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住宅展示場来場後の効果的な追客体制の構築

公開日: : 工務店 経営

工務店の経営者の皆様、住宅展示場への集客は順調ですか?しかし、「せっかく住宅展示場に多くの方が来場してくれたのに、その後の追客がうまくいかず、なかなか契約に結びつかない…」このような悩みを抱えていませんでしょうか。住宅展示場は、見込み顧客と直接出会える貴重な機会ですが、その後のフォローが滞ると、せっかくの労力が無駄になってしまいます。多くの工務店が、人手不足やノウハウの不足から、属人的な追客になりがちです。理想的な追客体制を構築することは、契約率を向上させ、安定した経営基盤を築く鍵となります。この記事では、住宅展示場への来場者を効率的かつ効果的に追客し、契約に繋げるための具体的で実践的なステップを、基礎から応用まで徹底解説します。この記事を読めば、貴社の追客体制が劇的に改善され、住宅展示場からの成果を最大限に引き出すことができるでしょう。

追客体制の「実践的」導入戦略:基礎から応用まで

住宅展示場に来場された方への追客は、単なる電話やメールではありません。それは、お客様の「家づくり」という人生最大のイベントに寄り添い、信頼関係を築きながら、貴社を選んでもらうための重要なプロセスです。まず、なぜ今、追客体制の構築が工務店にとって不可欠なのか、そしてどのようにその基盤を作るべきかを見ていきましょう。

追客の定義と工務店経営における重要性

追客とは、一度接点を持った見込み顧客に対し、継続的にコミュニケーションを取り、購買意欲を高め、最終的な成約へと繋げる活動全般を指します。住宅展示場に来場されるお客様は、まさに「家づくり」を考え始めた、あるいは具体的に検討している段階です。このようなお客様との貴重な初期接点を活かせるかどうかは、その後の事業成長に直結します。

しかし、多くの工務店では、追客活動が特定の人材に任せきりになったり、場当たり的になってしまったりすることが少なくありません。これにより、本来契約に至るはずだったお客様を取りこぼし、多大な機会損失を生んでいます。確固たる追客体制を整えることは、これらの課題を解決し、安定的に契約を獲得するために最も重要な経営戦略の一つと言えます。

なぜ多くの工務店が追客に課題を感じるのか?

追客がうまくいかない背景には、いくつかの共通する要因があります。

  • 属人化: 特定の営業担当者のみが追客スキルを持っており、情報共有や引き継ぎが困難。
  • 後回し: 目の前の業務に追われ、すぐに契約に繋がらない追客活動が後回しになる。
  • 方法不明: どのようなタイミングで、どんな内容の連絡をすれば効果的なのかが分からない。
  • 効果測定の不足: 追客活動が売上にどの程度貢献しているかが不明瞭で、改善が進まない。
  • 組織文化: 追客が「やらされ仕事」になっており、チーム全体の意識が低い。

これらの課題を乗り越え、組織として機能する追客体制を築くことが、住宅展示場からの成果を最大化するためには不可欠です。

追客体制構築のメリット

追客体制を整備することで、貴社は以下のような大きなメリットを享受できます。

  • 契約率の向上: お客様のニーズに合わせた継続的なアプローチにより、購入意欲を高め、他社への流出を防ぎます。
  • 顧客単価・LTVの向上: 信頼関係が深まることで、より高単価なサービスやリフォームなどにも繋がりやすくなります。
  • 顧客満足度の向上: きめ細やかなフォローは、お客様に安心感と信頼感を与え、満足度を高めます。顧客満足度は、口コミや紹介にも繋がります。
  • 業務の効率化: 標準化されたプロセスにより、担当者ごとのバラつきがなくなり、追客業務全体が効率化されます。
  • 組織力の強化: 情報共有が進み、チーム全体でお客様をサポートする体制が生まれます。

