など)や、間接的なコスト(生産性低下、経営資源の浪費、信頼失墜による売上減、訴訟費用など)は、安全管理への投資額をはるかに上回ることがほとんどです。安全管理は、リスク回避コストであると同時に、従業員の士気向上や企業イメージ向上による収益向上にも貢献する戦略的な投資と考えるべきです。ヒヤリハット活動による小さな改善の積み重ねが、大きな損失を防ぎ、企業の利益を守ります。

Q: 従業員が安全対策に非協力的だったら?
A: まずは、なぜ非協力的なのか、その根本原因を探ることが重要です。「面倒くさい」「やっても意味がないと思っている」「ルールが現実的でない」「以前に報告したら嫌な思いをした」など、様々な理由が考えられます。一方的に指導するのではなく、まずは彼らの声に耳を傾け、共感する姿勢を示しましょう。そして、ヒヤリハット事例などを 具体的に示しながら、「なぜこの安全対策が必要なのか」「対策を講じることで、あなた自身や仲間がどう守られるのか」を丁寧に説明し、納得してもらう努力が必要です。強制するのではなく、安全管理への「参加意識」を高めることが鍵です。成功事例の共有や、安全への貢献を評価する仕組みも、協力姿勢を引き出すのに有効です。

まとめ

工務店経営における安全管理は、法的義務であると同時に、企業の持続的な成長と社会的な信頼を獲得するための最も重要な経営課題の一つです。そして、その安全管理を効果的に推進するためのキーとなるのが、ヒヤリハット活動です。この記事では、ヒヤリハット報告制度の導入から、それを既存の安全管理体制に組み込み、継続的に改善していくための具体的なステップをご紹介しました。

まずは、経営者自身が安全管理ヒヤリハット活動の重要性を深く理解し、現場に対してその本気度を示すことから始めてください。そして、現場が報告しやすい環境を整備し、集まった情報を決して無駄にせず、分析し、対策を講じ、その結果を現場にフィードバックするというサイクルを愚直に回してください。ヒヤリハットを組織の財産として活かすことが、労働災害ゼロを目指す最も実践的な道筋です。

安全な職場環境を築くことは、働く皆さんの命と健康を守り、そのご家族に安心を届けることです。それは同時に、従業員のエンゲージメントを高め、生産性を向上させ、企業のブランドイメージと信頼性を高めることに繋がります。今日から、この記事で紹介した「明日からできる具体的な一歩」を踏み出し、あなたの工務店を、より安全で、より強く、より信頼される企業へと transform させてください。安全への取り組みは、未来への希望を建てる工事なのです。応援しています!

“`

この記事を書いた人

プロフィール画像

浄法寺 亘

福島県 喜多方市出身。県立会津高校、市立高崎経済大学卒。工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。現在動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」。住宅情報サイト「ハウジングバザール」の運営にも携わっている。

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校、その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

商品の差別化へ!制振装置はこちらから →耐震・制振装置

友達申請お待ちしてます! →代表浄法寺のfacebook

工務店のネット集客ならこちら →工務店情報サイト ハウジングバザール

関連記事

国交省最大予算!住宅関連への使いみちは?

2025/04/11 |

4月1日、国土交通省が2025年度予算の配分方針を発表しました。 その総額、なんと過去最大...

記事を読む

住宅展示場で顧客を惹きつける!プロの接客術

2025/06/19 |

工務店経営者の皆様、日々の経営、本当にお疲れ様です。特に、集客の要となる住宅展示場での活動は、集客コ...

記事を読む

仕入れ価格を抑える!工務店の原価削減術

2025/07/18 |

工務店を経営していると、「利益が思うように伸びない」「仕入れ価格が適正なのか判断できない」「原価削減...

記事を読む

目標管理で工務店の業績を向上させる方法

2025/07/17 |

工務店の経営は、ただ建物をつくる仕事というだけではありません。人口減少や価格競争、人材難など、現代の...

記事を読む

  • 木の家住宅サイト『ハウジングバザール』

    もし、木の家をつくっていて、もっと多くのお客様と出会いたいという会社さんはぜひ見てください。
    掲載のお問合せは、画像をクリックして下さい。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が書いた住宅営業向けの本です。特にこれからの住宅営業向けに基本的な考え方と流れについて書いています。

  • 協会の著作

    代表理事の浄法寺が「SDGsをどうすれば建築業に活かせるか」を具体的な事例を取り入れながら書いた本になります。

  • 当協会監修の本です。工務店さんの集客に役立つアイデアがたくさん詰まってます!!

  • 僕たちが応援している【建築会社ができる社会貢献】のひとつのかたちです。

PAGE TOP ↑