固定費を削減する!工務店の利益体質への改善
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工務店 経営
工務店経営の現場では、「利益はなかなか増えない」「固定費が重くのしかかる」といった悩みを多く耳にします。受注単価や受注件数が伸び悩むなか、限られた資源をどう活かし、利益改善をどのように実現すればよいのでしょうか。本記事では、工務店の利益体質を実現するための「固定費」削減に着目し、具体的かつ実行可能なノウハウをわかりやすく解説します。営業成績や原価管理の改善だけでなく、見落とされやすい経営の“土台”にあたる固定費の最適化が、利益改善の最大の要といえるでしょう。「どこから固定費を削減すればいいかわからない」「実際にどのような手順を踏めばいいのか」「どうやって利益改善効果を測ればよいのか」といった悩みをお持ちの方に、すぐに実践できる具体策を余すことなくお届けします。この記事を読み終えた後には、利益改善への明確な道筋と、そのための実践的なアクションプランを手に入れることができるでしょう。
固定費の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで
利益改善の第一歩として、まず固定費の本質を理解し、経営へのインパクトを正しく把握することが重要です。本セクションでは、固定費の基礎知識から、自社ならではの削減ポイントの見つけ方までを、ステップを追って解説します。
1. 固定費とは何か?工務店経営に与える影響を再確認
固定費とは、受注や売上の増減に関わらず、一定額発生する経費のことです。代表的なものに、賃料・人件費(正社員の給与)・減価償却費・保険料・通信費・リース費用などがあります。
これに対し、材料費や職人の外注費など、建築案件ごとの変動に左右される「変動費」と対比されます。
工務店の場合、固定費の占める割合が意外と高く、仮に受注が減った場合でもこれらの支出は一定水準維持されるため、結果として利益を圧迫しやすい体質となります。
2. 固定費の「見える化」で現状を正確に把握する
利益改善のためには、まず現状の固定費を正確に洗い出すことが不可欠です。下記のように、1つひとつ列挙し、金額や発生周期を管理表にまとめてみてください。
- 事業所家賃・地代
- 役員・社員給与(賞与・社会保険料含む)
- 各種リース費用(車両・コピー機・IT機器など)
- 保険料、年会費
- 通信費・光熱水費・インターネット利用料
- 減価償却費・ローン返済
エクセル等で「内容」「金額」「発生頻度(毎月/年単位/スポット)」を整理し、固定費支出の全体像を可視化することから始めましょう。
3. 固定費削減の「潜在的チャンス」を特定する
一覧化した固定費の中から、削減チャンスを“具体的に”探ります。取り組みやすい順に攻めていくのがコツです。
- 長期間見直していないサービス契約・リース契約がないか
- 事務所スペースが本当に最適か(無駄な空きスペースや外部倉庫利用の有無)
- 保険や通信・インフラ関連費用の契約内容が現状に合っているか
- 事務スタッフやバックオフィス人員の業務量が適正か
- サブスクリプション型のサービスが「使いっぱなし」になっていないか
無理やりすべてを削る必要はありません。まずは「明らかに過剰」「不要な維持」「安価な代替手段あり」の項目から具体化しましょう。
4. ステップで進める、利益改善のための固定費見直しフロー
- 現状分析(全固定費の一覧化/現場と本社のヒアリング)
- 削減候補項目の抽出(契約書や請求書から機械的にリストアップ)
- コスト削減見込み額の試算(年間・月単位で減少分をシミュレーション)
- 関係者への説明と合意形成(拙速なトップダウンでなく、現場の納得感を重視)
- 優先順位をつけて段階的に実行(即効果が出るものから順次着手)
- 成果検証と再計画(実際の金額変化を追い、次の見直しに活かす)
利益改善活動は一過性で終わらせず、PDCAサイクルで継続することが重要です。
5. よくある疑問Q&A
- Q:固定費削減によるリスクはないのでしょうか?
- A:削減することでサービス品質や従業員のモチベーション低下につながる項目は、無理に減らさず「最適化」を目指しましょう。たとえば事務所の縮小はスタッフの働き方への配慮を、安易な人員カットは業務効率とバランスを最重要視してください。
- Q:どこまで固定費を減らすのが理想ですか?
