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顧客が感動する家づくり!工務店の顧客体験デザイン

公開日: : 工務店 経営

住宅業界では近年、「品質」や「価格」だけで他社との差別化が難しくなっています。こうした中で工務店が直面する大きな課題は、「どうすればお客様に選ばれ、信頼され、紹介される存在になれるのか」という点です。その答えの一つが、単なる顧客満足ではなく、心に残る顧客体験顧客感動です。お客様が家づくりのプロセス自体に深い満足と感動を覚え、「この工務店で建てて本当に良かった」と実感できることが、リピーターや口コミ、紹介の連鎖につながります。

この記事では、「感動」のある家づくりを実現するための具体的な顧客体験デザインの方法と、すぐに現場で使える実践ステップをご紹介します。「そもそも何をすれば顧客の心を動かせるのか」「どうすれば社員も巻き込み、一丸で取り組めるのか」「成果測定や継続のコツは?」などの疑問や悩みに丁寧にお答えし、明日から実践できるノウハウをまとめています。自社のファンを今よりもっと増やしたい工務店経営者の皆さまに、ぜひお読みいただきたい内容です。

顧客感動の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

顧客体験顧客感動を家づくりの現場にどう組み込めばいいのか。これは多くの工務店経営者が持つ素朴で重要な疑問です。最初のステップとして基本の考え方と、組織全体を巻き込みながら実践に落とし込むための具体的なアプローチを押さえておきましょう。

1. 顧客体験の全体像を可視化する

まず大切なのは、「お客様が家づくりを考え始めてから、完成・引き渡し、アフターフォローに至るまでの全過程」を一つの流れとして見える化することです。これを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。

  • 問い合わせ、初回面談
  • 見学・プラン提案・商談
  • 契約、仕様打ち合わせ
  • 着工、現場見学、進捗連絡
  • 完成引き渡し、アフターフォロー

各フェーズごとに「お客様が期待していること」「感じている不安や期待」「こちらが提供しているサービスや接点」を整理し、満足や感動に繋がるポイントを洗い出しましょう。このステップ抜きにしては顧客感動への最短ルートは見えません。

2. 顧客体験を高めるためのゴール設定

「何をもって感動と言えるか?」をチームで共有しましょう。施主様が感じる「ありがとう」や「期待以上だった」の瞬間を書き出し、具体的なゴールに落とし込みます。

  • 最終的に「この工務店に頼んで本当に良かった」とお客様が感じられること
  • 「友人や家族を紹介したくなる」と思ってもらえること

ゴール設定は顧客体験向上の道しるべになり、全スタッフの行動基準となります。

3. 具体的なアクションステップの設計

ゴールから逆算し、各フェーズで何を実行すれば良いかを細かく設計しましょう。

  1. 初対面で「名前+家族構成+住まいの想い」を必ずヒアリングし、チーム全員が共有する仕組みをつくる
  2. プラン提案時は、敷地条件や要望だけでなく、お客様のライフスタイル・価値観・エピソードへ深く触れる
  3. 施工中は定期的に進捗写真+「一言手書きメッセージ」を添えて送付
  4. 引き渡し時に、チーム全員から感謝を伝えるセレモニーや記念イベントを行う
  5. 入居後3か月・1年後に「お困りごとアンケート」とフォロー訪問を実施

実際の現場で活きる「行動」と「仕組み」に落としこむことが大事です。

4. 全スタッフ参加型のワークショップ開催

定期的にワークショップを催し、「自分たちならではの顧客感動体験とは?」をスタッフ全員で議論しましょう。現場スタッフ、コーディネーター、大工さんなど立場の違う目線でアイデアを出し合うことで、「自社らしい強み」や「気づかなかった課題」が見えてきます。

5. 顧客体験を組織文化に根付かせる

トップ自らが「お客様の体験に妥協しない姿勢」を宣言し、日々の業務の中で体現しましょう。優れた取り組みや感動エピソードを定例会や掲示板で紹介することで、社内にポジティブな連鎖が生まれやすくなります。