体制構築のための事前準備

本格的な追客体制の構築に着手する前に、以下の3点を明確にしておくことが重要です。

具体的なステップ1:目標設定と現状分析

まず、追客体制を構築することで「何を達成したいのか」を具体的に設定します。例えば、「住宅展示場からの来場者の契約率を現状の○%から△%に上げる」「初回接触までの平均時間を□時間以内にする」といった定量的な目標です。次に、現状の追客活動を分析します。来場から契約までの平均リードタイム、各段階での離脱率、担当者ごとの追客方法の違いなどを把握することで、どこに課題があるのかが見えてきます。

具体的なステップ2:理想の顧客像(ペルソナ)設定

住宅展示場に来場されるお客様が「どのような人たちなのか」を深く理解します。年齢層、家族構成、職業、年収といった基本的な情報だけでなく、どのようなきっかけで家づくりを考え始めたのか、どのようなライフスタイルを望んでいるのか、家づくりにおいて何を重視するのか(デザイン、性能、価格、安心感など)、どのような不安や疑問を抱えているのか、といった内面的な情報も重要です。具体的なペルソナを設定することで、お客様一人ひとりに寄り添った、よりパーソナルな追客が可能になります。

具体的なステップ3:追客フローの設計

住宅展示場への来場から契約、さらには引き渡し後のフォローまで、お客様がたどるであろう道のりを可視化します。そして、それぞれの顧客ステージ(例: 初期検討段階、情報収集段階、比較検討段階、意思決定段階)において、貴社がどのようなアプローチを行うかを具体的に設計します。

  • 来場直後(1日以内):感謝のメッセージ、簡単な御礼と次のステップの案内。
  • 初期フォロー(1週間以内):お客様の関心に合わせた情報提供、個別相談の提案。
  • 継続フォロー(〜数ヶ月):定期的な情報発信、イベント招待、ニーズの再確認。
  • 商談段階:具体的なプラン提案、資金計画、土地探しのサポート。
  • 契約後:工事進捗連絡、アフターフォロー。

このフローの中で、誰が、いつ、どのような方法で、どのような内容を伝えるのかを明確に定めます。この標準化されたフローが、追客体制の骨子となります。この設計段階で、各ステップにおける「お客様の気持ち」や「抱えているであろう疑問」を想像することが、効果的な追客に繋がります。

住宅展示場×追客体制:成果を最大化する具体的な取り組み

住宅展示場は「点」での出会いの場です。この出会いを「線」として、そして最後は「面」としてお客様との関係性を深めていくのが追客の役割です。ここでは、住宅展示場での活動と連動させた、より具体的な追客のステップと手法について解説します。

具体的なステップ4:住宅展示場での質の高い情報収集

追客の質は、住宅展示場でお客様からどれだけ質の高い情報を引き出せるかで決まります。アンケート項目はお客様に負担をかけすぎず、かつ追客に必要な情報を網羅できるように工夫が必要です。

  • 必須項目: 氏名、連絡先(最低限、追客に同意を得た上でメールアドレスや電話番号)、家族構成、検討状況(いつ頃建てたいか、以前に展示場に行ったことがあるかなど)。
  • 任意項目(ヒアリングで補完): 興味のあるデザイン、性能、予算感、家づくりで重視する点、現在困っていること、情報収集方法(ネット、雑誌、知人など)、個別相談の意向。

アンケートだけでなく、会話の中でのヒアリングが最も重要です。お客様の話し方、興味を示すポイント、何気ない一言からニーズや不安を読み取ります。担当者はこれらの情報を、後で見返しやすいように具体的にメモに残します。「メモ書きシート」のような定型フォーマットを用意すると、項目漏れを防ぐことができます。例えば「〇〇様:暖かさを非常に気にされていた。断熱性能について特に詳しく説明を求めた。土地はまだないとのこと。予算は控えめを希望。」のように具体的に記録します。これにより、後続の追客で「展示場で〇〇様が特に興味を示されていた断熱性能について、もう少し詳しい資料をお送りしてもよろしいでしょうか」といったパーソナルな切り出しが可能になります。

具体的なステップ5:来場者情報の効率的な管理

収集した情報は、担当者が個人的に管理するのではなく、組織全体で一元管理できる仕組みが必要です。これにより、担当者変更時や、複数の部署で情報を共有する際にスムーズに対応できます。ExcelやGoogle Sheetsといった表計算ソフトでも可能ですが、追客履歴の記録や次回のタスク管理、メールの一斉送信などを考慮すると、CRM( Customer Relationship Management:顧客関係管理)やSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)といったツールの導入が効果的です。

