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事業承継で失敗しないための税金対策

公開日: : 工務店 経営

長年培ってきた技術と信頼で地域社会を支える工務店の経営者の皆様にとって、会社の未来を託す事業承継は避けて通れない重要な課題です。特に、後継者への円滑な引継ぎとともに頭を悩ませるのが、それに伴う多額の税金の問題ではないでしょうか。「漠然とした不安はあるが、何から手をつければいいのか分からない」「税金で事業が立ち行かなくなるリスクを避けたい」といった疑問を抱えている経営者の方は少なくありません。

事業承継における税金対策は、単に税金を少なくするためだけに行うものではありません。会社の財務基盤を守り、後継者が安心して経営に専念できる環境を整え、ひいては会社の永続的な発展を実現するための、極めて戦略的な経営課題なのです。適切な税金対策を講じずに事業承継を進めてしまうと、後継者が重い税負担に苦しむことになり、最悪の場合、事業の継続が困難になる事態も起こり得ます。

この記事では、「事業承継で失敗しないための税金対策」に焦点を当て、工務店経営者の皆様が直面する具体的な課題に寄り添いながら、実践的な解決策と具体的な手順を徹底解説します。経営者が抱える税金に関する不安を解消し、後継者と共に明るい未来を築くための一歩を踏み出すための、具体的で分かりやすいロードマップを提供します。この記事を読むことで、どこから手をつけ、どんな対策があるのかが明確になり、税金という複雑な問題から解放され、本業である工務店の経営にさらに集中できるようになることをお約束します。

税金対策の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

事業承継を考え始めた工務店経営者が、まず最初に取り組むべきは、現状の正確な把握と税金に関する基本的な知識の習得です。税金対策と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえ、計画的に進めれば決して不可能ではありません。ここでは、事業承継に伴う税金の種類と、なぜ早期に税金対策に着手する必要があるのか、そして最初の一歩として何をすべきかを具体的に解説します。

事業承継に伴う主な税金の種類を把握する

工務店の事業承継で直面する可能性のある税金は、主に以下の通りです。

  • 相続税または贈与税:後継者へ自社株式や事業用資産(土地、建物、機械設備など)を贈与または相続させる場合に発生します。税率は高く、対策なしでは大きな負担となり得ます。
  • 譲渡所得税:自社株式を後継者または第三者に譲渡(売却)した場合に、譲渡益に対して発生します。
  • 法人税:事業承継の準備として、会社の組織再編や資産の売却などを行う場合に、法人に対して発生することがあります。
  • 所得税:役員退職金の支給など、税金対策の一環として個人が得た所得に対して発生します。

これらの税金が、どのような状況で、どの資産に対して課税されるのかを大まかに理解することが、効果的な税金対策の出発点となります。

なぜ早期の税金対策が必要なのか?

事業承継における税金対策は、「時間」を味方につけることでその効果を最大限に引き出せます。その理由は以下の通りです。

  • **計画的な資産移転:** 相続や贈与による資産移転は、一度に多額を行うと税負担が重くなります。時間をかけて少しずつ行うことで、税負担を分散・軽減できます。特に暦年贈与などの制度を活用するためには、複数年にわたる計画が必要です。
  • **資産評価額の抑制:** 事業承継時の自社株式や事業用資産の評価額は、税額計算の基礎となります。評価額が高いほど税負担は重くなるため、適切な税金対策によって評価額の上昇を抑える、あるいは引き下げる工夫が必要になります。これには会社の利益管理やバランスシートの適正化などが関わりますが、これらは一朝一夕にはできません。
  • **特例制度の活用準備:** 後述する事業承継税制をはじめとする税制特例は、適用を受けるための要件が複雑で、事前の準備や計画が不可欠です。認定取得などに時間を要する場合もあります。
  • **後継者との合意形成:** 税務を含む事業承継計画は、経営者だけでなく後継者やご家族との綿密なコミュニケーションと合意形成が重要です。時間に余裕を持つことで、関係者全員が納得できる形で計画を進められます。