顧客体験×顧客感動:成果を最大化する具体的な取り組み

本章では、顧客体験を「感動」にまで高めるための、具体的かつ再現性のある実践例とFAQ(よくある疑問への明快な答え)を解説します。自店舗で即応用できる事例を参考に、自社独自の取り組みへ発展させてください。

1. 顧客カルテの運用徹底(パーソナライズド体験の実現)

お客様ごとに「住まいの悩み」「人生の転機」「好きなインテリア」「家での過ごし方」などパーソナル情報を蓄積し、関係部署全員が閲覧・参照できる仕組みを確立します。これにより、商談や打ち合わせの度に「覚えていてくれた!」という驚きと安心感を創出し、小さな積み重ねが「この工務店はひと味違う」と感じる顧客体験を生み出します。

2. 期待値を上回るサプライズの演出

顧客感動が生まれるのは「想定内」ではなく「想定を超えた瞬間」です。例えば以下のような“小さなサプライズ”の積み重ねが極めて有効です。

  • 着工時や引き渡し時に「ご家族のエピソードをモチーフにしたミニギフト」を贈る
  • 現場に定期訪問した際、「ちょっと早いけど…」と季節のグリーンやお手紙を手渡す
  • 子どもがいる場合は「現場体験の写真アルバム」や「現場の小さなお手伝い証明書」をプレゼント

こうした工夫はお客様の感情に深く残り、SNSや口コミでも自然に広がります。

3. 疑問・不安への徹底対応(レスポンス・サポート)

不安や質問があった際、「素早い対応」と「納得できる説明」こそが満足・感動の源です。「ご質問いただきありがとうございます。社内で必ず原因を調査し、○日以内にご回答します」など、具体的な期日やプロセスを明示し、安心感を高めましょう。万が一トラブル時にも「素早く解決策を提案」「必要なら現場に同行し、お客様が納得いただくまで丁寧に説明する」姿勢を徹底することで、期待を超える顧客体験へと繋がります。

4. 施主参加型の家づくり体験イベント

オンラインも含めた設計ワークショップや、現場DIY体験会、地鎮祭・上棟式の家族イベントなど、施主が「自分ごと」としてプロジェクトに関わることで、家の完成までの物語への愛着が格段に深まります。「家が出来上がっていく工程を親子で学び、体験したことで、家に対する想い入れが増した」という声は非常に多いです。これがそのまま顧客感動となり、記憶に残るサービスへとつながります。

5. アフターサービスの進化と“気づき”のフォロー

入居後の「アフター点検」、暮らしの悩み相談会、「住宅ローンや住まいの税制」の情報発信など、家が完成した後も継続して「お客様の生活全体」を支援する姿勢が評価されます。小さな不具合・季節ごとのメンテナンス案内・地域イベントの招待状など、一歩先を読んだ提案を継続することで、長期的な安心と信頼が生まれ、抜群の顧客体験となります。

Q&A:工務店現場でよくある疑問と解決策

  • Q. 忙しくて一人ひとりへの対応に手がまわらない場合、どうすれば?

    A. 最小限でも「一言手書きのお便り」を定期運用したり、「お客様の趣味や家族話を記録→打合せ時に触れる」だけでも十分に差が出ます。全員で分担し、「スタッフ持ち回り担当制」も有効です。

  • Q. 顧客体験向上を現場スタッフにどう浸透させれば?

    A. 定例会議での「お客様からいただいた感動エピソード共有」や、MVP表彰・手紙投稿など“仕組み化”することで現場に楽しく定着しやすくなります。

  • Q. クレーム時でも顧客感動につなげられますか?

    A. トラブル対応時こそ真価が問われます。「すぐ現場対応」「納得いくまで説明」「ミスを隠さず謝罪」。そして「後日お詫び訪問→小さなギフトや感謝の手紙」を添えると結果的に「ファン化」につながる事例も多数あります。

  • Q. 継続のコツは?