管理項目としては、基本情報に加えて、「来場日/時間」「担当者」「ヒアリング内容メモ」「興味・関心事項」「次回の追客予定日」「追客履歴(いつ、誰が、どのような方法で、どのような内容を伝えたか、お客様の反応は?)」などを記録します。これらの情報が蓄積されることで、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なアプローチを計画・実行できるようになります。

具体的なステップ6:初回接触までのスピードと戦略

住宅展示場からの帰宅後、お客様の興味や記憶が鮮明な”熱”いうちに接触することが非常に重要です。理想は来場当日、遅くとも翌営業日中には初回接触を行いましょう。スピードが遅れるほど、お客様の意識は薄れ、他社に流れるリスクが高まります。

初回接触の方法は、お客様の同意を得ている連絡手段(電話、メール、LINEなど)を使いますが、一般的には電話が最もお客様の反応を得やすい傾向があります。ただし、いきなり営業色の強い会話をするのではなく、まずは来場への感謝を伝え、住宅展示場での話(例:「〇〇様が興味を持たれていた△△について、少し追加資料があるのですが、お送りしてもよろしいでしょうか?」)に触れることで、お客様に「自分のことを覚えていてくれた」という安心感と特別感を与えます。メールやLINEの場合は、担当者の顔写真や手書き風のメッセージを添えるなど、できるだけパーソナルな印象を心がけましょう。

この初回接触の目的は、「個別相談の約束を取り付けること」や「次のステップへの誘導」に絞るのではなく、まずは「貴社への良い第一印象を再確認してもらい、今後のコミュニケーションの土台を作る」ことに置くことが重要です。お客様の状況や来場時のヒアリング内容に応じて、柔軟にアプローチを調整します。

具体的なステップ7:ターゲット別に最適化された追客アプローチ

住宅展示場に来場するお客様は、住宅購入への意欲や検討段階が様々です。すべての来場者に同じアプローチをしても効果は上がりません。ヒアリング情報に基づき、お客様をいくつかのグループに分類し、それぞれに合わせた追客計画を実行します。

  • 顕在層(具体的な要望があり、近いうちに建てたいと考えている): 個別相談や具体的なプラン提案、資金計画の打ち合わせなど、具体的な商談へとスムーズに進めるための情報提供とアポイント調整を優先します。スピーディーな対応と、お客様の疑問や不安を解消するための手厚いサポートが鍵となります。
  • 準顕在層(情報収集段階で、何から始めて良いか分からない): 家づくりに関する基礎知識(資金計画、土地探し、工法、スケジュールなど)や、貴社の強み、施工事例などを分かりやすく伝える情報提供を行います。勉強会やセミナーへの招待、個別相談のハードルを下げるための「〇〇に関する無料相談会」などを企画するのも良いでしょう。お客様の理解度を深め、検討を一歩進めてもらうことを目指します。
  • 潜在層(漠然と家づくりに興味があり、情報収集を始めたばかり): すぐに契約に繋がる可能性は低いですが、将来的な顧客になり得ます。関係性を維持するために、季刊誌の送付、ブログ記事の案内、地域のイベント情報など、すぐには家と関係なくとも役に立つ情報や、貴社の雰囲気や家づくりへの想いが伝わるようなコンテンツを提供します。長期的な視点で、貴社を「家づくりの相談相手」として認識してもらうことを目標とします。