理想的には、事業承継を考え始めてから実行まで、5~10年程度の準備期間を設けることが望ましいとされています。もちろん、状況に応じて短期間での対策も可能ですが、選択肢が狭まり、税負担が増えるリスクは高まります。

税金対策のための最初の一歩

では、具体的にまず何をすべきでしょうか。以下のステップから始めてみましょう。

  1. 自社の現状を正確に把握する
    自社の財務状況、資産内容、業績、株主構成などを正確に把握します。特に、事業用資産(土地、建物、重機、設備、在庫、売掛金など)の棚卸しと、含み益の状況(特に土地や有価証券など)を確認することが重要です。過去数年分の決算書や税務申告書を準備しましょう。
  2. 自社株式の評価額を知る
    非上場株式である自社株式の評価は、税金対策の根幹となります。評価方法はいくつかありますが、税務上の評価額を把握することが第一歩です。これは専門的な知識が必要となるため、税理士に依頼することをお勧めします。
  3. 後継者候補を明確にする
    親族、役員、従業員など、現時点で考えている後継者候補を特定します。後継者が誰かによって、適用できる税制や最適な承継方法、育成計画などが変わってきます。
  4. 事業承継の方向性(誰に、いつ、どのように)を考える
    いつ頃までに事業承継を完了させたいのか、どのように(相続、贈与、売買、M&Aなど)承継したいのか、大まかな方向性を考え始めます。現段階では確定していなくても構いません。

これらのステップを通じて、自社の「見える化」を行い、税金対策の必要性を具体的に感じられるようになることが目標です。同時に、事業承継全体像の輪郭が見えてきます。

Q&A:工務店ならではの資産評価の注意点は?

工務店の場合、事務所や工場などの土地・建物、重機、資材などが主要な事業用資産となります。これらは時の経過や市場価格によって評価額が変動するため、定期的な評価が重要です。また、在庫である未成工事支出金や材料なども評価対象です。特に古い資産は簿価と時価が大きく乖離している場合があるので注意が必要です。自社株式の評価においては、収益力や純資産だけでなく、保有する不動産の含み益、借入金の状況、さらには技術力やブランドといった無形資産も間接的に影響を与える可能性があります。

事業承継×税金対策:成果を最大化する具体的な取り組み

現状把握と基本理解ができたら、いよいよ具体的な税金対策の実行フェーズに入ります。事業承継における税金対策には様々な方法があり、これらを単独で実施するのではなく、自社の状況や後継者の状況に合わせて複数を組み合わせることが、成果を最大化する鍵となります。ここでは、工務店に適した主な税金対策と、その具体的な取り組み方について解説します。

1. 事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度)の活用

事業承継税制は、後継者が円滑に事業承継できるよう、一定の要件を満たした場合に、相続税や贈与税の納税が猶予・免除される画期的な制度です。特に自社株式に対する税金負担が大きい場合に非常に有効な税金対策となります。

具体的な取り組み

  1. 制度の概要と要件の確認
    事業承継税制には「特例措置」と「一般措置」があり、現在は要件が緩和された特例措置が利用可能です(適用期限あり、事前の計画提出等が必須)。会社の規模、業種、後継者の要件、資産保有会社の要件など、適用を受けるための詳細な要件を確認します。工務店の場合、不動産保有割合などが要件に関わってくることがあります。
  2. 特例承継計画の作成・提出
    特例措置の適用を受けるためには、税理士や認定経営革新等支援機関と連携し、「特例承継計画」を作成して都道府県に提出し、認定を受ける必要があります。これは事業承継の方向性や後継者を明確にするプロセスでもあります。
  3. 申請書類の準備と提出
    実際の相続または贈与が発生した場合、税務署に猶予の申請書類を提出します。認定を受けた計画に基づき、必要な書類を不備なく準備することが重要です。
  4. 承継後の要件遵守
    納税猶予が開始された後も、後継者は会社経営に関して一定の要件(雇用維持など)を遵守する必要があります。これらの要件を満たせなくなった場合は、猶予されていた税額の納付(利子税含む)が必要になります。