    A. 専任担当+分かりやすい運用ツール(顧客体験チェックリストやカレンダー)を活用し、「できたこと」を見える化して全員参加で振り返る習慣を。


顧客体験を継続的に成功させるための「次の一手」

単発的な工夫だけでなく、「継続力」と「改善サイクル」が何より大切です。ここでは、実践的な応用事例や、効果測定〜組織的なブラッシュアップ方法を紹介します。

1. 顧客体験の効果測定~フィードバックの活用

「お客様アンケート」や「事後インタビュー」「紹介率・口コミ件数」の定期集計を行い、“何が喜ばれているか、どこが不満か”を分析しましょう。具体的には、引渡し1ヶ月後・6ヶ月後・1年後に「満足度・エピソード」を記入してもらい、社内で共有・改善に役立てます。ここで重要なのは「数値(満足度)」だけでなく「自由コメント」を集約し、現場改善や新戦略に活かすことです。

2. 顧客体験向上プロジェクト化

チーム横断プロジェクトとして「顧客体験ワーキンググループ」を設置し、定期的なミーティング・改善提案・目標設定を行います。例えば、「今月は“プラン提案時のサプライズ小物”強化」「現場清掃のビフォー・アフター写真共有」など具体的なテーマを決め、短い周期で振り返り・小さな改善を繰り返すことで習慣化しやすくなります。各スタッフのアイデアを積極的に採用し、ボトムアップ型で進めましょう。

3. デジタルツールの活用で体験を拡張する

SNSやLINE、クラウドサービスを駆使し、打ち合わせ進捗や現場の「見える化」を進めましょう。例えば、「オンライン現場レポート配信」「LINEチャットでの気軽な相談窓口」「Instagramでの事例共有」など、リアルの接点とデジタルの連携が顧客体験を多層化し、顧客の利便性や安心感が一段と高まります。

4. 失敗から学び、必ず次に活かす

すべてのお客様が100%満足するわけではありません。トラブルやクレームも必ず発生します。大切なのは、その一つひとつを「次の顧客体験への学び」として記録し、スタッフ全員で情報共有・再発防止策を具体化することです。「失敗事例ノート」や「ありがとうファイル」を定期的に振り返る運用をルーチン化しましょう。

5. OB顧客を巻き込んだコミュニティ形成

建てた後も「暮らしの相談会」「家守り講座」「OB会イベント」などを企画し、既存顧客同士や新規見込客との交流機会を設けます。OBのリアルな声や体験談は新たな見込み客の最大の安心材料となり、紹介増に直結します。「人で繋がる」ファンづくりを怠らないことが、継続的な顧客体験の高品質維持につながります。


まとめ

この記事では、工務店にとっての「顧客体験」と「顧客感動」の本質から、具体的な実践手順、現場での応用・継続ステップまで、包括的なノウハウを紹介してきました。今すぐにでも始められるヒアリング・カルテ運用・サプライズの仕掛け・アフターフォロー強化、そして社員巻き込みのための仕組みづくりなど、それぞれが小さな一歩ですが、積み重ねることで確実に自社の未来を変える大きな力になります。お客様に「感動」を届けることは、一朝一夕でできるものではありませんが、この記事のアクションを日常業務に深く落とし込み、組織全体で粘り強く続けることで、自社のブランド力・紹介力・成約力が着実に伸びていくはずです。皆さまの熱意と工夫が、地域のお客様の笑顔と、大きな信頼につながることを心から応援しています。

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浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。 今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」 ※8月実施予定。 住宅サイトの運営もしています。 福島県 喜多方市出身 県立会津高校卒 市立高崎経済大学卒 著書: 頼みたくなる住宅営業になれる本 https://x.gd/oatiM SDGsに取り組もう 建築業界編 https://x.gd/MXYJr とっておきの見込み客発掘法 https://x.gd/001or 主な講演: 鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」 リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト) 育英西中学校 その他住宅FCなど 活動実績 2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア 2020~ 木ッズ絵画コンクール
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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

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