具体的なステップ8:信頼を深めるためのコンテンツ提供

単に連絡するだけでなく、お客様にとって価値のある情報を提供することが、信頼獲得に繋がります。提供するコンテンツは、お客様の興味関心や検討段階に合わせて選びます。

  • 施工事例: 住宅展示場を見た後のお客様は、具体的なイメージを求めています。似たような要望を持つお客様の事例や、特徴的なデザイン、性能に関する事例を紹介します。
  • 資金計画・住宅ローン情報: 多くのお客様が不安に感じている資金面に関する情報を提供します。住宅ローンの種類、金利、減税制度など、分かりやすく解説した資料や、個別相談で資金計画のシミュレーションができることなどを伝えます。
  • 土地探しサポート: 土地がないお客様には、土地探しの方法や注意点、提携不動産会社の情報などを提供します。
  • 構造・性能に関する情報: 耐震性や断熱性、気密性など、家の性能に関する詳しい情報を提供します。専門的な内容は、専門用語を避け、お客様に分かりやすい言葉で説明します。
  • イベント・セミナー情報: 完成見学会、構造見学会、家づくり勉強会など、お客様が参加することで貴社の家づくりをより深く理解できる機会を案内します。
  • お客様の声・インタビュー: 実際に貴社で家を建てたお客様の生の声は、強い信頼性を持ちます。写真や動画を交えながら、お客様の満足度や家づくりのエピソードを紹介します。

これらのコンテンツは、メールに添付したり、貴社ウェブサイトの特定のページに誘導したり、ニュースレターとして定期的に送付したりと、様々な方法で提供できます。重要なのは、一方的な情報提供ではなく、「〇〇様に役立つと思って、この情報をお送りしました」といったように、お客様を想って送っていることが伝わるメッセージと共に提供することです。

住宅展示場からの追客に関するQ&A

住宅展示場を起点とした追客でよくある疑問とその答えをまとめました。

Q1: 追客の頻度はどのくらいが適切ですか?

A1: お客様の検討度合いや反応によって調整すべきですが、一般的には初回接触から1週間以内、その後は月1回程度を目安とし、お客様の反応が良ければピッチを上げ、反応がなければ少し間隔を空けるなどフレキシブルに対応します。ただし、長期的なフォローが必要な潜在層に対しては、四半期に一度のニュースレターや、年に数回のイベント案内など、負担にならない範囲での継続的な接触を心がけます。重要なのは、単に頻繁に連絡するのではなく、お客様に「何か価値がある情報だ」「自分の状況を理解してくれている」と感じてもらえることです。

Q2: 追客ツール(CRMなど)は必ず必要ですか?

A2: 必須ではありませんが、来場者が多くなるほど手作業での管理や追客履歴の共有は難しくなります。追客ツールを導入することで、情報の抜け漏れ防止、担当者間の情報共有スムーズ化、追客状況の可視化、効果測定などが効率的に行えます。特に人手不足の工務店にとっては、業務効率化と追客の質向上に大きく貢献する可能性が高いです。まずは小規模なツールから試してみるのも良いでしょう。

Q3: 住宅展示場に来場したが、その後一切連絡が取れないお客様への追客はどうすれば良いですか?

A3: 初回接触を試みても反応がない場合、まずはしつこく連絡するのは控えましょう。お客様にはそれぞれ事情があります。しかし、完全にリストから外すのではなく、例えば半年後や1年後など、期間を空けて再度、イベント案内や魅力的なコンテンツ(例えば、最新の完成見学会情報、法改正に関する情報など)をメールや郵送で送ってみるのが有効です。その際も、「以前、住宅展示場にご来場いただいた〇〇様へ」といった形で、過去の接点に触れると、関心を示してもらえる可能性がわずかでも高まります。もし数回アプローチしても全く 반응 がない場合は、一旦リストから外すか、年に一度など最小限の接触に留める判断も必要です。

Q4: 住宅展示場以外からの見込み客と追客方法を分けるべきですか?

A4: 基本的な追客フローは共通化できますが、最初の接点(住宅展示場、ウェブサイトからの資料請求、紹介など)によってお客様の検討段階や関心度合いは異なります。住宅展示場への来場者は、比較的検討段階が進んでいる可能性が高い傾向があります。そのため、最初の接触時のアプローチや、提供する情報の種類・深度を、それぞれの流入経路に合わせて最適化することが効果的です。住宅展示場からの来場者には、より具体的なモデルハウスや施工事例に関する情報を速やかに提供するなど、来場時の熱を冷まさない工夫が重要です。