事業承継税制は非常にメリットが大きい反面、要件が複雑で、承継後にも継続的な遵守事項があるため、計画段階から専門家(税理士)のサポートが不可欠です。

2. 自社株式や事業用資産の評価引き下げ対策

自社株式や事業用資産の税務上の評価額を下げることは、税額そのものを減らすことに直結する、直接的な税金対策です。これは早期に取り組むほど、より多くの選択肢と時間を確保できます。

具体的な取り組み

  1. 含み益の解消・圧縮
    帳簿価額よりも時価が大幅に高い資産(特に土地や株式)がある場合、これを売却するなどして含み益を解消・圧縮することを検討します。ただし、これには法人税や譲渡所得税が発生するため、全体の税負担とのバランスを考慮する必要があります。
  2. 役員退職金の活用
    現経営者が退職するタイミングで、会社に利益が蓄積されている場合は、適正な範囲内で役員退職金を支給することを検討します。役員退職金は損金算入できるため会社の利益を圧縮し、法人税の負担を軽減させるとともに、自社株式の評価額計算における純資産価額を引き下げる効果が期待できます。退職金を受け取る個人側の税負担も、他の所得に比べて優遇されています。退職金の適正額については税理士に相談が必要です。
  3. 生命保険の活用
    会社が契約者・受取人となる生命保険を活用し、保険料を損金に算入することで会社の利益を圧縮し、結果的に自社株式の評価額を引き下げることができます。また、将来の相続税・贈与税の納税資金準備にも役立ちます。
  4. 不動産の有効活用・組み換え
    遊休資産となっている土地の有効活用(賃貸経営など)や、収益性の低い資産の売却、有利子負債を伴う資産取得なども、条件によっては相続税評価額の引き下げにつながる可能性があります。工務店は土地や建物といった不動産を多く所有しているケースが多いので、この対策は特に重要です。
  5. 不良資産の整理
    回収不能な売掛金や、利用価値の低い古い機械設備などの不良資産を整理・処分することで、バランスシートをスリム化し、純資産価額を引き下げる効果が期待できます。

これらの対策は、会社の財務状況や経営戦略にも影響を与えるため、税務だけでなく経営全体を考慮しつつ慎重に進める必要があります。

3. 生前贈与の活用

相続時ではなく、現経営者が生きている間に計画的に後継者に資産を贈与することも、有効な税金対策です。贈与税は相続税よりも税率が高い傾向にありますが、各種特例制度や暦年贈与の基礎控除を活用することで、税負担を抑えながら将来の相続財産を減らすことができます。

具体的な取り組み

  1. 計画的な暦年贈与
    年間110万円の基礎控除枠を活用し、長期にわたり後継者に少しずつ自社株式や現預金などを贈与します。贈与額が基礎控除内であれば贈与税はかかりません。ただし、毎年計画的に行わないと「連年贈与」とみなされ、まとめて贈与したものとして課税されるリスクがあるため注意が必要です(形式的な贈与契約書作成や都度の贈与実行が重要)。
  2. 相続時精算課税制度の活用
    一定の要件を満たせば、後継者への贈与時に2,500万円までの非課税枠を利用できます。この制度を利用した場合、贈与を受けた財産は相続時に相続財産に合算されて相続税が計算されます。相続税の負担を先送りする効果や、将来値上がりしそうな資産を早期に移転するメリットがありますが、一度選択すると暦年贈与には戻れないなどの制約もあるため、慎重な検討が必要です。
  3. 特定の贈与特例の活用
    教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置や、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置など、目的を限定した贈与について非課税となる制度があります。これらの制度を後継者や孫に活用することで、経営者自身の資産を減らし、将来の相続税を減らす間接的な効果が期待できます。

生前贈与は、後継者の財産形成を支援すると同時に、早い段階で自社株式を後継者に集中させ、経営権を安定させる効果もあります。一方で、遺留分対策や他の相続人との関係にも配慮が必要です。