- A:業態や規模、今後の成長計画により“最適値”は異なります。しかし「売上比」で15~20%前後に圧縮できているかを一つの目安としてください。
利益改善×固定費:成果を最大化する具体的な取り組み
固定費の構造を理解し現状把握からスタートしたら、次は「利益改善」に直結する具体的アクションに落とし込みましょう。ここからは単なる節約の枠を超え、中長期的な利益改善体質へと繋げる方法を順を追って解説します。
1. 固定費の「最適化」と利益改善の好循環をつくる
単に固定費を削減するのではなく、「最適化」によって営業力や現場効率の向上に資源を再投資し、全体の利益改善を目指すことが重要です。
- 浮いた固定費を広告宣伝費やデジタル化投資に回し、集客・受注率向上につなげる
- オフィス・IT環境の見直しで業務効率化(同じ業務量を少人数で回せる体制へ)
- 教育費用の適正化と見直しで、即戦力となる人材への投資を強化
「削るだけ」から「将来のための再配分」へ。これが利益改善の好循環の本質です。
2. ステップ別「成果を出す」固定費削減のアクションリスト
- 事務所家賃・設備の見直し
– スペースの一部サブリース化や、共同オフィス利用など多角的な選択肢を検討 - 人件費の適正化と働き方改革
– 一時的な業務増減には外部業者活用/繁閑期に応じた変動型シフト/賃金体系の再設計 - リース・保守契約の再交渉
– 契約先変更や一括リース契約見直しによるコストダウン - 保険・通信費の削減
– 法人携帯のキャリア一括見直し、過剰なオプション契約を整理 - 間接部門のアウトソース活用
– 経理や総務業務の一部委託化で、専門性・コスト双方の最適化
これらは単なる“経費削減”のためでなく、限られた資源を最大限に活用し、利益改善へと直結させる具体策です。
3. 見落としがちな「隠れ固定費」にも注意
削減対象として見逃されやすい「隠れ固定費」にも目を光らせましょう。
- SaaS・ライセンス費用が自動課金されて放置されていないか
- 特定の取引先との長年継続契約が割高で残っていないか
- 社内イベント・社交費用が実情に合っていないか
“惰性消費”を洗い出すことで、思わぬ利益改善につながることもあります。
4. 「利益改善=品質低下」ではない、という視点
固定費削減によりサービスや施工品質が下がるのでは、と不安を感じる方も少なくありません。しかし本質は「選択と集中」。伸ばすべき分野には戦略的に投資し、不要不急の支出を排除することで、むしろ競争優位性の高い工務店経営へと進化します。
5. 実践に役立つFAQ―よくある質問
- Q:固定費削減を実行しても、すぐに利益が増えた実感がありません。
- A:削減額と時期によってキャッシュフローへの反映までタイムラグがあります。月次・四半期単位で数値を記録し、累積で捉えることで成果が実感しやすくなります。
- Q:スタッフの協力が得られず進みません。
- A:全員参加型で「なぜ利益改善が必要なのか」「実現した場合の未来像」を丁寧に説明し、小さな成果でも“見える化”しながら進めましょう。チームの合意形成が最重要です。
利益改善を継続的に成功させるための「次の一手」
一度固定費を削減したからといって、利益改善はそこで完結しません。経営環境の変化や事業の成長に合わせ、常に利益改善のアプローチを続けていくことが工務店経営の未来を左右します。このセクションでは、継続的な改善と成果測定の要点を整理します。
1. 「定期見直し」の設定―年間スケジュールへの組み込み
利益改善施策の多くは、時間の経過とともに綻びや惰性が生じやすくなります。最低でも年1回、可能であれば半年ごとに固定費一覧・運用体制の総点検をルーティン化しましょう。
- 年初または半期ごとの固定費支出レビュー
- 最新の契約・市場動向に照らした再見積もり
- 現場のヒアリングによる“新たな無駄”の発掘
- 必要なら新たなコストダウンアクションの設定
2. 効果測定とKPI管理のポイント
利益改善の「結果」を可視化し、チームで共有することが定着への鍵です。以下のようなKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
- 営業利益率(売上高営業利益率)
- 固定費コストの通期・月次推移グラフ
- 受注案件数、原価率、変動費比率とのクロス評価
全社・部門・現場ごとに数値目標を共有することで「見える化」と「成果実感」を両立できます。
3. 利益改善を定着させるための組織風土づくり
現場巻き込み型の利益改善活動を根付かせるためには、「提案しやすい雰囲気」「改善事例の表彰」「成果の可視化」など、カルチャー面の施策も欠かせません。
- 現場主導でアイデア募集会議を定例化
- 「成功事例」をポスターや全体会議で共有
- 小さな削減成果にもインセンティブ報酬を設ける
これにより利益改善が社内の「共有価値」となり、次の打ち手につながります。
4. 利益改善の応用事例:固定費最適化から始まる攻めの経営
固定費の見直しをきっかけに、思い切った経営転換へ踏み出した成功例も多くあります。
- 事務所を縮小し、WEB集客・テレワーク型営業へシフト→地元以外の新規開拓に投資
- SaaS導入で、日報や工程管理をデジタル化→間接業務を1/3に削減し、営業人員を増強
- 取り扱いサービスの選択・集中で“やらない仕事”を明確化し、現場負担を軽減→高粗利物件の受注率UP
利益改善と固定費削減は「守り」だけでなく、「次の成長」を生みだす経営施策です。
5. 中小工務店におけるよくある質問Q&A
- Q:利益改善活動が一時的に終わってしまいます。
- A:半年・1年ごとに必ずレビュー日を設定し、再度「行動計画」を策定しましょう。ルーティン化と経営陣の率先垂範が重要です。
- Q:固定費が下がらない場合、最初に手をつけるべきは?
- A:影響の大きい項目(家賃・人件費・リース関係など)から優先順位をつけてください。それでも難しい場合は、外部の専門家(会計士や中小企業診断士)にアドバイスを依頼する方法もあります。
まとめ
工務店の利益改善において、固定費の現状把握・見直し・最適化は欠かせない柱です。本記事で紹介した「固定費の見える化」「優先順位をつけた削減」「価値ある投資への再配分」「定期的なレビュー体制の構築」といった具体策は、今日からでも着手可能です。結果を出すために大切なのは、一度で終わらせず継続的に改善し続けること。現場と経営陣が一体となり、目標と成果を“見える化”することで、利益改善は確実に進みます。利益体質の定着は、単なるコスト削減にとどまらず、将来に向けて柔軟かつ強固な経営基盤を構築する礎となります。この記事がきっかけとなり、貴社の未来に利益改善の好循環が生まれることを心より願っています。今こそ、実践への一歩を踏み出してください!
浄法寺 亘
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