住宅展示場を継続的に成功させるための「次の一手」

追客体制は一度構築したら終わりではありません。常に効果を測定し、改善を続けることで、より洗練された、成果に繋がる体制へと進化させていくことができます。ここでは、追客の効果を最大化し、住宅展示場からの成果を継続的に向上させるための方法について解説します。

具体的なステップ9:追客活動の効果測定と評価

構築した追客体制が実際に成果を上げているのかを把握するためには、定量的な効果測定が不可欠です。測定すべき項目は、設定した目標や追客フローによって異なりますが、以下のような指標が一般的です。

  • 来場者数 vs. 初回接触完了率: 住宅展示場来場者のうち、初回接触に成功した割合。初回接触率が低い場合は、連絡先の獲得方法や初回連絡のスピード、方法に課題がある可能性があります。
  • 初回接触完了 vs. 個別相談設定率: 初回接触に成功したお客様のうち、個別相談や次のアクションへのアポイントが取れた割合。アポイント設定率が低い場合は、初回接触でのメッセージ内容や、提供コンテンツの魅力、誘導方法に改善の余地があります。
  • 個別相談数 vs. 契約率: 個別相談に進んだお客様のうち、契約に至った割合。これは追客だけでなく、営業担当者の質や提案内容にも関わりますが、追客プロセスによって適切なターゲットを選別できているかの指標にもなります。
  • 来場から契約までの平均リードタイム: 来場から契約までの期間。リードタイムが長すぎる場合は、追客の中でどこかにボトルネックがある可能性があります。
  • 特定の追客アクションの開封率/クリック率(メール追客の場合): 送信したメールがどのくらい開封され、メール内のリンクがどのくらいクリックされたか。これは、メールの件名、内容、デザイン、送信タイミングなどの効果を測る指標になります。
  • 担当者ごとの追客状況: 担当者によって追客の実施状況や成果にバラつきがないかを確認し、必要に応じて研修やサポートを行います。

これらの指標を定期的に測定し、当初設定した目標と比較することで、追客体制のどの部分が機能しており、どこに課題があるのかを客観的に判断できます。

具体的なステップ10:PDCAサイクルによる継続的な改善

効果測定で明らかになった課題を元に、追客体制を継続的に改善していきます(PDCAサイクル)。

P (Plan – 計画): 測定結果に基づき、改善目標と具体的な改善策を立てます。「初回接触完了率が低いので、初回連絡のマニュアルを見直し、連絡ツールにLINE@を追加する」「アポイント設定率を上げるために、初回接触時に提供するコンテンツを、よりお客様のニーズに合わせた内容に作り直す」など、具体的なプランを立てます。

D (Do – 実行): 立てた改善策を実行します。マニュアルの変更、新しいツールの導入、コンテンツ改訂、担当者への教育などを行います。

C (Check – 測定・評価): 実行した改善策の効果を再度測定します。目標達成度や、他の指標への影響などを確認します。改善策がすぐに効果を発揮しない場合もありますが、諦めずに継続して測定することが重要です。

A (Action – 改善): 測定結果を踏まえ、改善策がうまくいった場合はその方法を標準化します。うまくいかなかった場合は、原因を分析し、別の改善策を検討します。このサイクルを繰り返すことで、追客体制はより洗練され、貴社にとって最適な形へと進化していきます。

追客を仕組み化するためのツール活用

前述のCRM/SFAツールは、追客体制の仕組み化を強力にサポートします。顧客情報の一元管理、追客タスクのリマインダー機能、メールの一斉/ステップ配信、効果測定レポート作成など、手作業では困難な多くの作業を自動化・効率化できます。様々な機能を持つツールがありますが、まずは貴社の規模や必要な機能に合わせて選定し、段階的に導入を検討すると良いでしょう。導入だけでなく、社員が使いこなせるように丁寧な研修やサポートを行うことも成功の鍵です。