4. 組織再編の検討

工務店の中には、建設業以外にも不動産賃貸業や資材販売業など、複数の事業を展開している場合があります。このような場合、会社の組織再編(会社分割など)によって事業や資産を切り離し、事業承継の対象を明確にしたり、承継しやすい形に整えたりすることが、結果的に税金対策に繋がる場合があります。

具体的な取り組み

  1. 組織再編の目的設定
    事業承継をスムーズにするため、特定の事業だけを後継者に引き継がせたい、ノンコア資産を切り離したい、持株会社を設立して資産管理と事業経営を分けたいなど、組織再編の目的を明確にします。
  2. 税制適格組織再編の要件確認
    組織再編は、方法によっては多額の税金(法人税、所得税、消費税など)が発生することがあります。税負担を避けるためには、「税制適格要件」を満たす必要があります。要件を満たすための詳細な検討と準備が必要です。
  3. 専門家(税理士、弁護士)との連携
    組織再編は法務・税務の両面で複雑な手続きが必要となります。税理士や弁護士、税理士法人の支援を受けながら、最適なスキームを検討し、実行計画を策定します。

組織再編は、税金対策としての効果だけでなく、企業の経営戦略、事業構造、従業員の雇用などにも大きな影響を与えるため、専門家との密な連携のもと、十分に時間をかけて検討・実行する必要があります。

5. 不動産による相続税対策

工務店は事業用不動産の保有が多い業種です。これらの不動産を相続税対策に活用することを検討できます。

具体的な取り組み

  1. 小規模宅地等の特例の適用検討
    自宅や事業用宅地など、一定の要件を満たす宅地については、相続税評価額が最大80%減額される特例があります。工務店の事務所や工場、資材置き場などの敷地がこの特例の対象となるか確認します。
  2. 賃貸不動産への組み換え
    現預金や収益性の低い土地を保有している場合、これを元手に賃貸アパートやマンションを建設・購入することを検討します。賃貸経営用の不動産は、建築資金の借入金や評価方法の違いにより、現預金や更地に比べて相続税評価額を大幅に圧縮できる可能性があります。工務店の得意分野を活かし、自社で管理・建設することも検討できるでしょう。

ただし、不動産による税金対策は、相続税評価額は下がっても、実際の市場価値は変わらないこと、不動産経営のリスクがあること、流動性が低いことなどのデメリットも理解しておく必要があります。

これらの具体的な税金対策は、単独で実施するよりも、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社の状況に合わせて複数組み合わせて実行することで最大の効果を発揮します。事業承継全体計画の一部として、税金対策を位置づけ、体系的に取り組むことが重要です。

Q&A:事業承継税制って複雑そうだけど、まず何から確認すればいい?

まず最初に確認すべきは、「自社株式会社が対象となる会社 types に該当するか」「後継者候補が要件を満たすか(親族であること、経験年数など)」です。特に重要なのは、現経営者が制度の適用期間内に「特例承継計画」を提出し、認定を受けることです。この計画は、将来の相続や贈与を見据えた具体的な行動計画であり、税理士や認定経営革新等支援機関と連携して作成する必要があります。まずはこれらの専門家に相談し、自社が事業承継税制の対象となる可能性と、制度活用の全体像について早期にアドバイスを受けることを強くお勧めします。

事業承継を継続的に成功させるための「次の一手」

事業承継は、単に後継者に経営を引き継ぎ、税金対策を終えれば終わりではありません。後継者が会社を安定的に経営し、将来にわたって発展させていくためには、承継実行フェーズにおける配慮と、承継後の継続的なサポートが不可欠です。そして、税金対策も時代の変化や法改正に対応し、見直しが必要です。ここでは、事業承継を継続的に成功させるための「次の一手」について解説します。

1. 承継実行と資産移転のタイミング

税金対策で計画的に進めてきた資産移転は、事業承継の実行と密接に関わります。いつ、どのように株式や事業用資産を後継者に移転するのか、計画通りに実行することが重要です。