組織全体で追客文化を醸成する

追客は、特定の営業担当者だけが行う業務ではなく、工務店全体で取り組むべきものです。受付担当者、設計担当者、工事担当者、事務担当者など、お客様と接点を持つ可能性のあるすべての社員が、追客の重要性を理解し、自分たちの役割を認識することが重要です。来場者情報の共有だけでなく、追客の成功事例や失敗から学んだことを共有するミーティング、社員向けの研修などを通じて、組織全体で「お客様との関係性を深める」という意識を高めていきましょう。住宅展示場への参加そのものも、全社的な取り組みとして位置づけることで、各担当者が顧客情報をいかに次に繋げるかを意識できるようになります。

住宅展示場以外のチャネルとの連携

住宅展示場からの追客体制は、ウェブサイトからの資料請求や問い合わせ、SNSからの流入、OB客からの紹介といった他のチャネルからの見込み客への追客体制とも連携させることで、より効果的になります。例えば、ウェブサイトのブログ記事やYouTubeチャンネルに、住宅展示場でよく聞かれる質問への回答コンテンツを掲載し、追客メールから誘導するといった連携が可能です。統合的な追客管理を行うことで、お客様との接点を多角的に持ち続け、貴社への興味関心を持続させることができます。

長期的な視点での顧客育成

追客は、契約したら終わりではありません。引き渡し後の定期的なフォローや、OB客限定イベントへの招待などは、長期的な顧客満足度を高め、OB客からの紹介やリフォーム案件に繋がる可能性を高めます。住宅展示場での出会いから始まったお客様との関係性を、一生涯を通じて続けることこそが、工務店にとって最も理想的な追客の形と言えるでしょう。

まとめ

工務店経営において、住宅展示場への来場は集客の重要な柱ですが、その後の追客の成否が事業成長の行方を大きく左右します。この記事では、住宅展示場からの成果を最大化するために不可欠な、体系的な追客体制の構築方法について、基礎から具体的なステップ、効果測定、そして継続的な改善策までを詳しく解説しました。

追客体制の構築は、まず「なぜ追客が必要なのか」という目的を明確にし、理想の顧客像を設定、そしてお客様の検討段階に合わせた追客フローを設計することからスタートします。そして、住宅展示場での質の高い情報収集、情報の効率的な管理、迅速かつパーソナルな初回接触、お客様の状況に合わせたコンテンツ提供といった具体的なアクションを実行に移します。さらに、追客活動の効果を測定し、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことが、成果を出し続けるためには不可欠です。

この記事でご紹介した具体的な手順は、決して一夜にして完成するものではありません。しかし、一つずつ着実に実行していくことで、属人的だった追客が「仕組み」として機能し始め、お客様一人ひとりに丁寧に向き合える組織へと変わっていくでしょう。追客体制の構築は、単に契約を増やすためだけでなく、お客様との信頼関係をより深く、より長く築き、結果として貴社のブランド価値を高めることに繋がります。

これから貴社が取り組む追客体制の構築は、住宅展示場からの来場という「点」を、お客様の理想の住まい実現という「未来」へと繋げる重要な架け橋となります。最初の一歩は小さくても構いません。この記事で示された具体的なステップを参考に、ぜひ今日から追客体制の整備を始めてください。その一歩が、貴社の未来、そしてそこで働く人々、そして何より、貴社で家を建てるお客様の未来をより豊かなものにすると確信しています。

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この記事を書いた人

浄法寺 亘

工務店の社会貢献やSDGs、国産材利活用を応援する「コミュニティビルダー協会」代表理事。
今動いているプロジェクトは「木ッズ絵画コンクール」
※8月実施予定。
住宅サイトの運営もしています。

福島県 喜多方市出身
県立会津高校卒
市立高崎経済大学卒

著書:
頼みたくなる住宅営業になれる本
https://x.gd/oatiM
SDGsに取り組もう 建築業界編
https://x.gd/MXYJr
とっておきの見込み客発掘法
https://x.gd/001or

主な講演:
鹿児島県庁主催「かごしま緑の工務店研修会」
リードジャパン主催「工務店支援エキスポ」(東京ビックサイト)
育英西中学校
その他住宅FCなど

活動実績
2019~ 千葉県にて里山竹林整備ボランティア
2020~ 木ッズ絵画コンクール

工務店の集客・営業ならジーレックスジャパン →ホームページはこちら

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