具体的な取り組み

  1. 贈与契約・譲渡契約の締結
    生前贈与や株式譲渡によって資産を移転する場合、法的に有効な契約書を作成し、実行します。贈与の場合は贈与契約書、譲渡の場合は株式譲渡契約書などが必要です。
  2. 名義書き換え手続き
    自社株式については、会社の株主名簿の名義書き換えを行います。不動産や車両、重機なども、所有権移転登記や名義変更手続きを行います。
  3. 税務署への申告・納付
    贈与税や譲渡所得税など、発生した税金について、期限内に税務署へ申告し、納付します。事業承継税制の猶予を申請する場合も、このタイミングで行います。

これらの手続きは、法務・税務の専門知識が必要です。税理士や弁護士、司法書士と連携して、漏れなく正確に進めることが、後々のトラブルを避けるために不可欠です。

2. 後継者育成とセットでの税金対策実行

税金対策は後継者が経営能力や経験を積む期間(育成期間)と並行して行うことで、より効果的になります。後継者の給与や役員報酬の設計、持株比率のコントロールなどが税務にも影響を与えるからです。

具体的な取り組み

  1. 後継者への給与・役員報酬設計
    後継者が経営に参画し始めたら、その貢献度に応じた適正な給与や役員報酬を検討します。これは後継者の所得税・住民税に関わるだけでなく、会社の経費(損金)となるため法人税にも影響します。
  2. 資金計画と税負担の見込み
    後継者が自社株式を買い取る場合や、贈与税・相続税の納税が必要となる場合に備え、後継者の資金計画を立てます。税金対策によって、どの程度の税負担が見込まれるのかを後継者と共有し、納税資金の確保について話し合います。
  3. 早期の経営情報・財務情報の共有
    後継者に経営情報、特に財務状況や税務関連の情報を早期から共有し、税金対策の意図や効果を理解してもらうことが重要です。共通認識を持つことで、その後の意思決定がスムーズになります。

後継者の育成と税金対策は、事業承継計画の二本柱です。両方をセットで考え、計画的に実行することで、後継者がスムーズ에経営のバトンを受け取り、安定した経営を進める 기반が固まります。

3. 専門家との連携を継続する

事業承継、特に税金対策は専門性が高く、法律や税制の改正、会社の状況の変化などによって常に最適な方法が変わります。信頼できる専門家との長期的な関係性が成功の鍵を握ります。

具体的な取り組み

  1. 税理士を顧問に迎える
    事業承継を専門とする税理士を顧問に迎えることで、日常の税務相談に加え、事業承継税制の継続的な要件遵守支援、評価引き下げ対策の実行支援、定期的な税務リスク評価などを依頼できるようになります。
  2. 必要に応じて他の専門家とも連携
    法務的な手続きが必要な場合は弁護士や司法書士、不動産の有効活用やM&Aを検討する場合は経営コンサルタントやM&Aアドバイザーなど、必要に応じて他の専門家とも連携します。専門家チームを作るイメージです。
  3. 定期的な専門家とのミーティング
    事業や家族の状況が変わる都度、税理士とミーティングを持ち、税金対策の計画や実行状況について確認・見直しを行います。

専門家は、経営者が一人で抱え込みがちな事業承継の課題に対して、客観的な視点と専門知識を提供してくれます。適切なサポート体制を築くことが、事業承継の成功確率を飞躍的に高めます。

4. 事業承継後の経営安定化と税金

事業承継が完了した後も、法人経営に関する税金対策は続きます。後継者が安定した経営を続けられるよう、適切な税務知識を持つことが重要です。

具体的な取り組み

  1. 承継後の法人税・所得税最適化
    承継後の会社の利益状況を見ながら、役員報酬、役員賞与、設備投資に係る税務上のメリットなど、法人税・所得税の負担最適化を検討します。
  2. 納税資金計画の継続的見直し
    承継時に発生した相続税や贈与税の納税猶予制度を利用している場合は、将来の納税または猶予継続に向けて、会社の資金繰りや役員個人の資産状況を踏まえた資金計画を継続的に見直します。
  3. 法定申告・届出の義務履行
    事業承継税制を利用している場合、税務署への年次報告などの義務を確実に履行することが必須です。怠ると猶予が打ち消される可能性があります。

事業承継後も、税務は経営に深く関わる要素です。後継者が税務リテラシーを高めるか、信頼できる税理士のサポートを継続するか、いずれかの対応が必要です。

5. 法改正への対応と継続的な見直し

税法は頻繁に改正されます。特に事業承継税制のような特例措置は、適用期限があったり、要件が見直されたりすることがあります。一度対策を講じたら終わりではなく、定期的な見直しが不可欠です。

具体的な取り組み

  1. 税制改正の情報収集
    国の税制改正大綱などを通じて、事業承継や資産税に関連する税制改正の情報を積極的に収集します。顧問税理士から最新情報を提供してもらうのが最も確実です。
  2. 事業・家族状況の変化に応じた計画の見直し
    会社の業績変動、新たな事業用資産の取得、後継者候補の変更、家族構成の変化、親族の健康状態など、事業や家族の状況が変わるたびに、当初の事業承継計画や税金対策が現状に即しているか見直します。
  3. 定期的なシミュレーション実施
    現在の状況で相続や贈与が発生した場合の税額シミュレーションを定期的に行い、税金対策の効果を検証し、必要に応じて新たな対策を追加・変更します。

事業承継は、一度きりのイベントではなく、会社の歴史と経営者の人生における重要なプロセスです。変化に対応し、継続的に計画を見直していく柔軟な姿勢が、最終的な成功に繋がります。

Q&A:専門家選びのポイントは?

事業承継や資産税に強い専門家(特に税理士)を選ぶことが重要です。以下の点を参考にしてください。

  • 事業承継の実績や専門知識が豊富か
  • 工務店など同業種や中小企業の支援経験があるか
  • 経営者の話に親身に耳を傾け、分かりやすく説明してくれるか
  • 複数の専門家(弁護士、司法書士など)とのネットワークを持っているか
  • 費用体系が明確か

複数の専門家と面談し、最も信頼でき、長期的なパートナーとなり得る税理士を見つけることが、事業承継成功への第一歩と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、工務店経営者の皆様が直面する事業承継における税金対策の重要性とその実践的な方法について、具体的な手順とアドバイスを交えながら解説しました。事業承継で失敗しないためには、税金の問題から目を背けることなく、早期に、計画的に、専門家の支援を受けながら対策を実行することが不可欠です。

ご紹介した税金対策、例えば事業承継税制の活用、自社株式・資産評価の引き下げ、計画的な生前贈与、組織再編の検討、不動産による対策などは、それぞれが強力な効果を持ち得ますが、最も重要なのは、これらを工務店という事業の内容や後継者の状況に合わせて適切に組み合わせ、事業承継全体計画の中に位置づけることです。税金対策は単なる節税ではなく、会社の未来、後継者の安心、そして経営者自身の長年の努力の結晶を守るための「未来への投資」なのです。

最初に一歩を踏み出すことは勇気がいるかもしれませんが、自社の現状把握から始め、信頼できる税理士に相談することから始めてみてください。時間に余裕を持って取り組めば取り組むほど、選択肢は広がり、より有利な条件で事業承継を実現できる可能性が高まります。また、後継者と早い段階から財務や税務に関する情報を共有し、一緒に学ぶ姿勢を持つことも、円滑な事業承継と税金対策の成功に繋がります。

事業承継は、会社の次の100年を創り出すための大切なプロセスです。税金対策をしっかりと行い、後継者が自信を持って経営に臨める環境を整えることは、地域社会に貢献し続けてきた皆様の工務店が、今後も力強く発展していくための礎となります。この記事が、皆様の事業承継と税金対策における具体的なアクションのきっかけとなり、明るい未来への確かな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。皆様の事業承継の成功を心より応援しています。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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